チャン・ツィイー 2046  (2004)

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Why can't it be like it was before?
Zhang Ziyi in 2046
Zhang Ziyi as Bai Ling in 2046
ミステリートレインが欲望と喪失の過去へ乗客を運んでいく
でも、誰も戻ってこない。 作者の私だけしか......

2046 (2004年)
よっぽど良い所らしく行ったっきり誰も戻ってこないのは、あの世しか私は知りませんが誰も戻ってこない「2046」というところに行くお話です。
香港女優のZhang Ziyi(チャン・ツィイー)が出演した「2046」は香港では2004年9月に公開されたのですが、やっとアメリカで2005年8月5日に限定公開されたそうです。 日本では2004年10月公開されていますが日本語オフィシャルサイトは現在消滅しました。 ちなみに映画のタイトル「2046」はニーゼロヨンロクと読むらしいです。

videoSony Classics.comをはじめ「2046」のオフィシャル・サイトは現在消滅してもう予告編は観られません。

「花様年華(かようねんか)」に登場した新聞記者のチャウ氏のその後を描いた「2046」では、現在カーウァイ監督のお気に入り俳優であるTony Leung Chiu-wai(トニー・レオン)が主人公のチョビ髭のロマン作家を演じます。 作家は香港のオリエンタル・ホテルの2046号室に泊まっている昔の恋人ルル(今はミミ)に遭遇しますが、次に行ってみると消えてしまっていたので隣の部屋2047号を借りることに......
☆前作「花様年華」についてはHot'n Cool内のIn The Mood For Love 花様年華 (2000)(Fa yeung nin wa)

「2046」のあらすじ
以下のあらすじは最後まで書いてあるとはいえ、「花様年華」を観た私も把握しきれないミステリアスな内容となっています。
冒頭の映像はアンモナイトかと思ったら、どうやら「花様年華」で秘密を封じ込めたあの木の穴らしい。
空想的な高速線路に弾丸列車が走り去るような映像に、昔の恋人(wang)に会えず「2046」を出てきて長いこと列車に乗っていると言うタク(キムタクこと木村拓哉)のナレーション。 タクが言うにはかっての恋人が秘密を穴に封じ込めたので本当に愛してくれていたのかは分からない。「2046では壮大なネットワークが地球上に広がっている。 怪しげな列車が2046に向かって時々出発して行く。」 目的はただ一つ、失くした記憶を見つけるため。 なぜなら2046では何も変わらないから。
1967年の香港を舞台に「2046」の物語りは展開する。 男が2046年を舞台にした近未来小説「2046」を書いている。 その小説の中の登場人物たちは未知の「2046」を目指して謎の列車に乗り込む。この列車の客室乗務員は、美しい女、いや人造人間だ。 ひたすら2046に行けば、愛の喪失を取り戻せると信じて。 だが、本当にそうなのかどうかは誰も分からない。 なぜなら、2046から帰ってきた人はいないから。 ただひとり、作者の男を除いては。 今、その男は再び「2046」行きの列車に乗っていた。 誰にも言えない秘密を胸に。 果たしてその男の目的とは? そしてその旅の果てで彼を待ち受ける運命とは? 小説を書く<男>の<現在>と、列車の中にいる<男>の<未来>。 2つの時空が交差して、ドラマは加速してゆく。 しかしそこに未来はなくあるは過去ばかり。

一人の男に主人公のタク(キムタク)が聞かれている。 Mr. Wang / Train Captain(ミスター・ワン/車掌のワン・シェン)からか? ホテルのオーナー(支配人)もワンさんだ。 「どうしてあそこを出てきたのか。」 タクは董潔(ドン・ジェ)が演じるWang Jing-wen(ワン・ジンウェン)のボーイフレンド、ここではFaye Wong(王菲/フェイ・ウォン)が演じる実はアンドロイド(人造人間)。 フェイ・ウォンは「Chungking Express(重慶森林/恋する惑星)」のヒロインを演じた香港女優で歌手です。

昔、ある男が秘密を木の穴に封じ込めで泥で蓋をした。 秘密を永遠に知られないように。 このシーンは木の穴に秘密を埋め込んでいる女の後姿から「花様年華」のチャンとマギーの雨のシーンを思い起こす。 が、映画「2046」では場所はシンガポール。
2046 - Android on a mysterious train - YouTube

トニーレオンが演じる男Chow Mo-wan(チャウ・モウワン)は「香港に戻るから一緒に来て欲しい。」とLi Gong(Gong Li /コン・リー)が演じる女Su Li-zhen(スー・リーチェン)に告げる。(Su Li-zhenはコン・リーとslz1960としてマギー・チャンが演じる) 女(スー・リーチェン)は「私の過去も知らないで。」と言う。 遠くに列車の汽笛。 なんと女(リーチェン)は男(チャウ)が勝てばついて行くとトランプを出した。 チャウはハートのキング、リーチェンはハートのエースだった。 拒絶か。 チャウは香港に戻る。

1966年、暴動の年(1967年は文化大革命の影響を受けた中国共産党系住民による暴動発生、1992年に返還されるまで英国の植民地だった香港に反英暴動が起きた)
チャウはホテルに滞在し新聞のコラムを執筆するが、生活は苦しいので金になるならと何でも書くようになる。 作家というより売文業。 歓楽街をテーマにした官能小説。 そして自分の書いた小説どおりに一夜限りの恋もする退廃的な生活。 そんな時シンガポールでショーに出ていたルル(Leung Fung-ying)と会う。

