May 2009 Archives



Bebop pianists
ファンキーなモダンジャズが流行っているからと私もジャズ喫茶なんぞに行った1960年代中頃から後期にかけてのジャズピアニストは誰といっても数え切れません。 ここでいうところのジャズ喫茶とは大きなスピーカーでジャズのレコードをかけている珈琲ハウスのことです。 それ以前の1950年代後期にはロカビリーの生演奏を聴かせるスポットもジャズ喫茶と呼んでいました。 ビバップのピアニストならThelonious Monk(セロニアス・モンク)、Duke Jordan(デューク・ジョーダン)やAl Haig(アル・ヘイグ)、Hank Jones(ハンク・ジョーンズ)、Ray Bryant(レイ・ブライアント)やWynton Kelly(ウィントン・ケリー)だって、そうそうOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)も忘れちゃいけない、Nat King Cole(ナット・キング・コール)はどうでしょうか。 Duke Ellington(デューク・エリントン)だってビバップをやったのです。 そのなかでもモダンジャズの創始者の一人と云われるホレス・シルヴァーや、ホレスが影響を受けたというBud Powell(バド・パウエル)も当然ジャズ喫茶で頻繁にレコードがかけられていました。 バド・パウエルだとたいていは1947年に作曲した"Cleopatra's Dream(クレオパトラの夢)"でした。(試聴はザ・シーン・チェンジズ
ファンキー・ジャズとかハードバップとかブルース色の強いソウル・ジャズとか呼び名は色々で線引きもややこしいですが、その頃はハードバップだろうとポストバップだろうとビバップなら何でも、フリー・ジャズもひっくるめてモダンジャズと呼んでいたようです。(少なくとも私は。) 戦前戦後とラテンやシャンソンもひっくるめてジャズと称していたような時代もあったのですからちょっとはましだったでしょうか。

Horace Silver
コネチカットで1928年に生まれたホレス・シルヴァーは80歳を越した今現在もニューヨークなどで演奏しているファンキーなジャズピアニストです。 恐るべしホレス・シルヴァー! 地元のクラブでサックスを吹いていたところを1950年に白人テナーマンのStan Getz(スタン・ゲッツ)に見出されて1951年にニューヨークのBirdlandでStan Getz Quintetsとして録音したのがホレス・シルヴァーの初吹き込みだったそうです。(Penny、Split Kick、Potter's Luck?) その後ホレス・シルヴァーは自己のトリオやクインテットなどの楽団を結成してブルースにラテン風味を加えた独特の演奏でソウルジャズの先駆けとなりました。 1952年からドラマーのArt Blakey(アート・ブレイキー)を招いてバンドを組み、トランペッターのClifford Brown(クリフォード・ブラウン)が参加したカルテットでバードランドで"Split Kick"などを吹き込んだ1954年の「A Night at Birdland」は有名です。(この盤についてはアート・ブレイキーの記事参照) 1956年にLee Morgan(リー・モーガン)名義のデビュー盤「Lee Morgan Indeed!」に参加したホレス・シルヴァーでしたが、バードランドの夜から4年後には楽団名の"ジャズメッセンジャーズ"をブレイキーに譲ってトランペットのDonald Byrd(ドナルド・バード)、テナーサックスのHank Mobley(ハンク・モブレー)、ベースのDoug Watkins(ダグ・ワトキンス)などのバンドメンバーと共に抜けて自己のクインテットを結成しました。 1940年代後期にイスラム教に改宗していたアート・ブレイキーとホレス・シルヴァーはソリが合わなかったそうです。(日本のロックバンドのTHE BLUE HEARTSみたい?)
ホレス・シルヴァーが傑出したジャズ・ミュージシャンであるのは、ブルーノートで1964年録音の「Song For My Father」などの多くの名盤を残したピアニストというだけでなく、1950年代や1960年代には数え切れないほどたくさんの魅惑的な異色作品を作曲して作曲家としても名高いということです。 ホレス・シルヴァーの作品にはVocalise(ヴォーカリーズ)の先達と云われるEddie Jefferson(エディ・ジェファーソン)のボーカル・バージョンでも有名な"Psychedelic Sally"、"The Jody Grind"、"Juicy Lucy"、"Opus de Funk"、"Nica's Dream"、"Peace"、"Natives Are Restless Tonight"、"Calcutta Cutie、Que Pasa?"、"Lonely Woman"、"The Preacher(ザ・プリーチャー)"などたくさんありますが、やはり超ファンキーでポピュラーな"Senor Blues(セニョール・ブルース)"や"Sister Sadie(シスター・セイディー)"や"Song for My Father(ソング・フォー・マイ・ファーザー)"、そして"Doodlin'(ドゥードリン)"などが私が一番良く聴いた曲です。 "Doodlin'"はまさに考え事をしている時、無意識にペンを走らせているように身体もユラユラと揺れ動いてしまうほど心地よい曲です。 Last.fmのチャートでみてもやはりSong For My Fatherがダントツ1位となっています。 ホレス・シルヴァーのスタイルはバド・パウエルのように窒息しそうな緊張感で鬼気に迫る演奏というよりもビバップしていますが何かユーモアを感じさせるノリの良い演奏だと思いますが、後期には実験劇場みたいに自己啓発音楽だの哲学及び宗教的な音楽に傾倒したようです。 バッブ・ミュージシャンはほとばしる感情を表現するパワフルな即興(アドリブ)が命ですが、バド・パウエルとCharlie Parker(チャーリー・パーカー)を同時に聴いたらきっと窒息します。
ホレス・シルヴァーが一緒に仕事をしたミュージシャンも数多くいますが、アート・ブレイキーの他にはエキサイティングなトランペットのDonald Byrd(ドナルド・バード)、テナーサックスのHank Mobley(ハンク・モブリー)、Woody Shaw(ウッディ・ショウ)、Art Farmer(アート・ファーマー)、1964年から1966年のJoe Henderson(ジョー・ヘンダーソン)などが有名だそうです。
Horace Silver & The Jazz Messengers - "Doodlin'" - (1955 & 1954 Blue Note 45rpm) - YouTube

Song for My Father
Song for My Father CD
Song for My Father by Horace Silverアルバム画像はホレス・シルヴァー自身ではなくアルバムのタイトルにあるようにホレスのパパであるJohn Tavares Silver(ジョン・シルヴァー)です。
ホレス・シルヴァーが作曲したボサノヴァ調の"Song for My Father"はホレスが父親に捧げた曲だそうです。 その曲を収録したHorace Silver Quintet(クシンテット)のブルーノートのアルバムはオリジナル録音が1964年だそうです。 このCDはホレス・シルヴァーが作曲した代表曲の"Song for My Father"や"Sanctimonious Sam"など、Kicker以外はオリジナルの全6曲に4曲のボーナストラックが追加されたアルバムで、五重奏団のメンバーはピアノのホレス・シルヴァー、テナーサックスに"The Kicker"の作曲者であるジョー・ヘンダーソンが参加しています。 ドラムはRoger Humphries(ロジャー・ハンフリーズ)、トランペットがCarmell Jones(キャメル・ジョーンズ)、そしてベースがTeddy Smith(テディ・スミス)です。 ボーナストラックの3番と6番と10番ではトランペットのBlue Mitchell 、テナーにJunior Cook、ベースにEugene Taylor、ドラムにRoy Brooksだそうです。
試聴はSong for My Father - Amazon.com
Horace Silver - Sanctimonious Sam - YouTube

Sister Sadie
Retrospective CD
Retrospective by Horace Silver4枚組みアルバムで、ホレス・シルヴァーのファンキーなピアノ演奏の"The Process Of Creation Suite"や"Nutville"などの他、ホレス・シルヴァーの代表曲といえる1956年の"Senor Blues"や1959年の"Sister Sadie"、そして"Nica's Dream"や"Song For My Father"、"Doodlin'"、"Safari"、"Ecaroh"などレアな曲も含む全36曲を収録した4枚組アルバムで、Blue Noteの1952年ごろの録音らいしが4枚目は1960代後期から1970s年代初期の演奏だそうです。
※4部からなる"The Process Of Creation Suite"についてはHot'n Cool内のホレス・シルヴァー The Process Of Creation Suite from Retrospective
試聴はRetrospective - Fnac.com
ヴォーカルはホレス・シルヴァーと長い付き合いのAndy Bey(アンディ・ベイ)やBill Henderson(ビル・ヘンダーソン)で、トランペットはKenny Dorham(ケニー・ドーハム)、Donald Byrd(ドナルド・バード)、Art Farmer(アート・ファーマー)、Blue Mitchell(ブルー・ミッチェル)、Woody Shaw(ウディ・ショウ)、ベースがBob Cranshaw(ボブ・クランショー)、Curley Russell(カーリー・ラッセル)、Percy Heath(パーシー・ヒース)、Doug Watkins(ダグ・ワトキンス)やRon Carter(ロン・カーター)など、ドラムがArt Blakey(アート・ブレイキー)やホレス・シルヴァーが発掘した新人のLouis Hayes(ルイ・ヘイズ)などだそうです。
※"Sister Sadie"は1959年のアルバム「Blowin' the Blues Away」(ASIN: B00000I41H)にも収録されています。
♪ アルバム「Blowin' The Blues Away」からホレス・シルヴァーの"Sister Sadie"が聴けるPlaylist for Evan Muse - November 26, 2006(ページ中ほどのSister Sadieの欄で最後の1:28:18 (Real)をクリック)
Horace Silver - Sister Sadie (Blue Note)- YouTube

Señor Blues
Senor Blues: 1955-1959 CD
Senor Blues: 1955-1959 by Horace Silver1998年にリリースされたホレス・シルヴァーのベスト盤で、Señor Bluesをはじめ、Finger Poppin'やThe Preacherなど12曲を収録していますが現在は入手困難です。 他にSenor Bluesを収録しているアルバムはDoodlin'やSong for My Fatherなど8曲を収録した輸入ベスト盤の「The Very Best」(ASIN: B00094AT08)や「Live At Newport '58」そして上記の「Retrospective」などです。 Bill Henderson(ビル・ヘンダーソン)が歌うSenor Bluesのボーカル・バージョンは「Blue Note Trip: Lookin' Back / Movin' On」や下記に紹介している「Six Pieces Of Silver」などに収録されています。
"Senor Blues"はホレス・シルヴァー楽団以外にもカバーしているミュージシャンが多くGeorge Shearing (& Dakota Staton)、David Sanborn (& Phil Woods)、Herbie Mann(ハービー・マン)、そしてIke Turner(アイク・ターナー)やTaj Mahal(タジ・マハール)まで、又ボーカルではRay Charles(レイ・チャールズ)、Anita O'Day(アニタ・オデイ)やChris Connor(クリス・コナー)などがいます。
Horace Silver - Senor Blues - YouTube
Horace Silver - Senor Blues (Newport 1959) - YouTube

