ピーター・ガン Peter Gunn (1958)


Peter Gunn 1958 - 1961
ピーターガンは元祖私立探偵テレビ・シリーズです。 このモノクロのハードボイルド・アクション(フィルム・ノワール)は米国テレビのNBCで1958年から1960年、ラストシーズンはABCで1960年から1961年まで放映されました。 日本では昭和36年(1961年)から全31話が放映された海外ドラマです。 その時代はThe Untouchables(ザ・アンタッチャブル)やPerry Mason(弁護士ペリー・メイスン)などの探偵ものが大はやりでした。
※Film noir(フィルム・ノワール)とはフランス語で"黒い映画"という意味ですが、1940年代後期から1950年代のハリウッド映画の中でも犯罪ものを指すそうです。 1930年代のアメリカの恐慌時代に始まった道徳的にあいまいでセクシーな刺激を強調したハードボイルド映画に端を発しています。

「ピーター・ガン」の主役のPeter Gunn(ピーター・ガン)には、ちょっとCary Grant(ケーリー・グラント)似のCraig Stevens(クレイグ・スティーブンス)で 、ピーター・ガンの助っ人「Lt. Jacoby(ジャコビー警部)」にはHerschel Bernardi(ハーシェル・ベルナルディー)です。

当時はまだ新人だったBlake Edwards(ブレイク・エドワーズ)監督が当時の好感度No.1俳優のCary Grant(ケーリー・グラント又はケイリー・グラント)をモデルに制作したシリーズで、とぼけたセリフや従来の探偵物をおちょくるなどパロディ的要素も多分にあるテレビ番組です。 エドワーズ監督は後に63年のThe Pink Panther(ピンクの豹)でさらなる大成功をおさめコメディの第一人者となりました。
※ちなみにケイリー・グラントはアルフレッド・ヒッチコック監督の1941年のSuspicion(断崖)や1946年のNotorious(汚名)、そして1954年のTo Catch a Thief(泥棒成金)などのミステリ映画に出演する前には、1936年にThe Awful Truth(新婚道中記)や1038年のBringing Up Baby(赤ちゃん教育)といった軽いコメディにも数多く出演して大人気でした。

この洗練されたお洒落な30分もののTVシリーズの主役はダンディでタフでインテリの私立探偵「ピーター・ガン」で、次々と難解な事件を解決していきます。 なんたって殺し屋やヤクザなどの悪党どもと大乱闘の後でもビシッときめたスーツにシワもよりません。

Craig Stevens as Peter Gunn and Lola Albright as Edie HartLola Albright
探偵物語に不可欠な添え物の女性(恋人)といえば、ピーター・ガンではLola Albright(ローラ・オルブライト)が演じるクラブ歌手のEdie Hart(エディ・ハート)です。 「ピーター・ガン」の安らぎの場ともなっている港町Los AngelesのMother's Jazz Clubというナイトクラブで歌手をしています。 事件が解決すると決まってこのバーでクールなジャズを聴いてくつろぐ「ピーター・ガン」です。 セクシーでハスキーなローラ・オルブライトが歌い、ジャズドラマーのShelly Mann(シェリー・マン)が演奏することもありました。
Lola Albright sings in Peter Gunn
日本でもTVシリーズ「はぐれ刑事純情派」で、藤田まことの刑事と眞野あずさのバーのママがそんな風ですね。 ローラ・オルブライトはモデルから歌手になり1940年代後期から映画に出演していましたが、主にB級ウエスタンやTVドラマで活躍していました。 歌手としてローラ・オルブライトはピーターガンの後にヘンリーマンシーニの演奏(ディレクター)で1958年に「Dreamsville」などのLPレコードを出したそうですが1957年にも「Lola Wants You」をリリースしています。(それぞれ2009年と2007年にCD化されています。) 1961年に熟女と十代の若者の恋を描いたAlexander Singer(アレクサンダー・シンガー)監督のA Cold Wind in August(もえつきた夏)で主役の"Iris Hartford"を演じて仮面を付けた妖艶なストリップをご披露している他、1964年には英語のタイトルが"Joy House"というRené Clément(ルネ・クレマン)監督のLes Félins(危険がいっぱい)でJane Fonda(ジェーン・フォンダ)と伯母と姪を演じAlain Delon(アランドロン)と共演しています。 アルゼンチン出身のピアニストであるLalo Schifrin(ラロ・シフリン)が作曲したジャージーなテーマ曲のTheme From Joy Houseが素敵です。
ローラ・オルブライトのストリップが削除されていたら映画ポスター(Cold Wind in August Poster - MovieGoods.com)でそのセクシーな姿態を拝めます。