ルルとは 1990年にレスリー・チャンとマギー・チャンが出演したウォン・カーウァイ監督の「Days Of Being Wild(欲望の翼)」に登場するクラブ・ダンサーのルル(2046ではミミ)。 「欲望の翼」と同様に実生活でトニー・レオンの妻であるCarina Lau(カリーナ・ラウ)が演じるのはルルとミミとアンドロイド。 同じ"パーフィディア"という曲が流れた。 親しかったのに覚えていないようだ。 ルル、現在はミミ、実はアンドロイド。 チャウは死んだ恋人に似ているからとミミがダンスを教えてくれたと言うと、もっと話してと振り返る。 詳しく話したものの、はたしてルルは本当に忘れてしまったのかと疑問に思うチャウ。 酔いつぶれたルルをチャウがホテルに送って帰る時にふとドアの部屋番号に眼が行った。 チャウが帰った後にルルがむせび泣いていた。 このシーンで足をちょっと曲げてベッドで寝ているルルのストッキングが膝の裏側がたぐまっているのが気になった。 時代考証で当時のストッキングでも使用したのかあるいは中国製品がそうなのか。 現在日本ではそれなりのストッキングでは伸びが良いのでたぐまることはない。 パンストは1963年発売だったから1966年にはまだなかった。

ホテルの部屋番号は「2046」 ルルと再開することなくこの番号も見なければ小説「2046」は生まれなかったとチャウは思う。 2日後、部屋の鍵を返そうとルルを訪ねたがいないので管理人にルルについて聞いたところミミならいたが引っ越したと言われた。 そこで物書きのチャウはその部屋を借りることにする。 文化人歓迎のオペラ好きの管理人は快諾したがその部屋は改装するのですぐは無理とのこと。 隣の2047を勧めたが、チャウが改装が終わるまで待つと告げて帰ろうとすると管理人は提案した。 それではすぐに2047に越して来て改装が終わり次第移るのはどうだ。 そこでチャウは部屋を見ることに。 後で分かったことはあの晩、ルルは恋人のナイトクラブのドラマー(チャン・チェン)に殺されたそうだ。 小鳥をさがしていたルルはドラマーを足のない小鳥と呼んでいたそうだ。 このシーンでは音楽は"シボネイ"

Faye Wong in 2046
場面変わって歩き回るパンプス(ハイヒール)の映像、日本語で「いきましょう、行きます、いってみよう。」 「いいですよ、分かりました、わかったよ、行ってもいいかな。」 どうやら日本語の練習のようだ。 2047に居残ったチャウは誰もいないはずの隣の部屋から時々声が聞こえるので不審に思って覗いてみた。 新しい住人か? いや、フェイ・ウオンが演じるホテルオーナーの娘ワン・ジンウェンだった。 恋人が日本人ダから日本語だろうが何を話しているのかはチャウには理解できない。
さらに場面が変わって、かってこのホテルに滞在していた日本企業社員のタクが道順を訪ねるが娘のジンウェンの説明が理解できないでいるシーン。
次のシーンでは二人の交際をジンウェンの父親に大反対される。 長い交際も空しく結局別れることに。 ジンウェンが自分のことをどう思っているのかを知りたいとタク、「俺と一緒に行かないか?」 この言葉に答えは帰ってこなかった。 一呼吸おくと「さよなら。」と去っていった。 それから後、ジンウェンは独り言をつぶやくようになったという。 ひどい大音量のオペラの苦情を言いに管理室に出向いたチャウの耳に入ってきたのは「帰国したのになぜ戻って来たのだ!お前があきらめられないのなら奴と出て行け!」 事情を察知したチャウはドアを離れるがその時そこに座っているタクを見た。
次のシーンではタバコを吸うジンウェン、物思いにふけるジンウェンがふと廊下を見ると覗き込んでいるチャウがいる。
流れる曲はVincenzo Bellini(ベリーニ)の歌劇(オペラ)「Norma(ノルマ)」のソプラノのアリアで"Casta diva(清らかな女神よ)"

場面はチャウ、ドン・ジェ(董潔/Jie Dong)が演じるジンウェンの妹ジェウェンに迫られる。 「大人になったね。」と言うとジェウェンはキスをしてきた。 ジンウェンの早熟な妹ジェウェンはほどなく駆け落ちする。 相手はドラマー。  それに引き換え、姉のジンウェンは入院したとか。

外の暴動を避けるべくチャウはホテルに籠ってワン・ジンウェンの悲恋をテーマにした近未来小説「2046」を書き始める。 登場人物たちは永遠の愛を求めて「何も変わらない」と云われる"2046"を目指して列車に乗る。 小説の主人公はタク、美しいアンドロイドとミステリートレインで旅をする。
行こうとする場所「2046」に辿り着けば、失った記憶が戻ってくる、求める愛が見つかるかも。
この官能的で風変わりなSF小説はヒットセラーになった。 チャウの周りの人々はみんなが登場人物。
娘たちのことが原因でホテルの支配人(ワン)のオペラの音量はますます大きくなる。
Maria Callas - "Oh! s'io potessi dissipare le nubi" from Il Pirata by Bellini - YouTube

Zhang Ziyi in 2046
9月には暴動が終わり正常が帰ってきた。 そして景気回復のおかげか、2046号室に客が入った。 チャン・ツィイーが演じる若い女Bai Ling(バイ・リン)はつっぱった若い水商売の女(売春婦)で隣室の激しい営みに苦情を挺する。 チャン・ツィイーはまるで「花様年華」のマギー・チャンのように支那服(チャイナドレス)の衣裳が素晴らしい。特にコニー・フランシスの切ないシボネイが流れるシーン。

