キング・カーティス King Curtis

Blues Jazz: all the way
テキサス・テナーのIllinois Jacquet(イリノイ・ジャケー)などに影響を受け、60年代に活躍したR & B(ソウル)のテナー・サックス奏者のKing Curtis(キング・カーティス又はカーチス)は、初期のLionel Hampton(ライオネル・ハンプトン)楽団のメンバーでもあり、テナー・サキソフォンの他、アルトやソプラノも演奏し、歌まで歌ってしまいます。 1950年代後期から1960年代にニューヨークを拠点にソロ活動とセッションを行い、The Coasters(コースターズ)の初期のヒットに貢献しました。 その他にAretha Franklin(アレサ・フランクリン)、Sam Cooke(サム・クック)、Wilson Pickett(ウィルソン・ピケット)、Solomon Burke(ソロモン・バーク)、Bobby Darin(ボビー・ダーリン)やBuddy Holly(バディ・ホリー)、ジャズ・フルートのHerbie Mann(ハービー・マン)などの他に、全く異質とも思えるポピュラー界のAndy Williams(アンディ・ウィリアムス)などのミュージシャンとも共演しています。
King Curtis & The Noble Knights
ソウル・テナーのキング・カーティスが吹き込みをしたレコード会社は色々ですが、1962年にKing Curtis And The Noble KnightsのSoul TwistがR & Bシングルのナンバーワンヒットになり、1964年にはキング・カーティスが2009年に亡くなったソングライターのLuther Dixon(ルーサー・ディクソン)と共に作曲したファンキーなインスト・ソロで”Soul Serenade”の大ヒットを放ちました。(音楽プロデューサーでもあるルーサー・ディクソンはThe Shirelles(シュレルズ)など50年代や60年代のヒット曲をたくさん書いています)
king Curtis & The Noble knights – Beach Party – YouTube

King Curtis And The Kingpins
ソウル・シンガーのAretha Franklin(アレサ・フランクリン)の専属バンドとなるThe Kingpins(キングピンズ)を結成し、それをバックにAtco Recordsでも活動を続け1967年に大ヒット曲の”Memphis Soul Stew”をリリースしました。 ギターはMiles Davis(マイルス・デイヴィス)と”Red China Blue”で共演しているテレキャスターのCornell Dupree( コーネル・デュプリー)が1962年代初期から参加しています。 コカコーラのCMにも使用されて、まさにキングピンズは60年代のソウル・シーンには不可欠なバンドでしたが、メンバーは需要に応じて次々と代わりました。(コーネル・デュプリーは肺気腫により68歳で2011年5月死去) 2011年といえばBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)と40年近くも活動したソウルフルなロック・テナーサックス奏者のClarence Clemons(クラレンス・クレモンズ)が6月に69歳で亡くなりました。
その後1971年にビートルズのJohn Lennon(ジョン・レノン)のアルバム「Imagine(イマジン)」にも参加し、ゲストミュージシャンを招いてアルバム 「Instant Groove」や「Live At Fillmore West」などを製作しています。 ボーナストラックを含む14曲収録の「Live At Fillmore West」にはGeorge Harrison(ジョージ・ハリスン)がハモンド奏者でもあるソウルのBilly Preston(ビリー・プレストン)に贈った”My Sweet Lord”が収録されています。
♪ Billy Preston – My sweet Lord -Live 1971 -YouTube
1971年に暴徒に襲われて死亡するまでたった10年ほどの短い最盛期でしたが、David Sanborn(デビッド・サンボーン)などがキング・カーティスの後継者を名乗るほど人気のR & Bとジャズのサキソフォン奏者でした。
※キング・カーティスの日本グラモフォンのアルバム「君だけに愛を」の情報が載っていた「インスタント・グルーヴ / キングカーティスの部屋」ではキング・カーティスのスワンプ・ロックについて書かれている他、1954年のアルバム「The Kid and the Brute」でイリノイ・ジャケーが演奏している幻の”Blue Nocturne”にもふれていたのにサイトがアクセスできなくなて残念です。

King Curtis & The Kingpins – Memphis Soul Stew – Live in 1971- YouTube
King Curtis & The Kingpins – Soul Serenade – YouTube
King Curtis – Soul Twist – YouTube

Listen☆キング・カーティスの”Soul Twist”が聴けるwfmuラジオのプレイリストPlaylist for Marc Grobman – November 17, 2002 (Listen to this show: RealAudioをクリックしてクリップ・ポジション(再生バー)を01:30に移動するとDJのGBMですが選曲がナイス!)

