郵便配達は二度ベルを鳴らす The Postman Always Rings Twice (1946)

投稿日:


Lana Turne as Cora and John Garfield as Frank
Lana Turner & John Garfield
郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946年)

I'd like to see him get plastered like that some night and drive off a cliff.
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」はアメリカ人の作家であるJames Mallahan Cain(ジェームズ・M・ケイン又はジェイムズ・ケイン)の過激なハードボイルド小説「The Postman Always Rings Twice」を性と暴力の表現を抑えたハリウッド映画用に手直しするのに12年かかったというTay Garnett(ティ・ガーネット)監督のフィルム・ノワールですが日本では未公開でした。
※Film noir(フィルム・ノワール)とはフランス語で"黒い映画"という意味ですが、1940年代後期から1950年代のハリウッド映画の中でも犯罪ものを指すそうです。 1930年代のアメリカの恐慌時代に始まった道徳的には如何わしくてセクシーな刺激を強調したハードボイルド映画に端を発しているとか。
1934年に実話に基づく処女小説「The Postman Always Rings Twice(郵便配達は二度ベルを鳴らす)」を発表しベストセラーとなったJames M.Cain(ジェームズ・M・ケイン)はErnest Hemingway(ヘミングウェイ)などと並ぶハードボイルド(暗黒)小説の大家となり、禁じられた情欲、三角関係、残忍、下品な性的魅力、不倫から生じる殺人などをテーマにした小説を書くことで知られています。

1946年には、原作者ケイン自らこの作品を戯曲化してブロードウェイで上演しました。 映画化はフランスでの1939年、Pierre Chenal(ピエール・シュナル)監督の「Le Dernier tournant(最後の曲がり角)」が初めてで、若妻役はCorinne Luchaire(コリンヌ・リュシェール)、フランク役はFernand Gravey(フェルナンド・グラヴィ)でした。
ハードボイルドとは

この映画以前にもジェイムズ・ケイン作品が二本映画化されてヒットしています。 1944年の「Double Indemnity(深夜の告白)」と1945年のMildred Pierce(ミルドレッド・ピアース)でテレビで放映された時の邦題が「深夜の銃声/偽りの結婚)」だったそうです。 「ミルドレッド・ピアース」は往年のハリウッド女優のJoan Crawford(ジョーン・クロフォード)が主演したMichael Curtiz(マイケル・カーティス)監督のフィルムノワール映画です。

郵便配達は二度ベルを鳴らすのあらすじ
こんな場末の安食堂に、光輝く月の女神か「ラナ・ターナー」!
カルフォルニア、ロサンゼルスの街道筋にある安食堂の中年店主と結婚してしまった美しいコーラ・スミスをLana Turner(ラナ・ターナー)が演じています。 撮影当時は25歳だったラナ・ターナーは後に「このコーラ役が一番好き」と言ったそうです。 モノクロ画面にラナターナーの白一色に統一した衣裳がひときわ目立ちます。 逞しい放浪者のフランク・チェンバースにはJohn Garfield(ジョン・ガーフィルド)です。 映画ではギリシャ系移民だという陽気なコーラの夫のニック・スミスはテレビドラマの「奥様は魔女」でサンタクロースを演じた南ア出身のCecil Kellaway(セシル・ケラウェイ)です。