バイ・リンを覗き見するチャウ。 チャウの賭博仲間のAh Ping(ピン)に100ドルでバイ・リンと話をつける約束を取り付けたチャウ。 ピンは「相手(バイ・リン)は売春婦じゃないんだから、数日待て。」 と言ったがバイ・リンが戻って来た時ドアをピンがノックしてチャウに紹介されたと言う。 それでチャウが賭博場から戻るとバイ・リンが自分の部屋のドアを開けて呼び止めた。 「この人誰なの?」とピンを突き出す。 ことのなりゆきに焦ったチャウは「あっちの部屋の女だ、間違って申し訳ない。」と言い訳してピンを連れ去る。 次の夜、チャウはお詫びの品を手ににバイ・リンの部屋を訪ねる。 バイ・リンは手ごわかったがなんとか渡すことに成功。 プレゼントの品は絹のストッキング。
後日、廊下で電話をしているバイ・リンの側をチャウが通りかかる。
この時バイ・リンが赤いマニキュアの爪を長いヤスリで研いでいたのがなんとも不思議。 マニキュアが剥げちゃうじゃん? このシーンで流れるシボネー"はConnie Francis(コニー・フランシス)の歌バージョン。

1967年12月、クリスマスイヴだというのに早く帰って来たバイ・リンをからかうチャウ。
このシーンではクリスマスにちなんでNat King Cole(ナット・キング・コール)のボーカルで"The Christmas Song(クリスマス・ソング)"
チャウがバイ・リンを食事に誘うと渋々と応じる。 バイ・リンは「彼氏がシンガポールに連れて行くと言ったので夏服しか持ってこなかったの。」と話して、シンガポールで数年新聞記者として滞在していたチャウから話を聞く。 せめて想像したいと、話を聞きながら涙ぐむ。 陰気なお酒だったわと嘆くバイ・リンを飲み直しにと誘うチャウ。 難しいが今後は飲み友達になろうと。
場面変わってチャウに新しい女が出来たお祝い。 高い料理を注文する時、「蛇」と注文している。 体を芯から暖めてくれる蛇料理は香港の冬の定番らしい。 夜中の2時になってもバイ・リンは現れない。 女が来ないからと賭けに負けて食代の他にヒゲも剃られたチャウは恥をかかせたバイ・リンの部屋を明け方に訪ねる。 バイ・リンはピンに行かないように頼まれたと白状する。 チャウのお仕置きとしてとうとう陥落したバイ・リン。 2回戦に及ぶシーンでトニーレオンのお尻がチラリ。
大奮闘でクタクタだから部屋に戻ると服を着替えたチャウが有り合わせの200ドルを渡そうとすると、「私は売り物ではない。」と顔色を変えるバイ・リン。 このシーンが印象的。 だが「服を破いた償いだ。」と言いわけすると「そう、付きまとわれたくは無いのね。、今回は10ドルにしてあげるけどこの次はこの値段よ。」と強がりを言うバイ・リン。 しかしチャウが出ていった後にバイ・リンの頬に一筋の涙。 ま、こんなもんか。

後日、チャウと二人で外に遊びに行ってはベッドで激しく燃えるバイ・リンは帰りに金を受け取る。 その金は小箱には貯まっていく。 ベッドシーンではチャン・ツィーは全裸で大サービス。(全裸といっても足と背中)
チャウに惚れたバイ・リンだがピンから「チャウは本気じゃないから時間の無駄だ。」と諭される。 この後、チャウが帰るのを待ち構えていたバイ・リンは自分からベッドに誘う。 チャウはそれなら金を払えと言う。 バイ・リンは「ずっと来ないで、忙しいなんて嘘ばっかり、この前、部屋から出ていった女は誰?」とチャウを問い詰める。 「貸し切ってずっと一緒に居る。」というバイ・リンにチャウは「俺の主義だから長期はお断り。」 バイ・リンとて例外ではないと言う。 母親を除いては女は皆同じとも。 バイ・リンはチャウを愛しているから別の男は連れ帰らないからチャウにも同じにしてと言うが、無理だとチャウ。 これに怒ったバイ・リンはもう付きまとわないからチャウも同様にするように言い捨てて出て行く。 今夜は私が払ったわ!と10ドルを手渡す手を掴んだチャウ。 「どうもネ、料金は同じだからその気になったらいつでもおいで。」

ヤケッパチになったバイ・リンは部屋に男を連れ込んで騒いでみせるがチャウには全く効果なし。
次のシーンではコニー・フランシスの歌で"シボネイ"が流れ、赤い支那服の女が階段を上がっていきチャウの部屋に入る。 廊下で電話していたバイ・リンはそれを見た後、金を貯めた小箱を掴んで部屋を出て行く。
次の場面は賑やかなクラブのシーン、元のサヤに納まって豪華に着飾ったバイ・リンとチャウがすれ違う。 これでバイ・リンはチャウの小説の中だけの女となった。

Faye Wong in 2046
病院から戻ってきたホテルのオーナーの娘ジンウェンがチャウに日本人の恋人への手紙を頼む。 そして再びジンウェンの日本語の独り言が聞こえるようになる。 「隠れて手紙のやり取りなどするな!」とジンウェンの手紙は父親に破り捨てられる。 大音量のオペラに隠れた父娘のやり取りを聞いたチャウはタクからの手紙を自分宛に送らせたらと親切に申し出る。 タクは雨が上がった後の空にかかった虹のように思っているのか、それとももう消えてしまったかと問う。 そのジンウェンは自分も書いているから今度読んでと言う。かなりの量をほんの一部と称してチャウに見せる。 チャウの感想は「もう二度と手紙を書くな。 上手すぎて俺は失業するから。」