The Best of King Curtis
☆ページトップの画像はキングカーティスの代表曲のNight Train、Soul Twist、Hung OverからCapitolレコードでのヒット曲のSoul Serenadeなどやキング・カーティスがカバーしたHorace Silver(ホレス・シルヴァー)の”Sister Sadie”や、R&BのThe Cloversが初めてテナーサックス・ソロをフィーチャーしたという”One Mint Julep”などの名曲を収録した人気アルバム「The Best of King Curtis」で60年代初期のキャピトルでの1962年から1965年にライヴ録音した曲を集めたオリジナルが1968年のCDです。 ”A Change Is Gonna Come”は一緒に活動したことがあるサム・クックの差別に抗議する意味を含んだ曲です。 演奏メンバーはキング・カーティスの他、ギターがBilly Butler(ビリー・バトラー)とCornell Dupree(コーネル・デュプリー)でドラムがRay Lucas(レイ・ルーカス)ですが、”One Mint Julep”での掛け声はカーティス本人でしょうか。
全曲試聴はThe Best of King Curtis – Amazon.com

Live at Fillmore West
キングカーチスが亡くなる前の貴重なアルバム
長いこと廃盤だった1971年の名演「フィルモアライブ」が、アトランティック・レコード設立記念で再CD化された「ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト」 まるでワウワウギターのような”Mr. Bojangles”や”A Whiter Shade of Pale(青い影)”のカバーも素敵!
Live at Fillmore West-King CurtisLive at Fillmore West
1971年のアルバムの全曲試聴はLive at Fillmore West – AllMusic.com
King Curtis – A Whiter Shade of Pale – YouTube
King Curtis – A Whiter Shade of Pale (Live at Fillmore West) – YouTube

The Fillmore
Fillmore Auditoriumとは1960年代中頃(1966年)から歴史的に重要なサイケデリック音楽の祭典が開催されたサンフランシスコの場所でFillmore Eastにあったそうです。 1968年にはFillmore Westに移転しましたが、70年代のサイケデリック・ロック・レジェンドのJefferson Airplane(ジェファーソン・エアプレイン)、The Doors(ザ・ドアーズ)やJanis Joplin(ジャニス・ジョプリン)などもフィルモア・コンサートに参加したそうです。 60年代後半から70年代初め当時、無料で参加者に配布されたサイケなフィルモア・コンサートのポスターは主にRick Griffin(リック・グリフィン)の手になる緻密なイラストでした。

Blow Man, Blow!
テナー・サックスのスタンダード「ハーレム・ノクターン」が収録されているCapitol時代の1962年から1965年のKing Curtis初期の演奏をかき集めたアルバムBlow Man, Blow! はMoon River(ムーン・リヴァー)からボサノヴァや「Sukiyaki(上を向いて歩こう)」まで入ったバラエティに富んだ曲目の数々で、オリジナル盤が1962年で、1994年にリリースされた70曲からなる豪華CD3枚組み[Box set] お値段も豪華!
King Curtis - Blow Man, Blow!Blow Man, Blow!
「Blow Man, Blow! The Capitol Years 1962-1965 」の試聴はBlow Man, Blow! – CD Universe(ハーレム・ノクターンはDisc 2の17番、Melancholy Serenadeは21番、Friskyはキング・カーティスのオリジナル、ギターはCornell Dupree)
※Allen Toussaint(アレン・トゥーサン)が作曲したJava(ジャワの夜は更けて)はニューオリンズ出身のジャズ・トランペッターのAl Hirt(アル・ハート)の演奏で1964年にヒットしていますが、キング・カーティスも「Blow Man, Blow!」で吹いています。
☆キング・カーティスが演奏するまさにメランコリーな”Melancholy Serenade”はビッグバンドリーダーとしてレコーディングもしたJackie Gleason(ジャッキー・グリーソン)がTV番組の「The Jackie Gleason Show」のテーマ曲として1952年頃に作曲したそうです。 番組やバンドのテーマ曲というよりはノワール映画のオープニングにありそうな曲です。 ジャッキー・グリーソンは俳優として1961年の「The Hustler(ハスラー)」でPaul Newman(ポール・ニューマン)と勝負するミネソタ・ファッツを演じてアカデミーの助演男優賞を受賞しています。
King Curtis – Melancholy Serenade – YouTube

Blue Nocturneが収録されているアルバムはSoul GrooveDidn’t He Playです。
Soul GrooveSoul Groove
試聴はSoul Groove – CD Universe

