ドン・チェリー Don Cherry

The Great Pocket Trumpeter: Don Cherry (1936 – 1995)
Free-Jazz
一応ジャズ好きを自称している私ですが、1960年代以前のビバップ、クール、ハードバップ位までが守備範囲であって、前衛ジャズというアヴァンギャルドやフリージャズ、ましてフュージョンだかクロスオーバーだかなどとなればお手上げ状態です。 1960年代のジャズスタイルの一つであるフリージャズとは、メロディやコード進行などの従来のジャズの制約をとっぱらったアヴァンギャルド(革新的)な音楽で、1950年代のウェストコーストで実験的に演奏されたスタイルをニューヨーク・ジャズシーンの持ち込んだのがOrnette Coleman(オーネット・コールマン)だといわれます。(最初にオーネット・コールマンとレコーディングしたギタリストはJames Blood Ulmer(ジェームス・ブラッド・ウルマー)だといわれます)
Ornette Coleman – Free Jazz – Amazon.com (MP3 Download)
フリー・ジャズ初心者にはオーネット・コールマンの初期の演奏が聴ける「Shape of Jazz to Come(ジャズ来るべきもの)」(ASIN: B00005HDXO)(試聴はShape of Jazz to Come – CD Universe

アヴァンギャルド・ジャズの巨人
フリージャズというと不協和音も華やかなテナーのJohn Coletrane(ジョン・コルトレーン)、Ornette Coleman(オーネット・コールマン)、Albert Ayler(アルバート・アイラー)、アルトのEric Dolphy(エリック・ドルフィ)、ピアノのCecil Taylor(セシル・テイラー)、などのジャズメンの名が挙げられますが、オーガニック・ミュージックの元祖とか云われるポケット・トランペッター奏者のドン・チェリーはどうでしょう。(オーガニックミュージックとはアコ-スティックな楽器で演奏される音楽だそうですがドン・チェリーは1972年にワールド・ミュージックのLPルバム「Organic Music Society」をリリースしています)

Don Cherry(ドン・チェリー)
ドン・チェリーはトランペットをオーネット・コールマンに師事、その後Ornette Coleman Quartet(オーネット・コールマン・カルテット)から独立して自分のバンドを結成します。 The Thing、Desireless、Cherryco、Butterfly Friendなど沢山の作曲もしたドン・チェリーはSonny Rollins(ソニー・ロリンズ)やコルトレーン他のフリージャズ・ミュージシャンと共演して多くの名盤を残しています。
ドン・チェリーはポケット・トランペットもしくはミニチュア・トランペットなる楽器を初めて吹いたトランペッターですが、モチロン普通のトランペットも吹きますし、フルートやコルネットも演奏します。
Desireless – composed by Don Cherry – YouTube (ストックホルム出身の歌手Eagle-Eye Cherryはドン・チェリーの息子だそうでアルバムに1998年のプナチナディスク「Desireless」があります)
注! 音楽界にDon Cherryがもう一人存在します。 1924年生まれのドン・チェリーはTommy Dorsey(トミー・ドーシー)楽団などに所属していたテキサス出身の白人ポップス歌手で、50年代中頃にBand of GoldやRumble-Boogieを吹き込みましたが、後にゴルファーになったそうです。

Don Cherry With Pocket Trumpet
ところで、ドン・チェリーの演奏するポケット・トランペットをご覧になったことがありますか?
ポケット・トランペットを演奏するドン・チェリーの初期の写真が見られるDon Cherry: Trumpet Innovator – Photo – Furious.com
Don Cherry – JAZZVISIONSPHOTOS.COM
ドイツのDon Cherry – Jazz Poster
ポケットトランペットというのは画像を見て分かるようにソプラノトランペットと同じ長さの円筒部分が携帯し易いように多く巻かれたトランペットだそうです。 直管の部分が減るため高い音が出ますが音質は劣ります。 安いものだと2〜3万円から販売されているので練習や娯楽に最適な楽器でもあります。 貴方もドン・チェリーみたいに吹けるようになるかも。

Listenドン・チェリーを聴いてみよう!(Real Player)
ドン・チェリーのI Walk(Afro-pop influence)がRealAudioPlayerで聴けるwfmuラジオのプレイリスト Playlist for Andrew Listfield – February 1, 2005 – Set 3: funky stuff(cherryで検索してPop-upをクリック)
同じくwfmuラジオで1971年のRelativity Suite(Organic Music Society)が聴けるGive the Drummer Some -January 20, 2006 (cherryで検索してPop-upをクリック)

Don Cherry and Sonny Rollins on tenor with Billy Higgins on drums and Henry Grimes on bass 1963

