激しい季節 Estate Violenta (1959)

Jean-Louis Trintignant et Eleonora Rossi Drago dans Un été violent
激しい季節(1959年)
英語のタイトルが"Violent Summer"という「激しい季節」は監督及び脚本がイタリアのヌーヴェルバーグともわれるValerio Zurlini(ヴァレリオ・ズルリーニ)の白黒イタリア映画です。 当時新進監督だったヴァレリオ・ズルリーニは1954年の「Les Jeunes filles de San Frediano(サンフレディアーノの娘たち)」でデビューし、1957年の「Guendalina(芽ばえ)」の原案を書いてジャクリーヌ・ササールを見出したことでも知られています。
「激しい季節」の日本公開は1960年だそうですが、私が観たのはロードショーではなく暫くしてから2本立ての二流館でしたが、こんなにエロティックな映画はそれまで観たことがありませんでした。 主演はイタリア女優のEleonora Rossi-Drago(エレオノーラ・ロッシ・ドラーゴ又はエレオノラ・ロッシ=ドラゴ)が美貌の未亡人のRoberta(ロベルタ)で、エレオノラ・ロッシ=ドラゴの映画ではこの熟女が一番好きな役柄です。 伊ファシスト党の幹部を父を持つ青年のCarlo Caremoli(カルロ)はフランスの俳優のJean-Louis Trintignant(ジャン・ルイ・トランティニャン又はジャン=ルイ・トランティニャン)が演じていますが、トランティニャンの映画の中では現実逃避の青年役が一番好きです。 変わったキャストというと終盤に登場するカルロの父親を演じたEnrico Maria Salerno(エンリコ・マリア・サレルノ)で当時30歳代だったのでスキンヘッドで年齢のギャップを誤摩化したとか。
エレオノラ・ロッシ・ドラゴは「激しい季節」の演技で1960年のイタリア銀リボン最優秀女優賞を受賞しました。 日本未公開では1951年にMarcello Mastroianni(マルチェロ・マストロヤンニ)と共演した「Sensualità」に出演したドラゴは1962年にはFrancois Truffaut(フランソワ・トリュフォー)監督の「L'Amour A 20 Ans(二十歳の恋)」にも出演しています。 滅多に脱がないエレオノラ・ロッシ・ドラゴですが、「激しい季節」から10年後の1969年に、ポップアートとアシッドロックを取り入れたサイケデリックでお洒落なセックス映画といわれる"椿姫"のリメイク映画をRadley Metzger(Henry Paris/ヘンリー・パリス)が監督した日本未公開の「Camille 2000(カミーユ2000)」では黒いボブのカツラや美しいアップの髪型でPrudence Duvernoy(プルデンス)を演じたエレオノラ・ロッシ・ドラゴの他2女優もサドマゾ乱交パーティのシーンなどでヌードになったと聞いたのですが見つかりません。 ちなみに音楽はジャクリーヌ・ササールが主演した1957年の「芽ばえ」や1960年の「I Dolci inganni(17才よさようなら)」の映画音楽を担当したPiero Piccioni(ピエロ・ピッチオーニ)だそうです。 1970年にMassimo Dallamano(マッシモ・ダラマーノ)が監督したIl Dio Chiamato Dorian(Dorian Gray/ドリアン・グレイ/美しき肖像)を最後に銀幕から離れていたドラゴは惜しくも2007年12月82歳の時に脳出血で亡くなりました。 これだけの演技力と品格と美貌を備えながらなぜその後の映画出演に恵まれなかったかというと清廉潔白なドラゴが映画界のしきたり的な関係を拒んだためとも云われています。
「激しい季節」でカルロを演じたジャン・ルイ・トランティニャンを観たのはこの映画が最初で、魅せられましたが後の1966年に「男と女」で主演したジャン=ルイにはなぜか魅力を感じませんでした。 そんなジャン=ルイ・トランティニャンは82歳にしてMichael Haneke(ミヒャエル・ハネケ)が監督する2012年の「Amour(愛、アムール)」にIsabelle Huppert(イザベル・ユペール)と出演します。 そのイザベルがゲーム感覚で暴行犯人を追跡するビデオゲーム会社ボスのミシャルを演じた2016年のサイコスリラー「Elle(エル)」が期待できます。 監督は1992年の「Basic Instinct(氷の微笑)」の過激かつ残酷な描写で定評があるPaul Verhoeven(ポール・ヴァーホーヴェン)です。
カルロを慕う少女のRossana(ロサーナ)はジャクリーヌ・ササールが演じています。
☆白いササール・コートが日本でも流行った長いストレート・ヘアのジャクリーヌ・ササールについては写真集も見られるAudio-Visual Trivia内の「ジャクリーヌ・ササール Jacqueline Sassard」
「激しい季節」のあらすじ
「激しい季節」の背景はイタリアのファシスト政権が一夜にして崩壊し、新政府が誕生したのも束の間、9月8日にイタリア降伏にいたる激しい動乱の時期です。 第二次世界大戦末期の1943年の夏、アドリア海の高級別荘地を舞台にブルジョワ階級の生活が繰り広げられます。 第二次大戦中はフランスがドイツに占領されヴィシー政権下にあった時期です。 ヴィシーとはCasino de Vichy(カジノ・ドゥ・ヴィシー)で有名なフランスの温泉保養地のある町でしたが1940年から1944年の間フランス政権の首都とされました。
映画のオープニングはドラマティックな展開を想像させるマリオ・ナシンペーネの"Bombardamento"が流れるなか、桟橋に走って行く人びとを追うシーンです。 終戦間近、頃銃を構えた水兵に囲まれてボートに横たわる瀕死の女性が担架で救急車に運ばれていく時、救護らしき男性に手首の傷にとハンカチを渡すのはロサーナ(ササール)。 一方列車に揺られて南伊アドリア海沿いの高級避暑地リッチヨーネに向かっているのは兵役を逃れたファシスト党幹部の子息のカルロ・カレモーリ(トランティニヤン)、カルロがが手にする雑誌(Tempo)の表紙から内容までも戦時色濃厚。 リッチョーネでは遠くの戦火などなんのそのと上流階級の若者達がパーテイに興じる豪邸に到着したしたカルロは仲間に挨拶するがその中に足を負傷した中尉も居た。 そこに「さあ、腹ぺこのオオカミさんたち、餌の時間よ。」と料理を手にロサーナが現れる。 カルロはちょっと大人っぽくなったロサーノに久しぶりと挨拶してみんなとスパゲッティやシャンパンに群がる。 その時、ラジオから戦局を伝える放送を嫌ったロサーナはタンゴ曲を流す。 タンゴの次の音楽は物悲しい映画のテーマ曲「Estate Violenta(Canzone Di Rossana)」、異質な新参者のカルロにお嬢様のロサーナが惹かれていき、カルロにタバコを渡して自分も吸うと「タバコを二人で吸う意味知ってる?」と水を向けます。
そして或る日、カルロとロサーナと仲間たちは大勢の海水浴客に混じって青春を謳歌している時、ドイツ軍戦闘機の威嚇低空飛行に人々が怯えて避難する時、カルロはママを探して泣く幼女を見て駆け寄った。 間髪入れずに飛び込んで来たのがその幼女コロンバのママ、海軍将校の夫が戦死したばかりだというロベルタ・パルメザンでした。 カルロとロベルタの運命の出会いはこうして始まったのです。 熟女のロベルタに幼い頃に家を出たという美しい母親像をみたのでしょうか。 兵役を逃れているとロベルタに言うカルロは戦争はじきに終わると楽観的。
