アンソニー・クイン Anthony Quinn

Anthony Quinn (1915 – 2001)
映画俳優といえばまずは演技力は当然のこととして、美男、素敵、そしてセクシーといった形容詞が付けられることが多いですが、背丈が186 cmで92 kgという巨漢のアンソニー・クインには”渋い男”とか”男臭い男”の魅力といった言葉がぴったり合うでしょう。 イケメンとは申しませんが”いい男”なのです。 アンソニー・クインはメキシコ系アメリカ人の俳優ですからメキシコ人やスペイン人は当然ながら、日本人は無理としてもイタリア人やギリシャ人、それどころかインディアンやアラブ人や中国人、なんと悪魔までと色々な人種の役をこなしてしまうのです。(悪魔は間違えられただけだった) 3度結婚した逞しいクインは秘書との子供も含めると総勢12人の子供の父親なんだそうです。 クインは2001年に86歳で咽喉がんなどで亡くなったのでこの映画は遺作となりますが、シルベスター・スタローンが主演した2002年公開の「Avenging Angelo(ザ・ボディガード)」ではマフィアの親分アンジェロ・アリギエーリを演じました。

メキシコ系アメリカ人やメキシコとアメリカの混血俳優には古くは「Imitation of Life(悲しみは空の彼方に)」に出演したハンサムなJohn Gavin(ジョン・ギャヴィン)や最近人気の高いDanny Trejo(ダニー・トレホ)、女優ではSusan Kohner(スーザン・コーナー)、Yvette Mimieux(イヴェット・ミミュー)、Fools Rush In(愛さずにはいられない)のSalma Hayak(サルマ・ハエク)やJessica Alba(ジェシカ・アルバ)の他、監督ではRobert Rodríguez(ロバート・ロドリゲス)がいます。
アンソニー・クインは1937年に「Swing High, Swing Low(スイング)」にドンという男の役でスペイン語でヒロインに言い寄るシーンにチラリと出演しました。 「スイング」はClark Gable(クラーク・ゲーブル)をメロメロにさせたが夭逝したCarole Lombard(キャロル・ロンバード)が演じるヒロインがパナマで出会ったトランペットが上手い元兵隊との恋物語です。 成功に有頂天となって妻をないがしろにし遂には酒に溺れて仕事も失うトランペッターをDennis Quaid(デニス・クエイド)ばりに可愛いかった「Double indemnity(深夜の告白)」のFred MacMurray(フレッド・マクマレイ)が演じています。(「深夜の告白」は1920年代の不倫保険金殺人で犯人の女ルース・スナイダーがシンシン刑務所で電気椅子で処刑された写真がスクープされた事件にヒントをえた小説を映画化) 最後にキャロル・ロンバードがフレッド・マクマレイの腕の中で歌う”I Hear a Call to Arms”が泣けるシーン。 美貌のキャロル・ロンバードがギャング役が多いが元はダンサーだったジョージ・ラフトとタンゴを踊る「Bolero(ボレロ)」がすごい!
その後の1941年にリタ・ヘイワースが出演した大ヒット映画のBlood and Sand(血と砂)(1941)にタイロン・パワーが演じた闘牛士のJuan Gallardo(フワン・ガリアルド)の同僚の闘牛士でヒロイン”Dona Sol(ドニャ・ソール)”の虜となる色男のManola de Palma(マノラ・デ・パルマ)役で出演してダンス上手のリタ・ヘイワースと情熱的に踊りました。
ニヒルな色男のアンソニー・クインとセクシーなリタ・ヘイワースの「血と砂」の写真が見られるBlood and Sand Photo gallery(上段左)
その後暫くはインディアン役やギャングの手下などの端役に甘んじていましたが、1948年なってにブロードウェーの舞台でテネシー・ウイリアムズの戯曲でA Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)の粗暴なスタンリー役を演じたアンソニー・クインがPulitzer Prize for Drama(ピューリッツァー賞)を受賞したことから、Baby Doll(ベビイドール)のElia Kazan(エリア・カザン)監督に認められて、1951年の映画版欲望という名の電車でスタンレーを演じたMarlon Brando(マーロン・ブランド)と1952年にアメリカ映画の「Viva Zapata !(革命児サパタ)」で共演を果たしアカデミー助演賞を受賞したのです。
「革命児サパタ」のトレーラーはViva Zapata ! Trailer – Comme Au Cinéma
※トルコ出身のエリア・カザン監督は「欲望という名の電車」の他にテネシー・ウイリアムズ戯曲としては1956年にCarroll Baker(キャロル・ベイカー)主演で「Baby Doll(ベビイドール)」などを映画化しています。

