タブ・ベノワ Tab Benoit

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Fever for the Bayou
Fever for the Bayou by Tab Benoit
Tab Benoit Plays Concoction Of Blues, R & B and Rock
♪ Tab Benoit - Fever for the Bayou

私の好きなブルースは60年代くらいまででしかも黒人限定です。 だからタブ・ベノワ(又はタブ・ブノワ)をあえて無視してきました。 なせならそれが今この時代に、しかも白人だなんて!
駄目!だめ!ダメ!
と思ったのですが、やっぱり気になります。 とはいえ、タブ・ベノワは海外ではブルースではなくてロックのカテゴリーに入っていることもあります。 というのも1969年に"Polk Salad Annie(ポーク・サラダ・アニー)"が大ヒットしたルイジアナ出身のTony Joe White(トニー・ジョー・ホワイト)がブルースというよりスワンプ・ロックのアーティストなのです。(カントリー、R&B、ソウル、ポップスなどが混ざっています) ちなみに"ポーク・サラダ・アニー"はエルヴィス・プレスリーのバージョンの方が有名かも知れませんが、歌の意味は"豚肉サラダ"ではなく、野生の草のことでそれを食用にしている貧しいルイジアナの娘のことを歌っています。

ソウルフルなモダン・ブルースの彗星か
Louisiana Blues(ルイジアナ・ブルース)とかSwamp Blues(スワンプ・ブルース)という伝統的な米・南部のブルースを追求し、演奏するエレキ・ギタリストで歌手でソングライターのタブ・ベノワは1967年にルイジアナで生まれニューオリンズを基盤としているブルースミュージシャンです。 ディキシーランド、ニューオリンズ・ブルース、ブギウギピアノのファッツ・ドミノのような50年代南部ブルース、テキサスギター、カントリーからR & B、そしてロックまでをミックスしたようなブルース・ロック的な音楽がタブ・ベノワの特長です。

タブ・ベノワのソウルフルな歌声は力強く、現代エレキの巨匠の声もあがるギターの腕前は3大ブルースギターの神様といわれるAlbert King(アルバート・キング)、Albert Collins(アルバート・コリンズ)、そしてJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)のようだといわれますが、タブ・ベノワ自身は否定しているそうです。 タブ・ベノワは90年代のアルバムの殆どをラジオでガンガンかけて新曲を宣伝する方法ではなく地方周りのキャンペーン活動で地道に広めてきたそうです。 ケジャン色の濃いブルースバンドと共に国内はもとより果てはヨーロッパまでツアーを行っています。 タブ・ベノワの願望としてポップなAlternative Rock(オルタナ)として希釈されることなくタブ・ベノワ流ブルースを最後まで貫き通すと言っているそうです。 ということは、タブ・ベノワのブルースは型にはまっているのでしょうか。

タブ・ベノワの"Telecaster"(テレキャスター)で弾かれる叫ぶようなエレキギターのフレーズが聴かれる激しいステージとは違って普段のタブ・ベノワは落ち着いた堅実な人柄なんだそうですよ。 テレキャスターといえばJimmy Page(ジミー・ペイジ)やDanny Gatton(ダニー・ガットン)やCornell Dupree(コーネル・デュプリー)などたくさんいるそうですが、私が最初に聴いたのが日本でも公演した元祖ブルースロックのギタリストと云われるRoy Buchanan(ロイブキャナン)でした。 2014年にはフィギュアスケートでは珍しくSPで使用されたGary Moore(ゲイリー・ムーア)が1979年に作ったParisienne Walkways(パリの散歩道)がお茶の間でも人気になりました。
Roy Buchanan - The Messiah Will Come Again (LIVE 1976) - YouTube
Gary Moore - Parisienne Walkways - YouTube
Telecaster
テレキャスター(テレキャス)とは、元々はカントリー用に開発されフェンダーのたエレキギターだそうです。 ギターメーカーのフェンダー社の創設者であるレオ・フェンダー氏が開発したエレクトリックギターで、ボディに空洞部分の無いソリッド・タイプのエレキギターというのは世界初なのだそうです。 ただし、タブ・ベノワが使用しているテレキャスはThinline(シンライン)モデルでセミ・空洞ボディ(セミホロウタイプ)のエレキギターなんだとか。(72 年型Fender Telecaster Thinline)

