L'arbre de Noël (1968)
クリスマス・ツリー
英語のタイトルは"Christmas Tree"でビデオのタイトルが"When Wolves Cry"というフランス映画で、Michel Bataille(ミシェル・バタイユ)の原作をTerence Young(テレンス・ヤング)が脚本及び監督して映画化した美しくも悲しいホームドラマです。 テレンス・ヤングは1960年にジェーン・マンスフィールド主演のToo Hot to Handle(地獄の罠)、1963年に"From Russia with Love(007 ロシアより愛をこめて)"、1971年に"Soleil Rouge(レッド・サン)"などを監督している上海生まれの英国人です。
アメリカの俳優のWilliam Holden(ウィリアム・ホールデン)が珍しくホームドラマで父親役を演じていて、ガールフレンド役はイタリア女優のVirna Lisi(ヴィルナ・リージ)です。 クリスマスを題材にしてはいますが幻想的なファンタジーで、現実的な核実験をテーマに反核メッセージを含んでいるようです。
放射能を浴びたことにより白血病に犯された余命幾許もない少年の願いは、"オオカミが欲しい"と"クリスマスまで生きていたい"でした。 妻には先立たれた父親ですが今は最愛の息子を失おうとしています。 もう富も名声も無用のももとなり、息子が宣告された最後の日まで子供の願いを全て叶えよう奔走します。 パリの動物園から盗み出した一組のオオカミがクリスマス・イヴに天に召された不治の病の子供に寄り添っていたとはまさしく"ファンタジー"です。
映画「クリスマス・ツリー」では毎年の恒例で避暑として訪れた小島の沖合いで核搭載軍用機が空中爆破したためボート上で被爆した少年という設定ですが、父親は海中にいたので無事だったとは実に"ファンタジー"です。
日本では第二次世界大戦の広島と長崎の悲劇も覚めやらぬ1954年のこと、戦後にアメリカが占領したマーシャル諸島のビキニ環礁で水爆実験が行われました。 当時危険水域外で操業していたにも関わらず米国側の水爆威力の計算ミスから日本のマグロ漁船「第五福竜丸」をはじめ多くの漁船が"死の灰"を浴びました。 第五福竜丸の乗組員全員が被爆し無線長の久保山愛吉さんが亡くなったのです。 当時テレビのニュースで搬送される痛ましい久保山さんを見た私にとって被爆を大変身近に感じた映像でした。 この事件により放射能を浴びた"原爆マグロ"は当時の話題となり、さらに反核運動が広がっていったのでした。 この事実は1959年にAlain Resnais(アラン・レネ)が監督した「二十四時間の情事/ヒロシマモナムール(Hiroshima mon amour)」でも描写されています。(岡田英次とエマニュエル・リヴァが出演した「二十四時間の情事」のDVDは2009年に発売のASIN: B001O8OR7Yがあり。)
The Christmas Tree (L'arbre de Noël) VHS
画像は「The Christmas Tree」というタイトルの輸入版VHSビデオです。
映画「クリスマス・ツリー」はトレーラーはもとより、映画情報も余り多くはありませんが登場人物の写真と各俳優が出演した映画のDVD画像も見られるフランス語のサイトL'arbre de Noel - CinEmotions.com(クリックで画像拡大可)
1968年にスカラ座で公開された「クリスマス・ツリー」の映画ポスターが見られるクリスマス・ツリー ぱんふれっと・コレクション
Amazon.comには「Christmas Tree (aka - When Wolves Cry)」というNTSCフォーマットのビデオがあるそうです。
※「クリスマス・ツリー」のフランス語のタイトル"L'arbre de Noel"ですがその"Noel"とはクリスマスのことです。 "Noel"といえば2005年に第一次世界大戦時のクリスマスイヴに起きた実話をもとにしたChristian Carion(クリスチャン・カリオン)監督のJoyeux Noël(戦場のアリア)というヨーロッパ映画がありました。
L'arbre de Noel Soundtrack by Georges Auric
