ブーリン家の姉妹 The Other Boleyn Girl (2008)

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The Other Boleyn Girl [Original Motion Picture Soundtrack]
The Other Boleyn Girl Soundtrack
Scarlett Johansson, Eric Bana and Natalie Portman
The Other Boleyn Girl (2008)

「ブーリン家の姉妹」の原作は英国の女流作家であるPhilippa Gregory(フィリッパ・グレゴリー)のベストセラー小説で、それをTV界のJustin Chadwick(ジャスティン・チャドウィック)監督が2008年に映画化した16世紀の歴史的ロマンス映画です。 英国で撮影されたそうですが、長丁場がないので退屈はしないかわりに場面の切り替わりが早過ぎて追いついていけません。 映画では頻繁に立場が逆転する姉妹が二人とも美女でどちらが姉でどちらが妹なのか、又は何歳なのかは分かりませんが歴史上でも確かではないのだそうです。 イングランド王ヘンリー8世の妃の座を射止めたしたたかな黒髪のアンの方は才媛ゆえか魔女扱いされホクロや多指症など種々の身体的特徴も取り沙汰されます。 ブーリン家の姉妹のうちアンを熱演するのはNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)で、慎み深い金髪のメアリーは2003年に「Girl with a Pearl Earring(真珠の耳飾りの少女)」で17世紀の女性を演じたScarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン又はスカーレット・ジョハンソン)です。 そしてハンサムで女好きとされる英国王「King Henry the VIII(ヘンリー八世)」を2003年の「Hulk(ハルク)」でブルース・バナー博士役だったEric Bana(エリック・バナ)が演じます。 2001年の「Black Hawk Down(ブラックホーク・ダウン)」での死の恐怖とは無縁に見える二ヒリックな ノーム・'フート'・ フーテン一等軍曹から思うとイメージが合わない気がしてならない。
美人姉妹の母親であるエリザベス・ブーリンを演じているのはヒュー・グラントが主演した1992年の「Bitter Moon(赤い航路)」でフィオナ役を演じたセクシーなイギリス女優のKristin Scott Thomas(クリスティン・スコット・トーマス)で現在48歳ですが母親のメイクで老けて見えます。 2005年のTVコメディ「Swinging」で人気を得て、2010年には「The Social Network(ソーシャル・ネットワーク)」や「The Amazing Spider-Man(アメイジング・スパイダーマン)」シリーズのAndrew Garfield(アンドリュー・ガーフィールド)が王妃の取り巻き貴族の一人のフランシス・ウェストン役でクレジットされています。
映画のタイトルの"The Other Boleyn Girl"とは、ブーリン家(又はブリン家)の姉妹のうちアンは王妃になりましたが、王の愛人となったブーリン家のメアリーを指すと思ったのですが、映画のなかではアンが「私はブーリン家のもう一人の娘」と言っています。

「ブーリン家の姉妹」は英国の史実に基づいて脚色された娯楽作品で、盲目的な家の権力欲に踊らされたブーリン家の二人の姉妹がチューダー王朝二代目のHenry Tudor(ヘンリー八世)の寵愛をめぐる豪華絢爛たるロマンスの物語です。 レンブラントの絵画のような宮廷を背景に、恋と陰謀と背信とが繰り広げられます。
イギリスのBBCテレビと提携したジャスティン・チャドウィック監督の「ブーリン家の姉妹」の冒頭はイギリスの田舎道を戯れる幼い3人の子供たちと一緒に語りながら歩くブーリン夫婦の映像から始まり、ラストもこのシーンで締めくくられます。 但しラストではブーリン家の姉妹のうちメアリー夫妻の家族です。 ちなみにメアリー・ブーリンの子孫には人気のイギリスの政治家だったSir Winston Spencer-Churchill(ウィンストン・チャーチル)、エリザベス2世の生母であるElizabeth Bowes-Lyon(エリザベス王太后)、謎の自動車事故で急逝したウェールズ公チャールズの元妃のDiana, Princess of Wales(ダイアナ妃)、アンドルー王子と結婚したSarah, Duchess of York(セーラ妃)、進化論のCharles Darwin(チャールズ・ダーウィン)などがいるのだとか。