そんなジンウェンはチャウの助手となり、チャウが口述する後武侠小説(大衆小説)をジンウェンが書き留めたり代筆したりと。 ジンウェンは女性ながら官能小説を書くのも上手くて気が合ったが楽しかった夏は短かった。
外で働きたいと言うジンウェンには父親にはチャウと外出すると偽ってクロークの仕事を紹介してやった。 いつしか想いが芽生えていたチャウが口実を作ってジンウェンを仕事場に迎えにいく雨のシーンは「花様年華」のチャウ氏とマギーチャンとのあのシーンを思い出させる。  ジンウェンは「この世に決っして変わらぬものはある?」とよく聞いたのでチャウは「日本人の恋人の気持ち」を小説に書くと約束した。 題名は自分のいる部屋番号の2047にしようとふざけて言ったが、小説の主人公がジンウェンの恋人(タク)ではなくチャウ自身に思えてきた。

Androids on the Mistery Train
画面は一転して弾丸列車の映像。  だから空想の中のチャウは日本人なのだ。 2046を出た列車の中でアンドロイドに恋をした。 次の映像はタクのテーピング・シーン。 2046を離れるのにどれ位かかるのか誰も知らない。 もし2046から出て行こうとしたら人によってはかなりの時間がかかるという。 時には傷を追うこともあるのだとか。
どのくらい時間がたったか、孤独を感じた主人公は「最初は退屈でしょうが、乗務員が要望を聞きます。」という車掌の言葉を聞く。 この車掌というのがホテルのオーナー(ワン)と同じ人物か。 列車の乗務員はアンドロイドなので恋をしてはいけないと。 「だれがするもんか。」という主人公に「全ては無意識のうちに起こるのです。」と車掌。
アンモナイト柄の服を着た主人公はジンウェンのアンドロイドと恋をしてぬくもりを求めた。 1224(クリスマス・イブ)と1225、クリスマスは寒い時期。 耳から角の生えたアンドロイドはテーピングをしながらなぜ2046を離れたかと尋ねる。 「昔、人は秘密を誰にも知られたくない時は山奥に行って木の穴に秘密を全部しまいこんで最後に土でふさぐんだ。」と主人公は語る。 するとジンウェンは指で輪を作り「私を木だと思って。秘密は誰にも永遠に話さないから。」と言うのでタクがしゃべろうとするとジンウェン(アンドロイド)は指を移動させてしまうので苦笑い。
ここでチャウの声、「以前恋をしたが彼女は自分を愛していたのか、彼女そっくりのアンドロイドにその答えを聞けるかもしれない。」

この10時間後、タクはアンドロイドに囁く。 「君に教えたい秘密があるんだ。 俺と一緒に行かないか?」 何度も尋ねたが答えがない。
車掌は仏教の言葉を教えた。 「天人五衰」 その意味は「天の神でさえ問題を抱えている。 最高の技術で作られたアンドロイドだが長い旅のせいで機能が衰えてきているので感情が遅れて出てくる。 特にジンウェンのアンドロイドは深刻だから諦めたほうがいい。」 まさにその通りでアンドロイドは自分の所定位置に戻ってから笑ったり泣いたりしている。
絶望的になって諦めようとした主人公だったが別の方法をやってみることに。 主人公は白いカリーナ・ラウのアンドロイド(ルル?ミニ?)に自分の秘密を教えるから一緒に出ていかないかと話す。 ジンウェンのアンドロイドに反応が無いのは機能の衰えなんかじゃなくて自分を愛していないからだと思って涙を流すタク。 残されたのは諦めることだけと悟った。
再びミステリートレイン(弾丸列車)の映像。

1968年12月のクリスマス・イヴ。 音楽はふたたびナット・キング・コールの"クリスマス・ソング"
髪を梳るチャウ。 ジンウェンはチャウが食事に誘った時にタクのことを諦めたと言った。 チャウはサンタクロースになったつもりで新聞社から国際電話をかけさせてジンウェンに喜ぶ顔を見た。
ここでミステリトレインで寒い時期と説明のあった「1224-1225」とは12月24日と12月25日のクリスマスのことだと判明する。 そう、一人で過ごすのは寂しいシーズン。 人々はぬくもりを求める。 だがチャウはあの晩それを得られなかった。 そういう運命なのだと納得する。
場面は再び弾丸列車。 タクの後姿。 その10時間後、タクはジンウェンのアンドロイドが返事をしなかったのは「俺ではなく別の誰かを愛していたからだ」と思った。
チャウの声。 やがて日本に行き、書き上げた「2047」を贈った。 100時間後、ホテルの屋上にいるチャウの声。 恋愛にはタイミングが必要だ。 成就しなかった恋も別な時間と別の場所なら違ったかも。

ジンウェンの顔。 廊下ですれ違ったホテルのオーナーが日本に行くので留守にすると言う。 ジンウェンが結婚するとも。 又、ジンウェンからの言伝で小説の「2047」は素晴らしいが結末が悲しいので書き換えてくれと。
チャウがペンを握る。 1時間後、10時間後、100時間後。
外でタクシーを拾うチャウ。 小説はハッピーエンドにしたかったが分からない。 あの時チャンスがあったはずだが、逃してしまった。
モノクロ映像はタクシーの中のチャウとマギーチャン。(花様年華)

場面変わってルル。 再会したルルは男をめぐる争い。 コレを観てチャウは学んだ。 求め続ければチャンスはあると。
それから1年半後、チャウに電話するバイ・リン。 シンガポールに行くための保証人の頼みごと。 その斡旋人なら良く知っているからとチャウは引き受ける。 そしてクリスマスの晩に「貴方(チャウ)に会えるかもしれないとこの店に来たのよ。」と話すバイ・リン。 チャウは俺たちは飲み友達なんだから当然だと言う。 送って行くというチャウを断って去っていくバイ・リン。 場面転じてテーブルにうっぷす酔ったバイ・リン。