「クリスマス・ツリー」の音楽は1953年の「Roman Holiday(ローマの休日)」をはじめ、たくさんの映画音楽を手掛けてきたフランスのGeorges Auric(ジョルジュ・オーリック)が作曲した最後の作品ですが、ギタリストのNarciso Yepes(ナルシソ・イエペス)が演奏するRomance des Jeux Interdits(禁じられた遊びのテーマ)が使用されています。 この曲は1941年のRita Hayworth(リタ・ヘイワース)主演の映画「Blood and Sand(血と砂)」でも使用されているVicente Gómez(ヴィンセンテ・ゴメス)が書いた"Romance de amor"をイエペスがアレンジしたらしいです。 可愛いBrigitte Fossey(ブリジット・フォッセー)とGeorges Poujouly(ジョルジュ・プージュリー)が主演したRene Clement(ルネ・クレマン)監督の1951年の「Jeux interdits(禁じられた遊び)」もやはり反戦のメッセージを静かに伝えた映画でした。
"禁じられた遊びのテーマ"は初心者用ギター教本には必ず入っているほど良く知られたスペイン民謡ですがクラシックギターのナルシソ・イエペスが演奏する"Romance des Jeux Interdits"が聴けて譜面も見られるRomance - LTS Guitar - MusicItsGuitar.com(ページ一番下のRomance - performed by Yepesをクリック、私の場合はなぜかWindowsMediaPlayerが開かないのでRealPlayerのファイル>開く>ファイルURLを入力して聴きました。)
ジョルジュ・オーリックが手掛けた映画音楽には1949年のJean Cocteau(ジャン・コクトー)のOrphee(オルフェ)(1949) 、ジーナ・ロロブリジーダが出演した「夜ごとの美女」や「ノートルダムのせむし男」 、フランソワーズ・サガンの小説の映画化だった悲しみよこんにちは、ブリジッド・バルドーの「月夜の宝石」などたくさんあります。
Golden Boy: The Untold Story of William Holden and Complete Films of William Holden
☆上記の画像は初版が1983年にBob Thomas(ボブ・トーマス)が著した英語のハードカバー本「Golden Boy: The Untold Story of William Holden」と1986年に出版されたLawrence J. Quirk(ローレンス・カーク)著の「Complete Films of William Holden」で1974年版は「The Films of William Holden」です。 ゴールデン・ボーイと呼ばれたウィリアム・ホールデンの銀幕でのスター像と、晩年はヘビースモーカーのため肺がんという病魔に侵され、1960年代の酒酔い運転の人身事故がよけいアルコールの依存に発破をかけた人生失格者の両面を描いた伝記的な出版物だそうです。
William Holden (1918 - 1981)
「クリスマス・ツリー」で主演したウィリアム・ホールデンは長い下積み生活の後、1950年にハリウッドの内情を描いたミステリー「Sunset Blvd.(サンセット大通り)」で"若いツバメ"生活を送る売れない脚本家を演じアカデミーの主演候補なりました。 「サンセット大通り」は元監督元夫で現執事を演じたErich von Stroheim(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)が1929年に監督したサイレント映画「Queen Kelly(クィーン・ケリー)」のパロディみたいでした。 ウィリアム・ホールデンは1952年にI Love Lucy(アイ・ラブ・ルーシー!)のシーズン2にも登場したようにコメディやロマンス映画から戦争映画まで多岐にわたるジャンルを天性の器用さで軽々と演じたハリウッド俳優でした。
Bill Holden in I Love Lucy - YouTube
この後も1953年の「Stalag 17(第十七捕虜収容所)」で主演賞を受賞した他、Green Mansions(緑の館)のAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)と1954年の「Sabrina(麗しのサブリナ)」やVictor Young(ヴィクター・ヤング)が音楽を手掛け、Going Hollywood(虹の都へ)のBing Crosby(ビング・クロスビー)がアカデミーの主演男優賞にノミネートされGrace Kelly(グレイス・ケリー)が主演女優賞をを獲得した「The Country Girl(喝采)」で舞台脚本家を演じました。 1955年には「Love Is a Many-Splendored Thing(慕情)」やキム・ノヴァクと「Picnic(ピクニック)」、1957年の「The Bridge on the River Kwai(戦争に架ける橋)」と好演が続き、大物ハリウッドスターとして邁進しました。 