ビッグ・ビル・ブルーンジー Big Bill Broonzy

Big Bill Broonzy (1893-1958)
ビッグ・ビル・ブルーンジーは1930年代~1940年代に活躍し、シカゴ・ブルースの礎を築いたシンガー&ギタリストです。 早くから電気ギターを取り入れたりして、ラグタイム・ブルースをカントリー・ブルースに、そしてシティ・ブルースにと進化させたブルースマンでシカゴ・ブルースの父として重要なアーティストであるといわれています。

ビッグ・ビル・ブルーンジーの初録音は1927年ですが、1950年代にはMuddy Waters(マディ・ウオーターズ)などと共にイギリスを始め、ヨーロッパ各地にブルース(ブルーズ)を広めました。 アレンジは”Hush A Bye“や”Petite Fleur“の名演奏でお馴染みのイギリスのデキシーランドジャズのトロンボーン奏者でバンドリーダーのChris Barber(クリス・バーバー)だったそうです。
1955年にはブルース・マンが書いた自伝としては初の「Big Bill’s Blues」をロンドンで出版したそうです。(読み書きが出来なかったため作曲家のYannick Bruynogheが手助けしたとか。 ブルーンジーの歌そのものが自伝)
後の1960年にエレキ・ブルースの創始者とも言われるマディ・ウオーターズがビッグ・ビル・ブルーンジーのデルタブルースを演奏したLP盤の「Muddy Waters Sings Big Bill Broonzy」(2014年のLP盤はASIN: B00LUZ738G)をChessからリリースしていますが、2枚のチェス時代のLP盤をCD化したのが1986年の”Sings Big Bill Broonzy / Folk Singer”です。 ブルースハープはLittle Walter(リトル・ウォーター)でギターがBuddy Guy(バディ・ガイ)だったそうです。

Big Bill Broonzy sings Backwater Blues

ビッグ・ビル・ブルーンジーの代表曲の一つに「Back Water Blues(又はBackwater Blues)」がありますが、オリジナルはJames P. Johnson(ジェームス・ピー・ジョンソン)のピアノでBessie Smith(ベッシー・スミス)が歌ったそうです。
Martin Scorsese(マーティン・スコセッシ)がプロデュースして2003年にリリースされた5枚組アルバム「Martin Scorsese Presents the Blues: A Musical Journey」の”Bessie Smith”にベッシー・スミスが歌った”Backwater Blues”や”Muddy Water(A Mississippi Moan)”が収録されています。
1927年に多数の死者を出したミシシッピ大洪水を歌にするブルース・コンテストをレコード会社が催した際に優勝して懸賞金500ドルを得たのはベッシー・スミスでしたが、大勢のブルース・マン同様、ビッグ・ビル・ブルーンジーも1951年に独自のバージョンを演奏しました。 Backwater(バックウォーター)とは氾濫して澱んだ溜まり水のことを意味するそうです。
1927年のミシシッピ大洪水の歴史的なビデオが観られるMississippi River Flood of 1927 (1936) – Archive.org

Listen☆私が好きなビッグビルの”When Things Go Wrong”は垂涎のブルースアルバム「Classic Blues from Smithsonian Folkways, Vol. 2」(ASIN: B01K8MVWSS)に収録されています。
試聴はClassic Blues from Smithsonian Folkways, Vol. 2 – AllMusic.com

ビッグ・ビル・ブルーンジーの歌が聴けるBig Bill Broonzy – A Jazz Anthology(Worryin You Off My Mind #1、Bull Cow Blues、Long Tall Mamaなどの聞きたい曲名をクリック)
♪ オリジナルは1947年のアルバム「Blues In The Mississippi Night」(試聴はASIN: B07YV8GNQK)からビッグ・ビル・ブルーンジーとMemphis Slim(メンフィス・スリム)やサニー・ボーイ・ウィリアムソンとの会話が聴けるWFMUラジオのBob Brainen’s playlist(Listen to this show! Pop‑up player! をクリック、クリップ・ポジション(再生バー)をPart4の1:14:38に移動、Part4とPart6あり)
アルバム「Big Bill’s Blues」(試聴はASIN: B01MZE0XTJ)
ビッグ・ビル・ブルーンジーの1936年から1941年の録音を集めた人気アルバムが「Big Bill’s Blues」ですが、試聴ができる国内盤の「ビッグ・ビルズ・ブルース」が1993年にリリースされています。

