ウエスト・サイド物語 West Side Story (1961)


West Side Story (VHS)
West Side Story VHSNatalie Wood as Maria and Richard Beymer as Tony in West Side Story
Maria (Marni Nixon) and Tony(Jimmy Bryant) sing "Somewhere" - YouTube

West Side Story
「ウエスト・サイド物語」は1965年の「The Sound of Music(サウンド・オブ・ミュージック)」のRobert Wise(ロバート・ワイズ)監督と、Leonard Bernstein(レナード・バーンスタイン)が音楽を手掛けた1944年のミュージカル「On the Town(踊る大紐育)」でも振り付けを担当したJerome Robbins(ジェローム・ロビンス)とで現代版のWilliam Shakespeare(シェイクスピア)のRomeo and Juliet(ロミオとジュリエット)もとにしてミュージカルに仕立てたブロードウェイの芝居をさらに映画化した作品です。 賞は音楽がオリジナルでないことから逃しましたが、アカデミー賞では作品賞など音楽以外の全10部門で受賞した映画で日本でも1年以上のロングランを記録しましたから当時のほとんどの若者は観たでしょう。 そしてきっと指パッチんで"クール"を歌ってみたでしょう。 それまでも私が観たミュージカル映画はたくさんありましたが、この「ウエスト・サイド物語」ほど躍動感溢れる若者向けの作品は初めてでした。 これまでの人種差別というと黒人問題が多かったのですが、その後多民族国家としての移民問題が急浮上してきたのです。 この人種問題を扱っていましたがストリート・ギャングの縄張り抗争を描いた「ウエスト・サイド物語」は一言でいうとかっこいい(クールな)映画だったのです。 1973年にフィフティーズの音楽満載でアメリカの若者文化を描いたAmerican Graffiti(アメリカン・グラフィティ)が大変話題となりましたが、ダンスと音楽が斬新な「ウエスト・サイド物語」それよりも60年代当時の若者を熱狂させたのです。
父親はアルコール依存症で母親が麻薬中毒など劣悪な家庭環境に育ったゆえに不良少年となった子供たちは低層社会の被害者ともいえるのですが、ニューヨーク下町で地元のアメリカ人の少年愚連隊であるThe Jets(ジェット団)と次第に伸してきたアメリカ自治州のプエルトリコからの移民の子で構成されたThe Sharks(シャーク団)が対立してきた結果、とうとうRiff(リフ)とBernardo(ベルナルド)の決闘へと進展していきます。 ジェッツのリフがシャークスとの話し合いをもくろんで開催した体育館のダンス・パーティでは、かってはジェット団のリーダーだったTony(トニー)が現親分のリフから強引に誘われて参加したのですが、そこで以前から期待していた"素晴らしい何か"が起こったのです。 それは皮肉にも敵対するシャーク団のリーダーの妹であるマリアとの運命の出会いでした。
Richard Beymer and Natalie Wood -Tonight - YouTube

Maria, Maria, Maria
「ウエスト・サイド物語」はいきがった不良少年グループの抗争と共に、中世のお城のバルコニーがニューヨークの裏町にあるビルの非常階段にとって代わった「ロメオとジュリエット物語」でもあります。 物語の主人公ともいうべき悲恋の恋人たちとしては、以前は不良少年でちんぴらグループのジェット団団長だったが今は職について真面目に生活しているポーランド系のトニーをRichard Beymer(リチャード・ベイマー)が演じ、シャーク団団長のベルナルドの妹でシャークスのメンバーと結婚するためにプエルトリコからやって来て花嫁衣裳のお針子をしている可憐なマリアをNatalie Wood(ナタリー・ウッド)が演じています。 トニーはポーランド系でも2世なのでアメリカ人となっているそうです。 マリアのお目付け役的なベルナルドの彼女であるAnita(アニタ)を演じた正真正銘のプエルトリカンだったRita Moreno(リタ・モレノ)がヒスパニック系で初のアカデミーの助演女優賞(Best Supporting Actress Academy Award)を受賞し、シャーク団リーダーのベルナルドを演じたGeorge Chakiris(ジョージ・チャキリス)が助演男優賞を獲得した他、Russ Tamblyn(ラス・タンブリン)がジェット団のリーダーであるリフ役を演じ、ブロードウェイの舞台にも出演したTucker Smithがリフの死後にシャーク団を率いたIce(アイス)を演じ、舞台ではRiffが中心となって演じられた有名な"Cool"は両グループが参加したダンスパーティー後の対決でシャーク団を待つジェット団が歌い踊りました。 クレジットされませんでしたが、マリア(ナタリー)の歌はDeborah Kerr(デボラ・カー)やAudrey Hepburn(オードリー・ヘップバーン)の歌声も担当したMarni Nixon(マーニ・ニクソン)が、そしてトニー(ベイマー)の歌は当時ニューヨークでバックコーラスを担当していたJimmy Bryant(ジミー・ブライアント)が吹き替えていたのでベイマーが後のインタビューでブライアントの吹き替えについて言及したことを聞いて喜んでいたそうです。(同名のギタリストとは全くの別人)