後日沖合で若者たちがボート遊びをしていた時に泳いでいたロベルタを船にあげてちやほやするのを心良く思わなかったロサーナは明らかに嫉妬、それが分かったロベルタが泳いで帰ると船を降りた時に一緒に行けば?とカルロに言ったほど。 一方カルロがファシスト父親とポンパドール夫人(ルイ15世の公妾)と呼ばれる母親の息子と知ったロベルタの母は会うことを禁止する。 カルロが言う本物の珈琲に魅せられたロベルタは二人でサンマリノに行き家に戻ると義妹のマッダレーナが戻っていた。 会えたのは嬉しいが夫の死で夫の実家に返されたことから戦局が悪化したのが分かる。 そんな時、カルロが本来の目的だったサンマリノの珈琲を持ってきたがロベルタはカルロは友達と遊ぶ方がふさわしいからと二人の関係を断ち切ろうとする。 後日カルロが友達と浜辺にいるとロベルタがひとりぼっちのマッダレーナを慰めようと同じ世代の若者と友達になるようにと連れてきた。 夜に若者たちはサーカスに行こうとマッダレーナを誘いに来るが一人ではと渋るのでロベルタも同行することに。 映画でのサーカスの出し物には1964年の「Circus World(サーカスの世界)」にも登場したような小人の道化ショーがあり、それ終わった頃、戦時中なら日常茶飯事、空襲なのか明かりが消えた。 懐中電灯に浮かび上がるカルロの顔、次にロベルタの顔。 サーカスの帰りにカルロの豪奢な別荘に寄ることになる。 カルロの友達がすごいレコードがあるじゃないか、スイスで買ったというArtie Shaw(アーティ・ショー)演奏の"In the Mood"や"Begin The Beguine"、Temptation! 「ワーオ、それをかけて!」の声。
こうしてあの名場面のBGMが流れることになるのです。 この時カルロとロベルタは距離を置いて見つめ合っていますが、明かりが消えてカルロがドアを開けて明かりを入れるシーンでも硬直したようなロベルタ。 向こうの空の爆弾投下の光を若者たちは部屋から出て眺めるがすぐに室内のダンスに興じます。 最初は男の子の一人がマッダレーナを誘い、ロサーナがカルロを誘い、もう一組が踊り出すと、中でも大人しそうな青年が礼儀正しくロベルタを誘います。 カーディガンを脱いで応じるロベルタだが眼はロサーナと踊っているカルロを追います。 曲が終わってウィスキーが配られた後、次の曲は扇情的なテーマ曲「Estate Violenta(Canzone Di Rossana)」、ついにカルロはロベルタをダンスに誘います。 ロサーナの視線を感じてオドオドと踊っていたが次第に身を焦がし耐えきれずに身体を離して外にでるロベルタ、後を追ったカルロはロベルタと静かに唇を会わせるのですが、内に秘めた激しい慕情を表したこんなラブシーンは見たことがありません。 この情景をカルロを追ってきたロサーナに目撃されてしまいます。 二人に感情移入している私には可哀想であるはずのロサーナが邪魔者でしかありません。
このことがあってから、ロサーナはマッダレーナがどうとかでなく彼女の身内が気に入らないと冷たい態度を取り若者たちの間がしっくりしなくなります。 一方カルロはロベルタを呼出し波止場で会いますが、リッチヨーネは小さな町だから出会うことはあるでしょうが、昨夜のことはロサーナを傷つけたからこんなことはいけないとロベルタ。 「みんな私のせいだから昨夜のことは忘れて欲しい。」と言うロベルタにカルロは「僕は忘れない、本気で言ってるのではないでしょう。」と抱きすくめてキスをする。
画面は変わって「今夜、あなたは私を夢の世界に誘う・・・」とタンゴ曲を女性歌手が歌うカフェでマッダレーナと待ち合わせた青年は映画館に誘う。 上映の途中で明かりが着いたのでいつものことかと思ったら軍人が入って来て「全ての兵士は隊に戻るように!」と叫ぶ。 町に出るとラジオでムッソリーニが失脚し、バドリオ政権が樹立したと流れた。 これを聞いてファシスト政権に不満を抱いていた民衆はファシストの胸像は引きずり落とし、ファシスト党員を見つけては暴力を振るなど暴徒と化した。
情勢が変わりローマから別荘まで逃れて来たカルロの父親は銃を手に入って来る奴は誰でも撃つと言っていたのだが結局は国外へ逃亡し、またもやカルロは残された。(幼き日に母親が去った) パトロールの兵士の眼を避けるようにロベルタが家路に着くとカルロが待っていた。 激情にかられた二人はもつれ合うように浜辺に行き、ロベルタは何年も結婚したのに得られなかった喜びを初めて経験した。(このシーンは服装が同じことからつながっていると思われる) 尚も年上を気にするロベルタは夜が明けるからと帰ることに。 歩いてもすぐだから一人で帰る、貴方はここにいて。 「今夜、僕の家で」とカルロ。
ロベルタが家に戻るとマダレーナが娘のコロンバの部屋に居た。 「そんな眼で私を見ないで。」とロベルタは居直るようにマダレーナがどうして起きているのかをたずねる。 出て行きたいと泣き叫ぶマダレーナに母親が起きて来てマダレーナを非難するロベルタを「30歳の母親らしくしなさい!」と激しく叱責する。
翌日カルロの家に行くロベルタは異変に気づく。 カルロは別荘の持ち主は誰かと聞かれ、法的に一部屋が充てがわれるとか。 カルロにはもう帰る家はない、叔母の家に行くかそれとも地獄に堕ちるか。 投げやりになったカルロだが躊躇するのを欲情にかられたロベルタは家に入れる。 ☆公開当時映画館では見られたのにDVDではカットされた幻のベッドシーンはこの時でなければ、カルロがパトロール隊に兵役延期証明書の期限切れを指摘された晩だと思います。
ロベルタが家に戻ると母親が起きていて「よもやこんなことになろうとは、自分のしていることが分かっているの?こんなスキャンダル、少なくとも自分の子供や亡き夫を考えて。」 だが初めて恋をした小娘のようなロベルタは「夫が私と余りにも年が離れているとは思わなかった? 30年間我慢してきたのもお終い、醜聞でもなんでもない、愛する人を見つけただけよ。私は彼を離さない。」
駅で発車を待つマッダレーナ、母とロベルタとコロンバに泣きながら別れを告げる。 「マダレーナ、許してね。」と汽車を追いかけながら叫ぶロベルタ。
夜になって今やバンガロー住まいのカルロと逢ったロベルタは電話がかかってこなかったから心配したと言った後に、もう帰らねばとも言う。 カルロは何かあったのかと聞いた後、僕の部屋に行こうと鍵を見せて誘い、「奇麗だ、君が欲しい。」とキスする。 その時突然明かりが当てられて気まずい二人。 「日沈以降に海辺にいるのは禁止だと知らないのか?」とパトロールの兵士は身分証明書ではなく兵役延期証明書の呈示を求める。 それは期限が切れてボローニャの司令部に届け出なければいけなかったのだ。 IDカードを見せてロベルタを送って行きたいと申し出たカルロに「明日の朝、必ず出頭するように、戦争は終わってないから真面目にやれ。」と言って兵士たちが粋な計らいをした。 遅かれ早かれこうなると思っていたとカルロ、「僕の父親は知り合いを使ってこんなことを上手くやってたけれど、もし僕が父親だったら一番に自分の息子を入隊させるのに。変な話だ。」 ロベルタはもし出頭しないとどうなるの?と聞く。 夜を共に過ごした二人はこの先どうなるかを話し合う。 ロベルタは「今度の戦争にはかなりの犠牲を払ったから次は私の生活を守る権利があるはず。 あなたを失いたくない、出頭しないでベネト州ロヴィーゴにある私の別荘に行ってしまえば見つからないでしょう。 しかし、カルロはこれまでは孤立感を抱かないように人の考えにそって行動して来たが今は違った思考があると言った。