Six Pieces Of Silver
6・ピーシズ・オブ・シルヴァー+3 CD
Six Pieces Of SilverJazz Messengers(ジャズ・メッセンジャーズ)をArt Blakey(ブレイキー)の手にゆだねた後の1956年の録音でホレス・シルヴァーのソリストとしての地盤固めとなったアルバムだそうで、1956年と1958年の録音を集めたHorace Silver Quintet(クィンテット)のBlue Noteアルバムです。 Bill Henderson(ビル・ヘンダーソン)のボーカル・バージョンを含め"Senor Blues"3バージョンの他、シルヴァーの作曲であるCool EyesやFor Heaven's Sakeなど全10曲を収録しています。 メンバーはDonald Byrd,(ドナルド・バード)、Hank Mobley(ハンク・モブレイ)、Doug Watkins(ダグ・ワトキンス)、ドラムがLouis Hayes(ロイ・ヘインズ)です。
こちらでも試聴可6ピーシズ・オブ・シルヴァー [Original Recording Remastered]
Horace Silver with Blue Mitchell, Junior Cook, Gene Tailor and Louis Hayes - Cool Eyes 1958- YouTube

Quicksilver
Jazz Characters by Horace Silver Quicksilver by Horace Silver←左の画像は日本のAmazon.co.jpでみつけた「Quicksilver」というアルバムですが、ジャズの巨人のイラスト・シリーズでタイトル曲を収録した「Jazz Characters (Scoops - Jazz characters volume 39)」のものらしいです。
☆本物はその左の画像のアルバム「Quicksilver CD」でタイトル曲の"Quicksilver(クイック・シルヴァー)"の他に"Horoscope"や、アドリブにIt Don't Mean A Thingのフレーズが聞える"Safari"など全14曲を収録しています。
アルバムの試聴はQuicksilver - Fnac.com
この他に"Quicksilver"が収録されているアルバムは1952年の「Horace Silver Trio」などで、演奏メンバーはベースにGene Ramey(ジーン・ラミー)、Percy Heath(パーシー・ヒース)、Curly Russell(カーリー・ラッセル)でドラムがArt Blakey(アート・ブレイキー)です。 アルバム「Horace Silver Trio」や1952年の「Horace Silver Trio And Art Blakey-Sabu」にも収録されています。※"Sabu(サブ)"とはラテン・パーカッション演奏者のSabu Martinez(サブー・マルティネス)のこと。
(国内盤ではホレス・シルヴァー・トリオ&アート・ブレイキー、サブー+4
アルバム「Quicksilver(クイックシルヴァー)」の試聴はHorace Silver Trio, Vol. 1: Spotlight On Drums - Amazon.com

Doodlin'
A Proper Introduction to Horace Silver: Doodlin' CD
Proper Introduction to Horace Silver - DoodlinHorace Silver And Art Blakey(ホレス・シルヴァー&アート・ブレイキー)の演奏で知られるホレス・シルヴァーが作曲した"Doodlin'"は私が好きなだけでなく、当時のミュージシャンにも人気のある曲でした。 ピアニストのRay Bryant(レイ・ブライアント)、トランペット奏者ではDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)や白人バッパーのCandoli Brothers(カンドリ兄弟)やQuincy Jones(クインシー・ジョーンズ)、ギタリストのBarney Kessel(バーニー・ケッセル)が演奏した他、ボーカルではSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)やRay Charles(レイ・チャールズ)やPeggy Lee(ペギー・リー)などのバージョンがあります。


The Compositions of Horace Silver Riverside SR-3022
Compositions of Horace Silver私が持っている"Doodlin'"はホレス・シルヴァーが作曲した作品を集めたSongbook(ソングブック)で、Riverside SR-3022(オリジナルLPは多分Riverside 12"LP: RS 93509) 「The Compositions of Horace Silver」という33 1/3回転のLPのコンピレーション・アルバムで1960年前後のリリースだと思います。(eBay.comにあり、中古で6000円位)
A面にSister Sadie(Nat Adderley演奏)とHome Cookin'(Bobby Timmons演奏)、B面にはDoodlin'("Stolen Moments"の作詞者のMark Murphyのヴォーカル)とFilthy McNasty(Junior Mance演奏)というレアな演奏を収録しています。 ※ナット・アダレイが演奏するホレス・シルヴァーの"Sister Sadie"はAudio-Visual Trivia 内の記事「Work Song - Nat Adderley」で聴けます。(ページの最後)
"Doodlin'"を収録しているアルバムにはオリジナル録音が1954年というホレス・シルヴァーがビバップしているアルバム「Horace Silver and the Jazz Messengers」(ASIN: B0007M23AQ)があり、Creepin' InやPreacherなど8曲を収録してあります。
試聴はHorace Silver & The Jazz Messengers - Amazon.com
Horace Silver - Doodlin' - YouTube

Nutville
ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース CD
オリジナルは1965年のブルーノート録音のアルバム「The Cape Verdean Blues」ではホレス・シルヴァーの幼少期に父の故郷であるアフリカ西方沖合いにある"Cape Verdean(ベルデ岬諸島)"で出合った美しい旋律をブルースに取り込んでいるそうです。 ホレス・シルヴァーが作曲したラテン調の"Nutville"やカーニヴァルのサンバようにのりのりのタイトル曲"The Cape Verdean Blues"をはじめ、ルンバ曲の"Bonita"などオリジナル全6曲を収録したラテン風味のアルバムです。 "Nutville"は上記の4枚組みアルバム「Retrospective」のディスク:3の4番目にも収録されています。 この"Nutville(ナットビル)"はジャズメッセンジャーズに在籍していたリー・モーガンも演奏していますがドラマーのBuddy Rich(バディー・リッチ)の代表的な演奏ともなっているそうです。 演奏メンバーはトロンボーンのJ.J. Johnson(JJジョンソン)、トランペットがWoody Shaw(ウディ・ショウ)、テナーがJoe Henderson(ジョー・ヘンダーソン)、ベースがBob Cranshaw(ボブ・クランショー)、ドラムがRoger Humphries(ロジャー・ハンフリーズ)です。 「The Cape Verdean Blues」(ASIN: B0001CLZP6)もあり。
※ちなみに"Nutville"はオリジナルが1978年というコンピレーションのVol. 18, Horace Silver: Eight Jazz Classics, For You To Play (Book & CD Set)にも収録されているそうです。(Nutville、Song for My Father、Preacher、Sister Sadieなど全9曲収録)

Horace Silver and Andy Bey: Total Responce
The United States of Mind CD
United States of Mind by Horace Silver and Andy Bey1960年代にはSam Cooke(サム・クック)のお気に入りだったファンキーなボーカリストのアンディ・ベイは1970年代にはホレス・シルヴァー楽団の専属歌手としてツアーに参加しており、シルヴァーとアンディのコンビは90年代まで続いたそうです。 1970年にアンディ・ベイの姉であるSalome Bey(サロメ・ベイ)も一緒にホレス・シルヴァー楽団とレコーディングしました。 アンディ・ベイのボーカルをフィチャーしたHorace Silver Quintet(クィンテット)のグルービーなアルバムは1970年にブルーノートで録音したLPレコード「Horace Silver - Total Response」です。 ホレス・シルヴァーがエレクトリック・ピアノを演奏しRichie Resnicoff(リッチー・レスニコフ)のワウワウ・ギターも導入したアルバムで、アンディ・ベイは"Won't You Open Up Your Senses"や"I've Had A Little Talk"など素晴らしい喉をきかせています。
オリジナルLPからAcid, Pot or Pills、Won't You Open Up Your Senses、I've Had A Little Talk、Total Responseが試聴できるTotal Responce - アナログレコード再廃盤カタログ
上記のレコードは中古かオークションにしかないのですが、1970年から1972年のブルーノート録音をCD化した全28曲収録の2枚組みの「United States of Mind」というアルバムがリリースされています。 ホレス・シルヴァーが教祖さまにでもなったようなCD画像ですが、まさにその通りで聴く者に癒しを与えるスピリチュアルなアルバムです。 しかしイエスならぬホレス教祖の信者はさほど増えなかったようでこの後、ファンキー信徒のもとに戻りました。 フィーチャーされているボーカリストはアンディ・ベイと男性も顔負けするほどダイナミックで野太い声のサロメ・ベイ、そして「That Healin' Feelin'」のボーカルはWoody Shaw(ウッディ・ショウ)ともレコーディングした1970年代のブルーノート女性ボーカリストのGail Nelson(ゲイリー・ネルソン)のようです。("Lady Day at Emerson's Bar & Grill"などのブロードウエイの舞台に出ていたらしい。) サロメ・ベイはAcid, Pot or Pills、Permit Me To Introduce You To Yourself、Wipe Away The Evil 、There's Much To Be Doneなどを歌っています。 オリジナルLPの収録曲はAcid, Pot or Pills、What Kind of Animal Am I?、Won't You Open Up Your Senses、I've Had A Little Talk、Soul Searchin'、Big Business、I'm Aware Of The Animals Within Me、Old Mother Nature Calls、Total Responseの全9曲だそうです。 オリジナルのブルーノートLPは"人心連合シリーズの三部作"とか呼ばれる1970年の「That Healin' Feelin」、1971年の「Total Responce」、そして1972年の「All」という3枚(3部作)です。
試聴はUnited States of Mind - Amazon.com
※ホレス・シルヴァーが作曲した"Sister Sadie"、"Opus de Funk"、"Melancholy Mood"、"The Preacher"などをスウィングバンドのWoody Herman(ウッディ・ハーマン)が1957年や1960年に吹き込んだそうですがアンディ・ベイが歌っているのかは不明。 ウッディ・ハーマンが1957年にVerveで録音した「Woody Herman '58 Featuring The Preacher」がCD化された「Featuring Preacher(1958 (Featuring The Preacher)又は"58'")」の最初のトラックに"The Preacher"が収録されています。
Horace Silver Quintet & Andy Bey - Nica's Dream - Lugano 1988 - YouTube
上記のアルバムはテーマが難解だからかさほど受けませんでしたが、1993年にテナーサックスのBranford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)とEddie Harris(エディ・ハリス)が参加してHorace Silver & The Silver Brass Ensemble(ホレス・シルヴァー・ブラス・アンサンブル)がリリースしたアンディ・ベイのボーカルをフィーチャーしたハードバップ・アルバムの「It's Got to Be Funky」の方が人気だったとか。(Basically Blueのイントロはどうなんじゃろ。) このアルバムのライナーノーツにはホレス・シルバー自身に加えてジャズマニアのClint Eastwood(クリント・イーストウッド)も一筆書いているそうです。
Andy Bey with Horace Silver - I Had a Little Talk - Amazon.com

