ウェイトレス おいしい人生のつくりかた Waitress (2007)

Waitress DVD
DVD Waitress by Adrienne Shelly with Keri Russell
Keri Russell as Jenna in “Waitress” (2007)

「Waitress(ウェイトレス おいしい人生のつくりかた)」は昨今の大作だらけの映画界にあってインディ系ながら人気が出た作品だそうです。 監督しているのはAdrienne Shelly(エイドリアン・シェリー)という女優ですが昨年亡くなったので「ウェイトレス」が最初で最後の監督作品です。 最近の美味しい映画としては、ピクサーアニメのRatatouille(レミーのおいしいレストラン)で、ドブネズミのレミーが美味しい料理を作りましたが、この「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」では可愛くて元気いっぱいのジェンナがママ直伝の美味しいパイを焼きます。

If only life were as easy as pie.
ケリー・ラッセルのパイ名人!

アメリカ南部の田舎町でパイレストラン”Joe’s Diner”のウエイトレスをしているJenna(ジェンナ)はパイ作りの天才です。
Keri Russell(ケリー・ラッセル)が演じるジェンナはなんともやりきれない境遇に陥っています。 好きでもないのに結婚してしまった夫はDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)でひどいやきもち焼き、おまけにウエイトレスで得た給料も取り上げるやな奴なのです。 こうなったら「なんとしても資金を貯めて全米パイコンテストで優勝して新しい人生を歩むのだ!」とひそかに夢を描いていたところ、なんと赤ちゃんが出来たことに気がつきます。 ショック!望まない妊娠、もうウェイトレスの仕事は出来ない! レストランでのパイ作りも出来ない!

Jenna’s Pie Recipes
映画”おいしい人生のつくりかた”は”おいしいパイの作りかた”も教えてくれます。 ジェンナが作るのは平凡なアップルパイやポークパイなんかではありません。 天才パイ焼き名人のジェンナのパイの原料の一つはジェンナの日々の出来事です。 たとえば、産婦人科の医師を虜にした人魚型のマシュマロパイや、Lonely Chicago pieなどの他にジェンナの人生における苦難と試練の状況を表現した独創的なパイがたくさん出てくるので「レミーのおいしいレストラン」のように映画の公開に合わせてパイのレシピを載せたお料理本が一緒に出版されるといいですね。
他にもジェンナが作るパイには I Don’t Want Earl’s Baby pie(私はアールの赤ちゃんは欲しくないパイ)、Pregnant Miserable Self-Pitying Loser pie(妊娠して惨めな自己憐憫の負け犬パイ)、Earl Murders Me Because I’m Having an Affair pie(アールが浮気した私を殺すパイ)なんて恐ろしいパイからKick in the Pants pie(ひどい仕打ちパイ)まであります。(ジェンナが産婦人科医と恋に落ちたのは事実、いや医師はパイで落ちたのかも) 押さえていた二人の感情が激しくぶつかりグルグルグルグル目が回るキスで口紅が台無しになったまま出勤したジェンナは老経営者に指摘されてやっと気が付きます。(なんでコメディになる?) そして又診察台でもグルグルグルグル。 はやや、やはりコメディ、いやブラック・コメディです。 最後にめでたくジェンナが産んだ赤ちゃんは生後?ヶ月というほど大きかったです。 ですが、赤ちゃんが生まれて母と娘の二人でやっていこうと決心したジェンナが退院の時にお別れにプレゼントしたパイをふられた医師がヤケ食いします。 パイパイ、いやバイバイ!
映画「ウェイトレス」は映像がとても綺麗ですが、ラストシーンでがお揃いの黄色いドレスを着たジェンナと娘が去って行く後姿が、まるで不思議の国のアリスかなんかの御伽噺のようで見とれてしまいます。

video「Waitress(ウェイトレス おいしい人生のつくりかた)」のオフィシャルサイトはFoxSearchlight – Waitress(ジェンナの下の右から2番目のケーキ画像をクリックすると予告編)
Waitress Trailer – VideoDetective
アメリカでは2007年5月に公開されましたが日本では2007年11月です。 映画公開の暁には入場者にパイが配られるなんてことがあるといいな♪ きっと女性はジェンナのパイ映画を気にいるでしょうね、早く観たいです、早く食べたいです!
ケリー・ラッセルの映画ポスターが見られる“Waitress” Movie Poster – About.com