場面は変わって兵士たちが合唱している列車内のカルロとロベルタ。 カルロはロベルタに娘のコロンバには何と言ってきたのかを聞く。 誰にも何も言ってきてないからロヴィーゴから電話するとロベルタ。 その時、リッチョーネを離れてまもない列車が急ブレーキをかけて止まった。 ドイツ軍の空襲だ、我勝ちに飛び降りる乗客に押されて二人は離ればなれになってしまうが爆撃が納まってから再会できた。 抱え合うように別の列車に向かう途中、二人は死んだ少女を見つけて立ち止まる。 これがロベルタに置き去りにしてきた娘や家族を思い起こさせた。 カルロはリッチョーネは大丈夫とロベルタに言い聞かせ、ボローニャ行きもベニス行きも列車は全て運行停止だが、戻る列車はあるとアナウンスがあったので群がる人びとに紛れてロベルタを押し上げた。 列車に乗り込んでからカルロがいないことを知ったロベルタが窓を覗くとカルロが立っていてドアを閉めた。 「ロベルタ、僕は君と一緒に行かない。僕は恐ろしい虐殺のこの地にに留まって・・・」と兵役に就き戦場に向かう意思を表し、「僕を愛してくれるなら何も言わないで、こうするのはあなたが本当に望むことだ。そうしなければきっと僕を恨むことになるだろう。」 動き出す列車から身を乗り出してカルロの姿を涙で霞む目で見つめるロベルタ、列車は立ちこめる黒煙の彼方へと消えて行きます。 こうして二人は別々の道を行くことになったのです。 あぁ、哀しきさだめ。
幻のベッドシーン
ムッソリーニからパドリオに政権が交代したため、ファシスト党のカルロの父も失墜し別荘すら没収されます。 その晩、激情にかられた二人は戦火にもまして激しい禁断の恋の炎を燃え上がらせるのです。 めったには脱がないエレオノラ・ロッシ・ドラゴの胸や脇毛が丸見えのこの激しいベッドシーンは当時としては傑出した映像で暗がりといえどもその濃厚な描写が話題を呼びました。 胸以外にもドラゴの上腕の大きな疱瘡の跡がなぜか印象的でしたが、当時このシーンを観た人々は目を剥いて椅子から飛び上がったかもしれないほどの衝撃でした。 当時これほどの露出度の高いラヴシーンはなかったと記憶しています。 ところが後述の「消えたベッドシーンの怪」というか、DVDではまったくカットされているのです。 その理由は出演者か監督からの削除依頼なのかDVD製作時のカットなのか不明でしたが、2017年に発売された国際版DVDでは当時の倫理規定でドラゴの幻のシーンがでは差し替えられたのだそうですが、特典映像としてカットされたその2分ほどのベッドシーンが観られるそうです。(ストーリーの流れがないと切り取られた映像で白けるかも) それは「激しい季節 HDリマスター [Blu-ray]」です。 サントラにそのシーンが使用されていることから本当にその場面は存在した証拠ですが、これまでは恐らく公開当時に劇場で鑑賞した人だけが観た幻のお宝映像となっていました。
ところで話題となったエレオノラ・ロッシ・ドラゴの脇毛ですが、脇毛といえば1949年の「Riso amaro(苦い米)」で衝撃的なデビューをしたSilvana Mangano(シルバーナ・マンガーノ)が有名とはいえ、イタリアのグラマー女優だけでなく「Il Portiere di notte(愛の嵐)」や「Addio, fratello crudele(さらば美しき人)」などで知られたイギリス女優のCharlotte Rampling(シャーロット・ランプリング)やフランス女優のFrançoise Arnoul(フランソワーズ・アルヌール)やDominique Sanda(ドミニク・サンダ)なども見せています。 ハリウッド女優が映画の中で見せたことないようです。
☆「激しい季節」のトレーラー(予告編)が観られる「Un Ete Violent Trailer - Comme Au Cinéma」
「激しい季節」の写真が見られるイタリアの映画サイトEstate Violenta Photos - FILM.TV.IT
スチール写真と珍しいDVD画像が見られるフランスのUn été violent Photos - Comme Au Cinéma
Eleonora Rossi-Drago(エレオノラ・ロッシ・ドラゴ)の写真集が見られるEleonora Rossi-Drago Photos - FILM.TV.IT
なんとエレオノラ・ロッシ=ドラゴはGina Lollobrigida(ジーナ・ロロブリジーダ)と並びミスイタリア出場者だったとか。 他にもミスコンに出場したことがあるイタリア女優にはシルヴァーナ・マンガーノがいます。
Miss Italia Story: La mostra di Dino Villani - Photosこちらがその1947年の写真らしいですがどれがエレオノラ・ロッシ・ドラゴか分かりませんが、優勝者はLucia Bosèさんだったそうです。
余談ですが、ヴァレリオ・ズルリーニ監督はフランスの美男俳優のJacques Perrin(ジャック・ペラン)に惚れこんで1960年の「La Ragazza con La Valigia(鞄を持った女)」に起用します。
Jacques Perrin and Claudia Cardinale in Girl with a suitcase (l cielo in una stanza by Gino Paoli) - YouTube
Jacques Perrin and Claudia Cardinale in Girl with a suitcase (Just That Same Old Line By Nico Fidenco) - YouTube
その後もジャック・ペランが主演したヴァレリオ・ズルリーニ監督の映画は1962年の「家族日誌」や1976年にはジャック・ペラン がジュリアーノ・ジェンマ、ヴィットリオ・ガスマン、フィリップ・ノワレなどが共演した「Il deserto dei tartari(タタール人の砂漠)」など3本もあります。 短命だった完璧主義のヴァレリオ・ズルリーニ監督が手掛けた映画は短編を含めても10本にも満たないほど少なかったようです。
1963年に音楽をフスコが担当したMauro Bolognini(マウロ・ボロニーニ)監督の「La corruzion(堕落)」にも出演したジャック・ペランにふれているAudio-Visual Trivia内の関連記事はジャン・ポール・ベルモンドとヴァレリー・カプリスキー
Eté violent DVD
日本はもとより世界でも入手困難になっているヴァレリオ・ズルリーニ監督の"Estate Violenta"のDVD化を心待ちにしています。
「激しい季節」のVHSビデオがあるのはフランスのAmazon.frの「L'Ete Violent」(ASIN: B00F567ANE フォーマットは PAL)だけです。
Estate Violenta DVD
日本では「激しい季節」のDVDは見当たりませんが、アメリカで2006年5月にリリースされたヴァレリオ・ズルリーニ監督の「激しい季節」と「鞄を持った女」との2枚組ボックスセット(イタリア語に英語字幕でアメリカとカナダ向けのリージョン1)があります。The Valerio Zurlini Box Set: The Early Masterpieces (1961)
上記のDVD購入経験者からの「このページトップにあるような肝心なドラゴとトランティニャンのラヴシーンがカットされている」ことについてのクレーム!
