ビッグ・ママ・ソーントン Big Mama Thornton

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Hound Dog: The Peacock Recordings
Hound Dog: The Peacock Recordings by Big Mama Thornton
Big Mama Thornton: The Growling Blues Woman
Big Mama Thornton - Hound Dog (Peacock 1952) - Amazon.co.jp (MP3 Download)

Big Mama Thornton (1926 - 1984)
ビッグ・ママ・ソーントンはWillie Mae "Big Mama" Thornton (ウィリー・メイ・ビッグ・ママ・ソーントン)と表記されることもあります。 エルヴィス・プレスリーの代表曲の一つであるHound Dog(ハウンドドッグ)は、実はRhythm & Bluesの歌手である元気溢れるビッグ・ママ・ソーントンの1953年の大ヒット曲だったのです。 一連のThe Coasters(コースターズ)のヒット曲を提供したJerry Leiber-Mike Stoller(リーバー=ストーラー)がビッグ・ママ・ソーントンのために書いた曲「ハウンドドッグ」をプロデュースしたJohnny Otis Orchestra(ジョニー・オーティス楽団)をバックにビッグ・ママ・ソーントンが歌い、連続7週に渡ってBillboard R & Bのチャートでトップに輝くという快挙を成し遂げました。 歌詞についてはジョニーー・オーティスも主張したので著作権論争が生じたそうです。 ジョニー・オーテイスが見出して一緒に1949年の"Double Crossing Blues"を吹き込んだR&B歌手のEsther Phillips(Little Esther/エスター・フィリップス)はオーティス楽団の地方巡業に参加したそうです。 例のごとくR & B(Rhythm and blues)特有のあけすけな歌詞は書き換えられて再録音されたそうです。 ジョニーー・オーティスは2012年1月に90歳で亡くなりました。
1945年のHarlem Nocturne(ハーレムノクターン)のヒットで有名になったR&Bミュージシャンのジョニー・オーティスは1958年にも"Willie and the Hand Jive"という大ヒットを放って50年代ウェストコーストで活躍した多種の楽器を演奏して歌うバンドリーダーでロックンロールの父とも呼ばれました。
ビッグ・ママ・ソーントンのハウンドドッグが大ヒットしたその後の1956年にエルヴィス・プレスリーがカバーしたロックンロールの「ハウンドドッグ」はそれよりもヒットしてしまったのです。 エルビス以外に秀逸なバージョンというと短命のロックギタリストのJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)がブルース(ブルーズ)調でカバーした他にビッグ・ママ・ソーントン同様にジョニー・オーティス楽団のバックで録音したロックンロールのLittle Richard(リトル・リチャード)が歌いました。
Jimi Hendrix - Hound Dog (1969) - YouTube
Elvis Presley - Hound Dog (1956) - YouTube
Little Richard - Hound Dog (1957) - YouTube
John Lennon with howling Yoko Ono - Hound Dog (1972) - YouTube

OOOOoooow! Aw, get it, get it, get it!
ビッグ・ママの脅威的な唸り声は独特だったのにビッグ・ママ・ソーントンの素晴らしさが広く一般に理解されなかったことは実に残念なことでした。 「ブルースの皇后」と呼ばれたほどの声量を持ったBessie Smith(ベッシー・スミス)や「ブルースの母」と呼ばれたMa Rainey(マー・レイニー)に次ぐかともいわれるパワフルなビッグ・ママ・ソーントンは定めし、淡谷のり子ではないですが「ブルースの女王」かもしれません。 しかし全国的な大ヒットは「ハウンドドッグ」の1曲だけです。 ダイナミックで傑出したシャウトはウエストコーストのブルース界では一目置かれ、屈指の巨体でドラムまで叩き、1960年代にはブルースハープもよく演奏しました。 ビッグ・ママ・ソーントンはメンフィスでの1940年代から1950年代が最盛期でしたが、その後もカリフォルニアに移り活動を続け、ヨーロッパで公演したりと70年代にも活躍していました。
☆Jerry Leiber-Mike Stoller(リーバー=ストーラー)のコンビは1950年代にはElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)やThe Coasters(コースターズ)の多くのヒット曲を書いたソングライター&プロデューサーです。
ソーシャル・ミュージック・プラットフォームのLast.fmのビッグ・ママ・ソーントンのチャートでもハウンドドッグが一番人気で次が1968年のBall And Chainです。 その他の曲はJust Like A Dog、I Smell A Rat、Rock-A-Bye Baby、Stop A-Hoppin' On Me、How Come、They Call Me Big Mama、You Don't Move Meなどですが、Hard Times、Walking Blues、I've Searched The Whole World Over、No Moreなどの哀愁を帯びたスローなバラードも歌っています。
ビッグ・ママ・ソーントンは60年代にはもうヒットチャートに入ることありませんでした。 男勝りのビッグ・ママ・ソーントンでしたが、心臓が悪くなった晩年は見るからにげっそりと痩せこけてかってのふくよかさの影も見られなかったようです。
ブルースハープのLittle Walter(リトル・ウォルター)やブルースギタリストのHound Dog Taylor(ハウンド・ドッグ・テイラー)と組んだこともある"Wang Dang Doodle"のKoko Taylor(ココ・テイラー)が1993年のAlligatorアルバム"Force of Nature"にビッグ・ママ・ソーントンのHound Dog、63 Year Old Mama、Put the Pot On、Spellboundなどをカバーしています。
☆Willie Mae Thorntonとクレジットされているビッグ・ママ・ソーントンが歌う"ハウンドドッグ"がサントラに使用された映画は1992年の「A Few Good Men(ア・フュー・グッドメン)」で、Tom Cruise(トム・クルーズ)が演じるダニエル中尉(主任弁護人)がDemi Moore(デミ・ムーア)が演じるジョアン・ギャロウェイ少佐(特別弁護人)と会話したあと相棒のウェインバーグ中尉に会いにいくシーンで炸裂するような歌声が流れました。