悪夢を見ているジェンナ
Keri Russell as Jennaヒロインのジェンナを演じたKeri Russell (ケリー・ラッセル)はTVドラマシリーズの「Felicity(フェリシティの青春)」で主役のフェリシティ・ポーターを演じて人気が出たテレビ界出身の女優で、「ウェイトレス」の前年の2006年には「Mission: Impossible 3(M:i-3 ミッション:インポッシブル3)」でTom Cruise(トム・クルーズ)と共演した他に、2006年にゲイとカニバリズム(人肉食)という驚愕するテーマを扱った「Rohtenburg (Grimm Love)(グリムの愛、又はローテンブルク)」で犯罪心理学の学生を演じていました。 あまりにグロテスクで過激な内容だからか日本未公開でDVDも発売されず映画のデータベースにもありません。(Fangoria Frightfest: Grimm Love [DVD] [Region 1]として販売 https://amzn.to/3BgEi0k) 偶然に「グリムの愛」を観てしまった私はラストの痛みのシーンで辟易、こういった常軌を逸した映画は却下します。 異常なサイバーネット犯罪を扱った「Untraceable(ブラックサイト)」も同様。
「ウェイトレス」の後の2008年にはファンタジックなコメディ映画の「Bedtime Stories(ベッドタイム・ストーリー)」でAdam Sandler(アダム・サンドラー)やGuy Pearce(ガイ・ピアース)と共演します。
よってケリー・ラッセルは今作の「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」でもっと日本でも知られるでしょう。 日本で2008年6月に公開されるアイルランド出身のKirsten Sheridan(カーステン・シェリダン)監督の2007年の御伽噺風の「August Rush(奇跡のシンフォニー)」で英国子役俳優のFreddie Highmore(フレディ・ハイモア)と共演しますが、同年バレンタインデーに結婚したケリー・ラッセルは2007年の6月に31歳で男の子が誕生したそうです。
☆ちょっとセクシーなケリー・ラッセルの写真集はAskMen.com – Keri Russell(最初に宣伝が出ますが上のskipをクリック、5枚あるので画像下のnextをクリック、無理やり寄せて上げていない胸が高感度アップ)

「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」が最後の監督及び映画出演となった原作者でもあるAdrienne Shelly(エイドリアン・シェリー)は本作に出演もしていてパイ食堂の従業員であるジェナの同僚の一人で眼鏡をかけたDawn(ドーン)を演じています。 ドーンに恋をするオタクのOgie(オジー)役は2004年の「Ocean’s Twelve(オーシャンズ12)」に10番目のオーシャンでコンピューターに精通したLivingston Dell(リヴィングストン)を演じたEddie Jemison(エディ・ジェイミソン)です。 レストランの経営者のOld Joe(オールドジョー)はこの時80歳の歌手でコメディアン俳優のAndy Griffith(アンディ・グリフィス)です。 アンディ・グリフィスは1956年にBaby Doll(ベビイドール)のElia Kazan(エリア・カザン)が監督した「A Face in the Crowd(群衆の中の一つの顔)」が日本での映画デビューでしたが、私的には子供の頃(1957年)ラジオから流れていたロカビリー曲の”Mama Guitar”が印象に残っています。(デジタルミュージックのアルバム「A Face in the Crowd」で試聴できます。ASIN: B005TZPCF4)
女優としてのエイドリアン・シェリーは1990年のHal Hartley(ハル・ハートリー)が監督した「Trust(トラスト・ミー)」で主演し、2002年に女優のRosanna Arquette(ロザンナ・アークエット)が監督したドキュメンタリーで「Searching for Debra Winger(デブラ・ウィンガーを探して)」で34人の女優の一人として出演していました。 2006年の11月、監督のエイドリアン・シェリーが40歳の時に騒音トラブルが原因で殺害されてしまったため本作が最後の作品となりました。
Lullaby Pie: Baby, don’t you cry Gonna bake a pie with a heart in the middle
ラストシーンでジェナが愛娘に歌ってやる子守唄はエイドリアン・シェリーが書いたものだそうです。 ちなみにジェナの2歳になる子供”Lulu(ルル)”を演じているのがエイドリアン・シェリー監督の実の娘のSophie Ostroy(ソフィー)ちゃんだそうですが、ルル役は新生児とか生後3ヶ月とかでベビータレントが全部で4人くらい出演したとか。 映画「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」のエンディングクレジットで、”In Memory of Loving Adrienne Shelly(追悼、愛するエイドリアン・シェリー)”という字幕が流れるとか。

Joe’s Diner
Joe’s Dinerという名前の飲食店は南部ではありませんが、マサチューセッツ州のビジネス地区でLee(リー)という所に実際に存在してるとか。 ”Sunset”や”After the Prom”及び”Triple Self Portrait”などでお馴染みの”古き良きアメリカ”を描いたアメリカのイラストレイターであるNorman Rockwell(1894-1978 ロックウェル)が1958年の作品「The Runaway(家出)」(https://amzn.to/3smV4XR)で背景にしているそうです。

Domestic Violence
新聞やテレビでも最近よく耳にしますが、映画「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」ではジェナの夫がDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)です。 初期には女性に対する言葉、無視、生活費を入れないなどの虐待を含む家庭内暴力を指しましたが、戦後はストッキング同様に女性が強くなりましたから最近では男性もその対象になっています。 つまりこの幼児性を伴うDVというのは性を問わず育った家庭環境に重大な要因があるそうですから、相手が違っても同様なことが起きるのだそうです。 将来のため子供は良い家庭環境で育てて、他人の痛みがわかるように指導しましょう。(むずかしい!)

