ザ・クリスマス・ソング The Christmas Song

The Christmas Song: Chestnuts Roasting on an Open Fire
クリスマスシーズンにはモミの木の飾り付けから始まり、胸をときめかせて贈り物のリボンをほどくまでとても楽しい時節です。 キリスト教の伝統を重んじる国々では、日本の正月のように家族や友達と喜びを共有する大切で素晴らしい休日でもあり、現在でも慈しまれてきています。 そんな日々に欠かせないのがThe Christmas Song(ザ・クリスマス・ソング、もしくはクリスマスの歌)で、1940年代以降、Irving Berlin(アーヴィング・ バーリン)作曲の”ホワイト・クリスマス”やSammy Cahn(サミー・カーン)作詞でJule Styne(ジュール・スタイン)作曲の”Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!”そして、Winter Wonderland(ウインター・ワンダーランド)やSanta Claus Is Coming to Town(サンタが街にやって来る)などと共にクリスマスソングのクラシックとなっていてクリスマス気分を雰囲気を盛り上げてきました。

Mel Mel Torme & Robert Wells
“Chestnuts Roasting On An Open Fire…”と歌われるThe Christmas Song(ザ・クリスマス・ソング)は、1946年の”Born To Be Blue”など数えきれないほど(250以上)の曲を書いた天才ジャズシンガーのMel Torme(メル・トーメ)とピアニストのRobert Wells(Bob Wells/ボブ・ウェルズはスウェーデンのピアニストとは別人)のコンビが1946年に作った曲ですが、なんと”クリスマス・ソング”は暑い夏のある日に涼をとるため寒い冬の曲を作ったのだとか。 この時、メル・トーメは若干19歳でロバート・ウェルズは22歳だったといいますからその才能ぶりには驚きます。 Mel Torméと聞くとなんだかフランス人かと思いますが、メル・トーメの両親はロシア系ユダヤ人だそうでシカゴ生まれのアメリカ人のミュージシャンです。 メル・トーメは音楽だけではなく、売れっ子金髪グラマーだったMamie Van Doren(マミー・ヴァン・ドーレン)が主演して歌い、映画のテーマ曲を劇中で歌ったポップス歌手のPaul Anka(ポール・アンカ)や60年代ファッションの代表的なモデルになったPeggy Moffitt(ペギー・モフィット)などが出演した1959年の「Girls Town(非情の青春)」など1950年代後期には数本の映画にも出演していたほど人気アーティストでしたが、後半その容貌の変化に驚きました。
☆Chestnuts Roasting on an Open Fire…と歌われるザ・クリスマス・ソング(チェスナッツ・ロースティング・オン・アン・オープン・ファイア)の歌詞はThe Christmas Song: Chestnuts Roasting on an Open Fire Lyrics – Christmas Carols

The Christmas Song Glossary
Yule-tide:「ザ・クリスマス・ソング」に歌われている”Yuletide(ユール・タイド)”とはドイツ語の古語でいう12月24日~1月6日のクリスマスの季節のことです。 フランス語ではクリスマスのことをNoël(ノエル)と呼び、メリークリスマス!は”Joyeux Noël!(Merry Christmas!)”で、日本と同じく12月の24日と25日です。
Chestnut :”Nut”だけだと堅い木の実ですが、チェスナットは栗のことです。 古くはフランス語でマロニエ(西洋トチ)の実をマロンと呼んだそうです。(現在は栗で作るマロングラッセのオリジン)
Jack Frost :北欧神話のJokul(ヨクル)又はFinland(フィンランド)の王を意味するFornjót(フォルニョート)がオリジンといわれる雪と氷でできた英国の霜の精(霜男)です。 冬の到来と共に現れて笑い声をあげて寒気をふりまき嫌いな人物を雪女のように冷たい息を吐いて凍死させるともいわれ、姿は雪だるまのお化けだったり小人だったり、又は意地悪な氷男だったりします。 いづれにせよ英国版コロンボのA Touch of Frost(フロスト警部)ではありません。 ズバリそのまま”ジャック・フロスト”というタイトルの泣き笑いのファンタジー「Jack Frost(パパは雪だるま)」、”ジャック・フロスト”が登場する2006年の「Santa Clause 3: The Escape Clause(サンタクローズ3 クリスマス大決戦!)」
Eskimo:”エスキモーの人々のように着飾って”と歌にありますが、クリスマスに教会のミサに出かける人々は毛皮で縁取りされた冬の外套(マント)を着ることがあるからでしょう。
Mistletoe :丸みを帯びた対の葉を持つ寄生植物のヤドリギのことで、オリジンは北欧やイギリスです。 クリスマスにはこのミスルトゥーの実の付いた小枝を束ねた飾りを天井から吊るします。 北欧の神話に倣って英米などのキリスト教圏ではクリスマスにこのヤドリギの下で出会った男女はキスをしても良いそうで、1943年のビング・クロスビーのヒット曲”I’ll Be Home for Christmas”にも”Please have snow and mistletoe…Christmas Eve will find me Where the love light beams”歌われています。 末永く幸せになれますよ♪ 人気米TVシリーズ「Bones」でもSeason 3, Episode 10の「The Santa in the Slush」で出演者がキスしているシーンがあります。
Tiny Tot:Totは小さい子供のことですからTiny Totでうんとちっちゃな子供となります。
Reindeer:サンタクロースが子供たちのプレゼントを運んでくるソリをひく欧州のトナカイのことです。 サンタのおもちゃ工房は北極にあるので北極に棲んでいるCaribou(カリブー)がソリを運ぶ役目です。(北アメリカ産のトナカイ)