このピーター・ガン・シリーズの特徴の一つには、ピーターガンが情報を集めるのに必要な何人もの風変わりな連中です。 これは後にMickey Spillane(ミッキー・スピレーン)原作のTVシリーズMike Hammer(私立探偵マイク・ハマー)に見られました。

videoピーター・ガンのビデオ・クリップが観られる!(左の小さいテレビのアイコンWATCH Preview Clip!をクリック)
Peter Gunn 1958 - LikeTelevision

The Jazz Sound From Peter Gunn
ページトップのCD画像は1959年のTVシリーズ「Peter Gunne」のRCA盤の再リリース輸入盤で、Conte Candoli(コンテ・カンドリ)やRed Mitchell(レッド・ミッチェル)が参加してる録音ですが試聴がないので、盤違いですがThe Music from Peter Gunn by Henry Mancini - Barnes & Noble.com

☆現在は映画音楽の巨匠となったHenry Mancini(ヘンリー・マンシーニ)がピーター・ガンの音楽を担当して作曲したPeter Gunn Themeが大評判となり、ここからマンシーニが映画音楽の作曲家としてのスタートを切った次第です。 何といってもマンシーニが各シリーズに合わせてテーマを作曲したことは話題となりました。
※ ヘンリー・マンシーニとブレイク・エドワーズのコンビといえば、ピーター・ガンやピンクの豹以外に有名な映画ではAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)が主演した1961年のBreakfast at Tiffany's(ティファニーで朝食を)や1962年のDays of Wine and Roses(酒とバラの日々)の他、お笑い映画もかないくつかりあります。 その中に1959年から1960年にかけて放映された30分のテレビシリーズでJohn Vivyan(ジョン・ヴィヴヤン)をラッキー氏が演じる"Mr. Lucky(ミスター・ラッキー)"というのがあります。 「ピーター・ガン」の成功にあやかってブレイク・エドワーズが共同監督の一人として名を連ねていますが、オリジナルはCary Grant(ケーリー・グラント)主演の40年代のTVシリーズです。 ミスター・ラッキーはカルフォルニアの沖合いに浮かぶ合法的な船上カジノの経営者で毎回犯罪者に関わります。 モチロン音楽はヘンリー・マンシーニのジャージーな曲です。
ブレイク・エドワーズとマンシーニのの顔写真がカバーになっているCDは「Music from the Films of Blake Edwards (Film Composers' Series, Vol. 4)」です。

60年代の犯罪ものテレビ・シリーズは、私立探偵のピーター・ガンに限らず、1957年の警察シリーズのM-Squad(シカゴ特捜隊M)のテーマ曲M Squad Theme が"Count Basie(カウント.ベイシー)作曲だったり、1960年のアンタッチャブルが"Nelson Riddle(ネルソン.リドル)だったりと大物のミュージシャンが音楽を担当していました。(アンタッチャブルをsoundamerica.comで、シカゴ特捜隊Mはoldies.comで1番を試聴
※「シカゴ特捜隊M」は1957年から1960年にかけて放映されたテレビの警察シリーズでLt. Frank Ballinger(フランク・バリンジャー警部)役でLee Marvin(リー・マービン)が主演した硬派の犯罪ドラマでした。私立探偵物語に登場するような美女も恋も抜きですが、音楽もハードボイルドで50年代のジャズスタイルを取り入れています。

第一回Grammy賞で受賞した「ヘンリー・マンシーニ」作曲のサウンドトラックは各曲がそのアクション・シーンを思い出させます。
The Music from Peter Gunn by Henry ManciniThe Music from Peter Gunn (1958-1961 TV Series)
「ミュージック・フロム"ピーター・ガン"」というタイトルのアルバムもあります。

オリジナルは1959年というウエストコーストのトランペット奏者のConte Candoli(コンテ・カンドリ)が参加したShelly Mann(シェリーマン)の6人編成コンボが演奏するクールなピーター・ガンはいかが?
Shelly Manne & his Men Play Peter Gunn Shelly Manne & his Men Play Peter Gunn

Listenヘンリー・マンシーニのピーター・ガンが聴ける!
Henry Mancini/Peter Gunn 1
Peter Gunn - Don Edrington's Theatrical Music Page(Peter Gunnで検索)
※クインシー・ジョーンズのピーター・ガンやピンクパンサーなどの海外刑事ドラマのテーマ曲を集めた「〈刑事魂 海外編〉Great Cops 海外の刑事ドラマ&ムービー・テーマソング・ベスト」というアルバムもリリースされています。

