ディジー・ガレスピー Dizzy Gillespie

Dizzy’s Dream Band (1982) DVD
Dizzy Gillespie DVD
Dizzy Gillespie at Lincoln Center (with Gerry Mulligan, Max Roach, Milt Jackson, Grady Tate, Curtis Fuller et al.)

ディジー・ガレスピー(1917年 – 1993年)
Louis Armstrong(ルイ・アームストロング)の真似から演奏を始めたという、トランペット奏者のJohn Birks Gillespie(ディジー・ガレスピー)は、上向きに折れ曲がったトランペットで頬を膨らます独特な奏法と、伊達眼鏡・ベレー帽・山羊ひげの風変わりなファッションで1940年代から活躍したジャズエンターテイナーです。 ディジー・ガレスピー、ベースのMilt Hinton(ミルト・ヒントン)、アルトサックスのCharlie Parker(チャーリー・パーカー)、ピアノのThelonious Monk(セロニアス・モンク)そしてドラムのKenny Clarke(ケニー・クラーク)による1941年のニューヨークのクラブでの演奏がBe-Bopの誕生とされています。
Dizzy Gillespie’s custom Martin custam trumpet
折れ曲がったトランペットがCDのカバー画像となっているアフロ・キューバンの色濃い「Swing Low Sweet Cadillac」でオリジナル録音は1967年のライヴ盤で”Mas Que Nada (Pow, Pow, Pow)”も収録されています。テナーとアルトサックスのJames Moody(ジェームス・ムーディ)が参加していますが”Something in Your Smile”ではディジー・ガレスピーの歌が聴けます。(試聴はASIN: B000003N85)

Dee Gee Plays Birks Works
Birks Works (バークス・ワークス)は1957年にディジー・ガレスピーが作曲したジャズのスタンダードの一つです。 曲のタイトルとなっている「Birks Works (バークス・ワークス)」のBirksは、本名をJohn Birks(ジョン・バークス )というJohn Birks Gillespie(ガレスピー)のミドルネームで、DizzyはFrankie Fairfax(フランク・フェアファクス)バンド時代のあだ名で、落ち着いていないガレスピーに、バンドメンバーがWhere’s Dizzy?と言ったことからそう呼ばれるようになったそうです。
バークス・ワークスの他にディジー・ガレスピーが作曲に関わった曲は1943年にSalt Peanuts(ソルト・ピーナッツ)とWoodyn’ You(ウディン・ユー)、1942年頃にA Night In Tunisia(チュニジアの夜)やGroovin’ High、1945年にDizzy Atmosphere、1948年のManteca(マンテカ)とThings To Come、1956年にCon Alma(コン・アルマ)、Bebop(ビバップDizzy Gillespie -Sonny Stitt and Stan Getz)などです。
Dizzy Gillespie – A Night In Tunisia – YouTube

Listenディジー・ガレスピーの40年代の曲、Groovin’ High、all the things you are、Salt Peanutsなどが聴けるDizzy Gillespie – A Jazz Anthology

video曲がったトランペットでThings To Comeを熱演するディジー・ガレスピーのビデオが観られるDizzy Gillespie - TheJazzPage(上のメニューのVideosからSingle Videosをクリック、ページなかほどのDizzy Gillespie Big Bandで1968年のコペンハーゲンでのTVコンサート映像)

Birks Works by Dizzy Gillespie
バークス・ワークスは試聴ができるこの盤が最高!ミュート・トランペットの迫力を聴いて下さい
Dizzy's Big 4Dizzy’s Big 4
アナログの「Dizzy’s Big 4 [Analogue]もあります。
Russian Lullaby(ロシアの子守唄)はIrving Berlin作曲、Jitterbug Waltz(ジターバグ・ワルツ)はFats Waller作曲、Hurry HomeとSeptember Song以外はディジー・ガレスピーの作曲です。
“Dizzy’s Big 4″のメンバーはガレスピー(trumpet)とRay Brown(bass)、Mickey Roker(drums)、Joe Pass(guitar)です。

Birk's Works:Birk’s Works: Verve Big Band Sessions
バークス・ワークスはディスク2の1番を試聴
このセッションではアルトサックスのPhil WoodsとErnie Henry、トランペットのLee MorganとQuincy Jones、トロンボーンのAl Grey、ピアノがWalter Davis Jr.とWynton Kelly、そしてドラムがCharli Persip