Su Li-zhen aka Black Spider
1969年12月24日
チャウがスー・リーチェン(コン・リー)を訪ねていくとプノンペン(カンボジア)にいるだろうとのこと。 クリスマスに香港にいたくないとシンガポールの賭博場を訪ねた。 だがスー・リーチェンは現れない。
チャウは1963年にピンとシンガポールに行き博打場に入り浸っていた。 その荒んだチャウを助けてくれたのがスー・リーチェン、プロの賭博師ともイカサマ師とも云われ、左手には黒い手袋をはめていたので黒蜥蜴ならぬ「黒蜘蛛」と呼ばれていた。 イカサマ博打で斬られたのか義手なのかは謎。
このシーンの音楽はザビア・クガートのPerfidia(パーフィディア)"

場面は雨の夜、黒蜘蛛(スー・リーチェン)に手袋のことを聞くチャウ。 が、逆に女は「新聞記者がなぜ賭場に?」と聞く。 香港に戻る旅費稼ぎだと答えるチャウ。 「元手が残っているなら助けてあげるけど二度と博打はしないで。」と女。 「なぜこの俺を助ける?」とチャウ。 「勝ったら10%貰うから商売よ。」と女は返す。 それから毎晩二人で賭場に行き食事をした。 おかげで負けを取り戻せた。 黒蜘蛛はここでやっとスー・リーチェンと名乗った。 数年前に夫のいるチャン夫人(マギー・チャン)を愛したことを思い起こすチャウ。 その女の名もスー・リーチェンだった。 そのスー・リーチェンが原因でシンガポールに来たというのに同じ名前の女に出会うとは。
ここでカラー映像でマギー・チャンが。 チャウは話す。 チャウはチャン夫人との噂が広まって2046号室を借りたことなど話して、黒蜘蛛(スー・リーチェン)に過去を話すように促す。 すると、トランプカードを引いてちゃうが勝ったら話すと言う。 チャウはクラブの8、女はスペードのエース。 これでスー・リーチェンの過去は永遠の謎となった。

場面変わって、「あなたほど優しい男に出会ったことはないわ、別れるのがつらい。」とスー・リーチェン。 「それではなぜ俺と来ないのだ?」とチャウ。 「聞かないで、約束よ。、抱いて、これが最後かもしれない。」と言うスー・リーチェン。 まるで木の穴に秘密を詰め込んでいるように長い長いキス。 「君が過去から開放されたら俺を訪ねてくれ。」とチャウが去った後、涙を流すスー・リーチェン。 激しく滲んだ紅い口紅を愛おしそうになぞるスー・リーチェンはチャウの心のうちを見抜いていたのかもしれない。

場面は変わって、店で飲んでいるバイ・リンはチャウに数千ドルの現金を渡す 。以前チャウがシンガポールの切符を買ってやったお返しらしい。 今は年寄りと付き合って5000ドル貰ったからと話す。 「金は自分のために使え。」と返して遣るチャウは宿まで送って行き、明日は空港まで送ると約束する。 「前のようにはなれないの? ここに居て。 私が借りる。」とバイ・リン。 チャウは貸し借りなんて元々ないのだと去って行った。 その後二人は二度と会うことはなかった。 チャウは振り返りもせずに去った。 長い列車に乗り闇の中を未来に向かって走るように。
「2046へ向かう人々の目的は失くした記憶を探すこと、なぜなら2046では何も変わらないから。 本当かどうかは誰も知らない。 戻ってきた者は一人もいないから。」とチャウの声。

アンモナイトのような木の穴のアップ
こうして書き手のチャウと小説の主人公のタクが一体化していく。 ミステリー・トレインの行き先は2046じゃなくて日本だった。 このミステリー・トレインは日本まで1110時間かかって到着する。 これが小説の内容だった。 1110時間?何だそれ?
この1110時間という数字には意味がある。 なぜなら、この後、小説のラストを書き直そうとした作家が111時間も小説が書けなくなるのだ! って逆だよ!逆!。 「2047」は作家の私小説なんでしょ。 111時間もの間小説書けなかったからアンドロイドは1110時間旅するのが正しいんでしょうが! 1110時間旅したから111時間小説書けなくなるんだったら、意味なんか無くて単なる偶然だよ。 チャウ?ちゃう?

Leung Chiu Wai(梁朝偉/トニー・レオン)が主演する美しい映像のミステリーロマン映画「2046」の原点はザビア・クガートのラテン音楽が印象的なカーウァイ監督の1990年の「欲望の翼(Days Of Being Wild)」、チャウ氏(トニー・レオン)とチャン夫人(マギー・チャン)のロマンスをテーマにした2000年の「花様年華(Fa yeung nin wa aka In the Mood for Love/かようねんか)の期待の続編ともいわれました。 ともかくウォン・カーウァイ監督の8番目の長編映画であり初めてのシネマスコープ映画です。 撮影を担当したのは「2046」や「HERO(HERO)」と同じく中国名を杜司風というChristopher Doyle(クリストファー・ドイル)です。
「2046」は最初に2004年のカンヌ映画祭で上映されましたが、撮影の出来上がり時間が大幅に長引いてウルトラ遅刻をしたのに加え、まだ完成されていなかったせいで受賞は逃しました。 その1年後にテーマや構成を強調するようにとちょっと特殊効果を加えています。 「2046」でラストのトニー・レオンとコン・リーとのシーンは再び"木の穴に秘密を埋めた"のでしょうか。

