愛と情熱のジョセフィン・ベイカー The Josephine Baker Story (1991)

Lynn Whitfield Plays Josephine Baker in The Josephine Baker Story
Josephine Baker Story DVD
The Josephine Baker Story DVD
愛と情熱のジョセフィン・ベイカー(1991年)

伝説のパリの黒人スターであったJosephine Baker(ジョセフィン・ベイカー又はベーカー)の伝記映画をBrian Gibson(ブライアン・ギブソン)監督が制作しました。 なぜかハンガリーの首都ブダペストで撮影された「ジョセフィン・ベイカー・ストーリー」はアメリカとドイツのテレビで放映されただけで劇場未公開ですがDVDとVHSがリリースされています。 「ジョセフィン・ベイカー・ストーリー」は、セントルイスでの貧困生活から逃れてパリに渡ったアメリカのの黒人女性「ジョセフィン・ベイカー」が1920年代~1930年代とパリのナイトクラブで「裸の女王」として人気を博し、1975年に亡くなるまでを描いています。
「愛と情熱のジョセフィン・ベイカー」はTV映画のタイトルで、ビデオのタイトルは「裸の女王/ジョセフィン・ベイカー・ストーリー」だそうです。 副題で分けているのでしょうが、ちょっと紛らわしいですね。
ブライアン・ギブソン監督は1996年にデミ・ムーアがアレック・ボールドウィンとジョセフ・ゴードン=レヴィット等と共演した「Juror(陪審員)」を監督し、2002年にサルマ・ハエックがメキシコの女流画家を演じた「Frida(フリーダ)」の製作総指揮に関わっています。

「愛と情熱のジョセフィン・ベイカー」のあらすじ
扇情的な音楽に半裸のダンスで始まるこのテレビドラマは1943年のカサブランカの病院を舞台に移し、戦闘で心身共に傷ついた世界で初のリッチな黒人女に面会するアメリカ陸軍のウィリアムズ中尉は部隊内での人種問題改善の助けを請いに来た。 現在はフランス人だからと頼みを断ったジョセフィン・ベイカーは1917年のイースト・セントルイスで体験した恐ろしい人種暴動を回想する。 ボードヴィルで歌って踊って観客を笑わせていたジョセフィンはすでに結婚していたが渡仏することに。 かってハーレムのコットンクラブでそうであったようにパリでも妖しいジャングルムードを呼び物にバナナを腰にぶら下げたトップレス姿で踊る舞台の他にジョセフィンはパリの有名画家Poul Colin(ポール・コラン)のモデルになる。(コランは1937年に映画「Un carnet de bal(舞踏会の手帳)」の舞台装置を手掛けた人物) 差別のない自由なパリで黒いヴィーナスの誕生!

エロ・ダンスで話題にはなれど所詮よそ者のジョセフィンが確実に名声を手に入れるためにシシリア出身の似非伯爵ペピートと手を組み伯爵夫人の肩書を手にする。 そして妹の死目には会えなかったが欧州制覇後、遂にショーを祖国のブロードウエイに! ジーグフェルド・フォリーズ! しかし思惑は外れニューヨークでの舞台は酷評、死期が迫るペピートと仲違いし傷心のジョセフィンは戦禍のパリに戻る。 第二次世界大戦中ドイツの占領下のパリ、ジョセフィンはレジスタンスに参加しゲシュタボに目をつけられて北アフリカに、これが映画の冒頭シーン。 酷い感染症にかかって手術後に不妊となったジョセフィンだったが米軍のウィリアムズ中尉に会いに。 大勢の兵士を前にジョセフィンが歌ったのが”二つの愛”、意味は二人の恋人、つまり祖国とパリ。 歌いながら分断された白人兵と黒人兵の仲を取り持つのです。(感涙にむせぶシーン) この時指揮をしていたフランスの音楽家とジョセフィンは4度目の結婚をします。 戦後故郷に帰ったジョセフィンはさらなる差別を目の当たりにする。 黒人の劇場入場制限を解いたりと戦争前より酷い黒人問題を語るジョセフィンは人権擁護運動を通して世界を一つにできるか。 ちなみにこの”二つの愛”のイントロを聴くと1940年代に古関裕而が作曲したという”鐘の鳴る丘”をなぜか思い出します。(♪緑の丘の赤い屋根、とんがり帽子の時計台….)

