ペギー・リー Peggy Lee

Fever
結婚と子育てで一時引退したペギー・リーでしたが夫君だったDave Barbour(デイヴ・バーバー)の後押しで1944年にカムバックし、二人のコラボで数々のヒット曲を飛ばし、大スターとなったのでした。 ”It’s A Good Day”、”Manana”、”I Don’t Know Enough About You”などなど。 しかしアルコール依存症だったというデイヴ・バーバーの私生活はハチャメチャで1951年に離婚となりましたが1952年にはミュージカル映画の「The Jazz Singer(ジャズ・シンガー)」に出演しています。 デイヴ・バーバーはその後もペギー・リーとは仕事面で一緒だったようで1958年に大ヒットしたシングル”Fever”も二人のコラボだそうです。
ですが、エルヴィスのDon’t Be Cruel、All Shook Up、Return To Sender、そして「Great Balls Of Fire」のヒットで知られるロックンロール時代のシンガーソングライターであるOtis Blackwell(オーティス・ブラックウェル)が John Davenport(継父姓のジョン・ダベンポート名)名でEddie Cooley(エディ・クーリー)と共作したFever(熱病を意味するフィーヴァー)は、”Talk To Me, Talk To Me(トーク・トゥ・ミー)”」や”Need Your Love So Bad”などのヒット曲で知られるR&B歌手のLittle Willie John(リトル・ウィリー・ジョン)が放った1955年のヒット曲だったのです。 ペギー・リーはリトル・ウィリー・ジョンのリリースから2年後にカバーしていますが、セックス・シンボルのMadonna(マドンナ)は90年代に超セクシーにカバーしています。

Johnny Guitar
1954年に西部劇「Johnny Guitar(大砂塵)」のテーマ曲は”Johnny Guitar(ジャーニー・ギター)”です。 ヴィクター・ヤングの曲にペギー・リーが作詞して歌い大ヒットとなりました。 「Catchfire(ハートに火をつけて)」などに出演したDennis Hopper(デニス・ホッパー)のデビュー映画(エキストラ)でもあるそうです。(多分村人の一人) 映画はギターを背負った渡り鳥(ガンマン)のジョニー・ギター(実は拳銃使いのジョニー・ローガン)と女だてらに荒涼とした砂漠で酒場を経営するヴィエンナ(ジョーン・クロフォード)とが無法者たちと闘うストーリーです。 映画の冒頭でジョニーがビエンナ(賭博酒場)に着く頃、砂塵が吹き荒れるとすぐにネッカチーフで鼻と口をおおうのです。 西部劇ではカウボーイなどが首にチーフを巻いているのは伊達にお洒落な訳じゃなかったのですね。 もっとも幌馬車強盗は顔を隠すためでしょうが。 恋と欲とで敵対する連中たちとひと悶着あった後にジョニーの元恋人だった女主人ビエンナが「何か弾いて、愛のこもった曲を」と頼んだ時、ジョニーが”Johnny Guitar”を弾き始めると遮って「何か他の曲にして」と言います。 ですが二人の恋心が再燃するシーンのBGMとして流れる他、全編通して使用されています。 圧巻は終盤に連中がやって来るのを迎えるビエンナが真っ白の豪華なドレスでピアノで弾くシーンです。 この後仲違いして出て行ったジョニーだったが店を焼かれてあわや縛り首というビエンナを救うのです。
♪ ラストシーンではペギーリーの歌でしっとりと聞かせるテーマ曲”ジョニーギター(ジャニー・ギター)”の歌詞は「ギターを弾いて、私のジョニー。あなたがどこにいようとも愛している。どんなに冷たくても優しいあなた。わたしは知っている。他にあんな男はいない、わたしのジョニー。人はこう呼ぶ。ギター弾きのジョニーと。」
ペギー・リーというと日本ではこの”ジャニーギター”や”ブラックコーヒー”、そしてオリジナルのLittle Willie John(リトル・ウィリー・ジョン)より有名な”Fever(フィーバー又はフィーヴァー)”が良く知られています。

Dave Barbour
ペギー・リーは4度結婚したそうですが、最初の夫は1940年代のBenny Goodman(ベニー・グッドマン又はベニイ・グッドマン)楽団のギタリストでもあった多才なデイヴ・バーバーでした。 デイヴ・バーバーは1941年にベニー・グッドマンがペギー・ リーを引き抜いてきて専属歌手にしたところ、二人は恋に落ちてバンドを抜け出してしまったそうです。 夫のデイヴ・バーバーは10年もマリブでブラブラしていただけあってラテンセンス抜群! 「Latin ala Lee!/Ole ala Lee」(ASIN: B0000071JK)などスタンダード曲をラテン風にアレンジしたペギー・リーのアルバムもリリースしています。
Peggy Lee with Dave Barbour – I May Be Wrong (1950) – YouTube

