Then Sean Connery is the Senpai of Wesley Snipes!
ライジング・サン(1993年)
Rising Sun
「ライジング・サン」は制作総指揮と主演がSean Connery(ショーン・コネリー)で、監督がPhilip Kaufman(フィリップ・カウフマン)の犯罪ドラマです。 共演はWesley Snipes(ウェズリー・スナイプス)です。 日本人に好意的ではないLt. Tom Graham(グラハム警部補)にHarvey Keitel(ハーヴェイ・カイテル)、血の匂いを嗅ぎつける新聞記者のWilly ‘the Weasel’ Wilhelm(イタチのウィリー)役にはSteve Buscemi(スティーブ・ブシェミ)、変わったとこで修正された事件のビデオ映像を大学教授と共に検証した日米ハーフの大学院生Jingo Asakuma(ジュンコ・アサクマ)役にホノルル出身のTia Carrere(ティア・カレル)は縮れっ毛でとても日本人には見えないですがなかなかの美人。 スミスがコナーを迎えに行った時に部屋の奥にいたのがこのジュンコ。 エディ・サカムラ役にCary-Hiroyuki Tagawa(ケリー・ヒロユキ・タガワもしくはケイリー=ヒロユキ・タガワ)が出演しています。 1989年の「Licence to Kill(007/消されたライセンス)」では香港の麻薬捜査官クワン役でしたが、日系アメリカ人二世の父を持つケリー・ヒロユキ・タガワは1950年代に”Hush A Bye(ハッシャバイ)”でデビューしたジャズ歌手の旗照夫の甥だそうです。 タガワはマーシャル・アーツ「Chuu-Shin」の創始者で1987年には「ラスト・エンペラー」で宦官のChang(張謙和)役で好評を得ました。 そのケリーは映画の冒頭のカラオケ・シーンで”Don’t Fence Me In”を歌います。
この映画は日本考証チームを結成して制作に望んだので大変良く日本を分析及び理解しているようですから、もし違和感をお持ちになったら、それはわざとであると思って下さい。
おどろおどろしいオープニングではギラギラする真っ赤な太陽(日昇 ライジングサン)に続き切り落とされた人間の腕を加えた犬、西部劇か?と思うとこれはカラオケ映像でした。 その画面を見ながらエディ・サカムラ(ケリー)がコール・ポーターのカントリーソングだという”Don’t Fence Me In”を歌うがカウンターにいた愛人(Tatjana Patitz)が退屈して店を出るのを怒って追うエディは一体何者? 「なんか、まずいものを観てしまったか…」と思った私でした。
エディは和太鼓を呼び物にした日本企業のロス支店ビルの落成式に現れますがすぐに階段を上っていくシーンに続いて売春婦らしきブロンドの白人女を相手にしている背広姿の男が映されるのでエディだと思いました。 この二人の窒息プレイと和太鼓が交互に映し出され緊張感を高めます。
日本のバブル絶頂期、ロサンジェルスに進出した日本企業のビル落成パーティでの殺人事件を、引退していた日本通の元警部ジョン・コナー(ショーン・コネリー)が捜査に乗り出し、ロス市警のスミス警部補(ウェズリー・スナイプス)を部下(後輩)としてコンビを組み事件解決に奔走するミステリー映画です。 日系企業のナカモトビルで会議室のテーブルに寿司みたいに仰向けで乗っかってる女はなぜ殺されたか? 企業の売却会議が行われていた46階にはなぜ4台もの監視カメラが設置されていたのに録画のディスクがないのか? これらの謎を解こうとスミス警部補とジョン警部は日本でなら体育会系の学生のノリで先輩と後輩の関係を築いて切磋琢磨していきます。(ちょっとズレてるね、先輩っていうのは年齢じゃなくて同じ仕事場での年期を表すのでしょう? センパイ、アップルパイ) ヨシダ社長率いるナカモト社の事件担当のイシハラが主張するには女は自分たちのパーティーとは関係なく麻薬のやり過ぎで死んだと。 日本人ビジネスマンが金髪女を囲う別宅を捜査すると窒息マニアだった売春婦の部屋にはエディとのツーショット写真があり仲間の売春婦がエディは凶暴だと暴露する。 敵の餌に食いつくなと後輩を諌めるコナー警部はエディは白と踏んだのだがビデオ検証ではエディの顔が映っていた。 日本における利益をめぐるビジネス戦争は系列との熾烈な競争なのだ。 スミスとコナーも戦場にいる。 ナカモト社のヨシダ社長を演じているのは1996年の「The Sand Pebbles(砲艦サンパブロ)」で知られたマコ岩松です。(2006年死去、両親は思想犯として投獄され米国に移住したプロレタリア活動家の画家でした)
