ケティ・レスター Ketty Lester sings Love Letters

Love Letters
Ketty Lester Love Letters
Ketty’s complete 1964 RCA album ‘Soul of Me’ plus ‘Love Letters
Ketty Lester – Love Letters (1964) – YouTube

Ketty Lester sings Love Letters
現在ではご当地のアメリカでさえ、「ケティ・レスターって誰?」と言われるほど、歌手としてのKetty Lester(ケティ・レスター)は忘れ去られた存在なのです。 どんな曲を歌ったかって? それがこのラブレターという名曲なのです。 幻の名曲”ラブレター”、そして伝説の”一発屋のソウル歌手のケティ・レスター”なんかで終わらせてしまえないその魅力をお伝えしましょう。

ケティ・レスターの1962年のヒット曲”Love Letters(ラブレター)”のオリジナルは、1945年にVictor Popular Young(ヴィクター・ヤング)作曲によりEdward Heyman(エドワード・へイマン)が作詞した映画「Love Letters」のテーマ曲です。 ヴィクター・ヤングは1935年から1957年まで多くの映画音楽を手掛けていますが”Stella by Starlight(星影のステラ)”や”My Foolish Heart(愚かなり我が心)”などの名曲で知られます。 エドワード・へイマンはDoris Day(ドリス・デイ)の”When I Fall in Love(恋に落ちた時)”などのようにこのコンビによる名曲はいくつもあります。

William Dieterle(ウィリアム・ディターレ)が監督した映画「Love Letters(ラヴレター)」ではJoseph Cotten(ジョセフ・コットン)と共演したJennifer Jones(ジェニファー・ジョーンズ)が1945年のアカデミー主演女優賞を受賞しました。
1945年にDick Haymes(ディック・ヘイムズ)が歌ったオリジナルの”Love Letters(ラヴレター)”は「Little White Lies」(ASIN: B00005ABNY)や「The Very Best of Dick Haymes, Vol. 1」(ASIN: B000003H7J)などに収録されています。
ディック・ヘイムズはHarry James(ハリー・ジェームス)楽団のケースと同じように1942年にラットパックのFrank Sinatra(フランク・シナトラ)の後釜としてトミー・ドーシー楽団の専属歌手となりました。

アメリカではディープ・ソウルのジャンルに入っているケティ・レスターのEPシングルレコードは1962年に2枚リリースされています。
1963年にA面がI’m a Fool for YouでB面がLove Letters
Love Letters / Tell It Like It Is(すごいことにB面がオリジナルは1967年とされているR&BのAaron Neville’s A&M(エアロン・ネヴィル、ネヴィル・ブラザーズの大ヒット曲)
Love Letters/ I’m A Fool To Want You(Eraレコード)
 鳥肌の立つほど素晴らしいLove LettersとBillie Holiday(ビリー・ホリデイ)でお馴染みの”I’m A Fool To Want You(恋は愚かというけれど)”などのシングルがリストアップされた「COLOR RADIO AND R+B, DOO WOP, ROCK+ROLL」(1962年リリース版)
Ketty Lester – Love Letters / I’m A Fool To Want You (1956) – YouTube

Ketty Lester – Love Letters CD
ページトップの画像はオリジナルが1964年にRCAからリリースしたケティ・レスターのコンピレーション・アルバム「Love Letters」で”Love Letters”や”But Not for Me”など12曲を収録しています。
♪ 試聴は類似したアルバム(最後の”love letters”はなし)のKetty Lester – The Soul of Me – レコチョク

☆Ketty LesterのLove Lettersの歌詞はlLove Letters Lyrics – Lynchnet.com

Ketty Lester Love Letters_EP
1962年のピルボードで5位だった当時私が購入したシングルEP盤のケティ・レスターのラブレターはピアノの間奏がとても印象的で素晴しいバージョンでした。 ケティ・レスターの大きな目の顔写真を使用した濃いピンクと黒の二色刷りの祖末なジャケットのドーナツ盤レコードのB面は”I’m a Fool to Want You(貴方を求めて)”はもう見つからないので最近になってデジタルのMP3アルパムから”ラヴレター”をiTunesで購入しました。 そのアルバムは「Nipper’s Greatest Hits: The 60’s, Vol. 1
♪ 試聴はNipper’s Greatest Hits: The 60’s, Vol. 1 – Archive.org