The Tokyo Blues
ホレス・シルヴァーがアンディ・ベイを伴って1962年に来日した時、もてもてだったホレス・シルヴァーは日本が気に入ったらしく帰国してからラテン風な曲なのに日本風タイトルと着物の女性画像を載せた「The Tokyo Blues(ザ・トーキョー・ブルース)」というアルバムを作ったそうです。 ついつい飲みすぎちゃったのか"Too Much Sake"だとか"Sayonara Blues(さよならブルース)"とか"Ah! So(あぁ、そう!)"なんていう日本語を取り入れたタイトルの曲も収録されています。
試聴はHorace Silver - Tokyo Blues - Amazon.com

Willow Weep For Me
ものはついでに、ホレス・シルヴァーが参加した1955年のCannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)デビューのSavoy(サヴォイ)レーベルのアルバム「Bohemia After Dark」に収録されたキャノンボールのソロが輝いている"Willow Weep For Me"が好きです。 "Willow Weep For Me"という曲は作詞l作曲ともに1932年にAnn Ronell(アン・ロネル)が作曲家のGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュイン)に捧げた失恋の歌だそうです。 ホレス・シルヴァーが輝いてるのは"Chasm"や"Hear Me Talkin' to Ya"同様キャノンボ-ルのオリジナルという"With Apologies to Oscar"でしょうか。 このアルバムにはピアノのホレス・シルヴァーの他、コルネットのNat Adderley(ナット・アダレイ)とアルトサックスのJulian "Cannonball" Adderley(キャノンボール・アダレイ)の兄弟、トランペットのDonald Byrd(ドナルド・バード)、ベースのPaul Chambers、リーダー各のドラムのKenny Clarke(ケニー・クラーク)が参加しています。(ケニー・クラーク名義のアルバムもあり。) "Willow Weep For Me"は他のキャノンボールのアルバム「CABU Jazz Masters - Une Anthologie 1955 - 1957」にも収録されています。
試聴はBohemia After Dark - Willow Weep For Me - Amazon.com
Horace Silver & Cannonball Adderley - Bohemia After Dark - Amazon.com

Horoscope
ホレス・シルヴァーの最新国内盤は2009年にリリースされた「ホレス・スコープ [Limited Edition]」でストローリン、ホエア・ユー・アット?、ウィズアウト・ユー、ホレス・スコープ、ヤー! 、ニカの夢の全7曲が試聴可
演奏はブルー・ミッチェル、ジュニア・クック、ジーン・テイラー、ロイ・ブルックスなどです。

Live From the Umbria Jazz Festival 1976 DVD
ページトップの画像は1976年にHorace Silver Quintet(ホレス・シルヴァー・クインテット)が参加したイタリアのウンブリア・ジャズ祭でのライブ映像を収録したDVDです。 演奏メンバーはピアノがホレス・シルヴァー、テナーサックスがBob Berg、トランペットがTom Harrell、ベースがSteve Beskrone、ドラムがEddie Gladdenです。 収録曲目はAdjustment、Barbara、In Pursuit Of The 27th Man、Song For My Fatherの4曲ですが、上記のCD「Retrospective」のディスク:3に"Song For My Father"、ディスク:4に残りの3曲が収録されています。
Horace Silver - Adjustment - Amazon.com (MP3 Download)


Horace Silver - Silver's Blue (1956) - Grooveshark.com
(Silver's Blue、To Beat Or Not To Beat、How Long Has This Been Going On?、I'll Know、Shoutin' Out、Hank's Tune、The Night Has A Thousand Eyes)
アルバム「Silver's Blue」に収録された曲のうち、ホレス・シルヴァーが演奏するなんて!という"How Long Has This Been Going On?(いつの頃からか)"は1927年のミュージカル「Funny Face」のためにGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン)が作曲したのですが使用されずに1957年の映画「(パリの恋人)」でAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)が歌いました。 "How Long Has This Been Going On"の美しいメロディはミュージシャンに気に入られColeman Hawkins(コールマン・ホーキンス)やBen Webster(ベン・ウエブスター)などのテナーサックス演奏やJudy Garland(ジュディ・ガーランド)やElla Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)などのボーカルカバーがたくさんあります。。


Horace Silver - Doctor Jazz (A Prescription For the Blues 1997) - Grooveshark.com
(Album includes Prescription for the Blues、Whenever Lester Plays the Blues、You Gotta Shake That Thing、Yodel Lady Blues、Brother John and Brother Gene、Free at Last、Walk On、and Sunrise in Malibu、Doctor Jazz)

♪ Click "Listen to the program (RealAudio)" away!
The Horace Silver Songbook - Night Lights Classic Jazz - WFIU Public Radio
(Blowin' The Blues Away - Chick Corea, Nica's Dream - Art Farmer, Opus de Funk - Art Pepper, Sister Sadie - Woody Herman, Melancholy Mood(7-7-7-bar pattern), Split Kick - Art Blakey, Psychedelic Sally - Eddie Jefferson, Senor Blues - Mark Murphy, Song for My Father - Ran Blake, and Peace - Chet Baker)


Baby Doll (Original Soundtrack)
Baby Doll Soundtrack
Theatrical poster by Bill Gold
Carroll Baker as Baby Doll Meighan

Baby Doll 1956年
"べびいどおる"、"ベビードール"、このような映画の題名だとなんともエロティックな内容の映画かと思ってしまうでしょうが、この映画はドラマやコメディのカテゴリに分類されることはあってもけしてロリコンやエロティックの分野には入れられることはありません。 それでもアメリカ人の男性が憧れるという"幼な妻"を描いた「ベビイドール」の公開当時は大変話題となり、その突飛で風変わりな題材がアメリカの宗教的映倫機関であるLegion of Decency(カトリック系表現規制団体)からクレームがつき物議をかもし出したそうです。 このセンセーショナルな「ベビイドール」は私の好きな南部文学として知られるアメリカの劇作家のTennessee Williams(テネシー・ウィリアムズ)が原作及び脚本を手掛け、Elia Kazan(エリア・カザン又はイリア・カザン)が監督した伝統的な南部の大農場の崩壊と復讐と正義を描いた映画です。 1962年の映画のLolita(ロリータ)のように少女を愛してしまうロリコン映画でもありません。 しかしこう聞いてもがっかりすることはありません。 なぜならそれほどセクシーとはいえませんが、たしかに足まるだしのブルマー式パジャマのベビイドールは冒頭に登場します。 19歳で指しゃぶりだなんてセクシーどころか、まさにおバカです。 この甘やかされて頭が空っぽの若い女性が修羅場をくぐった終盤にはちゃんと大人の女性に成長したというめでたしめでたしの映画です。

テネシー・ウィリアムズの原作をエリア・カザン監督が映画化した「ベビイドール」は主な登場人物は少なく、幼な妻のBaby Doll Meighan(ベビイドール)に25歳のCarroll Baker(キャロル・ベイカー)、ベビイドールの夫である南部男のArchie Lee Meighan(アーチー)にセルビア出身の俳優で44歳のKarl Malden(カール・マルデン)、アーチーのライバルのSilva Vacarro(シルヴァ・ヴァケロ)に41歳のEli Herschel Wallach(イーライ・ハーシェル・ウォラック)です。 30代で芝居を初めこの時まだ55歳のMildred Dunnock(ミルドレッド・ダンノック)が演じるアーチーの伯母さんでボケた年寄りのローズも登場します。 ミルドレッド・ダンノックはこの役でGolden Globe助演女優賞にノミネートされたそうです。

映画の冒頭のオープニングクレジットではアメリカ南部ミシシッピのデルタ地帯の古い一軒家の絵画をバックにKenyon Hopkins(ケニヨン・ホプキンス)が作曲したスパイ映画のようにジャージーな音楽"Baby Doll And Empty House"が気だるく流れます。
このFox Tail(フォックス・テイル)と呼ばれる一軒家は南北戦争前から建っているように古く雨漏りする屋根を修理しています。 なぜフォックス・テイルと呼ばれるのかは不明です。 Foxtail Palm(キツネノオ椰子)が庭に植わっているのか、繁殖力の強い乾燥地帯に生えるエノコロ草のような雑草が生えているのか。 この屋根だけではなくてあちこちがボロボロらしいその屋敷には家業が経営不振で悪いこと続きの中年男とまだ二十歳前の妻と、料理するのにガスを付けるのを忘れるほどボケたローズ伯母さんの3人、南部の底辺に生きる人々が住んでいるのです。 そしていつも敷地の庭には何人かの黒人労働者たちがたむろしています。 当主である禿げかかった中年男の家業は黒人を使用しての摘み取りが盛んだった南部で綿花を精製する伝統的な綿繰り工場の経営だそうです。 綿繰り(種抜)とは綿糸を紡ぐ前の作業をするらしく、その昔は手動でローラーを通して綿のなかの種を取り出していた木製の道具があったとか。

