March 2008 Archives



Roman Polanski's Chinetown (1974)
「チャイナタウン」はRoman Polanski(ロマン・ポランスキー)が監督したフィルムノワールです。 フィルム・ノワールとはフランス語で"黒い映画"という意味ですが、1940年代後期から1950年代のハリウッド映画の中でも犯罪ものを指します。 1930年代のアメリカの恐慌時代に始まった道徳的には如何わしくてセクシーな刺激を強調したハードボイルド映画に端を発しているそうです。
アメリカでは種々の映画ランク付けでトップクラスに位置する作品でもあり、ポランスキー監督が最高の映画だと自負しているそうです。 「チャイナタウン」はハードボイルドな探偵映画なんですが、よくある宝石泥棒なんかじゃなくて、砂漠には不可欠な水の利権をめぐる犯罪的行為を描いていて、私立探偵の目を通した社会派映画ともいえるかもしれません。

Jack Nicholson as Gittes and Faye Dunaway as Evelyn
「チャイナタウン」の主役の探偵"Jake Gittes(ジェイク・ギテス)"を演じるのはまさに適役のJack Nicholson(ジャック・ニコルソン)で、謎を秘めたEvelyn Mulwray(エヴェリン・モゥレー)を演じたのは「Bonnie and Clyde(俺たちに明日はない)」から7年ぶりのFaye Dunaway(フェイ・ダナウエイ)です。 フェイ・ダナウエイは「ボニーとクライド」の印象が強烈だったので映画の最初にMrs. Evelyn Cross Mulwray(モゥレー夫人)として登場した時には目を疑いました。 「えっ、これがあのボニー?」 フェイ・ダナウエイのメイクはポランスキー監督の母親がしていたという第二次大戦前のファッションだったそうで、フェイ・ダナウエイは撮影中、細い三日月型の眉とくっきり山型の唇のメイクを保つために大変な労力を費やしたそうです。
そして驚くじゃありませんか、モゥレー夫人の父親には1941年の「The Maltese Falcon(マルタの鷹)」以降Humphrey Bogart(ハンフリー・ボガート)の一連の作品を監督し脚本も手掛けたJohn Huston(ジョン・ヒューストン)なのです。 多くの女性と浮名を流したジャック・ニコルソンの一番長い交際相手は共演者のジョン・ヒューストンの娘で、The Addams Family(アダムス・ファミリー)のAnjelica Huston(アンジェリカ・ヒューストン)でした。
☆「チャイナタウン」のトレーラーはChinatown Original Trailer - VideoDetective

Chinatown Synopsis
「チャイナタウン」は砂漠の中の人工都市であるロスアンジェルスの開発に絡む腐敗を暴くロバート・タウンの三部作の第一部で、本作は1930年代を舞台に水道局の汚職を扱っています。
ロス市警に勤務していた元警官の"Jake Gittes(ジェイク・ギテス)"は現在は私立探偵です。 ハードボイルドなPhilip Marlowe(フィリップ・マーロー)みたいにロサンゼルス地方検察局に勤めていましたが、シガレットケースに入った煙草はキャメルではなく、さほどハンサムとも格好良いとも言えません。 フィリップ・マーローは口答えしてロス市警を首になりましたが、ジェイク・ギテスはチャイナタウンで捜査に首を突っ込み過ぎて失望することが多くうんざりしたので退職したのです。 しかし、私立探偵事務所に持ち込まれる事件は、しけた浮気調査がばかりだったのです。 ところが、ある日おかしなことが起こります。

ロス砂漠のダム建設に反対している水源電力局施設部長のHollis Mulwray(ホレス・モゥレー氏)の奥さんが探偵事務所を訪ねてモゥレー氏の浮気調査を依頼するのです。 仕事ですからジェイク・ギテスは引き受けてモゥレー氏を張り込むと、見つけました。 モゥレー氏がうら若い女性と会っている証拠写真を撮ったところ、それが新聞種になっているので仰天します。 ところがモゥレー氏を知る人々はモゥレー氏が家庭ひと筋の真面目人間だと証言します。 そこに現れたのがスキャンダルになったことに激怒しているモゥレー夫人、つまりエヴェリンさんです。 ところが浮気調査を依頼した夫人とは全くの別人だったのです。 そうこうするうちにモゥレー氏は貯水池調査中に落ちて死亡してしまうのです。 しかし奇妙にもモゥレー氏の肺からは真水ではなく海水が検出されたのです。

You're a very nosy fellow, kitty cat. Huh?
ニコルソンが調査のために立ち入り禁止区域に侵入しようとした時に呼び止めたのがロマン・ポランスキー監督がカメオ出演したヤクザ者ですが、これはジャック・ニコルソンが勧めたので監督は遊び心で出演したそうです。 「こん次は鼻をまるごと切って金魚の餌にしちまうぜ。」と、クンクン嗅ぎまわる探偵の鼻を切ったあのジャックナイフは本物ですが、手品のような仕掛けがしてあり一つ間違うと本当に危険なのでニコルソンの演技も緊迫感がありました。 このおかげで映画の殆どは鼻に傷のあるジェイク・ギテスです。
Ouch! Polanski cut Nicholson's nose up - YouTube

ホームレスの男や依頼されてモゥレー夫人に化けたという女など事件と関係のある何人かが何者カの手により死んでいきます。 何とかモゥレー夫人に取り入ったジェイク・ギテスはモゥレー宅で事情を聞くことになります。 情事にもおよびます。 色々調べていくうちになんと老人ホームの入居者全員が水源電力局水を供給する予定の谷の土地を購入していたのです。
モゥレー夫人宅で夫人の飲み物はTom Collins(トム・コリンズ)でした。 それはベースにイギリス産のオールド・トム・ジンを使う18世紀始め頃からあるカクテルだそうです。 一般的なレシピはオールド・トム・ジン(甘口ジン)にレモンジュースとシロップ(砂糖)を入れて"シェイク"したら(タンブラー)細長グラスに注いでクラブソーダ(プレーン炭酸)を加えてかき回すそうです。 お飾りは爪楊枝に刺したレモンスライスとマラスキーノ・チェリーなどですが、ストローを添えて出されることが多いので女性向きの甘くてお洒落な飲み物らしいです。 ジンには甘くないドライジンと甘いトムジンがあるそうですがドライジンやスロー ジンなどを使用したジンフィズも似たレシピです。
How to make Tom Collins - YouTube

モゥレー夫人宅で情事の余韻に浸っているところに無粋にも電話がかかってきて、夫人は慌てふためいて家を飛び出します。 ギテスが後を付けるとなんとモゥレー氏のあの若い愛人の家だったのです。 ギテスは事実を話せ!と夫人を何度もひっぱたきますがこれが迫真の演技ではなくて、フェイ・ダナウエイの要望で本気でぶったのだそうです。 すごく暴力的なシーンです。 夫人をぶん殴って真実を吐かせたギテス。 耳を疑う驚愕の一言! 南部もの映画のようでもありますが、ロスのチャイナタウンという町での普遍の正義の不在、この町で暮らす悲壮感、なんとおぞましい事実。 この後にさらなる惨劇が展開。 我らがヒーロー「ジェイク」はチャイナタウンでいったい何ができたのだろう、たださらなる無力感と絶望を確信したのです。
アメリカ映画では実父と娘の関係を取り入れている映画がまま存在しますが、Audio-Visual Trivia内には「Devil In A Blue Dress(青いドレスの女)」や「The Black Dahlia(ブラック・ダリア)」などがあります。

「誰かを守ろうとすると逆に傷つける結果となることが多い」と事件に首を突っ込みすぎていやになり退職したジェイク・ギテスだったのに。
怠け者の町、チャイナタウンでは怠慢が一番! 対中国マフィアに関しては理解するには言葉や人間関係が複雑だし、うっかりすると犯罪の防止が幇助になることも有り得るから、あまり首を突っ込まずに怠慢でいるのがベストなんだそうです。
" Forget it, Jake, it's Chinatown."