Dizzy in Paris: Dizzy plays “Night and Day”
“Night and Day(夜も昼も)”といえば(コール・ポーター)が1932年にミュージカルのために書いて、1946年のポーター伝記映画の題名となった有名な曲ですが、Frank Sinatra(フランク・シナトラ)やBing Crosby(ビング・クロスビー)など多くのジャズシンガー達がカバーしています。 Sammy Davis, Jr.(サミー・ディヴィス・ジュニア)のアドリブで”アッ、アッ”と合いの手が入るバージョンがユニークです。 演奏で、私がこれは名盤だ!と思うのは、RCAからリリースされたビッグバンド・ビバップのLPで長いこと絶盤だったオリジナルが1951年の「Dizzy In Paris」です。 ディジー・ガレスピーが初めて吹き込んだ1937年や1946年、1947年から1949年の録音で、テナーサックスにレスター・ヤングに替わってデューク・エリントン楽団に入ったDon Byas(ドン・バイアス)が参加しています。(1952年パリ録音のLauraが秀逸) ディジー・ガレスピーのトランペット演奏が素晴らしいCole Porter (コール・ポーター)の名曲の”Night and Day(夜も昼も)”などのスタンダード曲が収録されているこのパリ録音盤のCDは1999年に発売されています。 この「Dizzy in Paris」と「The Dizzy Gillespie Story」の2枚のLPを合わせた2枚組CDには「The Dizzy Gillespie Story/Dizzy in Paris
」(ASIN: B000050IFS)があります。 最も有名なのは1967年の「Live at the Village Vanguard – Dizzy Gillespie」(ASIN: B000005HAZ)でディスク1の最初の曲が”Birks’ Works”です。(試聴はhttp://www.allmusic.com/album/live-at-the-village-vanguard-mw0000096712)
ちなみに私が”Night and Day”のために過去に間違えて購入してしまったアルバムには「Jazz In Paris, Vol. 84: Dizzy Gillespie & His Operatic Strings Orchestra」と「Groovin’ High」があり違う演奏バージョンでガックリでした。
Dizzy Gillespie & His Operatic Strings – Night and Day (Dizzy in Paris) – Amazon.co.jp (MP3 Download)
Dizzy in ParisDizzy in Paris [Ember]
アルバムの試聴はDizzy In Paris – Amazon.com
1973年のLP盤もあり。(ASIN: B000LZUQU8)

The Real Thing
ディジー・ガレスピーのディレクターだったジャズ・ピアニストで作曲家のMike Longo(マイク・ロンゴ)が作った”Alligator”などを収録しているアルバムは2010年に逝去したテナーサックス奏者のJames Moody(ジェームス・ムーディー)が参加している1971年の「The Real Thing」です。(2012年の輸入盤アナログLP(ASIN: B0043A0SIW)が入手可能) このアルバムにはロンゴの作曲では”Alligator”の他に”Matrix”、”Soul Kiss”、”Let Me Outta Here”、”Ding-A-Ling”が収録されています。

スウィングとバップの融合! オリジナルはアルバム「Montreux ’77(Dizzy Gillespie Jam)」をリリースしたMontreux Jazz Festival(モントルー・ジャズ・フェスティバル)と同じ1977年に発売されたスイングジャズ(スウィングジャズ)の王様「Count Basie(カウント・ベーシー)」とディジー・ガレスピーのジョイントCD
演奏はカウント・ベーシーのピアノにディジー・ガレスピーのトランペット、ベースもすごい!Ray Brown(レイ・ブラウン)そしてドラムがMickey Roker(ミッキー・ローカー)のカルテットです。
The Gifted OnesThe Gifted Ones
デキシージャズの聖ジェームス病院はパーフォーマンスではCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)が一番ですが演奏ではディジー・ガレスピー! 私が購入した”St. James Infirmary(聖ジェームズ病院)”などを聴いてみて下さい。

オリジナルが1948年録音のLP盤ではハヴァナ出身のコンガ奏者であるChano Pozo(チャノ・ポソ)をフィチャーしてMiles Davis(マイルス・デイヴィス)の演奏でもお馴染みのRound About Midnightや、ガレスピーの定番曲でもあるMantecaやGood Baitの他、しっとりと聴かせるCan’t Get Startedを収録したグルーヴィーなアルバム。
Dizzy Gillespie Live with Chano PozoDizzy Gillespie And His Big Band (Live)
試聴はDizzy Gillespie and His Big Band – AllMusic.com

