エロール・ガーナー Erroll Garner

Erroll Garner (1921 – 1977)
160cmに満たない小さな身体のエロル・ルイ・ガーナーはペンシルバニア出身の左利きのジャズ・ピアニストです。 独学でピアノをマスターしたエロール・ガーナーはジャズ・ピアノの先駆者と呼ばれましたが、作曲をするにも関わらず楽譜は読めなかったので耳から学んだそうです。 1947年にニューヨークで伝説のビバップ・アルトサックス奏者のCharlie Parker(チャーリー・パーカー)と共演し、1949年には低音(バリトン)が魅力のジャズ歌手のJohnny Hartman(ジョニー・ハートマン)と共演しています。 日本のモダンジャズ愛好家にはさほど人気ではないそうですが、私はエロール・ガーナーが演奏する美しい旋律の”MISTY”に魅せられた一人です。 オリジナルが1957年で”Misty”のB面が”Dreamy”という7″(インチ)45 RPM(回転)Single(シングル)レコードが1957年にコロンビアからリリースされ、1970年にコロンビア(Columbia Hall Of Fame)がリリースしたEPシングル(7インチ 45RPM ドーナツ盤)の”Misty”にもB面には同じく美しい旋律の”Dreamy”が収録されました。 ちなみ1979年にフランスのCBSからリリースされたLP盤のアルバム「Dreamy」(ASIN: B003AKV0WY)には”Misty”が収録されていません。

Misty
ミスティはエロール・ガーナーが作曲した名曲で1954年のエロール・ガーナー・トリオの演奏がオリジナルです。 シカゴで録音した時のトリオのメンバーはピアノがエロール・ガーナー、ベースがWyatt Ruther、ドラムがEugene “Fats” Heard、特別にコンガのCandido Camero(キャンディード・キャメロ)をフィーチャーしています。 7-11 Jump、Part-time Blues、I Wanna Be a Rug Cutterなど自作の3曲を含み全14曲を収録した54年リリースのLPは廃盤でしょう。 レコードは下記の笑顔のエロール・ガーナーがモノトーンのジャケットに使用されていました。 ほんの一瞬、「あれっ、レコードが壊れた?」と思うほどのエロール・ガーナー特有のこのちょっと遅れたテンポ(behind the beat)が、これまた魅惑なのです。 この一瞬の間は、もしかして、セッションに参加するために乗った飛行機の中で浮かんだ曲(Misty)をスタジオでさっそく弾いてみて即レコーディングしたからでしょうか。(まさにワンテイクだったとか) 音楽のことはわかりませんが、この変拍子的な間がドキドっとさせる魅力なのです。 その後、作詞家のJohnny Burke(ジョニー・バーク)が歌詞を付けて1959年にポップス歌手のJohnny Mathis(ジョニー・マティス)の歌で大ヒットとなりました。
Erroll Garner plays Misty (Ed Sullivan Show, 1961)- YouTube
Erroll Garner plays Misty (LIVE in 1963)- YouTube
Johnny Mathis – Misty (1959)- YouTube

Erroll Garner Plays Misty
Erroll Garner
こんな笑顔で、エロール・ガーナーの左手が、ピアノに魔法をかけます。

Listen“ミスティ”以外の1944年の”Gliss In The Dark”や”Blues I Can’t Forget “から1954年の”Misty”までエロール・ガーナーのピアノ演奏が聴ける! Skylark、Star Dust、 All Of Me、She’s Funny That Way、Love Me Or Leave Meなどのスタンダードの他、レアな曲がたくさん!
Erroll Garner – Jazz On Line(Erroll Garnerで検索、曲名をクリックすると無料)
♪ Erroll Garner – Misty (Jazz Piano History)
Erroll Garner – Misty (1969) – YouTube

Erroll Garner CD
ページトップの画像は2001年に発売されたエロール・ガーナーのアルバム”Misty”でオリジナルは1962年だそうです。 試聴は見つかりませんが全20曲の曲目のリストはMisty by Erroll Garner – Cy Pfannenstein Music Service