天職を求めてロスからサンディエゴへのヒッチハイクの途中でフランク(ガーフィルド)が「Man Wanted(求人)」(男性求む?)の張り紙を見つけて降り立ったのがガソリンスタンド兼安食堂の「Twin Oaks(ツインオークス)」。 ちなみにワーナーの看板女優だったKay Francis(ケイ・フランシス)が1932年に主演した映画「Man Wanted」の邦題は「男子入用」でした。 さて、そこの主人ニックがフランクに自慢の妻のコーラを紹介します。 こんなところに息をのむほどいい女が、掃き溜めの鶴じゃないかとフランクは早速コーラを口説きます。 最初はフランクを追い払えと亭主に言っていたコーラは美貌ゆえの数多の誘惑に終止符を打つためにと愛していない宣言をしてニックと結婚したのだとか。 真っ白い服で皿を洗うコーラの唇をフランクが奪った後はダンス、そして真っ白い水着で夜のビーチへ。 これですっかり意気投合した野心家のコーラは「フランクと行きます、愛しているの」と夫を残してフランクと駆け落ちすることにします。 ところがこの無謀なヒッチハイクはままならず頓挫してノコノコと食堂に舞い戻ることに。 この遁走劇でこれまでのコーラの純白の服が泥汚れに。 レジに残した夫ニックへの置き手紙は回収したもののこれで済むはずもなく燃え上がった二人は夫殺しを企みます。 ニックの危険な酔っ払い運転を見たフランクの言葉、「崖から落ちりゃいいのに」をきっかけに、「私は悪女じゃないわ」と言いつつ犯行に及ぶ。 「重大な事故は家で起きる、特に風呂場で」 凶器はボール・ベアリングを入れた袋、ナンテコッタの手違いで猫が感電死しただけで夫は死なずに病院行き。 事件を知ったサケット地方検事もやってきた。 この地方検事はフランクをツインオークスまで乗せてくれたあの男性だ。 ニックは一週間の入院、その間やりたい放題の二人は海で渚のデート。

夢心地の一週間だったがやはり出て行くしかないと思い荷造りするフランクだった。 とはいえ二週間後、未練が残るフランクはコーラに会えるかも...とうろついていた市場でニックに見つかり連れ戻される。 ニックが退院した後、状況が変わった。 夫は店をたたんで寝たきりの姉がいるカナダの実家に行くと決心したから。 店で働かなくてもよくなるって言っても初耳のニックの姉の介護をするなんて、フランクは店の買主に紹介するし明日から閉店とご機嫌なニック。 それとは裏腹なコーラ、キッチンでナイフを手にしたコーラをフランクが見つけたが、ニックを殺ろうとしたのではなく絶望から自らを刺そうとしたのだった。 そんなコーラのナイトガウンは真っ黒。 前回の失敗から完全犯罪は無理と悟り、酒酔い運転の事故を企む二人の前に近所に住む地方検事のサケットが現れたのでヒヤヒヤの二人だったがサケットがニックの酔っ払いの証人となると踏んだ。 さてさて、店の売買の件で夫妻がフランクと3人でサンタバーバラに行く途中、マリブ湖近辺の山道でやまびこに興じるベロベロのニックをフランクが酒ビンで殴って車を崖下に落とします。 ニックは元々酒飲み運転で危ない目に遭っていたし。 車が途中で止まってしまったのでさらに下に落とそうとしてフランクも一緒に落ちてしまい、ニックは死亡、フランクは病院行き。 ニックの事件で風呂場の感電事故以来疑問を持った地方検事が尾行してきたところに崖を這い上がったコーラが助けを求めたのです。 病院でニック殺害を疑う地方検事の取り調べを受けたフランクはニックに一万ドルという高額な生命保険が掛けられていることを知らされ、二人を敵対させようと目論む地方検事がコーラは酔ったフランクも殺そうとしたのだと力説するので動揺したフランクはコーラを訴える起訴状に署名してしまいます。 罪状認否の法廷ではコーラ側の弁護士キーツの作戦でコーラが供述書を作ってコーラとフランクの二人ともが有罪となるが二人の共犯を証明したコーラの供述書は検事側には渡らないというサケット検事と弁護士キーツの司法取引きによってコーラは過失致死で有罪を宣告されテハチャピ女子刑務所に送られはずが執行猶予。(裁判も検事と弁護士の力量合戦、検事と弁護士はライバル同士で100ドルの賭けをしていた)