Big Bill in Belgium – Low Light & Blue Smoke (1956) – YouTube
Big Bill Broonzy – Worried Man Blues (1957) – YouTube

On Tour In Britain, 1952 – Live In England & Scotland [Live]
ページトップの画像はビッグ・ビル・ブルーンジーが初めてイギリス公演をした時のライブアルバム「On Tour in Britain」です。 試聴はOn Tour in Britain, 1952 – Amazon.co.jp
1952年当時のイギリス人から言えば初めて黒人のデルタ・ブルースを生で聴いたというわけです。 定番曲の”Key to the Highway”は収録されてないとはいえど、ビッグ・ビルお得意のトークを交えた2枚組のライブ・アルバムの収録曲目は”Back Water Blues”を含む下記の全26曲ですが、素晴らしい”Trouble in Mind”や”Midnight Special”の他、”John Henry”と”House Rent Stomp”はそれぞれ別の公演を録音した2バージョンが含まれています。(泥臭い、沼くさい?デルタ好きな私にはより洗練されていると感じます)
1. Introduction
2. Nobody Knows The Trouble I’ve Seen
3. Back Water Blues
4. Trouble In Mind
5. Keep Your Hands Off Her
6. Louise Louise
7. House Rent Stomp
8. Plough Hand Blues
9. In The Evening When The Sun Goes Down
10. John Henry
11. Just A Dream
12. Blue Tail Fly
13. Black Brown & White
14. John Henry
15. Midnight Special
16. Back Water Blues
17. Going Down The Road Feeling Bad
18. Make My Getaway
19. Keep Your Hands Off Her
20. Careless Love
21. I’m Looking Over A Four Leaf Clover
22. Down By The Riverside
23. In The Evening When The Sun Goes Down
24. House Rent Stomp
25. Kansas City Blues
26. Willie Mae
Big Bill Broonzy – Willie Mae – YouTube

Treat Me Right
ビッグ・ビル・ブルーンジーはトークもお上手!
”St. Louis Blues”、”See See Rider(C C Rider)”、”Sixteen Tons”など良く知られた曲が収録されているビッグ・ビル・ブルーンジーの人気アルバムです。
Big Bill Broonzy Treat Me RightTreat Me Right
試聴はTreat Me Right – AllMusic com
ビッグ・ビル・ブルーンジーの一番人気の曲”Key To The Highway”を収録したアルバムの「Trouble in Mind」の”This Train”などもトーク入りです。(”Key To The Highway”のハモニカは自身も吹き込んだWilliam McKinley “Jazz” Gillum)

☆アルバム「The Young Big Bill Broonzy 1928-1935」の”Missippi River Blues”は国内では入手困難ですが、”Mississippi River Blues”を収録した「Missippi River Blue」と「See See Rider(C. C. Rider)」の2枚のCDを集めた「Big Bill Broonzy – Blues Chapter 4 – 2 CD’s – Nieuw in cellofaan」(ASIN: B0007Y3TSY)(Big Bill Broonzy Blues Archive 4)があります 。
ちなみにChuck Willis(チャック・ウィリス)が1957年に書いた”Cee Cee Rider”又は”See See Rider”とはオートバイのTandemu Rider(タンデムライダー/二人乗り)のことだそうで通俗説では”おホモだち”の意味があるとか。
☆1935年のBig Joe Williams(ビッグ・ジョー・ウィリアムズ)のオリジナルでLightnin’ HopkinsやJohn Lee HookerそしてMuddy Watersも歌った”Baby, Please Don’t Go”はアルバムの「Baby Please Don’t Go」(ASIN: B000005OBW)や「An Introduction to Big Bill Broonzy」(試聴はASIN: B003GSFR6U)に収録されています。
☆In the Evening (When the Sun Goes Down) は「Legendary Blues Recordings: Big Bill Broonzy」(試聴はCDカバー画像も見られるAllMusic.com)や「Best of Big Bill Broonzy」(試聴はASIN: B00005UVTM)に収録されていまます。