パスポートだけ抑えて見逃したエディの様子をスミスとグレアム刑事が覗くと女体盛りの真っ最中。 そこに特殊部隊が突入し裸女も入り混じって大混乱。 赤いスーパーカー(Vector W8)で逃走するエディは炎上して黒焦げ死体が残った。 スミス警部補に目撃した事件のことを話すと電話したからか。 証拠となる無修正のディスクは誰が持っている? 終盤、オリジナルのディスクを見た警部たちはあのパーティの夜に女が二度やり二度死んだことを見つけた。 ただし関わった男は三人。 そこで藪をつついて蛇を出すことに。 ファックスで追い詰められた蛇はビルの土台のコンクリートに沈んでいった。 しかし蛇は何のために殺人を犯したのだろう。 インチキ、トンチキ、コンコンチキ!
「ライジング・サン」では長期休暇で日本に滞在し日本びいきになったコナー警部を演じたショーン・コネリーが日本通だということですが、Nancy Sinatra(ナンシー・シナトラ)がテーマ曲を歌った1967年の「You Only Live Twice(007は二度死ぬ)」では憧れのボンドガールが日本人でしたが当時その海女の配役に首をかしげたものでしたが1970年頃の浜美枝は女優というよりファッションモデルのような容姿で特出していました。 James Bond(ジェームズ・ボンド)を演じたSean Connery(ショーン・コネリー)が日本通になったのは紋付袴で結婚式までした「007は二度死ぬ」の日本ロケでしょうがそれにしちゃこの映画での日本の認識はいったいどうなってるのでしょう。天井から毒を滴らせる忍者とか。
原作は「ジュラシック・パーク」や「ER」を書いたMichael Crichton(マイケル・クライトン)でジャパンバッシング(日本叩き)として話題になった映画です。 これでも原作よりは随分と毒気を抜いて日本市場のことも考慮して抑えた演出になっているとか。 登場人物で日本人という役なら訛りがない方が良かったかも。 お軽い仕上がり、フィジャケルナー! ベリベリオコッタージョ!
Nyotaimori
反日的映画のようですが日本人から見ればパロディでもなくコメディ以外のなにものでもありません。 笑える!ですが、これを映画で観た時にはギョッとしましたよ。 「これ」とは、昨今話題(?)のNaked Sushi(その名も、女体盛り)のハシリになったんじゃ? 映画の中でもエディが「美味しい」と言っている。 おかげ様で世界中に日本文化を広めてくれ、女体盛りの写真はお堅い朝日新聞の記事にも載ったほどでした。 アメリカのシアトルや、中国の南省などで抗議受けまくり。 そりゃそうでしょ~! 日本では寿司職人には女がいないのは女性は体温が高いので魚が腐ると言われてきました。(現在は少数は存在) 板さんは刺身を扱うのに金箸を使用するほど体温が移るのを嫌がります。 以上をもって日本人の常識で考えると女体に刺身など”もってのほか”なのであります。
タイトルの「Rising Sun」は「昇る太陽→日の出」は、バブル期(?)の「日本」のことなんですかね、一説には売春宿って隠れた意味があるとか。 そのせいかどうか、ケリーがカーボーイスタイルでカラオケを歌う映画の冒頭シーンを見た時には真っ赤な色調も加味されて、「なんじゃ、こりゃ!D級ムービーか?」と思ったほど異様で、名人の和太鼓までオドロオドロしく響きましたし、全体に何だか怪しげでした。 売春婦が窒息プレイを望んで客である謎の男との行為中に絞殺される冒頭や全裸の上に刺身を並べる女体盛りなどのシーンがあるためご家族での観賞はお勧めできません。
「ライジング・サン」のトレーラーはRising Sun Trailer – VideoDetective
☆2008年発売の「ライジング・サン」のDVD
ライジング・サン DVD