ウィリアム・ホールデンは「第十七捕虜収容所」と同じ年の1953年に「Les Menteurs(激しい夜)」のDawn Addams(ドーン・アダムス)と「Bonjour Tristesse(悲しみよこんにちは)」のDavid Niven(デヴィッド・ニーヴン)が恋愛好きな親子の役で出演した「The Moon is Blue(月蒼くして)」があります。 「第十七捕虜収容所」と同じくOtto Preminger(オットー・プレミンジャー)が監督した軽いラブコメではウィリアム・ホールデンはセクシーな女と純真な女の狭間で悩む建築家の役です。
William Holden in The Moon is Blue - YouTube
まどろむような魅力的な目に割れたアゴの端正なマスクとセクシーなマッチョ・ボディで人気がありましたが、後年は年相応にロマンスグレー役に転じ、渋い演技をみせて活躍していました。 共演したオードリー・ヘプバーンやグレイス・ケリーなどとも浮名を流したホールデンでしたが1962年に「Lion(ライオン)」で共演した美人女優のCapucine(キャプシーヌ)との不倫により離婚に至ったそうです。 その後ウィリアム・ホールデンが63歳で亡くなるまではずっとアフリカの野生保護活動を女優のStefanie Powers(ステファニー・パワーズ)と交際を続けていたとか。 キャプシーヌはデヴィッド・ニーヴンも出演した「ピンクの豹」でクルーゾー警部の妻を演じたり、「レッド・サン」では娼婦館のマダムを演じていました。
※ちなみに「戦争にかける橋」では連合軍に爆破された木製のクウェー川鉄橋は戦後に修復されて鉄製になったそうです。
私が好きなウィリアム・ホールデンの映画
1950年 Sunset Blvd.(サンセット大通り)
「サンセット大通り」は「Breakfast at Tiffany's(ティファニーで朝食を)」でAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)も手にしていたようなシガレットホルダーを手にしたGloria Swanson(グロリア・スワンソン)とErich von Stroheim(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)の異色キャストが出演したBilly Wilder(ビリー・ワイルダー)の話題作で、Montgomery Clift(モンゴメリー・クリフト)の代わりにウィリアム・ホールデンが作家役を演じて初のアカデミーの主演候補となり注目を浴びた作品です。 最初のシーンは豪邸の女主人の愛人(ホールデン)がプールに浮かぶ溺死死体シーンで度肝を抜きますが、その後のストーリーはその売れない脚本家を演じるウィリアム・ホールデンのナレーションで展開します。アダムスファミリーのモーレシアみたいなグロリア・スワンソンが演じる昔大女優のラストシーンは鬼気迫る演技でアカデミーの主演女優賞にノミネートされました。 ビリー・ワイルダー監督といえば初めて劇場で観た映画が1959年の「お熱いのがお好き」でした。
1954年 Sabrina(麗しのサブリナ)
この作品は「サンセット大通り」や「お熱いのがお好き」のビリー・ワイルダーが監督したロマコメですが、ウィリアム・ホールデンが演じたブルジョワのプレイボーイ役は「サンセット大通り」ほどはインパクトはありません。 Audrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)やHumphrey Bogart(ハンフリー・ボガート)と共演したウィリアム・ホールデンが演じるハンサムなお屋敷の坊ちゃんはオードリー・ヘプバーンが演じるお抱え運転手の娘の憧れの君だったのです。
オードリーにお熱になったウィリアム・ホールデンはこの作品の後、1963年にもリチャード・クワイン監督のParis - When It Sizzles(パリで一緒に)でオードリー・ヘプバーンと共演していますが、Mel Ferrer(メル・ファーラー)と婚姻中のオードリーはその気が全く無かったそうです。
1954年 The Country Girl(喝采)