J.J. Gittes and L.A. Trilogy by Robert Towne
「チャイナタウン」の脚本を手掛けたRobert Towne(ロバート・タウン)は探偵役は俳優のジャック・ニコルソンを想定してをストーリーを書き上げたそうで、ポランスキー監督にはロバート・タウンとジャック・ニコルソンの方から「チャイナタウン」の映画化の話が持ち込まれたそうです。 ロバート・タウンは「チャイナタウン」では1974年のアカデミー賞ではノミネートでしたが、ゴールデン・グローブでは脚本賞を受賞しました。
チャイナタウンの脚本を手掛けたロバート・タウンの脚本デビュー映画はアメリカの作家のEdgar Allan Poe(エドガー・アラン・ポー)の小説をもとにした1964年のホラーでVincent Price(ヴィンセント・プライス)が主演した「The Tomb of Ligeia(黒猫の棲む館)」だそうです。 同じくポーの原作でヴィンセント・プライス主演の1960年の映画でHouse of Usher(アッシャー家の惨劇)、1962年のTales of Terror(黒猫の怨霊)、そして1964年のThe Masque of the Red Death(赤死病の仮面)などはジャック・ニコルソンを発掘したといわれるホラー映画のRoger Corman(ロジャー・コーマン)監督の作品です。
「黒猫の棲む館」で脚本デビューしたロバート・タウンが関与した次の脚本が一躍有名になった1967年の「Bonnie and Clyde(ボニーとクライド/俺たちに明日はない)でした。 「俺たちに明日はない」はArthur Penn(アーサー・ペン)が監督しハンサムなWarren Beatty(ウォーレン・ベイティ又はウォーレン・ビーティ)が主演していましたが、当時の女性たちはフェイ・ダナウェイが演じたボニー・パーカーの1930年代ファッションに憧れて劇場に観に行きました。 そして本格的なロバート・タウンの脚本が「チャイナタウン」ですが、フェイ・ダナウエイは主要な出演作品の2本とも銃撃されて死亡しています。 銃撃されていない作品としては1971年のRené Clément(ルネ・クレマン)監督のスパイ映画「La maison sous les arbres(The Deadly Trap/パリは霧にぬれて)」のジル役でした。(サウンドトラックをGilbert Bécaud(ジルベール・ベコー)が手掛けた映画のテーマ曲が日本ではClaude Ciari(クロード・チアリ)のバージョンでもヒット。) その後フェイ・ダナウエイはハリウッドの大女優であったJoan Crawford(ジョーン・クロフォード)の狂った私生活を暴いた1981年の「Mommie Dearest(愛と憎しみの伝説)」で往年の女優を怪演しています。 監督は1968年に不条理映画の「The Swimmer(泳ぐひと)」を監督したFrank Perry(フランク・ペリー)です。

「チャイナタウン」の続編で16年後の1990年の「The Two Jakes(黄昏のチャイナタウン)」も脚本を手掛けているロバート・タウンの映画としては「俺たちに明日はない」のウォーレン・ベイティが主演した1975年の「Shampoo(シャンプー)」までしか私には記憶にありませんが、ロバート・タウンが脚本を手掛けた1990年の「Days of Thunder(デイズ・オブ・サンダー)」や1993年の「The Firm(ザ・ファーム/法律事務所)」に主演したTom Cruise(トム・クルーズ)と知り合いになり、1996年の「Mission: Impossible(ミッション:インポッシブル)」などのMIシリーズも手掛けています。

The Two Jakes
ロバート・タウンの三部作の2番目としては、ジャック・ニコルソンが望んで監督及び主演した続編で1990年の「The Two Jakes(黄昏のチャイナタウン)」でもジャック・ニコルソンが一作目同様にジェイク・ギテスを演じています。 ロマン・ポランスキーたってのキャスティングで出演したのですが、本作で口論のあげくロマン・ポランスキー監督に髪の毛を引っこ抜かれたフェイ・ダナウエイは出演していません。 代わりの美女は「China Moon(チャイナ・ムーン)」で魔性の女を演じたセクシーなMadeleine Stowe(マデリーン・ストー)です。 続編はテーマが"水道"でなく1940年代に舞台を移して"ガス"です。 ロバート・タウンのLAシリーズ三部作"J.J. Gittes and L.A."の最後は1940年代後期を舞台にしたCloverleaf"と呼ばれる大都市の巨大な高速道路ジャンクションについてですが映画は制作されていません。
The Two Jakes (1990) Trailer - YouTube

China Moon
※ところで映画の舞台がロスアンジェルツのチャイナタウンとなっているので中国人も登場します。 冒頭のジェイク・ギテス探偵のジョークに中国式倦怠期回避方法というのあり、それにには月(ムーン)が絡んでいるのです。 夫婦生活(情事)の疲れには月を見上げてリフレッシュ(浮気))したら再び開始するというものです。 私が以前に書いた記事にマデリーン・ストーが出演したChina Moon(チャイナ・ムーン)という映画がありますが、"中国と月"がこの映画とも関連がありやなしや。

Chinatown in Los Angeles
映画の舞台となったロスアンジェルスのチャイナタウンですが、北カリフォルニア州の大都市であるロスアンジェルスにはアジア系のLittle Tokyo(リトル東京)という日本人街やコリアタウンの他にもメキシコ街などがあるそうです。 アメリカのチャイナタウンといえば一番大きいのは1920年代から中国系マフィアが牛耳って売春、麻薬、ギャンブルの悪の巣窟となった歴史がある南カルフォルニア・サンフランシスコの中華街や、ニューヨークのマンハッタン島やクイーンズが有名です。

Roman Polanski: Wanted and Desired
ユダヤ系ポーランド人でフランスの監督であるロマン・ポランスキーが主演もした1967年の「Dance of the Vampires(吸血鬼)」で共演した後に結婚したアメリカ女優のSharon Tate(シャロン・テート)の死後にアメリカを去ったポランスキーをアメリカに連れ戻したのがこの「チャイナタウン」です。 シャロン・テート事件当時(事件の数ヶ月前)にアメリカで公開されたポランスキー監督の1968年の悪魔祓いと赤ちゃんに関連したサイコホラー(オカルト)映画の「Rosemary's Baby(ローズマリーの赤ちゃん)」が何か関係しているのか。」と思ってしまったほど薄気味の悪いニュースでしたが、日本公開当時に若者はこぞって劇場に観に行ったほど話題性のある映画でした。 取り沙汰されたようにポランスキー監督が事件を予知したなんてことはないでしょうが、映画の冒頭に流れるMia Farrow(ミア・ファロー)の"Lullaby(ラララ・・・)"から不吉な雰囲気が漂っていました。 愛する夫は・・・? 生まれた赤ちゃんが・・・!
私が初めて観たロマン・ポランスキー監督の映画はCatherine Deneuve(カトリーヌ・ドヌーブ)が主演した「Repulsion(反発)」でした。 当時はポランスキー監督の映画だというよりも美しいフランス女優のカトリーヌ・ドヌーブを見に行ったのでした。
2002年にはユダヤ系のアメリカ俳優であるAdrien Brody(エイドリアン・ブロディ)がアカデミーの主演男優賞を受賞した「The Pianist(戦場のピアニスト)」で監督賞を受賞した鬼才のロマン・ポランスキー監督ですが、1977年にアメリカで起こした性犯罪事件では有罪判決のまま米国から逃亡したままなので、この「チャイナタウン」がアメリカでの最後のポランスキー作品となっています。(この件では1978年に逮捕状が出ましたが32年後の2009年にスイスにてとうとう身柄拘束されました。) 2008年の Sundance Film Festival(サンダンス映画祭)ではその事件を追ったドキュメンタリー映画Roman Polanski: Wanted and Desiredがプレミア上映されるそうです。
Roman Polanski Interview - YouTube

