雨の朝巴里に死す The Last Time I Saw Paris (1954)

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雨の朝巴里に死す  (1954年)

「雨の朝パリに死す」はアメリカの作家であるF. Scott Fitzgerald又はFrancis Scott Key Fitzgerald(F・スコット・フィッツジェラルド)が1925年に夢と挫折を描いた短編「Babylon Revisited(バビロン再訪又はバビロンに帰る)」をモチーフとしてRichard Brooks(リチャード・ブルックス)が監督した超ロマンス映画で、パリやモナコでのロケが行われたそうです。 いかにもというロマンティックなメロドラマですが、他の典型的な50年代のハリウッド・スタイルのお涙頂戴的ロマンス映画というよりはかなり身近な問題なので身につまされます。
ちなみにフランス語では"La dernière fois que j'ai vu Paris"(私がパリを見た最後)というそうです。
原作の短編「Babylon Revisited(バビロン再訪)」について書かれた"Babylon Revisited": Contents and Introduction(英語のサイト)
F. Scott Fitzgerald(フィッツジェラルド)の短篇集から「雨の朝パリに死す」の冒頭が読めるデジタル書店グーテンベルク21の雨の朝パリに死す 立ち読みフロア

私の好きなF. Scott Fitzgerald(フィッツジェラルド)の作品といえば1925年に出版された現代版「嵐が丘」のような"The Great Gatsby"(グレート・ギャツビー)ですが、こちらも1974年にRobert Redford(ロバート・レッドフォード)主演で「The Great Gatsby(華麗なるギャツビー)」というタイトルで映画化されました。 1959年の「Room at the Top(年上の女)」のJack Clayton(ジャック・クレイトン)が監督した「華麗なるギャツビー」がセリフにおいてはかなり原作に忠実だったので感激した覚えがありますが、「雨の朝パリに死す」の原作といわれる「バビロン再訪」については私は未読なので比較出来ません。 そしてフィッツジェラルドの短編「The Curious Case of Benjamin Baton(ベンジャミン・バトン 数奇な人生)」を2008年にDavid Fincher(デヴィッド・フィンチャー)監督が映画化しています。 主人公を演じたtのはBrad Pitt(ブラッド・ピット)でヒロインのデイジーはCate Blanchett(ケイト・ブランシェット)です。

☆集英社から1990年に出版されたフィッツジェラルド原作"Babylon Revisited"の文庫本はバビロン再訪―フィッツジェラルド短篇集

映画「雨の朝パリに死す」の美しいヒロインである自由奔放ゆえに哀しいHelen Ellswirth(ヘレン)を撮影当時22歳のゴージャスなElizabeth Taylor(エリザベス・テイラー)がまるで地でいくように演じています。 リズの演じる綺麗な令嬢姿が存分に見られた1951年のA Place In The Sun(陽のあたる場所)から3年後にさらに華麗な人妻役のリズが見られる映画です。
当時は無名だった「James Bond 007(ジェームス・ボンド)」シリーズのRoger Moore(ロジャー・ムーア)が若いテニスコーチのPaul Lane(ポール)、「The Caine Mutiny(ケイン号の叛乱)」のVan Johnson(ヴァン・ジョンソン)がヘレンの夫になるCharles Wills(チャールス)役です。 堅物で生真面目ですが、「It's A Wonderful Life(素晴らしき哉、人生!)」のDonna Reed(ドナ・リード)がずっとチャールスを想うヘレンの姉の"Marion"(マリオン)として出演、二人の父親としては「How Green Was My Valley(わが谷は緑なりき)」のWalter Pidgeon(ウォルター・ピジョン)が出演しているという豪華キャストの映画です。

「雨の朝パリに死す」の舞台は第二次大戦の勝記念日あたりのバカ陽気なパリです。 その連合軍の勝利のお祝いパーティでヘレンとチャールスは出会い、チャールスの除隊後にパリで結婚し可愛い女の子も授かりました。 パーティ好きで奔放なヘレンは噴水に飛び込んだ"パリのアメリカ人"として記事になり、Ritz Bar(カフェ)の壁画にそのモデルとしてに応じたりと相も変わらず気紛れな行動を続ける一方、さえないほど実直なチャールスは昼間は通信者の記者として安月給で働きながら夜は作家として奮闘するも作品は書いても書いても不採用となる苦悩の毎日でした。 そんな時、ヘレンの父親から結婚記念に贈られたテキサスの土地の油田から突如石油が吹き出たのです。(長期間枯れないなら遺産よりすごい)
※テキサスというとこの時代のちょっと前はサボテンとカーボーイとウエスタンでしたが50年代にはオイル・ブームですから、まさに1956年の超大作「Giant(ジャイアンツ)」の前ぶれのような映画です。(Giantとは偉大な人という意味の他に州旗は大きな☆ひとつであることからテキサスことも指すとか。リズが理想的な女性を演じた現代版「嵐が丘」)