「ブーリン家の姉妹」のあらすじ
この映画はストーリーが歴史本と殆ど同じなので、本記事のあらすじも大分ネタバレとなっています。
私はブーリン家のもう一人の娘
映画の冒頭はアンを先頭にメアリーとジョージの3人の子供たちが無邪気にロッチフォードの野原を駈けているシーンで始まります。 ナレーションで結婚は出世の道具だと信じるトーマス・ブーリン卿が裕福なハワード家から嫁いできた妻のエリザベス・ブーリンに商人の息子とアンとの縁談を断った話をします。
場面は一転、ブーリン家では美人姉妹のうち、早々と妹のメアリーとWilliam Carey(ウィリアム・キャリー)との結婚が決まります。 キャリーを演じるのは「アメイジング・グレイス」でイギリス首相を演じたBenedict Cumberbatch(ベネディクト・カンバーバッチ)です。
成長した次女のメアリーの婚礼シーンで先に嫁ぐメアリーにアンが言います。「私はブーリン家のもう一人の娘」
イングランド王ヘンリー8世の愛人探し
宮廷ではヘンリー8世の妃であるキャサリン・オブ・アラゴンが前回の女児出産の後、今回は待望の男の子をも死産してしまい落胆しています。
エリザベス・ブーリンの兄トーマス・ハワード(ノーフォーク公爵)は姪をイングランド王の愛人に推薦しようと話すとトーマス・ブーリンはアンはどうかと訊ねる。 その一ヶ月後、夫婦仲が冷えきったと噂される中、ヘンリー8世のご一行が王の愛人を求めて成り上がり貴族のブーリン家にやって来ます。 二日の予定で馬を駆って狩りに遠出する王の御供はブーリン家期待の独身のアン・ブーリンでしたが峡谷に逃げた鹿を追うと言ったアンのせいで王は負傷してブーリン家に戻ってきました。
場面は怪我をした王の手当てをする美しくて優しいメアリーの指輪を見て「夫がいるのか?」と訊ねるヘンリー王。 ブーリン家を立つ時に振り返った王が目をやったのは独身のアンではなく人妻のメアリー・キャリーの方にでした。
Snoods
☆動き易いように髪を束ねる髪飾りとして中世(エリザベス朝時代か)にスヌードと呼ばれたヘアーネット(かぶりもの)が流行りましたが、狩りのシーンで髪を束ねたアンが付けていた金色レースのネットと、後半にメアリーが付けていたビーズつきのネットが素敵です。