New Orleans
アメリカの南部というとDeep South(深南部)と呼ばれるルイジアナ、アラバマ、ミシシッピ、テキサス、ジョージアがありますが特にルイジアナ州は昔フランス領だったこともあり仏系混血文化及び黒人文化の色濃い地域です。 ルイジアナ州の最大の都市は音楽の町"ニューオーリンズ"で、ルイジアナ音楽のジャンルとしてはNew Orleans(ニューオリンズ・ジャズ)、Cajun(ケイジャン)、Zydeco(ザディコ)、Swamp(スワンプ)、Mardi Gras Music(マルディグラ音楽)などがありますが、ケイジャンは北米からルイジアナに移住したフランス系カナダ人の白人ダンス音楽でクレオール系黒人音楽がザディコだとか。
私が知るところではルイジアナ・ブルースの元祖といえばSlim Harpo(スリム・ハーポ)、最近では1994年にアルバム「Hoodoo Moon」を出したKenny Neal(ケニー ・ニール)などが有名だそうです。

Voice of the Wetlands
バイユー・ブルースマンと呼ばれるタブ・ベノワは2003年から「VOW : Voice of the Wetlands」を設立しルイジアナ州湾岸の湿地帯保護を訴えていますが、2005年に運動資金調達のためそのThe Voice of the Wetlands Allstarsをタイトルに冠したアルバム「Voice of the Wetlands」(ASIN: B000ASATCG)をリリースしました。 「ファッツ・ドミノが行方不明」とニュースが流れ、2005年8月にニューオリンズを襲った「ハリケーン・カトリーナ」の大災害を思うと曲の歌詞も意味深いでしょう。 カバー画像に湿地帯の写真を使用したアルバムにはルイジアナ関連の11曲を収録してあり、"Bayou Breeze"と"Lightning and Thunder"と"Me Donkey Want Water"は曲作りにタブ・ベノワが関わっていますが、私はブルージーな"Lightning and Thunder"が好きです。
アルバムの試聴はVoice of the Wetlands AllMusic.com

Bayou(バイユー)とは南部、主にミシシッピ川デルタ地帯、ルイジアナ州ニューオリンズ郊外の湿地帯にある澱んだ網状の"水路"のことです。 ブルースのアルバムのタイトルにはよく付けられる南部を代表する言葉の一つ"Bayou"を伴ったアルバムはルイジアナのZydeco(ザディコ)ミュージシャンであるClifton Chenier(クリフトン・シェニエ)の「Bayou Blues」、ケジャンのBeauSoleilの「Bayou Boogie」、ミシシッピ出身のブルース・ミュージシャンのBBキングの「Blues on the Bayou」など沢山あります。

Swamp(スワンプ)とはアメリカ南部のミシシッピ川河口近く、ニューオリンズ郊外の森が水没したような"沼地"を指すそうです。
Swamp Blues(スワンプ・ブルース)とはニューオーリンズからテキサス州のヒューストン辺りまでの南ルイジアナのケジャンやクレオールの影響を受けた黒人ブルースから発展したブルースの一種でゆるやかであると同時に陽気でファンキーな音楽ですが、南ルイジアナ独特のSwamp Pop(スワンプ・ポップ)とは別ものだそうですが、Swamp Pop
スワンプ・ポップとは1950年代に起こったジャンルだそうです。(ちょっと不明) ニューオリンズのR & B、カントリー、ケジャン、クレオールの混じった音楽で南ルイジアナのAcadiana(アカディアナ)の音楽がルーツです。 特長はスローな感傷的なヴォーカル、英語とフランス語の混じった歌詞、ホンキートンク・ピアノやテナーサックスの楽器演奏などです。 私の知っているスワンプ・ポップというとJohnny Preston(ジョニー・プレストン)でヒットした1959年の"Running Bear(悲しきインディアン)"やルイジアナの黒人歌手のPhil Phillips(フィル・フィリップス)の"Sea of Love(シー・オブ・ラブ)(シー・オブ・ラブ)"もこのジャンルだとか。
Phil Phillips - Sea Of Love - Rádio UOL

