ジーン・アモンズ Gene Ammons

Gene Ammons aka Jug
私の好きなジャズのテナーサックス奏者は以前にも何人か記事にしましたが、まだまだいます。 それは、すぐにそれと分かるほどダイナミックでヘビーなサウンドのビバップ・テナーサックス奏者のジーン・アモンズです。 ビッグバンドからソウルまで幅広く活躍したシカゴスタイルの創始者の一人といわれるジーン・アモンズはIllinois Jacquet(イリノイ・ジャケー)やArnett Cobb(アーネット・コブ)などの派手なテキサス・スタイルに対して、洗練された表現力なのだそうです。 ジーン・アモンズもConn 10M(コーン・テン・エム)という野太いサウンドのテナーサックスを愛用していたそうですが、テナーに関してはテキサスでもシカゴでも私には共に重量感タップリに聞え、実際にどちらの吹き方がどう違うのかは全く分かりません。

Coleman Hawkins(コールマン・ホーキンス)やBen Webster(ベン・ウェブスター)、そしてLester Young(レスター・ヤング)に影響を受けたといわれるジーン・アモンズですがCharlie Parker(チャリー・パーカー)のレパートリーも演奏しています。 テナーサックス奏者としてはVon Freeman(ヴォン・フリーマン)などのシカゴ派の一人と数えられるジーン・アモンズは1945年にSonny Stitt(ソニー・スティット)やテナーサックスのDexter Gordon(デクスター・ゴードン)と一緒にトランペットのDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)も在籍していたことがあるBilly Eckstine(ビリー・エクスタイン)のビッグバンドに参加し、デクスター・ゴードンをフィーチャーしたビリー・エクスタインの「Blowing the Blues Away 1944-1947」での演奏”Blowing the Blues Away”が有名だそうです。 1949年にはWoody Herman(ウッディ・ハーマン又はウディ・ハーマン)楽団でソロとなり、1950年頃にテナーサックスのソニー・スティットとバトル・チーム(デュエット)のGene Ammons-Sonny Stitt Bandを結成して大いに人気を博しました。 Gene Ammons All Starsとしてソニー・スティットとのセッションアルバムもありますが、ジーン・アモンズはビバップからR&B、ソウルと幅広く接触したソロイストで、モード・ジャズにはあまり興味を示さなかったそうです。 1958年リリースのアルバムにはジーン・アモンズとピアニストのMal Waldron(マル・ウォルドロン)との作品だという”Blue Gene”など4曲を収録したハードバップ「Blue Gene」(試聴できる1991年のCDはASIN: B000000YAR)がありますが、1958年から1968年の間に麻薬所持で2度の服役がアモンズのキャリアを中断させたと言われます。 1969年に復帰した時にはそれまでの演奏スタイルをちょっと変えてファンクやアバンギャルドにも挑戦したそうですが出所後5年して末期骨癌のため49歳で亡くなりました。

Good-Bye
1940年代にPaul Whiteman(ポール・ホワイトマン)やBenny Goodman(ベニー・グッドマン)などの編曲者としても有名なGordon Jenkins(ゴードン・ジェンキンズ)が1935年に作曲した”Goodbye”という物悲しい曲がありますが、その曲を吹き込んで間もなくの1974年にジーン・アモンズは亡くなりました。 テナーサックス・バトルも良いですが、私はジーン・アモンズが演奏するジャズのスタンダードが大好きです。
“Goodbye”の試聴が出来る解説はGene Ammons Goodbye Review – BBC Music
※私が好きなゴードン・ジェンキンズのヒット曲には1949年にThe Andrews Sisters(アンドリュース・シスターズ)が歌った”I Can Dream, Can’t I”や、Louis Armstrong(ルイ・アームストロング)の”Blueberry Hill”、そしてSusan Hayward(スーザン・ヘイワード)が主演しVictor Young(ヴィクター・ヤング)が音楽を担当した同名の映画「愚かなり我が心」のテーマソングが1950年にビルボードにチャートインした”My Foolish Heart”などがあります。(ボーカルではBilly Eckstine(ビリー・エクスタイン)が一番ヒットしたがテナーサックス演奏では1975年のStan Getz(スタン・ゲッツ)があります) 1949年の映画「愚かなり我が心」がお気に召さなかった原作者のJerome David Salinger(サリンジャー)はこの後映画嫌いになったとか。

