近寄り難い謎を秘めた、高貴ともいえる美貌の持ち主のAlida Valli(アリダ・バリ又はアリダ・ヴァリ)はクールなイタリアの演技派女優ですが、映画デビューはIngrid Bergman(イングリッド・バーグマン)も出演しているアメリカのサスペンス映画です。 1946年のNotorious(汚名)に続くAlfred Hitchcock(アルフレッド・ヒッチコック)監督の珍しいロマンスが絡んだ法廷劇で、1947年の「The Paradine Case(パラダイン夫人の恋)」です。 夫殺しの罪で法廷に立たされたMrs. Maddalena Anna Paradine(パラダイン夫人)をアリダ・ヴァリが演じ、婦人を弁護しているうちに婦人の魅力の虜になってしまうAnthony Keane(アンソニー)はGregory Peck(グレゴリー・ペック)です。 毎回お楽しみになっているヒッチコック監督のカメオ出演のヒントは駅と楽器のチェロです。
「パラダイン夫人の恋」のトレーラーはThe Paradine Case Trailer - VideoDetective
「パラダイン夫人の恋」の写真がたくさん見られるパラダイン夫人の恋 映画ありき
「パラダイン夫人の恋」の映画パンフレットが見られるパラダイン夫人の恋 懐かしの映画パンフレット
The Paradine Case
ページトップの画像は「パラダイン夫人の恋」の海外版VHSで、下記の画像は2001年版DVDです。 リンク先は入手可能な2008年リリースの日本語字幕版のDVDです。
パラダイン夫人の恋
アルメニア系の俳優であるグレゴリー・ペックが「パラダイン夫人の恋」の前に主演したヒッチコック監督の映画では1945年のSpellbound(白い恐怖)があり、ヒッチコック監督のカメオはエンパイア・ホテルのエレベーターのシーンをご覧下さい。 「白い恐怖」はモノクロ映画ですが最後の拳銃自殺のショットだけ一瞬赤く色付けられているのが印象的です。 グレゴリー・ペックはこの翌年の1947年には「A Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)」を監督したElia Kazan(エリア・カザン)の「Gentleman's Agreement(紳士協定)」でユダヤ人を演じたJohn Garfield(ジョン・ガーフィールド)と共に出演していますが、反ユダヤ主義をテーマにしたドラマで、自らユダヤ人差別を体験することになってしまうライターの話です。 共産党員の名前を出したエリア・カザン監督と赤狩りでハリウッドを追われて亡くなったガーフィールドとが組んでいます。 1986年の「Blue Velvet(ブルーベルベット)」などに出演したDean Stockwell(ディーン・ストックウェル)も子役で出演しました。 映画の音楽はAlfred Newman(アルフレッド・ニューマン)です。 グレゴリー・ペックが出演した大作というとタイトル・デザインをSaul Bass(ソウル・バス)が手掛けた1958年にWilliam Wyle(ウィリアム・ワイラー)が監督した1958年のThe Big Country(大いなる西部)という西部劇があります。 「大いなる西部」ではBaby Doll(ベビイドール)のCarroll Baker(キャロル・ベイカー)も出演しています。
The Third Man
アメリカ映画でデビューした後、イタリア女優のアリダ・ヴァリは1949年に名画座では定番となったイギリスのミステリ映画「The Third Man(第三の男)」に出演します。 Orson Welles(オーソン・ウェルズ)が演じる謎の男"ハリー・ライム"の恋人アンナ役で脚光を浴びます。 Graham Greene(グレアム・グリーン)の原作を映画化した監督のCarol Reed(キャロル・リード)はカンヌ国際映画祭で グランプリを受賞しました。 戦後のウイーンを舞台にハリーの謎の事故死の第三番目の証人を探すべく調査を開始するハリーの友人にはJoseph Cotten(ジョセフ・コットン)です。 恐ろしい秘密を抱えたハリーなのに悪戯っぽい表情が印象に残りました。 アリダ・ヴァリが無表情に去っていくラストシーンは名場面として語り草となっています。
「第三の男」のトレーラーはThe Third Man Trailer - VideoDetective
作家のグレアム・グリーンについて書かれたミステリー・推理小説データベース - aga-search.com
