ライフ・アクアティック The Life Aquatic With Steve Zissou (2004)

The Life Aquatic with Steve Zissou DVD
The Life Aquatic With Steve Zissou DVD
ビル・マーレイが深海に挑戦!
ライフ・アクアティック(2004年)

「ライフ・アクアティック」はBill Murray(ビル・マーレイ)が主演するWesley Anderson(ウェス・アンダーソン)監督の海洋コメディです。 「問題有り!」のトホホな海洋学者Steve Zissou(スティーヴ・ズィスー又はジィスー)が、親友を襲った”Jaguar Shark(ジャガーザメ)”なんてふざけた豹柄模様の怪物にリベンジするために旧式の探査船で海底深く探検するストーリーです。 どこまでふざけてるんだ!この嘘まこと?なんでこんなダメ男をみんなで許容できるのか、私にはその面白さが解りませんがエキセントリックな遊びごころ満載の摩訶不思議な映画です。

なんと、アニメ-ションで虹色のクレヨン・タツノオトシゴ、キャンディ・ガニ、ベトコン・クラゲやハチドリのような新種(珍種)のお魚なんかを創っちゃった! この海中シーンのアニメーションを手掛けたのは1993年に「The Nightmare Before Christmas(ナイトメアー・ビフォア・クリスマス)」を監督したコマ撮りアニメ作家のHenry Selick(ヘンリー・セリック)で2009年にはNeil Gaiman(ニール・ゲイマン)の児童文学を初の3Dアニメ「Coraline(コララインとボタンの魔女)」として映画化します。
ロケ地はナポリなどイタリアの海で、主役のスティーヴ・ズィスーを演じるビル・マーレーの力演とアニメ効果により、「The Royal Tenenbaums(ロイヤル・テネンバウムズ)」よりもっともっと可笑しいファンタジーなんだそうです。 とはいえ強烈すぎるキャラクターで構成される家族のグチャグチャな確執劇とも言える「ロイヤル・テネンバウム」を楽しんだ方はコメディの通でしょう。 この映画で私としては普段とは全く違う設定の女性を演じたグウィネス・パルトロウに一番驚かされました。
共演は不倫妊娠でお腹の大きな雑誌記者のジェーン役のCate Blanchett(ケイト・ブランシェット)と自称「ズィスーの息子」のネッドを演じるのはウェス・アンダーソンがテキサス大学時代に出会って共同制作を始めたという俳優のOwen Wilson(オーウェン・ウィルソン)、ズィスーの妻エレノアを演じるのは2001年の「The Royal Tenenbaums(ザ・ロイヤル・テネンバウムズ)」で母親エセルのモデルとなったAnjelica Houston(アンジェリカ・ヒューストン)、ドイツ人の技師で副司令官(ズィスーの右腕)なのにいつも二軍扱いでふてくされるKlaus Daimler(クラウス ・ダイムラー)役は「Spider-Man 2(スパイダーマン2)」でノーマン(グリーン・ゴブリン)を演じたWillem Dafoe(ウィレム・デフォー)、などです。 「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」ではホテルのポーターを演じたSeymour Cassel(シーモア・カッセル)がズィスーの親友でサメに喰われたエステバンの役です。 1986年にオリジナル「The Singing Detective(歌う大捜査線)」でミステリー作家のフィリップ・マーローを演じたMichael Gambon(マイケル・ガンボン)が海洋探検の特集記事の話をズィスーに伝え出資者を探すプロデューサーのオセアリー・ドラコーリアスを演じます。 その他、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」ではGene Hackman(ジーン・ハックマン)の妻だったアンジェリカ・ヒューストンが演じるズィスーの妻エレノアの前夫の海洋学者でゲイの傾向があるAlistair Hennessey(アリステア・ヘネシー)を演じるのはラストが壮絶なSFハエ男「The Fly(ザ・フライ)」や「Jurassic Park(ジュラシック・パーク)」でカオス理論を説く数学者のJeff Goldblum(ジェフ・ゴールドブラム)です。 1974年の「Death Wish(狼よさらば)」でブロンソンの娘をレイプする押し込み強盗役でメジャーデビューした194センチと長身のジェフ・ゴールドブラムは日本未公開でしたが1984年の奇妙奇天烈なSF映画「The Adventures of Buckaroo Banzai Across the 8th Dimension(バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー)」や1996年の「Mad Dog Time(マッド・ドッグス)」でのEllen Barkin(エレン・バーキン)と超セクシーなシーンが印象的。 ウェス・アンダーソン監督とゴールドブラムのコンビでは2014年の「The Grand Budapest Hotel(グランド・ブダペスト・ホテル)」がありますが、犬好きのゴールドブラムがストップモーション・アニメ映画「Isle of Dogs(犬ケ島)」では優雅な生活を送っていた犬のデュークの声を担当します。ビル・マーレイは犬のボスの声で出演ですが、主役のレックスは1996年の「Primal Fear(真実の行方)」で二重人格の殺人犯役が評判だったEdward Norton(エドワード・ノートン)です。(1998年の「ラウンダーズ」でのイカサマポーカー師ワーム役も壮絶、2006年の「幻影師アイゼンハイム」のイリュージョニスト役もスゴッ!) この映画「Isle of Dogs」の題名を早く続けて言うと”I love dogs.” 言語遊戯?