クレーム① 2007年5月26日の上記のDVDをアメリカで購入した「マツマエ」さんによりますと、『Amazon.comで売られているものと同じ「鞄を持った女」との2枚組です。パッケージにはちゃんと主演の二人が寝ているシーンがイラストでのっているのに、「詐欺」そのとおりですよ。』
クレーム② 2007年12月13日の「イーストキン」さんのコメントによりますと、やはり『肝心のベッドシーンは見事に他のシーン(前後の脈絡のない浜辺での主役二人のからみ)に入れ替えられており、(中略)絶対にお勧めできない商品です。』とあります。 この件に関した情報がコメント欄にたくさん寄せられていますが、私のおぼろげな記憶ではカルロガ屋敷の外を歩く兵士たちを避けるようにロベルタを抱え込んだシーンの後が激しいベッドシーンだと思ったのですが、ロベルタの洋服が同じことから上記に記した浜辺のシーンは繋がっているのではないかと思うようになりました。 では、あのベッドシーンはどこだったのか? 別れがたいロベルタが無理矢理にカルロを自分の家に連れ込んだ時かもしれません。 真っ暗に近いほど暗い映像ですが二人の恋人の情熱的なこのシーンは「激しい季節」には不可欠と思われるのにカットした理由は何でしょう。
Temptation in Estate Violenta
灯火管制下の不気味な夜、両親の留守注に別荘でパーティが開かれます。 その時に蓄音機でかけられるレコードがジャズ・スタンダードの名曲「Temptation(テンプテーション)」で、続いてテーマ曲の「Estate Violenta(Canzone Di Rossana)」です。 暗がりで踊っていたカルロとロベルタがやるせない感情にかられて庭に出て行きます。 よって室内でかかっていたテンプテーションが遠くに聞こえるようになります。 これが映画では非情に効果的でした。
私が一番好きなシーンはパーティでテンプテーションのレコードをかけて踊った後に「激しい季節」のテーマ曲がかかると、トランティニャンが「Fai ballare? (踊りましょう)」と誘い、エレオノラ・ロッシ・ドラゴが待ってたのよとばかりに「Sì, grazie. (ええ、ありがとう)」というくだりです。 こんなにセクシーなシーンは滅多に見たことがありません。
Temptation - Estate violenta - YouTube
「激しい季節」の美しい音楽はMario Nascimbene(マリオ・ナシンペーネ)で、ロマンティックな音楽に1943年を象徴する当時の流行った曲を織りまぜて重要な意味を持たせました。
テンプテイションの他には、海のタンゴ、タブーなどのエモーショナルな曲の数々を取り入れていますが、特にテーマ曲「Estate Violenta - Canzone Di Rossano」はバッハのブランデンブルグ協奏曲第二番を編曲したムードのあるものにしています。 この映画音楽によりマリオ・ナシンペーネは1960年のイタリア銀リボン最優秀音楽賞を受賞しています。
Canzone Di Rossana (From "Estate Violenta") by Mario Nascimbene
今でも人気! 試聴が見つからないのが残念! 「激しい季節」に使用されたMario Nascimbene(マリオ・ナシンペーネ)の映画音楽を収録した1999年リリースのサウンドトラック集「La Ragazza Con La Valigia Soundtrack(鞄を持った女 (1960年作品) / 激しい季節 (1959年作品) 他) 」Estate Violenta/La Ragazza Con La Valigia/Morte di un Amic
私が購入したデジタルの「Canzone Di Rossana(激しい季節のテーマ」)はアルバム「Award Winning Titles 2: Il Postino e I Drammi Psicologici」ですが、現在日本のiTunesでは「From Cam With Love - 20 Great Love Themes From Italian & French」や「Il Postino e I Drammi Psicologici」に収録されています。
Ost: Estate Violenta (2CD) Music by Mario Nascimbere (2016)
2016年発売の輸入盤オリジナル・サウンドトラック(ASIN: B01CO5DKOQ)はヴァレリオ・ズルリーニ監督とマリオ・ナシンペーネの映画、「激しい季節」とアラン・ドロンが主演した1972年の「La prima notte di quiete(高校教師)」からサントラを収録した二枚組のCDでサントラがメインのQuartet Records(カルテット・レコーズ)レーベルです。 "テンプテーション"は聞けませんが試聴とディスクの詳細は販売元のカルテット・レコード
tracks on Estate Violenta Soundtrack
CDは入手困難ですが、1993年リリースの「Violent Summer (Estate Violenta)」のサウントラックの曲目リスト:
Titoli Di Testa
Primo incontro e scena d'amore
Tema di Maddalena
Canzone di Rossana
Sequenza finale
などです。
曲目の詳細はLa Raggazza con la Valigia/Estate Violenta/Morte di un Amico - Amazon.com
その他「Estate Violenta」のサウンドトラック画像が色々見られるEstate Violenta - SoundtrackCollector
映画のパーティのシーンでかけられたレコードの"Temptation(誘惑)"はちょっと扇情的なタンゴの曲です。 "Temptation"は1933年にBing Crosby(ビング・クロスビー)がGoing Hollywood(虹の都へ)で歌ったのが最初でその後、1945年にPerry Como(ペリー・コモ)が歌っています。 当初はサウンドトラックのエピック盤にクレジットが見当たらないので1933年の録音とは違っているようでしたがビング・クロスビーのバージョンではないか思ったのですが、後にこれがイタリアの歌手が歌ったバージョンだと分かりました。 イタリアは映画の中でアメリカの歌手が歌っている持ち歌でもイタリア人に変えてしまう国ですからね。 RCA時代のTeddy Reno(テディ・レノ)というイタリアでは有名な歌手で、1958年頃に伊ジャズのピアニストであるLelio Luttazzi(レリオ・ルタツィ)の楽団をバックに英語バージョンの「Night and dayとTemptation」をA面とB面に収録した78回転SP盤をリリースしています。 映画のサウンドトラックで使用された時には「Estate Violenta」の伊盤サントラ「TEDDY RENO Temptation ESTATE VIOLENTA O.S.T.」として1959年に45回転盤の「Temptation / Canzone Di Rossana」がイタリアのRCAからリリースされたそうです。(ジャケットは黒と赤を基調としたラブシーンが使用されています)
"Temptation"はミュージカル映画の「Singing in the Rain(雨に唄えば)」を書いたコンビで知られるNacio Herb Brown(ナシオ・ハーブ・ブラウン)の作曲及びArthur Freed(アーサー・フリード)の作詞です。 Gene Kelly(ジーン・ケリー)主演の「雨に唄えば」のサウンドトラックにも"TANGO"としてThe M-G-M Studio Orchestra演奏の"Temptation"が収録されています。