Baby Doll Synopsis
「ベビイドール」のあらすじ

以下のストーリーには驚くべき結末も書かれていますからこれからビデオをご覧になる方は読まないほうが楽しめます。
映画の冒頭で、殺風景な母屋の2階に上がっていくこの家の主は2年前に未成年の妻を娶った偏屈者のArchie Lee(アーチー)です。 アーチーはベビイドールと結婚はしたものの、婚約した時は死ぬ間際の花嫁の父とある約束をしたのでした。 「娘の二十歳の誕生日まで、花嫁が心身ともに準備ができたと言うまで触れてはならぬ。」 この試練に耐えねばならぬ夫は欲求不満に陥り、しどけない姿で寝ている花嫁を隣の部屋の壁穴から覗き見るしか楽しみはないのでした。 足まる出しのパジャマを着て親指をしゃぶっている妻のベビイドール。 夫のアーチーは出歯亀よろしく妻の寝室の隣の部屋の壁穴から覗き見するのを常としていました。 今日もそこには揺り篭のようなベビイベッドにしどけなく寝そべった少女が横たわっている。 まるで赤ちゃんのように指をおしゃぶりしたまま。 覗きに気が付いたベビイドールは足が露出した短いブルーマのパジャマ姿のまま夫のアーチーが覗いている隣室に行く。 アーチーとの結婚生活に大不満のベビイドールがなじると夫のアーチーは言い返した。 「俺は法的にお前の夫だ。 あと2日経てばお前の二十歳の誕生日だ。 そうすれば。。。」 まるで関知しない若い妻は「あっそ、じゃあたしのバースデー・プレゼントは? ともかく自分の部屋に行きなさいよ!」
憤懣やるかたない様子のアーチーは戸棚に隠してあったウイスキーの小瓶を取り出してグイッとあおる。 その時、ベビイドールが入ってきたのでガーラガラペッ!とそのままうがいを装う夫です。 この後も家のあちこち、外のあちこちに隠してある酒をぐびっと呷るシーンがあります。 そう、ストレスがいっぱいのアーチーはアルコール依存症のようです。

BayBee DOLLLLL!, BaBeee DOLLLLL!
邸内に車を出してきた夫が家に向かって叫ぶ。 降りてこーい! ベビードール!ベビードール! それでも妻が出てこないからなぜか角笛を吹く夫。 「お待たせっ。」とばかりに戸口に現れたベビイドールはよそ行きのお洋服でお澄まし。 しゃなりしゃなりと夫の車に近寄るとピタッっと止まる。 「なにやってんだっ、さっさと乗れっ!」という夫に「降りてきてドアをあけなさいよ!」 こんな二人のやり取りを聞いていた黒人使用人たちはまるで「エンタの神様」でも観ているかのように笑い転げるのです。 「ヒーッヒッヒ、旦那ってば若いカミさんにコテンパンだなぁ。」と言ったどうかは不明ですが、このシーン以外にも労働者としてかなりの黒人たちが登場します。 殆どセリフはなくて何の効果も無い様にみえます。 ところがこれらの黒人たちはこの茶番劇を鑑賞している観客として重要な役割りを担っているようです。
二人は町に到着、アーチーが妻との悩みの種を医師に相談している間に、まん前の歯医者の若造と戯れているベビイドール。 ベビイドールはアーチーから離れてモテルにでも泊まって仕事を見つけようとも考えたのだった。 用事を済ますと夫は車に乗っているベビイドールにアイスクリームを買ってくる。 そこにトラックが通った。 Pay-as-You-Go 「あたしの家具がー!」とトラックを追って走るベビイドール。 その後を車で追うアーチー。 
イーライ・ウォラックが演じるのはこの土地の新参者でイタリア移民のシルヴァ・バケロです。 ちょび髭のシルヴァとその友人のロックが始めた新しい紡績機械を使用した事業により老朽化した綿繰り機を使用しているアーチーは利益が上がらず苦渋をなめていましたが、とうとう支払えない家具まで持っていかれる始末です。
ある晩のこと、絶望と挫折感に駆られたアーチーはぐいっとやった後に車で家を出た。 酒場の仲間たちはアーチーのライバルであるシルヴァ・ヴァケロの大判振る舞いで新しい工場の収穫を祝うパーティの真っ最中。 陽気に騒ぐ人々の姿をいまいまく思ったアーチー。 その直後にシルヴァ・ヴァケロの倉庫が燃え上がった。 小爆発まで起こり瞬く間に工場は火の海、焼け落ちる工場。 ガゾリン缶を見つけたシルヴァ・ヴァケロは放火の犠牲となった焼け跡で号泣する。 よそ者には保安官だって親身になってくれはしない。 そこでシシリアンのシルヴァ・ヴァケロはシシリア流の復讐を誓った。 そう、シシリアの復讐はエロかったのです。

Silva Vacarro's Red Hot Revenge a la Sicily
放火事件の翌朝のこと、アーチーの邸内にピックアップトラックが到着、降り立ったのは焼けた工場の持ち主のシルヴァ・ヴァケロと共同経営者のロックです。 シルヴァが言うには、種抜機の倉庫が焼けたのでできなくなった27回分の棉の仕上げをアーチイに頼みたい、それもとびっきり良い値段で。 それを聞いてご飛んで火に入る儲け話しだと機嫌になったアーチーは妻のベビイドールに「善隣外交(good-neighbor policy)だ、珈琲でも勧めてお持て成ししてろ!」と申し渡すといそいそと仕事に取り掛かりに家を出ていく。 ベビイドールは歓迎の一発、大あくび。 「夕べは一人ぼっちで怖くて眠れなかったの。」 これを聞き逃さなかったシルヴァ。 さっそく兼ねてから予定の復讐を開始。 このシルヴァがたいした御仁でベビードールが腕につけたお守りのブレスレットにかこつけて足で通せん坊をすると、まったくもってさわり魔のようにベビイドールに触れる手を休めることはない。 「どうぞ奥様。」と丁重に扱われて花まで貰っちゃ悪い気はしないベビイドール。 復讐に燃えるシルヴァはこのアホな子供のような妻を誑かしてなんとかアーチーのアリバイを崩してやろうという魂胆です。
Silva: The Groper - YouTube
Good Neighbor Policy
おさわりにくすぐりと、シルヴァのあらゆる手管に戸惑いを見せながらもベビイドールに性に対する感情が芽生えた様子。 心の動揺を隠すようにしゃべり続けるベビイドールがふと洩らした「夕べ夫が夕食後に自宅から出て行った。」ことを詳しく聞こうと詰め寄るシルヴァ。 夫のアリバイが崩れるかと俄然用心分深くなるベビイドール。 証言させたいシルヴァ。 不安になるベビイドール。 触られまくって大分興奮状態のベビイドール。 「頭の中が酔っぱらったみたい、ブンブンいってるわ。」と息を弾ませて家に走るベビイドールに畳み掛けるようにシルヴァは正義について説得する。 「貴方は夫を疑ってるわ。 夫は何もしていないわ。」と家に入ろうとするベビイドールに「あの爆発火事は事故ではないと分っている。 君だってそう思ってるだろう?」と畳み掛けるシルヴァ。

Funny Tag and Hide-and-Seek
追い詰められたベビイドールは助けを求めてアーチーのいる工場に行ったところ逆に「黒ん坊が働いてるところなんかに来るんじゃない!」と叩かれてしまう。 シルヴァもやって来てアーチーのお粗末な機械に腹を立てる。 頬に手の跡がついて泣いているベビイドールにチャンスとばかりに再びアタックをかけるシルヴァ。 豚の囲いの側で涙を拭くハンカチをやったり、甘いもの好きのローズがチョコレートキャディを食べたいがために病院に行ってしまうので嘆いているベビイドールの話も辛抱強く聞いてやるシルヴァ。 ふむふむ、なるほどと庭に落ちている木の実(クルミ?)なんぞを食いながらベビイドールとアーチーの結婚のいきさつも聞く。 「今までお預けったってそれは明日までだろう。 その用意はあるのか?」 どうやらこの辺から少女、いや処女のベビイドールに対するシルヴァの気持ちに変化が起きたようだ。
「レモネードでも作るわ」と気を取り直したベビイドールはシルヴァを玄関に待たせるが、レモンの代わりに自分の指を切る。 突然、ここから早回しのドタバタ喜劇調のシルヴァの悪戯が始まる。 勝手に家に入り込み幽霊の真似をして散々脅かしたシルヴァは指を切ったベビイドールの代わりにとレモンをぶった切ってダイナミックにレモネードを作り、出来上がったレモネードを手にズカズカとベビイドールの寝室がある2階に上がって行く。 そこでシルヴァは揺り篭のようなベビイベッドを見つけた。 その傍らにはオモチャの木馬まである。 そこでシルヴァは木馬にまたがると蓄音機の針を落とす。 レコードはSmiley Lewis(スマイリー・ルイス)が歌う"Shame, Shame, Shame"。 なんてことすんだ!恥を知れ!
Smiley Lewis - Shame Shame Shame - YouTube
Smiley Lewis
1957年にImperialレコードからリリースした"Shame, Shame, Shame"が映画「ベビイドール」で使用されたスマイリー・ルイス(1913 - 1966)はニューオーリンズのR&Bの歌手で前歯が欠けているのでスマイリーというニックネームを頂戴したそうです。 サントラに使用されたバージョンでテナーサックスを吹いているのはLee Allen(リー・アレン)です。 スマイリー・ルイスは戦後に初アルバム「Here Comes Smiley」をリリースし、1950年の"Tee Nah Nah"をはじめ、1952年の"The Bells Are Ringing"と1955年の"Hear You Knocking"が全国ネットでヒットしたそうです。

さて、ここからが「ベビイドール」がコメディと呼ばれる山場のシーンです。 「The Pink Panther(ピンクパンサー)」のクルーゾ警部顔負けのドタバタ喜劇開始。 物音に気付いたベビイドールとそれをからかうシルヴァの鬼ごっこと隠れん坊が延々と続く。 パドルを武器に追い掛け回すベビイドールと、電球を打ち壊したり喇叭を吹き鳴らしたりして驚かせた挙句に逆にとっ捕まえて倒れたベビイドールの腹を足で踏んでくすぐるシルヴァ、それに負けじと足に噛み付くベビイドール、陳腐に繰り広げられるエピソードを全体の雰囲気を壊す無用なシーンであるとする向きもあるが私はむしろこの茶番劇を盛り上げる真骨頂とみている。 最後は屋根裏に逃げ込んだベビイドールが雪隠詰めとなる。 なぜならベビイドールが倒れこんだ部分が朽ち果てていて落下寸前だったのだ。 身動きできないベビードールに「助けてやるからこれに署名しろ」とアーチーのアリバイを崩すために用意してきた口述書を棒切れの先に突き刺してよこすシルヴァ。 汚い奴。 泣きながら仕方なく署名するベビイドール。 署名の後は紳士らしく涙を拭くハンカチも棒の先に載せて差し出してやった。 ベビイドール陥落す。
Playing Hide and Seek - YouTube

