ハッシャバイ Hush A Bye - The Jazz Singer (1952)


Sing Songs from the Jazz Singer
Jazz Singer Soundtrack
Danny Thomas & Peggy Lee in The Jazz Singer (1952)

Hush A Bye, Hush-A-Bye, Hushabye
私の好きなジャズのスタンダードの1曲である"Hush A Bye"は子供の頃によくラジオから流れてきました。
♪ る、る、ら、るるー、はっしゃばい、おやすみ よいこよ ♪と美しいメロディにのせた子守唄です。 日本では島田芳文が日本語の訳詞を付けて旗照夫やダーク・ダックスが歌いました。 テレビにもよく出演していたジャズ歌手の旗照夫は1954年の"ハッシャバイ(夢よやすらかに)"がデビュー曲だったそうですが、その旗照夫の実演を私は1956年頃に観たことがあります。 "Hush A Bye"のHushとは「シーッ、静かに」と赤ちゃんを寝かしつける時の間投詞だそうですから、日本の子守唄の「ねんねんよ、おころりよ」に当たるでしょうか。 そういえば1965年にBette Davis(ベティ・デイヴィス)が主演したRobert Aldrich(ロバート・アルドリッチ)監督の「Hush... Hush, Sweet Charlotte(ふるえて眠れ)」というサスペンス映画がありJoseph Cotten(ジョセフ・コットン)がピアノ伴奏で歌っていました。 Doris Day(ドリス・デイ)の1940年代の録音にHarry James(ハリー・ジェームス)楽団をバックに歌ったLullaby of Broadway(ブロードウエイの子守歌)にはHushという歌詞は見つかりませんが、Lull-a-byはHush-A-Byeと同じように子守唄のことだそうです。
Lu lul-la lu lu. hush-a-bye, Dream of the angels way up high ...と歌われる歌詞はHush A Bye Lyrics - SONGBOOK

Hush A Bye on Mother Goose
この曲の元は1916年ごろに出版されたイギリスの伝承童謡集のMother Goose(マザー・グース)に収録されている子守唄だそうです。 「マザー・グース」のなかにはLondon Bridge(ロンドン橋)やHumpty Dumpty(ハンプティ・ダンプティ)やHush-A-Bye Baby(ハッシャバイ、おやすみ赤ちゃん木のこずえ )など日本でも有名になっている詞がたくさんあります。 このHush A Bye(ハッシャバイ)の詩のなかに"Hush a bye baby, on the tree top. When the wind blows the cradle will rock;"という1節がありますが、1959年の"Running Bear(悲しきインディアン)"でお馴染みのカントリー・ポップス歌手のJohnny Preston(ジョニー・プレストン)が1960年にヒットさせた"Cradle Of Love(恋のゆりかご)"という曲にも引用されています。(Rock-a-bye baby, in the treetop, When the wind blows, the cradle will rock, When the bough breaks, the cradle will fall, And down will come baby, cradle and all.)
※「マザー・グース」に載っているオリジナルの"Rock-a-bye, baby"は「Rock-a-bye, baby, thy cradle is green; Father's a nobleman, mother's a queen;」という詩だそうです。 1959年のミュージカル「Porgy and Bess(ポギーとベス)」で歌われた"Summertime(サマータイム)"がこのような内容の歌詞です。