You came, I was alone, I should have known you were temptation...と歌われるTemptationの歌詞はTemptation - lyrics007.com
E Se Domani
ファウスト・パペッティはEté Violent(激しい季節)がお好き。。。
イタリアの白人アルトサックス奏者であるFausto Papetti(ファウスト・パペッティ)の演奏でアルバムタイトル曲の"E se domani(もしも明日)"や"Estate Violenta(激しい夏)"が収録されているCDです。 オリジナル録音は1959年の"Estate violenta/Mio impossibile"らしいですが、ファウスト・パペッティが演奏した"Temptation"は1962年の"Together/Temptation"がオリジナル録音のようです。(タブーやスターダストなど全5曲を収録した"Temptation(テンプテーション)"という33回転EPレコードが日本でもリリースされた。GLOBE s-jet-261)E Se Domani
収録曲はミーナでお馴染みのE Se Domani(もしも明日)
トリオ・ロス・ パンチョスの大ヒットでもあるHistoria de un Amor(ある恋の物語)
Estate Violenta(激しい季節のテーマ)
Valzer del Padrino(ゴッドファーザー・ワルツ)
Tema d'Amore {Del Film il Padtino}(愛のテーマ)
☆上記のCDに類似した「Scandalo Al Sole(夏の日の恋 避暑地の出来事)にもEstate Violentaが収録されています。 ちなみにオリジナル曲ではなく映画音楽やスタンダード曲のレパートリーが多いパペッティのサウンドは特徴がありませんが特徴があるのはLPレコードのジャケット画像でしょう。 魅惑敵なセクシー美女もしくはヌードが使用されています。 そんなパペッティのマウス・ピースといえば確証はありませんがイタリア製のSelmerとも云われていますがColletto説が有力かも。
☆Audio-Visual Trivia内でファウスト・パペッティの音楽に関連している「太陽はひとりぼっち」
私が持っている「激しい季節」のサウンドトラックはEPICのEP盤 NS-66です。
このサントラに収録されているTemptationはまさに映画からカットされたものなので、最初は青年に「Foi ballare? (踊りましょう)」と誘われたマッダレーナが2年も前だから上手く踊れないけどやってみるわと言います。 次に映画のテーマ曲が流れトランティニャンの「Foi ballare? (踊りましょう)」とドラゴの「Sì, grazie.(ええ、ありがとう)」というセリフ入りでパーティのシーンの雰囲気がグッと伝わってくる最高のサントラ盤です。
このEPレコードはもう販売されていませんが、中古レコード店では千円代から4000円位だそうです。
Audio-Visual Trivia内でエレオノラ・ロッシ・ドラゴの出演映画
「Un Maledetto Imbroglio 刑事」
Michelangelo Antonioni(ミケランジェロ・アントニオーニ)監督の「Le amiche(女ともだち)」
Francois Truffaut(フランソワ・トリュフォー)監督の「L'Amour à 20 ans(二十歳の恋)」
コメント
スローレイン
トラックバックありがとうございました。
新しいURLのコメントもありがとうございました。
「ドラゴの上腕の大きな疱瘡の跡」
実は、私も、彼女の腕の質感をいまだによく記憶しています。
映画ってのは、小説と違って実際の人間が演じますから、どうも、イメージと違うな、というのが結構あるのですが、激しい季節のトラティニャンとロッシ・ドラゴは、すごくはまっている。
koukinobaaba
スローレインさん、激しいラヴシーンに「疱瘡の跡」 の話題ではドラゴも嘆くでしょうね。でも大変エモーショナルな映画でした。
イーストキン
前略
「激しい季節」ボックスセットをUSA輸入代行業者より購入し、落胆、憤慨した一人です。
肝心のベッドシーンは見事に他のシーン(前後の脈絡のない浜辺での主役二人のからみ)に入れ替えられておりました。業者にクレームをつけましたが、メーカーに文句を言ってもらいたいと、受付てもらえませんでした。絶対にお勧めできない商品です。
koukinobaaba
「イーストキン」さん、大変貴重な情報を有難うございます。先日もヤフーオークションをチェックしたのですがレーザーデスクしか見つかりませんでした。(LDはDVDに焼けるそうですが。) こうなれば日本でのDVD化を待つ他はありません。
G
あちこちネットを彷徨っていて、此処を発見しました。
懐かしい映画です。若かった小生、・年上の女・に
はまりそうになりました。j・ササールが青臭くって・・ テンプテーションのサントラ直ぐに購入オクで
¥4000ですか。 なお歌っているのはクロスビーの
筈です。 「虹の都へ」のシーンがザッツ・エンターティメントに短いですが挿入されていた記憶があります。 小生はスカパー放映をビデオにとりDVDにコピーしましたが画質は悪いです。 乱文失礼致しました。
koukinobaaba
「G」さん、女性でもドラゴにはクラクラしますよ。ドラゴもトランティニャンも「激しい季節」が最高でした。テレビ放映をDVDに焼けるなんですごいですね。早く日本でもDVD化してもらいたいです。
テンプテーションは歌手を特定出来なかったので、時間が取れたら手持ちのサントラとクロスビーを聞き比べて検証してみます。(サントラ盤の解説には歌手の名前が書かれていません。)
G
ネットを彷徨っていてここを発見しました。懐かしい作品です。若かった私はこの映画のドラゴにはまってしまいました。 ササールは乳臭くって・・・・
作中の唄はクロスビーの筈です。サントラは直ぐに買いました。今、高値なんですね。なおザッツ・エンターテイメントに「虹の都へ」でクロスビーが唄うシーンが短いですが挿入されていました。
私は衛星で放映されたのをビデオにとり画質は?ですがDVDにコピーしています。
サンタルチア
「肝心のベッドシーン」
のソフトでの有る無しが話題になっていますが
私は、1986年東芝映像ソフトから発売された
VHS(98分)を購入し、いまでも大事に持っています、映画公開時と屋内での同じベッドシーンです。価格は16,800円でしたね、その後NHKBSでも放送したのを録画しましたが、それは浜辺のシーンになっておりました。
koukinobaaba
「サンタルチア」さん、こんにちは!情報を有難うございます。コメント欄のcgiがエラーで何度も済みませんでした。
「激しい季節」のビデオを1986年に16800円で購入されたとは!20年前まではビンテージ価格で販売されていたのですね。でもその高価なビデオを買われたということは、やはり私と同じく「サンタルチア」さんもこの映画に魅せられたのでしょうね。私を含めて、そのVHSを手に入れたい方はたくさんいると思います。
NHKBSで放映されたのは浜辺のシーンとおっしゃるので多分クレームのついている例のアメリカのDVDなんでしょう。
あのドラゴとトランティニャンの熱い夜のシーンはこの世から抹消されたのですね。
エリー
皆様のコメント等を含めて拝見させていただき感激しております。
私は2001年以前?、BSで録画(S-VHSテープ)して、2001年7月にダビングして、
最近パソコンに取り込んでいます。DVDに保存するつもりです。
屋内の美しいベットシーンはあります。カットされてるシーンとはこれでしょうか?