王の白羽の矢がメアリーに
ヘンリー王が帰ったブーリン家では、父のトーマス卿が「妃の侍女になれ。」という王の言葉をメアリーに伝えるが、「私も夫も宮廷は望んでいません。」とメアリーは拒否するも夫のキャリーにも枢機卿の座が与えられると聞きブーリン家全体のために四面楚歌となる。 嫉妬に近い感情が芽生えた独身のアンにも気兼ねしながらメアリーは仕方無しに母とアンを伴ってキャサリン王妃(スペイン王国および神聖ローマ帝国の支配者カール5世の叔母でもある王妃キャサリン・オブ・アラゴン)のもとへ侍女として赴いたのでした。 王妃に何か特技を披露せよと命じられメアリーが歌ったのは夜鳴き鶯(ナイチンゲール)でした。 王妃が全てお見通しだと告げた次女は野心的なジーン・パーカーで後に弟のジョンの妻となる。 アンが許婚のいるヘンリー・パーシーの気を引いているこのシーンでメアリーと宮廷は嫌だと話しているのは国王につかえる一兵卒のWilliam Stafford(ウィリアム・スタフォード)です。(スタッフォードはメアリーが夫のキャリーの死後に再婚する相手となるそうです)
メアリーとアンが宮廷での華やかな集いを楽しんでいたところ、ヘンリー王が広間に入って来ると、「今宵だ。」とメアリーに耳打ちしたのです。 やはり、王妃の侍女とは名目でメアリーは王の愛人にされたのです。 王は寝物語にメアリーの夫を任務で宮廷から遠ざけると言う。 この後、勝気なアンは婚約者のいる貴族のヘンリー・パーシー卿と内密に結婚してしまったので父の怒りを買い、Duke of Norfolk(ノーフォーク卿、トーマス・ハワード叔父)の命令通りにフランス王妃(ブルゴーニュ公女マルグレーテもしくは王の妹メアリー王女)の侍女になるべくフランスの宮廷に送られることになります。 アンの将来のためにと父親に知らせたメアリーにアンは激怒します。 その後父のトーマス・ブーリンは伯爵に、イギリス俳優でちょいとトム・クルーズとダスティン・ホフマンを足して二で割ったようなJim Sturgess(ジム・スタージェス)が演じる弟のLord Rochford(ロチフォード卿 ジョージ・ブーリン)は子爵に取り立てられ、ジョージの意思に反して父親が王の従兄だという名門のジーン・パーカーとの縁談が決められる。
☆ジム・スタージェスといえば、2008年の「ラスベガスをぶっつぶせ」で手強いミッキー・ローザ教授(ケヴィン・スペイシー)のご指導よろしきを得て数学の理論的なブラックジャック(21)の必勝法(カード・カウンティング)を学びラスベガスのカジノから大金をゲットするボストンのマサチューセッツ工科大学の優秀な学生を演じます。 金持ちの御曹司に化けてトニックとライムで酔ったふりしてカードを読み大金を掴み豪勢な生活を営むようになるが悩みは人に言えないこと。(理由はママに頼らずハーバード医科大進学のための30万ドル) Winner Winner Chicken Dinner!

イニシャルはB
時を経て王の世継ぎを懐妊か、メアリーの出産準備が始まりますが切迫流産の恐れ有りとまるで牢獄のような暗い部屋に隔離されます。 窮した父の提案で代わりにアンが呼び戻され、たった2ヶ月とはいえどもフランス帰りで洗練されたアンを見た目新しいもの好きなヘンリー王は歓迎の意を表明します。 この時、アンが着ていたのは鮮やかな緑色のドレスでしたが、1945年の「The Wicked Lady(妖婦)」で従姉妹の許嫁を二人も奪おうと企んだ邪悪なバーバラが着ていたように緑色の服は男を惑わす女が着る色のようです。 「ずいぶん変わったな、アン。再び宮廷にようこそ。」 アンは宮廷で華やかな生活を送りますが、フランスから戻った頃から身に付けたのがブーリン家のイニシャルの「B」をデザインしたペンダント(チャーム)付き首輪(チョーカー)でした。 史実によるといくつかの肉体的な欠陥があったアンは欠点を見せないように服装にも工夫を凝らしていましたが、一説によるとチョーカーは首の大きなホクロを隠すためだったそうです。

ヘンリーのプレゼント攻勢
出産を控えたメアリーには興味が失せたヘンリー王は今度は華麗なるアンにご執心となります。 アンのもとへ王から届けられた豪華な宝石の贈り物、その美しさに息を呑むアンでしたが、即座に送り返せと国王付きの使者のウィリアム・スタッフォードに指示します。 このような扱いを受けたことなど無い王は怒るも、さらに気を惹かれたようです。 ところが2度に渡るプレゼントの返却に激怒した王はアンのいるブーリン家の屋敷までやって来て、アンの部屋を訪れるも例のごとくアンのつれない素振り。 ヘンリーを愛しているわけでもないアンにとっては一世一代の大きな賭けなのです。 ただの愛人なんて真っ平ご免、私は王妃になるのよと結婚を迫ります。

アンの勝利
産みの苦しみに呻き声をあげるメアリーに頓着なく別室でアンを口説くヘンリー王、「妃を欺き、次はメアリー、どうして貴方を信じることができましょう。」とアンが焦らしているところに産婆が「男の子ですよ。」と告げに来る。 それを聞いたアンはせっかく上手くいきそうだったのにと焦り、とうとうヘンリーの申し出を承諾したのでした。 「希望をあげましょう。」
王が生まれた赤児を手にもせずに去った後、勝ち誇った顔でメアリーに目をやるアンに「ヘンリー王にはキャサリン妃がいるからアンは反逆罪になるのよ。」と諭すメアリーを子供(愛人の子だから私生児)ともども田舎(故郷のロッチフォード)にやってしまおうするアンでした。