☆ロマン・ポランスキーが監督した「反発」などの映画についてもっと詳しくはHot'n Cool - Roman Polanski
☆1992年に監督した「赤い航路」についてはAudio-Visual Trivia内の赤い航路 Bitter Moon

Jack Nicholson
ジャック・ニコルソンはBlue Velvet(ブルー・ベルベット)のDennis Hopper(デニス・ホッパー)が主演及び監督した1969年の「Easy Rider(イージー・ライダー)」ではアカデミー助演男優賞に輝き、そして「チャイナタウン」では主演男優賞にノミネートされていますが、The Strange Love of Martha Ivers(呪いの血)でデビューしてTown Without Pity(非情の町)に主演したKirk Douglas(カーク・ダグラス)の念願だった1976年の「One Flew Over The Cuckoo's Nest(カッコーの巣の上で)」の映画化ではアカデミー主演男優賞を受賞しています。 ニコルソンのインパクトのある顔立ちを含めて強烈な個性は1960年のデビュー当時のLittle Shop of Horrors(リトル・ショップ・オブ・ホラーズ)から変っていません。 型破りな演技派の俳優として評価が高いですが、私は殆どニコルソンの出演作品を観ていないのです。 1946年の「The Postman Always Rings Twice(郵便配達は二度ベルを鳴らす)」の1981年リメイク版と、ジャック・ニコルソンがゴールデングローブ主演男優賞を受賞した2002年の「About Schmidt(アバウト・シュミット)」、そして最近ではニコルソンが変なセラピストを演じた2003年の「Anger Management(N.Y.式ハッピー・セラピー)」くらいです。 ラブシーンではあまりの熱演に思わず目を逸らせた「郵便配達は二度ベルを鳴らす」も悲惨なラストシーンでニコルソンと共に泣けませんでしたし、キャシー・ベイツとの混浴シーンに度肝を抜かれた「アバウト・シュミット」はさほど感情移入出来なくてエンディングもぐっときませんでした。 ニコルソンの出演作品はこれまで「チャイナタウン」以外は気に入った映画はありませんでしたが、これから観ようと思うのはコメディで1987年にニコルソンが悪魔を演じ3人の熟女と共演した「The Witches of Eastwick(イーストウィックの魔女たち)」と2003年の「Something's Gotta Give(恋愛適齢期)」です。 1980年にこちらも鬼才のStanley Kubrick(スタンリー・キューブリック)が監督した原作とは違うバージョンの「The Shining(シャイニング)」ではありません。 そう、ホラーといえば2008年9月に日本でも公開のThe Dark Knightの口裂けジョーカーも怖い!


Chinatown DVD
画像は2007年にリリースされた"Chinatown"の輸入版(Region 1)のDVDです。
Chinatown DVDChinatown
国内版で入手出来るDVDにはチャイナタウン 製作25周年記念版などがあります。

Chinatown Book
Robert Towne(著)のシナリオは英語版ペーパーバックです。
Chinatown by Robert TowneChinatown (Faber Reel Classics)
書籍カバーに使用された画像はヤクザに扮したロマン・ポランスキー監督がジャック・ニコルソンが演じる私立探偵のジェイク・ギテスの鼻をナイフで切る場面です。 アウチッ!
※Chinatown and the Last Detail: Two Screenplays (Paperback)も出版されています。

Chinatown Soundtrack
ページトップのCD画像は音楽をJerry Goldsmith(ジェリー・ゴールドスミス)が手掛けた「チャイナタウン」のサウンドトラックです。 このサントラCD画像は色味は少々違いますが、有名な「チャイナタウン」の映画ポスターをアレンジして使用しています。
現在ではもう入手不可能なオリジナル映画ポスターの画像が見られるChinatown Movie Poster - Allposters.com(透かし入りですが拡大可)

Jerry Goldsmith
作曲家のジェリー・ゴールドスミスは1960年にニコルソンが出演した映画「Studs Lonigan(青春のさまよえる時)」で初めて音楽を担当して以来、1973年の「Papillon(パピヨン)」の"Free as the Wind"など1950年代から2000年代まで様々な映画のサウンドトラックに携わってきました。 ジェリー・ゴールドスミス音楽の代表的な映画には1963年の「Lilies of the Field(野のユリ)」、1979年の「Star Trek: The Motion Picture(スター・トレック)」、1992年の「Basic Instinct(氷の微笑)」、1993年にNicole Kidman(ニコール・キッドマン)が主演した「Malice(冷たい月を抱く女)」、そして1997年の「L.A.Confidential(L.A.コンフィデンシャル)」などがあり、SFや西部劇からミステリーまでと幅広いジャンルの音楽を手掛けています。

Uan Rasey
オープニングとエンディングのクレジットに流れる"Love Theme From Chinatown(愛のテーマ)"は美しい旋律ながら不安を煽るようでもあり、悲しみをも表現したやるせないメロディですが、その荘厳とも退廃的ともいえるテーマ曲で心に残るスリリングなトランペット演奏はハリウッドのスタジオ・ミュージシャンであったカナダ出身のUan Rasey(ユアン・レイシー)だそうです。 ユアン・レイシーはウェストコーストのジャンプブルースでも活躍したトランペッターですが、ハリウッドMGMの黄金時代にはGene Kelly(ジーン・ケリー)主演のミュージカル映画の"An American in Paris(巴里のアメリカ人)"や"'Singing in the Rain(雨に歌えば)"、Leslie Caron(レスリー・キャロン)主演の"'Gigi"、Natalie Wood(ナタリー・ウッド)主演の"West Side Story(ウエスト・サイド物語)"や"My Fair Lady(マイ・フェア・レディ)"などのサウンドトラックを手掛けているそうです。 
Goldsmith's "Love Theme"on Opening Credits of Chinatown" with Uan Rasey - YouTube

Easy Living
映画「チャイナタウン」で使用された"Easy Living"は1937年に50曲ものヒット映画音楽を放った作曲家のRalph Rainger(ラルフ・レインジャー)と作詞家のLeo Robin(レオ・ロビン)のコンビによって書かれたもので、1937年の映画「Easy Living(街は春風)」の主題歌です。 1947年のBillie Holiday(ビリー・ホリデイ)の歌で有名ですが、1937年だとTeddy Wilson And His Orchestra(テディ・ウィルソン)の演奏があります。

Way You Look Tonight
ジェイク・ギテス探偵がモゥレーの事務所に探りを入れる時に吹いた口笛は"Way You Look Tonight(今宵の君は)"はJerome Kern(ジェローム・カーン)作曲Dorothy Fields(ドロシー・フィールズ)作詞の1936年のFred Astaire(フレッド・アステア)とGinger Rogers(ジンジャー・ロジャース)が出演したミュージカル映画「Swing Time(有頂天時代)」でフレッド・アステアが歌いオスカーを受賞した曲です。 ラジオ番組のThe Fred Astaire Hour(フレッド・アステア・アワー)に出演したり、フレッド・アステアのバックをつとめたミュージシャンのJohnny Green And His Orchesra(ジョニー・グリーン)が1936年に録音しています。 "Easy Living"と"Way You Look Tonight"は共にサウンドトラックでは歌ではなくジェリー・ゴールドスミスの音楽です。

