ケヴィン・ベーコン ザ・ウッドマン The Woodsman (2004)


Woodsman with Kevin Bacon
Kyra Sedgwick and Kevin Bacon in The Woodsman
ザ・ウッドマン(2004年)

刑務所から社会に戻ったペドフィリアの人生を描いた「ザ・ウッドマン」を監督したのは日本では知られていないNicole Kassell(ニコラス・カッセル)ですが、Kevin Bacon(ケビン・ベーコン)が主演してSundance Film Festival(サンダンス映画祭)で評判となったヒューマンドラマだそうです。 「盗人にも三分の理」なのか、「罪を憎んで人を憎まず」なのか。
インターネットの普及に伴う児童ポルノの氾濫が国を挙げての摘発及び根絶へと発展している昨今ですが、幼児虐待とも呼ばれる子供に対する性犯罪、このPedophile(ペドファイル / 小児性愛者)として12年間服役したウォルター(ケヴィン・ベーコン)が保護観察処分である町にやって来ます。 小児性愛者のウォルターが移り住んだアパートが小学校の側というのも皮肉です。 ウォルターは製材所(材木置場)労働者(樵)として、人生をやり直そうとするも己の罪ゆえに他人を避けた生活を送るのです。 ウォルターの家族や以前の知り合いからも疎んじられ、警察や医師も異常な性衝動の再発を杞憂する状況のなか職場の女性(キーラ・セジウィック)が近づいてきます。 ウォルターに付きまとう地元警官は童話の「赤ずきんちゃん」の話をしてペドフィリアはオオカミで赤ずきんちゃんを救う樵なんていやしないと言う。 まさにウォルターが公園(森)で出会ったのがバードウォッチングが好きなロビンという12歳の女の子でした。 ロビンは「私と鳥は友達よ。 鳥たちは私が危険ではないと分かっているの。」 内なる悪魔と闘わねばならないウォルター。 ここが最も重要な部分だそうです。 ウォルターとロビンが友達でありますように。。。

「ザ・ウッドマン」の女性監督ニコラス・カッセルは2002年に最初のショート・フィルムThe Green Hourを製作、The Warner Brothers Picture Film Production Awardを受賞しています。 そして、The Woodsman(ザ・ウッドマン)オリジナル・スクリプトは、脚本家のSteven Fechter(スティーヴン・フェチター)と共同制作ですが、2001年のSlamdanceシナリオ・コンテストで一位になったそうです。 ハリウッドではゲイ問題より扱いが難しいペドフィリアという題材のため玄人受けしても素人受けしない映画のようです。 赤ずきんちゃん危うし、じゃなくてロビンちゃん危うしか。

video映画「The Woodsman」のオフィシャルサイトはOfficial Site - thewoodsmanfilm.com(英語)
「The Woodsman(ザ・ウッドマン)」の予告編はThe Woodsman Trailer - VideoDetective
「The Woodsman(ザ・ウッドマン)」はアメリカでは2004年12月に限定公開されましたが日本では未公開です。