離婚のためにバチカンと決別
妃との間に男児が授からないヘンリー八世は何とか離婚してアンと再婚するための宗教改革を目論みます。
"Queen or Nothing"と正式な結婚を迫るアンに「キャサリン妃はカトリックだからそれはできない。」というヘンリー王でしたが、宮廷では「なんとか妃と離婚する方法を考えろ!」と命じたのです。 王妃を修道院に追いやった王はアンに詰め寄りますが、「このまま子供が出来たら私生児です。王妃との結婚を解消すれば私と再婚できます。」とアンはまだ王の征服を拒みます。 そんな重大な駆け引きを演じている折、アンがかって内密に結婚したヘンリー・パーシーの妻がこれをもって離婚を王に誓願したと父親が血相を変えてやって来た。 カトリックゆえ離婚できないキャサリン妃に対し世継ぎを儲けなかったとして結婚の正当性を問う裁判の日が来ました。 アンとメアリーを王をたぶらかすブーリン娼婦姉妹と蔑んだ王妃は、この裁きはローマ教皇に委ねるべきと言い捨て、アンに向かって「そなたこそが魔女裁判にかけられるべきだ。」と怒りをぶつけます。 女をものにするために法王と袂を分かつなんて無謀でございます、陛下。王らしくあらせよ。 アンの王妃になりたいという野望は英国と法王が分離しヘンリーがイギリス国教会を成立させるという一国を傾ける大事件となりました。(これ、まさに傾城) 英国はヨーロッパ各国から孤立するであろうと案じたヘンリー王は怒りに燃え「お前のお陰でめちゃめちゃだ!」と野獣と化してアンを襲いとうとう思いを遂げたのです。 そしてアンも長年抱いていた思いを遂げました。 なにはともあれ、とうとう王妃の冠を頭上に載せたQueen Anne Boleyn(アン王妃)となったのですが民はアンを魔女と呼びました。

アンの処刑
国王に仕えていたウィリアム・スタッフォードが宮廷を去る前に、元愛人とはいえどもヘンリー王を愛していたメアリーを訪ね、養うに充分な資産は残っているからと結婚を申し出たのですがメアリーは家族が許さないからと返答します。
一方、世継ぎを産む筈だったアンは女児を出産しエリザベス・オブ・ヨーク(王の母親)の名を取ってエリザベスと名付けたのでした。 冷やかに「次には男の子を産め。」と言い残して立ち去った王は次にアン・ブーリンの侍女だったのジェーン・シーモアに移ります。(ジェーン・シーモアは、アン・ブーリンの後にヘンリーが結婚した3番目の王妃でヘンリー王待望の世継ぎとなったエドワード6世の生母) 男児を産まねば御用済みになると必死のアンは屈辱的な努力をもいとわず二度目の懐妊します。 これ如何でブーリン家の将来が決まるとトーマス・ハワード叔父、次が女児もしくは死産であれば一族は全員失脚だと。 期せずして流産(早産)してしまったアンは魔女として火あぶりにされると恐れ、王に知られずに必死で世継ぎを身篭ろうとして弟のジョージ・ブーリンに懇願します。 アンと密通したとも云われた使用人(宮廷楽師)のMark Smeaton(マーク・スミートン)と関係のあった説があるジョージ・ブーリンは必死に拒んだものの、これ立ち聞きしていた手付かずのジョージの妻(宮廷侍女)レディ・ロッチフォードがヘンリー王に報告したからスワ一大事!になるのです。(実際はアンもジョージも大罪を犯すことはできなかった) メアリーは荷物をロッチフォードへ送り自分も馬を駆って宮廷を去ります。
王はアンに向かって「お前は魔女だ。」と罵り、兄のジョージも捕らわれてしまうのです。 こうして結婚3年目にしてアンは不貞と近親相姦で告発され、国家反逆罪と神への冒涜の罪で裁判にかけられることになります。 強気のアンが「私を裁いても、陛下、お忘れなきよう。貴方は神に裁かれますよ。」と脅してみても、何と言おうと判決は「有罪」、「有罪」、「有罪」、トーマス・ハワード叔父までも「有罪!」
自分の命を顧みず、メアリーはロッチフォードから馬を走らせ宮廷に入り王に姉の命乞いをします。 ヘンリー王は命乞いに来たメアリーには分身の命を保証すると約束したがそれは命がけで宮廷にやって来たメアリー自身のことでした。 ロンドン塔における反逆者としての処刑の日、兄のジョージは死刑執行人の手斧で断頭。 首にかけたイニシャルのBも外したアンの処刑には苦痛の少ないサーベルが使用されたのでした。