ニックの保険金を受け取ったコーラは食堂に戻りフランクも引き続き店で働くことに。 裁判で話題となった食堂には物見高い客たちが押しかけ繁盛しますが、噂を回避すべく結婚したものの二人の仲はしっくりいきません。 スミス婦人からチェンバース婦人に。 コーラの母親が心臓発作を起こしたとの電報で実家に帰っていたコーラが喪服で戻った日、裁判所で供述書を作った時にキーツの手下だったが現在は辞めたあのケネディがいやらしくも二人の足元をみてあの時の供述書を一万五千ドルという法外な高値で買えと銃で脅します。 ふざけるなとばかりにフランクがボコボコにして仲間に電話をかけて供述書を持って来させコピーも原本も取り上げて叩き出します。 この後、留守中のフランクの浮気を知ったコーラが怒って出て行こうとしたこともあり、検事に真実を話すのではと互いに疑惑の念を持ち続けて生活していましたが、コーラの懐妊を知ってフランクはコーラの要求に応じることに。(この告白シーンでもコーラは喪服姿) 鬼の居ぬ間にとばかりにフランクが浮気した女マッジを演じていたのが映画デビューしたてのAudrey Totter(オードリー・トッター)で1964年の「The Carpetbaggers(大いなる野望)」では売春婦役でした。

幸せに戻るためと懐かしき海で沖まで泳いで仲直り。(妊娠しているのに遠泳...) ところがその帰りにフランクが待ちに待った口紅を塗ったコーラの夢のキスを受けるとフランクが運転する車が道を外して事故、映画の冒頭でフランクが足元で拾ったコーラのあの口紅がコーラの手から転がります。 この件でも疑った地方検事はフランクを交通事故に見せかけたコーラの殺人容疑で逮捕しますが、実はコーラが怒って店を出て行く時の置き手紙に夫殺しのことが書かれていたのだとか。(店の備品の競売でレジを買った男が発見) コーラ殺しかニック殺しか、どっちに転んでも殺人犯人のフランク、ガス室へ行く前に神父に最後の告白をします。 玄関のベルが鳴るのを待ちに待っている時、いつもベルは二度鳴る。コーラのために二度、フランクのためにも二度、二度目のベルは聞き逃すことはない。(殺してない、愛してた) 心待ちにしている手紙を待っていると郵便配達のベルを聞き逃すまいと玄関を離れられないがいつも二度鳴るから。 コーラはニックの命を自分の命をもって償った。 フランクはコーラ殺しでなくニック殺しの罪で処刑されることを知って安心します。 コーラと自分のために祈ってくれるようフランクは神父に頼みます。 どこででも二人が一緒になれるようにと。
☆美しいラナ・ターナーの写真が見られるLana Turner - TCF

「あの人があの晩のように飲んだくれて崖から落っこちれば・・・」
若妻が安住のために選んでしまった冴えない歳上男との結婚、そろそろ嫌気がさしている頃にふらりと舞込んだ若い流れ者と恋に落ち、共謀して亭主を亡き者にする計画を立てる。 上手くいきそうでいかないことが次々と起こり、どんでん返しも何度かあるストーリーを流れ者「フランク」のナレーションでつなぐエロティック・スリラーです。

ラストの刑務所でのシーンにおけるフランクと神父のセリフ
Frank: She must know it. But that's the awful part when you monkey with murder. Somehow, maybe, it flashed to her head when the car hit that maybe I did do it. Father, do you think she knows the truth?
Father: We can hope.
Frank: We got off to a wrong start. Somehow or other, we never got back on the right track. But I-I didn't kill her. I loved her so much. I tell ya, I would have died for her.

この映画に郵便配達夫は出てきません! アメリカでは郵便配達夫はいつも玄関の「ベルを二度鳴らして客ではない、もしくは怪しい者ではないと知らせる」慣習があるようです。 深い意味が有るのかどうか、郵便配達夫は流れ者のフランクを意味しているのか?二度ベルは鳴らしていないが運命的な何かを受け取らざるをえない状況になるのか?
「二度」という点では、小説では事が必ず二度起こり(殺人、自動車事故など)二度目が決定打となるのです。
BBキングのレパートリーの一曲で「I've Got Some Outside Help I Don't Need」の文句にも出てきます。 ただし、ドアを二度ノックすると「入ってます。」なんていう返事が来るので3回、もしくは礼儀正しく4回にしましょう。

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の監督であるマイケル・カーティスはこの作品の前の1945年に「Mildred Pierce(ミルドレッド・ピアース)」、その後の1954年には「White Christmas(ホワイト・クリスマス)」など数え切れないほどの名作を監督しています。

videoジョン・ガーフィールドとラナ・ターナーの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のトレーラーはThe Postman Always Rings Twice Trailer - Turner Classic Movies

