ワイノニー・ハリス Wynonie Harris

Wynonie Harris (1915 – 1969)(ワイノニー・ハリス又はウィノニー・ハリス)は、リズム&ブルースのパイオニアであり、Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)が青春時代に聴いたジャンプ・ブルース・シンガーの一人です。 偉大なるスイングジャズの巨人の一人であるLionel Hampton(ライオネル・ハンプトン)楽団とレコーディングしたり、2004年7月に他界したテキサス・テナーのIllinois Jacquet(イリノイ・ジャケー)のバンドとは1945年~1946年に共演しています。
Arnett Cobb(アーネット・コブ)の「The Wild Man of the Tenor Sax, 1943-1947」(ASIN: B00000J8BA)又は「Story: The Wild Man of Tenor Sax 1943-1947」(ASIN: B00000J8BA)に1945年にアーネット・コブが書いた”Good Morning Corrine”をワイノニー・ハリスが歌っています。 下記のアルバムに「1944-1945 Wynonie Harris」(ASIN: B003H1FA4A)がありますが、”Good Morning Corrine”は「Wynonie Harris 1945-1947」(ASIN: B00007GX8U)もしくは「Wynonie Harris 1945 / 1947」に収録されています。

ダーティ・ブルースで有名なワイノニー・ハリスの音楽の経歴は、故郷のNebraska(ネブラスカ)の町でドラマーやボードビル・ショーから始まりました。 1930年代の黒人としてはかなりのインテリのワイノニーは医学部進学コースの大学に通っていた頃にブルースと出会い、1938年には故郷では人気のブルース・マンでした。 ウエスト・コーストに移りThe Lucky Millinder Orchestra(ラッキー・ミリンダー楽団)の専属歌手となり、いくつかの自作のヒットを出した後、1945年からはソロ歌手として独立し、ジャンプ・シャウターのGatemouth Moore(ゲイトマウス・ムーア)の紹介でキングレコードに籍を置きました。 ちなみに1940年代中頃のラッキー・ミリンダー楽団でワイノニー・ハリスに代わって歌ったのが””I Love You, Yes I Do”のヒットで知られるBull Moose Jackson(ブル・ムース・ジャクソン)でしたがラッキー・ミリンダーの奨めでR&Bのソロ歌手としてキングレコードと契約し、ミリンダーの”Who Threw the Whiskey in the Well”へのアンサーソングとして”I Know Who Threw the Whiskey”を吹き込みました。
※ラッキー・ミリンダーは1966年に他界していますが、1950年代にはAnnisteen Allen(アニスティーン・アレン)も参加していました。
フジヤマ・ママを1954年に歌った黒人女性R&Bシンガーのアニスティーン・アレンについてはFujiyama Mama アニスティーン・アレン Annisteen Allen

Mr. Blues: Wynonie Harris sings Papa Tree Top
“Papa Tree Top”はワイノニー・ハリスの特徴である鋼鉄の喉といわれた豪快なジャンプ・シャウトが効いている私が一番好きな曲です。
※アルバム「Here Comes the Blues」にも収録されているワイノニー作曲の”Papa Tree Top Blues”の歌詞はPapa Tree Top Blues Lyrics – Lyrics.com
Wynonie Harris with Johnnie Alston (tenor sax)and His All Stars- Papa Tree Top – YouTube

Good Rockin’ Tonight
“Lollipop Mama”などの作者として知られるルイジアナ出身のRoy Brown(ロイ・ブラウン)が”Good Rocking Tonight(今夜は快調)”を独創性に富んだスウィング・ビートのジャンプ・スタイルで歌い1947年にDeLuxe Recordsからリリースしました。(バック・ビートの手拍子を入れロックのリズムを加えてゴスペルのパロディと言われています) 1950年代には税金滞納で投獄されたこともあったとかで不遇時代を迎え版権も売ってしまったそうですが、ロイ・ブラウンがいなければロックンロールは生まれなかったかもと云われています。
ロイ・ブラウンが好きなブルースシンガーだったというワイノニー・ハリスが同年1948年にカバーしてR & Bヒットチャートでトップとなりましたが、後に、Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)、Jerry Lee Lewis(ジェリー・リー・ルイス)やRicky Nelson(リッキー・ネルソン)など多くのロック歌手どころか、なんと初期のPat Boone(パット・ブーン)にも歌われています。
“Hard Luck Blues”や”Dreaming Blues”などを歌ったR&Bシンガーのロイ・ブラウンやワイノニー・ハリスのシャウト法はBBキングLittle Richard(リトル・リチャード)などにも影響を与えています。
Wynonie Harris – Lovin Machine (1951)- YouTube

2012年1月に90歳で亡くなった白人(ギリシャ系)R & BのJohnny Otis and His Orchestra(ジョニー・オーティス楽団)をバックに自作の”Around the Clock Blues”がワイノニー・ハリスが独立後の最初のレコーディングですが、最初のヒット曲は1947年の”Playful Baby“でした。 これがまた、彼の初期の歌にあるように歌詞の”rocking” and “rolling”は音楽の「Rock’N’Roll(ロック・アンド・ロール)」ではなくエロチックな意味を持っていました。(そのものズバリ!ワッセ!ワッセ!)
☆ こんな歌詞All She Wants To Do Is Rock Lyrics – Genius.com
黒人社会だけでブルースが歌われていた頃はけっこうヤバメの歌詞が多かったようです。(ハックルバックはアクロバティック!) こういった露骨な歌詞は50年代になって、ロックンロールに白人のティーンエイジャーの女の子達が熱を上げる頃には消えたそうです。(PTAのママはうるさいですから) つまり黒人社会だけに流れていたブルースが白人社会にも流れるようになったのです。
ワイノニー・ハリスは1964年の録音を最後にブルースの世界から離れました。
ジョニー・オーティスは後にプロデューサーとしてもそのタレントを発揮しましたが、1940年のハーレム・ノクターンのヒットでも有名です。

The Best of Wynonie Harris: Mr. Blues Good Rockin’ Tonight
1944年-1945年のワイノニー・ハリスは最高!
ページトップの画像はのアルバム「Best of Wynonie Harris」です。 テキサス・テナーのイリノイ・ジャケーが伴奏する”Here Comes the Blues”や”Wynonie’s Blues”など全18曲が収録されています。
♪ 試聴はBest of Wynonie Harris – CDandLP.jp
♪ Wynonie Harris – Bloodshot Eyes (Selected Favorites, Vol. 1)
Wynonie Harris With Illinois Jacquet And His All Stars – Apollo 78 “Here Come The Blues” – YouTube

画像はPapa Tree TopをはじめPlayful BabyやRebecca’s Bluesなどワイノニー・ハリスの1944年から1945年の曲を集めた1996年発売のCD「1944-45 Wynonie Harris」ですが現在は入手困難となりました。
1944-1945 Wynonie Harris1944-1945 Wynonie Harris / Classics
♪ 試聴は1944-1945 Wynonie Harris – CDandLP.jp

Rockin’ the Blues (Mini Lp Sleeve) Box Set
ワイノニー・ハリスの1944年から1950年代の80余曲を収録した2001年の4枚組ベスト盤だそうです。
Rockin the BluesRockin’ the Blues
♪ 試聴はRockin’ the Blues – CDandLP.jp