☆ ページトップの画像は2007年にHarperCollins(ハーパーコリンズ)から出版されたる子供向けの英語版ハードカバー本です。 生涯に250もの曲を書いたメル・トーメとボブ・ウェルズの歌詞集で、各一説ごとに描かれた挿絵は細かい描写と鮮やかな色彩を用いてファンタジーを創造する児童書のイラストレーターであるDoris Barrette(ドリス・バレット)の手になるものです。
可愛いイラストや本の中身が見られるThe Christmas Song: Chestnuts Roasting on an Open Fire – Amazon.com (※ 未見につき詳細は不明)

The Essence of Mel Tormé
メル・トーメの”The Christmas Song”は40曲を収録して2009年に発売された2枚組アルバムの「The Essence of Mel Torme」(ASIN: B002FGYJCM)です。
2009年リリースの2枚組CDの全曲目が見られるThe Essence of Mel Tormé – AllMusic.com

Nat King Cole sings Chestnuts Roasting on an Open Fire
メル・トーメ&ロバート・ウェルズのコンビが作った「The Christmas Song(クリスマスソング)」は1946年に初めてNat King Cole(ナット・キング・コール)が吹き込んだバージョンが大ヒットして人気のスタンダード曲としてクリスマスの定番となりました。 最初に録音した”The Christmas Song”はNat King Cole Trio(ナット・キング・コールのトリオ)で1946年でしたが、この後は1956年にストリングスをバックにしたバージョンなど合計4枚のアルバムを吹き込みました。

ナット・キング・コールのアルバム「Merry Christmas」(ASIN: B000026K8P)やナット・キング・コールとディーン・マーティンの「Christmas With Nat and Dean」(ASIN: B000058214)の他に1954年の映画「White Christmas(ホワイト・クリスマス)」では出演者のRosemary Clooney(ローズマリー・クルーニー)も”The Christmas Song”を歌っていて、アルバムも「Bing Crosby Sings Christmas Songs」(ASIN: B000002Q7S)やLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)の「What a Wonderful Christmas」(ASIN: B000005KPO)、Doris Day(ドリス・デイ)の「Personal Christmas Collection」(ASIN: B003O5MOMK)、Linda Ronstadt(リンダ・ロンシュタット)の「Merry Little Christmas」(ASIN: B00004Y6NB)、Connie Francis(コニー・フランシス)の「Christmas in My Heart」(ASIN: B003Z1ZJM0)、Sammy Davis Jr.(サミー・デイヴィス・ジュニア)の「Christmas With The Rat Pack」(ASIN: B009T1UK2Y)、Los Lobos(ロス・ロボス)の4枚組ボックスセット「El Cancionero Mas Y Mas」(ASIN: B00004ZDYS)、モウタウンのTemptations(テンプテーションズ)が「Give Love at Christmas」(ASIN: B000001AFU)に、などと有名な歌手たちが”The Christmas Song”をクリスマスアルバムに収録しています。

♪ Nat King Cole – The Christmas Song

The Christmas Song on Tenor Sax: The Prestige Records Christmas Collection
☆ザ・クリスマス・ソングを歌っているのはご本家のメル・トーメやナット・キング・コールやルイ・アームストロング、Bing Crosby(ビング・クロスビー)以外にも、Sammy Davis Jr.(サミー・ディヴィス・ジュニア)、女性歌手のドリス・デイ、Patti Page(パティ・ペイジ)、Connie Francis(コニー・フランシス)、そしてTony Bennett(トニー・ベネット)やAndy Williams(アンディ・ウィリアムス)、ロック・ミュージシャンならJames Taylor(ジェームス・テイラー)やJames Brown(ジェームス・ブラウン)までと歌っていない歌手はいないのではないかというほどです。 演奏バージョンになると大分少なくなりますが映画音楽のHenry Mancini(ヘンリー・マンシーニ)や軽音楽のMantovani Orchestra(マントヴァーニ)の他、ジャズ・ミュージシャンではテキサステナーのEddie “Lockjaw” Davis(エディ・ロックジョウ・デイビス)が1960年にPrestige(7 inch 45 rpm)で録音した「Eddie Lockjaw Davis / Prestige Profiles 10」でのThe Christmas Songの演奏(B面は”Santa Claus Is Coming To Town”)が素晴らしいのです。 現在はオリジナルが1953年として「The Prestige Christmas Collection: The Christmas Song (Original Jazz Classics)」(ASIN ‏ : ‎ B000000ZBU)としてCDがリリースされています。
テナーサックス奏者のEddie “Lockjaw” Davis(エディ・ロックジョウ・デイビス)の2曲とDexter Gordon(デクスター・ゴードン)とGene Ammons(ジーン・アモンズ)のバージョンが収録されている素敵なコンピレーションアルバムです。
♪ 試聴はThe Prestige Christmas Collection: The Christmas Song – Qobuz.com