All About Ketty Lester
アーカンソー州生まれのケティ・レスターは奨学金を受けてSan Francisco City Collegeに通い、その頃から学校や教会で歌うようになります。 その後は歌の道に進み、Cab Calloway(キャブ・キャロウェイ)楽団に同行したヨーロッパツアーで成功を収めました。 クラブ歌手としての評判はEra Records会社との契約に結びつきました。 後に1998年に”Gee Baby Gee(Del-Fi Girl Groups)”を発表したDel-Fiレーベルに曲を書いた当時のプロデューサーのEd Cobb(エド・コッブ)と名ピアニストのLincoln Mayorga(リンカーン・マヨルガ)との出会いがあり”ラヴレター”がプロデュースされました。 リンカーン・マヨルガはL.A.のクラシック畑のピアニストですが、アーヴィング・バーリンやガーシュインを特集するなどジャズやポップスの分野でも評価されています。
最初のシングル・レコードはI’m A Fool To Want YouとLove Letters(ラブレター)です。 2曲とも人気のあるスタンダード曲ですが、ケティ・レスターのクールでジャージーなバージョンのラブレターは1962年にR & Bチャートでは2位、アメリカとイギリスのポップスのヒットチャートでは5位にランクされ、ミリオンセラーとなりました。 続けて2枚目のシングルは George Gershwin(ガーシュイン)のミュージカル「Girl Crazy」からの”But Not for Me”だったそうですが、これは同年のポップチャートで41位でした。 ケティ・レスターはその後も何枚かのシングルとLPも出しています。 エド・コッブはレコードのプロデュ-スだけでなく”Every Little Bit Hurts”などの曲も作り、ケティ・レスターにも1曲書いたのですがお気に召さなかったんだそうです。

RCA Victor時代のケティ・レスター
ケティ・レスターは1964年にはRCA Victorと契約し「The Soul of Me」、1965年に2枚目「Where Is Love?」などをリリースしましたが、会社の思惑は外れヒットメーカーにはなりませんでした。 その後、ケティ・レスターは1960年代と1970年代にテレビなどのゲストとして「Little House On The Prairie(大草原の小さな家)」、警察ドラマの「Hill Street Blues(ヒルストリート・ブルース)」の1983年のエピソード2「Days Of Our Lives」などに出演しましたが、1980年代までゴスペルをレコーディングしていたそうです。
ケティ・レスターは1968年に公民権運動映画の「Up Tight!」でデビュー後、1972年の「吸血鬼ブラキュラ」や1997年の「Runaway Car」などの映画にも出演していますが、NBCテレビの「大草原の小さな家」は日本でも人気でした。

Where Is Love?
ケティ・レスターのRCA Victor時代の2枚目のアルバムでオリジナルが1965年リリースの「Where Is Love?」(1965年)が1999年に日本で再リリースされていたそうで、”Lover Man”や”ラブレター”と同じくヴィクター・ヤングが作曲した”My Foolish Heart”などのスタンダード曲のカバー12曲を収録したこの盤は現在はヴィンテージ価格になっています。
♪ 試聴はWhere Is Love? – CDandlLP.jp
アルバムカバー画像がちょっとEartha Kitt(アーサー・キット)の1960年にイギリスのKappレコードからリリースしたレコード「Revisited」に似ています。(”Revisited”の収録曲はThe Ultimate Collectionと類似)ちなみにKappレコードのDave Kapp(デヴィット・カップ)はフランスでクラブ歌手として成功を収めて帰国したドリス・デイ似の女性ボーカリストのJane Morgan(ジェーン・モーガン)やシャンソンの”Les Feuilles mortes(枯れ葉)”をカバーした”Autumn Leaves”が1955年に大ヒットしたピアニストのRoger Williams(ロジャー・ウィリアムズ)等と吹き込みの契約をしています。

Where Is Love?☆アナログは最近ではなかなか見つからないと言われますが、1966年のLP盤「When A Woman Loves A Man」(ASIN ‏ : ‎ B09L5S19LJ)は存在しています。
アルバムのタイトルとなっている”When A Woman Loves A Man”という曲はThe Andrews Sisters(ザ・アンドリュース・シスターズ)の”I Can Dream, Can’t I”も書いたGordon Jenkins(ゴードン・ジェンキンズ)とBernard D. “Bernie” Hanighen(バーナード・ハニガン)が共同作曲し、Johnny Mercer(ジョニー・マーサー)が作詞した曲です。 ”I’m A Fool To Want You”同様に1938年にBillie Holiday(ビリー・ホリデイ)が歌いました。 ケティの”When a Woman Loves a Man”(1966)は”Percy Sledge(パーシー・スレッジ)の1966年の大ヒット曲の”When a Man Loves a Woman”へのアンサーソングだったとか。
♪ ”When a Woman Loves a Man”の試聴はGreatest Hits – レコチョク

Ketty Lester’s Love Letters in “Blue Velvet”
Catchfire / Backtrack(ハートに火をつけて)」のDennis Hopper(デニス・ホッパー)が悪党役を怪演した1986年のDavid Lynch(デイヴィッド・リンチ)監督のサスペンス映画「Blue Velvet(ブルー・ベルベット)」ではなんと!ケティ・レスターのラヴレターが流れ、デニス・ホッパー演じる悪党がヒロインのイザベラ・ロッセリーニを脅すセリフというのがケティが歌った「ラブレター」の一節”Love letters straight from your heart!”なのです。 ケティ・レスターの”ラブレター”は映画で使用されたBobby Vinton(ボビー・ヴィントン)やRoy Orbison(ロイ・オービソン)の曲に加えてリンチ監督の好みだったのでしょうか。