ガールフレンド役で共演のKyra Sedgwick(キーラ・セジウィック又はカイラ・セドウィック)は私生活ではベーコン夫人です。  二人は1987年のTV映画「Lemon Sky(レモン色の空)」で共演して知り合い、そして結婚したそうです。 このカップルは1994年のMurder In The First(告発)で初めて夫婦で共演をしています。 日本未公開の「レモン色の空」は、60年代後期にオフ・オフ・ブロードウェイの前衛劇場"Café Cino"で自作自演の芝居を打ったというLanford Wilson(ランフォード・ウィルソン)原作によるシュールな伝記風の1970年の戯曲を同じくランフォード・ウィルソンの脚本でJan Egleson(ジャン・イーグルソン)監督が映画化したものです。 1988年のSundance Film Festival(サンダンス映画祭)で特別審査員賞を受賞したもので、音楽はジャズ・ギタリストで作曲家のPat Metheny(パット・メセニー)だそうです。 ケヴィン・ベーコンは親子の確執を空しくも克服しようとする若者"Alan(アラン)"を演じ、キーラ・セジウィックは危険な誘惑の香りがする十代の少女"Carol(キャロル)"を魅力的に演じました。 孤独や疎外感をテーマにしたランフォード・ウィルソンの戯曲はしばしば私の好きなTennessee Williams(テネシー・ウィリアムズ)に比べられることもあるそうです。 ちなみにこの夫婦は1959年にショービジネス界の人々に賛辞を示すため始められたWalk of Fame(ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム)の星型プレートに名を連ねています。 ケヴィンは2003年でしたが粋なはからいで2009年にはケヴィンの隣にキーラがハリウッドの殿堂入りを果たしました。
70年代から80年代に浮上してジャンルを超えた演奏を聴かせるパット・メセニーのアルバムは2000年にリリースされたPat Metheny Trioの"Live"しか聴いたことがありません。 この2枚組アルバムはパット・メセニーの世界ツアーのライヴ盤で、1976年のデビューアルバム"Bright Size Life"と同名の曲を収録しています。

キーラ・セジウィックはEric Clapton(エリック・クラプトン)のテーマ曲「Change the World」が印象的な1996年のファンタジック「Phenomenon(フェノミナン)」ではJohn Travolta(ジョン・トラボルタ)と共演しました。
ちなみにキーラ・セジウィックはカイラ・セジウィック、カイラ・セルジウィック、はキラ・セドウィック又はキーラ・セヂウィックなどと表記されています。 関連があるかどうかは不明ですが"セヂウィック"というとアメリカ東部の最高の名家で大富豪の苗字なんだそうです。
「フェノミナン」のサウンドトラックは「Phenomenon: Music From The Motion Picture (Soundtrack)」にはEric Clapton(エリック・クラプトン)のChange The World、Aaron Neville(アーロン・ネヴィル)のCrazy Love、Peter Gabriel(ピーター・ガブリエル)のI Have the Touch、Taj Mahal (タジ・マハール)のCorinnaやMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)のPiece Of Clayなどを収録しています。

The Woodsman Soundtrack
映画の音楽は同じく2004年にJohn Travolta(ジョン・トラボルタ)が出演した「A Love Song for Bobby Long(ママの遺したラヴソング)」で音楽を手掛けたNathan Larson(ネイサン・ラーソン)ですがサウンドトラックはリリースされていないようです。
「The Woodsman」のプロデューサーでもあるケヴィン・ベーコンが作曲した"Chop Wood, Carry Water"を兄弟デュオのThe Bacon Brothersが歌っている他、70年代ファンクのJames Brown(ジェームス・ブラウン)の自作自演で"Papa Don't Take No Mess Pt. 1"やParliament(パーラメント)の"Give Up the Funk"、そしてなにかと話題の多いLindsay Lohan(リンジー・ローハン)とレズ関係が噂された歌手のSamantha Ronson(サマンサ・ローソン)が歌う"Pull My Hair Out"とかゴスペルなどが使用されています。

映画のタイトルの「The Woodsman」は木こりや木材関係の労働者のことを指しますが、その他には童話「赤ずきんちゃん」のなかで女の子を助けるあの樵(キコリ)の男のことも意味するという説があるそうです。(オオカミは少女偏愛主義者の象徴では欲望の象徴とか?) 「ザ・ウッドマン」のポスターやDVDのカバー画像にはウォルターが赤いボールを手に持っている写真が使用されています。
ペドファイルとは小児愛者とか幼児虐待犯の意味ですが、世界的に深刻化しているアメリカでは小児猥褻犯や幼女強姦犯たちが刑期を務めた後の精神的健康の回復を目的として収容する施設が存在し、カリフォルニアのCoalinga精神病院などではカウンセリング(性暴力捕食者治療プログラム(SVP))などのリハビリを真面目に受ければ一年もしない内に社会復帰する患者もいるとか。 しかしこのような性癖はそう簡単に治るというものではないらしく一生病院から出られない患者もおり、最終的には去勢しかないともいわれているそうです。 性癖って誰のせいなんでしょう。