そのペギー・リーはBenny Goodman(ベニー・グッドマン)楽団時代の1942年に”We’ll Meet Again(また逢いましょう)”を吹き込んでいますが、この曲は第二次世界大戦時に人気があったVera Lynn(ベラ・リン)のバージョンが1964年の「Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb(博士の異常な愛情)」で使用されて有名です。 ペギーの”We’ll Meet Again”を収録したアルバムは1940年代の録音を集めた1999年の2枚組アルバム「The Complete Recordings 1941-1947」(ASIN: B00000JBDW)など数枚しかありません。 同じくベニー・グッドマン楽団時代の1943年に大ヒットさせた曲は”Why Don’t You Do Right(どうしてそんなに)”です。 ”しっかりしたらどうなの!”という意味のこの曲は1936年にブルースマンのKansas Joe McCoy(カンザス・ジョー・マッコイ)が”The Weed Smoker’s Dream”として作曲し、1941年にはBig Bill Broonzy(ビッグ・ビル・ブルーンジー)のギターで”Lil Green”又は”Lillian Green(リル・グリーン)”が歌って大ヒットしたそうです。 ちなみにベニー・グッドマン楽団時代のミス・ペギーの大ヒット曲となった”Why Don’t You Do Right”は1988年の実写アニメ「ロジャー・ラビット」ではジェシカ・ラビットがセクシーに歌っています。

Stage Door Canteen: The Songs of World War II (1943)
Gary Cooper(ゲイリー・クーパー)が1932年に主演した「A Farewell to Arms(戦場よさらば)」のFrank Borzage(フランク・ボーゼージ)が監督した1943年の白黒映画「Stage Door Canteen(ステージドア・キャンティーン)」は第二次世界大戦時下に出征兵士の激励を目的として制作されたスター勢ぞろいのミュージカルです。 まださほど有名ではなかったペギー・リーが出演してベニー・グッドマン楽団をバックに”Why Don’t You Do Right”を歌っています。(クレジットなし) ミュージカルスターのEthel Merman(エセル・マーマン)やEthel Waters(エセル・ウォーター)の他、Katharine Hepburn(キャサリン・ヘプバーン)や伝説のストリッパーで映画にもなったGypsy Rose Lee(ジプシー・ローズ)なども自身の役で出演しています。 ビッグバンドではベニー・グッドマンをはじめ、Kay Kyser(ケイ・カイザー)、Guy Lombardo(ガイ・ロンバード)、Xavier Cugat(ザヴィア・クガート)、そしてCount Basie(カウント・ベイシー)などが有名な芸能人が50人近く出演しています。 この映画のVHSビデオ(ASIN: 6300158748)やDVD(ASIN: B00701QUUG)がまだ入手可能です。
Benny Goodman and Peggy Lee – Why Don’t You Do Right in “Stage Door Canteen” 1943 – YouTube

Pete Kelly’s Blues (1955)
ペギー・リーが年増歌手のローズとして出演し、アルコール依存症の演技で1956年のアカデミー助演女優賞にノミネートされた映画に「Pete Kelly’s Blues(皆殺しのトランペット)」があります。(迫真の演技の階段落ちは吹き替えか?) バンドのクラリネット奏者にLee Marvin(リー・マーヴィン)、名士の娘にJanet Leigh(ジャネット・リー)、クラブの煙草売りには「女はそれを我慢できない」でブレイク寸前のJayne Mansfield(ジェーン・マンスフィールド)などの俳優陣に加えて、ジャズ歌手のElla Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)が別のもぐり酒場の歌手として出演してテーマ曲を歌っています。 ペギー・リーがプラターズやGeorgia Gibbs(ジョージア・ギブス)が歌った”Somebody Loves Me(誰かが私を愛してる)”、”Sugar (That Sugar Baby of Mine)”や、Arthur Hamilton(アーサー・ハミルトン)が書いた”He Needs Me”と精神病院で”Sing a Rainbow”を歌う他、エラ・フィッツジェラルドが主題歌の”Pete Kelly’s Blues”をはじめ”Hard Hearted Hannah”や”Ella Hums the Blues”を歌っています。 主人公のトランペット奏者でバンドリーダーのPete Kelly(ペイト・ケリー)役を監督のJack Webb(ジャック・ウェッブ)が演じる「皆殺しのトランペット」は、”Pete Kelly’s Blues”としてジャック・ウェッブがお気に入りのジャズを紹介するラジオ番組だったそうですが、ラジオ番組も映画も当時はあまりぱっとしなかったとか。 テレビシリーズの”Dragnet(ドラグネット)”に続いてジャック・ウェッブが手掛けた「皆殺しのトランペット」は禁酒法時代の1927年のカンザス・シティを舞台にしたモグリ酒場のジャズメンと冷酷なギャングの死闘を描いています。 日本で「皆殺しのトランペット」のVHSで”Pete Kelly’s Blues (1955)”(ASIN: 6300271382)が入手可能です。(ビデオのカバー画像の女性はペギーリーではなくジャネットリー)
ジャズ愛好家のジャック・ウェッブの初めての結婚は1947年でお相手はなんと美貌のジャズ歌手のJulie London(ジュリー・ロンドン)だったそうです。 映画界にデビューしたばかりの1946年に「The Red House(赤い家)」でセクシーなティビーを演じたジュリー・ロンドンに魅せられたのでしょう。
Peggy Lee in Pete Kellys Blues 1955 – He needs Me / Sugar – YouTube