The Avant-Garde
オーネット・コールマンのその名もズバリ「Free Jazz」(フリー・ジャズ)というアルバムがありますが、こちらもズバリの「The Avant-Garde(アヴァンギャルド)」です。
フリージャズ初期の主要ミュージシャンであるジョン・コルトレーンとドン・チェリーのセッション・アルバム「The Avant-Garde」です。
The Avant-Garde - Don CherryThe Avant-Garde
♪ 短いクリップが試聴できるThe Avant-Gardeの英文レビューはAvant-Garde – BBC Jazz Review
アルバム「Don Cherry/Kryzystof Penderecki, Actions」についてはDon Cherry & Krzysztof Penderecki – BBC Jazz Review(試聴あり)
1960年に録音されたアルバム「The Avant-Garde」のリリースは1966年でした。 フリージャズの先駆者であるオーネット・コールマン・カルテットのメンバー3人、トランペットのドン・チェリー、ベースはCharlie Haden(チャーリー・ヘイデン)でドラムはEd Blackwell(エド・ブラックウェル)にテナーサックス(ソプラノ)のジョン・コルトレーンをフィーチャーしたセッションです。 コルトレーンのインプロヴィセイション(アドリブ)スタイルとオーネット・コールマンのHarmolodics(ハーモロディック)スタイルの音楽の対戦です。
私は音楽的なことはよくは分かりませんが、ハーモロディックとはCM-7、E♭-7、Dm♭-5の3コードトーンで構成されるシンプルなサウンドらしいです。
ドン・チェリーの代表作品でもあるアルバム「The Shape of Jazz to Come」には”Lonely Woman”が収録されています。

Where Is Brooklyn
ドン・チェリーがバンドリーダーだった1950年代後期のBlue Note時代の3枚を集めた待ってましたの2006年リリースのCDです。(試聴可)
Where Is BrooklynWhere Is Brooklyn
試聴はWhere Is Brooklyn – Amazon.com

Eternal Rhythm
国内でリリースされたドン・チェリーの1968年のライブ盤「Eternal Rhythm(永遠のリズム)」は世界のフリージャズ・ミュージシャン集で、インドネシアの民族楽器のガメランなどを組み込んだワールド・ミュージックの実験的アルバムともいえます。 ドン・チェリーはトランペットの他フルートも演奏しています。
Eternal Rhythm永遠のリズム
“永遠のリズム”パート1とパート2が試聴できるEternal Rhythm: 永遠のリズム – HMV ONLINE (試聴をクリック)

Live at Cafe Montmartre 1966 (Bonus Dvd)
ページトップのCD画像はドン・チェリーの最新2枚組アルバムで、レーベルはESP Disk’, Ltd.で、2枚目はCDではなく、ESPレーベルのアーティスト紹介のDVDです。

Complete Communion (1946)
オーネット・コールマンやソニー・ロリンズのサイドマンとして録音に参加してきたドン・チェリーが自分名義でブルーノートで録音した最初のLPレコードのリマスター盤(ASIN: B00004GJVK)です。 ドン・チェリーのコルネットの他、パーカッション、テナーサックス、ベース、ドラムというカルテットで演奏される二つの組曲で構成されたアルバムの曲目はComplete Communionの方がComplete Communion、And Now、Golden Heart、Remembranceとなっていてlephantasyの方はElephantasy、Our Feelings、Bishmallah、Wind, Sand And Starsとなっています。
試聴はComplete Communion – Amazon.com

Symphony for Improvisers
1966年がブルーノートのオリジナルLpの2005年のリマスター盤で試聴できます。 1960年代中頃にヨーロッパを基盤として音楽活動を続けていたドン・チェリーが当時リーダーを務めていた二つのバンドを合体させた意欲的なアルバムで、ドン・チェリーはコルネットを演奏し、Gato Barbieri(ガト・バルビエリ)とPharoah Sanders(ファラオ・サンダース)がテナーサックス、Karl Berger(カール・ベルガー)がピアノ、Ed Blackwell(エド・ブラックウェル)がドラムの他、アルバート・アイラーとも共演しているHenry Grimes(ヘンリー・グライムス)など3人のベーシストが参加しています。

Orient/Blue Lake
2003年リリースの2枚組リマスターベスト盤「Orient / Blue Lake」(ASIN: B00005Y0LS)は1960年代のパリでのライブLP盤である1980年代録音の「Orient」と1971年録音の「Blue Lake」を一緒に収録してありますが超ヴィンテージで入手困難です。 2枚組CDのディスク1のトップが”Orient”でディスク2のトップが”Blue Lake”となっています。 ポケット・トランペットやフルートをドン・チェリーが担当する他、パーカッションにHan Bennink(ハン・ベニンク)、ベースがJohnny Dyani(ジョニー・ダイアニ)、ドラムがOkay Temiz(オーカイ・テミス)などです。 当時ジャズを超えたワールドミュージックを実験的に演奏していたドン・チェリーのリラックスしたアルバムタイトル曲となっている”Orient”を聴いて見てください。 癒されるか笑えるかは聴く人次第。
試聴はDon Cherry – Orient/Blue Lake – AllMusi.com

Don Cherry’s Multikulti [DVD] [Import]
Don Cherry's Multikulti DVDドン・チェリーがポケット・トランペットを演奏しているカバー画像で1996年のリージョン1の輸入1時間DVDで2005年盤ですが、VHSビデオもあるそうです。
オリジナルリリースが1988年という同名のCDもあり、”Multikulti Soothsayer”や”Multikulti Soothsayer Player”など12曲を収録しています。