この「2046」に出演する各国の俳優達は、それぞれの自国語で会話します。 北京語、広東語そして日本語と、近未来のお話ですからまるで完全に理解できているかのように。 しかし言葉の壁は愛のさまたげになったかもしれません。
2046 (2005) Trailer - Videodetective.com


「初恋のきた道」のZhang Yimou(張藝謀/チャン・イーモウ)監督のHERO(英雄/2002年)以来のトニー・レオンやと共演するチャン・ツィイーですが、「2046」ではGong Li(鞏俐 コン・リー)やMaggie Cheung(マギー・チャン)などの大女優の中にあって、魅惑の中国人(香港)女優のZhang Ziyi(章子怡/チャン・ツィイー又はチャン・ツィー)が光っています。 同じくチャン・イーモウ監督のLOVERS(十面埋伏)では遊郭の盲目の踊り子実は飛刀門の一味を演じた清楚なイメージのチャン・ツィイーが作家と絡むはすっぱな売春婦「Bai Ling」を熱演して、2005年3月香港のアカデミー賞「第24回香港電影金像奨」で最優秀主演女優賞に輝きました。 「2046」はアジア映画のスターを集めた映画らしいのでキムタクも出演したのですが、タイからは自身(バード)の役で一瞬登場したタイの歌手のThongchai McIntyre(トンチャイ・メーキンタイ)も参加しています。 何と言っても「秘密を埋める木の穴のなってくれ」と言ったキムタクの壁ドン・キスシーンが話題です。

ちなみに私がチャン・イーモウ監督の作品を初めて観たのがコン・リーがデビューした1987年のRed Sorghum(紅高梁/紅いコーリャン)で、赤茶けたコーリャン畑を行く空恐ろしい興し入れを含めやたら不幸に見舞われるヒロインには気の毒を通り越して、その時代のその境遇に恐怖すら感じた映画でした。(日本軍が大陸で繰り広げた蛮行には反吐) さて、最後は2006年の壮大な時代劇のCurse of the Golden Flower(王妃の紋章)でどっちも観終わったらあまりにすごくて肩が凝った覚えがありますが、20年経ってもコン・リーが綺麗というのもすごい。 チャン・イーモウ監督との不倫が話題となったのもすごい。 そして私が鬼の目に涙したチャン・イーモウ監督のドキュメンタリー調の映画は1999年の「一個都不能少(あの子を探して)」(原題の意味は1人もやめさせるな)で、貧しかった昔の日本を思わせ純朴な生徒と無理やり代用教員にさせられた10歳のウェイ・ミンジ(魏敏芝)の熱演でした。(実際は当時13歳の山村の娘)

Zhang Ziyi - 2046 Footage - YouTube

2046 DVD
「花様年華」と1990年の「欲望の翼」を観てからこの「2046」を観た方が分かり易いでしょう。1994年の(Midnight Expressがキーの「Chungking Express(Chung Hing sam lam、重慶森林、恋する惑星)」も観れば万全) 2005年に発売されたカーウァイ監督、トニー・レオン主演の「2046」の2枚組み日本語字幕DVDには美麗とはいえませんが映画の6シーンの絵葉書がおまけとして付いてきます。 本編の他おまけのDVDには「2046」のメイキングやお茶目なチャン・ツィイーの撮影風景や海外トレーラー集などが観られます。
クレジットでは主演の梁朝偉の次に主人公役の木村拓哉が表示されますがキムタクの魅力は存分に描かれてはいません。 惜しい! トニー・レオンがキムタクなってしまうのか......

日本語字幕DVD 2046
2046DVD
上記のDVDカバー画像は私が所有しているものを写真に撮りました。
「ウォン・カーウァイ スペシャルコレクション / 『2046』<=>『in the Mood for Love ~花様年華』」(ASIN: B0007V77VC)にも「2046」が収録されています。

2046 Soundtrack
In The Mood For Love(花様年華)、House of the Flying Dagger(Shi mian mai fu=LOVERS 十面埋伏)、Zhou Yu's Train(Zhou Yu de huo che/たまゆらの女)でも音楽を担当したShigeru Umebayashi(梅林 茂)によるオリジナルのメインテーマなどと「Ladies Room(レディース・ルーム)」でも使用されたBellini(ベリーニ)のオペラなどのクラッシック音楽意外はラテン色が濃いサントラです。 香港のホテルの2047号室に越してきた物書きのチャウ・モウワンが隣の2046号室を覗き見た時、ホテルのオーナーの娘が日本語を練習している時に流れる曲がラテンのSiboney(シボネイ)でした。
Siboney, yo te quiero, yo me muero por tu amor...と歌われる"Siboney"はMalagueña(マラゲーニヤ)やThe Breeze And I (アンダルシア/そよ風と私)など何百という歌を作曲したキューバのピアニストだった作曲家のErnesto Lecuona(エルネスト・レクオーナ)が故国のシボネーを懐かしんで1929年に書いたそうです。
Xavier Cugat(ザビア・クガート)が演奏するラテン・スタンダードのシボネーやPerfidia(パーフィディア)はもちろん、Connie Francis(コニー・フランシス)がスペイン語で歌う素晴らしいヴォーカル版のSiboney(シボネー)やディーン・マーチンのSway(スウェイ=Quien Sera)までを収録したサウンドトラックが評判です。
2046 Soundtrack2046 オリジナル・サウンドトラック
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♪ Xavier Cugat - Siboney