Pie Recipes
♪ さぁ、クッキングのお時間ですよ!
私は冷製チーズケーキ以外めったにお菓子は作ったことはありませんのでパイはなおさらです。 日本でパイといえばアップルパイ、レモンパイ、チェリーパイの他、ポットパイとしてオニオンループなどのフタにも使用するのが一般的ですが、歴史の古い諸外国はタルトやタルトレット、ミルフィーユやキッシュも含め、バリエーションが豊富でミートパイなどのお料理法がたくさんあります。 パイはエジプトでファラオに捧げるパンとして始まったとも言われていますが、欧州では16世紀頃からパイなどのクッキングブックが一般家庭向けに出たそうです。 1987年の映画「Babette’s Feast(バベットの晩餐会)」ではバベットがウズラのパイ包み焼きを作りました。 日本でパイというとEarl(アール)ではなくEel(イール)、浜松の「うなぎパイ」(夜のお菓子)ですね。 パイではないですが保存も目的なら赤穂でお馴染みの「鯛の塩釜焼き」なんていうのがあります。
今ではパイ生地は冷凍も売っていますが、まずは手作りパイ皮の作り方の例のビデオでも観てみましょう!
Make Pie Dough-1 – YouTube
Make Pie Dough-2 – YouTube

DVD & Soundtrack for “Waitress”: Quincy Coleman’s Pie Song
幸せになるパイのレシピ、教えます!
ページトップの画像は2008年リリースの「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」のDVDです。 吹き替え版のウェイトレス~おいしい人生のつくりかた (初回生産分限定”幸せなパイのレシピブック”付) [DVD]もあります。 ケリー・ラッセルが演じたジェンナの吹き替えは声優の小林さやかだそうです。

Waitress Soundtrack
今のところ日本では「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」サウンドトラックはリリースされていませんが、”Midas Touch”から別名The Pie Songの”Baby Don’t You Cry”まで試聴できるSongs and music featured in Waitress
「ウェイトレス」の音楽は作曲家のAndrew Hollander(アンドリュー・ホランダー)でテーマ曲の”Pie In the Sky”を作曲しています。 監督のエイドリアン・シェリーとホランダーの共同作品という子守唄の”Baby Don’t You Cry“を歌っているのはQuincy Coleman(クインシー・コールマン)です。 上記のクインシー・コールマンのオフィシャルサイトでは同じく映画の中で歌われる”Give It Away”が聴けます。(再生ボタンをクリック、またはMP3をダウンロード)
クインシー・コールマンのアルバム「Come Closer」の全試聴はオフィシャルサイトで左のメニューのMUSICをクリック!
これまでに何本かの映画音楽を担当してきたアンドリュー・ホランダーがサウンドトラックを担当した次回作は2007年春にアメリカで公開されたロマコメの「Gray Matters(頭脳/灰色の脳細胞)です。 「Gray Matters」の主役は2002年の「The Guru(踊るマハラジャ★NYへ行く)」で踊ったり、2001年の「From Hell(フロム・ヘル)」で一番若い赤毛の娼婦のMary Kelly(メアリ)を演じたHeather Graham(ヘザー・グレアム)で、兄のフィアンセを好きになる妹の役です。 2009年には私にはなぜ人気なのか分からない「Hang Over(ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い)」というコメディでBradley Cooper(ブラッドリー・クーパー又はブラッドレイ・クーパー)と共演しています。 サントラでFlo Rida(フロー・ライダー)が歌うPete Burns(ピート・バーンズ)の”Right Round”が使用された。

映画「ウェイトレス」では、1993年にデビューしたジークポップスのロックバンド”CAKE Official Site“の2001年のシングルヒット曲が使用されています。 I Will Surviveがダントツ人気のCAKEはリードヴォーカルがJohn McCrea(ジョン・マクレー)で2006年に8年ぶりに来日したそうです。
ケーキ・ファンにお勧め! 気前の良いCAKEのオフィシャルサイトのCAKE MUSICではmp3がフルで聴けます!
Cake – Short Skirt Long Jacket with lyrics – YouTube

ウェイトレス おいしい人生のつくりかた Waitress (2007)」への1件のフィードバック

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