I Can't Get Started by Bunny Berigan & His Orchestra
舞台を1930年代に設定した映画「チャイナタウン」で挿入歌として使用された"I Can't Get Started With You(言い出しかねて)"は1935年代に作曲はロシア出身のピアニストのVernon Duke(ヴァーノン・デューク)、作詞はIra Gershwin(アイラ・ガージュイン)のコンビで、ミュージカルの"Ziegfeld Follies of 1936"でコメディアンのBob Hope(ボブ・ホープ)とEve Arden(イヴ・アーデン)が歌った甘い恋の歌です。 ちなみにボブ・ホープの大ヒット曲である1938年の"Thanks for the Memory"は前述のRobin & Rainger(ロビンとレインジャー)コンビの作品です。 Lionel Hampton(ライオネル・ハンプトン)が1939年、Roy Eldridge(ロイ・エルドリッジ)が1944年、Artie Shaw(アーティ・ショー)が1945年、Dizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)が1948年、Erroll Garner(エロール・ガーナー)が1951年、Coleman Hawkins(コールマン・ホーキンス)は1952年に吹き込みましたが、歌では1938年にBillie Holiday(ビリー・ホリデイ)が録音しています。 たった数分ですが、映画で使用された"I Can't Get Started"はBunny Berigan And His Orchestra(バニー・ベリガン楽団)がRCAではなくて1937年にVICTORで吹き込んだバージョンでしょうか。 歌っているのはスウィング時代のジャズ・トランペッターのバニー・ベリガンですが、アルコールとの闘いで30歳代で亡くなったそうです。 バニー・ベリガンの歌とトランペット演奏の"I Can't Get Started"はTommy Dorsey(トミー・ドーシー楽団)時代のトランペットソロの"Marie"と並び代表曲となっています。 こんなハンサムなトランペッターにロマンティックな"I Can't Get Started"を歌われてはとろけてしまいそうです。
Bunny Berigan And His Orchestra
Bunny Berigan - I Can't Get Started - YouTube

追記: アンクルポップ氏の説明によると上記のバニー・ベリガンの"I Can't Get Started"は作曲がバーノン・デュークで作詞がアイラ・ガーシュウィンにより、昔は「立ち去りかねて」という邦題が付いていたのだそうです。

Jazz in Film
映画のサントラではなくジャズメンによる映画音楽集のアルバムがあります。 演奏はトランペットがTerence Blanchard、テナーサックスがJoe Henderson(ジョー・ヘンダーソン)、以下アルトサックスのDonald Harrison、トロンボーンのSteve Turre、ピアノがKenny Kirkland、ベースがReginald Veal、ドラムがCarl Allenなど。 ニューオリンズ出身の若手ジャズトランペット奏者であるTerence Blanchard(テレンス・ブランチャード)名義で1999年にリリースされたフィルム・ノワール特集ともいえる「ジャズ・イン・フィルム」(ASIN: B0000561Y7)には「チャイナタウンのテーマ」の他に1951年の「A Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)」、1960年の「The Subterraneans(地下街の人々)」、1959年にDuke Ellington(デューク・エリントン)が音楽を担当した「Anatomy of a Murder(或る殺人)」、1955年の「The Man with the Golden Arm(黄金の腕)」などの映画音楽全9曲を収録しています。
Love Theme From Chinatown (Main Title) on Jazz in Film - Rádio UOL


Pascale Audret
Pascale Audret (1936 - 2000)

Pascale Audret dans L'Eau Vive (1957)
パスカル・オードレといえば、日本ではなんといっても映画のテーマ曲が大ヒットした1957年のL'Eau Vive(河は呼んでる)が代表作です。 南仏プロヴァンス地方の氾濫することで有名なDurance(デュランス)河をめぐるヒューマンドラマで、原作者のJean Giono(ジャン・ジオノ)が脚本も手掛け、François Villiers(フランソワ・ヴィリエ)が監督しました。 パスカル・オードレが演じた可憐なHortense(オルタンス)は永遠のフランス名画のヒロインとして人々の脳裏に焼きついているでしょう。

パスカル・オードレは「河は呼んでる」の後に何本かの映画に出演しましたが、「河は呼んでる」ほどパスカル・オードレが話題になった作品はありません。 本国フランスでさえパスカル・オードレの出演作品としては"Les Jeux Dangereux"と"Lafayette"のVHSビデオが見つかるのみという寂しい状況です。 とはいえ、1957年の「Oeil Pour Oeil(眼には眼を)」と1963年の「Le Glaive et la balance(俺は知らない)」と1969年の「Les Chemins de Katmandou(カトマンズの恋人)」というAndré Cayatte(アンドレ・カイヤット)の3作品に出演しています。 アンドレ・カイヤットは1950年代初期にベルギー出身の脚本家であるCharles Spaak(シャルル・スパーク)とのコンビで「Justice Est Faite(裁きは終りぬ)」のような安楽死や不遇な青少年たちの末路を描いてフランスの司法制度に疑問を投げかけるような社会派の作品を何本か制作している映画監督です。
☆パスカル・オードレがオルタンスを演じた「河は呼んでる」についてはDVD情報もあるAudio-Visual Trivia内のL'Eau Viveを参照。

Oeil Pour Oeil (1957)
「河は呼んでる」で主演する前にパスカル・オードレが出演したのは英語のタイトルは"An Eye for an Eyeという"「眼には眼を」です。 この映画はパスカル・オードレの出演作品ではありますが、ドイツの名優であるCurd Jürgens(クルト・ユルゲンス)が主人公であり、パスカル・オードレは復讐を企んだアラブ人の義理の妹役だそうです。 というのも医師とアラブ人のスリリングなやりとりに気をとられて殆ど記憶に残っていないからです。 「眼には眼を」は北アフリカを舞台にしたモノクロの地味な映画ですが、一般に解釈されている"己の誇りを守るためには暴力をも用いて敵を牽制する"というイスラムの教え(アラブ哲学)のようにある種の凄みを持つ映画です。(本来経典にある意は逆) なんと復讐の凶器が"砂"なので、ちょっとしたサスペンスやミステリとは又違った恐ろしさです。 クルト・ユルゲンスが演じるフランス人の医師に妻を殺されたと思い込んだアラブ人の男が復讐として採った手段はアラブの掟である、「目には目を、歯には歯を」でした。 医師に病院に行くようにと診察を断られた男が妻を病院に運ぶ途中で自動車が故障して妻は死んだからその復讐か、タイヤ全部を盗まれた医師は仕方なくコカコーラを買い込んで歩いて帰ることにしたのです。 例のアラブ人が近道を教えるというのですが、これが実にが恐ろしいのです。
「眼には眼を」の写真が見られるOcchio per occhio - FILM.TV.IT
このげに恐ろしきアラブ人を演じたのは1953年の「Salaire de la peur(恐怖の報酬)」で油田火災消化のために爆薬のニトログリセリン(nitroglycerin)をトラックに載せて山道を走行したイタリア俳優のFolco Lulli(フォルコ・ルリ)です。 そして医師がアラブ人と再会した茶店の店主を演じたのはトルコのポップス歌手で人気のDario Moreno(ダリオ・モレノ)です。 1967年にBrigitte Bardot(ブリジット・バルドー)が主演した映画「À Coeur Joie(セシルの歓び)」の原作者として知られるアルメニア出身の作家のVahe Katcha(ヴァエ・カッチャ)の原作をアンドレ・カイヤット監督が映画化しました。 「眼には眼を」は日本でいうところの「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」以上の「皮を切らせて肉を切り肉を切らせて骨を切る」か「皮を切らせて肉を切り、肉を切らせて骨を切り、骨を切らせて命を断つ」か? 自分も死んでゆくのに医者の後ろ姿を見るアラブ人の最後のニンマリが怖い。 こうなると「眼には眼を」の主役はアラブ人のBortak(ボルタク)を演じたフォルコ・ルリでした。
フランスのサイトですが「眼には眼を」の情報があるOeil pour oeil - DvdToile(但し映画ポスター以外のオンマウス画像は「眼には眼を」関連の写真ではありません。)