Zhang Ziyi - The Road Home DVD
Wo de fu qin mu qin「初恋のきた道」(ASIN: B00068D85K)
チャン・ツィイーの出世作「Road Home(初恋のきた道)」のちょっとあらすじ
時代は1960年代後期から1970年代中期のこと、夫の急死を嘆く年老いた母親を息子(語り手でもあるルオ・ユーシェン)が家に連れ帰って慰める冒頭は白黒で、この後の回想劇はカラーになりますが、ラストの吹雪の中の葬列は白黒画面です。 町で死んだ最愛の夫の急死に意固地になった老婆が可愛いチャン・ツィイーが演じる少女チャオ・ディの年取った姿なのです。(この冒頭のシーンは映像なしのナレーションだけでも...) 原語の題名は「我的父親母親(Wo de fu qin mu)」ですが邦題が「初恋のきた道」というのは村と町をつなぐ一本の山道を意味します。 語り手の息子が両親が若かりし時に出会うことになったこの道を今は亡き夫の亡骸を担いて村に迎えようとする母親チャオの頑なな思いを聞いて大枚4000元払って担ぐ人を雇うことにしたのですが、恩師の死を伝え聞いた教え子たちも駆けつけて約百人が交代で棺を担いだのです。 妻のチャオが寝ずに織った布をかけた棺を。 ところが誰も金は一銭も受け取らなかったそうです。

チャオの住む中国華北部の寒村に都会から若い教師ルオ・チャンユーが赴任してきます。 村で一番の美人だからと新設の学校の天井の梁に巻く赤い布も織ったチャオが積極的にアプローチして、当時は珍しかった自由恋愛の末、先生と結婚し息子が生まれます。 チャオが先生のために腕によりをかけてきのこ餃子を作った日に突然、教師は中華人民共和国での文化大革命による下放政策(徴農制度)のために右派という疑いで村を去ることになり二人は別れ別れになります。 冬休みになる前には帰ると言って赤い合わせ(綿入れ)に似合うからと買った髪留めを渡して町に帰った先生を丼に入れた餃子を包んで馬車を追いかけるチャウは転んで皿は割れ大事な髪留めもなくして遠のいていく馬車に涙するチャオでした。 その日から毎日チャオは野道を歩き回って先生のくれた髪留めを探し回ったのですがなんと家のすぐ外に落ちていたのでした。 チャン・イーモウ監督といえば「赤」、この映画でも赤が印象的に使用されています。

チャオの母が娘の心を察して村を流して歩く鋳掛屋に割れた餃子の皿を直させる一方、チャオは学校の敗れた窓障子を全部張り替えて切り絵を貼り付けて先生の帰りを待ち侘びます。 先生が約束した冬休みの前になった日から毎日町に続く道で先生の帰りを待つチャオは吹雪の日にも外で立っていたので熱を出して倒れてしまったのですが、その間にた先生は帰って来たのです。 ところがた先生は無断で抜け出したので日暮れには連れ戻されてしまい、本当に先生が戻って来たのはその二年後でした。 それからは二人が離れることはなかったそうです。
チャン・ツィイーが演じたチャオ・ディは長い三つ編み髪に赤い綿入れを着ていて、私が子供の頃に月刊誌「少女クラブ」に連載されていた満州ハルピン出身の上田トシコの漫画「フイチンさん」にそっくりです。

「初恋のきた道」の予告編はRoad Home Trailer - Videodetective
☆2006年発売のチャン・ツィイーのDVDには「SAYURI」(ASIN: B000F72NTE)、2008年にはMei Lanfang(花の生涯~梅蘭芳)(ASIN: B001P3POYI)などがあります。

中国の女優である「章子怡(チャン・ツィイー)」は19歳の時、コン・リー同様にチャン・イーモウ監督に見出され、「Wo de fu qin mu qin(初恋のきた道又はThe Road Home)」(1999年)の主人公を演じて、第50回ベルリン国際映画祭(2000年)で銀熊賞(グランプリ)を受賞しました。
チャン・ツィイーの日本関連作品としては2005年5月に公開された鈴木清順(Seijun Suzuki)監督の「オペレッタ狸御殿」で日本映画デビューした後、2005年12月公開のスピルバーグ製作の「Memoirs of a Geisha( SAYURI )に主演するなどと大活躍です。