Instant Groove (ATLANTIC R&B BEST COLLECTION 1000)
1969年にリリースされたLP盤をデジタル・リマスタリングして日本で2012年にWarner Bros.(ワーナーミュージック・ジャパン)レーベルからリリースされた限定盤はアルバムタイトル曲である”Instant Groove”をはじめ全12曲が試聴が出来る「インスタント・グルーヴ」(ASIN: B008PVD9CM)
King Curtis – Instant Groove (1969) – YouTube

Night Train
Duke Ellington(デューク・エリントン)楽団のメンバーだったテナーサックス奏者のJimmy Forrest(ジミー・フォレスト)が1951年に吹き込んだブルースのスタンダード曲の”Night Train”はR&Bラジオ番組のテーマ曲だったそうで、特徴のあるイントロで知られています。 そしてこの曲のオリジナルはデューク・エリントン楽団が演奏した1946年の”Happy Go Lucky Loca (Deep South Suite)”やアルトサックス奏者のJohnny Hodges(ジョニー・ホッジス)が演奏した”That’s the Blues, Old Man”だと云われます。
キング・カーティスのアルバム「Night Train」ではNight TrainやHarlem Nocturneの他、ソフトでないホットな”Soft”など全22曲が収録されているアルバムではキング・カーティス独特のアレンジのはじけた”Fever”が収録されています。
Night Train - King CurtisNight Train


Soul Battle
テナーサックス奏者のジミー・フォレストを敬愛すると言われる「ヒロヤス」さんのご指摘により、人気アルバムの「Soul Battle」を追加します。 アレンジャーでもあるOliver Nelson(オリヴァー・ネルソン)とJimmy Forrest(ジミー・フォレスト)とキング・カーティスのパワフル!テナーサキソフォン奏者3人のセッション盤でオリジナルは1960年のPrestige録音です。
King Curtis - Soul Battle with Jimmy Forrest and Oliver NelsonSoul Battle
※3本のホーンの調和が素晴らしいAnacrusesや、Duke Ellington(デューク・エリントン)楽団でCaravan(キャラバン)の作曲者として有名なトロンボーン奏者のJuan Tizol(ファン・ティゾール)の曲”Perdido”もグルーヴィにジャズっています。 他のメンバーはベースがBud Powell(バド・パウエル)やLester Young(レスター・ヤング)などと演奏したGeorge Duvivier(ジョージ・デュヴィヴィエ)、ドラムはRoy Haynes(ロイ・ヘインズ)、ピアノがGene Casey(ジーン・ケイシー)です。

King Curtis’ All The Way in Dying Young
2004年にThe Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)を監督したJoel Schumacher(ジョエル・シューマカー)が1991年に監督したロマンス映画「Dying Young(愛の選択)」の音楽はJames Newton Howard(ジェームズ・ニュートン・ハワード)ですが、サウンドトラックの「Dying Young: Original Soundtrack Album」にはテーマ曲はサックス奏者のKenny G(ケニー・G)で、キング・カーティスのメローな”All The Way”も収録されています。 ジェームズ・ニュートン・ハワードは1990年にPretty Woman(プリティ・ウーマン)や2005年に映画「The Interpreter(ザ・インタープリター)」の音楽も担当しています。

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キング・カーティスが影響を受けたイリノイ・ジャケー
テナーサックスのスタンダード曲の”ハーレム・ノクターン

キング・カーティス King Curtis」への4件のフィードバック

  1. ヒロヤス より:

    いやーこんなサイトの事を知りませんでした。King Curtisは私の最大の大好きなテナーの一人。20年ほど前イギリスのRoy Simondsさんの作ったDidcographyを持っています。そこで「実際に発売されたかどうか不明」と書いてあったJapanese Hit盤の写真まで見られたのは感激です。Curisが、Jimmy Forrest(我が敬愛する人!)、Oliver Nelsonと共演している Soul BattelというPrestige盤もお忘れなく。
    これからもKC関係の充実をよろしくお願いします。

  2. koukinobaaba より:

    キングカーティスなくしてソウルはあらず!ですね。
    Soul Battelですね。早速調べて追加したいです。

  3. まさ より:

    キング・カーティスの部屋ってサイトが無くなって残念に思っていましたが
    ここはいいですねえ。BMしました。

  4. koukinobaaba より:

    「キング・カーティスの部屋」が現在はアクセス出来なくなって大変残念です。どうされたのか聞く術もありませんが、もし再開されているのを見つけたらぜひお知らせ願います。

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