☆日本で入手可能な「眼には眼を」の字幕版VHSビデオ
Oeil Pour Oeil VHSOeil Pour Oeil
※「眼には眼を」を含めてクラシック映画、とくにヨーロッパの名作がDVD化されていないのは解せません。 仮に価格が一般のDVDの何倍になっても需要はきっとあるはずなのに。

Les Chemins de Katmandou (1969)
そしてもう一つのアンドレ・カイヤット監督のカラー作品はSerge Gainsbourg(セルジュ・ゲンズブール)が音楽も担当してJane Birkin(ジェーン・バーキン)と共に出演した「カトマンズの恋人」です。 この映画にパスカル・オードレが出演しているそうですが1962年の「Hatari!(ハタリ!)」のElsa Martinelli(エルザ・マルティネリ)や1968年の「La Lecon Particuliere(個人教授)」に出演したRenaud Verley(ルノー・ヴェルレー)も出演しています。
フランス語ですが「カトマンズの恋人」の写真が見られるBarjaweb.free.fr - Les chemins de Katmandou
Katmandu - FILM.TV.IT
Les chemins de Katmandou - Le Cinéma Français(映画ポスターの女優はジェーン・バーキン)
☆セルジュ・ゲンズブールのサントラを聴くには上記のBarjaweb.free.frのサイトのページ下の方にある五線譜の画像Cliquer pour écouter des séquences de la bande sonoreをクリック!(別窓で1曲ごとに元に戻って五線譜マークをクリック)

Les Jeux Dangereux (1958)
「危険な遊び」ではSami Frey(サミー・フレイ)と共演しています。 パリの貧民街に巣くう浮浪児の一団を描いた映画で、パスカル・オードレはその親分各の少年の妹を演じています。
「危険な遊び」の写真が見られるLa strada della violenza - FILM.TV.IT
「危険な遊び」の映画ポスターが見られるLes Jeux Dangereux - Le Cinéma Français
「危険な遊び」の音楽はフランス映画界で活躍しあトルコ出身のPaul Misraki(ポール・ミスラキ)でした。 ミスラキは私の大好きなRetour à l'aube(暁に帰る)」の主題歌でDanielle Darrieux(ダニエル・ダリュー)が歌った"Dans Mon Coeur(我が心に)"の作者ですが、1958年にGerard Philipe(ジェラール・フィリップ)が主演してLino Ventura(リノ・ヴァンチュラ)やAnouk Aimee(アヌーク・エーメ)が出演したAmants de Montparnasse(モンパルナスの灯)の音楽も担当しました。

Die Hölle der Jungfrauen (1959)
Maurice Cloche(モーリス・クローシュ)監督及び脚本の映画で、フランス語のタイトルは"Le Bal De Nuit"では、パスカル・オードレは「Per pochi dollari ancora(さいはての用心棒)」などに出演したSophie Daumier(ソフィー・ドゥーミエ)やBernadette Lafont(ベルナデット・ラフォン)と共演しました。 ソフィー・ドゥーミエは1964年に「Par Un Beau Matin D'ete(ある晴れた朝突然に)」でJean Paul Belmondo(ジャン・ポール・ベルモンド)と共演したフランス女優です。
"Le Bal De Nuit"の写真が見られるLe minorenni proibite - FILM.TV.IT
「Bal De Nuit」の映画ポスターはBal De Nuit - Le Cinéma Français
※モーリス・クローシュ監督の作品には1959年にEleonora Rossi-Drago(エレオノラ・ロッシ=ドラゴ)がギャングの情婦を演じたLe Fric(悪銭(あぶくぜに))があります。
「悪銭」の映画ポスターが見られるLe Fric - Le Cinéma Français

Le dialogue des Carmélites (1960)
「カルメル会修道女の対話」は20世紀後半の最高峰といわれるJean Marcel Poulenc(プーランク)の歌劇をPhilippe Agostini(フィリップ・アゴスティーニ)監督が映画化したもので、パスカル・オードレは死刑台のエレベーターのジャンヌ・モローやアリダ・ヴァリと共演しました。
「カルメル会修道女の対話」の写真が見られるI dialoghi delle Carmelitane - FILM.TV.IT
「カルメル会修道女の対話」の映画ポスターが見られるLe dialogue des Carmélites - Le Cinéma Français
フィリップ・アゴスティーニは1937年のJulien Duvivier(ジュリアン・デュヴィヴィエ)監督の私の好きな映画で「Un Carnet De Bal(舞踏会の手帖)」の撮影も担当しています。
※Marie Bell(マリー・ベル)が綺麗だった「舞踏会の手帖」の舞台装置はJosephine Baker(ジョセフィン・ベイカー)のポスターを数多く製作した仏アールデコ時代の画家のPaul Colin(ポール・コラン)も関与したそうです。 音楽は1936年のLa Belle Equipe(我等の仲間)に続いてMaurice Jaubert(モーリス・ジョーベール)でした。

La Fayette (1961)
歴史なアメリカ独立戦争をテーマにしたJean Dréville(ジャン・ドレヴィル)監督の映画「ラファイエット侯爵」でパスカル・オードレはフランス貴族で革命家である侯爵が16歳で結婚したAdrienne de La Fayette(アドリアンヌ)を演じました。 映画では当時19歳のフランス貴族「ラファイエット侯爵」が1776年のアメリカ独立革命勃発に伴い支援を求めて来仏したベンジャミン・フランクリンに逢って共鳴し、義勇兵として独立戦争に参加してジョージ・ワシントン率いる大陸軍の副官として活躍したという波乱万丈のストーリーです。 なんとOrson Welles(オーソン・ウエルズ)が"凧"の元祖「Benjamin Franklin(ベンジャミン・フランクリン)」役で出演しています。
☆映画「La Fayette(ラファイエット侯爵)」の写真がたくさん見られるLa Fayette Une brillante distribution又は、「ラファイエット侯爵」の脚本家のサイのトJean BERNARD-LUC(パスカル・オードレの写真はAdrienneで検索)
「ラファイエット侯爵」の映画ポスターが見られるLa Fayette - Le Cinéma Français
※ちなみにフランス国王ルイ14世の義妹である実在のラ・ファイエット夫人(Madame de La Fayette 1634 - 1693)は有名な小説の"クレーヴの奥方(La Princesse de Cleves)"を書いた女流小説家でもあるそうです。