ディジー・ガレスピーをフィチャーしたChano Pozo(チャノ・ポソ)のキューバン・バップのオリジナルは1948年のアルバム「Manteca: The Real Birth Of Cubop」にはレアなTabooが収録されています。
“Manteca”(スペイン語でバターやラードなどの油脂という意味だとか)という曲はページトップにリンクした”Tin Tin Deo”はMachito(マチート)と同じくキューバ出身でラテンジャズの創始者ともいわれるパーカッション演奏家のChano Pozo(チャノ・ポソ)がディズのために作曲したと聞いたのですが、アレンジャーのGil Fuller(ギル・フラー)とチャノ・ポソの共作だそうです。(題名のtin tin deoとは譜面が読めなかったチャノ・ポソがコンガをティン・ティン・デオ、ティン・ティン・デオとコンガを叩きながら作曲したのをガレスピーたちが譜面に書きとめたから) 二人でルンバ!ティンティンデオ! 1949年にJames Moody(ジェームス・ムーディ)が最初にレコーディングしたそうですが、1961年にはテナーサックスのEddie “Lockjaw” Davis(エディ”ロックジョウ”デイヴィス)やJimmy Forrest(ジミー・フォレスト)もアルバムに収録しています。 これらの曲は1947年の秋にCarnegie Hall(カーネギー・ホール)に於いてチャノ・ポソをフィーチャーしたディジー・ガレスピー・ビッグバンドで演奏されました。 チャノ・ポソはその後にニューヨークのハーレムの酒場で起きた麻薬取引のトラブルにより惜しくも33歳で殺害されています。
Manteca: The Real Birth Of Cubop by Chano Pozo and Dizzy GillespieManteca: The Real Birth Of Cubop
Dizzy Gillespie & Chano Pozo – Manteca – YouTube

Dizzier and Dizzier
1996年にリリースされたCool BreezeやIn The Land Of Oo-Bla-Deeなどのディジー・ガレスピーのヴォーカルも入ったBebopper必携のリマスター盤にはしっとりと聴かせるアルバムタイトル曲のDizzier and Dizzierや定番のNight in Tunisiaをはじめ、Johnny Hartman(ジョニー・ハートマン)のボーカルでYou Go To My HeadやThat Old Black Magic、そしてLover, Come Back to MeやSt. Louis Bluesなどを収録しています。 RCA・ビクタースタジオでの1946年と1949年の録音を集めたアルバムのメンバーにはアルトサックスにはErnie Henry(アーニー・ヘンリー)など、テナーサックスにJames Moody(ジェームス・ムーディ)など、トロンボーンにはJ.J. Johnson(JJジョンソン)など、ビバップしている”52nd Street Theme”でのイントロのヴァイブはMilt Jackson(ミルト・ジャクソン)、ピアノにはAl Haig(アル・ヘイグ)など、ベースにはRay Brown(レイ・ブラウン)など、ドラムにはKenny Clarke(ケニー・クラーク)などと当時の豪華のサウンドが聴けます。
試聴はDizzier and Dizzier – Amazon.com

Plays In Paris
1952年と1953年のパリ録音を収録したアルバム「Plays In Paris」の”Afro Paris”では雄叫びが聞えますが、ボーカルはディジー・ガレスピーとチャーリー・パーカーのお気に入りのJoe “Bebop” Carroll(ジョー・キャロル)です。(1949年から1953年にはディジー・ガレスピーと組んでいたスキャット上手のジャズボーカリスト) 「Fats Navarro: Fat Girl-The Savoy Sessions」というLPに吹き込まれたのですが、”キャロル”という曲のタイトルからクリスマスソング集にも収録されているFats Navarro(ファッツ・ナヴァロ)とTadd Dameron(タッド・ダメロン)の”A Bebop Carroll“のもととなった歌手です。(上記のリンクでオーディオクリップの47:20) ディジー・ガレスピーとの掛け合いがユーモラスな”Swing Low Sweet Cadillac”は収録されていませんが、”Oo-Bla-Dee”は聴けます。 このリマスター盤には”Afro Paris”の他にも別テイクバージョンが何曲か収録されているそうです。