Watch West Side Story Trailers and Photos!
☆「ウエスト・サイド物語」のMGMオフィシャルサイトはWest Side Story - MGM(英語ですが左メニューのAbout the Movieをクリックすると粗筋や配役が見られます。)
☆「ウエスト・サイド物語」の予告編やビデオクリップが観られるWest Side Story (1961) Trailer - TCM.com
☆トレーラーの他に拡大機能で写真も見られるフランスのWest Side Story (1961) Trailer - Comme au Cinema.com
☆同じくイタリアのWest Side Story (1961) Trailer - FILM.TV.IT
West Side Story (1961) Trailer - YouTube

Boy, boy, crazy boy, get cool, boy!
映画が公開されて"マリア"や"トゥナイト"や"アメリカ"などの挿入曲が評判を呼びましたがなかでもリフを死に至らしめたシャーク団への憎しみを込めたジェット団の"Cool(クール)"が一番人気でした。 対決に臨んで団員の士気を高めるような、そしていきりたつ仲間の興奮を鎮めるような斬新な曲"クール"はIce & The Jets(タッカー・スミスとコーラス)がガレージで踊り歌っています。 一方恋人同士のベルナルドとアニタの言い争いからアメリカ礼賛のシャークスのガールズとベルナルドとボーイズが二手に分かれて歌う"America(アメリカ)"は故郷より自由の国アメリカを称えるアニタたちと故郷のプエルトリコを称えるベルナルドたちとが男女に分かれて歌で応酬します。
そして"Tonight"、今晩みんなが幸せになる筈だった。 武器なしの決闘がジャックナイフに変わりさえしなかったなら。
West Side Story (1961) - Cool - YouTube
West Side Story (1961) - America - YouTube

George Chakiris
1953年にMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)の「Gentlemen Prefer Blondes(紳士は金髪がお好き)」や1954年のWhite Christmas(ホワイト・クリスマス)などこれまでも数々の映画でダンサーとして活躍していたギリシャ系のジョージ・チャキリスが急浮上したのがそれまでは男性が着用することのなかった珍しい紫シャツに黒ネクタイで登場したこの「ウエスト・サイド物語」でした。 そのエキゾチックな顔立ちや卓越したダンス、そして紫色のシャツに細身のGパンというファッションで世の若い女性の注目を集めたのでした。(当時のファッショナブルな不良少年はシャツをキチンとズボンの中に入れていたのでしょうか。) 「ウエスト・サイド物語」以降、ジョージ・チャキリスはダンサーのみならず俳優として1963年にDiamond Head(ダイアモンド・ヘッド)でYvette Mimieux(イヴェット・ミミュー)と共演した後、イタリア映画の「La ragazza di Bube(ブーベの恋人)でClaudia Cardinale(クラウディア・カルディナーレ)の相手役を務めるなどその人気はアメリカ国内に留まらずヨーロッパにも及び、1966年にもフランスのミュージカル映画「Les Demoiselles de Rochefort(ロシュフォールの恋人たち)」でCatherine Deneuve(カトリーヌ・ドヌーヴ)姉妹等と共演するなど世界を股にかけた映画スターとして大ブレイクしました。 とはいえ、ジョージ・チャキリスが「ウエスト・サイド物語」で演じたベルナルドのイメージは一生付いてまわったようです。

Richard Beymer
ジェット団のトニーを演じたリチャード・ベイマーは1953年の「Stazione Termini(終着駅)」や1959年の「The Diary of Anne Frank(アンネの日記)」などの名作に出演した童顔の俳優で、1962年にゴールデン・グローブのNew Star of the Year - acotor(有望若手男優賞)の受賞をBobby Darin(ボビー・ダーリン)や Warren Beatty(ウォーレン・ビューティー)と分かち合ったという新星の一人でした。 1962年の戦争映画「The Longest Day(史上最大の作戦)」も代表作のひとつとなっています。

