ティム・ロス ライアー Deceiver (1997)

Deceiver
Deceiver DVDTim Roth as James Walter Wayland in Deceiver

Deceiver (Liar) 1997年
頭の体操、イチ、ニィ、サーン!
双子のJonas Pate(ジョナス・ペイト)とJosh Pate(ジョシュ・ペイト)が監督及び脚本も手掛けた分裂症的心理映画「Deceiver」のイギリスで付けられたタイトルが「Liar」となっているからか、それに倣って邦題が「ライアー」となったようです。 取調室を舞台に残忍な娼婦殺害事件の容疑者と二人の刑事とのいたちごっこの密室劇が描かれます。 みんながそれぞれ事情があり問題を抱えています。 ケネソウ刑事の浮気妻はRosanna Arquette(ロザンナ・アークェット)が演じます。 名門大学の心理学科出の容疑者というのが天才的な嘘つきでした。
Tim Roth(ティム・ロス)が癲癇患者役で主演したサスペンス映画は意表をついたなりゆきに唖然としたままで観終わりましたが、ラストも口があんぐり状態です。(どうなってるの?)事件の終結は本当じゃない? その1年後のあの公園で娼婦に声をかける男はまさかの…? That’s the Idea.
嘘だったのか? 真実か? 二重人格か?

強いリキュール酒のAbsinthe(アブサン)を飲むと目玉がグルグル回ってぶっ飛んでしまう娼婦殺しの容疑者「James Walter Wayland(ジェームス・ウェイランド)」は精神異常者だったのでしょうか。 そのIQが高い優等生君はChris Penn(クリス・ペン、又はクリストファー・ペン)が演じる薄ノロ刑事のPhillip Braxton(フィリップ・ブラクストン)とMichael Rooker(マイケル・ルーカー)が演じる一触即発のベテラン刑事のEdward Kennesaw(エドワード・ケネソウ)を相手に彼らの秘密を暴きたて弄ぶのです。 Ellen Burstyn(エレン・バースティン)が演じる闇の女ボスで腹黒いMook(ムック)に大借金があるフィリップ・ブラクストンと、妻が産婦人科医と浮気しているエドワード・ケネソウ刑事、なぜか大富豪のウェイランドは全てを知っているのです。 ちなみにエレン・バースティンは2000年の麻薬啓蒙映画「Requiem for a Dream(レクイエム・フォー・ドリーム)」でヘロイン中毒になる中年女性サラを熱演してアカデミーの助演女優賞を受賞しています。
ヒントは殺された娼婦と最後の客だったウェイランド、富豪の父親と裏社会、刑事と富豪親子、ヤクザに借金がある刑事。 精神分裂症と二重人格。
※ アブサンは19世紀から芸術家に愛されたニガヨモギを原料とした薬酒で角砂糖を入れて飲むそうですが、幻覚が出ることもあるとかで中毒性や犯罪性が高いとして禁止になったこともあるそうです。 1990年の「Vincent & Theo(ゴッホ)」でにティム・ロスが演じた画家のVincent Van Gogh(ゴッホ)もアブサンを愛飲し耳を切り落としました。 このゴッホの耳斬り事件が本作「ライアー」の中でウェイランド(演・ティム・ロス)の病状について精神科医シモンズ・バンヤード(演・マイケル・パークス)が刑事たちに説明します。

ティム・ロスが演じるジェームス・ウェイランドは殺人事件の容疑者として嘘発見器のベテラン(演・マイケル・ルーカー)と新米(演・クリス・ペン)の二人の刑事の尋問を受けるのですが一筋縄ではいきません。 売春婦の遺体が二等分されてカバンに詰められそれぞれにウェイランドの電話番号付きのメモが入れられていたのですが嘘発見器にかけても何にも出ないのです。 反応が出ないので「ヤク(麻薬)でもやってんのか?」と疑われます。 調べが進むうちに刑事の片方もウェイランドの馴染みの売春婦だっElizabeth(エリザベス・ロフタス)と知り合いだったことが判明。 そしてウェイランドのゲームが始まったのです。 現在と過去の妄想が入り混じって観ている者を混乱させます。 TLT(側頭葉てんかん)の発作が起きたウェイランドは凶暴になりエドワード・ケネソウに暴力を振るいますが、後の尋問ではエドワードが真実と称してエリザベスに暴力をふるっているビデオを見せるのです。 そこで頭脳明晰なウェイランドが逆に刑事を嘘発見器にかけることに。 エドワード・ケネソウは妻への嫉妬が高じてエリザベスを殺害したのか?それとも妄想か? 取調室ではいったい誰がどんな嘘をついているのか、人の心を弄ぶかのように摩訶不思議なマインドゲームが展開します。 一番得したのは誰? 兎にも角にも莫大な金が動いた一件でした。 時々突如眼を剥いてトランス状態に陥るウェイランドが不気味です。 ちなみにマイケル・ルーカーは2000年にアーノルド・シュワルツェネッガーがクローンになる「The 6th Day(シックス・デイ)」でも”7分警察署のマーシャル警部その裏の顔はクローン暗殺者”を演じていますが、クリス・ペンはというと覚えているのは1984年の「Footloose(フットルース)」でKevin Bacon(ケビン・ベーコン)がダンスパーティを思いつくシーンで洗車の相棒でした。
現在は「ライアー」のオフィシャルサイトだったMGM.comではスチール写真が4枚見られるだけで予告編が見らません。
🎦 Deceiver Trailer and Photos – IMDb