ケティ・レスターの”ラブレター”が収録されている「ブルー・ベルベット」のサウンドトラック
Blue VelvetBlue Velvet: Original Motion Picture Soundtrack
♪ 試聴はBlue Velvet: Original Motion Picture Soundtrack – Mora.jp
☆ ケティ・レスターのラブレターの他にも「ブルー・ベルベット」のサントラの歌詞が載っているBlue Velvet Soundtrack – The City Of Absurdity

Ketty Lester in Little House On The Prairie
ケティ・レスターのラブレターを知らない方でも、1974年に始まったTV シリーズの「大草原の小さな家」はご存知でしょう? 「大草原の小さな家」では1978年から1983年までケティ・レスターがHester-Sue Terhune(へスタースー・タヒューヌ )の役で出演しました。 日本では1975年からNHKで放映されました。
日本でも人気だった1959年~1973年のTVシリーズ「ボナンザ」に出演していたMichael Landon(マイケル・ランドン)が「父さん」役でしたが、ケティ・レスターはジョーの別れた妻と盲学校の先生「Hester Sue Terhune(ヘスター・スー)」を演じました。
☆「大草原の小さな家」意外にもケティ・レスターは映画に出演していました。
Audio-Visual Trivia内にはケティ・レスターの映画デビューでありJules Dassin(ジュールス・ダッシン)が監督した1968年の黒人映画「Up Tight!」がありますが、その後テレビドラマのゲスト出演を経て、1972年に黒人ドラキュラの犠牲になるタクシーの運転手を演じた「Blacula(吸血鬼ブラキュラ)」や1997年に跳ね橋の番人を演じた「Runaway Car(ランナウェイ・カー)」の記事が「Hot’n Cool」にあります。

エルヴィス・プレスリーのラブレター
ケティ・レスターのラヴレターの後、1966年にエルヴィス・プレスリーのラブレターがリリースされました。 当時ナッシュビル(カントリー)のスタジオ・ピアニストだったFloyd Cramer(フロイド・クレイマー)が収録に遅刻したことにより急遽穴埋めとして同じくスタジオ・プレーヤーの若手だったDavid Briggs(デヴィッド・ブリッグス)がピアノを演奏したそうです。(フロイド・クレイマーが到着しても遅れが気に障ったエルヴィスがそのまま続けてデヴィッド・ブリッグスに弾かせたとか) これが大ヒットしてケティ・レスターを凌ぐ出来とも言われます。 私はエルヴィスのファンですが、やはりラブレターに関して言えばエルヴィスではなくこれはもうケティ・レスターが一番!だと思います。
ラブレターはエルヴィス以前にも、女性歌手ではPeggy Lee(ペギー・リー)、Julie London(ジュリー・ロンドン)、Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)、Etta James(エタ・ジェームス)など、男性歌手では1945年のDick Haymes(ディック・ヘイムズ)、1955年にTony Bennett(トニー・ベネット)、1957年にNat King Cole(ナット・キング・コール)、1958年にPerry Como(ペリー・コモ)、そしてイギリスのシンガーソングライターのElton John(エルトン・ジョン)とカントリーのスライド・ギタリストでブルース歌手のBonnie Raitt(ボニー・レイット)のデュエットなどもあり、その後も歌い継がれて総勢16人以上もの歌手がカバーした名曲なのです。

Ketty Lester sung “Love Letters” on TV show
「More Red White & Rock」という番組に1999年、65歳のケティ・レスターが出演して37歳の時の大ヒット曲である”Love Letters”を歌ったそうです。

ケティ・レスター Ketty Lester sings Love Letters」への4件のフィードバック

  1. sittininthebalkony より:

    ケティ・レスターのラブレター! ずっと探してました!
    歌手名が分からず、あてずっぽうに「ジャズ スタンダード ラブレター」と入れたらヒットしました。
    40数年前にラジオで聞いて、プレスリーやナッキンコールとの違いに愕然としました。
    “I Memorize ・・・”で始まる2節目がたまりませんでした。
    あらためて聞いてみると、自分の記憶よりずっとおとなしい歌い方なのですね。
    私の記憶の中では、もっとずっと黒っぽい歌い方で、耳の中に響いていました。
    ありがとうございました。

  2. koukinobaaba より:

    sittininthebalkonyさん、コメントをありがとうございます。 同感です! 実はこの記事を書いた私もケテイのEPレコードを買った時にはダイナミックさを感じたのですよ。 当時としてはケティのラヴレターは新鮮でしたね。 でもいづれにせよ同じように懐かしく思う方に遭遇することは大変嬉しいです。

  3. 青山要介 より:

    漸く辿り着いた。 Loveletters を始めて聞いたのは松尾和子のカバーでした。その後エルベスも知りました。様々な歌手も聞きましたが先日NHKでKetty Lesterが最初の吹き込みと知りました。おもわず車を止めて聞き入りました。背筋がゾクゾクしました。素晴らしいの一言です!

  4. koukinobaaba より:

    青山要介さん、嬉しいですね。 ケティ・レスターを聴いて現在でもゾクゾクする方がいらっしゃるなんて! 私もリリース当時は感動してシングルを購入した一人です。 当時の復刻盤がリリースされることを夢みています。

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