Theme From Joy House (Just Call Me Love Bird)
1964年にRené Clément(ルネ・クレマン)が監督した「Les félins(危険がいっぱい)」というクールな映画の音楽をLalo Schifrin(ラロ・シフリン)が手掛けました。 そのジャズ調のテーマ音楽にペギー・リーが歌詞を付けて歌いましたがこの曲が収録されているアルバムはラロ・シフリン名義のサントラの「Les Felins (aka Joy House)」(ASIN: B00061H308)もしくはペギーリーの「In Love Again/In The Name Of Love」(ASIN: B0000DEMTK)だそうです。
♪ 試聴はTheme From “Joy House” (Just Call Me Love Bird) by Peggy Lee – レコチョク

Let’s Keep Dancing in Sharky’s Machine
1981年の映画「Sharky’s Machine(シャーキーズ・マシーン)」で使用された Bobby Troup(ボビー・トゥループ)などと歌った”Let’s Keep Dancing”はオリジナルは1973年のペギー・リーとクインシー・ジョーンズのLPアルバム「Let’s Love」がCD化された16曲収録の「レッツ・ラヴ」(ASIN: B0002235HG)でボーナストラックとして15番目に収録されているそうです。 アルバムのタイトルになっている”Let’s Love”はThe Beatles(ビートルズ)のPaul McCartney(ポール・マッカートニー)から贈られた曲だとか。
♪ 試聴はLet’s Keep Dancing (Let’s Love) – レコチョク

Don’t Smoke In Bed in The Two Jakes
1974年の「Chinatown(チャイナタウン)」の続編である「The Two Jakes(黄昏のチャイナタウン)」で使用されたペギーリーの歌う”Don’t Smoke In Bed”は1948年にペギーリーが作詞したそうです。 ”Don’t Smoke In Bed”は4枚組ボックスセットの「Miss Peggy Lee」(ASIN: B00000DTQE)や「The Very Best Of」(ASIN: B00004UDT4)など多くのアルバムに収録されています。
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Rendezvous
☆ページトップのCD画像はペギー・リーのアルバム「Rendezvous」で初期のヒット曲のWhy Don’t You Do Right?をはじめ、ペギー・リーがカバーしたスタンダード曲のI Can’t Give You Anything But Love、Stormy Weatherの他にレアものと、チャートに2位に輝いたRiders in the SkyとGolden Earringsなどを収録しています。
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Beauty and the Beat! – Peggy Lee with George Shearing
ペギー・リーがジョージ・シアリングのピアノ伴奏で歌うライヴ風スタジオ録音のLPアルバムに1959年の「Beauty & The Beat」(ASIN: B000093U3Y)があります。 現在はCole Porter(コール・ポーター)やDuke Ellington(デューク・エリントン)などのスタンダード曲(Nobody’s Heart と Don’t Ever Leave Meのボーナス・トラック2曲)を収録したCDが販売されています。
♪ 試聴はBeauty And The Beat! (Live In Miami) – レコチョク

Peggy Lee – Fever
Peggy Lee - Fever!

Miss Peggy Lee Sings Fever!
上記は2009年にリリースされたアルバム「Fever」で、ペギー・リーの代表曲の一つであるFever(フィーヴァー)など14曲を収録している珍しいアルバム画像ですが現在入手困難です。 収録曲はWhy Don’t You Do Rightの他、スタンダード曲のカバーを含むCome Rain or Come Shine、Unforgettable、Hallelujah, I Love Him So、Deep Purple、The Man I Love、Alright, Okay, You Win(あなたの勝ちよ)などです。

上記のアルバムはFeverをはじめ、”I’m a Woman”や1948年のナンバーワン・ヒット曲だった”Manana”、Alright, Okay, You Win、Why Don’t You Do Right?、My Man、Hallelujah, I Love Him Soといった有名なヒット曲集です。