アンソニー・クインは画家としてもメキシコでは有名ですが、1956年にThe Strange Love of Martha Ivers(呪いの血)でデビューしてTown Without Pity(非情の町)などに出演したKirk Douglas(カーク・ダグラス)が主役のVincent Van Gogh(ゴッホ)を演じたゴッホの伝記映画「Lust for Life」(イタリア語のタイトルはBrama di vivere、炎の人ゴッホ)」でPaul Gauguin(ゴーギャン)を演じてアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。
Lust for Life(炎の人ゴッホ)のトレーラーが観られるLa Vie passionnée de Vincent Van Gogh Trailer – Comme Au Cinéma
アンソニー・クインは同じく1956年にGina Lollobrigida(ジーナ・ロロブリジーダ)と共演したNotre-Dame de Paris(ノートルダムのせむし男)とか、1958年のSophia Loren(ソフィア・ローレン)と共演したThe Black Orchid(黒い蘭)などの他にもイタリア映画にたくさん出演してイタリアの美人女優たちと共演しています。

1937年 Swing High, Swing Low(スイング)
アンソニー・クインはツアーガイド役のFred MacMurray(フレッド・マクマレイ)と美人歌手の取り合いから監獄に入れられるスペイン人のThe Donとして出演しています。 1930年代と1940年代に活躍したMitchell Leisen(ミッチェル・ライゼン)監督のパナマ運河航海で余興やニューヨークのナイトクラブを舞台にしたミュージカルドラマです。
Love Letters(ラブレター)やペギー・リーの「ジャーニー・ギター」などの作曲者であるVictor Young(ヴィクター・ヤング)が音楽を担当し、マニキュア係りで歌手役のCarole Lombard(キャロル・ロンバード)やDorothy Lamour(ドロシー・ラムーア)が歌い、フレッド・マクマレイ が”観光ガイド転じてトランペッター”として出演しています。
映画に関する情報は殆ど見つかりませんがVHSビデオはSwing High Swing Low (B&W)