1947年に三十四丁目の奇蹟を監督したGeorge Seaton(ジョージ・シートン)のヒューマンドラマです。 1954年にホワイト・クリスマスに出演したBing Crosby(ビング・クロスビー)が自分の過ちから子供を亡くした俳優を演じ、ウィリアム・ホールデンは失意の彼をカムバックさせる演出家です。 後にモナコ王妃になったGrace Kelly(グレイス・ケリー)が今までのお嬢様役から脱皮した演技でアカデミー主演女優賞を獲得した作品です。 私が観た映画の中では同年1954年のAlfred Hitchcock(ヒッチコック)監督の「Rear Window(裏窓)」や「To Catch a Thief(泥棒成金)」と1956年の「High Society(上流社会)」などグレイス・ケリーが美しかった頂点でしょう。
音楽は1945年のLove Letters(ラヴレター)や1952年のアカデミー受賞映画の「地上最大のショウ」など多くの映画音楽を手がけたVictor Young(ヴィクター・ヤング)です。 「喝采」では主役のビング・クロスビーがHarold ArlenとIra Gershwinの曲を数曲歌ったとIMDbのデータベースに書いてありましたが私は覚えていません。
1955年 Love Is a Many-Splendored Thing(慕情)
終戦後の香港を舞台にした悲恋物語で、この映画でもマッチョなウィリアム・ホールデンはJennifer Jones(ジェニファー・ジョーンズ)と共演して映画史上忘れえぬラヴシーンを演じています。 「慕情」ではエキゾチックなチャイナドレス(支那服)姿で中国人の混血女医を演じたジェニファー・ジョーンズは1945年の"Love Letters(ラヴレター)"や1953年のStazione Termini(終着駅)」などのロマンス映画で名を馳せ、セレブご用達のHarry Winston(ハリー・ウィンストン)を最初に身に着けた女優とも言われました。
Jennifer Jones and William Holden in Love Is a Many-Splendored Thing (慕情) - YouTube
「慕情」では映画音楽の巨匠と呼ばれる"Alfred Newman(アルフレッド・ニューマン)"が音楽を担当しましたが、1954年にDoris Dayドリス・デイが歌った"Secret Love"でオスカーを受賞したSammy Fain(サミー・フェイン)が作曲し、長年のコラボレーターであるPaul Francis Webster(ポール・フランシス・ウェブスター)作詞したテーマ曲"慕情(恋ははかなく、恋はすばらしきもの)"が大ヒットしてこちらもオスカーを受賞しました。
"慕情"はNat King Cole(ナット・キング・コール)やAndy Williams(アンディ・ウィリアムス)など多くの歌手が歌って人気の曲ですが極めつけはClifford Brown & Max Roach Quintet(クリフォード・ブラウンとマックス・ローチ)の演奏があります。 トランペットのClifford Brown(クリフォード・ブラウン)の1956年の録音で"Love Is a Many Splendored Thing"が収録されているのはAt Basin Streetでテナー・サックス奏者のSonny Rollins(ソニー・ロリンズ)のデビュー盤です。(試聴はClifford Brown At Basin Street - Amazon.com)
1955年 Picnic(ピクニック)
マッチョなウィリアム・ホールデンの最たるはめまいのキム・ノヴァクと共演した「ピクニック」での流れ者役です。 当時37歳とはいえムンムンするほどセックス・アピールがあり、二人で"Moonglow"の曲に合わせて踊るピクニックのシーンの特にダンスの動きが止まる瞬間のポーズはこちらの胸も止まりそうにセクシーでした。 このシーンのために高額な追加ギャラを要求していやいや承諾したダンスとは思えません。 実際、ウィリアム・ホールデンのダンスは「9月になれば」のロック・ハドソンのダンスよりいけてますね。(Dancing Rock Hudson)
William Holden and Kim Novak (from Picnic, 1955) - YouTube
キム・ノヴァクが演じたMadge(マッジ)はキムが「媚薬」で共演したJanice Rule(ジャニス・ルール)が主演した1953年のブロードウェイ喜劇"Picnick"でのMadge Owensがモデルだそうです。 常日頃「美しい!」と言われうんざりしていたマッジは野性的な流れ者の魅力に惹きつけられます。 「分かってるだろ、お前は俺を愛してるんだ!」と叫んで列車に飛び乗って去った流れ者を追うマッジでした。
当時は敬遠されていたという胸毛を剃った上半身ムキムキのウィリアム・ホールデンが観られるピクニックのトレーラーはPicnic Trailer - VideoDetective.