Matured Baby Doll & Mad Archie
Sleeping Silva on Baby Bed「君は隠れん坊をあんなに楽しんだ子供なんだよな。」と言うシルヴァをベビイドールは私のベッドでお昼寝をどうぞと寝室へ誘う。 「お父さんはきっと墓場で跳び上がるわ。」と呟きながら。 とんだお持て成しに預かったシルヴァはベビイドールのベビイベッドで寝てみせる。 寝たふりをしているシルヴァの世話をやくベビイドールの母親のような姿。
場面変わって、1935年にBig Joe Williams(ビッグ・ジョー・ウィリアムス)が歌った"Baby Please Don't Go"をハモニカを吹きながら歌っている黒人使用人の向こうに家に入ってくるアーチーが見える。 シルヴァが要請した部品をやっとのことで金の時計で支払ってきたのに、既にシルヴァの相棒が調達していたのだった。 2階を見上げて「誰もいないのか!」と叫ぶアーチーの声がシルヴァを寝かしつけていたベビイドールに聞えた。 「行かないでね。」とシルヴァに囁くとベビイドールはスリップ姿のまま下に降りていった。 ベビイドールがなぜスリップかというと冷蔵庫から洩れた水で服を濡らしてしまったから。 なぜスリップのままかというとシルヴァと鬼ごっこが始まったから。 「なんて格好だ、きちんとしろ!」となじるアーチーは逆に放火魔としてベビイドールに非難される始末。 そこに2階からシルヴァが降りてきた。 「これは善隣外交だよ。」 一瞬狐につままれたようなアーチーだったが怪しんで「いつからここにいるんだ?」とシルヴァに尋ねる。 「厚遇を受けて午後からずっとさ。」とうそぶくシルヴァと3人で夕食を取ることに。 シルヴァが言うには新しい工場を建設するのは止めにしてアーチーに仕事を頼むことに決めた。 その間はアーチーの妻の接待を受けることになるのだと。 夕食の服に着替えるため上に上がったベビイドールを待つアーチとシルヴァの二人。 階段にしゃがみこむアーチーとその隣に座るシルヴァ。 微妙な雰囲気、二人とも頭を抱え込む。 これが可笑しい。 アーチーが電話をしている間に着替えたベビイドールが食堂に現れた。 「急に成長したな。」と言うシルヴァは電気を消して大胆にもベビイドールに熱烈なキスをする。 夕食を運んできたローズが気を利かせてか邪魔をしてか電気を付けた。 さて、夕食、所定の椅子にはベビイドールとシルヴァがまるで夫婦のように向かい合って座り、席がなくなったのでアーチーは傍らのスツールを持ってきて座る。 これも可笑しい。 二人の仲を怪しんだばかりになんだかんだとローズのケール料理にも難癖をつけるアーチーだが、そのケチのついてグリーン・スープで愉快に食事を始めた二人にマジキレしてアーチーがやおら「The Blue Angel(嘆きの天使)」のイマニュエル教授のようにコッケコッコー!とやったもんから、私はこれはとうとう精神に異常をきたしたのだと思った。 「俺はただアリバイの口述書のためだけに来たのだ。 お前は火事の犯人だ! ここに証人であるお前の妻の署名もある!」と逆に脅すシルヴァ。 これは本当。 これに逆上したアーチーは猟銃を取りに奥へ走る。 シルヴァを逃したベビイドールは電話に飛びつき、保安官にアーチーの放火のことを通報した。 外に飛び出して逃げたシルヴァを追うアーチー。 庭の大木によじ登ってクルミを食うシルヴァ。 床下まで探す狂乱のアーチー、銃声に驚いて受話器を投げて外に飛び出すベビイドール、一切合財を背負って出ていこうとするローズ、半鐘をならす黒人使用人、とアーチー邸内はそりゃもう大騒ぎ! 外に出てアーチーではなくシルヴァを探すベビイドールに木の上から手が伸びた。 「ベビードールゥー!、ヴァッキャロー、どこにいるー?」と叫ぶアーチー。 探し疲れたアーチーが泣きながら「ベビードール、ベビードール!」と呼ぶシーンはテネシー・ウイリアムズ戯曲の映画化「A Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)」でMarlon Brando(マーロン・ブランド)が「ステラ! ステラ!」と泣きながら妻を呼ぶシーンに似ています。
こともあろうに二人が隠れている大木の下に座り込んだ疲れ果てたアーチー。 頭を木や地面に打ち付けて泣くアーチー。 そこに車が入ってくる。 木の上から降りてきたシルヴァが証人の署名を示す。 保安官らに抱えられて車に乗せられたアーチー。

Wait for Tomorrow
こうするしかないと保安官がアーチーに耳打ちした後、時は真夜中の12時を告げていた。 感慨深そうにアーチーがつぶやく。 「今日はベビイドールの誕生日だ。」 アーチーは家に入っていく妻のベビイドールを見た。 保安官に出発を促されたアーチーのうなだれたハゲ頭が痛ましい。 「この次はもっと綿を持ってくるから」と言い残してシルヴァも去った。 外にいた伯母のローズに家に戻ろうと促すベビイドール。 「何にもすることはないけどきっと明日にはあるわ。」 夫を保安官に売ったベビイドールだったが生まれ変わったようにすがすがしい。 そうでした、悪夢の一夜が明けて今日はベビイドールの二十歳の誕生日なのです。
「やれ、やれ。」と荷物を引っさげて再び中に入るローズのショットで幕。 このシーンは意図的に舞台の様式をとっているようです。 ベビイドールは成長した。 ライバルのシルヴァは復讐を果たした。 一人で貧乏クジをひいたのは夫のアーチーで、工場の経営不振と妻に触れることができないという欲求不満でまさにダブルパンチを食らった有様でしたが、アルチュウーはともかく放火の罪は重く、日本では江戸時代に火付けの罪に問われた16歳の八百屋お七は市中引廻しのうえ鈴ヶ森で火あぶりの刑だったそうです。 ちなみに私が観た映画で精神に異常をきたして最後に精神病院送りになる南部の女性を描いた印象的な作品には1951年の「A Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)」や1965年「Hush, Hush, Sweet Charlotte(ふるえて眠れ)」などがあります。
Baby Doll (Wait for tomorrow) - YouTube

「ベビイドール」のトレーラーはBaby Doll (1956) Trailer - Turner Classic Movies
Baby Doll - Original Trailer (1956) - YouTube
☆「ベビイドール」の写真が見られるBaby Doll - La bambola viva - FILM.TV.IT
☆「ベビイドール」の映画ポスターが見られるBaby Doll Posters - MoviePoster.com

Eli Wallach
「ベビイドール」には大抜擢の新人女優のキャロル・ベイカーやカール・マルデンというベテランの性格俳優などが出演していますが、忘れちゃならないのがアーチーのライバルであるシルヴァ・ヴァカロを演じたイーライ・ウォラックです。(エリ・ウォラックという表記もあり) ちょっと1957年から放映されたTVシリーズの「Have Gun - Will Travel (西部の男パラディン)」に出演したRichard Boone(リチャード・ブーン)似です。(テーマソングの"The Ballad of Paladin"を歌ったのはJohnny Western) イーライ・ウォラックはこりゃもうこたえられない名演技で、映画祭の賞を何か差し上げたいくらに実に魅力的です。 なにしろ2006年の「The Holiday(ホリデイ)」で共演した若いKate Winslet(ケイト・ウィンスレット)をして最高にセクシーと言わしめたイーライ・ウォラックなのです。 実際に「ベビイドール」のシルヴァ役はゴールデングローブ賞にノミネートだけでしたがBAFTA Award(英国アカデミー賞)では最優秀新人賞を受賞しているそうです。 舞台出身のイーライ・ウォラックはなんとエリア・カザンやリー・ストラスバーグと共にアクターズ・スタジオの創設メンバーだったとか。 ただし映画デビューはエリア・カザン監督の「ベビイドール」で、その前はテレビドラマに出演し、「ベビイドール」の後もテレビドラマや映画では悪役などで活躍していますが、1966年にはSergio Leone(セルジオ・レオーネ)監督の「The Good, the Bad, the Ugly(続・夕陽のガンマン/地獄の決斗)」でClint Eastwood(クリント・イーストウッド)と組んだ賞金稼ぎのTuco(テュコ)役で共演しました。 このご縁でかイーストウッド主演のテレビドラマに数本出演していますが、イーストウッドが監督した「Mystic River(ミスティック・リバー)」では酒屋のルーニーさん役でカメオ出演しています。 なんと95歳を迎える2010年には80歳も間近のRoman Polanski(ロマン・ポランスキー)が監督した「The Ghost Writer(ゴースト・ライター)」で葡萄園の老人役、Oliver Stone(オリヴァー・ストーン)監督の「Wall Street: Money Never Sleeps(ウォール・ストリート)」では名門投資銀行のチャーチル・シュワルツの重役のJules Steinhardt(ジュール・スタインハート)役で出演しているのです。 それに私生活でも結婚離婚が繰り返されるハリウッドでは珍しく1948年に結婚したAnne Jackson(アン・ジャクソン)ひと筋です。
そして、そして、嬉しいじゃありませんか、Francis Ford Coppola(フランシス・フォード・コッポラ)監督やKevin Brownlow(ケビン・ブラウンロー)監督も受賞したという2011年の第2回米映画芸術科学アカデミー協会(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)の名誉賞(Honorary Award)の受賞が決定したのに高齢だからと欠席したフランスのJean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)監督が同じく名誉賞を受賞したイーライ・ウォラックへの敬意を表明したそうです。(ゴダールの本当の欠席理由はゴダール夫人が"あれはオスカー(アカデミー賞)じゃないのよ。"と耳打ちしたからだとか。)