Fever: The Music of Peggy Lee 2004 DVD (VHS)
2004年に放映されたペギー・リーのドキュメンタリーTV番組で、ペギー・リーの20編に及ぶ懐かしい映像はもちろんのこと、k.d. lang、Johnny Mandel、Quincy Jones、Mike Stoller & Jerry Leiberなどが出演したそうです。 映像ではペギー・リーのFeverの他にもDean Martin(ディーン・マーティン)が観られるそうです。
日本では「Fever: Music of Peggy Lee (2004)」(ASIN: B0001NBLEA)というタイトルで”リージョン1″の輸入(英語)DVDが2004年にリリースされています。

Peggy Lee in Walt Disney’s Lady and the Tramp
ペギーリーはジャージーな曲だけではありません。 ウォルト・ディズニーが制作した1955年のアニメーション映画「Lady and the Tramp(わんわん物語)」の”He’s A Tramp”など持ち歌全部をアレンジャーでビッグバンドのリーダーでもあったSonny Burke(ソニー・バーク)とのコラボで書いた上に、アニメ・キャラクターの声優としても出演しました。 私は冒頭の雪降るクリスマスシーンとこのペギー・リーの”The Siamese Cat Song(シャム猫の歌)”に魅せられましたが、劇場でアニメを観た当時はまだ子供だったのでまさかラジオから流れてくる”ジャーニー・ギター”と同じ歌手だとは思いもよりませんでした。
ペギー・リーの最大ヒット曲である”ジャニー・ギター”や”ブラック・コーヒー”に加えて”Bella Notte”や”The Siamese Cat Song(シャム猫の歌)”や”La La Lu(ラ・ラ・ルー)”などの「わんわん物語」の挿入歌を収録しているアルバムは国内盤の「ベスト・オブ・ペギー・リー」ですが、「わんわん物語 ― オリジナル・サウンドトラック」にも”ララルー”や”シャムネコの歌”が収録されています。
♪ 試聴はThe best of peggy lee – CDandLP.jp
The Siamese Cat Song (Lady and the Tramp) – YouTube
La La Lu (Lady and the Tramp) – YouTube
My Favorite Spaghetti Scene in Lady and the Tramp – YouTube

Bye Bye Blackbird (Peggy Lee – Sings for You)
1926年にRay Henderson(レイ・ヘンダーソン)が作曲した”Bye Bye Blackbird”という曲はMiles Davis(マイルス・デイヴィス)をはじめJosephine Baker(ジョセフィン・ベイカー)やJulie London(ジュリー・ロンドン)など多くのミュージシャンが歌い演奏してジャズのスタンダートとなっています。 ペギー・リーが歌う”Bye Bye Blackbird”が収録されているアルバムには「Sings for You」(ASIN: B000027397)などがあります。
♪ 試聴はPeggy Lee – Sings for You – Bye Bye Blackbird – レコチョク

The Christmas Song
☆ Chestnuts Roasting on an Open Fire(暖炉の火で栗を)とペギー・リーが歌うThe Christmas Songについては「ザ・クリスマス・ソング

Gwyneth Paltrow plays Peggy Lee in Infamous
☆ 2006年の映画「Infamous (aka Every Word Is True)」では、グウィネス・パルトロウがペギー・リー役を演じて”This Thing Called Love(What Is This Thing Called Love?)”を歌います。

Peggy Lee’s Fever in Sex and the City
2008年の3月にアメリカで公開されて評判の「Sex and the City(セックス・アンド・ザ・シティ)」のトレーラーではペギー・リーの”フィーバー”が使用されています。 「Sex and the City」はSarah Jessica Parker(サラ・ジェシカ・パーカー)が主演した1998年~2004年の人気TVシリーズの映画化です。
Peggy Lee’s Fever on Sex and the City Movie Trailer – YouTube

Audio-Visual Trivia内でペギー・リーの”フィーバー”が使用されている映画
愛についてのキンゼイ・レポート
恋する人魚たち
愛さずにはいられない
赤い航路

ペギー・リー Peggy Lee」への2件のフィードバック

  1. 三田 文美 より:

    world fair carouselは日本から(もしくは国内にて)購入可能でしょうか?こちらは 電子音になりますか?オルゴールの音色ですか?

  2. koukinobaaba より:

    申し訳ないですが、アルバムのタイトル「カルーセル」にちなんで紹介しただけですので、実際に購入経験があるわけではありません。 そして、残念ながら在庫はなくなったそうです。
    音楽はクリスマスソングが15曲ほど入っているそうです。 AC operated, UL listed adapter ですから電気でしょうか。      違うサイトを見つけました。
    http://www.collectiblestoday.com/ct/product/prdid-1660476001.jsp
    Price: $110.00 US です。 海外でも大抵はクレジットカードを使えるようですが、こちらのショップで買ったことはありません。 確認してみて下さい。

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