エロール・ガーナーの輸入盤CD ”The Original Misty Erroll Garner” (人気なので時々品切れ) アルバムタイトルの”オリジナル”とはレコードから最初にCDにリマスターされたという意味らしいです。
Misty by Erroll GarnerThe Original Misty
試聴はThe Original Misty – CD Universe (Windows Media Playerの方はhttp://music.barnesandnoble.com/The-Original-Misty/Erroll-Garner/e/42283491021)
☆国内盤の「ミスティ」はErroll Garner Plays Misty

Concert By The Sea
オリジナルは1955年というエロール・ガーナーの初ライブアルバム「コンサート・バイ・ザ・シー」は1962年のアルバム「One World Concert」と共に名盤と呼ばれています。  Erroll’s Theme以外にはI’ll Remember April、Teach Me Tonight、April in Parisなどのスタンダード9曲を収録しています。(カバー画像で岩の上に両手を広げて立っているのはエロール・ガーナーじゃなく女性ですが)
試聴はConcert by the Sea [Live] – Amazon.com

“Memories of You”が収録されている1945年のアルバム「Jazz ‘Round Midnight」も素晴らしい!
試聴はJazz ‘Round Midnight: Erroll Garner – Amazon.com

☆上記のアルバムの他にはピアノで聴かせるスタンダード曲集の「1946-1947」(ASIN: B000009QN7)や「1947-1949」(ASIN: B00004U43K)に収録されている”Lover Man”も素敵です。
☆エロール・ガーナーの人気の1955年Carmelライヴ盤は「Concert By The Sea」で、”Teach Me Tonight(今夜教えて)”や”April in Paris(パリの四月)”のようなバラードや素晴らしい”Autumn Leaves(枯葉)”などが収録されています。
ちなみにページトップでリンクしてある”My Lonely Heart “はMP3アルバムの「Essential Jazz Masters ’56)」に収録されていますが、2010年の2枚組人気CD「Most Happy Piano: The 1956 Studio Sessions」(ASIN: B003M987T2)にも収録されています。

Erroll Garner DVD
依然として人気!エロール・ガーナーの1964年のピアノトリオの演奏を録画したモノクロDVDです。
In Performance DVDIn Performance
Songs: Just One of Those Things, Dreamy, What Is This Thing Called Love, Spring Is Here/It Might as Well Be Spring, Lover, Laura, Sonny Boy, Erroll’s Theme, Honeysuckle Rose, No More Shadows, Mambo Erroll, Penthouse Serenade, Jeannine (I Dream of Lilac Time), On the Street Where You Live/I Could Have Danced All Night, All Yours, The Lady Is a Tramp, Erroll’s Themeなどを収録(ボーナストラックのMistyは映像なし)

Sarah Vaughan sings Misty
エロール・ガーナーのミスティに歌詞がつけられ、Sarah Vaughan(サラ・ボーン又はサラ・ヴォーン)で大ヒットしました。
ミスティ
私を見て
木の上で困っている子猫のようなの
それに雲につかまってるみたいよ
どうしてかわからない
感傷的になるの
ただ貴方の手を握っていると
サラ・ボーンが歌ったミスティの原語歌詞はMisty – International Lyrics Playground

クインシー・ジョーンズの編曲及び指揮のオーケストラをバックにサラ・ヴォーンが感傷的かつロマンティックに「ミスティ」を歌います。
Misty - Sarah Vaughan and Quincy JonesMisty
☆サラ・ボーンについてはAudio-Visual Trivia内のSarah Vaughan(サラ・ボーン)

エロール・ガーナーが作曲した美しい曲”ミスティー”はピアニストのOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)やDuke Ellington(デューク・エリントン)などの他新しいところではBeegie Adair(ビージー・アデール)が演奏しています。 テナーサックスではStan Getz(スタン・ゲッツ)、Dexter Gordon(デクスター・ゴードン)、Ben Webster(ベン・ウェブスター)、Arnett Cobb(アーネット・コブ)などが、そして後期のChet Baker(チェット・ベイカー)がトランペットで演奏しています。

Play Misty For Me
ジャズの大ファンであるクリント・イーストウッドが初監督して主演した映画「Play Misty For Me(恐怖のメロディ)」ではエロール・ガーナーのミスティがテーマ曲として使用されています。
Audio-Visual Trivia内の「クリント・イーストウッド