One Of The Great Saxophone Players In The Post Bebop Era
ビバップ後期のサックスの巨人の一人であるソニー・スティットは1940年代にアルトサックス奏者としてTiny Bradshaw(タイニー・ブラッドショウ)楽団に参加したのを始め、1945年にはGene Ammons(ジーン・アモンズ)やDexter Gordon(デクスター・ゴードン)とBilly Eckstine(ビリー・エクスタイン)のビッグバンドで演奏、40年代後半からDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)楽団に参加しています。 1949年にPrestigeレコードでBud Powell(バド・パウエル)とJ.J. Johnson(JJジョンソン)と吹き込み、60年代にはMiles Davis(マイルス・デイヴィス)とも演奏し、70年初期にはディジー・ガレスピー、Bud Powell(バド・パウエル)、J.J. Johnson(JJ ジョンソン)、Thelonious Monk(セロニアス・モンク)等とThe Giants of Jazzのメンバーとして71年から世界ツアーに参加しています。
Sonny Stitt: The Bop Saxman, Not Parker Wannabe But The Lone Wolf
ソニー・スティットは元祖ビバップのアルトサックス奏者であるCharlie Parker(チャーリー・パーカー)に師事、パーカーの忠実な弟子のソニー・スティットは初期の奏法がパーカーにクリソツ(Parkerian)ということで「Another Bird(もう一人のチャーリー・パーカー)」と呼ばれましたが、ソニー・スティットはそれを嫌って1949年にアルトからテナーに替えたほどです。 初期のチャーリー・パーカーとレスター・ヤングを技巧的に組み合わせたような演奏から徐々に独自の叙情的奏法を築き上げ、Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ)の先達ともいえるでしょう。 アップテンポのビバップのフレーズから一転してゾクゾクするような魅惑的なバラードを演奏するのです。 そのソニー・スティットの素晴らしいブルース(ブルーズ)やバラードはJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)にも影響を与えているそうです。 ソニー・スティットは60年代にはエレキギターやオルガンを取り入れたコンボでファンキージャズを演奏したこともあります。
ソニー・スティットの他でチャーリー・パーカーの弟子で有名なのがクールジャズの誕生に関わった重要人物のマイルス・デイヴィスです。 マイルス・デイヴィスはソニー・スティットに叩き込まれたビバップから新しいスタイルを生み出しました。
ソニー・スティットの1966年のアルバム「Stitt Plays Bird」から「My Little Suede Shoes」が聴けるるwfmuラジオのプレイリスト Give the drummer Some(上のHear the show in RealAudioをクリックしてクリップ・ポジション(再生バー)を56:57に移動)
アルバムConstellationからTopsyが聴けるwfmuラジオのプレイリスト June 8, 2005: You can do a lot of things at the seaside(Topsyで検索してListenをクリック)
Tenor by Sonny Stitt & Guitar by Sal Salvador – Blues – Newport Jazz Festival 1958 – YouTube
Sonny Stitt, JJ Johnson, H. McGhee – Now’s the Time – YouTube
上記のミュージシャンについて
Tiny Bradshaw: タイニー・ブラッドショウはソニー・スティットが初期にメンバーとなったバンド「Myron “Tiny” Bradshaw(タイニー・ブラッドショウ)」のリーダーで、1930年代初期の編曲者で歌手でもあります。 ソニー・スティットやSil Austin(シル・オースティン)などのサックス奏者を育て、40年代にはジャズ調からR & Bに路線変更して、Gravy TrainやWell Oh Wellのヒットがあります。
Train Kept A-Rolli’ by Tiny Bradshaw 1951 – YouTube
Gene Ammons: ジーン・アモンズはシカゴスタイルのテナーサックス奏者で1949年〜1947年にビリー・エクスタイン楽団に在籍し、1949年にはWoody Herman(ウッディ・ハーマン又はウディ・ハーマン)楽団でソロとなり、1940年代後期から1950年頃にソニー・スティットとのバトル・チームが好評を博したそうです。
Dexter Gordon: デクスター・ゴードンはソニー・スティットと同じくレスター・ヤングとチャーリー・パーカーの融合と、他曲からのフレーズを取り入れた奏法が特徴のテナー・サックス奏者です。