She's Funny That Way
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の音楽はGeorge Bassman(ジョージ・バスマン)が担当したそうですが サウンドトラックはリリースされていないようです。 映画の中では、悪くもないのにとんだ災難なコーラの夫で店主のニックがギターを弾きながらおはこ(十八番)の"She's Funny That Way"を歌います。 これはこの映画のクレジットには出ませんが、別名が"Charles N. Daniels"といいラグタイム作曲家として知られるNeil Moretの作曲、Richard A. Whiting作詞で1928年に作られた歌をリチャードの娘であるMargaret Whitingが最初に歌ったそうです。 1943年にFrank Sinatra(シナトラ)が歌ってヒットしましたが多くのジャズシンガーがカバーしている他、エロール・ガーナーやコールマン・ホーキンスなどの演奏バージョンもたくさんあります。 シナトラ以外の男性シンガーでカバーしたビング・クロスビーやナット・キング・コールなどなどの他、1947年ヴォーグで録音したスウィングジャズのトランペッターだったCharlie Shavers(チャーリー・シェイヴァース)のボーカル・バージョンがレトロで超オセンチな1947年のLPレコード(Vogue Picture Record B面はシェイヴァースのトランペットで"Dizzy's Dilemma")は現在入手不可。
トランペッターCharlie Shavers(チャーリー・シェイヴァース)が演奏する"She's Funny That Way"や"Summertime"が収録されて試聴できるアルバムはShavers Shivers
☆I'm not much to look at, I'm nothing to see...(見てくれの悪い俺に夢中な女がいる...そこが彼女の変なとこ)と歌われるShe's funny that wayの歌詞はShe's Funny That Way Lyrics - The Guitarguy's Golden Classics
Sam Wooding & His Orchestra - She's Funny That Way 1929

John Garfield
ジョン・ガーフィルドは1951年の「He Ran All the Way(その男を逃すな)を最後に赤狩り(レッド・パージ McCarthyism)でハリウッドを追われた翌年に亡くなったそうです。
ジョン・ガーフィルドは「郵便配達は二度ベルを鳴らす」で演じた野性的な流れ者とは全く違うユダヤ人の軍人を翌年の「Gentleman's Agreement(紳士協定)」で演じました。 1947年にGregory Peck(グレゴリー・ペック)が主演した「紳士協定」はAnti-Semitism(反ユダヤ主義)を描いて数々の受賞を得た社会派ドラマです。 赤狩りで重要な役割を果たしたElia Kazan(エリア・カザン又はイリア・カザン)が監督しているのは皮肉です。
ジョン・ガーフィルドが出演した「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のスチール写真はJohn Garfield Photos - themave.com(右のサムネイルをクリック)

☆赤狩りについての参考はRed purge - plala.or.jp

Lana Turner
伝説のグラマー女優であるラナ・ターナーは未だ十代でハリウッド映画界に入り、第二次世界大戦中には人気の高いピンナップガールとしても名高かったが「郵便配達は二度ベルを鳴らす」に出演してスターとなりました。 映画で演じた悪女なみに何度もの結婚や数多くの浮き名を流しました。 スキャンダルも華やかでそのなかには1958年当時には愛人だったボデイガードを娘が刺したという殺人事件まであったそうです。 このイメージを払拭するかのように以降は「Imitation of Life(悲しみは空の彼方に)」などの母もの映画に出演しました。


The Postman Always Rings Twice DVD
下記の画像は「The Postman Always Rings Twice」のオリジナルである"ラナ・ターナー"出演の2004年に発売された「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の日本語字幕版DVDですが現在は入手困難なのでリンクは2011年発売のDVDです。
The Postman Always Rings Twice DVD郵便配達は二度ベルを鳴らす
2006年から500円の廉価版DVD「郵便配達は二度ベルを鳴らす」が発売されました。


