ドビーの青春 The Many Loves of Dobie Gillis (1959)

My name is Dobie Gillis and I like girls.
Dwayne Hickman as Dobie Gillis

ドビーの青春(aka Dobie Gillis )
「僕はドビー、女の子が大好き。 美人で、華やかで、やさしくて、活発で、そしてセクシーな女の子。 僕はオオカミなんかじゃないから大勢はいらない、一人でいいんだ。 美人で、明るくて、やさしくて、活発な、そしてセクシーな女の子、でも、僕は女の子にもてたためしがないんだ。 なぜって? それは、僕が貧乏だからさ 」

毎回、公園のAuguste Rodin(ロダン)の銅像「The Thinker(考える人)」と同じポーズをしたドビーがテレビの前の私にボヤきます。(カメラ目線です) えーと、ぼやくのは最後の反省シーンでしたか。


50年代~60年代の風刺作家のMax Shulman(マックス・シュルマン)が1953年のミュージカル映画「The Affairs Of Dobie Gillis(やんちゃ学生)」のために書き下ろしたものをもとにして作られました。 原作では大学生だったボビーはテレビ版では高校生となって、1959年から1963年まで147話が放映された青春ものTVシリーズです。 日本では1960年代に放映された海外ドラマです。
「やんちゃ学生」について書かれたロバート・フォッシー振付映画の謎
当時は「Peter Gunn(ピーター・ガン)」などの私立探偵物が主流だったアメリカでは普通のティーン・エイジャーの学園ドラマは非情に珍しかったので、特に同世代の高校生には大人気でした。 高校生の眼を通した世界観で率直に物申すという点ではかってない形のドラマでしたが、その後も80年代まではこのような普通の高校生活を描いたドラマは現れませんでした。 原作者マックス・シュルマンは「ドビーの青春」のテーマ・ソングも書いたそうです。

Dobie and Sheila James Kuehl as Zelda Gilroyシリーズの初めでは16歳のドビーを25歳で演じたDwayne Hickman(ドゥエイン・ヒックマン)ですが、彼が演じるのはごくごく普通のアメリカの高校生Dobie Gillis(ドビー・ギリス)で、ドビーの夢は「美人のガールフレンドとイカス車、そしてお小遣い」です。 でもドビーの家はお金持ちどころか食料品店だし、金欠だから学校ではもてないし、どうしたら可愛い子ちゃんをゲットできるかって仲良しのクラスメイトのMaynard G. Krebs(メイナード・クレブス)」と色々と知恵を絞って四苦八苦しています。
ところがそんなドビーとの結婚を夢見る女の子がいるのです! それは勉強は出来るけどちっとも美人じゃないZelda Gilroy(ゼルダ)です。 鼻にシワを寄せることだけがドビーの注意を引いただけのクラスメイトで、ドビーにとってはまつわりつかれて迷惑千番なのです。 なぜってドビーは憧れのマドンナでTuesday Weld(チューズデイ・ウェルド)が扮する金髪のThalia Menniger(タリア)を追いかけているのですから。Tuesday Weld  as Thalia
ブロンドの可愛い子ちゃんの気を引くドビーの恋敵的存在はクラスの人気者である大金持ちの坊ちゃんMilton Armitage(ミルトン)君です。 彼はドビーが持ってないものを全部もってるから、ドビーは彼が大嫌いです。 くそっ!

ドビーを演じたドゥエイン・ヒックマンのオフィシャルサイトはDwayneHickman.com
☆15歳で既にアメリカのハイティーンのセックス・シンボルとなったチューズデイ・ウェルドがドビーの憧れThalia(タリア)を演じたのはほんの数ヶ月でしたが、忘れがたい存在です。 50年代後期のティーン雑誌にはチューズデイ・ウェルドの写真だらけでした。 ですが、素行に問題有りでホサレたチューズデイ・ウェルドは、その後、1941年の「How Green Was My Valley(わが谷は緑なりき)」で末っ子を演じたRoddy McDowall(ロディ・マクドウォール)やPeter Gunn(ピーター・ガン)のLola Albright(ローラ・オルブライト)と共演した1966年の「Lord Love a Duck(スター誕生の夢)」(音楽はニール・ヘフティ)などを経て1977年のLooking For Mr. Goodbar(ミスター・グッドバーを探して)で見事!アカデミー賞助演女優賞候補にノミネートされるなど演技派を目指したようです。
可愛いチューズデイ・ウェルドについてはBoomers Pinups of Tuesday Weld
Lord Love a Duck 1966 – Tuesday Weld – YouTube

Bob Denver as Maynard G. Krebs清潔な好青年のドビーの親友であるメイナードはなんと!ボロ服を着てアゴ髭のビート族なんです。 「俺、メーナード・G・クレブス」と自己紹介して、いつもビートニク風に指パッチンをしてお気に入りの映画「The Monster That Devoured Cleveland」の話をするのです。 田舎町でよく上映されたモンスター映画の主人公「クリーヴランド」を喰っちゃう怪物 の映画です。 それにビートニクらしくボンゴも叩くし当時は珍しかったOcarina(オカリナ)も吹けるのです。 このメイナードを演じるのは元クリスチャン学校の教師だったBob Denver(ボブ・デンヴァー)です。 ボブ・デンヴァーはビート族なんて見たこともなかったのですが想像(創造)で無邪気で純真なビートニクを演じました。 う~、モゴモゴ(残念ながら2005年に亡くなりました。)