一夜にして石油成金となり豪華な生活を楽しみ、生活の心配なく作家稼業に身を入れられる筈のチャーリーでしたが作品はボツの連続で自暴自棄となり酒に溺れどんどん嫌味な夫となっていきます。 とうとう作家への夢を失うと同時に次第に妻の愛情をも失い自滅の道へ突き進むことになります。 そこに現れたのがヘレンの父の友人であるテニスプレーヤーで遊び人のポールです。 ポールのヘタクソなフランス語"Enchante"(はじめまして)がヘレンの気を引き、金持ち狙いのポールの思惑通りになりかける一方、共に享楽をむさぼる日々を過ごす夫のチャールスも離婚太りの超リッチな金髪グラマーと交際を再開して双方滅茶苦茶な夫婦生活が始ります。 お互いに当て付けのような不倫劇を演じていては本当に夫婦関係も壊れる一方だと案じたヘレンの希望はホームに帰ることでした。 ホームはアメリカ人として住んでいるパリの家のことではなくアメリカ人の本当のホームつまりアメリカ本国に戻るということです。 夢も虚しくお互い愛情の表現が不器用で素直になれなかった夫婦の悟るのが遅すぎた悲劇です。 金が無ければ四苦八苦、金が有り過ぎると不幸とは世の常、人の常?

video映画史上初のリアルなキスが見られるかもしれない「雨の朝パリに死す」のトレーラーはThe Last Time I Saw ParisTrailer - Turner Classic Movies
The Last Time I Saw ParisTrailer - YouTube
☆「The Last Time I Saw Paris(雨の朝パリに死す)」の写真が見られるL'ultima volta che vidi Parigi Photos - FILM.TV.IT

「雨の朝パリに死す」はまさに20世紀の偉大なる女優の一人である美しいエリザベス・テイラーを見るための映画です。
1950年代のLiz Taylor(リズ)は最高に綺麗です。 「雨の朝パリに死す」と同じくRichard Brooks(リチャード・ブルックス)監督の「Cat On A Hot Tin Roof(熱いトタン屋根の猫)」はリズの映画で私が一番好きな作品です。 ブルックス監督が1958年にTennessee Williams(テネシー・ウィリアムズ)の原作を映画化したものですが、この映画で25歳のリズは美しいだけではなく演技力を身に付けたといわれています。
2011年に79歳で亡くなりましたが、イギリス出身のエリザベス・テイラーは1944年にRobert Stevenson(ロバート・スティーヴンソン)が監督した「Jane Eyre(ジェーン・エア)」に子役で出演するなど映画界において子役時代から美しさでは他に類がないといわれるほどでした。 私が初めて観た菫色の目をしたリズは縦ロールの髪型で出演したマーヴィン・ルロイ監督の1949年の「Little Women(若草物語)」でした。 もっとも私は公開当時ではなく後のテレビ名画座で観たのです。 映画では金髪に髪を染めたリズのフランス人形のような美しさには目を見張るばかりでした。 真っ白な肌、真っ黒な髪、バイオレットの瞳、小さな口からこぼれる可愛らしい声、そして小さな鼻。 そしてリチャード・バートンと共演した1966年の「Who's Afraid of Virginia Woolf?(バージニア・ウルフなんかこわくない)」や、1967年の「The Taming of the Shrew(じゃじゃ馬ならし)」以降はエリザベス・テイラーの映画を全く観ていません。
※Mervyn LeRoy(マーヴィン・ルロイ)監督は1940年のWaterloo Bridge(哀愁)や1942年のRandom Harvest(心の旅路)など泣ける名作がたくさんありますが、1939年のThe Wizard of Oz(オズの魔法使)や1949年の「Little Women(若草物語)」など子供にも楽しめる映画もある一方、1962年にはNatalie Wood(ナタリー・ウッド)主演で「Gypsy(ジプシー)」も撮っています。
60年代以降は百万ドル女優の貫禄充分でスペクタクル映画などに出演しましたが私の好きなリズの映画はもうありません。

「雨の朝巴里に死す」と「熱いトタン屋根の猫 」以外に私が観たリチャード・ブルックス監督の作品では1948年に脚本を担当したHumphrey Bogart(ハンフリー・ボガート)主演のKey Largo(キー・ラーゴ)、1955年に監督したBlackboard Jungle(暴力教室)、そして新しいところでは1977年のLooking for Mr. Goodbar(ミスター・グッドバーを探して)ですがいづれもスリリングな映画です。