1962年 Barabbas(バラバ)
「主よ、全てをあなたに委ねます、私はバラバ」
ローマの属州ユダヤの総督ピラト(アーサー・ケネディ)が過越祭 (すぎこしのまつり) の特赦としての殺人や盗人の罪ではりつけの刑に処せられる予定だった極悪人のバラバを放免し、代わりにナザレのイエス・キリストが十字架にかかったという聖書のお話です。 九死に一生を得たバラバですが迫害と自己のキリストの亡霊に怯えるという地獄の苦しみの余生を送り、最後には死をもって内なる平和を得たのです。 盗賊バラバの愛人だったがイエス・キリストに傾倒し石打ちの刑で命を落とすラケルを演じたのがイタリアの大物女優であるSilvana Mangano(シルヴァーナ・マンガーノ)でした。 バラバとサハクが入れられた闘技場での超残忍なローマ戦士の隊長トルヴァルドを演じたのは戦時中の戦闘機事故で顔面崩壊し整形したという逸話の持ち主Jack Palance(ジャック・パランス)でした。 バラバが再び罪を犯したものの一度放免したので処刑できず死よりも辛い硫黄鉱山での鎖に繋がれた相棒でキリストを刑場に送ったバラバを人類の敵と罵ったが不死身の褒美として州総督ルフィオの命でローマの闘士訓練所に入れられるも闘いで倒した相手に止めを刺すのを拒み扇動と反乱の罪で極刑となったサハクはヴィットリオ・ガスマンが演じています。(バラバとキリスト教徒のサハクが生還した鉱山爆発シーンがすごい) 「バラバ」でユダヤの執政官だが信者のルシウスを演じたErnest Borgnine(アーネスト・ボーグナイン)は1955年の「Marty(マーティ)」で善良な醜男のロマンスを演じてオスカー他たくさんの映画賞を獲得しましたが、2012年7月に腎不全で亡くなりましたが95歳というご長寿でした。
なお同年にはDavid Lean(デヴィッド・リーン)監督の名作「Lawrence of Arabia(アラビアのローレンス)」でアラブの首長のAuda abu Tayi(アウダ)を演じ、Peter O’Toole(ピーター・オトゥール)やAlec Guinness(アレック・ギネス)などイギリスの俳優達と共演しました。
砂漠に魅せられた男を描いた「アラビアのローレンス」のビデオクリップが観られるLawrence of Arabia – TCM
Barabbas VHS
Barabbas by Anthony Quinn
Barabbas(バラバ)の音楽は1959年にエレオノーラ・ロッシ・ドラゴ主演の激しい季節のロマンティックな音楽を担当したMario Nascimbene(マリオ・ナシンベーネ)でサントラのAlexander the Great/Barabbasに収録されています。
Barabba Opening Credits, music by Mario Nascimbene – YouTube
※シルヴァーナ・マンガーノはミス・ローマの美人コンテストから翌年の1947年にはジーナ・ロロブリジーダやエレオノラ・ロッシ・ドラゴのようにミス・イタリアに出場しました。 イタリア俳優のMarcello Mastroianni(マルチェロ・マストロヤンニ)と恋愛関係にあったシルヴァーナ・マンガーノは映画界入りして1949年の「Riso Amaro(苦い米)」でスターダムに上り詰め、イタリアの大女優であるSophia Loren(ソフィア・ローレン)やジーナ・ロロブリジーダと並び人気を保っていました。 映画の世界に入る前はダンサーになろうとしていたシルヴァーナ・マンガーノは1955年にRobert Rossen(ロバート・ロッセン)監督の「「Mambo(マンボ)」に出演して得意のダンスを踊っています。 この映画についてはAudio-Visual Trivia内のPerez Prado(ペレス・プラード)に書かれています。

1967年 La Vingt-cinquième heure(25時)
第二次世界大戦中の1939年にドイツがルーマニアを占拠した頃を描いたルーマニア出身の作家であるConstantin Virgil Gheorghiu(コンスタンティン・ビルジル・ゲオルギュー)のべストセラー小説”Ora 25(The 25th Hour)”をHenri Verneuil(アンリ・ヴェルヌイユ)監督が映画化した仏伊ユーゴ合作映画です。 英語タイトルは「The 25th Hour」とも呼ばれますが、25時とは24時間の一日から1時間経った午前1時、宗教的な救い主が現れても解決できない精神的な不条理な時間なんだとか。(意味不明) ともかく不幸な農夫をアンソニー・クインが演じ、ハリウッドでの金髪グラマー役を嫌ったイタリア女優のクリスマスツリーのVirna Lisi(ヴィルナ・リージ)が妻を演じました。 第二次大戦時のルーマニアを舞台にドイツ・ナチスにユダヤ人のレッテルを貼られ強制収容所送りとなったブルガリア人農夫の妻奪回奮闘物語です。 収容所護衛官に自分の妻を横恋慕され収容所キャンプ生活は逃れたもののユダヤ人の家として没収させられるのを防ぐために離婚を余儀なくさせられます。 俺はユダヤ人じゃない!と脱走してハンガリーに逃げたものの囚われますが、ここでなんとナチの人類学者から今度は純然たるドイツ人のサンプルとして認められ、SS(ナチス親衛隊)入りしその写真が雑誌のカバーを飾ることになったのです。 そして終戦、農夫はドイツ人としてNuremberg(ニュルンベルク)裁判にかけられたのです。 危機一髪というところで妻の経過を綴った切々と訴える手紙に救われ8年もの長い別離の後やっともとの家族に戻ることができたのです。 ヨーロッパでの戦争につきものの人種嫌悪や差別問題を巡る家族の混乱や恋を描いた「何てこった!」ドラマです。 2002年のSpike Lee(スパイク・リー)監督の同名映画「The 25th Hour」はDavid Benioffの原作です。
「The Twenty-Fifth Hour」の音楽は「Une Fille pour L’ete(ひと夏の情事)」やJean Paul Belmondo(ベルモンド)主演の「Classe tous Risques(墓場なき野郎ども)」などの音楽を担当したGeorges Delerue(ジョルジュ・ドルリュー)です。
フランス映画の巨匠の一人であるアンリ・ヴェルヌイユは1950年代にJean Gabin(ジャン・ギャバン)主演でFrançoise Arnoul(フランソワーズ・アルヌール)が可愛かった情感溢れるDes gens sans importance(ヘッドライト)、ミレーヌ・ドモンジョ主演の「Une Manche Et La Belle(女は一回勝負する)」、パスカル・プティの「ひと夏の情事」や「L’affaire D’une Nuit(艶(つや)ほくろ)」などを監督しています。
The 25th Hour(25時)の貴重なトレーラーが観られるThe 25th Hour – TCM
イタリア語のタイトルはLa venticinquesima oraという「25時」の写真が見られるLa venticinquesima ora photos – FILM.TV.IT
アンソニー・クインの演技力が評価されたというのに日本はおろかアメリカやフランスでもMGM映画制作の「25時」のVHSビデオはもう見つかりません。