Cajun
ケイジャン(ケジャン)とは17世紀に英国人に追われたNova Scotia(カナダのノバ・スコシア州)からのフランス系移民Acadiana(アカディアナ)による南ルイジアナと東テキサスの一部におけるフランス系のCajun Countryの地域文化で、18世紀にはフランス、ハイチ、スペイン、英国やドイツからの移民も加わり、さらにはそれが黒人文化と混ざり合った混血のCreole(クリオール)文化が発達したのだそうです。 ケジャン料理というとザリガニやジャンバラヤやガンボなどが有名です。
Cajun Music
ケイジャン・ミュージックとは、米国ディープ・サウス(南部の奥地)のフランス系ルイジアナ地方特有の音楽で、源はAcadiana(アカディアナ)と呼ばれるカナダのフランス系カトリック教徒のバイオリン主体の伝統的なダンス音楽のバラードで後のカントリーやアメリカン・ポップスに影響を与えてきました。 19世紀後期にクリオールがアコーディオンを取り入れたそうで、同じルーツの南西部のZydeco(ザディコ)と混同されることもあります。
※タブ・ベノワの音楽がケイジャン色が濃いというのも白人ブルースだからでしょうか。 タブ・ベノワの姓がBenoitというのもどうやらルーツがフランス系のようですね。

Zydeco
ザディコ(ザイダコゥ)とは、ルイジアナの南西部で白人のケイジャン(ケジャン又はケージャン)を元にしたフランス系黒人のクレオールが演奏するダンス音楽(フォーク・ミュージック)だそうです。 ボタン式のアコーディオン(後には鍵盤式)やWashboard(ウォッシュボード)と呼ばれる木製の洗濯板が金属製の楽器に変化したラブボード(擦り板)がパーカッションとして使用されまるそうです。 ザディコはルイジアナだけではなくテキサス・ザディコといって20年代にカントリーから出たテキサス・ブルースが元となりヒューストン辺りでも盛んだったそうです。
ザディコというと1920年代後期に超人気者だったアコーディオン・プレイヤーでザディコ歌手のAmédé Ardoin(アミディ・アルドワン)の悲惨なリンチ事件もありました。(人種差別か嫉妬からとかいう噂)
Amédé Ardoin Amadie Two Step - YouTube

Mardi Gras
"マルディ・グラ"とは、17世紀頃に白人が始めたルイジアナ南部ニューオーリンズの行事の一つです。 キリスト教の信者でないとクリスマスとEaster(復活祭)くらいしか知りませんが、Carnival(謝肉祭)の「懺悔の火曜日」といわれる最終日のことで盛大な歌と踊りのパレードが繰り出されますが、今では宗教祭りというよりリオのカーニバルのように観光行事になっているものも多いようです。
南部では20世紀になってアフリカ系黒人が主体となり様相も変ってきましたがそのアフリカ系パレイド・ミュージックをマルディ・グラ音楽というそうです。


☆タブ・ベノワのオフィシャルサイトはTABBENOIT Official Site


タブ・ベノワのアルバム
Fever for the Bayou
ページトップの画像はソーシャル・ミュージック・プラットフォームのLast.fmでの一番人気の"Night Train"が収録されているタブ・ベノワの2005年リリースのアルバム"Fever for the Bayou"です。 この曲はちょっと白人ブルースマンのJohnny Winter(ジョニー・ウィンター)の1985年の "Route 90"に似ていると思います。(空耳アワー)
試聴はFever For The Bayou - CD Universe(試聴の1番は"Night Train"ですがキングカーティスの"Night Train"とは別曲)