It’s A Wonderful Life(素晴らしき哉、人生!)ではタクシーの運転手役だったFrank Faylen(フランク・フィンレイ)が締り屋のドビーの父親役です。
シリーズの始めの頃はマザコンの金持ち息子Milton Armitage(ミルトン)の役でなんと!あの大女優”Shirley MacLaine(シャーリー・マクレーン)”の弟のWarren Beatty(ウォーレン・ビーティ)が5エピソードだけ出演していました。 ですが、この役はウォーレン・ビーティの履歴のなかには存在しません。 「俺たちには明日はない(ボニーとクライド)」やアカデミーの監督賞を受賞した1981年の「Reds(レッズ)」で有名なウォーレン・ビーティにとってミルトン君は多分ある種の汚点だったのでしょうか。 ウォーレン・ベイティが降りた後、この役は60年から63年にMilton Armitage(ミルトン)の従兄弟としてSteve Franken(スティーブ・フランケン)が演じる迷キャラクターのChatsworth Osborne, Jr.(オズボーン・ジュニア)として再登場しました。 ビーティのように初めの頃に出演し後に有名な俳優となったのは「American Graffiti(アメリカン・グラフィティ)」でスティーブを演じたRon Howard(ロン・ハワード)がダン・アダムス役で4エピソード出演しています。
ドビーのパパを演じたフランク・フィンレイは2002年にThe Pianist(戦場のピアニスト)で主人公の父親を演じて健在です。

私立探偵物語じゃなくてもやっぱりジャズ!
当時のTV番組の流行であった例にもれず、このような青春ドラマにも映画「女はそれを我慢できない」や「紳士は金髪がお好き」などの音楽を手がけたLionel Newman(ライオネル・ニューマン)のジャージーな音楽が流れます。 毎回オープニングで流れる短いテーマ曲The Music of Dobie Gillis Theme Songは、シリーズの原作者マックス・シュルマンが作詞し、ライオネル・ニューマンが作曲したお洒落なスキャットを取り入れたジャージーで斬新なものでした。

「ドビーの青春」のアニメーションのオープニング・タイトルが、クロージング・タイトルではMarlboro commercial(マールボロ煙草のコマーシャル)が流れますが、なんと!ディキシーランドジャズのトランペット奏者のBob Scobey(ボブ・スコビー)が出演しています。 いくら特許ものの2重フィルターだって、学園ドラマに喫煙奨励の宣伝なんて!タバコのコマーシャル全盛の50年代でした。
Marlboro CM with Bob Scobey on Dobie Gillis closing – YouTube

ドビーの同窓会的ナツメロTV番組「Whatever Happened to Dobie Gillis?」(1977年)と「Bring Me the Head of Dobie Gillis」(1988年)が作られ、ドビー、ゼルダそしてメイナードが勢揃いしたそうです。 途中で降板したチューズデイ・ウェルドの代わりにはConnie Stevens(コニー・スティーヴンス)が出演しました。 「高校生の時にドビーを追っかけていたゼルダと結婚したドビーは日用雑貨店を経営している」という設定でしたすが不評のようでした。

テレビ番組でクルーカット(短髪)の真面目青年「ドビー」は大人になっって、CBSテレビ番組製作者側で働いた後、現在油絵を描いたりしています。(クリックで画像大きく)
頭はいいけど美人じゃないゼルダですか? 実生活でもガリ勉で、Harvard大学法科を卒業してカリフォルニア州議員となりました。
そうそう、元教師のボブ・デンバーはこの後に、1963年に「めまい」のジェームズ・スチュワートやSandra Dee(サンドラ・ディー)が主演したTake Her, She’s Mine(恋愛留学生)の他、TVシリーズのコメディ番組「Gilligan’s Island(ギリガン君 SOS)」に出演しましたが、ビートニク「メイナード」の役が祟ったのかその後麻薬で逮捕されてしまいました。
video「Gilligan’s Island(ギリガン君)」のビデオはGilligan’s Island – Tvparty.com(ページ左のメニューTop 25 TV Shows:の19. Gilligan’s Island

☆この「ドビーの青春」は私が初めて翻訳家の戸田奈津子女史のヒップな意訳に感激した番組でもあります。 おもしろ~い!
「ドビーの青春」の内容はThe Many Loves of Dobie Gillis – Tvparty.com(英文)

※Sex Symbol(セックス・シンボル)とはいつの時代にも通用するようなセックス・アピールのある女優やモデル、ティーン・アイドルなどで、アメリカではMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)に代表されますが、Pinup pictures(ピンナップ写真)やポスターを貼られるアイドル的存在です。 逆も又しかりで、男性なら、ジェームス・ディーン、「欲望という名の電車のマーロン・ブランドやケーリー・グラント(又はケイリー・グラント)、新しいところでは「シャル・ウィ・ダンス?」のリチャード・ギアなどでしょうか。 えっ、もっと若い男性? デッカプリオ様?
☆ハリウッド男優ピンナップ女優ピンナップ

「The Many Loves of Dobie Gillis」のDVDシリーズは国内の輸入版(リージョンフリー)ですがいくつかあります。
The Many Loves of Dobie Gillis 18 Volume SetThe Many Loves of Dobie Gillis: The Complete Series [DVD] [Import](21枚デスク)
国内ではスタンリー・Z.チェリー監督の「ドビーの青春スペシャル」の日本語字幕版VHSや、マックス・シュルマン著の英語版書籍「The Many Loves of Dobie Gillis」のハードカバー本が見つかります。 輸入DVDは上記と同じカバー画像の「The Many Loves Of Dobie Gillis, Vol. 1」(ASIN: B00078MD28)や5枚組の「Many Loves of Dobie Gillis: Season One」(ASIN: B00D97DMQU)や「Many Loves of Dobie Gillis: The Complete Series」(ASIN: B00C7A8WWO)などはほとんど入手困難となりました。 「ドビーの青春」は”私”の青春となり、過去の遺物に成り果てたようです。