ListenLP盤「Chicago’s Boss Tenors 1948-1956」からジャンプブルースのテナーサックス奏者のTom Archia(トム・アーチア)とジーン・アモンズが演奏するThe Battleが聴けるWFMUラジオのプレイリストはBob Brainen’s playlist – January 6, 2008(Tom Archia and Gene Ammonsの行で最後の1:28:34 (Real) をクリック)
ジーン・アモンズがスキャットを入れている78回転のAbdullah’s Fiestaが聴けるWFMUラジオのプレイリストはPlaylist for Marc Grobman – June 2, 2002(Listen to this show: RealAudioをクリック、クリップ・ポジションを33:35に移動)
は2005年リリースCDアルバムの「1947-1949」や「”Jug” Sessions」、そして「You Can Depend On Me」(Quadromania Jazz)などに収録されています。

☆レアな1947年の”Blowin’ Red’s Top”や1949年の掛け合い入りの”Brother Jug’s Sermon”から1947年のボーカル入りの”Hold That Money”、”Old Folks”や”Street Of Dreams”のようなバラード、そしてMary F. Grahamらしき歌手のヴォーカルでセンチメンタルな”Bless You”をGene Ammons & His-Sextetの演奏などが聴けます。 なぜ”Grahamらしき歌手なのかというと”ジーン・アモンズのアルバム「1947-1949」や「Jug And Sonny」ではMary F. Grahamが歌っているのですが、ピアニストのChristine Chatmanも歌っているそうなのでどっちだか私には分かりません。
ジーン・アモンズの1940年代後期と1950年代初期の演奏が聴ける!
(検索窓にGene Ammonsと入力、曲名をクリック)
Gene Ammons – Jazz On-line

ジーン・アモンズのアルバム

Fine and Mellow
ページトップはボスと呼ばれるだけあって凄みのあるジーン・アモンズの顔をカバー画像にしたアルバムです。 ボスが監獄から出てきた1969年から癌で死去するまでが晩年ですが、Ron Carterのベース、Hank Jonesなどの電子ピアノ、Billy Cobhamのドラムなどが参加した1972年の録音だそうです。 ”Fine and Mellow”をはじめ、”奇妙な果実”や”God Bless the Child”、そして”Lady Sings the Blues”などBillie Holiday (ビリー・ホリディ)の持ち歌から4曲を収録したファンキーなアルバムです。
MP3アルバムの試聴はFine and Mellow – Amazon.co.jp (MP3 Download)

Blowing The Blues Away 1944-1947
ジーン・アモンズとデクスター・ゴードンが競演したビリー・エクスタインのアルバムは、歌はもちろんビリー・エクスタインですが、テナーサックスにデクスター・ゴードンとソニー・スティット、トランペッターのMiles Davis(マイルス・デイヴィス)やDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)の他に、ドラムにArt Blakey(アート・ブレイキー)など豪華メンバーです。

Boss Tenors: Straight Ahead from Chicago 1961 – Gene Ammons with Sonny Stitt
オリジナルの録音は1961年というジーン・アモンズとソニー・スティットという2大アルト&テナーのサックス・バトルが熱いシカゴで録音したセッションの名盤です。
Boss Tenors by Gene Ammons and Sonny StittBoss Tenors: Straight Ahead from Chicago 1961
一番人気の”Canadian Sunset”、私の好きな”Blue Ammons”、”My Romance”などを収録した1960年にピアノのTommy Flanagan(トミー・フラナガン)が参加しているセッション・アルバムの「Boss Tenor」とは別のCDです。(このアルバムも素晴らしい)

Goodbye – Gene Ammons
アルバムのタイトル曲となっている前述の”Goodbye”の他、”It Don’t Mean A Thing”や”Geru’s Blues”などを収録したジーン・アモンズ遺作アルバム(2002年リリース)で演奏メンバーにコルネットのNat Adderley(ナット・アダレイ)、ピアノのKenny Drew(ケニー・ドリュー)、ドラムのSam Jones(サム・ジョーンズ)等が参加しています。
Goodbye - Gene AmmonsGoodbye