Pleins feux sur l'assassin (1961)
1961年には日本未公開でしたがパスカル・オードレが主演したサスペンス映画がありました。 情報は見つかりませんが、映画のタイトルは"殺人者にスポットライトを"というような意味らしいです。 なんとJean-Louis Trintignant(ジャン・ルイ・トランティニャン)やDany Saval(ダニー・サヴァル)も出演しています。 1959年にAlida Valli(アリダ・ヴァリ)が出演した「Les Yeux sans visage(顔のない眼)」を監督したGeorges Franju(ジョルジュ・フランジュ)がBoileau-Narcejac(ピエール・ボワロー)が書いた推理小説を映画化しました。 ピエール・ボワローは1955年の「Les Diaboliques(悪魔のような女)」、1958年の「Vertigo(めまい)」、1959年の「Un témoin dans la ville(彼奴を殺せ/きやつをけせ)」、そして上記の「顔のない眼」の原作者として有名です。
余命幾ばくもないと悟った風変わりな老伯爵が人知れず古城の鏡裏にある秘密の小部屋で、お気に入りのぜんまい仕掛けのバレリーナ人形と一緒に閉じ篭ってそこで死んだのです。 なぜかというと生前伯爵に不義理だった相続人たちへの嫌がらせのためだったのです。 死体が見つからないと相続人たちは5年も財産相続を待たねばならないだけではなくその間、伯爵の財産を管理しなくてはならないのです。 その高額な維持費を賄うために相続人たちは観光客を誘致して夜間に城を幻想的なSon et Lumière(音と光の)ライトアップ・ショーを催すことにします。 その合間に行方不明の伯爵の亡骸を必死で探すのですが、そこに暗殺者が未来の相続人ライバルの抹殺にとりかかります。 伯爵の甥と姪が二人とも死んでしまったので、甥の許婚や従兄弟たちが事故か殺人かとこの事件の調査を始めたのです。 そうこうしているうちに伯爵の遺体を偶然に見つけたのです。 さて甥と姪の死の原因は?犯人は?といったストーリーらしいです。 この傑作ミステリ映画はあまりに型破りで商業的には成功しなかったのでフランス国外では上映されなかったらしいですが、オリジナル・ネガが見つかったそうなのでぜひ日本でもDVDをリリースして欲しいですね。
伯爵の姪のジャンヌを演じたのはパスカル・オードレで、冒頭にチラッと出たHervé de Kéraudren(エルヴェ)伯爵の役は「顔のない眼」で医師を演じたPierre Brasseur(ピエール・ブラッスール)でした。 「顔のない眼」がそうであったようにジョルジュ・フランジュ監督といえば音楽はMaurice Jarre(モーリス・ジャール)ですが、この映画も同様にモーリス・ジャールの音楽でした。
"Pleins feux sur l'assassin"の写真が見られるPiena luce sull'assassinio - FILM.TV.IT
"Pleins feux sur l'assassin"の映画ポスター画像が見られるPierre Boileau & Thomas Narcejac - iFRANCEの検索窓に"Pleins feux sur l'assassin"又は"Boileau & Narcejac"と入力。その上は「顔のない眼」、上の方には「悪魔のような女(Les Diaboliques)」や「めまい(Sueurs Froides)」もあります。

Pascale Audret Rare Photos from my scrapbook
この記事で半世紀も私のスクラップブックに眠っていたパスカル・オードレのお宝画像を初披露しました。
ページトップの画像は映画「河は呼んでる」が日本でヒットした当時、私が映画雑誌から切り抜いておいた一番好きなパスカル・オードレの縮小写真です。 パスカル・オードレはこの髪型がとても良く似合います。
そして下図はやはり私の好きな写真で、共演したという話は聞いたことがないパスカル・オードレとアラン・ドロンとのツーショット写真です。 おそらく1950年代後期にアラン・ドロンがFaibles Femmes(お嬢さん、お手やわらかに!)などの青春コメディに出演していた頃ではないでしょうか。

Pascale Audret et Alain Delon
Pascale Audret et Alain Delon

The Iron Mask (1929)
The Iron Mask by Douglas Fairbanks
Douglas Fairbanks as D'Artagnan

Alexandre Dumas pére
アレクサンドル・デュマ・ペール(大デュマ)は19世紀のフランスの作家ですが、同名の作家である息子と区別するために"pére(父、大)"を付けて呼んでいます。 映画の題材としても良く取り上げられる有名な歴史的冒険小説の原作者で、父であるThomas-Alexandre Dumas(トマ・アレクサンドル・デュマ)をしばしモチーフにして活劇を書いたそうです。 大デュマの父であるトマ・アレクサンドル・デュマは黒人奴隷の子だとしてNapoléon Bonaparte(ナポレオン・ボナパルト)からも軍隊を追放された数奇な運命を辿った軍人だそうです。 大デュマの代表作はシリーズの「三銃士(Les Trois Mousquetaires又はThe Three Musketeers)や「ダルタニャン物語(D'Artagnan)、そして日本では「厳窟王」という題の方が馴染みがある「モンテ・クリスト伯(The Count of Monte Cristo又はLe Comte de Monte-Cristo)の他、王妃マルゴー(Queen Margot)などがあります。 一方、大デュマの息子はAlexandre Dumas Fils(アレクサンドル・デュマ・フィス)と呼ばれて実母の悲哀をモチーフにしたというロマンティックなCamille(椿姫)の作者として有名な作家です。

小説の主人公であるダルタニャンが父のようになりたいと憧れたMusketeer(マスケティアー)はルイ14世時代の王の近衛兵の中の青い制服の銃士のことですが、その青い制服はご婦人方を気絶させるにじゅうぶんなほど素敵だったそうです。 銃士(マスケティアー)というからにはMusket(マスケット銃)を装備した乗馬歩兵のことですから、いわば飛び道具を使用する特殊部隊のようですが常に銃を持ち歩くわけではありません。 戦場では軍刀のSabre(サーベル)ですが、市中では厳密には先の尖ったフェンシングみたいなRapier(レイピア)を護身用に腰に下げていたようです。

D'Artagnan
Alexandre Dumas pére(アレクサンドル・デュマ・ペール)がこのような壮大な叙事詩的小説を書いたモデルのダルタニャンとは、一説によると、Charles de Batz-Castelmore(シャルル・ド・バッツ・カステルモール)というルイ14世の親衛隊の兵士で、宮廷に厚い信頼を得て最後には大尉に昇り詰めたそうです。 ダルタニャンという名前は同じく宮廷に近しい一族の母方の名前だそうです。 ルイ14世下の仏軍で人気があった士官の武勇伝がアレクサンドル・デュマ・ペールを魅了して止まなかったのでしょう。
☆アレクサンドル・デュマ・ペールの書いたThe Iron Mask(鉄仮面)がインターネットで読める!(英単語をWクリックで意味表示及びページ末に注釈付き)
Alexandre Dumas: The Man in the Iron Mask - The Free Library

The Vicomte de Bragelonne
アレクサンドル・デュマの小説は日本でも翻案小説が出版されていましたが、私が小さい頃に初めて読んだダルタニャン物語(三銃士)は少女雑誌の付録漫画でしたがかなり忠実に描かれて愉快でした。 漫画といえば1987年に20分52話のTVシリーズの「アニメ三銃士」を放映していましたが、アニメではアラミスが女という設定になっています。
元伯爵の高潔なAthos(アトス)と司祭のAramis(アラミス)と酒と女に目が無い陽気なPothos(ポルトス)の三銃士に出世を目指して上京したD'Artagnan(ダルタニアン)が加わって活躍する「三銃士」は大変面白い読み物でした。 テレビがまだ普及していない時代には漫画本や児童小説が子供の娯楽の一部でしたから、当時は小学生でもダルタニアンを知っていたのです。(私だけ?) デュマの小説で痛快なのは「三銃士」ですが、薄気味悪いのは「鉄仮面」でしょう。 「Les Trois Mousquetairesn又はThe Three Musketeers(三銃士)」の続編「Vingt Ans après(二十年後)」のその又続編で19世紀の中頃に書かれたシリーズのダルタニャン活劇の中でも最も壮大で、三銃士の3倍も長い小説「Le Vicomte de Bragelonne ou Dix ans plus tard又はThe Vicomte de Bragelonne(ブラジュロンヌ子爵)」の最後の部分""The Man in the Iron Mask"に鉄仮面が登場します。 ちなみにLe Vicomte de Bragelonne(オーギュスト・ジュール・ラウル・ド・ブラジュロンヌ子爵)とは三銃士の一人であるアラミスの恋人の一人でもあり、リシュリュー枢機卿とは敵対関係にあったシュヴルーズ公爵夫人が同じく三銃士の一人のアトスとの一夜限りの夜で授かった子供、つまりアトスの隠し子といわれています。