先ほどBSと書きましたが、WOWOWだったかもと思ったりで記憶がさだかではないです。
随分と洋画を見ましたが凄く印象に残っている映画です。
予告編に会えたり、サントラの情報もわかり嬉しいです。残念なことはドラゴの死去ですね。
「刑事」の彼女も美しく忘れられない女優さんです。主人公の二人とも素敵でした。
素敵なひと時有難うございました。
koukinobaaba
エリーさん、「屋内の美しいベットシーン」は暗いですよね。それです!そのシーンが昼間の浜辺のシーンとすり替わっているなんて考えられないですね。
「DVDに焼く」んですか? うむー、皆さん垂涎のDVDになりますね。違法にならなければ譲って頂きたい!と思う方々が指をくわえていらっしゃるでしょう。実に羨ましいです。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
エリー
早速のコメント有難うございます。
私の録画したのはBSNHKかWOWOWか調べました。
本編の最初に「ヨーロッパクラシックス」と出て終わりに
WOWOWのロゴが入ってました。
WOWOWの放映は1998年の7月と9月だったそうです。
私のビデオは10年たっていると言うことですね。
WOWOW様々です。今のところ改めて放映もないそうです。
放映して欲しいですね。DVD化されると嬉しいと思いますが。
改めてチェックしましたが、もうこんな雰囲気の映画は
お目にかかれない時代の様な気がします。
koukinobaaba
エリーさん、わざわざDVDの情報を確認して下さって有難うございます。このページをご覧になる方々の参考になると思います。WOWOWで1998年放映のビデオをキープしていらしたなんて素晴らしいです。私もビデオを山と持っていたのですが全部処分してしまったのです。残念無念!
マーベル
皆さまのコメントを興味深く拝読させていただきました。私が「激しい季節」を初めて見たのは昭和35年です( 年がわかりますね )。その時の印象は実に強烈で、今でもハッキリ胸の中に残っております。主演女優がベッドシーンでヌードになったのは空前のことでしたから、当時口コミで大いに話題になったものです。ただし、劇場公開版では乳首が見える場面はカットされていたはずです。
私が持っているソフトは昭和61年にヘラルド・エンタープライズが発売したLDで、このときにはカット場面は復元されておりました。ただし字幕は逆におとなしくなっております。例えば、劇場版ではベッドシーンでロベルタがカルロに「長い結婚生活だったけれど、こういうものだとは知らなかったわ」と大胆なことを言うんですが、LDでは随分ぼかした表現の字幕になっています。
皆さんが話題にしていらっしゃる「屋内ベッドシーン」と「浜辺の抱擁シーン」ですが、おそらく検閲の関係で製作当時二つの版を作ったのではないでしょうか?( あくまでも想像ですが )。
それとは別に二つの版ともオリジナルからは更にカットされているところがあると思います。二番目のベッドシーンではロベルタがポルカドットのガウンの紐を結んでいるところから始まりますが、LDのジャケットにはその前の場面、つまり着る途中の背中が露出しているスティルが載っております。いつの日か、オリジナルの全長版というのを見たいものですね。
ロベルタを演じたエレオノーラ・ロッシ・ドラゴは昨年暮れに亡くなってしまいましたが、上品なしとやかさと濃艶な熱っぽさとを併せ持つ、忘れられない女優さんでしたね。
koukinobaaba
マーベルさん、貴重なコメントを有難うございます。多分私も公開された頃に劇場で観たのですが、ドラゴの胸が丸見えで目玉が飛び出た!と思ったのは勘違いなんでしょうか。映倫カットされていたハズなのですか。それでは私がスチールとごっちゃになってしまったのかもしれません。なんたって半世紀近くも昔の鑑賞ですから。ドラゴとトランティニャンの腰にかかっているのはベッドカバーなんでしょうが私にはドラゴがガッチリとガードしているのが帰って奇異に見えました。「苦い米」のシルヴァーナ・マンガーノもそうでしたからこの当時のイタリア女優は腋毛があるのが当たり前だったのでしょうか。
マーベルさんと同感でぜひぜひノーカットの「オリジナル版」を観たいです。
エリー
マーベルさんへ
教えて下さい。オリジナル版ということが出てきて、私の持ってるのはどれにあたるか
判らなくなりました。
ロベルタの家の前の道を数人の兵士が歩いて行きます。その兵士を避けるようにして
ロベルタが自分の家の門扉を開けて入ろうとした時カルロが待っていました。
お互いに惹かれあう熱情が爆発したように、抱擁を何度も繰り返します。
そしてカルロの差し出す手に魅かれカルロと共に。
(場面が変わります)
カルロの部屋でしょうか?窓の外は明るくブラインドが半分下がっています。
その為に部屋が少しだけ暗いです。
机が二つあり本が何冊かありスタンドがあります。
ぐっとカメラがひかれ、ベットが見えてきます。カルロの足、ロベルタの片ひざをたてた
足も見えます。
二人はヌードで無造作に薄手の毛布をかけています。ロベルタの豊満で美しい乳房
も見えます。ロベルタはカルロの顔を子供を抱くように抱え込んでいます。
腕の疱瘡のあともはっきりとあります。ロベルタの左手とカルロの右手は重なっています。
カルロ 「不思議だ 昨日君に会ってからあれほど絶対だった父が急に別世界の存在に見えてきた
父は僕にとってはもう他人だ 父の言葉さえ理解出来なくなった 今は君といる幸せだけで胸が一杯だ
愛情だけで」 (ここで長いキッス)
ロベルタ 「カルロ 聞いて でも私の方を見ないで 私は結婚して27年になるわ!