The Jazz Singer 1952年
The Jazz Singer VHSSammy Fain(サミー・フェイン)の作曲でJerry Seelen(ジェリー・シーレン)の作詞による私の好きな"Hush A Bye"は、日本未公開でしたが"「The Jazz Singer(ジャズ・シンガー)」というミュージカル映画で使用された曲なのです。 ハリウッドの赤狩り裁判後に制作された「ジャズ・シンガー」はMichael Curtiz(マイケル・カーティス)監督が1927年にミンストレル・ショー的な黒人に扮したAl Jolson(アル・ジョルソン)の初のトーキー(でもサイレント)名作の「The Jazz Singer(ジャズ・シンガー)」をリメイクして1953年のオスカーにノミネートされたそうです。 ハンガリー出身のマイケル・カーティス監督は1920年代から映画を撮りはじめ、1952年のCasablanca(カサブランカ)が特に有名ですが、Mildred Pierce(ミルドレッド・ピアース)やWhite Christmas(ホワイト・クリスマス)などの多くの作品で知られています。 この映画「ジャズ・シンガー」は1940年The Shop Around The Corner(街角 桃色(ピンク)の店)」の脚本を手掛けたSamson Rafaelson(サムソン・ラファエルソン)が書いた原案の映画化です。 このリメイク「ジャズ・シンガー」にはユダヤ人ではないレバノン系のTVコメディアンであるDanny Thomas(ダニー・トーマス)がユダヤ人役で出演しています。 映画でユダヤ人の青年と恋仲になる女性をPeggy Lee(ペギー・リー)が演じてその存在感と力量がが評価されています。 映画は未見ですが、ユダヤ人の青年とユダヤ人でない女性との異教徒間の結婚問題を交えて描いたアメリカのユダヤ人映画だそうです。 朝鮮戦争からアメリカ本土に戻った青年がユダヤ教会堂の礼拝主唱者である父が要望する跡継の誓いを破ってもショー・ビジネスへの情熱を成就しようとして父との確執劇を描いたメロドラマだそうです。 この「ジャズ・シンガー」がさらに1980年にRichard Fleischer(リチャード・フレイシャー)監督で主役をNeil Diamond(ニール・ダイアモンド)が演じてリメイクされています。 「ジャズ・シンガー」は日本では未公開でしたがダニー・トーマスが歌った"Hush A Bye(ハッシャバイ)"という曲が一人歩きして映画を観ていない人々にも人気がありました。
偉大なるジャズシンガーのペギー・リーが歌う映像が観られる「ジャズ・シンガー」のビデオは1994年にリリースされた輸入VHS(英語)のJazz Singer (1953)が販売されています。
☆1955年のディズニー映画「Lady and the Tramp(わんわん物語)」で"Hush A Bye"に似た"La La Lu(ララルー)"という子守唄を歌ったペギー・リーについてはAudio-Visual Trivia 内のペギー・リー Peggy Lee

Sing Songs from the Jazz Singer Soundtrack
ページトップの画像はGordon Jenkins & His Orchestra(ゴードン・ジェンキンス・オーケストラ)が演奏するミュージカル映画「The Jazz Singer」のサウンドトラックで全28曲を収録した2005年盤ですが、"Hush-A-Bye"が収録されていて、ボーナストラックにペギー・リーの"Ain'tcha Ever Comin' Back"と"Shame on You"も収録してあります。 "Shame on You"はカントリー歌手のSpade Cooley(スペード・クーリー)の曲として有名です。 サントラにはダニー・トーマスが歌う"Hush-A-Bye"と"(You May Not Be an Angel, but) I'll String Along with You"を、ペギー・リーはRodgers & Hart(ロジャー・アンド・ハート)の"Lover"や"Just One of Those Things"、"I Wanna Go Where You Go, Then I'll Be Happy"、"Ay Ay Chug Chug"、"That Ol' Devil (Won't Get Me)"、"If You Turn Me Down"、"Boulevard Cafe"、"It Never Happen' to Me"などの他、二人でデュエットもを歌っているそうです。 "Rock - A - Bye Your Baby With A Dixie Melody"は収録されていても"Hush-A-Bye"が収録されていない「Jazz Singer Soundtrack」もあります。
※サミー・フェインとジェリー・シーレンのコンビは"Hush-a-bye"をはじめ、"Living the Life I Love"、"What Are New Yorkers MadeOf?"、"Oh Moon"、"I Hear the Music Now"などを作っています。
サントラの試聴はSing Songs from the Jazz Singer - Amazon.com
Peggy Lee - Lover - Ilike.com
Peggy Lee - Just One of Those Things - Ilike.com

Hush A Bye, Hush-A-Bye, Hushabye
Bing Crosby sings Hush A Bye
ヴェリー・ベスト・オブ・ビング・クロスビー
The Very Best of Bing Crosby私の好きな"ハッシャバイ"はなんといってもボーカル・バージョンです。 TemptationWhite Christmasなど数え切れないほどたくさんのヒット曲でお馴染みのBing Crosby(ビング・クロスビー)が1954年に"Hush-a-bye"として甘い歌声で録音しました。 おそらくジャズボーカルの曲として知られているハッシャバイは映画の中で歌ったダニー・トーマスではなくビング・クロスビーだと思います。 ビング・クロスビーが歌ったジャズのスタンダード曲全25曲を収録して国内でリリースされたお勧めの「The Very Best of Bing Crosby(ヴェリー・ベスト・オブ・ビング・クロスビー)」に"Hush-a-bye"が収録されています。 上記のリンク先で試聴できますからぜひ聞いて下さい。