日本未公開ですがアメリカで発売された原語版「The Woodsman」DVD
The Woodsman DVDThe Woodsman [Import]
☆ケヴィン・ベーコンの演技が素晴らしいというのに日本はもとよりアメリカでもDVDの販売が尻すぼみで大変残念です。
Walter and Robin - Overcoming evil - in The Woodsman - YouTube


Kevin Bacon in Murder In The First
ケビン・ベーコンは単純に「好き!」とか、「素敵!」というよりも、恐ろしいほどの不思議な魅力を持っている俳優といえます。 悪を演じたら天下逸品、さわやか青年を演じたら? 見ている方がこそばゆくなります。
Christian Slater(クリスチャン・スレイター)が新米の弁護士のJames Stamphill(ジェームス)を演じ、奥さんのキラ・セジウィックが弁護士と監獄を訪れるジャーナリストのBlancheの役で出演したケビン・ベーコン主演の1995年の「告発」は観ましたか? 鳥肌が立つほどおぞましいというかあまりの残虐さに吐き気までもよおします。 ケヴィン・ベーコンの2007年の新作はスピーディな映像の狂った報復劇「Death Sentence(意味は死刑宣告)」です。
「告発」の名演技はそれはそれはすごいのですが、私が好きな映画は1997年に製作されたのにギャラ未払い問題でアメリカでも2000年に公開された映画「Telling Lies in America(17 セブンティーン)」です。日本ではとうとう未公開のままでしたが、この「セブンティーン」でケヴィン・ベーコンが詐欺師だが憎めない人気ディスクジョッキーを演じていますが「セブンティーン」で流れた"Medium Rare"はケヴィンの作品だそうです。 この後「Ally McBeal(アリーmyラブ)」で大ブレイクするCalista Flockhart(キャリスタ・フロックハート)が移民少年の年上のガールフレンド役で出演しています。 この映画で日本同様にハンガリーでも英語の音"THE"という発音がないと知りました。 この「セブンティーン」は「告発」とは違った意味で観るべき作品だと思います。
そしてガラっと変わって、一見バカバカしいと思われる1990年のB級特撮怪獣映画「Tremors(トレマーズ・シリーズ第一作)」のバケモノですらラスト・シーンのケビン・ベーコンの爽やかキスでノックアウト! やってくれます。 ケヴィン、うっうっ、なんてヤツだ! このキスについて書かれた週間シネママガジン


身震いするほど真に迫ったケビン・ベーコンの名演技「告発」のDVD
Murder In The First DVD告発(1995) (ユニバーサル・ザ・ベスト第8弾)
VHSビデオ「告発 (字幕版)」もあります
video戦慄が走る「告発」のトレーラーはMurder In The First Trailer - VideoDetective
但しこの予告編からはアルカトズラ刑務所の不気味さは伝わりません!本編は気分が悪くなるほど残酷。 これが実話だというのだから何とも恐ろしい話しです。
ケヴィン・ベーコンの「告発」の写真が見られるIMDb - Images from Murder in the First (1995)
Christopher Young(クリストファー・ヤング)作曲のクラシック調のテーマ曲などを収録したサウンドトラックのタイトルは「Murder in the First」です。
クリストファー・ヤングが手掛けたサウンドトラックには1996年のHead Above Water(真夏の出来事)、2001年にSwordfish(ソードフィッシュ)やBandits(バンディッツ)などたくさんあります。

惨めな囚人役を見事に演じたケビン・ベーコンがなんと翌年の1996年にはブラッド・ピット が主演した「Sleepers(スリーパーズ)」でロバート・デ・ニーロやダスティン・ホフマンと共演していますが、「告発」での立場が逆転し、囚人の若者達に非道なる仕打ちを与える残忍な看守を演じています。 なんと美少年のBrad Renfro(ブラッド・レンフロー君)が看守のケヴィンにやられちゃうのです。 2004年に「The Phantom Of The Opera(オペラ座の怪人)」を監督したJoel Schumacher(ジョエル・シューマカー)監督の「The Client(依頼人)」で1994年にデビューしたレンフロー君でしたが、それが尾をひいてか(?)実生活で悪い子ちゃんになってしまったとか。