Picnic: Music From The Soundtrack Of The Columbia Picture
「ピクニック」の音楽はGeorge Duning(ジョージ・ダニング)ですが、Moonglow And Theme From "Picnic"(ムーングロー/ピクニックのテーマ)はMorris Stoloff(モリス・ストロフ)が演奏して1956年に大ヒットしています。
ホールデンのマッチョぶりを強調したカバーの特典付き2006年版ピクニック [DVD]あり。
Morris Stoloff - Moonglow (1956)
どうです? Jayne Mansfield(ジェーン・マンスフィールド)並にお腹をへっこましたウィリアム・ホールデンのマッチョぶりは。
1956年 The Proud and Profane(誇りと冒涜)
「喝采」のGeorge Seaton(ジョージ・シートン)監督がLucy Herndon Crockett(ルーシー・ハーンドン・クロケット)の世界大戦をテーマにした小説「The Magnificent Bastards」を映画化しVirgin Islands(ヴァージン諸島)で撮影されたという1943年の南太平洋を舞台にした白黒の戦争映画です。 ウィリアム・ホールデンは「誇りと冒涜」ではノミネートだけで受賞できない最多記録保持者のスコットランド出身の女優Deborah Kerr(デボラ・カー)とThelma Ritter(セルマ・リッター)と共演しました。 ウィリアム・ホールデンが演じる海兵隊のコリン大佐は母親がモンタナのインディアンであるという設定なのでちょっと色黒で口髭を生やし苦虫を噛み潰したような顔、おまけにGI刈りなのでいつものウィリアム・ホールデンとは大いに違って見えますし、ストーリーでは往来で物乞いをしていた混血児というハンディを乗り越えて海兵隊でたたき上げて昇進してきたので、赤十字をお涙頂戴ものとさげすみ、good Samaritan law(善きサマリア人の法)にも否定的な冷たいハードボイルドな性格となっています。 ウィリアム・ホールデンが演じる大佐は亡き夫の戦地"Guadalcanal(ガダルカナル)"に近いフランス領ニューカレドニアの米軍基地Noumeaに赤十字看護婦として赴任してきたデボラ・カーが演じる未亡人の水着姿に目が眩み、生前の婦人の夫を知っていると誘って近づきデートを重ねて果てには結婚することになりました。 心底では亡き夫を想っていた未亡人も異質な大佐の魅力に惹かれてしまい待てない事情もあっての結婚でしたが、なんと国に大佐のせいで酒に溺れた妻が存在していたのでした。 しかしそれを意図せぬ傷兵から聞き知った時には既に遅し、妊娠してしまった未亡人が絶望の挙句の崖から飛び降りるのを阻止しようとした大佐との小競り合いから頭を打ち流産もしてしまうという悲劇が怒ります。
forGive me... forGive me... 愛とは奪うことではなく与えることなり。 I Can't wait...