1967年 L’Avventuriero(残虐の掟)
英語タイトルは放浪者という意味の”The Rover”というTerence Young(テレンス・ヤング)監督の戦争ものイタリア映画では、「血と砂」で共演したリタ・ヘイワースの他にイタリア女優のRosanna Schiaffino(ロザンナ・スキャフィーノ)と共演しています。
「残虐の掟」の写真が見られるL’avventuriero – FILM.TV.IT
「残虐の掟」は1979年のApocalypse Now(地獄の黙示録)の原作者として知られるJoseph Conrad(ジョセフ・コンラッド)の原作の映画化でEnnio Morricone(エンニオ・モリコーネ)の音楽が知られています。

“Ian Fleming”(イアン・フレミング)原作の「007」シリーズの映画化で名高いイギリスのテレンス・ヤング監督はジェーン・マンスフィールドの「地獄の罠」やウィリアム・ホールデンの「L’arbre de Noël (クリスマス・ツリー)」やチャールズ・ブロンソン主演の「レッド・サン」など、アクション、ミステリー、西部劇や戦争映画、ホームドラマまでと幅広く手がけています。 アンソニー・クイン主演の映画としては「バラキ」も監督しています。
Rover / Movie
L'Avventuriero by Anthony Quinn
上記の画像は「The Rover」の輸入盤VHSですが、同じく輸入のThe Rover DVD(ASIN: 6317641722)やリージョンA(日本可)のThe Rover [Blu-ray](ASIN: B07KLTV8WY)が見つかります。
※「残虐の掟」のテーマはザ・ヴェリー・ベスト・オブ・エンニオ・モリコーネに収録されています。(詳細は過去記事のダミアーニの”くち紅”
L’Avventuriero Theme by Ennio Morricone – YouTube

1978年 The Greek Tycoon(愛はエーゲ海に燃ゆ)
ギリシャの大物実業家のAristotle Onassis(オナシス)と元ケネディ大統領夫人のJackie Kennedy(Jacqueline/ジャクリーン)の恋を描いたといわれるJ. Lee Thompson監督の映画版パパラッチ・ドラマで、エーゲ海の描写が実に美しく、想像を絶するブルジョワ生活を見せつけられました。 今作ではでお馴染みのアメリカ女優で名前も同じくジャクリーンというJacqueline Bisset(ジャクリーン・ビセット)がお相手を演じました。 「愛はエーゲ海に燃ゆ」の製作を担当したのは1970年のメキシコ映画「El topo(エル・トポ)」を製作したAllen Klein(アレン・クライン)でした。 ちなみに実生活でジャクリーン・ビセットは2011年に亡くなったMichael Sarrazin(マイケル・サラザン)と1968年の「The Sweet Ride(甘い暴走)」で共演してから14年も交際していたそうです。
「愛はエーゲ海に燃ゆ」のスチール写真が見られるThe Greek Tycoon Photos – IMDb
「愛はエーゲ海に燃ゆ」のVHSは「Greek Tycoon / Movie」(ASIN: 6300181731)>
字幕版VHSは「愛はエーゲ海に燃ゆ」(ASIN: B00005GURV)