ライフ・アクアティックのあらすじ
ビル・マーレーが演じる52歳のS.ズィスーが監督した新作ドキュメンタリー「水中の生活」の劇場におけるプレミア上映。 パート・ワン。 この後で監督との質疑応答あり。
海軍から買い取ったという探査船ベラフォンテ号が目的地ズィスーの所有地(富豪の妻の親が出資)ペセルパダ島の海洋観測所に集結! 赤いニット帽子はチームのユニフォーム! 海に潜っていた長年の相棒エステバンがまだら模様のサメのような生物に喰われたとスティーヴが報告するとクラウスはスティーヴが潜水病か?目がおかしいと救助に向かう。
場面変わって劇場、監督が観衆の質門に答える。 「なぜサメの映像が無いのか?」 その答えは「カメラを落とした」から。 そして始まるズィスーの研究、じゃなくて復讐! しかし融資会社の条件の一つにジャガー・ザメを殺さないとある。
母をガンで亡くして父親ズィスーを探し訪ねてきたパイロットで小金持ちのネッドもチームに参加するがクラウスが怪しんで威嚇するわ、船で到着した記者のジェーンはなぜこの5年間コケまくってるのかをズィスーにインタビューしてインチキ呼ばわりするわ、無感情になったズィスーの妻は危険な冒険はゴメンだとさようなら(ボンボヤージ)するわ、で険悪なムードの中、第12話へ。

ヘネシーの海中研究所。 ここはエレノアの元ダンナのアリステア・ヘネシーの施設、そこでズィスーの追跡システムが故障したのでちょっと最高級機器を拝借してジャガーザメの追跡。 謎の信号を追跡せんと潜ってみると海底に沈んだ航空機を発見。 非警備水域(危険区域)なのに見張り役のネッドがジェーンと仲良くしてたのでフィリピン海賊に襲われてしまう。 しかし、普通じゃないズィスー、たった一丁の銃で海賊を撃退したが、製作費の入った金庫は持って行かれた。 損害を請求するヘネシー船長が曳舟して20日目にポート・オ・パトワに到着。 ヘネシーの別荘で過ごしていた妻に厚かましくも借金を申し込んだズィスーを拒絶するも窮地を救うエレノアだった、が結婚は破局。 海賊の本拠地ピン島で人質となっていた融資会社監視員ユベールとズィスー同様に襲撃されたヘネシーを救出したが取り戻した金庫は空っぽ。 ズィスーの親友を食ったジャガーザメを見つけずに帰るなとネッド、いくら27万5千ドル出資したからって。 ホー! 親子が打ち解けて乗ったボロいヘリ、ジャガーザメが現れる兆候の蛍光フエダイの群れを下に見た瞬間、思いがけない展開、ヘリの故障で海に墜落、こんな事故で唐突にネッドが死亡するなんて、ズィスーとエレノアが養子にする前に。 ネッドの水葬。 ジャガーザメらしき生体をキャッチ、みんなで潜水艦に乗り込みダイヤ・アオマグロをおとりにおびき寄せる。 蛍光フエフキダイの群れに突っ込むと、いた! 奇妙なヒョウ柄のサメが! しかしやっつけようにも、もう爆破するダイナマイトがない! が、「美しい…」とエレノア。