信じられないことよ そんなに人を愛せるなんて こんなに激しく こんなにもせつなく」
ベットシーンではこんな会話で約2分少々です。私のつたない文章で御免なさい。
と言うことですが、このシーンはやはりカットされてますね。 宜しくお願いします。
マーベル
エリーさん
コメント有り難うございました。そう、私が持っておりますLDでの屋内ベッドシーンの映像はまさにエリーさんの書かれたとおりです。字幕もそのとおりです。従ってエリーさんが録画されたWOWOWの画像と私のLD画像のソースは明らかに同一です。そして、これが昭和35年に日本で公開された『激しい季節』のバージョンです。(但し、私の記憶ではこの2分のシーンのうち20秒位が劇場公開時にはカットされていたと思います)。オリジナルと申し上げたのは、ここ以外の別の箇所にもカット部分があると思われるので、更に完全な全長版が存在するのではないかという、これは全くの私の想像です。混乱を招く書き方をしてしまい、もうしわけありませんでした。
koukinobaabaさん
コメント有り難うございました。「劇場公開版で乳首の見える場面はカット」の件ですが、詳細を書かせて頂きますと次のとおりです。
屋内ベッドシーンの映像はエリーさんの書かれたとおりなのですが、補足させて頂きますと・・・(露骨な書き方ですがご容赦下さい)。
カメラがカルロの足、ロベルタの立て膝になった左の太股(二人の腰に掛かっているのはベッドカバーだと思いますね)から右にパンしますと二人の裸の上半身がアップになります。ロベルタの右手はカルロの頭を抱え、左手は自分の腰に回っているカルロの手首に置いていますから、ロベルタの豊満な両乳房と左の乳首、そして腋毛が見えます。その後カルロが話している間ロベルタの左手はカルロの背や肩を愛撫して上下に動きますので、乳首は一旦左の上腕部に隠れ、また見え、また隠れます。この乳首が見えている部分(全部で20秒余り)が劇場公開時にカットされたと思います。映像が2回ほど「飛んだ」記憶がありますし(数回見ましたので)、当時の映倫審査基準では乳首の露出は御法度の筈ですから多分間違いないと思います。
ただ、koukinobaabaさんのご記憶も正しいと思いますよ。カット場面以外では乳首は隠れていても豊満な両乳房はずっとモロ見えですからね。それと、当時このカット場面のスティル(というか正確には35ミリフィルムからのブローアップだと思いますが)はいろいろな写真集に載っておりましたから、お目に触れる機会もあったのではないかと思います。(このロッシ・ドラゴの両乳房と腋毛の見える写真は当時の我々悪童連の間で引っ張りだこでした)。
すっかり長広舌を弄してしまいました。何とぞお許し下さい。
koukinobaaba
マーベルさんもエリーさんもDVDをお持ちなので詳しいですね。私のうろ覚えの印象では細部を語ることは出来ませんが衝撃的な映画だったことは違いありません。このような語り草となった亡きドラゴが聞いたらきっと喜んでくれるでしょう。みなさん、有難うございます!
エリー
koukinobaabaさん、マーベルさんコメント有難うございました。
この2~3日何となくもやもやしてましたのが、解消されました。私自身こんなにこだわらなくてもいいのにと思いつつ何回も御免なさい。
コメントと映像を照らし合わせて確認しました。マーベルさんが当時は引っ張りだこでしたとおっしゃる部分改めて凄いですね。綺麗ですね。
更に完全な全長版が存在するのではとおっしゃるkoukinobaabaさん、完全版が見たいと言うより真実はどうだったんだろうと気にはなります。今まで知らなかった情報がわかり改めてこの映画の重みを感じます。
楽しいひと時を本当に有難うございました。
tsubame
偶然、ここに辿り着いた61歳の男性です。
この映画はテレビで2度観ました。最初は昭和30年代後半、フジテレビの“午後のロードショー(?)”だったかと思います。早熟なクラスメートに唆され、授業をサボって自宅でこっそり鑑賞しました。映像は強烈そのもの、ふたりが踊るテンプテーションのメロディはしばらくの間、小生の耳から離れませんでした。
そして、3、4年前のお正月だったか、深夜の日本テレビで突如、この映画は前触れもなく放映されました。例のベッドシーンは短時間になっていましたが、存在はしていました。
新聞の番組表で偶然に発見したのです。幸運でした。エレオノーラのご冥福をお祈りします。
koukinobaaba
「tsubame」さんもご覧になったのですね。昭和30年代後半にもうテレビで放映していたのですか。私の家は祖母がテレビの番組を選んでいたのできっと観ることはなかったでしょうが、私は恐らく昭和33年頃だったと思いますが映画館で観ました。あまりの衝撃に目が飛び出るのと目が点になるのと同時でした。おっしゃるようにテンプテーションが耳から離れずにサントラを早速購入したのです。それは今でも大事にとってあります。
KT
エレオノーラ・ロッシ ドラーゴ 印象に残る女優さんでしたね。気に入った女優さんは歳とともに薄れたり替わったりするのですがいまだに好きな女優さんの一人です。
さて日本で上映されている「激しい季節」には翻訳サブタイトルが異なる2種類のプリントがあるようです。劇場で見たほうはどちらか定かではありません。
強く印象に残っているのは官能的なシーンもさることながら灯火管制の停電の中のダンスのシークエンスに挟まれた遠くの街に落とされる照明弾のカットに流れるテンプテーションの歌声です。
ところであの音源は手回しの蓄音機でしたっけ・・・高官の別荘だから照明とは別系統の配電がされていたのか、自家発電か蓄電装置があったのか、イタリアの戦時下の社会インフラの状況に突っ込みTriviaを仕入れたいのですが些細なことは抜きにして名シーンです。
映画としてはヨーロッパ、特にイタリア映画の得意な年上の女性との恋愛の顛末ですがファシスト政権の崩壊に伴う暴動や共産党の台頭を思わせるシーンを挟んで時代の変り目でしかありえないパセチックな恋に奥行きを与えていました。
エレオノーラ・ロッシ ドラーゴ といえば日本で評価されるのは
「埋もれた青春」(女は怖いの典型ですが、戦後9年目の作品、人間の判断の重さをデヴィヴィビエらしく描いており裁判員制度の始まりの年に再見したい)
「女ともだち」(一時の感情より仕事こそ生涯の友。原作物のためかこのヒロインは胃は痛めても後のアントニオーニのように「愛の不毛」などと悩まなかったのでは)
「刑事」(ジェルミ警部も仕事を離れて心を動かしたような子供のいない女性の憂愁。ところで彼女自身に子供はいたのかしら)
といったところの文芸作品ですが結構いろんな作品に出演しており日本では公開されては消えていっているようです。
見落として残念なのがご指摘の「ドリアン グレイ/美しき肖像」です。なお、「Camille 2000」は「炎」の邦題でDVDになっています。中古ポルノとスプラッターの棚から抜き出しドキドキしながら女の子のレジへ持っていきました。
しかしご指摘のヌードシーンはなかったようです。ソフトポルノとはいえ114分の長尺に疲れて見逃したのかも知れません。高級ブティックのオーナーで高級娼婦の元締め。病に倒れたヒロインを最後まで面倒をみる姉御肌の役どころでした。日活ロマンポルノの短いことに救われるのは国民性なのか個人の性向なのか別のことに感心しました。