Russ Tamblyn
ジェット団のリフを演じたラス・タンブリンもRusty Tamblyn(ラスティ・タンブリン)と表記されることもあったそうですが、子役からブレイクしたのがアクロバット的なダンスを見せた1954年のミュージカル映画の「Seven Brides for Seven Brothers(掠奪された七人の花嫁)」でした。 その後も1956年に「The Fastest Gun Alive(必殺の一弾)」、1958年に「Great Balls of Fire! (火の玉ロック)」のJerry Lee Lewis(ジェリー・リー・ルイス)が登場した「High School Confidential!(性愛の曲り角)」や「Tom Thumb(親指トム)」などが有名でしたが「ウエスト・サイド物語」の後で私が覚えているのは1963年の「Follow the Boys(渚のデイト)」くらいです。

Natalie Wood
マリアを演じたナタリー・ウッドは1947年のMiracle on 34th Street(三十四丁目の奇蹟)で可愛い子役としてメジャーデビューした女優でした。
☆結婚や謎の死などナタリー・ウッドについてもっと詳しくはAudio-Visual Trivia内のナタリー・ウッド Natalie Wood
West Side Story 1961 - I Feel Pretty - YouTube
West Side Story 1961 - Maria - YouTube

Saul Bass
1955年のThe Man with the Golden Arm(黄金の腕)、1958年の「Bonjour Tristesse(悲しみよこんにちは)」や「Vertigo(めまい)」など斬新な技法で数多くのタイトル・デザインを手掛けてひっぱりだこだったグラフィック・アーティストのSaul Bass(ソウル・バス)が担当しています。
☆画像を次々とクリックして「ウエスト・サイド物語」のオープニングとエンディングタイトルも観られるTytles Designed by Saul Bass

West Side Story Soundtrack by Leonard Bernstein
「ウエスト・サイド物語」の音楽は1944年の「On the Town(踊る大紐育)」で既に有名だったユダヤ系の音楽家であるが手掛け、"Jet Song"から"Cool"まで全19曲を作曲した「ウエスト・サイド物語」はレナード・バーンスタインの代表作とされています。

劇団四季のウェストサイド物語
「West Side Story」は1957年にブロードウエイで大当たりした舞台ですが、当時のアメリカ社会における移民問題ををミュージカルという手法で取り上げて話題となりました。 このオリジナルのミュージカルは世界ツアーを行い1964年に日本でも日生劇場で上演されています。
私の記憶は曖昧ですが1986年か1987年に劇団四季の舞台「ウェストサイド物語」を日生劇場で観ました。 トニーを鹿賀丈史、ベルナルドを市村正親、マリアを久野綾希子、リフを飯野おさみ、アニタを立川真理が演じた劇団四季の初演は1974年でオリジナルの「West Side Story」が上演されたと同じ日生劇場だったそうです。 何十年も昔に観た映画を思い出しながらの鑑賞でしたが、突然歌い踊るミュージカルが苦手の私でも充分に楽しめた舞台でした。(特に"The Dance at the Gym (Mambo)などの音楽が迫力あり)

West Side Story DVD
ウエスト・サイド物語 (コレクターズ・エディション) [DVD]
West Side Story DVDページトップの画像はマリア役のナタリー・ウッドとトニー役のリチャード・ベイマーで、アメリカのAmazon.comで販売されている「West Side Story」の1998年リリース版VHSです。 日本でも同様のDVDがリリースされましたが現在は入手困難です。
左の画像は2008年に発売された日本語吹替音声もおまけの「ウエスト・サイド物語」のDVDで、こちらのカバー画像はシャーク団のベルナルドを演じたジョージ・チャキリス他シャーク団メンバーです。
(他にもASIN: B000068P1N、ASIN: B00005L9GXなどあり)

West Side Story: film soundtrack
ウエスト・サイド物語
West Side Story film soundtrack2004年にリリースされた「ウエスト・サイド物語」のサウンドトラックで、オーヴァーチュアやプロローグからアイ・フィール・プリティやエンド・クレジットまでレナード・バーンスタインの音楽全19曲が試聴できます。