メアリーの幸せ
アンの処刑を見届けた後、メアリーはアンとの約束を果たすべく城内に入りアンの子供(エリザベス)を抱くと宮廷を立ち去りロッチフォードにやってきたウィリアム・スタッフォードと結婚して幸せに暮らしました。
冒頭と同じくイギリスの田舎道を戯れる幼い3人の子供たちと一緒に語りながら歩くメアリー夫婦の映像でこの映画は締めくくられます。(このシーンでは3人のうち一人はアンの子供で後のエリザベス1世)
面目を失った哀れなブーリン家のトーマスはアンの処刑の2年後に死亡、ノーフォーク侯爵となったトーマス・ハワード叔父は投獄されたうえに三代に渡る子孫は反逆罪により処刑されたそうです。 カトリック(バチカン)と断絶をするという王の決議は永遠に英国の立場を変えてしまいましたが、ヘンリーの英国を強力な後継者無しの状態にしておくことの懸念は根拠の無いものと判明しました。 なぜなら王は45年間もの間、英国を治めた立派な世継ぎを残したのです。 それは王があれほど望んでいた男児ではなく、アン・ブーリンが産んだ赤毛の女の子、その名はエリザベス。 名誉革命(The Glorious Revolution)後はでカトリックからプロテスタントに勢力が移ったため、カトリックだったチューダー王朝最後の女王、Elizabeth I(エリザベス一世)でした。

ブーリン家の姉妹の歴史的考察
類似した映画にはRichard Burton(リチャード・バートン)がヘンリー8世でGeneviève Bujold(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)がアン・ブーリンを演じた1969年の「Anne of the Thousand Days(1000日のアン)」やCate Blanchett(ケイト・ブランシェット)が主演した1998年の「Elizabeth(エリザベス)」にもヘンリー王とアン・ブーリンの関係が描かれています。
「ブーリン家の姉妹」ではヘンリー王は好色とは設定されていないので、英国の王室を守るための世継ぎが目的だったのかもしれません。 ブーリン姉妹の母親もかっては王の愛人だったとかいわれていますが、ブーリン家の姉妹を両天秤にかけた悪趣味な王や、立身出世及び領地拡大のために政略結婚はおろか、娘や妻でさえ牛馬のごとく王に捧げる"家"の体質が、姉妹の確執を生ませ不幸な運命をもたらしたといえます。 アンが処刑された理由に不倫があげられますが、これとてお世継ぎを儲けようとしたためかもしれません。 歴史的にはチューダー王朝のヘンリー8世の愛人たちの中では後のエリザベス女王の母としてアン・ブーリンが有名です。 冴えない容姿のアン・ブーリンが美貌のメアリーに嫉妬する説がありますが、どちらが姉か妹かは断定できないそうです。 ブーリン家は名家というわけでもないせいか、曖昧な点が多く、メアリーは1520年に結婚していた説もあれば1528年死別説もあるのだそうです。 洗練された話上手のアンがすでにヘンリー8世の愛人となっていたのに、ヘンリー8世が人妻のメアリーに目を付けてヘンリー似の子供が産まれているのだとか。 もちろん正式ではないので認知はせず、これをもみ消すかのようにヘンリー8世は亡き兄アーサーの妃だったキャサリン王妃と離婚してもアンとの結婚を考えていたそうですが、このために強行したローマ法王との断絶は大いなる不幸をもたらしたのでした。 史実ではメアリーは平民と再婚して王や妃などから猛烈な反対を受けて宮廷から追い出されますが、恋人と別れて王妃となったものの反逆者として斬首処刑されたアンとは違って幸せな別の人生を歩むことが出来たのです。 ちなみにヘンリー8世は反逆罪とか不倫とか名目をつけてはたびたび妃を処刑したらしいです。 平均余命の短かった中世では政略結婚などは珍しくなく、12歳で嫁がせ14歳で子供を産むなんてことはざらにあった話だそうです。
☆チューダー王朝については英国歴史散歩 薔薇の王国