Peggy Lee sings The Christmas Song (Chestnuts Roasting On An Open Fire)
私が初めてこのThe Christmas Song(ザ・クリスマスソング)に魅せられたのはPeggy Lee(ペギー・リー)がしっとりと歌ったバージョンでした。 Chestnuts Roasting on an Open Fire(暖炉の火で栗を焼いて…)と歌う落ち着いた、心地良い、郷愁に富んだ歌声は心を和ませてくれます。 本当にくつろいで、暖炉でパチパチと火がはぜるのを見ているようで実に大人のクリスマスの雰囲気です。
Peggy Lee sings The Christmas Song (1947) – YouTube

Christmas    Xmas Carousel
Christmas by Peggy Lee Christmas Carousel by Peggy Lee
Christmas – Jpc.de    ♪ Christmas Carousel – レコチョク
左の画像はEMIから2000年にリリースされた「クリスマス」で、右はオリジナルがCapitolから1960年にリリースされた「クリスマス・カルーセル」

Christmas Carousel
ペギー・リーのクリスマス・カルーセルは歌のタイトルがアルバムのタイトルとなっています。 ちなみにアルバム「Christmas」に収録されている”Christmas Song”という歌は”Chestnuts Roasting on an Open Fire”とか”Merry Christmas To You”などと表示されることもあります。
ペギー・リーのLPアルバムで”Christmas Waltz”も収録した1960年の”Christmas Carousel(クリスマス・カルーセル)”というタイトルのCDはキャピトル・レコードからリリースされたそうです。
ペギー・リーの”Christmas Carousel”という歌はレアなJulie London(ジュリー・ロンドン)の”Warm December”と共にアルバムの「Lifetime Intimate Portraits: Christmas Belles」に収録されています。

ペギー・リーのクリスマス・カルーセルなどを収録したこのCD「Lifetime Intimate Portraits: Christmas Belles」はFitzgerald、London、Clooney、Vaughan、Kittなど有名歌手のクリスマス・ソング集となっています。
Lifetime Intimate Portraits: Christmas BellesLifetime Intimate Portraits: Christmas Belles
試聴は見つかりませんが曲目リストが見られるLifetime Intimate Portraits: Christmas Belles – AllMusic.com
Christmas Carousel by Peggy Lee – YouTube

The Christmas Carousel
ペギー・リーの歌やアルバムのタイトルになっている”Carousel(カルーセル)”とは回転木馬(メリーゴーランド)のことで、西洋では感謝祭の後、広場に特別設置のクリスマスツリーに灯がともされると同時に稼働されるそうです。(東京ディズニーランドでは一年中回っています)

☆クリスマスにはプレゼントとして贈られることもあるというクリスマス・カルーセル(メリーゴーラウンド・オルゴール)はクラシック回転木馬の精巧なミニチュアで、直径30センチ弱(8-1/4)の強固プラスティック製で木馬の動きに合わせて15曲の定番クリスマスソングを奏でるオルゴールだそうです。 ☆ちなみにクリスマスにちなんだプレゼント商品に「Roman Musical & Lighted Radio with Scene Christmas Decoration(ロマン ラジオミュージカル クリスマスオルゴール」という”Jingle Bells、We Wish You A Merry Christmas、Silent Night、Deck the Halls、Joy to the World、The First Noel、Hark The Herald Angels Sing、Oh Christmas Tree”の8曲入りのラジオ型のミュージカルボックスがあるそうで、スイッチをいれるとクリスマス風景のジオラマにライトが当たって奇麗なんだそうです。(価格は100ドル程、日本では2万から2万五千円位)
Christmas Holiday Carousel – YouTube
Christmas CarouselGold Label World’s Fair Carousel
現在アマゾンで見つかるカルーセルはMr.Christmas Very Merry Carousel – Amazon.co.jp
2008年の「パニッシャー:ウォー・ゾーン」でパニッシャーことフランク・キャッスルの隠れ家の宝箱に入っていた亡き娘の形見だというカルーセル入りのスノードームが綺麗だった。

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