☆ページトップのVHS画像の左は200年発売のビデオで、私がアンソニー・クイン主演の映画として私が初めて観た1954年のLa Strada(道)で、右はアンソニー・クインの代表作といわれる1964年のZorba The Greek(その男ゾルバ)です。
二つとも哀愁のある映画音楽が大変素晴らしく、海辺で男同士でギリシャ音楽に合わせて踊るラストシーンの曲はRebetiko(レーンベティカもしくはレンベーティカ)なんでしょうか。 それと道のヒロインをテーマにした”ジェルソミーナ”は当時はラジオでよく流れていました。
私がチェックした時に、なぜか「道」の輸入版VHSの一つ(ASIN: B00004RYS0)がアダルト商品の部門に入れられてしまっています。(外から見えないよう厳重に梱包してお届けしてくれるそうです)

1954年 La Strada(道)
道 (淀川長治解説映像付き) DVD
La Strada DVD
Il Casanova di Federico Fellini(カサノバ)」で知られるイタリア映画の巨匠の一人、Federico Fellini(フェデリコ・フェリーニ)が監督し、製作はCarlo Ponti(カルロ・ポンティ)という悲しくも感動的な人生劇です。
撮影はイタリアのローマの上(北方)に位置するリゾート地のBagnoregio Viterbo, Lazio(バーニ ディ ヴィテルボ ラツィオ)とローマ近くの右方に位置するリゾート地のOvindoli L’Aquila, Abruzzo、そして残りはローマのPonti-De Laurentiis Studios(ポンティ・デ・ラウレンティス・プロ)で行われたそうです。
アンソニー・クインが演じる大道芸人のZampanò(ザンパーノ)とGiulietta Masina(ジュリエッタ・マシーナ)が演じる売られた娘のGelsomina(ジェルソミーナ)の旅回り芸人の放浪生活を通して心を通わせられない二人の真実がラストシーンで描写されます。 懸命に演じるピエロのつくり笑い顔とその下の本当の顔は別でしょう。 トランペットと”ジェルソミーナ”のテーマ曲、そして号泣するザンパーノ。 何度か観ないと理解出来なくても、このシーンで涙の流さない人はいないでしょう。
胸が締め付けられるような旋律の「道」の音楽は哀愁たっぷりのNino Rota(ニーノ・ロータ)です。
「道」は映画史上でも必見ですがDVDが早くからリリースされています。
1998年や2002年発売の「道」は現在入手困難となってしまいました。のでリンクは2009年に発売になった日本語字幕版のDVDです。

Zampano uccide il ‘Matto’ – Gelsomina impazzisce di dolore(ザンパノがピエロを殺したことでジェルソミーナは悲嘆にくれる)などが収録されたニーノ・ロータのアルバム「Nino Rota (1911-1979)」から”Nino Rota – Suite from the ballet ‘La Strada'”が試聴出来るChandos Records – Classical CD(左のAudio Sampleが無効になっている場合は上のCD画像をクリックすると現れるWindowsMediaPlayerアイコンをクリック)
“Strada/Suite”を収録したニーノ・ロータのアルバムには”Casanova”や”Godfather”なども入った輸入盤の「Film Music by Nino Rota」があります。
それにしても気になるのはRichard Basehart( リチャード・ベースハート)が演じるIl ‘Matto'(The ‘Fool’)(綱渡りピエロ)が「世の中に無駄なものはない」とジェルソミーナを慰め思い出だという首飾りを付けてやるシーンです。 謎の”ジェルソミーナの歌”の出どころと首飾りの謎の思い出とは?
La Strada – YouTube
Zanpano, Gelsomina and Il ‘Matto’-The ‘Fool’ in La Strada – YouTube

Giulietta degli spiriti
フェデリコ・フェリーニが監督してジュリエッタ・マシーナが主演した1964年の「Juliet of the Spirits(魂のジュリエッタ)」でも音楽はニーノ・ロータです。 日本では15曲収録のOST「魂のジュリエッタ」と「Giulietta degli spiriti」がサウンドトラックとしてリリースされました。
「魂のジュリエッタ」の試聴はGiulietta Degli Spiriti Soundtrack – Amazon.com