Karl Malden
ベビイドールの夫のアーチーを演じたカール・マルデンはセルビア系のベテラン性格俳優です。 1947年にエリア・カザンが監督したDana Andrews(ダナ・アンドリュース)主演の「Boomerang(影なき殺人)」にクレジットなしの刑事役で出演して注目され、エリア・カザンの映画では1951年の「欲望という名の電車」のミッチ役や1954年の「On the Waterfront(波止場)」のBarry牧師役などにも出演している性格俳優です。 カザン映画の他にはRichard Widmark(リチャード・ウィドマーク)が殺し屋で衝撃的デビューした1947年の「Kiss of Death(死の接吻)」でウィリアム軍曹を演じましたが、ウィドマークが演じた殺し屋が密告者にされてしまったリゾの母親を車椅子ごと階段からつき落として殺すシーンでリゾ夫人を演じたのはこの「ベビイドール」でアーチーの伯母のローズを演じたミルドレッド・ダンノックだったそうです。 マーロン・ブランドが監督及び主演した1960年の「One-Eyed Jacks(片目のジャック)」では保安官、Troy Donahue(トロイ・ドナヒュー)が主演した1961年の「Parrish(二十歳の火遊び)」では煙草大農園主のJudd Raike(ジャッド・レイク)、Natalie Wood(ナタリー・ウッド)が主演した1962年の「Gypsy(ジプシー)」ではローズに恋する俳優のHerbie Sommers(ハービー)役などと1980年代まで多岐に渡る役柄で映画出演していました。


Baby Doll DVD
Baby Doll [DVD] [Import]
Baby Doll DVD上記の画像はアメリカのAmazon.comで販売されている2006年リリースの「Baby Doll」のDVDです。 こちらは国内で販売されているDVDですが、フォーマットはリージョン1の輸入版(英語)で、これ以外にはDVDは見つかりません。(1998年リリースのVHSもあるようです。)
※アメリカでは2006年にリリースされた「Tennessee Williams Film Collection」があり、7枚ディスクにA Streetcar Named Desire、Cat on a Hot Tin Roof、Sweet Bird of Youth、The Night of the Iguana、Baby Doll、The Roman Spring of Mrs. Stoneが収録されています。 垂涎のテネシー・ウィリアムス映画集ですが、惜しむらくはフォーマットがリージョン1!

Baby Doll Soundtrack
ページトップの画像は「ベビイドール」のサウンドトラックです。 映画「ベビイドール」で一番エロティックなのはキャロル・ベイカーではなくKenyon Hopkins(ケニヨン・ホプキンス)が手掛けた音楽でしょうか。 オリジナルのLPはオークションでしか見つかりませんが、CD化されたサントラが2003年に再リリースされています。 挿入歌として使用されたR&B曲の"Shame, Shame, Shame!"の他に"Baby Doll and Empty House"やマンドリンが入った"Lemonade"など映画のストーリーを追った12曲を収録してあります。 音楽はケニヨン・ホプキンスが作曲してRay Heindorf(レイ・ハインドーフ)指揮によるThe Warner Bros. Studio Orchestra (ワーナーブラザース・スタジオ・オーケストラ) の演奏で大変洒落たジャージーなアルバムです。
「ベビイドール」の後にケニヨン・ホプキンスが音楽を担当した映画にはSidney Lumet(シドニー・ルメット)が監督した1957年の「12 Angry Men(十二人の怒れる男)」や1960年の「The Fugitive Kind(蛇皮の服を着た男)」の他、1961年の「The Hustler(ハスラー)」、1965年の「This Property is Condemned(雨のニューオリンズ)」などがあります。 一方、無声映画のピアノ伴奏から映画音楽を手掛けるようになったレイ・ハインドーフもDoris Day(ドリス・デイ)が主演した1949年のYoung Man with a Horn(情熱の狂想曲)や1950年のTea for Two(二人でお茶を)など1930年代から1960年代までたくさんの映画音楽を担当しています。
♪ 「ベビイドール」のサントラの試聴はBaby Doll Soundtrack - Amazon.com
映画の冒頭に流れたバージョンではなく1956年にリリースされたRalph Flanagan(ラルフ・フラナガン)のビッグバンドが演奏する45回転(RCA 47-6719)があるそうで、A面がケニヨン・ホプキンス作曲の"Baby Doll Theme"でB面が"A Rose and a Baby Ruth"だそうです。(下記はSoundtrack of Baby Doll - Deutsche RCA 20-6719でしょうか。)
Ralph Flanagan - Baby Doll - YouTube

Baby Doll BOOK
Baby Doll and Other Plays: WITH "Something Unspoken" AND "Suddenly Last Summer" (Penguin Modern Classics)
Baby Doll BOOKこの表紙画像は意味不明ですが、国内で入手できる2001年販売のテネシー・ウィリアムズの戯曲集です。(英語) 1956年の"Baby Doll(ベビイドール)"の他に1958年の"Something Unspoken(語られないこと)と"Suddenly Last Summer(去年の夏、突然に)が収録されています。 この他にも英語のペーパーバック版の「Baby Doll (French's Acting Edition)」があります。

2 Piece Babydoll Pajama
「ベビイドール」が公開された後、女性用パジャマとして長ズボンではなくてショーティ(短いブルマー)のベビードールが登場しました。 足が見えるから男性が喜ぶセクシーな観賞用ネグリジェというだけではなく若い女性の間で可愛いお寝巻きとして人気がでました。 なかには透けるナイロン製もありましたがたいていは木綿製でフリルやギャザーがあしらってあり、提灯袖とブルーマの裾にはゴムが入っていますが、袖もパンツも短いですからセントラル・ヒーティングでも設置されていなければ冬には向きません。 このパジャマは半世紀前の代物だから現在ではフィフティズとかクラシックもしくはヴィンテージのベビードールと呼ばれています。 現在ではパジャマというよりも若い女性のセクシー・ランジェリーとなっているようです。
こんな Babydoll Pajama
こちらも Babydoll Pajama


Carroll Baker
Harlow (1965) [VHS] [Import]
Carroll Baker - Harlow VHS1931年生まれでポーランド系のキャロル・ベイカーはアクターズ・スタジオ入りした後にブロードウエイの舞台に出演してエリア・カザンの目に留まり「ベビイドール」のヒロイン役に抜擢されました。 キャロル・ベイカーは「ベビイドール」公開の2ヶ月前に「Giant(ジャイアンツ)」にもマイナーな役で登場していましたが「ベビイドール」への出演により一夜にして有名になりブロンドのセックスシンボルとしての名声を不動のものとしました。 Warner Brothers(ワーナー映画)のMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)として売り込まれたキャロル・ベイカーはジーン・ハーロウと同じくプラチナ・ブロンド(染めた金髪)と間延びしたしゃべり方が特徴でしたがその後1958年に「The Big Country(大いなる西部)」で有力者の娘のパトリシア役を演じた後、ミルドレッド・ダンノックも出演していたサイコ映画でレイプがトラウマとなった女性を演じた1961年「Something Wild(傷だらけの愛)」があります。
「傷だらけの愛」はキャロル・ベイカーの夫だったJack Garfein(ジャック・ガーフェインが)監督した映画で、Saul Bass(ソウル・バス)が手掛けたタイトル・デザインとAaron Copland(アーロン・コプランド)の音楽が話題になりました。 異色なのは1968年のイタリアン・サスペンス映画でフランスの二枚目スターのJean Sorel(ジャン・ソレル)と共演した「Il Dolce Corpo Di Deborah(デボラの甘い肉体)」でしょうか。 その後の1977年にAndy Warho(アンディ・ウォーホル)制作のとてもユーモアとは言えないブラック・ユーモア映画「Bad(BAD)」で美容サロン経営を兼ねた狂気の女性殺し屋派遣業者を演じ、嫌な女で人種差別発言の連発により殺害されます。 この犯人を演じた黒人俳優の身を案じてしまった私ですがブラックだからダイジョウブだったのでしょうか。 いくらブラックユーモアでも赤ん坊を窓から投げ落とすなどあらゆる残虐で衝撃的な恐ろしいシーンがあるのでよほどのスプラッシュ&ホラー好きでないとちょっと観ておれないひどい映画です。 1988年のChet Baker(チェット・ベイカー)の伝記的キュメンタリー映画「Let's Get Lost(レッツ・ゲット・ロスト)」にキャロル・ベイカーの名があって驚いたところ、なんとチェット・ベイカーの3番目の妻が同じ名前だそうです。 こちらは本物のキャロル・ベイカーが「BAD」から20年後の1997年に出演した「The Game(ゲーム)」ですが家政婦役では見ていても全く気がつきませんでした。
☆キャロル・ベイカーで特筆すべきはその風貌が、"ベイビー"と呼ばれた1930年代のセックス・シンボルのJean Harlow(ジーン・ハーロー)に似ていることです。 1964年に「The Carpetbaggers(大いなる野望)」でもジーン・ハーローをモデルとした役を演じましたが、続いて1965年にはジーン・ハーロー伝記映画の「Harlow(ハーロー)」で主演しています。 この映画は1947年に「West Side Story(ウェスト・サイド物語)」を書いたIrving Shulman(アーヴィング・シュルマン)が1960年に執筆したジーン・ハーローの暴露本の「Jean Harlow(ハーロー その異常な愛と性)」を元にしたGordon Douglas(ゴードン・ダグラス)監督のハーロー伝記映画です。 ゴードン・ダグラス監督の映画には「ハーロー」に続いて1965年に女流詩人伝記映画の「Sylvia(シルビア)」でもキャロル・ベイカーがヒロインを演じています。
映画「ハーロー」の写真が見られるJean Harlow, la donna che non sapeva amare Photos - FILM.TV.IT
Carroll Baker Sexy Photos - YouTube