Bill Murray
イタリアの海で「ライフ・アクアティック」の撮影当時、ビル・マーレイは「ガーフィールド ザ・ムービー」の主人公のデブ猫「ガーフィールド」の声をなんと!現地で収録したそうです。 ウェス・アンダーソン監督とビル・マーレイは1998年に60年代のジャズやポップスを使用したサウンドトラック「Rushmore: Original Motion Picture Soundtrack」が人気だという「Rushmore(天才マックスの世界)」や2001年の「ロイヤル・テネンバウム」や「ライフ・アクアティック」の翌年の2005年にとビル・マーレイーは「The Squid and the Whale(イカとクジラ)」で制作に携わったウェス・アンダーソン監督と2006年にアニメ「カーズ」でライトニング・マックィーンの声で有名になるオーウェン・ウィルソンも出演した2007年のコメディ映画「The Darjeeling Limited(ダージリン急行)」でも組んでいますが、ウェス・アンダーソン監督はワンシーンとして使用したその序幕的超短編映画の「Hotel Chevalier(ホテル・シュヴァリエ)」でNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)を脱がしました。 ビル・マーレイが乗り損なったインドのダージリン急行で再会しお互いの信頼を築いて絆を取り戻し人生を変えるスピチチャルな旅をする全然似てないホイットマン三兄弟をオーウェン・ウィルソン、Adrien Brody(エイドリアン・ブロディ)、ジェイソン・シュワルツマンが演じます。 列車のコパートメントの移動により時空を超える「ダージリン急行」には毒蛇のコブラや人食い虎も登場し、自己チュウーな三兄弟がインドで奔放にふるまうウェス・アンダーソン好き(こうずか)向けのオタクっぽくもシュールな映画で万人がげらげら笑えるコメディではありませんが、水死した子供の葬式などインドの情景がエキゾチック。(荼毘に付している河の向こうで女たちが髪を洗っている) 父親の葬式にも来ずにずっと行方不明でヒマラヤの修道院にいる兄弟の母親がインパクトのあるアンジェリカヒューストンで、タクシーに轢かれて死んだ父親の車を修理する工場の親父を演じるのはBarbet Schroeder(バーベット・シュローダー)。 サントラではRavi Shankar(ラヴィ・シャンカール)などインド音楽が多いがベートーベンの”Symphony No. 7 in A, Op. 92(交響曲第7番イ長調作品92)”の他、ラストで流れるJoe Dassin(ショー・ダッサン)の”Champs Elysees(オー、シャンゼリゼ)”が印象的。
2012年の「Moonrise Kingdom(ムーンライズ・キングダム)」でもウェス・アンダーソン監督の映画に出演しているビル・マーレイですが、1998年の「Wild Things(ワイルドシングス)」や1993年の「Mad Dog and Glory(恋に落ちたら…)」や2001年の「Speaking of Sex(スピーキング・オブ・セックス)」など1986年に「Henry: Portrait of a Serial Killer(ヘンリー)」を映画化したジョン・マクノートン監督との作品も多いです。 私が初めてビル・マーレイを観たのは1962年にダスティン・ホフマンが女装した映画「Tootsie(トッツィー)」で俳優志望のトッツィーのルームメイトで脚本家志望のジェフ役でした。 次は「The Blues Brothers(ブルース・ブラザース)」のDan Aykroyd(ダン・エイクロイド)と共演した1984年の「Ghostbusters(ゴーストバスターズ)」です。

The Life Aquatic With Steve Zissou Trailer – IMDb
The Life Aquatic With Steve Zissou Trailer – YouTube
The Jaguar Shark in The Life Aquatic With Steve Zissou – YouTube
アメリカではManhattan と Los Angeles で2004年12月に公開されましたが、暴力的言動、ドラッグ、ヌード・シーンなどによりR指定となりました。 日本では2005年5月公開です。
R指定についてはHot’n Cool内の映画のプロダクション・コードとレイティング