ロマンティックな音楽は「クリスマス・ツリー」同様にVictor Young(ヴィクター・ヤング)です。
「誇りと冒涜」の公開当時のアメリカではまだ人種差別が映画にも影響を及ぼしていたので、その名もコリン・ブラックという登場人物の肌の色が違う者の恋愛及び結婚と婚前交渉を扱っているためにホールデンの口髭問題どころではないモラル的な懸念が生まれてプロデューサーもすぐには見つからなかったという問題作でした。 「誇りと冒涜」はこれだけの大物俳優が出演しているのに内容が重かったからかDVDはおろかVHSも見つかりません。
まじまじと見てもやっぱりウィリアム・ホールデンには見えない「誇りと冒涜」に出演した軍服姿のウィリアム・ホールデンでした。
※ガダルカナルとは1940年代初期の太平洋戦争で日本軍と連合軍が闘ったニュージーランドの東のソロモン諸島の島ですから、William Frederick Halsey, Jr.(ウィリアム・ハルゼー)のスローガンのように"Kill Jap!"とまでは言っていませんがウィリアム・ホールデンのセリフにもJap(日本)が登場します。(数々の武勇伝を残した日本の1943年のガダルカナル撤退をもって第二次世界大戦の戦局悪化)
1960年 The World of Suzie Wong(スージー・ウォンの世界)
"蘇絲黃的世界"は媚薬や「女房の殺し方教えます」のRichard Quine(リチャード・クワイン)が監督したラヴストーリーで、1958年に「Ice-Cold in Alex(恐怖の砂)」に出演した金髪の英国女優のSylvia Syms(シルヴィア・シムズ)もロバートに一目惚れした銀行家の娘のKay O'Neill役で出演しています。 香港出身のNancy Kwan(ナンシー・クワン)をヒロインに、「慕情」と同じく香港を舞台にしていますが少々趣の違う作品で、貫禄のある演技を見せたウィリアム・ホールデンが演じるのは画家ですが、劇場でウィリアム・ホールデンを観た時に「急に老けたな。」と感じました。(もっとも相手役がとびっきり若いスージー・ウォン。) ウィリアム・ホールデンが演じるロバートは設計の仕事に飽きて今度は画家に転向して新境地を開こうと香港に旅立ちます。 偶然宿泊した売春宿で実業家の娘と思った中国美人のスージー・ウォンと再会しモデルとして雇うのですが当然のように恋に落ちます。 スージー・ウォンは売れっ子の売春婦でしたが、独占欲にかられた貧乏画家は売春婦のスージー・ウォンの私生児を容認するも見受けは出来ずに悲劇が訪れます。 驚くことには、実際には客の粗暴な水兵に殴られた蘇西黄(スージー・ウォン)が唇をわざと噛んで血をもっと出し、それを恋人の画家のせいにして仲間に見せて自慢するシーンです。 実際に香港がそうなのかは不明ですが、"嫉妬した彼氏に殴られると愛されている証拠"だという風習です。 私は公開当時に映画館で観たのですがあまりぐっとくるものはなかった映画でしたが、ナンシー・クワンの美貌と香港の街の描写がエキゾチックでした。 ナンシー・クワンは「スージー・ウォンの世界」の翌年、1961年にMiyoshi Umeki(ミヨシ梅木)も出演したFlower Drum Song(フラワー・ドラム・ソング)にも出演しました。
☆ナンシー・クワンの關南施 チャイナドレス画像
William Holden (from The World of Suzie Wong (1960) - Youtube
音楽は「ピクニック」のGeorge Duning(ジョージ・ダニング)でタイトル曲以外に扇情的なSuzie Wong BluesやSuzie Wong Mamboなどストーリーを追った選曲です。
評判の良いサウンドトラックはThe World of Suzie Wong [Original Soundtrack]
サントラ画像と何曲かの試聴はWorld of Suzie Wong [Soundtrack] - Amazon.com
Virna Lisi
「クリスマス・ツリー」で女友達を演じたヴィルナ・リージの写真や情報はネット上では少ないですが、唇端の艶ほくろが色っぽい金髪のイタリア女優です。 1962年に死刑台のエレベーターのJeanne Moreau(ジャンヌ・モロー)と共演した ジョセフ・ロージー監督の「EVA(エヴァの匂い)」やアラン・ドロンと共演した1963年の「La tulipe noire(黒いチューリップ)」で日本でも知られるようになりました。
How to Murder Your Wife