Best of the Bayou Blues
今現在私が聴いているアルバムは"Best of the Bayou Blues"です。 タブ・ベノワのギターがロックする、泣く、叫ぶNice And Warmなどを収録した2006年リリースの最新アルバムです。 私の好きなカントリーの大御所"Willie Nelson(ウィリー・ネルソン)のRainy Day Bluesや"Hank Williams"のJambalayaをカバーしています。
Tab Benoit - Best of the Bayou BluesBest of the Bayou Blues
試聴はBest of the Bayou Blues - CD Universe
☆バックのピアノとハモンド・オルガンはPaul English、Reese Wynans、Marc Adamsなどです。 ちなみにニュー・オーリンズのキーボード奏者のマーク・アダムスは2004年頃にAdams Rides Againというドラムとベースを加えたトリオコンボのソロアルバムをリリースしているそうです。

Brother to the Blues
2006年リリースのセカンド・アルバムでは6人組ロックバンドのLouisiana's LeRoux(ルイジアナズ・ル・ルー)をバックにSam Cooke(サム・クック)の"Bring It on Home to Me"だの、伝説的カントリー・シンガーのHank Williams Sr.(ハンク・ウィリアムス)の"I Heard That Lonesome Whistle"までもカバーしています。
Tab Benoit - Brother to the BluesBrother to the Blues
試聴はBrother to the Blues - Amazon.com

The Sea Saint Sessions
デルタ・ブルース、ケジャン、バイユーといったルイジアナの伝統音楽をじっくりと料理し、Solid Simple ThingやWhat I Have To Doなどの他、ルイジアナ・レジェンドへのトリビュートでGuitar Slim(ギター・スリム)の"Sufferin' Mind"やHowlin' Wolfの"Howlin' for My Darling"も収録した2003年の人気アルバムです。 ベースがCarl DufreneでドラムがDarryl Whiteなどで何人かのゲストを迎えたセッションではベノアのしなやかであると同時に迫力のあるギターが聴けます。
The Sea Saint Sessions by Tab BenoitThe Sea Saint Sessions
試聴はThe Sea Saint Sessions - CD Universe
☆Sea Saint StudioとはニューオリンズのBig Easy Recording Studio(ニューオリンズ・レコーディング・スタジオ)※Big Easy=ニューオリンズ

Homesick for the Road
ベノワが"Down in the Swamp"の他、アウトロー・カントリーのWillie Nelson(ウィリー・ネルソン)が作った"Nightlife"やScreamin' Jay Hawkins(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス)の"I Put a Spell on You"をカバーしている1999年のアルバムではKenny Neal (ケニー ・ニール)のギターソロとヴォーカルが聴けます。 共演の女性ブルース・ギタリストはDebbie Davies(デビー・デイヴィーズ)です。
Homesick for the Road Homesick for the Road
試聴はHomesick for the Road - CD Universe

Nice and Warm
模索中ともいえるまだルイジアナ色の濃くない1992年のベノワのデビューアルバムの1993年復刻盤ではBone Pickin'やVoodoo on the Bayouなどルイジアナのルーツで、Cajun、R & B、ブルースのミックスしたリラックスムードの2日間ライブの演奏が聴かれます。 50年代にScreamin' Jay Hawkins(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス)でヒットしたI Put A Spell On YouをカバーしていますがオルガンのバックでI Put A Spell On Youの後半にのタブ・ベノワのギターソロが聴けます。
Tab Benoit - Nice and WarmNice & Warm
「Nice and Warm」の全曲試聴はNice & Warm - CD Universe

Tab Benoit - Too Many Dirty Dishes (2006 LIVE Legendary Rhythm and Blues Cruise) - YouTube
Tab Benoit at The Jewish Mother in Va. Beach on Aug. 2006- YouTube


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