Alida Valli and Joseph Cotten in The Third Man - YouTube
The Third Man DVD
「第三の男」の日本語字幕DVD(白黒ドルビー)
第三の男
DVDは500円DVDや「第三の男」 (ユニバーサル・セレクション2008年第11弾)などもあり。
「第三の男」といえば忘れられないのがAnton Karas(アントン・カラス)のzither(チター)による演奏のテーマ曲です。
有名なアントン・カラスのテーマ曲が聴けるCarol Reed(ビデオ画像のTercer Hombre, Elをクリック)
Senso
アリダ・バリが一番綺麗な映画は「夏の嵐」です。
その後、19世紀イタリアの建築家であり作家のCamillo Boito(カミッロ・ボイト)の短編小説「Senso(官能)」を1954年にイタリアの巨匠と呼ばれるLuchino Visconti(ルキノ・ヴィスコンティ)監督が映画化したイタリア初のカラー映画「Senso(夏の嵐)」にアリダ・バリが主演しています。 アリダ・バリは美貌の敵国の逃亡兵に恋をしたがために母国を裏切ることになる悲劇のヒロイン、狂恋のLa contessa Livia Serpieri(伯爵夫人)を熱演しています。 敵の兵士役には1951年にヒッチコック監督のStrangers on a Train(見知らぬ乗客)で主演したFarley Granger(ファーリー・グレンジャー)です。 1860年代のオーストリアの占領に対するイタリアの反乱未遂が時代背景となっている史実に基づく時代劇(歴史ドラマ)で、「J'Irai Cracher Sur Vos Tom(墓にツバをかけろ)」などに出演したセクシーなChristian Marquand(クリスチャン・マルカン)がデビュー後まもなく出演しています。 劇中ではGiuseppe Verdi(ヴェルディ)の有名な歌劇" Il Trovatore(イル・トロヴァトーレ)"を伝説のオペラ歌手の誉れ高きMaria Callas(マリア・カラス)が歌います。
Senso, 1954, by Luchino Visconti - YouTube
美しいアリダ・バリの伯爵夫人画像が見られるSenso - FILM.TV.IT
※ヴィスコンティ監督の「Senso(夏の嵐)」はアメリカではかなり編集されて「The Wanton Contessa」として上映されましたがヒットせず、ヴィスコンティ作品が話題になった60年代までオリジナルは公開されなかったそうです。
アリダ・バリが美しい「夏の嵐」の日本語字幕DVD
夏の嵐
「夏の嵐」の原語版VHSの「Senso (Sub)」もあります。
Caso Wilma Montesi
アリダ・バリが「夏の嵐」で評判になった後の1954年のこと、アリダ・バリ自身も上流家庭の出でしたが、「La dolce vita(甘い生活)」さながら、麻薬がつきものだったローマのハイソな乱交パーティに関係があった元夫の友人だった恋人の音楽家その他イタリア貴族のご子息などの名が取り沙汰されてイタリアの政界財界を揺るがしたイタリアモデル殺人事件というどえらいスキャンダルが恋人の証人として喚問されたアリダ・バリから女優生命を奪い4年ほどは映画出演はありませんでした。(この時期には離婚していた芸術家の元夫との3P生活もスキャンダルに。)
1957年にMichelangelo Antonioni(ミケランジェロ・アントニオーニ)監督のIl grido(さすらい)でイルマを演じ、1958年にBrigitte Bardot(ブリジッド・バルドー)の「Les Bijoutiers Du Clair De Lune(月夜の宝石)」でベベの叔母を演じた後の1960年には、カンヌ映画祭グランプリ受賞したHenri Colpi(アンリ・コルピ)監督のフランス映画「Une Aussi Longue Absence(かくも長き不在)」に主演しています。
※「かくも長き不在」はかろうじてフランスのUne Aussi Longue Absence - Amazon.frにVHSがおいてありますがカバー画像はありません。
日本では価格が"3万円"のレンタル流れ中古VHSのカバー画像が見られる「かくも長き不在」 あるあるヴィデオドットコム
写真と情報のあるフランスのUne Aussi Longue AbsenceについてはUne Aussi Longue Absence - DvdToile.com
Les Yeux sans visage(The Horror Chamber of Dr. Faustus/EYES WITHOUT A FACE)