ソフィア・ローレンと重婚罪まで侵して結婚し生涯をともにしたイタリア映画界の偉大なるプロデューサーであるカルロ・ポンティは2007年に94歳で亡なりました。 ジーナ・ロロブリジーダが出演した1950年の「白い國境線」からソフィア・ローレンが主演した1989年のTwo Women(ふたりの女)他、130本あまりのイタリア映画の制作に携わってきました。

1978年 Alexis Zorbas(その男ゾルバ)
アンソニー・クインがアメリカインディアンを演じた1970年のFlap(最後のインデイァン)の後に出演した「Zorba The Greek(その男ゾルバ)」は原作が50年代には日本にも滞在したことのあるギリシャの作家であるNikos Kazantzakis(ニコス・カザンザキス)の小説と同じく英語のタイトルは”Zorba The Greek”(ギリシャ人のゾルバという意味でフランス語ではZorba le grec)です。 映画では逞しいギリシャ人を演じ、ギリシャの伝統音楽に会わせてSirtaki(シルタキ)という豪快なギリシャの踊りを見せました。 この踊りを踊っては辛く悲しく罪深い人生を乗り切ってきたと楽天的なゾルバは言います。 ギリシャ出身のIrene Papas(イレーネ・パパス)が作家と恋仲になる喪服姿の未亡人役で出演しましたが、元娼婦らしきフランス人の流れ者で宿のマダムを演じたLila Kedrova(リラ・ケドロヴァ)がアカデミー助演女優賞を受賞しました。 ケドロヴァは1956年に「Des gens sans importance(ヘッドライト)」では連れ込み宿のマダムを演じています。
「その男ゾルバ」のあらすじ
父の遺産である石炭(亜炭)山に炭坑を掘るためにクレタ島の寒村にやってきた英国人の作家が野蛮ともいえるほど破天荒な一人の男に出会い魅せられるストーリーです。 厄病神を自称するこの図太く生きるギリシャ人をアンソニー・クインが演じていますが、映画の中盤ではゾルバが喜びのあまり衣服をかなぐり捨てて海に飛び込むシーンでアンソニー・クインのフルヌードが見られます。(遠景で後ろ姿) このシーンの後、ワイヤーなどの炭坑用具を買い付けるために大金を手にしたゾルバが町で豪遊するシーンが笑えます。 場末のキャバレーで”おじいちゃん”と呼んだ若い女給にシャンパンをおごり、花売りから籠ごと花束を買い取るとテーブルにぶちまけ、生意気なその女をゲットするのです。 大金(あぶく銭)を手にすると男がやることは各国共通。 このシーンで素晴らしいアイデアがひらめくゾルバですが代書屋に「もっか天国状態」を知らせる作家への手紙を書かせたので文盲だということが分かります。 このパラダイス手紙はソルバからの手紙を読みたいが読めないフランスから来たマダムに作家がゾルバからマダムへの”愛の告白手紙”に変更してしまいました。 ゾルバの愛を聞いて天国状態になったマダムは婚礼衣装のための白いサテンをお土産に買ってきてと返事を書くように作家に頼んだのでした。 ゾルバの天国状態は続き、早く戻るという約束は守られず、待ちくたびれて無精髭も生えた作家は以前から心をひかれていた未亡人を訪ねることとなったのです。 触れなば落ちん若い未亡人と作家はなるべくしてそうなったのです。