Elia Kazan (1909 - 2003)
アメリカに移住したギリシャ人ののエリア・カザンは第二次世界大戦後の冷戦時代の産物である現代の魔女狩りにも等しいハリウッドの赤狩り事件後では告発行為が同胞への裏切り行為だと糾弾されました。 体制の良き協力者は時代が変わって卑怯者になったのです。 それから45年後のこと、1998年のアカデミーの名誉賞授賞式では非難を浴びて会場が騒然となったこともありました。 迫害されて国外での映画作りを監督や仕事がなくなり不遇の人生を送った俳優たちの中には私の好きな人物がたくさんいました。 しかし、エリア・カザンは監督として素晴らしい作品をたくさん手掛けているので私には好きな監督の一人となっています。 ユダヤ人問題をハリウッドで浮き彫りにした最初の映画である「Gentleman's Agreement(紳士協定)」を監督したエリア・カザンが「East of Eden(エデンの東)」に次いで監督したのが「ベビイドール」です。 その後も1957年の「A Face in the Crowd(群衆の中の一つの顔)」や1961年にNatalie Wood(ナタリー・ウッド)が主演した「Splendour in the Grass(草原の輝き)」や1963年の「America, America(アメリカ アメリカ)」などがあります。 アクターズ・スタジオの創設やメソッド演技法の教授を例にとっとも分るように演劇から入ったエリア・カザンは監督業の前には俳優として1930年代中頃から映画に出演しています。 出演映画にはAnatole Litvak(アナトール・リトヴァク)監督の1940年の「City for Conquest(栄光の都)」や1941年の「Blues in the Night(夜のブルース)などがあります。

Tennessee Williams
1938年、アメリカの戯曲作家であるテネシー・ウィリアムズが27歳の時、刑務所での実話をもとにした"Not About Nightingales(C監房棟の男たち)"で注目された作品は残念ながら未読ですが、それ以外の作品は殆ど読んだ筈と思い込んでいる私です。 後期の作品はホモセクシュアル色があまりにも濃過ぎてそれらがテネシー・ウィリアムズの一部であっても辟易しました。 テネシー・ウィリアムズは"テネシー"というペンネームが示すように南部のミシシッピの出身ですから南部を舞台にした自伝的な作品が多いのです。 テネシー・ウィリアムズの作品の映画化は1945年のThe Glass Menagerie(ガラスの動物園)の後に1947年のA Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)、1955年に「The Rose Tattoo(バラの刺青)」、そしてこの「ベビイドール」、Cat On a Hot Tin Roof(熱いトタン屋根の、そして1959年のSuddenly, Last Summer(去年の夏突然に)、本は読んでも映画は全く存在することすら知らなかった1961年のThe Night of the Iguana(イグアナの夜)、ギターを抱いた渡り鳥、マッチョな流れ者のValentine 'Snakeskin' Xavier(ヴァル)を演じたブランドが1960年の「(蛇皮の服を着た男)」やPaul Newman(ポール・ニューマン)が主演した1962年の「Sweet Bird of Youth(乾いた太陽)」、そして私好みの「The Roman Spring of Mrs. Stone(ローマの哀愁)」や1965年の「This Property is Condemned(雨のニューオリンズ)」などとタイトルを並べてみるだけでも残酷なまでの愛の渇望と渦巻く欲望と悲しみ、その異常ともいえる南部的濃いドロドロ加減にワクワクするのです。



RCR: Royal Crown Revue - The King of Neo Swing
本物のロカビリーを享受してきた世代の私はネオ・ロカビリーが音楽的に素晴らしいと分っていてもノスタルジーが先行し、ノイズ入りの古レコードをかけたりして昔の音を懐かしんでしまうのです。 ですがロイヤル・クラウン・レビューのスウィングには驚きました。 粋にスウィングするロイヤル・クラウン・レビュー(又はロイヤル・クラウン・リヴュー)はネオスイングの王様といわれているバンドです。 アングラから始まったレトロ・スタイルを本物の文化現象とし、そっくりバージョンを含めクラシック・スイング曲のカバーをたくさん手がけている大変ユニークな南カルフォルニア・スイングバンドです。 そのロイヤル・クラウン・レビューは"Hey Pachuco!"といい勝負の"Zoot Suit Riot"がウルトラヒットしたCherry Poppin' Daddies(チェリー・ポッピン・ダディーズ)や、Betty Boop(ベティ・ブープ)漫画で音楽を担当したバンドリーダーのCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)パロディみたいなフォスターの幽霊という"Ghost of Stephen Foster"のSquirrel Nut Zippers(スクイーレル・ナット・ジッパーズ)などと共にネオ・スウィング・リヴァイヴァルのパイオニアといわれているそうです。 他にも"Go Daddy-O"のBig Bad Voodoo Daddy(ビッグ・バッド・ブードゥー・ダディ)やロカビリー・リバイバルでも知られるBrian Setzer Orchestra(ブライアン・セッツァー・ビッグバンド)、Steve Lucky and the Rhumba Bums(スティーヴ・ラッキーのバンド)などもスウィング・リヴァイヴァルのバンドだそうです。

Hard-Boiled Swing!
1990年代に話題となったネオ・スウィングとは1950年代以前のスウィング・ジャズを基盤として、スウィングジャズ、ブルースやジャイヴ、ロカビリーやロック、ラテンやポップスなど色々とミックスしてジャンルを超越したハードボイルドなスウィングジャズです。 "ネオ"というだけあってアレンジがオリジナルを凌ぐのではないかと思われるほど素晴らしい編曲もあります。 R&B風ホンキング・テナーやミュートを効かせたトランペット、スウィンギーなドラムなどと演奏も熱が入ってますが、魅力的なボーカルのエディ・ニコルズもステージを縦横無尽に飛び回りエネルギッシュなステージを繰り広げます。 ツアーやステージが多いとはいえ、20年に及ぶ活動期間にアルバムのリリースが10枚に満たないというのはなんとも不思議です。 ネオ・スウィングは廃っても選曲に長けたロイヤル・クラウン・レビューの演奏により現代の若者に昔の音楽を啓蒙する意味では大いに貢献したと言えるでしょう。
Cherry Poppin' Daddies - Zoot Suit Riot - YouTube
Squirrel Nut Zippers - Ghost of Stephen Foster - YouTube

King of Gangster Bop: Royal Crown Revue
1993年に歌手のEddie Nicholsとテナーサックス奏者でアレンジャーで作曲も手掛けるMando Dorameが組んでハリウッドのクラブで演奏したのがロイヤル・クラウン・レビューの始まりだそうです。 昔懐かしい音楽を新しい編曲で聴かせるレトロな演奏スタイルがロサンゼルスで人気を呼び、1994年の映画「The Mask(マスク)」の監督のChuck Russell(チャック・ラッセル)がロイヤル・クラウン・レビューステージを観て映画出演の運びとなり、1995年にWarner Bros.(ワーナーブラザーズ)との契約に至ったそうです。 The Derbyでのステージは1996年の映画「Swingers(スウィンガーズ)」の制作にあたりJon Favreau(ジョン・ファヴロー)に脚本を執筆するインスピレーションを与えたそうです。 ボーカルは言うに及ばず演奏もとびっきり素晴らしいロイヤル・クラウン・レビューのメンバー構成はボーカルのEddie Nichols(エディ・ニコルズ)とBig Jay McNeely (ビッグ・ジェイ・マクニーリー)ばりのテナーサックスを吹くMando Dorame、トランペトがScott Steen(スコット・スティーン)とパーカッションとドラムがDaniel Glass(ダニエル・グラス)は代わりませんが、現在はギターがMark Cally、バリトンとアルトサックスがJim Jedeikin、ベースがDavid Earl Miller(デヴィッド・アール・ミラー)だそうですが、過去にはベースにVeikko Lepisto、バリトンにBill Ungerman、ギターにJames Achor(ジェームス・アコール)などが参加しました。 1994年に映画「マスク」のナイトクラブ・シーンに出演したロイヤル・クラウン・レビューはクレジットなしにもかかわらず"Hey Pachuco!"をもって世界的に一躍有名となり連日のツアーでヨーロッパツアーまでも行ったとか。(来日はまだ。)
※ヒット曲のタイトルとなっている"Pachuco(パンチュコ)"とは諸説ありますが、エル・パソを起源として1930年代から1940年代にかけてネイティブやアジアやヒスパニックなど人種のるつぼだったアメリカの南西部(ロサンゼルスやニューメキシコ辺りの乾燥地帯)でコテコテのポマード頭や服装ならズートスーツように主にメキシコ系の若者たちが確立したギャングとも関連したサブカルチャー(若者文化)だとか、厄介者とか低級とか破廉恥などという意味もあるそうです。 パンチュコ文化は1960年代にはChicano(チカーノ)に代わり、1970年以降は経済難からギャングのダンディズム(伊達好み)はほぼ消滅しました。(フランスではボルサリーノ) ズートスーツは廃ったとはいえ現在ではメキシコ系の一部の社会では正装となっているそうです。 ギャングがかっこういいと歌うのは現代のラッパーも同様です。
ちなみにロイヤル・クラウン・レビューが録音する時に使用しているオリジナルのリボン・マイクの画像はRibbon Microphone 44 - SATURN SOUND Recording Services
☆Last.fmでチャートを見るとなんといってもロイヤル・クラウン・レビューの一番人気はオリジナルである1991年の"Hey Pachuco!"で、続いて"Zip Gun Bop"、そして"Stormy Weather"です。
"Summer '43 the man's gunnin' for me Blue and white mean war tonight... "と歌われる"Hey Pachuco!"の歌詞はRoyal Crown Revue - Royal Crown Revue Lyrics - LyricsFreak.com

Royal Crown Revue - Zip Gun Bop - YouTube
上記のビデオはロイヤル・クラウン・レビューのミュージック・ビデオ(PV)で"ジップ・ガン・ボップ"ですが、このビデオに出演している真っ赤な口紅の女性がシャンパングラスのショーで有名なBurlesque(ミュージックホール)ダンサーのDita Von Teese(ディタ・フォン・ティース)です。 1972年生まれなので若いのですが40sや50sのハリウッド女優からヒントを得たレトロなメイクで金髪を黒髪に染めたエレガントな風貌と締め上げない時でも56cmという細いウエストのナイスバディです。 ディタのファンだったロッカーのMarilyn Manson(マリリン・マンソン)のPV出演をオファーしたことから短期間だったが結婚したとか。(ボンテージが大好きなディタと大嫌いなマンソンじゃね。)
Royal Crown Revue - Stormy Weather - YouTube