The Prestige Gene Ammons Sessions
Angel Eyes: Greatest Hits, Vol. 1: The Sixties
Greatest Hits by Gene AmmonsGreatest Hits, Vol. 1: The Sixties
1988年にPrestige(プレスティッジ)からリリースされたバラードを集めたアルバム「Greatest Hits, Vol. 1」には、代表曲のCanadian Sunsetはもちろんのこと、ちょいとファンキーな”Blue Ammons”やとろける”My Foolish Heart”などの他に私の好きな”Angel Eyes”が収録されています。 この曲を聴くと私はドリフのカトちゃん状態になるのです。 加藤茶はタブーを聴くと「ちょっとだけよ」を始めます。(私はトロけるだけで片足は上げません)
ビバップもいいですが私はしっとりとジーン・アモンズのソロを聞かせるこのアルバムが一番のお気に入りです。 ”Twisting the Jug”などのB-3ハモンド・オルガンはWillis “Gator” Jackson(ウィリス・ジャクソン)のアルバムの「Together Again!」でも”Angel Eyes”を演奏しているJack McDuff(ジャック・マクダフ)です。 1963年にジャック・マクダフのバンドに後にフュージョンに移ったギタリストのGeorge Benson(ジョージ・ベンソン)が参加してアルバム「George Benson/Jack McDuff」をリリースしましたが、マクダフといえば、ソニー・スティットも参加しているジーン・アモンズのアルバム「Soul Summit」の”Shuffle Twist”好きです。
“Angel Eyes”はMatt Dennis作曲Earl Karl Brent作詞のジャズ・ブルースで50年代の後期にChet Baker(チェット・ベイカー)やFrank Sinatra(フランク・シナトラ)が歌い、トランペッターのKenny Dorham(ケニー・ドーハム)も「Kenny Dorham Sings and Plays: This Is the Moment!」で唯一歌った他、メローなギターのBarney Kessel(バーニー・ケッセル)やMJQ(The Modern Jazz Quartet)がアルバム「Best Of The Early Years」や「The Complete Collection」などに収録、白人ジャズピアニストのDave Brubeck(デイヴ・ブルーベック)等も演奏している人気ナンバーです。
Gene Ammons – Angel Eyes (Angel Eyes) – YouTube

Gene Ammons Sings
ジーン・アモンズのテナーサックスの演奏はもちろんですが、私はジーン・アモンズの渋い歌声も大好きです。 ”歌う”ジーン・アモンズ!
1950年にテナーサックス・バトルでジャンプ・ブルースを呼応演奏したソニー・スティットの「Stitt’s Bits: The Bebop Recordings, 1949-1952」ではジーン・アモンズがテナーとバリトンサックスを吹く他になんと”Sweet Jennie Lou”と”Round About One A.M.”を歌っています。(サイト内のソニー・スティットのページで試聴可)
Prestige First Sessions, Vol. 2
こちらもソニー・スティットの初期のビバップ・アルバムで、ロマンティックな”If The Moon Turns Green”などTeddy WilliamsやLarry Townsendのボーカル曲も収録されてます。
試聴はPrestige First Sessions, Vol. 2 – CD Universe

Gentle Jug, Vol. 2
ごく最近聴いた1995年盤「Gentle Jug, Vol. 2」では”Don’t Go To Strangers”と”A Stranger In Town”が素晴らしかった。 このアルバムはジーン・アモンズのSomeone To Watch Over Meが収録されている60年代初期のセッションを集めたソウル&クールな”The Gene Ammons Story: Gentle Jug”に続き、1960年から1971年代までのPrestige録音の荘厳なバラード演奏を集めてあります。 あのロマンティックな1962年のAngel Eyesをはじめ、ディジー・ガレスピーも演奏している”You Go to My Head”や”My Romance”などのジャズスタンダードが聴けます。 メローな”Born To Be Blue”はAngel Eyes、My Foolish Heart、Blue Velvetなどと共に「Gentle Jug, Vol. 3」に収録されています。
“Willow Weep For Me”や”You’d Be So Nice To Come Home To”など16曲を収録して1994年にプレステージからリリースされた「Gentle Jug 1」(ASIN: B000000ZDD)は全曲試聴できます。
Gene Ammons with Jack McDuff on organ – Born To Be Blue – YouTube