ビザまで取り上げられまたもや傷ついたジョセフィンはもう一つの祖国フランスに戻りパリを離れて南仏に手に入れたミランド城で子供たちを暮らすことになるのです。 子供が産めないジョセフィンはツアーで訪日した時に知った戦争孤児のエリザベス・サンダース・ホームという福祉施設から混血の養子を貰ったのをはじめに”虹の子供達”と呼んだ13(12?)人もの養子を育てることになるのでした。 人類は平等だと人々に知らしめるためと虹の家族を世界にアピールし人種や文化を超えた活動をしました。 夫ジョーの献身的な協力のもとに、ありのままを私を愛して!って、この世の全ての捨て子を助けられるのか?ジョセフィン! 経済的に窮地を迎えジョージが去った後、子供たちがいなくなった城を追い出される老いたジョセフィンだったが、その7年後に1951年のストーククラブ事件など黒人を支援していたグレース・ケリーが王妃となったモナコに現れる。 1975年のパリ、芸能生活50周年を祝うショーの初日に熱唱したジョセフィンは脳出血で死去、モナコに葬られました。

二十代から六十代までのジョセフィン・ベイカーを演じたのはアメリカ南部ルイジアナ出身のLynn Whitfield(リン・ウィットフィールド又はホイットフィールド)で1992年にゴールデン・グローブTV向け映画部門の最優秀主演女優賞にノミネートされました。
子供時代にはおばあちゃんとよくオードリー・ヘップバーンやMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)などの映画を観て「将来は女優になる」と決めていたリン・ウィットフィールドですが、今はアクションやラヴコメなどMichelle Pfeiffer(ミシェル・ファイファー)みたいな映画をやりたいそうです。
* マリリン・モンローの映画ならAudio-Visual Trivia内の「お熱いのがお好き
1999年にファッション・ショーのモデルをした他、主にTV界で活躍しているリン・ウィットフィールドの経歴はLynn Whitfield – IMDb(英文)

* 映画「愛と情熱のジョセフィン・ベイカー」のモデルとなった実在の黒人歌手「ジョセフィン・ベイカー」についてはAudio-Visual Trivia内の「Josephine Baker(ジョセフィン・ベイカーと「二つの愛」)」

video1991年のリン・ウィットフィールドが主演した「ジョセフィン・ベイカー・ストーリー」のトレーラーはThe Josephine Baker Story Trailer – VideoDetective

☆ページトップの画像は1991年発売のリン・ウィットフィールド主演の「The Josephine Baker Story(愛と情熱のジョセフィン・ベイカー)」の輸入版DVDですが言語は英語で日本国内(リージョン 2)用プレーヤーでは再生不可です。
裸の女王 ジョセフィン・ベイカー・ストーリー VHS (リンク先では主演の表記がリト・ウィットフィールドになっています)
The Josephine Baker Story VHS☆高価ですが1991年リリースのNTSC(日本、米国、カナダ向け)VHSビデオ (日本語字幕版)です。
☆NTSC(日本、米国、カナダ向け)なので国内(リージョン 2)用プレーヤーでは再生不可ですが英語版の「Josephine Baker Story」VHSがあります。

「ジョセフィン・ベイカー・ストーリー」(ASIN ‏ : ‎ B00000E5XU)の音楽を担当しているフランスのGeorges Delerue(ジョルジュ・ドルリューもしくはジョルジュ・デレリュー)は私の好きなフランス映画「ひと夏の情事」やジャン・ポール・ベルモンドが出演した「Classe tous Risques(墓場なき野郎ども)」を初め、多くのヌーベルバーグやベルモンドの映画の音楽を手がけています。 一方、Ryan O’Neal(ライアン・オニール)が主演した1982年の「Partners (パートナーズ)」や1986年の「Platoon(プラトーン)」などアメリカ映画でも活躍しています。 映画「ジョセフィン・ベイカー・ストーリー」では”J’ai Deux Amours(二つの愛)”はもちろんのこと、Me Revoila Paris、I’m a Little Blackbird Looking for a Bluebird、La Petite Tonkinoise、Esto Es Felicidad、Dans Mon Village、Pretty Little Baby、Brazilの他、Cole Porter(コール・ポーター)作曲の”Begin the Beguine”からBob Dylan(ボブ・ディラン)作曲の”The Times They Are a Changin”まで全11曲が収録されています。
♪ 試聴はThe joséphine baker story – CDandLP.jp