その「鉄仮面編」の鉄仮面はアレクサンドル・デュマの解釈で、噂の囚人をルイ14世の弟で「鉄仮面」という設定にして小説を書いたようです。 その元となる脱獄不可能なIle Ste-Marguerite(サント・マルグリット島)に幽閉されていたという伝説が残っているベールを被った囚人については、鉄仮面が誰なのか、ルイ14世の父親は誰なのかも歴史的に諸説あり真相は今もって不明です。 実際に囚人が被っていたのは鉄仮面ではなくてただの布製の頭巾だったのかもしれません。
Who was the "Man in the Iron Mask"?
謎の鉄仮面の正体は誰? なにゆえに「鉄仮面」を囚人に被せたかについての秘密は1976年にLe chateau de ma mere & La gloire de mon pere(プロヴァンス物語)の作家であるMarcel Pagnol(マルセル・パニョル)が1965年に"The Secret of the Iron Mask"のなかで「ルイ14世の弟であろう」と書いているそうです。 史実に基づいて書かれた鉄仮面の小説はアレクサンドル・デュマの他にもあって、フランスの歴史小説家のFortuné du Boisgobey(フォルチュネ・デュ・ボアゴベー)が1878年に書いたLes deux merles de m. de Saint-Mars (サンマール氏の二羽の鶇)もあるそうです。 江戸川乱歩の「鉄仮面」はこちらの方を書き直したらしいです。 幽閉された鉄仮面の脱ぐことのできないグロテスクな鉄製の面や鎧の金属音が石造りの古城に不気味に響き、暗くじめじめした雰囲気をかもし出すのを想像すると子供心にもなにやらおどろおどろしい空想を逞しくさせたものでした。

昭和20年代後期から講談社から出版されて私が子供の頃に読み漁った児童書の世界名作全集は梁川剛一画伯の写実的な装丁画や挿絵も多くあり、三銃士をはじめEdgar Allan Poe(エドガー・アラン・ポー)の「黄金虫(The Gold Bug)」をはじめ、「アランビア・ナイト(千夜一夜物語)」やJules Verne(ジュール・ベルヌ)原作の「海底旅行(Vingt mille lieues sous les mers)」まで収録されていたのでした。
その中でもわたしが好きだった小説がBaroness Orczy(バロネス・オルツィ又はオルツィ婦人)原作の「紅はこべ(The Scarlet Pimpernel )」でした。 1934年に映画化された時の配役はパーシー卿がLeslie Howard(レスリー・ハワード)だったそうですが、オルツィ婦人の三作目の映画化はThe Elusive Pimpernel(快傑紅はこべ)として1950年にDavid Niven(デヴィッド・ニーヴン)がパーシー卿を演じたのでした。 70年代あたりにもう一度リメイクされるなら私の好みでぜひJean Paul Belmondo(ジャン・ポール・ベルモンド)のパーシー卿を観たいと思っていましたがそれはなりませんでした。
意味が違いますが剥がせない面というと日本では講談の「名工綺談 肉付きの面」を思い浮かべます。 これも怖い!
アレクサンドル・デュマ・ペールの小説で映画化された作品のポスター画像がたくさん見られるAlexandre Dumas au Cinéma

Douglas Fairbanks' The Iron Mask
「鉄仮面」は原作同様に「三銃士(1921年)」の続編として1929年にDouglas Fairbanks( ダグラス・フェアバンクス)が製作したサイレント映画なの俳優はいっさいセリフをしゃべらず配役も似かよっていますが、ダルタニャンとコンスタンツのローマンスを盛り込みナレータと音楽によってストーリーが展開する浪漫活劇です。 映画「鉄仮面」はサイレント時代から1950年代まで映画を撮っていたAllan Dwan(アラン・ドワン)が監督し、製作者のダグラス・フェアバンクスが人気者のD'Artagnan(ダルタニャン又はダルタニアン)を演じています。 "飲む打つ買う"じゃないですが極道の気もあるが腕っ節は滅法強い三銃士と意気投合して若君を守るために大暴れするダルタニャンはとても魅力的です。

ダグラス・フェアバンクスの「鉄仮面」の登場人物はLouis XIII de France(ルイ13世)、Louis XIV de France(後のルイ14世)と双子のフィリップ王子、Cardinal Richelieu(枢機卿である宰相のリシュリュー)、悪家臣のRochefort(ロシュフォール)、修道院に幽閉されるダルタニアンの恋人Constance(コンスタンス)、そして三銃士です。

ダグラス・フェアバンクスの映画「鉄仮面」のストーリーは、フランスのルイ13世の時代に待望のお世継ぎが双子だったことから悲劇が始まります。 宰相のリシュリューが弟のフィリップ王子のフィリップの方に未来の反逆者の相を読み取ってお国安泰のためにと内密にスペインに送ってしまいますが、このことを秘密にしておくため内情を知る女王のお付きのConstance(コンスタンス)を修道院に閉じ込めてしまうのです。 ダルタニアンは愛するコンスタンスの危機を知り三銃士を呼び集めて救出に向かうも、時既に遅し、恋人はロシュフォールの愛人の刃にかかって非業の死を遂げてしまうのです。 悲しむ間もなく危うき枢機卿を救うべく赤い征服の近衛兵とチャンチャンバラバラと闘うダルタニャンです。 反逆者として三銃士は追放になったもののダルタニャンは活躍を認められて銃士となり未来のルイ14世のボディガードを枢機卿から仰せつかります。

時は経ち、容態が悪くなり死に面した枢機卿は一つのメダルを分けたペンダントを4歳になった未来のルイ14世とダルタニアンに託し、ダルタニャンはフランスの平和のために王子が成人するまでお守りする役目を引き受けます。 ダルタニャンの恋人のコンスタンスも枢機卿も息を引き取る間際に「the other one」以外は双子の王子のことをダルタニャンに伝えられなかったのでこのことは秘密のままでした。 一方、双子の王子誕生の時に司祭が枢機卿に渡したメモを盗み取って秘密を知っていた宰相の家臣のロシュフォールは己の野心のために秘密裏にフィリップ王子を育てながらその期が熟すのを待っていたのです。 遂にその時がやってきました。 ロシュフォールは寝台で休んでいる若きルイ14世を拉致して顔が分からぬように鉄仮面を被せて身分の高い人物用の塔の上の牢獄に幽閉してしまい、子飼いにした弟のフィリップを王座に付かせて己の利権を得ようとしたのです。

我、王にして王にあらず、囚われたルイ14世は塔の下の漁師に「これをダルタニャンに届けよ、褒美はとらす。」と、ルイ14世の印としてメダルの片割れの図も引っかいて記した銀食器を落としてルイ14世の危機をダルタニアンに知らせたのです。 またまた旧友三銃士がダルタニャンと共にルイ14世救出に馳せ参じます。 老いたりといえども昔とったる杵柄ならぬサーベルを振り回し強いのなんのって、ロシュフォールの配下と闘かいます。 最後にはマスケット(火縄銃)やら火薬樽の爆発やらと新兵器も登場したせいで一人は命を落としますが、残されたダルタニャンとニ銃士は悲しむ暇もなくルイ14世の奪回に成功して皇后が毒入りワインを飲まねばならぬ直前にかろうじて間に合ったのでした。 ルイ14世はそれまで自分が被せられていた鉄仮面を今度はフィリップに被せて幽閉しフランス国家は救われたというお話です。 しかし身元がばれた際に逆上した偽ルイ14世(弟のフィリップ)のナイフでダルタニャンが背中に致命傷を負います。 王宮をよろめきながら出て行くダルタニャンを天から迎えに来たのはあの三銃士たちでした。