Tim Roth
性格俳優のティム・ロスといえば、私が観たのは「Nuovo Cinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)」で有名なGiuseppe Tornatore(ジュゼッペ・トルナトーレ)が監督した1999年の「Legend of 1900(海の上のピアニスト)」の方が先でした。 この映画の主人公の天才ピアニストである”ナインティーン・ハンドレッド”も不思議でしたが、「ライアー」の主人公の富豪の息子のJames Walter Wayland(ジェームス・ウェイランド)も又正体不明な人物像でした。 英国俳優のティム・ロスは1984年に映画デビューしていますが、ショーン・ペンの弟であるクリス・ペンが1992年にNice Guy Eddie Cabot(ナイスガイ・エディ)を演じたQuentin Tarantino(クエンティン・タランティーノ)監督の犯罪映画「Reservoir Dogs(レザボアドッグス)」に囮捜査官のMr. Orange – Freddy Newandyke(ミスター・オレンジ)として血まみれの演技が注目を浴びました。 クエンティン・タランティーノ監督のコメディ映画としては1995年にオムニバス映画の「Four Rooms(フォー・ルームス)」で4話を通してホテルのボーイとしてティム・ロスが主演していますがコミカルな演技が少々オーバーとはいえ絶妙でした。

Renée Zellweger
1993年のテレビ・ドラマ「Murder in the Heartland(マーダー)」でクレジットなしでしたがティム・ロスと初共演した北欧美人のレネー・ゼルウィガー(又はレニー・ゼルウィガー)は「ライアー」では殺人事件の被害者のエリザベスを演じています。 レニー・ゼルウィガーは売春婦役があまり似合っておらず、出演シーンも少なくてがっかりです。 「ライアー」の後は2000年に「Nurse Betty(ベティ・サイズモア)」や2001年の「Bridget Jones’s Diary(ブリジット・ジョーンズの日記)」などのコメディ映画でブレイクし、2002年にはミュージカル映画「Chicago(シカゴ)」やアカデミーの助演女優賞を獲得した2003年の「Cold Mountain(コールド マウンテン)」などに出演しています。 Doris Day(ドリス・デイ)の再来か?とも呼ばれたレネー・ゼルウィガーは2002年に「Chicago(シカゴ)」でアカデミーの助演女優賞にノミネートされました。 そしてジュディ・ガーランドの伝記映画で主演しアカデミー賞主演女優賞を獲得した2019年の「Judy(ジュディ 虹の彼方に)」はまさにレネー・ゼルウィガーの集大成ともいえる名作です。 特に好評の「ブリジット・ジョーンズの日記」は2004年に続編「Bridget Jones: The Edge of Reason」、レニーの顔が変化した後の2016年に続々編「ダメな私の最後のモテ期」と制作されています。
Tim Roth &Renée Zellweger in Deceiver – Youtube

Chris Penn
クリス・ペンはあまり似ていませんがSean Penn(ショーン・ペン)の弟です。 Christopher Walken(クリストファー・ウォーケン)が主演した1996年の「The Funeral(フューネラル)」ではマフィアのChez Tempio(チェズ・テンピア)を演じてヴェネチア国際映画祭の助演賞を受賞していますが2006年に体重増加に伴う心筋症のため40歳で亡くなりました。

Deceiver DVD
ページトップの画像はアメリカのAmazon.comにあるRegion 1のDVDですがRegion 2のDVD(ASIN: B00004VY6V)もあります。

ライアー 廉価版DVD
Lier DVDリンクは2006年に発売された日本語字幕DVDですが2002年版もあり。


Deceiver Soundtrack
現在はAmazon直でないので激安価格です。
ライアー サントラ
Deceiver Soundtrack「ライアー」の怖い音楽のサントラはHarry Gregson-Williams(ハリー・グレッグソン・ウィリアムズ)の音楽でストーリーにそった14曲がスコアのサントラに収録されています。 冒頭のMain Titles(メインテーマ)は映画のオープニングの嘘発見器シーンで流れるピアノ曲です。
Hans Zimmer(ハンス・ジマー)も音楽のアドバイスに加ったとか。
劇中、ウェイランドのトイレでの回想シーン(娼婦とのダンス場面)とエンディングシーンで使用されたロマンチックなBuddy Holly(バディ・ホリー)の”Moondreams”はスコア盤やサントラ(OST)にテクノのThink Tank(シンク・タンク)の”Hack2″と共に収録されています。 サントラは1997年に日本でもリリースされましたが現在は入手困難です。
ハリー・グレッグソン・ウィリアムズはアニメの「Shrek(シュレック)」シリーズや2004年のレネー・ゼルウィガーの出世作となった「Bridget Jones’s Diary(ブリジット・ジョーンズの日記)」の続編「Bridget Jones: The Edge of Reason(ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月)」などの音楽を手掛けました。
スコア・サントラの曲目
Main Titles
Roulette
Absynth
Orange Juice
Card Game
Confrontation
Hack2 (Think Tank)
Hook Me Up
Don’t Touch Him
Family
Wayland’s Story
Caught On Tape
Moondreams(Buddy Holly)
End Titles
♪ Liar (Deceiver): Score by Harry Gregson-Williams (Orange Juice, Family, and Wayland’s Story)
♪ スコア盤のサントラの試聴はLiar Soundtrack – Recordcity.jp
♪ 家でケネソウ刑事が婦人と3人の子供達と食事をするシーンで流れたロマンチックなThe Robinsの”Since I First Met You”や取り調べ時の回想シーンでの”Moondreams”など映画で使用された曲も収録されているサントラの試聴はDeceiver (1997) Soundtrack – Ringostrack.com