史劇物では「ビザンチン大襲撃」のジャック・パランスの蒙古軍に滅ぼされたビザンチン王国のお姫様役はもう一度見てみたい一本です。
姫と呼ぶには少しトウが立っていましたが敗れた将軍との間に幼い隠し子がいるという設定。国民に迫害を加えないことを条件に J・パランスのモンゴル皇帝と婚姻を結びます。この宴席の盃が先の国王すなわち父親の頭蓋骨を金箔で包んだもの。これに注がれた酒を平然と飲み干して見せます。
一般的には東洋人の蒙古軍はひどいことをするな・・・これが東洋人蔑視の欧米感覚かと思っていたのですが、後になって織田信長も敵将の頭蓋に漆を施し配下の武将と祝宴を催したなどの文献が残っていることを知りました。
国の文化を伝える某国営放送の歴史大河ドラマでは取り上げないようです。外国の大衆映画で美女を見ながらその瑣末から封印されている自国の文化を振り返るのも、またその逆もいいのかなと後になって思った一本でした。
KT
訂正!!管理者様、ご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。
戦時下のイタリアの社会インフラと大上段に振りかぶったため念のためにVHSテープを2本見直しました。
どうやらその前のサーカスのシーンと混同していたようです。このシーンでも停電後送電が開始されていました。
カルロの家に行きそこでカルロが照明をつけていました。ロッサーナが”みんな あつくない?”というとカルロが”明かり消して!”、”その方が涼しくなるよ”といって明かりが消された中でテンプテーションが流れはじめ、カルロが雨戸を開けてゆき、外からの微かな明かりの中でカルロとロベルタの視線が絡み合います。したがいシナリオ上の齟齬はありませんでした。
イタリアの社会インフラとしての灯火管制は(1)サイレンを鳴らす。(2)停電を行う。(3)この間に各戸で外に光が漏れないようにする。(4)暫くして送電を開始する。と思われます。
お詫びもかねて翻訳上の差を一部まとめて見ました。
A:10年ほど前にともだちのともだちにテレビ東京の放映をエアチェックしてもらったもの。
B:その後レンタル落ちを入手したもの。
最初のカルロの紹介シーンで傷痍軍人のプラトン少尉を
A:仇名は「覗き屋」
B:仇名はロボユーサ、あとではボユーサ
戦況のニュースを聞いていたがロッサーナが局を変えようとしたとき「スイス放送は?」と聞かれて
A:「いま変えるわ」
B:「それがこれよ」
カルロがロベルタをサンマリーノに誘うときカルロが闇物資に「コネがある」と言ったときロベルタが
A:「マリーノ聖人にも?」
B:「サンマリーノにも?」
サンマリーノでカルロが書く葉書のあて先を
A:「従妹に・・・」
B:「従兄弟あてに・・・」
カルロの家でレコードをかけるとき
A:「アーティ・ショウの・・・」
B:「マーティ・ショウの・・・」
等々
以下省略
全般的にテレビ放映版のほうが適正かなといったところです。
映画はかなり思い込みで観て記憶していることを再認識しました。以後投稿する場合は再度見てからとします。
重ねて申し訳ありませんでした。
koukinobaaba
「KT」さん、ご丁寧に訂正をありがとうございます。私なんぞはよく勘違いしております。
この映画は今現在観ていないので細部には確証が持てないのですが、ともかくテンプテーションのダンスシーンは胸が締め付けられるほどに官能的で私には素晴らしい映画の一つとなっています。
桜子
初めまして。
大好きな映画が、こうして皆さまに依って語られていることに感激です。
私も10代で観て、一番好きな作品になりました。
ちょっと違う視点から語っていいでしょうか。実は激しい季節に脇役で出ていた
イタリア映画の若手俳優、ラフ マッティオーリ。フィデリカ ランキ(ロベルタの
義妹役)と並んで、これからが期待される(と思っていた)人でした。
J.ササールの「めばえ」の相手役は主演、イヴ モンタンの「掟」の助演でしたが、
その頃の私のアイドルだったんです。
でも、彼は21歳で亡くなりました。心臓発作と映画雑誌の死亡欄に書いてありました。あれから半世紀以上の月日が過ぎましたが、私は、まだ彼を私のアイドルと思っています。幸い、TVを録画したVIDEOで観られますから。
あ、私もあのサウンドトラック盤、持っていますよ。で、この作品が好きだという人に会うと嬉しくて、MDなどにおとして差し上げているんです。歌っているのは、ビング
クロスビーに間違いないと思います。あのこぶし回しは、ビング特有なものだと思うから。マリオ ナシンべーネはニーノ ロータ エン二オ モリコーネと並んで、大好きな映画音楽作家ですね。
koukinobaaba
桜子さんのお好きな映画をこのページで語らせて頂いておりますが、感激して頂けるとは見に余る光栄と存じます。
Giulioを演じたRaf Mattioli(ラフ・マッティオーリ)は日本でも公開された「芽ばえ」 (1957)に続いてジーナ・ロロブリジーダ主演の「掟」(1959)に出演していましたがピエール・ブリス主演の「バッカスの狂宴」 (1961)が最後だったようです。 いづれにせよ、ラフ・マッティオーリもジャン=ルイ・トランティニアンも初々しかったです。
宮内鎮雄
エピックのサウンドトラック盤には「テンプテイション」を誰が歌っているのかクレジットがないので、てっきりビング・クロスビーだろうと思っていましたが、改めてよく聞いてみるとどうも違うようです。いくらいい加減なイタリアでも、ビング・クロスビーのレコードをノー・クレジットで使うとはちょっと考え得られません。
イタリアのRCAから出たサウンドトラックEPではテディ・レノの名がクレジットされていますので、彼が歌っているものと思われます。イタリアのカムから出たCDには、EPに入っているインストルメンタル6曲がすべて収録されているのに、肝心の「テンプテイション」が抜けているのは、契約の問題(多分、金がらみ)によるものではないでしょうか。
確認がとれたらまたメイルします。
ちなみに、僕は封切り当時、試写会でこの映画を見たのですが、大胆なベッド・シーンがカットされる前のフィルムが上映されびっくり仰天、豊満なバストは今でもはっきりと脳裏に焼き付いています。
koukinobaaba
そうなんです! 宮内さんがおっしゃるように当時購入したエピック盤にクレジットがないので私も長いこと疑問に思ってきました。ビング・クロスビーだという声が多々あるなか、ビングより声が転がっていて(巻き舌)、ビングのどのバージョンとも違っています。でも聞き比べてもペリー・コモではないからビングなのかと。。。やはりイタリア人の歌手だったのですね。
これで半世紀に渡る謎が解けました。
宮内鎮雄
ついにイタリアRCAのサントラ・シングルを入手しました。
「テンプテイション」はテディ・レノのヴォーカルで、映画に使われたものと全く同じ!これで、長年の謎が解けました。ただし、日本で出たサントラ盤に入っている台詞は入っていません。
ちなみにテディ・レノは1968年に19歳も年下の人気歌手リタ・パヴォーネと再婚。当時相当物議をかもしたそうです。
koukinobaaba
テディ・レノのサントラが入手できて良かったですね。
私は日本で発売されたセリフ入りのサントラしか持っていませんが懐かしい映画のシーンがよみがえるので時々聞いています。