All for one and one for all!
映画の冒頭の劇の幕開けで三銃士を後ろにダグラス・フェアバンクスが演じるダルタニャンがサーベルを振り回しながら叫んでいるスローガンは「All for one and one for all!」ですが、原作ではフランス語の"Un pour tous, tous pour un.(一人は皆の為に、皆は一人の為に)"となっています。 この名句は映画では冒頭、三銃士の未来永劫の別れ、ルイ14世が成人する頃、幽閉されている鉄仮面救出場面、そして天に召される四銃士のラストシーンで合計5度も使用されています。
Douglas Fairbanks In The Iron Mask - YouTube

Douglas Fairbanks
ダグラス・フェアバンクスはサイレント時代の1915年にThe Lamb(快男子)でデビューし、その後も1920年に「The Mark of Zorro(奇傑ゾロー)」、1929年に「The Three Musketeers(三銃士)」、1922年に「Douglas Fairbanks in Robin Hood(ロビン・フッド)」、1924年に「The Thief of Bagdad(バグダッドの盗賊)」などの無声映画(サイレント)に立て続けに出演して人気を博したアメリカの美男俳優です。 1938年には往年のフランス女優のDanielle Darrieux(ダニエル・ダリュー)と「The Rage of Paris(巴里の評判娘)」で共演した他にたくさんの冒険活劇に出演しました。
生涯に何度も結婚したダグラス・フェアバンクスでしたが、最後の妻だったCarole Lombard(キャロル・ロンバート)は1939年にClark Gable(クラーク・ゲイブル又はクラーク・ゲーブル)の3度目の妻となったそうです。

The Iron Mask DVD
ページトップの画像は1929年にダグラス・フェアバンクスが主演したThe Iron Mask(鉄仮面)のDVDです。 カバー画像は素晴らしいですが正体不明な海賊版らしきDVDのThe Iron Maskはアメリカ合衆国で2004年頃に発売されたそうです。
※ビデオカバー画像はカラーですがどのダグラス・フェアバンクスの「鉄仮面」のビデオは全て白黒映像です。
日本で入手出来るダグラス・フェアバンクス出演の「鉄仮面」DVDはありませんが、VHSでは「鉄仮面」と「Iron Mask」が見つかります。


Le masque de fer
Le masque de fer - Henri Decoin
Le masque de fer VHS

Le masque de fer (1962)
これは観たい!ジャン・マレーのダルタニャン!
「鉄仮面」の原作者であるアレクサンドル・デュマ・ペールの本国フランスでもHenri Decoin(アンリ・ドコアン)が監督している「鉄仮面」の映画がありますが日本では情報が見つからずフランスのAmazon.frにVHSのカバー画像がありました。 私はこのフランス版の「鉄仮面」を観たことはありませんが、今は亡き美男のJean Marais(ジャン・マレー)とがダルタニャンを演じるのですからぜひ観たいです。 1957年にJacqueline Sassard(ジャクリーヌ・ササール)主演の「Guendalina(芽ばえ)」でヒロインの母親を演じたイタリア女優のSylva Koscina(シルヴァ・コシナ又はシルバ・コシナ)も出演しています。
ダニエル・ダリューの夫だった時期もあったアンリ・ドコアン監督は1953年にFrancoise Arnoul(フランソワーズ・アルヌール)が主演した「Dortoir des grandes(上級生の寝室)」などでもジャン・マレーと一緒に仕事をしています。


The Man in the Iron Mask
The Man in the Iron Mask - Leonardo DiCaprio
仮面の男 DVD

The Man in the Iron Mask 1998年
フランス語では"L'Homme au masque de fer"というタイトルの「仮面の男(鉄仮面の男)」は、Leonardo DiCaprio(レオナルド・ディカプリオ)がルイ14世とフィリップの双子を演じている「鉄仮面」映画で入手可能なビデオです。 Randall Wallace(ランダル・ウォレス)が監督及び脚本も手掛け、三銃士としてアラミスをJeremy Irons(ジェレミー・アイアンズ)、アトスをJohn Malkovich(ジョン・マルコヴィッチ)、ポルトスをGerard Depardieu(ジェラール・ドパルデュー)が演じるという豪華キャストです。 The Skeleton Key(スケルトン・キー)に出演したPeter Sarsgaard(ピーター・サースガード)もマルコヴィッチが演じる三銃士の一人であるアトスの隠し子のRaoul(ラウル)役でデビューしています。  ダルタニャンを演じるのは1987年にシエスタに出演しそのセクシーさゆえに主演のEllen Barkin(エレン・バーキン)がつい結婚してしまったというほどの男前の俳優のGabriel Byrne(ガブリエル・バーン)です。 こちらの「仮面」男」も1962年のパリを舞台にしていますが、幽閉されている仮面の男は秘密を知ったルイ14世が田舎に暮らしていた弟のフィリップを拉致して幽閉したことになっています。 14世の母である皇太后とダルタニャンとの不義の子と知ったからです。 つまりこの映画では双子の王子は、枢機卿のリシュリューや皇太后の相談役のJules Mazarin(マザラン)の子説ではなく、13世の王妃がダルタニャンと密通して出来たという説を採っています。 エレン・バーキンが恋に落ちたほど魅力的なガブリエル・バーンだから王妃と関係したダルタニャンという配役も頷けます。

さて、恋人のクリスティーヌをルイ14世に取られた挙句に前線に配属されて戦士した息子のラウルのことで国王を恨んだ父のアトスが復讐することを決意します。 「L'État, c'est moi!(朕は国家なり)」と公言する絶対王政を確立しやりたい放題のルイ14世を杞憂して、聖職にあるアラミスの計画にダルタニャン以外の残りの銃士が加担して幽閉されている仮面の男と現ルイ14世とを入れ替える手助けをすることになります。 ルイ14世のマイ・フェア・キング・バージョンとして、仮面の男だったフィリップが国王の身代わりとなり今までのルイ14世が今度は鉄仮面として幽閉されそうになったものの又入れ替わって結局元の木阿弥とまさにすり替え取替え物語なのです。 ハイライトは埃にまみれた昔の三銃士の制服引きずり出して身に纏った銃士三人はフィリップが幽閉されている牢獄へと向います。 粋なダルタニャンも別れの赤い薔薇を皇后に捧げると三銃士に加わるべく宮殿を後にします。 ダルタニャンは国王と近衛兵との銃撃戦の最中、フィリップ弟王子に自分が父親であることを告白した後、フィリップと三銃士ともども捨て身の突撃を決行し全員討ち死にします。 いや、ところがその時点では死にませんでした。 もうもうと立ち込める硝煙臭い(多分)紛塵の中から三銃士たちが現れ出でたのです。 パチパチパチ! 喜びもつかの間、その後の乱闘で国王に背中を一突きされたダルタニャンは"All for one and one for all.(一人は皆の為に、皆は一人の為に)"と言い残して息を引き取ります。(実在したダルタニャンはオランダ戦争でのマーストリヒトの攻囲戦で1673年に死亡) そして鉄仮面を王の銃士たちに引き渡したので幽閉されるべく連れ去られます。 さていったいどっちのルイ14世なんでしょう? 「仮面の男」でも例の三銃士のスローガン「All for one and one for all(1人は皆のために、皆は1人のために)」は2度ほど出てきます。

1993年の「What's Eating Gilbert Grape(ギルバート・グレイプ)」から成長したレオナルド・ディカプリオが1997年のTitanic(タイタニック)に続いて大役を演じています。 「仮面の男」でもベッドシーンを演じているレオさまですが2004年にはもっと成長して「The Aviator(アビエイター)では金髪グラマー好きのHoward Hughes(ハワード・ヒューズ)役で主演しています。

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