The Bacon Brothers
The Bacon Brothers
Getting There (1999)

ところで、"The Bacon Brothers"というカントリーフォーク・グループをご存知ですか?
ケビン・ベーコンは出演した映画の「Diner(ダイナー)」、「Footloose(フットルース)」、「JFK(JFK)」、「The River Wild(激流)」や「Apollo 13(アポロ13)」でも音楽的素養の片鱗をご披露しています。 The Bacon Brothers(ザ・ベーコン・ブラザース)はケビン・ベーコンと同じくギターとヴォーカルを担当する兄のMichael(マイケル・ベーコン)と共に、故郷のフィラデルフィアなどでチャリティ・コンサートを開催するために1994年に結成したグループだそうです。 ベーコン兄弟は二人とも元々音楽に関わっていて、ケビンは映画の道に進みましたが、兄のマイケルは1970年代のフォークロック時代にレコードもリリースしているそうです。 マイケルは映画音楽の作曲などを手掛けるようになり、ドキュメンタリーの「The Kennedys」における音楽ではエミー賞を受賞したほどの腕前だとか。 1997年の終わりにデビューアルバム「Forosoco」を、2001年には「Can't Complain」をリリースしています。 ベースにはPaul Guzzoneとドラムの Marshal Rosenbergが参加しています。
The Bacon Brothers with Photos - Jersey Girl - YouTube
☆この上なく爽やかで新鮮な"ザ・ベーコン・ブラザース"のオフィシャルサイトはBaconBros.com(右上のプルダウンMENUからMediaを選ぶとビデオが、Castを選べば配役が見られます。)
♪ ベーコンブラザースのJohn's Song John's Song USA iTunes Music Store


Six Degrees of Kevin Bacon: 世界はケビン・ベーコンを中心にしてつながっている!
もう一つところで、貴方はBacon Numbers(ベーコン数)というトリヴィア・ゲームをご存知ですか?
最近話題の書籍に物理学者であるAlbert-László Barabási(アルバート・ラズロ・バラバシ氏)が書いたネットワーク理論でLinked: The New Science of Networks(新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く)(青木 薫 翻訳)という、「ネットワーク」が「キーワード」となった本があるんだそうです。 「ケヴィン・ベーコン・ゲーム」はコンピュータネットワークの接続形態(ネットワーク・トポロジー)を説明するSix Degrees(6段階)が、「ケビン・ベーコン数」として解説されているのだとか。 この理論はあるアメリカのテレビ番組に端を発した人気ゲームで、世界の誰もが6人を経由するまでにケビン・ベーコンにたどりつけるのだそうです。 ☆ベーコン指数が分かるThe Oracle of Bacon at Virginiaで調べてみましょう。(現在はサイト内容が変更になってしまいましたが、メニューのOther stuffプルダウンからBacon Numbersを選択) バカみたいですが私が奥様のカイラ・セルジウィックを入力したらKyra Sedgwick has a Bacon number of 1.(第一段階)でした。
とはいっても私の場合はこの記事を書いた位で辿り着かないみたい。 読んでいないので(難しそう!)詳しく書かれたKanda News Networkを参照して下さい。

2 Comments

Anonymousさん、ご覧になったなんて羨ましいです。 私はこのエントリーをニューヨークタイムズの記事で読んだので書きましたが訂正すべき点があれば教えて下さい。 このような精神状態の人々の存在すら信じられないのですが、単に嫌悪して終わるものではなさそうです。

さっき映画館で見てきました( NZです)。テーマがかなり重いのでコメントは難しいですが、フィルム事体はとてもよかったです。

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