Lynn Whitfield
Lynn Whitfield
リン・ウィットフィールドの出演作品

リン・ウィットフィールドはあまり日本では知られていない女優です。 というのも殆どの出演映画は日本未公開かTV用なのでビデオが発売されないと観られないのが現状です。
リン・ウィットフィールドの出演作品のほとんどがコメディで、 1983年のコメディ映画「Doctor Detroit(ダン・アイクロイドの Dr.デトロイトを探せ!)」は日本未公開でしたが緑のスーツ姿のJames Brown(ジェームス・ブラウン)がダンスシーンで歌いました。(金色のラメドレスがリン・ウィットフィールド)
監督・原案・製作総指揮・主演もコメディアンのMartin Lawrence(マーティン・ローレンス)という1996年のコメディ映画「A Thin Line Between Love and Hate(バッドフェロー)」でマーティン・ローレンスが演じる裏切り男のDarnellを消そうとする怖い美女のBrandiをリン・ウィットフィールドが演じています。
「バッドフェロー」のトレーラーはA Thin Line Between Love & Hate Trailer – VideoDetective

Shall we Dance?(シャル・ウィ・ダンス?)」や「Alfie(アルフィー)」のSusan Sarandon(スーザン・サランドン)がゴールデン・グローブの女優賞を受賞したChris Columbus(クリス・コロンバス)監督の1998年の感動のヒューマンドラマ「Stepmom(グッドナイト・ムーン)」でJulia Roberts(ジュリア・ロバーツ)や「Chine Moon(チャイナ・ムーン)のEd Harris(エド・ハリス)と共演したリン・ウィットフィールドはDr. P. Sweikert(スウェイヒカート医師)を演じました。 Dr. Sweikertというと自己の研究の為にユダヤ人捕虜に恐ろしい手術を行う残虐な医師の漫画があったような…? 日本ではこれまた未公開ですが2008年にはMeg Ryan(メグ・ライアン)主演の「The Women( 明日の私に着がえたら)」に出演します。

Eve’s Bayou VHS (ASIN: 1573623733)
Eve's Bayou with Lynn Whitfield and Samuel L. Jackson主演のSamuel L. Jackson(サミュエル・L・ジャクソン)が制作にも関わった1997年の日本未公開映画ですが、「Eve’s Bayou(プレイヤー 死の祈り)」ではブードゥー教が今も信仰されているアメリカ南部の沼地を舞台にリン・ウィットフィールドが主人公の医者の妻であるRoz Batiste役を演じています。
Eve’s Bayou(プレイヤー 死の祈り)のトレーラーはEve’s Bayou Trailer – Videodetective
Eve’s Bayou Trailer – YouTube
Audio-Visual Trivia内のサミュエル・L・ジャクソンの出演映画
交渉人
キル・ビル2
アイアンマン

Redemption DVD (ASIN: B0009E0P52) – Amazon.co.jp
ジェイミー・フォックスと共演した2004年のTV映画「Redemption: The Stan Tookie Williams Story(クリップス)」のDVDはリリースされています。 レイ・チャールズの伝記「Ray(レイ)」で第77回アカデミー賞 主演男優賞受賞しているジェイミー・フォックスが死刑を宣告されたギャングの「クリップス」を熱演しています。 クリップスは刑務所でもボスとなるが、そこに現れたリン・ウィットフィールドが演じる女性ルポライターによりクリップスの人生に変化がおとずれるというストーリーです。 刑務所のギャングが非暴力活動を開始してノーベル平和賞などの文学賞にノミネートされるようになるという実話が元になっているそうです。

マルコムXにも匹敵するが女性ゆえに受け入れられないカリスマ社会活動家で1970年ブラックパンサー党メンバーの解放を企てたとして米連邦捜査局(FBI)から告発されたAngela Davis(アンジェラ・デイヴィス)の物語を演じるという話はその後どうなったのでしょう。 R&B(ソウル)のLarry Saunders(ラリー・サンダース)がアンジェラの釈放を求めて歌った”Free Angela”を収録したLPが1973年にリリースされました。(レコード・ジャケットはアフロヘアのアンジェラ)

Audio-Visual Trivia内のリン・ウィットフィールド新作映画は2006年の「Madea’s Family Reunion