Elizabeth Taylor (1932 - 2011)
私生活では1967年に「Doctor Faustus(ファウスト悪のたのしみ/博士の異常な愛)」でも共演した英国俳優のRichard Burton(リチャード・バートン)と1964年から結婚離婚を繰り返したエリザベス・テイラーでした。 2016年に亡くなりましたが可愛いかったDebbie Reynolds(デビー・レイノルズ)の夫君だった人気歌手のEddie Fisher(エディ・フィッシャー) と突然のように結婚した時はびっくりしました。 テイラーは1957年に結婚したプロデューサーのMike Todd(マイケル・トッド)が1958年に飛行機事故で急逝したショックから神経が脆くなったとか。(白馬に乗った王子様を失ったなんて信じられない、どうすれば...といった心境) この後にデビー・レイノルズからの略奪愛でエディ・フィッシャーと結婚するも4年で離婚、Richard Burton(リチャード・バートン)とは1964年から1976年にかけて二度の結婚離婚を繰り返しました。 酒や麻薬に溺れたあげく過食症で激太り、その治療で入院した病院で知り合った土木作業員と1991年に60歳で結婚したそうですがこちらも5年でお別れとなりました。 この最後の結婚式は2009年の葬儀にも駆けつけたMichael Jackson(マイケル・ジャクソン)所有のネバーランド。  リズが70年代にストレスからくる過食により肥満となったことを記した書籍がエリザベス・テイラーの挑戦―私が太った理由、痩せた方法」(ISBN-10: 4102259015)です。
リズは女優業の他にもフラグランスをプロデュースしているそうで、1987年にElizabeth Taylor's Passion、1991年にWhite Diamonds Elizabeth Taylorと自分の名を冠した香水を持つゴージャスなリズです。 その一方かって仲良しだった人気俳優のロック・ハドソンがエイズで死亡したことからエイズ撲滅運動に参加して以来社会活動も盛んに行っています。
訃報
これまでも90年代後期に脳腫瘍や皮膚ガンや肺炎などを克服したリズでしたが、最近は心臓を病んでいて1ヶ月以上も入院している最中の2011年3月23日に鬱血性心不全により79歳で亡くなりました。 葬儀の後、親友だったマイケル・ジャクソンと同じForest Lawn Cemetery(フォレストローン墓地)に埋葬されるそうです。 グッバイ、バイオレット・アイズ。。。
☆ エリザベス・テイラーの写真がたくさん見られる訃報記事はAudio-Visual TriviaとHot'n Coolをリンクして頂いているにゃもさん運営のElizabeth Taylor Photos - Heart Attack (お爺様秘蔵の写真だそうです)


Roger Moore
ロジャー・ムーアは英国出身ですが50年代の初めに渡米し、何年もの無名時代を過ごしました。 「雨の朝パリに死す」がロジャー・ムーアがやっと大役を掴んでクレジットが出るようになった日本映画デビュー作品となります。 ヨーロッパ映画で1961年に「IL Ratto delle sabine(サビーヌの掠奪)」でMylene Demongeot(ミレーヌ・ドモンジョ)と、1962年に戦争映画の「Un branco di vigliacchi」でPascale Petit(パスカル・プティ)と共演するなどしたロジャー・ムーアは翌年の1962年から6年間放映されたテレビシリーズの「The Saint"(セイント)」の主役"Simon Templar"(サイモン・テンプラー)で大ブレイクし、同じく人気探偵シリーズだった「77 Sunset Strip(サンセット77)」などにもゲスト出演しています。 1974年に「The Man with the Golden Gun(007/黄金銃を持つ男)」ではボンドガールを演じたPeter Sellers(ピーター・セラーズ)の元妻だったスウエーデン女優のBritt Ekland(ブリット・エクランド)と共演しています。 ボンドガールのMaud Adams(モード・アダムス)は1983年の「Octopussy(007/オクトパシー)」でも共演しています。
The Saint opening titles - YouTube