私がリアルタイムで観たアリダ・バリの映画はMaurice Jarr(モーリス・ジャール)の音楽が効果的だった1959年のフランス映画「顔のない眼」です。 原作は脚本家のJean Redon(ジャン・ルドン)の空想的な同名小説をポエティックな作品作りのGeorges Franju(ジョルジュ・フランジュ)監督が映画化したこの残忍な新種ホラー映画はかなり怖かったです。 ジョルジュ・フランジュ監督は1949年の屠殺場のドキュメンタリ「Le Sang des betes(Blood of the Beasts/獣の血)」が初期作品です。
幻の「獣の血」について書かれた缶詰の映画
1945年のLes Enfants du Paradis(天井桟敷の人々)で役者のFrédérick Lemaître(フレデリック・ルメートル)を演じたPierre Brasseur(ピエール・ブラッスール)が外科医師を演じ、アリダ・バリは外科医の愛人で助手のLouise(ルイーズ)役で、犠牲になる娘達の誘拐係り及び死体(虫の息)遺棄係りです。 医師の過失から自動車事故を起こし、その結果愛娘が無残な顔になります。 自責の念にかられた狂気の外科医師は愛娘の破壊された顔を修復しようと努力します。 若い娘が次々と手術台に乗せられ、移植のために顔の皮をメスで剥がされるシーンは白黒映画なのに異様にリアルで気絶寸前でした。 被害者の娘の一人を演じたJuliette Mayniel(ジュリエット・メニエル)の恐怖に見開いた「眼」がよけい恐怖を誘いましたが、この映画で広く世に知られるところとなったMaurice Jarre(モーリス・ジャール)の音楽が効果をあげています。
ジュリエット・メニエルが恐怖におののく写真はMad Scientist Seeks Flesh for Fantasy in French Scare Classic
「顔のない眼」がデビューだったEdith Scob(エディット・スコブ)が演じた医師の娘のChristiane(クリスティアーヌ)は眼だけを繰り抜いた白い石膏マスク、まるで少女版ジェイソンのような仮面を付けてお人形のように屋敷を徘徊します。 このクリスティアーヌお嬢様が着ていた白いナイトガウンはパリのGivenchy(ジバンシー)がデザインしたそうです。 ジバンシーは1952年にの会社設立以来、1954年のAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)主演の「Sabrina(麗しのサブリナ)」の衣装を担当したのを始め多くの映画の衣裳を手掛けています。 ジバンシーとヘップバーンの写真が見られるPrincecc Monkey
「顔のない眼」の写真が見られるAPL 顔のない眼
アリダ・バリとクリスティアーヌの写真が見られるThe Act of Seeing with One's Own Eyes: A Look at Ivan Zulueta's 'Lost' Cult Film(visageで検索)とか、死体遺棄場面もあるEyes Without a Face - Daily Gusto
エディット・スコブの素顔はEdith Scob - Oczy bez twarzy - FILMWEB
Eyes Without a Face (1960) - Les Yeux sans Visage Trailer - YouTube
上の画像は「顔のない眼」の海外版VHSですが、下記は日本語字幕版DVDです。
顔のない眼
アリダ・バリは若い映画ファンにはイタリアのホラー映画、1977年の音楽が怖すぎる「Suspiria(サスペリア)」や1996年の「サスペリア2000」で知られているかも知れませんね。 ちょっと「ローズマリーの赤ちゃん」に似たシーンもある「サスペリア」は一人では観られません。
魔女の潜むバレー学校の恐怖!サスペリアの写真が見られるSuspiria - FILM.TV.IT
Alida Valli - YouTube
アリダ・バリのフィルモグラフィの写真が見られるAlida Valli Filmography - DvdToile.com
2006年4月25日のアリダ・バリの訃報記事 - DvdToile(Alidaで検索)
アルフレッド・ヒッチコック監督の作品についてはAudio-Visual Trivia 内のVertigo(アルフレッド・ヒッチコックの<めまい>)




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