1966年のテレビ番組シリーズ「The Undersea World of Jacques Cousteau(ジャック・クストゥの海中世界)」をもじって作られたそうです。
ちなみに1966年から始まったアメリカのテレビ・シリーズには「Star Trek TV Show(スタートレック)」があり、日本では「ウルトラマン」が誕生した年(昭和41年)でもあります。 「Batman TV Show」(ページでちょっと下に下がる)、「Mission: Impossible(スパイ大作戦)」、その他60年代にはTVシリーズがたくさん放映されました。

The Life Aquatic With Steve Zissou DVD
ページトップの画像は2007年発売の「ライフ・アクアティック」のDVDです。
こちらは2005年発売の「ライフ・アクアティック」の日本語字幕版DVDですが現在は入手不可です。。
The Life Aquatic With Steve Zissou DVDライフ・アクアティック コレクターズ・エディション(初回限定生産 ASIN: B0009Y293I)はビンテージ価格で現在入手困難となりましたが、2007年販売の廉価版「ライフ・アクアティック」は在庫があります。


The Life Aquatic With Steve Zissou Soundtrack
2001年のザ・ロイヤル・テネンバウムズでも音楽を担当したMark Mothersbaugh(マーク・マザースボウ)と音楽監修のRandall Poster(ランドール・ポスター)の最後のサウンドトラックです。
The Life Aquatic With Steve Zissou SoundtrackThe Life Aquatic with Steve Zissou
「ライフ・アクアティック」の音楽はDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)の初期70年代のヒット曲”Queen Bitch”などがブラジル・サンバ風のマーチとしてエンディングに使用されました。 映画の中では船のマストの見張り台で水夫役のブラジル人ミュージシャンのSeu Jorge(セウ・ジョルジ)がボウイの曲をポルトガル語で弾き語っていましたがデヴィッド・ボウイ自身の歌ではズィスー船長が息子のネッドに会った後に流れた”Life on Mars”が使用されています。
David Bowie – Queen Bitch – YouTube

Fantastic Mr. Fox by Roald Dahl (2009)
「ライフ・アクアティック」の監督及びビル・マーレイとオーウェン・ウィルソンと「ダージリン特急」のジェイソン・シュワルツマンは2011年3月に日本公開されるアニメの「Fantastic Mr. Fox(ファンタスティック Mr.FOX)」でチームを組みます。 我が家では小学校前の子供達に人気があるこのストップモーション・アニメーション(コマ撮りパペット動画)は「Charlie and the Chocolate Factory(チョコレート工場の秘密)」の原作者であるRoald Dahl(ロアルド・ダール)が1970年に出版「Fantastic Mr Fox(すばらしき父さん狐)」をウェス・アンダーソン監督がアニメ映画化したそうです。 父さん狐の声をGeorge Clooney(ジョージ・クルーニー)、母さん狐の声をMeryl Streep(メリル・ストリープ)が担当します。 サウンドトラックにはロアルド・ダール作詩の”Boggis, Bunce, and Bean(Stunt Expo 2004とGreat Harrowsford Square)”使用されているそうです。

ライフ・アクアティック The Life Aquatic With Steve Zissou (2004)」への2件のフィードバック

  1. ダーリン/Oh-Well より:

    ☆koukinobaabaさん、こんばんはー
    早速『キル・ビル VOL.1』のTBの行き来が
    叶い嬉しいです!
    先日来、多々TBの行き来が叶い励みになり
    ます、ありがとうございます。
    僕も、ブログをお披露目して漸く3ヶ月が
    経ちました、
    あれこれありました…(^^)
    例えば、
    ………(中略)………
    先ほど、
    もっと気ままに道楽探究をやって行くために(^^)、
    ブログ構築の(―何か硬い言い方だなぁ(^^))スキル、
    セキュリティ、その他あれこれをkoukinobaabaさん、
    koukinobaabaさんのブログから自分なりに学びたく、
    また、何よりも、この楽しい世界に頻繁に飛ばせて
    頂いておりますので、
    先ほど「Audio-Visual Trivia」にリンクを貼らせて頂きました。
    今後とも宜しくお願いいたしますー。

  2. koukinobaaba より:

    ダーリン/Oh-Wellさん、私もまだブログは1年経っていませんから宜しく。
    面白い画像がよく見つかりますね。 思わず笑っちゃいます。

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