ウディ・アレン 重罪と軽罪 Crimes And Misdemeanors (1989)

Comedy is tragedy plus time!
Crimes And Misdemeanors DVD
Martin Landau as Judah Rosenthal and Woody Allen as Cliff Stern in Crimes And Misdemeanors
Don’t listen to what your teachers tell ya, you know.
Just see what they look like and that’s how you’ll know what life is really gonna be like.
ウディ・アレンの重罪と軽罪 (1989年)

「ウディ・アレンの重罪と軽罪」は監督及び出演ともにWoody Allen(ウディ・アレン)のブラック・コメディです。 実生活でパートナーだったMia Farrow(ミア・ファロー)を片思いするさえない男をウディ・アレンが演ずるアレン哲学初期の映画なのです。

浮気男のジュダ・ローゼンタール役には1966年~1973年のTVシリーズ「Mission: Impossible(スパイ大作戦)1話~78話」で変装の名人のRollin Hand(ローラン・ハンド)を演じたMartin Landau(マーティン・ランドー)が怪演していますが、愛人のドロレス・ペリー(アンジェリカ・ ヒューストン)から別れるよう迫られていたジュダの妻ミリアムには1965年に「The Spy Who Came in from the Cold(寒い国から帰ったスパイ)」で共産主義の図書館員のナンシー・ペリーを演じたClaire Bloom(クレア・ブルーム)です。(チャップリンと共演した1952年の「ライムライト」のバレリーナは可憐) マーティン・ランドーが演じた印象的な役といえば、1994年に怪奇映画のベラ・ルゴシを演じた「Ed Wood(エド・ウッド)」でしたが、初めて観た映画はヒッチコックが監督した1959年の「North by Northwest(北北西に進路を取れ)」でした。

「コメディは悲劇プラス時間だ!」「リンカーンの暗殺は当時は悲劇だったが、今なら喜劇にもなりうるということだ!」
不条理って・・・この世そのもの。 にっちもさっちもいかんのです。
嗚呼、哀しき哉人生! この世には、何をしても成功する人と何をしても駄目な人がいるんですねえ。
例えば、「ウディ・アレンの重罪と軽罪」のなかでは、アレンが恋する知的な女性は軽薄な感じのプロデューサーと結婚しちゃうし、その道を極めた高名な哲学者が「飛び降りる!」と一言書き残して自殺しちゃうし、かっての横領をネタに結婚を迫る浮気相手の女を抹殺し、安穏と生活を続けるエリート医師などなどが登場します。 とはいうもののネェ、ユダヤ教も哲学も分からないと理解不能なようです。

「ウディ・アレンの重罪と軽罪」のなかで、浮気相手の若い女をシマツした後に、エリート医師が言ったセリフは「神様は許してくださるだろうか?」 おい、おい、いったい、ぜんたい、どの神!?

Listen「重罪と軽罪」の予告編はCrimes And Misdemeanors Trailer – Turner Classic Movies(画像下の”Original Trailer”をクリック)
「ウディ・アレンの重罪と軽罪」での”Oh! Oh! Oh! That’s so disgusting!”などウディ・アレンのセリフが聴けるCrimes And Misdemeanors Sound Clips – Wavsource.com(左のThat’s so disgustingをクリック)
“Oh! Oh! Oh! That’s so disgusting! Oh, my God, that’s the worst thing I ever heard in my life!” むかつく! なんてこった!最悪だ!)

清く人生を生きるとは? 法と良心とは? 神の存在って? コメディって? 何、なに、ナニ? アナタわかります?
ウディ・アレンのユダヤ的宗教哲学は分からないけど、「頑張ったって駄目なものはダメ!」っていう悲壮感はヒシヒシと伝わりますねぇ。
映画やTVや漫談等の全てのウディ・アレンの活動に関する解説満載の書籍にはStephen J. Spignesi著「The Woody Allen Companion(ウディ・アレン コンパニオン)」があり、アレン哲学にもふれているそうですが洋書なので私には読めません。

ウディ・アレンの履歴、出版物、映画、コメディなど情報が盛り沢山のオフィシャルサイトはWoodyAllen.com(上のメニューからProjectを選択すると英語ですがアレン自作の短編を語るビデオが観られます)