2003年にMartin Scorsese(マーティン・スコセッシ)が監督した映画「Red, White & Blues(レッド、ホワイト&ブルース)」のサントラにはVan Morrison、Eric Clapton、Jeff BeckやTom Jonesなどと共にビッグ・ビル・ブルーンジーの”Black, Brown And White Blues”が収録されています。
Martin Scorsese Presents the Blues: Red, White & Blues
試聴はMartin Scorsese Presents the Blues: Red, White & Blues – AllMusic.com

付け足しには恐れ多いですが、ビッグ・ビル・ブルーンジーが既にブルースを歌っていた頃の1911年に生まれたRobert Johnson(ロバートジョンソン)というブルース歌手がいます。 音楽家のJohn H. Hammond(ジョン・ハモンド)が1938年にプロデュースした黒人アーティストを出演させるカーネギーホール初のコンサートにロバートジョンソンも出演を予定されていたのでしたが痴情のもつれから毒殺されてしまったので急遽、ビッグ・ビル・ブルーンジーが代役したという逸話があるそうです。

Bessie Smith sings Backwater Blues
そして最後に、バックウォーター・ブルースならベッシー・スミスを忘れるわけにはいきません!
試聴ができる「Bessie Smith: The Complete Recordings, Vol. 3」(ASIN: B0000027LB)に収録されています。”Backwater Blues”を聴いてみて下さい。

ビッグ・ビル・ブルーンジー Big Bill Broonzy」への2件のフィードバック

  1. strato26 より:

    koukinobaaba さん
    いやー、まいった。
    私はアメリカ西海岸で昼は会社員、夜はブルースギターおじさんなのね。
    で、昨日っていうか、もう一昨日、日曜日に私の親友また、シンガーがHuntington BeachっていうところにあるMartini Bluesっていうブルースクラブでチャリティーやるから来いっていうから行ったのね。
    LA近辺のブルースサークルでBig Tというなかなか渋いブルースじーちゃんがいるわけよ。声が渋いし、ギターもうまいし、そのレパートリーはすごい。
    私も数回一緒にやったことあるんだけど、ステージでもなんか普通のかっこして、外見は本当にその辺にいるしょぼいジーさんなわけ。
    で、彼の奥さんが亡くなっったんだけど、彼らは貧乏だから葬式ができないわけよ。
    まあ、今日ブルースミュージシャン一筋として食っていけばそりゃー貧乏になるわな。
    で、彼の親しかったバンドが5,6駆り出されてチャリティーコンサートやったわけね。
    うちのシンガーとも親しかったみたい。
    ちなみに、
    http://www.authenticblues.com
    うちのシンガーね。これが。私もちょっと載ってるけど。
    で、彼が途中飛び入りして数曲やったんだけど、最後に妻が一番好きだった曲をやりますって言って Please send someone to love を歌い始めたのよ。
    私は聞きながらな、涙がこぼれないように必死にがんばった。
    うちらもこの曲以前前はやってたんだけど、オリジナルはちょっとコードがややっこしかったりしてコード、歌詞とかも検索してたら、このブログに来たわけよ。
    いやー、素晴らしい。日本人で、それも若い人がブールース、R&Bが好きだとはうれしい限りです。
    でも、このブログ面白い!!

  2. koukinobaaba より:

    strato26さん、パーシー・メイフィールドのエントリーでも書きましたがPlease Send Me Someone To Loveは大好きな曲です。 私はブルースの初心者でギターのことも全くわからない素人ですが、とにかく聴くのは大好きです。

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