Big Mama Thornton - Hound Dog 78rpm- YouTube
Big Mama Thornton - Rock me (Oregon 1971) - YouTube

Hound Dog: The Peacock Recordings日本ではマイナーだけどビッグなBig Mama ThorntonのCD
☆ページトップの画像はビッグ・ママ・ソーントンのPeacock時代の人気アルバムでHound Dog: The Peacock Recordingsで、Hound Dogはもちろん、Rock-A-Bye BabyやLaugh, Laugh, LaughなどをJohnny Otis Orchestra(ジョニー・オーティス楽団)をバックにパワフルに歌っています。 ちなみに演奏メンバーとしてトランペトがDon Johnson(ドン・ジョンスン)、バリトンサックスがハウンドドッグの遠吠えも担当したFred Ford(フレッド・フォード)、テナーサックスが1949年の「D.O.A. (都会の牙)」に出演したJames Von Streeter(ジェイムズ・フォン・ストリーター)だそうです。(都会の牙のサウンドトラックではなぜかMaxwell Davisに吹き替えられたフォン・ストリーターは惜しくもヘロイン中毒で1960年に亡くなりました)
Big Mama Thornton - Rock-A-Bye Baby on Hound Dog / The Peacock Recordings - Amazon.com (MP3 Download)

Ball N' Chain
Ball N' Chain
Ball N' Chain by Big Mama Thorntonオリジナルは1968年に録音された人気アルバムで1965年から1968年のビッグ・ママ・ソーントンのレコーディングを集めてあります。 代表曲のHound Dogはもちろん、タイトル曲のBall N' Chainをはじめ、Sweet Little AngelやLittle Red Rosterなどのブルージーな曲を収録していますが、Unlucky Girlはエルヴィスに抜かれてまさに運の悪いビッグ・ママ・ソーントン自身を歌ったのかと思ったFBIに尾行された不満のことらしいです。 最初から8曲目までの1965年録音では"Sweet Home Chicago"などで泣けるブルースギターのBuddy Guy(バディ・ガイ)のギターをフィーチャーし、その次の5曲はMuddy Waters Blues Band(マディ・ウォーターズ・ブルース・バンド)と共に吹き込んでいます。

They Call Me Big Mama
They Call Me Big Mama
ハーモニカも演奏したビッグ・ママ・ソーントンがカバー画像に使用されたベスト盤はページトップのアルバム「Hound Dog: The Peacock Recordings」にも収録されている"They Call Me Big Mama"がアルバムのタイトルになっています。 オリジナル発売は1991年というこのCDには"Hound Dog"をはじめ"Rockabye Baby"や"Willie Maes Blues"など23曲が収録されています。
全曲試聴はThey Called Me Big Mama

ビッグ・ママ・ソーントンのその他のアルバムには初期の22曲が収録されたClassicsレーベルの1950-1953、Rolling Stoneが収録されているVanguardレーベルのSassy Mama、SpectrumレーベルのThe Complete Vanguard Recordings (Triple Jewel Case)などがありますが、なんといっても50年代のPeacock(ピーコック)盤が一番だそうです。
「Big Mama the Queen at Monterey 1967」は見つかりませんが、晩年にはMuddy Waters(マディ・ウォーターズ)のGunsmoke Blues Live 1971に出演し、人気のBall And Chainを歌っているそうです。
ガンスモーク・ブルーズ・ライヴ 1971
1971年というとアルバムのカバー画像はロック・ギタリストのTommy Bolin(トミー・ボーリン)ですがビッグ・ママをフィーチャーしたCry Cry me a RiverとSlow Talkin' BluesやMakin' Whoopeeの3曲を収録した殆ど知られていないアルバム「Energy & Big Mama Thornton」もあるそうですが詳細は不明。

Hi Tide Harris
1967年のビッグ・ママ・ソーントンのバンドにはサンフランシスコ出身のドゥーワップからウエストコースト・ブルースマンになったギター名人のHi Tide Harris(ハイ・タイド・ハリス)が参加していたそうです。1975年の映画「Mandingo(マンディンゴ)」や「Isadra(裸足のイサドラ)」の音楽を担当したMaurice Jarre(モーリス・ジャール)に依頼されてMuddy Waters(マディ・ウォーターズ)が歌うテーマ曲の"Born in This Time"を作曲したハイ・タイド・ハリスはセッションに参加したとか。 又、1978年にはB.B. King(B.B.キング )とAlbert king(アルバート・キング)の"Roots of Blues Festival"に参加し、初アルバムの"Celebrating With Hi Tide Harris"を日本でリリースした他、YAMAHAがスポンサーとなった日本初のギター教室を手掛けたというハイ・タイド・ハリスは70年代の日本では大人気だったそうです。

A Johnny Ace Christmas
ビッグ・ママ・ソーントンと同じくR&B歌手で一緒にツアーしていた仲間にバラードが素晴らしいJohnny Ace(ジョニー・エース)がいました。 クリスマスの晩、ヒューストンでの公演の時、楽屋で悪戯半分か賭けか定かではありませんが酔っぱらっていたジョニー・エースは自分でピストルを顔に向けて発射して死んでしまったそうです。 すぐにビッグ・ママ・ソーントンが楽屋から飛び出してきてその現場を見たとか。 近年、ネオ・スウィングの代表格となったSquirrel Nut Zippers(スクイーレル・ナット・ジッパーズ)が1998年のアルバム「Christmas Caravan」(ASIN: B00000AE4A)に"A Johnny Ace Christmas"という曲を収録しています。