ヴィルナ・リージの代表作は"女房の殺し方教えます"! 1965年にRichard Quine(リチャード・クワイン)監督のコメディ映画でJack Lemmon(ジャック・レモン)と共演したヴィルナ・リージは国際スターとなりましたが、このようなセクシーブロンド役しか与えなかったハリウッドには失望してイタリアに戻り、シリアスな映画に出演したそうです。 よって予定されていたSF映画の「Barbarella(バーバレラ)」は最近ではMonster in law(ウエディング宣言)でカムバックとうたわれたJane Fonda(ジェーン・フォンダ)が演じたのだとか。 30数年後の1994年、その仕返しのようにLA REINE MARGOT(Queen Margot/王妃マルゴ)では誰もがやりたくないような醜く淫乱の悪名高きCatherine of Medici(メディチ家のカトリーヌ王妃)を演じて カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞しています。 王妃マルゴはアンリ四世と結婚したにも拘わらず実の兄弟を含み多くの浮名を流し、産まず女ゆえに王とは離婚しましたが最後には幽閉されたそうです。
How to Murder Your Wife (VHS)
ジャック・レモンが演じる完璧に楽しい生活を送っていた独身貴族の漫画家が友人のバチェラーバーティでヴィーナスの誕生もどきに出現したセクシーなパーティガールに一目ぼれします。 酔っ払ってしまった漫画家が朝目覚めると隣に寝ていたのがその英語オンチのイタリア女でした。 なんと結婚指輪をはめているではありませんか! 結婚してしまったものの元の気楽な生活をどうやって取り戻すか? そうです、殺す! 女房を殺すしかない! 連作漫画でその筋を描いているうちにそれを見た女房がビックリギョウテンして逃げ出してしまうのです。 姿を消した女房の行方はいずこ? 当然漫画家に嫌疑がかけられてしまいます。 裁判での証拠は、あの連載漫画です。
☆ヴィルナ・リージのパーティガール画像
お熱いのがお好き」や「アパートの鍵貸します」でジャック・レモンのファンになった私にはヴィルナ・リージのセクシーぶり以外は"なんじゃ、こりゃ!"の映画でした。
※音楽は60年代から70年代に映画音楽でも活躍したジャズ・トランペッターで編曲及び作曲者のNeal Hefti(ニール・ヘフティ)です。 TVシリーズで1967年のエピソード5のBatman Theme(バットマン)の作曲でも有名なニール・ヘフティは50年代にCount Basie's New Testament(カウント・ベイシー楽団)のアレンジャーを務め、私の好きなLil' Darlin'の作曲者でもあります。 当時リリースされたNeal Hefti & Lil Mattisが演奏するLP盤サウンドトラック(United Artists UAS 5119)は現在は中古しかありません。
女性コーラスとニール・ヘフティが演奏する「女房の殺し方教えます」のテーマが聴けるwfmuラジオのハロウィーンなど怖い音楽を集めたPlaylist for Fatty Jubbo - October 5, 2006(Listen to this show in RealAudioをクリック、クリップ・ポジション(再生バー)を37:48に移動)
DVDは女房の殺し方教えます [スタジオ・クラシック・シリシーズ]
ヴィルナ・リージは1964年にMarcello Mastroianni(マルチェロ・マストロヤンニ)と共演したCasanova '70(カサノヴァ'70)の後、1965年にジーナ・ロロブリジーダが出演したBambole!(バンボーレ)で主演級となりました。 1970年には再びマルチェロ・マストロヤンニとGiochi particolari (特別な遊び~揺れる女)で共演した他、異色作「Un Beau Monstre(雨のエトランゼ)」では前妻を自殺に追いやった精神を病んでいる男の妻をヴィルナ・リージが演じ、過去にあった事件が新妻の身に起こらないようにと奮闘する刑事役のCharles Aznavour(シャルル・アズナヴール)と共演しています。 1972年の「Ludwig Beck(ルードウィヒ/神々の黄昏)」のHelmut Berger(ヘルムート・バーガー)が主演した異色作の「雨のエトランゼ」は英語タイトルが"Love Me Strangely"というそうで、それもそのはず、売春婦、ホモ、変態、バイセクシュアルもテーマにして当時ではショッキングな内容だったそうです。 ヴィルナ・リージはシャルル・アズナヴールとは1969年にも犯罪映画の「Le Temps des loups(aka Carbon Copy 狼の賭け)」でも共演しています。
「雨のエトランゼ」の音楽はGeorges Garvarentz(ジョルジュ・ガルヴァランツ)でテーマ曲(主題歌)は1975年にB面が"Daydream"というシングルEP盤がリリースされたようですが、現在はWallace Collection(ウォーレス・コレクション)の"Stay"という曲らしいです。