45歳になって貫禄のついたロジャー・ムーアは1973年からSean Connery(ショーン・コネリー)に代わってやっとJames Bond(ジェームス・ボンド)として採用され、鉄歯男を演じた2mを越す大男のRichard Kiel(リチャード・キール)やBarbara Bach(バーバラ・バック)がKGBの美人スパイを演じた1977年の「The Spy Who Loved Me(私を愛したスパイ)」をはさんで1979年までに7本の007シリーズに出演しました。 007の原作者"Ian Fleming"(イアン・フレミング)のボンド役のご指名は本来ロジャー・ムーアだったのですが若く見えすぎるということでショーン・コネリーに決定した経緯があります。 ところが、実際にはロジャー・ムーアの方が年上だったんだそうです。 ロジャー・ムーアが演じたジェームス・ボンドは最もセックスアピールがないといわれていますが私はサイモンのファンだったのでロジャーは魅力的だと思います。
なにしろジェームス・ボンド役は英国人でなくてはならないそうですから最新の2006年版「Casino Royale(007/カジノ・ロワイヤル)」でのボンド役を演じるDaniel Craig(ダニエル・クレイグ)も英国人です。 「カジノ・ロワイヤル」に出演しているMads Mikkelsen(マッツ・ミケルセン)は2002年の「Elsker dig for evigt(しあわせな孤独)」でデンマーク版のジェレミー・アイアンみたいに若い女に狂う医師の役を演じました。


The Last Time I Saw Paris DVD
ページトップの「The Last Time I Saw Paris」のDVD画像は二つともAmazon.comにあるDVDですが、左側のDVDカバー画像は映画のシーンなんでしょうか、私の記憶にありません。
こちらの画像は2002年発売の日本語字幕版DVDですが入手困難なのでリンクは2008年発売の500円DVDの「雨の朝パリに死す」になっています。
The Last Time I Saw Paris雨の朝パリに死す
500円DVD(ASIN: B0006B2GKA)や吹き替え版のDVD(ASIN: B000RL39MS)などもAmazon.co.jpで見つかります。

The Last Time I Saw Paris Soundtrack
「雨の朝パリに死す」のサウンドトラックではJerome Kern(ジェローム・カーン)作曲のロマンティックなタイトル曲となっている"The Last Time I Saw Paris(思い出のパリ)"が使用され、ヘレンが弾くピアノの雨だれ演奏を含めて映画「雨の朝パリに死す」の全編通して随所に流れますが、歌詞はOscar Hammerstein II (オスカー・ハマーシュタイン二世)です。
映画「雨の朝巴里に死す」の冒頭はアメリカに帰っていたチャールスの2年ぶりのパリというシーンから回想劇が始まりますが、ヘレンの壁画のあるカフェや中盤のチャールス夫妻のダンスシーンで流れるフランス語の歌詞も同じくオスカー・ハマーシュタイン二世なのかどうか、又女性歌手は誰なのかは不明です。
「雨の朝巴里に死す」のサウンドトラックとしては国内では見つかりませんがJerome Kern(ジェローム・カーン)作曲のサウンドトラック集で試聴出来ます。
The Fred Stride Orchestra(フレッド・ストライド指揮)が演奏する"The Last Time I Saw Paris"はShowboat and Other Jerome Kern Classics
アルバム"Showboat and Other Jerome Kern Classics"のCD画像が見られて試聴できるShowboat and Other Jerome Kern Classics - Amazon.com
1940年に作曲されたThe Last Time I Saw Parisは1941年のミュージカル映画"Lady Be Good"で使用され映画ではAnn Sothern(アン・サザーン)が歌いました。 以来人気のジャズナンバーでEartha Kitt(アーサー・キット)のアルバム「The Collection」やVaughn Monroe(ヴォーン・モンロー)のアルバム「There! I've Sung It Again」にスイング調の"The Last Time I Saw Paris"が収録されている他、Dinah Shore(ダイナ・ショア、Frank Sinatra(フランク・シナトラ)、Dean Martin(ディーン・マーティン)のバージョンが有名です。 演奏だけではJohnny Hodges(ジョニー・ホッジス)のスウィングしている演奏がアルバム「A Jazz Romance: A Night in With Verve」のディスク:4の5番で聴かれる他、Dave Brubeck(デイヴ・ブルベック)やハードバップのピアニストのBud Powell(バド・パウエル)とその影響を受けた白人ピアニストのClaude Williamson(クロード・ウィリアムソン)がメロディックに演奏しているバージョンがあります。
日本でも人気のクロード・ウィリアムソンの"The Last Time I Saw Paris"は試聴なしですがアルバムの「Live at the Jazz Bakery」に収録されています。
"The last time I saw Paris, her heart was warm and gay,..."と歌われるDinah Shore(ダイナ・ショア)やDean Martin(ディーン・マーティン)のバージョンの"The Last Time I Saw Parisの"英語歌詞はThe Last Time I Saw Paris Lyricks - sing365.com
Ann Sothern(アン・サザーン)が歌っている"The Last Time I Saw Paris"は1941年のミュージカル映画「Lady Be Good」のサントラ「Lady Be Good/Four Jills in a Jeep」で試聴出来ます。
The Last Time I Saw Paris by Henry Mancini with chorus - YouTube
The Last Time I Saw Paris by Joan Collins in Monte Carlo (1986)- YouTube