「ライジング・サン」[Blu-ray] (ASIN: B003QUCYD2)もあり
Wesley Snipes
「ライジングサン」で後輩を演じたウェズリー・スナイプスは同年1993年の「Demolition Man(デモリション・マン)」で金髪の冷凍囚人だった凶悪犯のSimon Phoenix(サイモン)を演じ、1998年に「U.S. Marshals(追跡者)」では濡れ衣を晴らそうとする元CIAの特殊工作員のMark J. Sheridan(マーク)を演じていますが、この役柄は格別に素晴らしいです。 そして1990年にはSpike Lee(スパイク・リー)監督のジャズ映画「モ’・ベター・ブルース」でトランペッターを演じた後の1991年には同じくスパイク・リー監督の「Jungle Fever(ジャングル・フィーバー)」で人種差別の時代に白人(イタリア移民)の女性(秘書)と交際する悩める建築家を演じています。(白人女と黒人男がふざけているだけでパトカーが到着) 「ジャングル・フィーバー」では実生活で麻薬更生施設から出所したばかりのSamuel L. Jackson(サミュエル・L・ジャクソン)が父親に撃たれて死ぬ麻薬中毒の兄を好演してカンヌ映画祭の助演賞を受賞した一方、その兄に虐待される麻薬中毒の女を演じてHalle Berry(ハル・ベリー又はハリー・ベリー)が映画デビューしています。 Anthony Quinn(アンソニー・クイン)の他にSpike Lee(スパイク・リー)監督も主人公の旧友のサイラス役で登場しますが、1958年の「St. Louis Blues(セントルイス・ブルース)」や1968年の「Up Tight!」に出演したRuby Dee(ルビー・ディー)が建築家(スナイプス)の母親を演じています。 ちなみにウェズリー・スナイプスとケイリー=ヒロユキ・タガワは2000年のアクション映画「The Art of War(アート オブ ウォー)」でも共演しています。
Rising Sun Soundtrack
「ライジング・サン」幻のサウンドトラックは和太鼓とシンセサイザーの融合で、1973年に篠田正浩監督の映画「化石の森」など、50年代から映画音楽を手がけている作曲家のToru Takemitsu(武満徹)の音楽です。 私が初めて武満徹の映画音楽に出会ったのは映画音楽上の和太鼓の先駆者である佐藤勝と共同だったという日本ヌーベルバーグ調の1956年の「狂った果実」でした。 次は加賀まりこが出演した1962年の「涙を、獅子のたて髪に」そして、勅使河原宏が監督した安部公房原作で、ヒッチコックじゃないですがバスの乗客として武満徹がカメオ出演した1962年の「おとし穴」(坑夫役で主演した井川比佐志、白スーツの殺し屋Xで登場した田中邦衛、下宿屋の女将に日劇の奈良あけみ、すごい映画!)と1964年の「砂の女」(鬼太鼓シーン)と1966年の「他人の顔」(京マチ子の全裸にドッキリ)など1964年の「怪談」同様に怖い恐い映画音楽でした。(武満徹の死後も竹光作品を演奏した指揮者小澤征爾の夫人の入江美樹が顔半分にケロイドがある少女を演じた「他人の顔」では新橋のビアホールで17歳の前田美波里がドイツ語でテーマ曲の”Waltz”を歌うシーンあり、歌詞は岩淵達治) そして現在ではDVDなどのソフトが見つからない1968年の「燃えつきた地図」(The Ruined Map, or The Man Without A Map)があります。「他人の顔」と「燃えつきた地図」は「砂の女」と共に疾走三部作として安部公の作品で昭和25年に「世紀の会」を結成した勅使河原宏が監督しています。
「燃えつきた地図」は勝新太郎が行方不明の男を探す興信所の調査員を演じ探し人を依頼する失踪した男の妻(市原悦子)と絡みます。(”昔ばなし”そのままの悦子さんがパンツ姿で濡れ場) 勝プロを立ち上げた時期だからか、中村玉緒(勝新の実際の妻)が調査員(勝新)の別れた妻役で出演しミニスカートで脚を組み標準語で物静かに話す素敵なブティックのマダムを演じていたり、ドラマのキーとなる喫茶店”椿”の女給役の吉田日出子がゴーゴーを踊ったり、ゲバルト場面があったり、「男はつらいよ」の”マドンナ”長山藍子が前をはだけて勝新にサービスするスタジオのヌード嬢だったり、渥美清が演じる失踪者の元部下が勝新探偵に電話で首吊り自殺の実況をするなど驚きの連続。締めは勝新が名前をつけてやろうと呟く犬の礫死体。 行方不明の男はもしかして…