Laughing Cavalierに収録されています。
試聴はLaughing Cavalier [Import]~ Wallace Collection - Amazon.frで15番です。
新情報! 「My Way Of Living You(雨のエトランゼ~愛の運命])」という曲がアルバム"トゥイスト・アゲイン・オ・シネ・プール・ル・ジャポン" Twist Again au Cine, Vol. 2(Amazon.comにも試聴なし)に収録されているそうです。(フランス映画 オムニバス サウンドトラック - SoundTrackParadise.comを参照。)
どんどん脱線していますが、フランスのLP盤でGeorges Garvarentz(ジョルジュ・ガルヴァランツ)演奏の"Haschisch Party(ハッシシ・パーティ)"というサイケ・ファンクの曲は中古レコード屋で見つかるかもしれません。
♪ Haschisch Party by Georges Garvarentz From the album: The Essential Little Richardon on Monica's WFMU Playlist December 15, 2000(Hear the show!をクリック、クリップ・ポジション(再生バー)を1:46:24に移動)
「雨のエトランゼ」について書かれたUn Beau Monstre - Salon for Helmut Berger
※フランス語ではLes Poupéesというイタリア映画の「バンボーレ」のポスター画像がみられるBambole! - DvdToile.com(キャスト名をクリックすると写真が見られます。)
フランス語ですが"L'arbre de Noel"を含むヴィルナ・リージの出演映画のDVD画像が見られるVirna Lisi - CinEmotions.com
イタリア語ですがヴィルナ・リージの写真とバイオが見られるC.A.I.R. - CATALOGO AUTOGRAFI IN VENDITA
スペイン語ですがヴィルナ・リージの写真付きバイオが書かれたVirna Lisi - ElCriticón



kageroさん、監督が亡くなった場所はコートダジュールだったそうですがイギリス人であり、出演した俳優はアメリカ人、女優はイタリア人という国際色豊かなキャストです。原作者がフランス人だからというわけではないでしょうが小説通りにフランスで撮影された映画なんですね。
現在「クリスマス・ツリー」のDVDは発売されていないのでテレビの名画座で放映しない限りは観られないのが残念です。
ふと思い出し検索
クリスマスツリーの映画情報発見で感動してます。
題名もなんとなくしか分からなかったのですが、あっていたのにも自分で感動^^
当時泣いた記憶が蘇りました。
ぜひもう一度みてみたい映画です。
フランス映画だとは思いませんでした。
anupamさん、いったい、anupamさんが観ていない映画というのがあるのでしょうか。まあ、一ヶ月に3件くらいの記事を書く私と毎日のようにアップされているanupamさんを比べるわけにはいかないですよね。
失礼な言い方かもしれませんが、anupamさんの読者はブログそのものより「anupam」さん自身のファンだと思いますよ。竹を割ったような、あるいは江戸っ子のような歯切れの良さが魅力のブログですね。これからも「タンカ」きってください。
この映画は劇場公開時に観ましたし、原作も持っていました。少年の母親の死んだいきさつも書かれていました。
彼女は日焼けとダイエットに命をかけており、いつも沖合いにボートを浮かべ日焼けの努力を怠らなかった・・ある日、主人を失ったボートのみが海岸に打ち上げられた・・とありました。
奥さんも海で、息子も海での事故で失う・・数奇な運命だな~~
ウィリアム・ホールデンは「パリで一緒に」の撮影時、オードリーに恋をしてふられ、酒びたりだったらしい。あるちゅ~はいま~・・ですな
NOVA さん、同感です。映画の聴き取りは唯でさえ難しいのに70年代になって複雑なストーリーとセリフで字幕だのみです。歌もスイング時代はたわいもない歌詞で覚えるのも楽でしたが、ロック以降はスラング混じりの早いテンポの曲が多くてこれまたお手上げです。英語圏の方でも何度も聞いて聴き取ったと言っているのをネットで見かけました。
懐かしい名前ですね。この当時の映画は英語の聞き取りをするにはうってつけだそうです。マイクも今のように高性能ではなかったので、俳優さんも大きな声でゆっくりとせりふをしゃべったのだそうです。この冬休みに見る映画としては最適かもしれません。毎日、どこかのチャンネルでクリスマス映画をやってますよ。