Memoirs of a Geisha 2005
Arthur Golden(アーサー・ゴールデン)が1997年に発表した小説「Memoirs of a Geisha (さゆり)」を下敷きにして、2001年にミュージカルの「(シカゴ)」を映画化したロブ・マーシャルが監督し、スティーヴン・スピルバーグが製作に携わった美しくも無国籍風、いや日米のファンタジーの芸者一代記です。 ゴールデン・グローブの音楽賞を受賞したほど素晴らしいジョン・ウィリアムズで、撮影は「シカゴ」では逃したアカデミー賞を受賞したDion Beebe(ディオン・ビーブ)ですが、特筆すべきはチャン・ツィイーがMTVムービー・アワードでセクシー演技賞にノミネートされたほどの艶技でしょうか。 青いコンタクトのチャン・ツィイーの流し目。 子供時代の千代を素晴らしく演じた大後寿々花や衣紋が抜き過ぎの豆葉を演じたMichelle Yeoh(ミシェル・ヨー)に比べて桃井かおりの置屋の女将とコン・リーの売れっ子芸者がそれらしく見えないことが残念。(両者けだるい) アメリカ映画の日本人を演じることが多いCary-Hiroyuki Tagawa(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)が豆葉をひいた男爵として、また、2006年に癌で亡くなった大ベテランのMako(マコ 岩松)も貧しい姉妹の父親として出演しています。
貧しい漁村の娘千代が人買い(田中さん)経由で芸妓を派遣する祇園の置屋(遊廓や岡場所ではない)に売られてから花街一番の芸者さゆりとして成長していく秘密の世界のお話です。 娘は姉妹で売られたのですが器量良しの千代は置屋に姉は女郎屋に身を置くことになるのですが、置屋に迷惑をかけたとして千代は舞子(半玉)になる前の修行どころかただの奉公人として働くだけでした。(遊郭では花魁付きの禿か) そんな辛い日々のなか、転んで泣いていると思った会長さん(渡辺謙)なる人物がかき氷を買ってくれたことが千代がこの後一流の芸者になろうとする原動力となったようです。 シーンが変わると千代は成長してチャン・ツィイーが演じます。 お座敷に向かう芸妓を送り出した後、持ち忘れた商売道具の三味線を届けて覗いたお座敷に夢にまで見たあの会長さんと再会して驚いて逃げた千代でしたが、男爵(ケリー・ヒロユキ・タガワ)に水揚げされた豆葉(ミシェル・ヨー )が女将(桃井かおり)に千代を芸妓にする話しを持って来たことで望みが叶うのです。 豆葉から男性の扱い方から化粧や芸事を身につけ普通なら数年かかるところを突貫工事で数ヶ月で一人前に仕立てると言われるが、ここからが千代が人気芸者の初桃(コン・リー)としのぎを削る勝負が始まります。 千代からさゆりとなり会長さんに遭うために何事も辛抱とお座敷に励み、好きでもない人(延さん)に気があるふりをしたり、候補者の蟹先生に水揚げの値を上げるために魅力的な太ももにナイフで傷を付けて診せたりと豆葉姉さんの言いなり。 こんな舞子のさゆり(チャン・ツィイー)の芸者姿に違和感あったのはが富士額でないからか。 舞子のさゆりが都おどりで三枚歯下駄の花魁狂女になるのが衝撃。 恐らく初桃の入れ知恵だろうか、信頼する姉さん芸者の豆葉の旦那から水揚げ前に「あれー、お代官さまー」状態の卑怯な振る舞いをされるなど想像だにせず。(剥いて見ただけですが) この噂が流されようとさゆりの水揚げは前代未聞の高値を記録した。 女将がさゆりを養女にして置屋の跡を継がせると言うのを聞いて激高する初桃。 さゆりの部屋に入り込み大切にしていた会長さんのハンカチを燃やそうとしたのを取り戻そうともめて置屋は火の海。 次にくる第二次世界大戦の不吉な前兆となったよう。 地区は撤収され住民は疎開、会長さん(延さんがと言ったが)の手はずで豆葉と別れたさゆりは田舎で働くことに。 終戦後に延さん(役所広司)が訪ねてきてビジネス相手のアメリカ人の世話を頼まれたさゆりは会長さんに会いたい一心で祇園に戻って豆葉をさがす。 旦那だった男爵は財産没収で自害して姉さんも衣装や小間物を生活費に代えたが一枚だけ後生大事にしまっておいた着物をさゆりに用立ててくれて再びさゆりは芸者になった。 しかしさゆりの策略は置屋の養女になるはずだったおかぼ(工藤夕貴)の復讐心で無惨に失敗に終わった。 もう会長さんへの思いは断ち切らねばならぬ。 ところがラストは相思相愛の図。 以上、年老いたさゆりのナレーションで青い目の芸者の思い出話しとして語られます。


video衝撃の美! 話題の2005年6月から放映のチャン・ツィイーが出演した花王のアジアンビューティTVコマーシャルASIENCEは残念ながら現在は観られません。

Zhang Ziyi and Aviv "Vivi" Nevo
歌声が耳から離れなくなるほど切ない農村の少女を描いた1984年の「Yellow Earth(黄色い大地)」や2001年の異色ハリウッド映画「Killing Me Softly(キリング・ミー・ソフトリー)」や1993年の「Farewell My Concubine(さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき))」を監督したChen Kaige(陳凱歌/チェン・カイコー)の2008年の「Mei Lanfang(花の生涯~梅蘭芳(メイランファン)」が日本でも2009年に公開されますが、チャン・ツィイーは宝塚みたいに京劇界の男形女優を演じるそうです。 そのチャン・ツィイーがなんと21歳にして41歳の子持ちバツイチの中年男性と2008年に婚約しましたが2010年には解消したとか。 ヴィヴィ・ネヴォ氏は世界でも有名な大富豪で映画会社のタイム・ワーナーの大株主なので、チャン・ツィイーがワーナー映画に出演するチャンスも増えるかと思ったのですが。

Goodbye, Leslie Cheung
Kar Wai Wong(王家衛 ウォン・カーウァイ)監督の最愛の故「Leslie Cheung(張國榮 レスリー・チャン)」は話題作品の「Chun gwong cha sit(ブエノスアイレス)」でトニー・レオンと男性同士の激しい愛を演じました。(原題は春光乍洩で英語のタイトルはHappy Together)
トニー・レオンはアイドル歌手としてデビューして成功したのですがライバル抗争に疲れて一時国を離れたそうです。 その後俳優として復帰し、1993年には中国のチェン・カイコー監督の「さらば、わが愛/覇王別姫」に出演してカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞しました。 元々歌手のレスリー・チャンは1999年に「C」もしくは「C-THE BEST OF LESLIE CHEUNG(C-ザ・ベスト・オブ・レスリー・チャン)」というタイトルのCDや、2007年にはDVD付の「レスリー・フォーエバー」をリリースしていますが、うつ病との闘いに敗れた46歳のレスリー・チャンが2003年に飛び降り自殺をした後の2008年には「Tsuioku No Saigetsu(追憶の歳月)」といったアルバムがリリースされたそうです。