Dizzy on the French Riviera
フランスのリビエラで1962年にディジー・ガレスピーがボサノヴァやサンバなどのブラジル音楽を取り入れて録音したアルバム「Dizzy on the French Riviera」(ASIN: B001UE27U6)です。 編曲は「Les félins(危険がいっぱい)」や「Mission: Impossible(ミッション・インポッシブル)」などの映画音楽でも知られたLalo Schifrin(ラロ・シフリン)で、Antonio Carlos Jobim(アントニオ・カルロス・ジョビン)のChega de Saudade(No More Blues)やDesafinadoを含む7曲を収録しています。
数曲が試聴できるDizzy on the French Riviera – CDandLP.jpDizzy on the French Riviera – Piquant.jp

Dizzy Gillespie in Jivin in Be-Bop (1946)
ディジー・ガレスピーが1946年にビッグバンドを率いて出演した戦後のモノクロ映画にはジャズと妙チクリンなセクシーダンスが融合した「Jivin’ in Be-Bop」があり、ガレスピー楽団は”Salt Peanuts”や”Oop Bop Sh’Bam”などボーカル曲を含めて15曲以上を演奏しました。(ガレスピーのペットはまだ曲がっていません) ベースのRay Brown(レイ・ブラウン)、ヴィヴラフォンのMilt Jackson(ミルト・ジャクソン aka BAGS)、テナーサクッスのJames Moody(ジェームス・ムーディ)、ヴォーカルではHelen Humes(ヘレン・ヒュームズ)などが出演しています。
女性ジャズ・ヴォーカリストのヘレン・ヒュームズ(1913年-1981年)はブルースの巨匠の演奏を集めたビデオの「American Folk Blues Festival 1962-1969 Vol.3」にもヘレン・ヒュームズの映像を見ることができます。 ヘレン・ヒュームズはセクシーな黒人ブルース歌手として1926年頃からブルースを録音して音楽活動を開始、1937年から1938年にHarry James(ハリー・ジェームス)楽団と吹き込み、1938年から3年間はJimmy Rushing(ジミー・ラッシング)がブルースを歌っていた頃のCount Basie’s Orchestra(カウント・ベイシー楽団)の専属歌手となってバラードを専門に歌ってスイング時代には大活躍しました。 戦後はウエストコーストで活動し、1960年に入ってシロフォン(後にビブラフォン)奏者でMildred Bailey(ミルドレッド・ベイリー)の夫君だったRed Norvo(レッド・ノーヴォ)ともツアーしています。

1958年のマルセル・カルネ監督のフランス映画「Les Tricheurs(危険な曲り角)」では、Ray Brown、Roy EldridgeColeman HawkinsOscar Petersonなどとサウンドトラックを担当しています。 又新しいところでは1999年のマット・デイモン、グウィネス・パルトロウとジュード・ロウが出演した「The Talented Mr. Ripley(リプリー)」では”The Champ”を作曲及び演奏しています。

Something Old, Something New (1963)
1960年代のディジー・ガレスピーのアルバムでは最高の声もある「サムシング・オールド、サムシング・ニユー」(試聴は ASIN: B000006P6V)には”Bebop(ビバップ)”や”Dizzy Atmosphere(ディジー・アトモスフェア)”や”November Afternoon(ノーヴェンバー・アフタヌーン)”など全9曲を収録していて、サックスのジェームス・ムーディも参加しています。 このアルバムはトロンボーン奏者のThomas S. McIntosh(トム・マッキントッシュ)がガレスピーに”November Afternoon”、”The Day After”、”Cup Bearers”という3曲を提供(作曲)しています。 ちなみに”November Afternoon”は試聴が出来るコンピレーションアルバムの「The Best of Verve Records」(ASIN: B00JS47KJI)にも収録されています。

Happy Birthday, Dizzy Gillespie! (Born on October 21, 1917)
2010年は1993年に75歳で亡くなったディジー・ガレスピーの没後17年目ですが、ディジー・ガレスピーの誕生日は10月21日です。 検索エンジンのGoogleが粋なはからいで1日だけトップページのロゴに上向きのトランペットを吹くディズの画像を使用しました。(トランペットと膨らんだホッペは柑橘系で紺と緑を基調にした地味な画像)