Sony Picturesにあった「ブーリン家の姉妹」のオフィシャルサイトは現在は消滅しています。
アメリカでは2008年の2月に公開されていますが、日本では同年10月公開です。

The Other Boleyn Girl DVD & Blu-ray
日本語字幕DVDとBlu-ray(ブルーレイ)は2009年4月に発売です。
Other Boleyn Girl DVD ブーリン家の姉妹 [DVD]
ブーリン家の姉妹 [Blu-ray]

The Other Boleyn Girl Soundtrack
ページトップの画像は2009年に発売された輸入盤の「ブーリン家の姉妹」のサウンドトラックで、国内盤は「オリジナル・サウンドトラック『ブーリン家の姉妹』」(ASIN: B001D7RN36)ですが共に試聴はありません。
音楽はPaul Cantelon(ポール・カンテロン)ですが、侍女として宮廷に赴いたメアリー・ブーリンがキャサリン王妃の要請で歌った"Westron Wynde"は収録されていません。 ポール・カンテロンは1965年生まれのカルフォルニア出身のクラシック系の作曲者でバイオリンやピアノを演奏するそうです。
Opening TitlesからFinaleまでのストーリーを追った全27曲の試聴はThe Other Boleyn Girl [Original Score] -CD Universe


The Other Boleyn Girl (Book)
The Other Boleyn Girl Book映画とタイアップしたフィリッパ・グレゴリー著の英語版ペーパーバックは中身が覗けます。 この他に映画の公開に合わせた「The Other Boleyn Girl (Boleyn) (マスマーケット ISBN-10: 1439166013)」なども発売になりました。 原作者である1954年生まれのフィリッパ・グレゴリーは18世紀文学を専攻したケニヤ出身の女流英国歴史小説家で特に16世紀のTudor(チューダー)王朝と18世紀の史実に興味を持っていたそうです。 児童文学も手掛けるフィリッパ・グレゴリーの作品はたくさんドラマ化されていますが2002年に出版された"The Other Boleyn Girl"は2003年にイギリスのBBCテレビでドラマが放映されたそうです。
英語版書籍でフィリッパ・グレゴリー著のチューダー朝時代の歴史フィクションにはペーパーバックの「The Boleyn Inheritance」(9780007190331)もありますが、日本語の書籍では集英社文庫本の「愛憎の王冠 (上) ブーリン家の姉妹2」(4087605876)と「愛憎の王冠 (下) 」(4087605884)があります。