☆上記以外のジーン・アモンズの有名なアルバムには、Canadian SunsetやBlue Ammonsを収録した1960年録音のBoss Tenor [12 inch Analog](ヴィンテージ価格で2万円弱) 、1952年のLP盤「Golden Saxophone」 (Savoy)、廃盤ヴィンテージとして8千円から2万円ほどの価格が付けられている1957年の「Funky」(Original Jazz Classics)などがあるそうですが、CDでは人気の”Jungle Strut “、”The Jungle Boss”や”Son Of A Preacher Man”を収録した1969年の「The Boss Is Back」 (Prestige 試聴はASIN: B000000ZE0)や、You’d Be So Nice To Come Home Toを収録したアルバムにはLPレコードの「Nice an’ Cool」 (1961)と「The Soulful Moods of Gene Ammons」(1962)をCD化した1992年リリースの「The Gene Ammons Story: Gentle Jug」、「Hittin’ The Jug Prestige Profiles, Vol… 」、「Up Tight! 」、1973年録音の「Brasswind」などまだまだたくさんあります。

ジーン・アモンズ Gene Ammons」への7件のフィードバック

  1. 1年ぶりのご無沙汰です。
    King CurtisにGene Ammons,,,こたえられません! 後期Ammonsは勿論円熟してすばらしいですが、ごく初期のBilly Eckstine Orch.の Blowin’ The Blues AwayでのDexter Gordonとの史上有名なテナーバトルは最高ですよ!! Dexterのバップフレージングに対してAmmonsは、どこか親しみがあてソウルっぽいのです。この曲には2テークあって
    どちらも甲乙つけがたい出来です。
    AmmonsこそソウルテナーNo.1ですね。
     他にもソウルっぽいのは、Ike Quebec,Eddy Lockjaw Davis,David Newman 、Fred Jackson, Houston Person,Eddie Williams などなど、、、 
    これからも楽しみにしています。

  2. King Curtis以来、1年ぶりのご訪問でしたか、ハロウィーンの時期ですね。
    IWillis Gator Jacksonは記事にしましたが、ke Quebecは私も好きでそのうち記事にしたいと思っているテナーマンです。

  3. 実はパソコンもまり見ないタチなので、ブログ作成などとても無理です。baabaさんの手際ぶりに驚嘆しています。Willis Jackson もJohnny Hodges もDuke Ellington もみんな出ているのですね! 勿論Hank Crawford はご存知でしょうね。14,5年前来日して青山のクラブに聞きにいきました。私たちの席に来てくれて話したのがいい思い出です。彼のSoul of the Ballads は世の中の五万とあるBallad集の中でも最高の1枚と思います。Ink Spots の持ち歌であるWhispering Glass などであの泣き節が堪能できます。
    それから、T-bone Walker! これもあったとは知りませんでした。しかもこんなに映像もあるのですか?
    早速見てみます。いろいろな情報を教えていただき感謝感謝、、、、
    (私のT-Bone のNo.1は Woman You Must Be Crazy. ギターといい、歌唱といい、T-Boneは私の神様です。)

  4. レコードを聴いたりライヴを見に行ったり友人たちと歓談をするというリアルな世界で生きておられる素晴らしい方ですね。
    現在はヴァーチャルな体験で紛らわせている私には羨望の生活です。
    Ink Spotsは大好きですがHank Crawfordについてはこれからチェックします。

  5. Ink Spots もお好きでしたか??  Wee three, I don’t want to set the world on fire, There goes my heart, If I didn’t care 、Street of dreams 等の名曲が素晴しいですね。いつも同じパターンのリズムと、途中の語りもいいですが、やはりlead vocal だったBill Kennyの歌のうまさがすごい。彼が独立してソロシンガーとしてのLPも数枚ありますが、やはり得意のファルセットヴォイスが最高です。

  6. 私はInk Spotsはロマンチックだから大好きですが、若いリスナーにも人気があるのでしょうかね。何を聴いてもうっとりします。

  7. 残念ながら若いリスナーは皆無に近いのではないでしょうか? といっても私もInk Spotsを知ったは若くなくなってからでしたから、聴くチャンスさえあれば 若い人にも人気が出ますよ、きっと。

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