長引いたゾルバの天国状態はこの村に悲劇を齎しました。 未亡人を横恋慕した炭坑管理人の若い息子が作家と未亡人の恋愛を知らされ絶望から入水自殺、遺体はまだ作家がベッドに寝ている未亡人の家の前まで父や村人たちの手で運ばれ、村人は手に手に石を持ち家目がけて投げつけたので未亡人は窓を開けてこの様子を見ました。 息子の死で未亡人を恨んだ父親は息子の葬儀の日に弔いにやって来た未亡人を仲間と共に追いつめて石撃ち、老若男女の村人が取り囲んで見守るなか、代表の男がナイフをもって未亡人を殺そうと近づいた時、作家が呼びにやったゾルバが力づくで止めたのでした。 「俺について来い。」とゾルバが歩き出した時、背後で悲鳴が聞こえました。 息子の父親が自らナイフで未亡人の喉を斬りつけ殺害したのでした。(これは島の掟なのか? 目には目を、歯には歯を) その後にはソルバと作家が定宿としていたホテルの肥満気味のマダムが病死するというおまけつき。 作家の作り事を笑えない冗談と怒ったソルバと仮りの結婚式をあげたマダムでしたが具合が悪くなり、ゾルバ曰くセクシーなガラス吸玉で治療するも容態は悪化。 息も絶え絶えなマダムの部屋に次々と村人が集まり、遺品を我が者にせんとこと切れるのを待つ異様さのなか、マダムはゾルバの腕の中で亡くなりました。 嬌声をあげて遺品に群がる老婆たちに庭では男達が音楽を奏で酒盛りとまるで祭りのよう。(これはよそ者の死に際して葬儀も執り行われないという島独特の風習でしょうか) ゾルバはマダムが可愛がっていたオウムの鳥籠を手にホテルを後にしました。 このマダムの愛鳥はゾルバのアイデアである山から丸太を下ろす装置の試運転を目をまん丸くして見守ったのです。 まるでドミノのように櫓が倒れていくのを。 採掘は失敗に終わり、ゾルバに「男に必須の熱狂がない。」と言われた作家は英国に戻り本業に従事するでしょう。 ここで作家はゾルバに頼みます。 「踊り方を教えて。」 ゾルバは言いました。 「人生これまで男を愛したことはなかった。」 初めて本心から笑った作家。 ラストシーンの二人のダンスは実に感動的。
見知らぬ土地の人間や風習に戸惑いながらも作家は不屈の精神を宿した初老のギリシャの男”ゾルバ”に感服するのです。 映画の数カ所にペルシャが起源のSantur(サントゥール)をもて遊ぶシーンが見られますが、全編を通して「Third Man Theme(第三の男のテーマ)」で使用されたツィター(チター)のような音色の Bouzouki(ブズキ)の演奏でミキス・テオドラキスのテーマ曲が効果的に流れます。
2007年に発売された最新DVDはその男ゾルバ 〈特別編〉 スタジオ・クラシック・シリーズ
※ニコス・カザンツァキスの作品で映画化されたのは日曜はダメよの監督であるJules Dassin(ジュールス・ダッシン)などと共同脚本を担当した1957年の「Celui qui doit mourir(宿命)」と、Martin Scorsese(マーティン・スコセッシ)監督の1988年の「The Last Temptation of Christ(最後の誘惑)」があるそうです。
「その男ゾルバ」は地中海のクレタ島を舞台にした英国人の作家と物事に動じないギリシャ人の典型のようなゾルバとの友情物語です。 炭鉱堀に志願した女好きのソルバのたっての頼みというのは「楽器を弾いて踊る時は自由させて欲しい」でした。
「その男ゾルバ」の写真が見られるZorba il greco – FILM.TV.IT
「その男ゾルバ」のテーマ曲はギリシャ人作曲家のMikis Theodorakis(ミキス・テオドラキス)が作曲した”Sirtaki”だそうです。

Zorba The Greek – Zorba The Greek – Zorba’s Dance – YouTube
Zorba The Greek – Greek Dance Scene – YouTube
♪ Mikis Theodorakis – Zorba

ミキス・テオドラキス音楽「ゾルバ」のサウンドトラックは「Zorba the Greek (Soundtrack)
ミキス・テオドラキスの映画音楽集は「Mikis Theodorakis on the Screen

音楽が流れるゾルバのトレーラーはZorba the Greek Trailer – VideoDetective
2007年3月に発売の国内版DVDはその男ゾルバ 〈特別編〉 スタジオ・クラシック・シリーズ

アンソニー・クイン Anthony Quinn」への2件のフィードバック

  1. koukinobaabaさんはここで紹介なさっている映画は全部ご覧になっているのでしょうね。私はこの中では「道」しか観ていません。それも確かNHKの衛星放送だったと思います。
    この前近所のドラッグストアで1ドル2ドルのDVDがあると聞きましたので、掘り出し物を見つけにいこうと思っています。そうそう、クマちゃんは私より2歳上なので、体験的にはほとんど同じ時期なんですよ。

  2. NOVAさん、私の場合、Swing High, Swing Low、L’Avventuriero、La Vingt-cinquième heureは記憶にないのですが後は観ています。中学からは洋画好きで地元の名画館から有楽町の封切館までよく行ったものです。

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