Cool & America Columbia Records LL - 330
West Side Story soundtrack当時私が購入したサントラのEP盤はThe Sharks & Girls(シャーク団のタッカー・スミス)の"Cool(クール)"と、アニタを演じたリタ・モレノとジェット団のベルナルドを演じたジョージ・チャキリス等が歌う"America(アメリカ)"との組み合わせですが、EP盤では同じくピンクの一色刷りジャケットで「トゥナイト&マリア」もあります。

CBS・ソニーのオリジナル"LP"は中古でも1000円から2000円位とかなり安価で、LPカバー画像はこのページトップのビデオ画像と同じくナタリー・ウッドとリチャード・ベイマーの写真です。
"Side 1"の曲目
1.プロローグ
2.ジェット・ソング
3.なにか起りそう
4.メドレー/体育館でのダンス~ブルース~プロムナード~ジャンプ
5.マリア
6.アメリカ
7.トゥナイト
"Side 2"の曲目
1.クラプキ巡査への悪口
2.アイ・フィール・プリティ
3.ひとつの心
4.クインテット
5.ランブル
6.クール
7.あんな男に~私は恋してる
8.恋は永遠に

Sammy Davis Jr. at the Cocoanut Grove - West Side Story Medley
"West Side Story"の音楽はレナード・バーンスタインのオリジナル・サウンドトラック以外にもSammy Davis Jr.(サミー・デイヴィス・ジュニア)がオリジナルは1963年のライヴ・LPアルバム「At the Cocoanut Grove」でメドレーですが"Jet Song"、"Something's Coming"、"Cool"、"Tonight"、"America"、"Gee, Office Krupke!"、Maria"を歌っています。
CDの試聴はAt the Cocoanut Grove - Amazon.com

Oscar Peterson plays West Side Story
West Side Story: Oscar Peterson Trio( CD)
West Side Story: Oscar Peterson Trio当時話題だったのはジャズ・ピアニストのOscar Peterson Trio(オスカーピーターソン・トリオ)が演奏したLPアルバム「West Side Story [12 inch Analog] by Oscar Peterson trio」が有名です。 オスカー・ピーターソンが"Something's Coming"、"Jet Song"、"Tonight"、"Maria"、"I Feel Pretty"などを編曲し、VerveからリリースしたLPアルバムが1962年のGrammy(グラミー賞)にノミネートされました。 アルバムでの演奏はベースがRay Brown(レイ・ブラウン)でドラムがEd Thigpen(エド・シグペン)のOscar Peterson Trio(オスカー・ピーターソン・トリオ)で、LPは1994年に"CD"化されています。
☆CDの試聴はWest Side Story CD by Oscar Peterson - CD Universe

Buddy Rich & Maynard Ferguson Play Selections From West Side Story & Other Delights
Play Selections From West Side Story
オスカー・ピーターソン・トリオ同様にドラマーのバディ・リッチとトランペッターのメイナード・ファーガソンのアルバムPlay Selections from West Side Story & Other Delightsにはバディ・リッチのドラム・ソロが素晴らしい"West Side Story"や"Maria"など9曲を収録しています。
CDの試聴はPlay Selections From West Side Story & Other Delights
Buddy Rich - Westside Story - YouTube

4 Comments

「十瑠」さんの”放置サイト”から毎日のようにアクセスがあるので行ってみたら警告が出たのでビックリでした。私のコメンの削除をお願いするのを書き忘れて失礼しました。
さて、青春時代に感動した名作といえども作品によっては過去の遺物になっていることもありますね。これが”年をとった”ということですか。。。

「テアトル十瑠」に今朝コメントいただきましたが、あのサイトについては放置状態ですので、攻撃サイト云々については原因は分かりかねます。
ということで、当該コメントについては削除させていただきますね。

>今「ウエスト・サイド物語」を観てもダンス以外の素晴らしさは保証しかねますが・・・

数年前、TVで放送されたので数十年ぶりに観ましたが、大昔に感動しながら観たのが嘘のように、白けた気分になりました。チンピラ同士の抗争というバック・グラウンドが原因だと思います。悲恋の方に視点を置いて、もう一度チャレンジしたいとは思っていますが・・。
若い人にはお薦めですよね。

anupamさんは未見でしたか。今「ウエスト・サイド物語」を観てもダンス以外の素晴らしさは保証しかねますが、1955年の「Rebel Without a Cause(理由なき反抗)」辺りからこんな不良少年映画がかっこう良かったのですね。

考えてみると、ワタクシ、この映画をまだちゃんと見ていないんですね。

なんてことでしょう~

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