Visconti's Ossessione 1942年
ラナ・ターナーがコーラを演じた「郵便配達は二度ベルを鳴らす」より前の1942年にイタリアのLuchino Visconti(ルキノ・ヴィスコンティ)監督が、映画権を得ずに「Ossessione(妄想) 郵便配達は二度ベルを鳴らす)」を映画化してデビューしました。 舞台をカルフォルニアからイタリアの侘しいPo Valley(ポー河)流域の街道にあるレストランに移します。 ポー河というとMichelangelo Antonioni(ミケランジェロ・アントニオーニ)が監督した「Il grido(さすらい)」を思い浮かべます。 若妻役はClara Calamai(クララ・カラマーイ)でした。

The Postman Always Rings Twice 1981年
ケインの原作に忠実な4度目の映画化はBob Rafelson(ボブ・ラファエルソン)監督の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」ですが過激な性描写(ボカシあり)が話題となりました。 フランクを演じたのは超個性的な演技派の「Chinatown(チャイナタウン)」のJack Nicholson(ジャック・ニコルソン)で、若妻役はJessica Lange(ジェシカ・ラング)でした。 キッチンテーブル上での激しいセックス・シーンでレース付きパンティのドアップが衝撃的です。(ビデオによってはボカシ入り) ジェシカ・ラングはJeff Bridges(ジェフ・ブリッジス)が主演した1976年の「King Kong(キングコング)」で透け乳とはみ乳(おっぱいポロリ)やキングコングに可愛がられる衝撃的なデビューが話題となったセクシーな女優です。 この映画は不評でしたが1979年に舞踏家のAnn Reinking(アン・ラインキング)も出演したブロードウェイ・ミュージカルの振付師で演出家のBob Fosse(ボブ・フォッシー)が監督した自伝的ミュージカル映画の「All That Jazz(オール・ザット・ジャズ)」で主演してカムバックしています。 その後はDustin Hoffman(ダスティン・ホフマン)がドーシー(ドロシー)役で主演した1982年の「Tootsie(トッツィー)」でドーシーの憧れの女性を演をじてアカデミー助演女優賞を受賞しました。 映画の音楽を担当したDave Grusin(デイヴ・グルーシン)作曲のテーマ曲の"Tootsie"がアカデミーにノミネートされましたが、話題としては監督のSydney Pollack(シドニー・ポラック)がドーシーのエージェント役で出演しました。
ジャック・ニコルソンがフランク役で主演した「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のあらすじは同じでも戦後すぐの時代に作られた前作よりかなり性描写を売り物にしていて本国アメリカでは大分カットされたそうです。 ボストンバッグ一つで放浪するフランクは食事が終わると金を取られたと店主に告げる。 店主は台所にいた妻のコーラに新しい修理工が見つかったと話し、フランクにはこのガソリンスタンドで働くように勧める。 一旦はロスアンゼルスに行くからと断ったものの部屋と食事付き(奥さんも)と聞いて心変わり。 奥さん頂きは店主が買い物に出た後に怒った。 店のドアにカギをかけたフランクはコーラのクビまで締める凶暴さで迫る。 一方コーラも「やめて!」と抵抗した後にキッチンテーブルのパンヤ包丁を投げやって粉まみれになって言う。「さあ、いいわ、早く!」 情欲の虜となった二人、コーラの夫に嫉妬してここを出ようと促すフランクに「あの人さえいなかったら。」と意味深な言葉を吐くコーラ。 予定では役割分担はボールベアリングを入れた小さな麻袋で撲殺する係がコーラ、死体の運び屋がフランク。 しかし外で待っている間に警官がやってきてフランクは顔を見られ、ニックの頭を殴ったら停電になるとうハプニング。 調べに来た警官に風呂場にかかった梯子を怪訝に思われ、死刑かもと恐れ戦く二人だったが警官は飼い猫のせいでショートしたのだろうと帰って行った。 突然の停電で頭を打ったとして入院していたニックも戻り、フランクを命の恩人だと思い込む。 思いあまってフランクは一人で出て行こうとするとコーラが入って来て「ニックの子供を産むなんて嫌!出ていかないで。」と涙します。