Black Swan 2010
☆1994年に「Leon(レオン)」でデビューしたナタリー・ポートマンは2004年に「Closer(クローサー)」、2007年に「Mr. Magorium's Wonder Emporium(マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋)」など多くの映画に出演し、ストリッパーからピアニストまで幅広く演じています。 話題なのは2010年にはバレリーナのライバル争いが恐怖を呼ぶ「ブラック・スワン」でナタリーは2004年の「クローサー」ではお預けとなったアカデミーの助演女優賞なんか目じゃない主演女優賞を獲得しました。 なんとこの「ブラック・スワン」でデヴィット役で出演したフランス人のバレー振り付け師のBenjamin Millepied(バンジャマン・ミルピエ)と婚約し2011年には子供が生まれるそうです。 Darren Aronofsky(ダーレン・アロノフスキー)が監督したサイコ・スリラー「ブラックスワン」にはトマ・ルロイ舞台監督(演出家)を演じるフランス俳優のVincent Cassel)(ヴァンサン・カッセル)の他に、背中に黒い羽の刺青をしたリリーを演じるMila Kunis(ミラ・クニス)やニナの憧れのプリマだったベスを演じるWinona Ryder(ウィノナ・ライダー)などが出演しています。 そして「キルビル」のDavid Carradine(デヴィッド・キャラダイン)との間に子供がいたというヒッピー・イコンだったBarbara Hershey(バーバラ・ハーシー)がニナの母親役です 「レオン」のマチルダから16年、1999年の「STAR WARS(スター・ウォーズ)」シリーズでのアミダラ王女を経て、演技力にも磨きがかかって素晴らしい女優となったナタリーは真面目で抑圧されたバレリーナのニナを演じます。 もう12歳じゃない!
白鳥の湖の四羽の白鳥、大きな白鳥に小さな白鳥、そしてニナにとっては清楚な白鳥と邪悪な黒鳥を演じ分ける難しさ、稽古の帰り道に地下道ですれ違った自分そっくりの黒衣の女(邪悪な分身?)の出現から観ている私はもう始まっていると確信する。 主役を欲しくてベロニカに決まったというトーマ監督に直談判、ベスから盗んだ真っ赤な口紅をつけて誘惑する気か。 ダメだと思ったら白鳥の女王役ははニナに決定した。 バレーの新作発表パーティでトマ監督が最初に紹介したのはじきに引退するというベス、続いて公演で白鳥を踊る主演のニナを盛り上げる。 トマは踊りに必須の情熱もニナに手ほどきするのです。 引退と言われたベスが会場から飛び出して事故に合い入院する頃から激しくなるニナの現実と幻覚(妄想)。
稽古でトマに情熱不足を指摘されたニナ自宅に戻って風呂潜り目を開けると別のニナが見えて血の滴りが。激しいパ・ド・ドゥの練習の後、リリーと遊びに行きクスリをやって男遊びもした翌朝、寝坊して稽古に遅れると代役のリリーが黒鳥を踊っていた。 この辺りでニナの顔つきが変化した。 ニナの黒鳥の踊りはトマにOKサインを貰う。(君は開花した) 洗面所で背中から刺がたくさん出ているのを見つけ一本を引っこ抜くと黒い羽だった。 この時ニナの目は赤。 ママが「具合が悪いと電話したから大丈夫、寝ていなさい。」と言うのを振り切ってニナは劇場に向かう。 控え室で黒鳥を踊ると言うリリーを殺してすっかり悪魔となったニナが黒鳥を踊る。 腕からは羽が生えてきて黒い翼となる。 控え室で自分の脇腹に鏡の破片が刺さっているのを観たニナ。 そして舞台のラスト、飛び降り自殺を遂げる白い白鳥を踊るニナの目には溢れる涙、観客の中のママも涙。 バレーの山場である最期のシーンが終わり、至福の笑みを浮かべて倒れているニナにトマが駆け寄り「我が姫君」と絶賛するがニナの腹部の血に気がつき救急車を要請。しかしニナは「感じた、完璧だった。」と満足の笑みを浮かべる。 呪縛から逃れるには、死んで自由を得る。 過干渉の母親からも解放されて。 トウシューズを履いてレッスン中のニナが生爪を剥がしたり背中に鳥の羽が刺さっていたりと痛い痛いホラー映画です。

Scarlett Johansson
☆スカーレット・ヨハンソンはこの後、Woody Allen(ウディ・アレン)が監督する2008年の「Vicky Cristina Barcelona(それでも恋するバルセロナ)」に続いて2009年の「He's Just Not That Into You(そんな彼なら捨てちゃえば?)」のプレミアでは黒髪でお目見え、その後はホラー映画の「The Sirit(ザ・スピリット)」に出演します。

Audio-Visual Trivia 内のスカーレット・ヨハンソンが出演した映画
2008年のIron Man 2(アイアンマン 2)
2006年のThe Black Dahlia(ブラック・ダリア)
2004年のIn Good Company(イン・グッド・カンパニー)
2004年のA Love Song for Bobby Long(ママの遺したラヴソング)
声優として2004年のアニメのThe SpongeBob SquarePants Movie(スポンジ・ボブ/スクエアパンツ)