Billy Eckstine: ビリー・エクスタインは1940年代に大人気の低音が魅力の洗練されたジャズ・ヴォーカリストですがビバップ大好き。
Bud Powell: バド・パウエルの1958年の「Cleopatra’s Dream(クレオパトラの夢)”が有名な元祖ビーバップ・ピアニスト ☆サビの部分なしですが、ともかく”Cleopatra’s Dream(クレオパトラの夢)”が収録されたアルバムは「ザ・シーン・チェンジズ+1」か1956年リリースの「The Scene Changes (The Amazing Bud Powell, Vol. 5)」(私が購入したのはDisc 4に”Cleopatra’s Dream”が収録されている4枚組みアルバムの「The Complete Blue Note and Roost Recordings」ASIN: B000005GYC)
J.J. Johnson: JJジョンソンはスイング(スウィングジャズ)時代からは衰退していたトロンボーンでバップを演奏したモダンジャズ界のトロンボーン第一人者といえます。
John Coltrane: ジョン・コルトレーンは1950年代初めにDizzy Gillespieのバンドに参加、1955年にはMiles Davis Quintetに参加した革新的テナーサックス奏者です。
Charlie Parker: チャーリー・パーカーは1940年代にスイングジャズの反動として生まれたアドリブを重んじるビバップの基礎を築いたアルトサックスの巨人です。
ソニー・スティットは60年代になってタイトルにパーカーの名がついているアルバム「Stitt Plays Bird」をリリースして、遂に例のパーカー問題に取り組みました。 この他にも「I Remember Bird: Tribute to Duke Ellington」があります。
Sax O’ Bebop
ページトップの画像は2003年に発売されたソニー・スティットのCD4枚組Box-Setで、Disc 3にはジーン・アモンズをフィーチャーして”Blues Up and Down”やボーカル入りの”Touch of the Blues”などを収録しています。
♪ 試聴はSax o’ Bebop – Ibs.it
アルトとテナーを持ち替える演奏もあるソニー・スティットがトロンボーンやバリトンサックスも演奏しています。 ベースはRay Brown(レイ・ブラウン)、Charles Mingus(チャールス・ミンガス)やCurley Russell(カーリー・ラッセル)など、ピアノがDuke Jordan(デューク・ジョーダン)、Bud Powell(バド・パウエル)やHorace Silver(ホレス・シルヴァー)など、トロンボーンがJ.J. Johnson(JJジョンソン)など、トランペットがDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)やMiles Davis(マイルス・デイヴィス)など、ドラムがMax Roach(マックス・ローチ)、Art Blakey(アート・ブレイキー)、Kenny Clarke(ケニー・クラーク)などで、他にヴァイブのMilt Jackson(ミルト・ジャクソン)などと大変豪華な顔ぶれです。
※ 1953年コンサートのマックス・ローチの4分半の有名なドラムソロが聴けるライヴ盤の「Drum Solo by Max Roach in 1953 Jazz At Massey Hall Live」
♪ 試聴はJazz At Massey Hall Live – SP-m.mu-mo.net (1. Drum Conversation (Live At Massey Hall / 1953))
In a Sentimental Mood
ソニー・スティットとチャーリー・パーカーがそっくりといっても、パーカーを聴きながらリラックスなんて望めません。 パーカーを聴くと息が止まりそうになる私が好きな”You Don’t Know What Love Is(君は恋を知らない)”や”Jeep’s Blues”など8曲が収録されたソニー・スティットの1999年にリリースされたアルバムは「In A Sentimental Mood」です。
In a Sentimental Mood
♪ 試聴はIn a Sentimental Mood – Songswave.com
スウィングの王様のDuke Ellington(デューク・エリントン)ナンバーですが、Johnny Hodges(ジョニー・ホッジス)のアルバムタイトルにもある”Jeep’s Blues”が私は好きです。(ビバップ前のスイング時代にジョニー・ホッジスはデューク・エリントン・ビッグバンドで花形アルト奏者でした)
In Walked Sonny
オリジナルのリリースが1975年というソニー・スティットをフィーチャーしたArt Blakey & the Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)のアルバム
In Walked Sonny
♪ 試聴はIn Walked Sonny – Songswave.com