このPeter Gunn Theme(ピーター・ガンのテーマ)のカバー曲はレイ・チャールズやスティーヴン・スピルバーグも出演した1980年の映画The Blues Brothers(ブルース・ブラザース)で、ブルース兄弟のエルウッドの部屋に向かう時にかかる曲です。

Duane Eddy - Peter Gunn (1959) - YouTube
The Art Of Noise - Peter Gunn (featuring Duane Eddy) LIVE - YouTube
The Art Of Noise - Peter Gunn 1986 - YouTube

50年代のTwangy Guitar(トワンギー・ギター)の名手といわれたDuane Eddy(デュアン・エディ)の代表曲がPeter Gunn(ピーター・ガン)でしたが、カバー・バージョンは他にもいっぱいあり、なかでもビッグバンドのRay Anthony(レイ・アンソニー)楽団によるジャージーな演奏や、元ドラマーのMax Sedgley(マックス・セッジリー)によるSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)の"Remix Peter Gunn"もありますから試聴してみて下さい。
※トワンギー・ギターとはギターのチューニングを半音下げた低音エレキギターのことだそうです。

日本で販売されているピター・ガンのDVD(注 日本国内(リージョン 2)用のDVDプレーヤーでは再生不可)
Peter Gunn DVDPeter Gunn 1 (2pc)

英語の輸入版「Peter Gunn」のDVD
Peter Gunn DVDPeter Gunn, Set 2
☆ピター・ガンの日本語字幕版VHSビデオも国内で見つかります。


Gunn(銃口)
ブレイク・エドワーズ監督は1967年にテレビシリーズをカラーで映画化しました。 主役のピーターガンはテレビと同じくクレイグ・スティーブンスです。 ヘンリー・マンシーニのピーターガンのテーマ曲に急遽Jay LivingstonとRay Evansにより歌詞が付けられ"Dreamsville, Bye, Bye (Peter Gunn Theme)"として使用されました。 それについてはNo Loss for Words: Lyrics to Great Space Age Pop Instrumentals
"Gunn"のRCA Records LP盤サントラ画像が見られるSoundtrack Collector
アメリカのAmazon.comに「Gunn (1967)」というタイトルのDVDが置いてあります。

Sarah Vaughan(サラ・ヴォーン)が歌っている"ピーター・ガン"はその"Bye, Bye"をカバーしたものだそうです。 サラ・ヴォーンの"ピーター・ガン"は2006年頃からHONDAのTVコマーシャルで使用されていますが、アメリカでも2005年あたりにChevrolet Impala(シボレー インパラ)のCMに使用されたそうです。 Every night your line is busy...I'm going bye, bye...と歌われるサラの歌詞はアメリカでも見つからないそうですが、LivingstonとRay Evansによる歌詞の一部はSuperdork.net's Horsepower Blogの"Bye, Bye Lyrics - Chevrolet Impala Adsに記されています。

2005年リリースのVerveコンピレーションアルバムでサラ・ヴォーンのピーターガンを試聴してみて下さい。
Verve Unmixed, Vol. 3 with Sarah Vaughan Peter GunnVerve Unmixed, Vol. 3


Verveレコードの名曲を現代の有名DJなどがプロデュースしたリミックスのサラ・ヴォーンのPeter Gunn Theme(ピーターガン)を収録アルバム
Verve RemixedVerve Remixed, Vol. 3
サラ・ヴォーンのDJ mixは8番
2005年発売の「The Complete Verve Remixed」の試聴はThe Complete Verve Remixed - Barnes & Noble.com


Peter Gunn Music - Henry Mancini - Rádio UOL
The Best Of Henry Mancini, Television´s Greatest Hits Vol.2, Verve Unmixed 3, etc.

3 Comments

いい線いってますが、ジュリー・アンドリュースと結婚したのは、一連の「ピンクの豹」を監督したブレイク・エドワーズ氏です。

「ティファニーで朝食を」、「酒とバラの日」などブレイク・エドワーズの映画の音楽はヘンリー・マンシーニですね。

マンシーニ氏は映画音楽を手掛ける前、ベニーグッドマン楽団でピアニストをしていた時期に違うバンドの歌手と結婚して生涯を共にしたそうですよ。

隣人は違うと言ってます。
けど知らないと。
koukinobaaba様  教えて下さい。

ヘンリー・マンシーニはお洒落でメロディアスな曲が多いのにこう言う曲も作れるのはやはり天才は天才なんですね。
考えれば考えるほどアメリカ映画に音楽は欠かせないと言う事です。
氏の奥方はジュリー・アンドリュース?。
だとしたら家中、音楽だらけ。

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