ジューン・クリスティ June Christy

Duet (ASIN: B000005HE1) – Amazon.co.jp
Duet - June Christy and Stan Kenton
June Christy and Stan Kenton
June Christy with Stan Kenton – How Long Has This Been Going On – YouTube

June Christy(ジューン・クリスティ)は1950年代のハスキー・ヴォイスの白人ジャズボーカリストで、1945年にAnita O’Day(アニタ・オデイ)の後を継ぎ「ケントン・ガール」となり、バンドリーダーのStan Kenton(スタン・ケントン)が芸名「ジューン・クリスティ」の名付け親です。 ジューン・クリスティの代表曲はクールジャズを表現した1953年のSomething coolで当時としては異例のヒットだったらしいです。 この曲はピアニストのWilliam “Billy” Barnes(ビル・バーンズ)の作詞及び作曲で、1960年には映画「Les Tricheurs(危険な曲がり角)」のサントラ”Oscar & Pete’s Blues”でおなじみのPete Rugolo(ピート・ルゴロ)が編曲及び指揮を手がけたアルバム「Something cool」(ステレオ盤)を録音したそうです。

お久しぶりね
Stan Kenton and His Orchestra with June Christy – It’s Been a Long Long Time 1945 – YouTube
Stan Kenton and His Orchestra with June Christy – My Shining Hour 1965 – YouTube

40年代から50年代に活躍したピアニストのスタン・ケントンはArt Pepper(アート・ペッパー)やジューン・クリスティ、そして作曲及び編曲にShorty Rogers(ショーティー・ロジャース)を起用するなど新しい音楽表現を生み出し、ウェスト・コースト・ジャズ(クール派)の中核になったビッグバンドのリーダーです。 作曲及び編曲といえば同じくスタン・ケント楽団に在籍していたトランペット奏者のピート・ルゴロがいて、ジューン・クリスティがケントンバンド退団後のジャズヴォーカル路線への支援をしたそうです。

Willow Weep For Me by June Christy
ジューン・クリスティも歌ったジャズのスタンダードで名曲の”Willow Weep for Me(柳よ泣いておくれ)”は、女性の作詞で作曲家のAnn Ronell(アン・ロネル)が1932年に作曲家のGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン又はジョージ・ガーシュイン)に捧げた失恋の歌だそうです。 この曲はジャズピアニストではブルージーな”Kelly Blue”でお馴染みのWynton Kelly(ウイントン・ケリー)や、Cannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)やHorace Silver(ホレス・シルヴァー)、ビッグバンドではHarry James(ハリー・ジェームス)やTommy Flanagan(トミー・フラナガ)などの演奏、そしてSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)やBillie Holiday(ビリー・ホリデイ)やElla Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)やDinah Washington(ダイナ・ワシントン)などの女性ヴォーカリストたちもこぞって歌っています。 ビリーホリデイの”柳よ泣いておくれ”は1962年に「死刑台のエレベーター」のJeanne Moreau(ジャンヌ・モロー)が悪女を演じたJoseph Losey(ジョセフ・ロージー)監督の「Eva(エヴァの匂い)」で使用されました。

Willow Weep For Me(柳よ泣いておくれ)
「柳よ、私のために泣いておくれ
お前の枝をたれて、私を覆い
私の嘆きを聞いて泣いておくれ」といったような内容の歌詞です。
☆この”Willow Weep For Me(柳よ泣いておくれ)”という曲は何となくシェイクスピアの戯曲「ハムレット」のなかのオフェーリアの最期が思い浮ぶなと思ったら、実はもっと古くの古代ローマの伝説でカルタゴ(現チュニジア)建国を成就した悲恋の女王と云われたDido(ディド)が流れ着いたトロイの王子のAeneas(Æneasエネアス)に恋をしたのですが悪魔に騙されてローマ建国の志を抱いてエネアスが去ってしまったのを悲しんで自殺したのだそうです。 その伝説をシェイクスピア時代の歌劇で「柳よ泣いておくれ、海にそそぐ流れに向かってその緑の枝をしなわせて泣いておくれ」と歌ったのだとか。 英国バロックの作曲家であるHenry Purcell(ヘンリー・パーセル)の17世紀後期のオペラにカルタゴ女王のディードーとトロイの王子のアイネイアースの物語「Dido and Æneas(ディドとエネアス)」と言う小品があるそうです。
原語の歌詞はWillow Weep For Me Lyrics by June Christy – CD Universe

Cannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)とHorace Silve(ホレス・シルヴァー)rが演奏するWillow Weep For Meは「The Most Relaxing Jazz Standards In the Universe」(ASIN: B0002JUX9W)のディスク:1に収録されています。
Cab Calloway & his Orchestra(キャブ・キャロウェイ楽団)のWillow weep for meはJan’s 78 RPM Record Warehouse(78回転のレコード画像をクリック Hilton Jefferson on Alt Sax / http://www.radionostalgia.nl/willow.htm)1940年の珍盤!(レア)は現在「Sax on Silk」(ASIN: B0000088PQ)やCab Calloway & His Orchestraの「1940-1941」(ASIN: B000001NLL)に収録されています。
試聴はHilton Jefferson with Cab Calloway & His Orchestra – 1940-1941: Willow Weep for Me – Artistdirect.com

Listen☆ジューン・クリスティのSomething coolが聴けるWFMUラジオのプレイリストはPlaylist for Inner Ear Detour with David – July 8, 2002(Listen to this show (RealAudio)をクリックしてクリップ・ポジション(再生バー)を58:20:に移動)
☆Anita O’Day -Shoo Fly Pie and Apple Pan Dowdy
スタン・ケントン楽団でアニタ・オデイが歌うShoo Fly Pie and Apple Pan Dowdy

Retrospective by Stan Kenton with June Christy
ジューン・クリスティが歌うEager Beaver、Tampico、Shoo Fly Pie and Apple Pan Dowdyや「柳よ泣いておくれ」が収録されているスタン・ケントンのCD4枚組ボックスセット
Retrospective by Stan Kenton with June ChristyRetrospective (ASIN: B000002UZF)
試聴はStan Kenton – Retrospective – CD Universe(ディスク:1 の10番がWillow Weep for Me)

Duet
ページトップの画像はジューン・クリスティが所属していたスタン・ケントン楽団のリーダーであるスタン・ケントンが演奏するピアノとデュエットしている人気アルバムですが現在は入手困難です。 私の好きな”Angel Eyes(天使の瞳)”をはじめ、”How Long Has This Been Going On?(いつの頃からか)”や”Prelude to a Kiss(キスへのプレリュード)”などのスタンダード曲をしっとりと聴かせます。
全曲試聴はDuet – Amazon.com

Something Cool by June Christy ( Capitol Jazz)
Something Cool by June ChristySomething Cool
上記のアルバムはオリジナル録音が1955年の「Something Cool」を1960年にアレンジャーをPete Rugulo(ピート・ルゴロ)で再録音したキャピトル録音の2001年Blue Note RecordsリマスターCDだそうですが、少々ジャケット画像が異なっているオリジナル10インチLPの「Something Cool 」(ASIN: B000002UXS)は1954年にCapitolレコードのスタジオ録音盤がでリリースされたそうです。 それにはキャピタルからシングルレコードでリリースされた”Look Out Up There”(B面はI Never Wanna Look Into Those Eyes Again)が収録されています。
試聴はSomething Cool – CD Universe

Skyliner by June Christy
1962年にリリースされたジューン・クリスティのLPアルバム「Big Band Specials」(ASIN: B00000HYBT)はキャピトル・レコードのスタジオ録音盤ですが、「Something cool」のピート・ルゴロではなくShorty Rogers(ショーティ・ロジャース)やスタン・ケントン楽団所属でジューン・クリスティの夫だったBob Cooper(ボブ・クーパー)などがアレンジに携わったそうです。 アルバムに収録されている”Skyliner”という曲はテナーサックス奏者のCharlie Barnet/Dale Bennett(チャーリー・バーネット)の代表曲と言われている作品です。 録音にの参加したウエスト・コーストのテナーサックス奏者のボブ・クーパーと同じくウエストコーストのトランぺッターであるConte Candoli(コンテ・カンドリ)も演奏しています。
上記の商品でもリンクがありますが、2004年発売のMP3アルバム(ASIN: B004614ZIW)の試聴が出来ます。
♪ Skyliner by June Christy on Best Jazz 100 (Disc 2)

Spotlight On June
“Give Me the Simple Life”や”Good-Bye”など珠玉の18曲を収録した1995年リリースのアルバム「Spotlight on」ですが、現在は試聴が出来る「Great Ladies Of Song / Spotlight On June Christy」というMP3アルバム、又はカセットテープしかないそうです。
こちらも試聴が出来るSpotlight on June Christy [Great Ladies of Song] – AllMusic.com