その後コーラとニックの夫婦がフランクを連れて小旅行に出かけることに。 運転はコーラ、ニックとフランクはベロベロに酔っぱらっている様子。 そこで車が故障、眠っている筈のフランクが後部座席に置かれたスパナを握る怖いシーン。 崖っぷちまでコーラが運転してシフトをニュートラルにすると二人で車を押したが途中で止まってしまった。 二人は互いに傷つけ合って事故を装う。 勝利の前祝いの愛の営みを終えてコーラは助けを呼びに崖を上って行く。 フランクが車の座席に乗り込んだとたん、何と!車が転げ落ちていった。 これでコーラは演技しなくても必死で這い上がると通りかかった車を止める。 フランクが収容された病院に地方検事が訊ねて来てフランクの過去の悪行を列挙し、フランクを殺人罪で起訴し有罪にしてみせると豪語する。 ニックは一万ドルの生命保険がかかっており受取人はコーラだった。 検事は女(コーラ)を告訴すればフランクはニックを殺していないと認めるからこの書類に署名しろと言い残して去った。 この告訴状にフランクがサインしてしまったことは満身創痍のフランクのところにやってきた弁護士にも指摘された。 実際に裁判でフランクの告訴を聞いたコーラは逆上し、全てを話した。ただし警官にではなく弁護士の助手に。 そこでこの敏腕弁護士は保険会社側と裏工作、交渉してフランクを釈放させる。 コーラは執行猶予付きの過失致死罪。 但し、ニックの生命保険金は弁護士の手に。 執行猶予期間が過ぎたらこの地を出る予定だった二人だったがあの事件以来、物見高い人々で繁盛し始めた店を切り盛りしてやる気満々のコーラだった。

そんな時、コーラを子供の頃から知っているという一人の老人がやって来て故郷に置いてきた母親の容態が悪いと知らせた。 フランクが一人で留守番をしていると、サーカスにライオンを届けにサンディエゴに行くという客がガソリンを入れてくれとやって来た。 そこで暇を持て余したフランクはトラックの助手席に乗り込むがサーカスでは美人猛獣使い(「アダムス・ファミリー」のアンジェリカ・ヒューストンがオールヌード)に気に入られるエピソードもある。 母親を亡くしたコーラは子供が産まれると知らせ、フランクを縛らないと将来のことを語っていると例の事件で弁護士の助手をしていた男だった。 仕事を辞める時にコーラが供述書をくすねてきたと銃で脅しにかかる。 一万ドル! ボコボコにして書類のありかを吐かせ取りに行っている間にサーカスの女が来たという。 この腹いせにコーラは供述書は自分ではなくフランクを殺人罪に問うには有効なのだと話す。 フランクは結婚しようと追った。 本気で。 ようやく訪れた平穏な生活、しかし身重のコーラはフランクが前方不注意でカーブをきった車から投げ出された。

ジャック・ニコルソンが主演したリメイク版のDVD
The Postman Always Rings Twice DVD郵便配達は二度ベルを鳴らす
ジャック・ニコルソンの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のトレーラーはThe Postman Always Rings Twice (1981) Trailer - Cinemagia

Luchino Visconti's "Ossessione" DVD
2006年発売のルキーノ・ヴィスコンティ監督のイタリア版「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の日本語字幕版のDVD(白黒)です。
Ossessione郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル・リマスター 完全版


ハードボイルド小説英語版書籍
ジェームズ・M・ケイン著作「The Postman Always Rings Twice」
The Postman Always Rings TwiceThe Postman Always Rings Twice (Vintage Crime/Black Lizard)


Pickup (1951)
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」に類似した放浪者とファムファタルの映画というとHugo Haas(ヒューゴ・ハース)監督の「ピックアップ」というフィルム・ノワールがあります。 この映画でのファムファタルは「Blonde Bait(脱走女監獄)」で主演したBeverly Michaels(ビヴァリー・マイケルズ)でした。 ヒューゴ・ハースは「Ben Casey(ベン・ケーシー」のVince Edwards(ヴィンス・エドワーズ)も出演した1957年の「Hit and Run(ひき逃げ殺人事件)」でも主演しています。 ちなみにヴィンス・エドワーズはPerry Botkin(ペリー・ボトキン)の"The Executioner Theme(殺し屋のテーマ)"が大ヒットした1958年のフィルム・ノワールの「Murder By Contact(契約殺人)」でも主演しました。