「ウディ・アレンの重罪と軽罪」の中のなかで、ウディ・アレン演ずるクリフの妹がバツイチ寂しさのあまり、恋人募集欄で知り合った男を家に招いてしまうというエピソードがあります。 その男はそれまでの紳士的な態度をガラッと急変させ、彼女をベッドに縛り付け、動けないようにし・・・そして・・・なんと!う、う、ウンチをして去ったのです! その男は糞尿マニアだったのだ。
この手の趣味の人って案外、いるのかも。 趣味じゃないでしょ、これはアブノーマル。 実際に、マンションなどのエレベータ内にウンチをなすりつけた若い男が捕まったこともあったり、エレベーターのボタンに鼻糞がくっついていたりと、これって軽罪?
フェティシズムの一種のスカトロは学問的には生物学の範疇でScatology(糞便学)というんだって!(学問なんだ。。)
Woody Allen’s Crimes And Misdemeanors Final Scene – YouTube

Crimes And Misdemeanors Soundtrack
映画「重罪と軽罪」で使用された音楽にはFranz Schubert(シューベルト)作曲のクラシック、弦楽四重奏第15番(1楽章 Allegro(アレグロ) アレグロ・モルト・モデラート)があるそうでMichael Tilson Thomas(マイケル・ティルソン・トーマス)指揮によりJuilliard Quartet(ジュリアード四重奏団)のRobert Mann(ロバート・マン)、Earl Carlyss(アール・カーリス)、Joel Krosnick(ジョエル・クロスニック)、Samuel Rhodes(サミュエル・ローズ)の演奏だそうです。
ウディ・アレンの映画で使用された”A Midsummer Night’s Dream”や”Rhapsody in Blue”などのクラシック・サントラ特集には「Woody Allen Classics」があります。(試聴はWoody Allen Classics – Amazon.com

Crimes And Misdemeanors DVD
ページトップの画像は2008年リリースの国内版「ウディ・アレンの重罪と軽罪」DVDです。 こちらも1998年リリースの日本語字幕版DVDですが現在は入手困難となりました。
Crimes And Misdemeanors DVDウディ・アレンの重罪と軽罪
同じカバー画像の「重罪と軽罪」の字幕版VHSもあります。

Cassandra’s Dream
ウディ・アレンが2007年に監督したロンドンを舞台にした映画は日本での公開が2010年になりました。 ある一家のビジネスでなりあがろうという夢を持つ長男をEwan McGregor(ユアン・マクレガー)が演じ自由奔放なその弟をColin Farrell(コリン・ファレル)が演じた犯罪ドラマがあります。 その邦題は「ウディ・アレンの 夢と犯罪」で原題の意味は兄弟で共同購入したクルーザーのカサンドラズ・ドリーム号のことです。 カサンドラとは弟が大穴を当てたドッグレースの勝犬の名前ですが、果してカサンドラは夢か悪夢か。 弟のギャンブルで作った借金清算と交換に成金の叔父から依頼されたのは殺人。 案外首尾よく片付いたけれど弟がビビってもう大変。 なので今度は弟を始末せねばと兄の飽くなき夢の遂行、それが皮肉にもこんなことになろうとは。 ウディ・アレンの「重罪と軽罪」の後には「夢と犯罪」も観てみよう。

☆ウディ・アレンは俳優、監督、作家として有名ですが、クラリネット奏者としてのウディ・アレンをご存知ですか?
1980年のStardust Memories(スターダスト・メモリー)や欧州ツアーの1997年のドキュメント映画「Wild Man Blues(ワイルド・マン・ブルース)」についてはAudio-Visual Trivia内の「Woody Allen(ウディ・アレンのスターダスト・メモリー)」
ウディ・アレンの女房バラバラ殺人映画「Picking Up The Pieces(ヴァージン・ハンド)」

ウディ・アレン 重罪と軽罪 Crimes And Misdemeanors (1989)」への2件のフィードバック

  1. pglove より:

    はじめまして
    トラックバックありがとうございます。
    ユダヤ人の笑いを嫌いな人もおおいようですが、個人的にはウディアレンすき。
    といっても最近は全然みなくなってしまったんですけど。
    こちらからもトラックバックおくらせていただきます

  2. koukinobaaba より:

    pgloveさん、ユダヤの哲学が何だかは分かりませんが、アレンは好きで沢山観ました。 「カイロの紫の薔薇」も良かったです。

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