ちなみに上記の阿部・勅使河原の四部作では全て武満が音楽を手がけている。 もちろん武満徹はお化け映画だけでなく1962年の松竹映画「からみ合い」のようなノワール調のジャズも手がけています。(劇中にモダンジャズ・バーのシーンあり)とはいえ、1962年の武満徹音楽の映画といえば秀逸なのが「切腹」です。 一方、怖い音楽の武満徹といえば1971年に大島渚が監督した「儀式」も忘れ難い。
当時アメリカでのみリリースされたというサントラCDは現在入手困難。
Rising Sun [SOUNDTRACK] by Toru Takemitsu
♪ 試聴はRising Sun Soundtrack – Mora.jp
Rising Sun Soundtrack – Soundtrack.net
映画のストーリーを追った収録曲目は「ライジング・サン・オープニング(和太鼓)、ドント・フェンス・ミー・イン(演奏バージョン)、コナー警部のロフトへ、ウェッブ,コナーに会う、ディスクに現れたエディ、追跡、エディが殺しを目撃した、ヤクザ追跡、メドレー、バラの花びら、ウェッブの告白、エディの勝負、暴露されたミステリー、モートン上院議員、ファックスを受ける、津波」と映画のストーリーを追った内容です。
このアメリカでのみ発売されたサウンドトラックは大変短いものですが、和太鼓はもちろん、何曲かのOndes Martenot(オンデ・マルテノ)演奏を含み、「ブルー・ベルベット」などのDavid Lynch(デイヴィッド・リンチ)映画の元音響デザイナーであったAlan Splet(アラン・スプレット.)の音楽編集です。
シンセサイザーの吉田潔、津軽三味線の木下伸市、佐渡の和太鼓グループ「和魂」をフィーチャーしています。
上記の吉田潔の初アルバム、今ならお香つきの「Asian Drums(アジアン・ドラムス)」には「ライジング・サン」のサウンドトラックが収録されています。
Asian Drums
♪ Asian Drums(打)の試聴はKiyoshi Yoshida – Asian Drums – Diskunion.net
Ondes Martenot
オンド・マルトノとは吉田潔が音楽作りに使用しているデジタル・ツールの一つでオンド・マルトーノとも呼ばれるそうです。 オンド・マルトノは電気コードのついたツメで鍵盤を弾く古典的な電子楽器で1928年にフランスで開発され現代のシンセサイザーの元となりました。
Ondes Martinet 画像 – イシバシ楽器店
Jean Laurendeau and the Ondes Martenot – YouTube
Sean Connery (1930-2020)
ショーン・コネリー初めて観たのが1960年代に始まったボンド・シリーズで、8本ほどの映画でタフな英国諜報員のジェームス・ボンドを演じていました。 それ以外では 1964年にGina Lollobrigida(ジーナ・ロロブリジーダ)と共演した「Woman of Straw(わらの女)」とAlfred Hitchcock(ヒッチコック)が監督した1964年「Marnie(マーニー)」やBrigitte Bardot(ブリジット・バルドー)と共演した1968年の「Shalako(シャラコ)」など大物美人女優を相手に活躍してきました。 1990年代からは出演の他に製作総指揮も担当していますが、ボンドばりの活躍をした1996年のアクション映画「The Rock(ザ・ロック)」では元イギリスの諜報員という役でスーパー戦闘術がすごいスタンリー・グッドスピード博士を演じましたが、70歳にして文才に長けた黒人少年との交流を描いた2000年の社会派映画の「Finding Forrester(小説家を見つけたら)」ではウィリアム・フォレスターという老小説家を演じました。
ちなみにショーン・コネリーはラバウル(ニューギニア)出身のオーストラリア女優Diane Cilento(ダイアン・シレント)と10年ほど結婚して一人息子のジェイソンを儲けました。