Royal Crown Revue Official Web Site
Royal Crown Revue - Official Site
画像の下のFaster Speedのボタンが高速用ですがフラッシュ画面が表示されるまでかなり時間がかかります。 中央のメニューからMusicを選ぶとアルバムが表示され以前は気前良く聞けたのですが現在は曲目だけで試聴できません。 その下のVIDEOSをクリックしますと現在は6ビデオのサムネールが表示され、Billboard Music AwardsでのBette Midler(ベット・ミドラー)との共演ビデオや珍しいベルギー・ライヴ映像もフルで観られます。(注!念のため、私のPCではメニューのSTOREをクリックしたら閲覧しないようにという警告が出ました。)
※1994年からロイヤル・クラウン・レビューでドラムを担当してきたダニエル・グラスはロックンロール・ドラムについての教本の著作もありあますが、2007年にドラムの教本的なDVDである「Principles of Swingtime」をリリースしました。
☆ネオ・スウィングというとよく出てくる言葉に1930年代に流行ったZoot Suit(ズート・スーツ)がありますが、それはCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)が着ていたあのダボダボのスーツです。 そのスーツの名が付けられた"Zoot Suit Riot(ズートスーツ・ライオット)"は1943年のロスアンジェルスで起こった暴動事件のことです。
詳しくはAudio-Visual Trivia 内のブラック・ダリア The Black Dahlia (2006)
♪ Come Fly With Me、Beyond the Sea、Live The Life I Love、El Toro、Sick And Tiredがフルで聴けるRoyal Crown Revue - MySpace.com

Swingers 1996年
Iron Man(アイアンマン)」を監督したジョン・ファヴローが脚本を手掛けて主演した「スウィンガーズ」はDoug Liman(ダグ・リーマン)が監督した作品で、スウィング・リヴァイバル時代のカルフォルニアの売れないコメディアンを主人公にした愉快な映画ではロイヤル・クラウン・レビュー・サウンドの音楽がいっぱいです。 「Fred Claus(ブラザーサンタ)」や「Four Christmases(フォー・クリスマス)」のVince Vaughn(ヴィンス・ヴォーン)が俳優希望のTrent役で出演しました。 シナトラ一家のRat Pack(ラット・パック)をイメージしたような映画になるはずだったそうで、ロイヤル・クラウン・レビューが作り上げたネオ・スウィング・シーンがモデルだったそうです。 ロイヤル・クラウン・レビューはワーナーとの契約があったために惜しくも出演を逃しましたが、サウンドトラックには"Datin' With No Dough"が使用されました。 ロイヤル・クラウン・レビューに代わるバンドとして1989年に結成されて昔のスウィングを演奏する南カルフォルニアのBig Bad Voodoo Daddyが出演して"Go Daddy-O"などを聞かせます。

Mugzy's Move
ページトップのハードボイルドな画像はオリジナルが1996年にWarner Bros.(ワーナー・レコード)からリリースされた北ハリウッドのGround Controlでのライヴ・アルバムです。 ノスタルジックなアルバムのカバー画像が50年代のB級ギャング映画のようですが事実ギャングやハリウッド近辺のショッキングな出来事などを取り入れています。 ズートスーツの洒落男に色っぽい女、いかした車にジルバ、指パッチン(スナップ)入りでそんなレトロな漫画チックともいえる題材を謳ったジャンプ・ブルース風のスウィング・ロックやポップスの全14曲をを収録しています。 アルバム・タイトル曲のMugzy's Moveの他、Hey Pachuco!やZip-Gun Bopや I Love the Life I Live, I Live the Life I LoveやDatin' With No Doughなど全14曲を収録しています。 その中の"Honey Child"は元ボクサーのブルース・ミュージシャンであるWillie Dixon(ウィリー・ディクソン)の曲だそうです。(T.Bone Walkerも歌詞に出てくる"Walking The Blues"が面白い。) 1998年に再リリースされたアルバムには"ボーナストラックの"Barflies on the Beach"が追加されていますが、この曲は"Sing Sing Sing"で有名なKing of the Swingersの異名を取ったLouis Prima(ルイ・プリマ)が1936年に作曲した"Barflies At The Beach"のアレンジですがドラムのイントロが Benny Goodman Orchestra(ベニー・グッドマン楽団)のGene Krupa(ジーン・クルーパー)にそっくり! Bobby Darin(ボビー・ダーリン)が1959年に歌った"Beyond the Sea"をそっくりにカバーしてエディ・ニコルズのボーカルの力量を示していますが、楽器演奏でもどれもこれもが郷愁を感じさせる選曲となっています。
※全く関係ありませんが、1980年のRaging Bull(レイジング・ブル)でデビューしてギャング映画などに出演したJoe Pesci(ジョー・ペシ)が歌うビデオでテナーを演奏しているのが"Muzzy"なんだそうです。(そう、関係ないです。 タフなイメージがあるMugzyはブルなどワンちゃんの名前によく使用されているとか。)
♪ ボーナス・トラックの"Barflies on the Beach"を含む全曲の試聴はMugzy's Move - Amazon.com

Kings of Gangster Bop
Kings of Gangster Bop
Kings of Gangster Bop Royal Crown Revueオリジナルのリリースが1991年のモダンロックと称されるロイヤル・クラウン・レヴューのアルバムでHey PachucoやZip Gun Bopの他、私の好きなDaydreamin'など全11曲が収録されています。 Daydreamin'のオリジナルはいったいどの曲でしょうか、60年代のLovin' Spoonful(ラヴィン・スプーンフル)のブルース・ロック(GS)が歌った1966年のDaydream(デイ・ドリーム)というのがありますが、似てるような似てないような。
試聴はKings of Gangster Bop - Amazon.com

Caught In The Act(All Recorded Live!)
Caught In The Act
Caught In The Actオリジナルのリリースが1997年というこのライヴ・アルバムはDuke Ellington(デューク・エリントン)の"The Mooch"や"Who Dat?"をカバーするなどユーモアを交えた編曲で歌い演奏しています。 "Who Dat?"はWoody Herman(ウッディ・ハーマン)が1943年に録音したコミカルな曲でオリジナルは"Who Dat Up Dere?"ですがエディ・ニコルズの声があまりにもウッディ・ハーマンにそっくり!
試聴はCaught In The Act - Amazon.com

The Contender
The Contender
The Contender - Royal Crown Revue1998年にリリースされたロイヤル・クラウン・レビューの4番目(ワーナーからは2番目)のアルバムはオリジナル曲であるアルバム・タイトル曲の"Contender"や"Port-au-Prince"や"Walking Like Brando"、そしてかっこいい"Zip Gun Bop"の他に12曲が収録されています。 ロイヤル・クラウン・レビューが演奏するSalt PeanutsはDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)の愉快な演奏で知られているクラシックなラテン曲です。
アルバムの試聴はThe Contender - Amazon.com

Royal Crown Revue (2005) Daniel Glass on drums - Salt Peanuts - YouTube
Royal Crown Revue - Walking Like Brando - Barcelona Concert - YouTube

Greetings from Hollywood
Greetings from Hollywood
Greetings from Hollywood1994年から2004年の録音を集めた2004年がオリジナルという7番目のアルバムです。 Georgia Gibbs(ジョージア・ギブス)の"Something's Gotta Give"、Fats Domino(ファッツ・ドミノ)が1958年に歌ったSick And Tired、Frank Sinatra(フランク・シナトラ)の"Come Fly With Me"やLover, Come Back To Me、You Go To My Head、そしてSunnyside of the Streetといったスタンダード曲のカバーや"Bottle of Whisky"などを収録しています。
試聴はGreetings from Hollywood - Amazon.com
Royal Crown Revue - Something's Gotta Give - YouTube

El Toro
アルバム・タイトル曲の"Toro"の他全6曲を収録している2007年リリースのサンバ調のミニアルバムで、Neil Diamond(ニール・ダイアモンド)の初ヒット曲である"Solitary Man"の洒落たカバーや"Brazil"などが収録されています。 "Brazil"は映画音楽作曲家のMichael Kamen(マイケル・ケイメン)の代表作である1985年の映画「Brazil(未来世紀ブラジル)」のサウンドトラックで使われた有名なサンバ曲です。
試聴はToro - Amazon.com
ちなみにR&B曲の"Watts Local"が収録されている全くのオリジナル・アルバムは1999年リリースの「Walk on Fire」ですが入手困難です。
試聴はWalk on Fire
Royal Crown Revue - Watts Local (Walk on Fire) - YouTube

Royal Crown Revue on Soundtracks
The Mask (1994)
ロイヤルクラウンレビューは日本未公開でしたが、1993年にMatt Dillon(マット・ディロン)が主演したGolden Gate(ゴールデン・ゲート)で自作のMellow SoulfulやParks PlaceとJumpin' With The Crownがサウンドトラックに使用され、1999年の「The Other Sister(カーラの結婚宣言)」では"Walkin' Blues"が使用されています。 この他、ロイヤル・クラウン・レビューの代表曲である"Hey Pachuco!"は、日本未公開ですがKevin Spacey(ケヴィン・スペイシー)が主演した1999年の「The Big Kahuna(ビッグ・チャンス)」やBilly Bob Thornton(ビリー・ボブ・ソーントン)も出演した2002年の「Waking Up in Reno」、そしてボストン北部でのアイリッシュとイタリアンのギャング抗争を描いた2007年の「Beantown」(タイトルの意味はボストン)でも使用されたそうです。 まったくのところ、多いとはいえません。
The Mask
ロイヤル・クラウン・レビューが映画に出演したのは1994年にジムキャリーが主演した「マスク」です。 「マスク」の音楽は「Surviving Christmas(恋のクリスマス大作戦)」の音楽を担当したRandy Edelman(ランディ・エデルマン)ですが、キャバレー・シーンにはRoyal Crown Revue(ロイヤル・クラウン・リビュー)が出演して、自作の"Hey Pachuco!(ヘイ・パンチュコ)"などを歌います。 ドラムのイントロがかっこよくて実にノリノリの演奏でした。
☆ロイヤル・クラウン・リビューが出演したジムキャリーの「マスク」についてはAudio-Visual Trivia 内のマスク The Mask (1994)

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