Carol Sloane sings Hush A Bye
ジャズ歌手にも色々で、Sarah Vaughan(サラ・ヴォーン)やCarmen McRae(カーメン・マクレー)などの黒人ボーカリストに対して白人ボーカリストのChris Connor(クリス・コナー)に歌唱法が似たCarol Sloane(キャロル・スローン)がいます。 近年には日本でも活動してファンを獲得したキャロル・スローンの幻のレコード「ハッシャバイ」が2008年にCD化されたそうです。 アルバムタイトル曲となっている"Hush A Bye"の他"Angel Eyes"や"Body and Soul"などのスタンダードを11曲収録しています。
Carol Sloan - Hush- A- Bye - YouTube


Those Who Play "Hush-A-Bye"
ロマンティックな子守唄の"ハッシャバイ"は多くのミュージシャンが好んで演奏しています。
Chris Barber
1950年代後期に"Petite Fleur(可愛い花)"の名演奏で知られるクリス・バーバーは1950年代にブルースマンのBig Bill Broonzy(ビッグ・ビル・ブルーンジー)などと組んでベルギーなどの欧州ツアーを行った英国トラッド・ジャズのトロンボーン奏者です。 そのクリス・バーバー・バンドの1956年から1958年にかけての録音を集めたお勧めの2枚組みアルバム「The Pye Jazz Anthology ( Chris Barber & His Jazz Band )」に"Hushabye"として収録しています。(トランペットのKen Coyler(ケン・コリアー)やドラムのRon Bowden(ロン・ボウデン)が参加)
本当に眠ってしまいそうなクリス・バーバー楽団が演奏する "Hushabye"の試聴はThe Pye Jazz Anthology - Amazon.com

Kenny Drew
ジャズ・ピアニストのケニー・ドリューは"Hush-A-Bye"又は"Hushabye"として何枚かのアルバムに収録しています。 ケニー・ドリュー & Niels-Henning(ニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセン)のデュオアルバムの「DUO」や、1978年のヨーロッパ公演の録音でベースのニールス・ペデルセンやドラムのEd Thigpen(エド・シグペン)との2000年リリースの国内リリースのアルバム「Hush-A-Bye(ハッシャ・バイ」)(ASIN: B00005FPG5)の"Hush A Bye"ではデンマーク出身のジャズヴァイオリニストであるSvend Asmussen(スベンド・アスムッセン)をフィーチャーしてユニークでロマンティックな編曲です。(試聴可) この他にも"Hush a Bye"としてアルバムの「Nature Beauty」に、"Hushabye"として1992年リリースの「Kenny Drew Live」に収録されています。

Johnny Griffin
ファンキーなテナーサックス奏者のジョニー・グリフィンは1967年のコペンハーゲン・ライヴ盤「ハッシャ・バイ」というアルバムを録音しましたが、現在は1998年リリースの2枚組CD「ハッシャ・バイ : コンプリート・モンマルトル・セッションズ 」に収録されています。 演奏メンバーはテナーサックスがジョニーグリフィンの他、ピアノがケニー・ドリュー、ベースがニールス・ペデルセン、ドラムがアルバート・ヒースです。 ジョニー・グリフィンのファンキーな"ハッシャ・バイ"はアルバム「The Kerry Dancers(ザ・ケリー・ダンサーズ)」の他、「Woe Is Me」(ASIN: B0000248QZ)に"Hush-A-Bye"としてCDに収録されています。
試聴はThe Kerry Dancers and Other Swinging Folk - Amazon.com
☆ジョニー・グリフィンについてはHot'n Cool内のジョニー・グリフィン Johnny Griffin
Johnny Griffin - Hushabye - Ilike.com

Those Who sing another Hushabye
まったく違う曲としては、1926年にJean Goldkette Orchestra(ジーン・ゴールドケット楽団)がボーカル入りで録音した"Hush-A-Bye"はRobert E. Spencer(ロバート・スペンサー)作曲とFrank X. Galvin(フランク・ガルヴィン)作詞だそうです。
一方、1959年のヒット曲"Go, Jimmy, Go"で有名ですが小児麻痺のため車椅子だったというユダヤ系ミュージシャンのDoc Pomus(ドク・ポーマス)、とMort Shuman(モート・シューマン)のブルース好きコンビが作った"Hushabye"がドゥーワップのThe Mysticsの歌でヒットしました。 このバージョンはThe Beach Boys(ビーチ・ボーイズ)やThe Ventures(ベンチャーズ)などもカバーしています。
※ちなみに類似した歌のタイトルとしては1958年のコメディ映画の「Rock-a-Bye Baby(底抜け楽じゃないデス)」でJerry Lewis(ジェリー・ルイス)が歌った同名のテーマ曲もあります。 これはHarry Warren(ハリー・ウォーレン)が作曲しSammy Cahn(サミー・カーン)が作詞したロックンロール曲です。

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