トランペットがBill Hardman、ピアノがWalter Davis Jr.で”Ronnie’s a Dynamite Lady”以外はソニー・スティットが演奏します。
Boss Tenors
オリジナルの録音は1961年というソニー・スティットとAmmons(ジーン・アモンズ)の2大アルト&テナーサックスのバトルが熱いセッションの名盤
Boss Tenors: Straight Ahead from Chicago 1961
♪ 試聴はBoss Tenors, Straight Ahead From Chicago August 1961 – Songswave.com
The Saxophones of Sonny Stitt
オリジナルは1958年にリリースされたアルバムは2011年発売のCD「ザ・サキソフォンズ・オブ・ソニー・スティット」(ASIN: B004N9TDUC)があり、Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)からEddie Cochran(エディ・コクラン)まで歌っていますが映画「To Have and Have Not(脱出)」で Hoagy Carmichael(ホーギー・カーマイケル)が歌ったバージョンが素敵な”Am I Blue?(アム・アイ・ブルー?)”のスティットの演奏など11曲が日本語タイトルで試聴できます。 そのスティットのアルバムの中の”時には母のない子のように”は原題が”Sometimes I Feel Like a Motherless Child”という19世紀の黒人霊歌(ニグロ・スピリチャル)でMahalia Jackson(マヘリア・ジャクソン)も歌っています。 日本では1969年に寺山修司が作詞し、田中未知が作曲したとしてカルメン・マキが歌い大ヒットしました。
私が聴いたソニー・スティットのアルバムのリスト
① Groovin’ High
「グルーヴィン・ハイ」はソニー・スティットとアート・ペッパーとのセッションでビバップの歴史的名盤です。
② Just in Case You Forgot How Bad He Really Was
オリジナルは1981年リリースのソニー・スティットの亡くなる直前の貴重なライブアルバムです。(ほんとに凄かったスティット、忘れてないよ)
③ Sonny Stitt/Bud Powel/J.J. Johnson
ピアニストのバド・パウエルとトロンボーンのJJジョンソンとのセッション盤です。
④ Sits in with the Oscar Peterson Trio
「シッツ・イン・ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ+3」は ピアノのOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)との1959年パリ・ライヴ盤で、アルトサックスをやめたソニーですがパリだからアルトでチャーリー・パーカーの”I’ll Remember April”を演奏、ベースはレイ・ブラウンです。
⑤ Plays Arrangements From the Pen of Quinc
クインシー・ジョーンズの編曲を演奏した1955年のアルバムです。
⑥ Sonny Side Up
ソニー・スティットのオリジナルでビバップのスタンダード「The Eternal Triangle」でのサックス・ソロが有名な、ディジー・ガレスピーとソニー・ロリンズという大物と共演したソニー・スティット・セクステットの1957年のVerveセッション・アルバムのタイトルが「目玉焼き?」で、Dizzy Gillespie / Sonny Rollins / Sonny Stitt名義でオリジナルが1957年のOn The Sunny Side Of The Street(明るい表通りで)やRay Bryant(レイ・ブライアント)の”After Hours”が収録されている1985年リリースの国内盤「ソニー・サイド・アップ」もあります。(2012年発売のASIN: B006GHC270で試聴可)
⑦ Complete Original Quartet
後期のソニー・スティットとピアノのHank Jones(ハンク・ジョーンズ)とのセッション盤です。
⑧ A Jazz Message
「ア・ジャズ・メッセージ」はオリジナルが1963年録音のアート・ブレイキー名義のアルバムで、ソニースティットのビバップがメインとなってピアノのMcCoy Tyner(マッコイ・タイナー)などが参加したカルテットの演奏が聴けます。 マッコイ・タイナーといえば1976年のMilestoneレーベルのアルバム「Fly with the Wind」
⑨ Last Stitt Sessions
私の好きな”Angel Eyes”が収録されているアルバムは「Last Stitt Sessions, Vols. 1 & 2」「Good Life」「Jazz for Romantic Moments」
⑩ Stitt’s Bits: Bebop Recordings 1949-1952
デルタブルースのTeddy Williams(テディ・ウィリアムズ)をフィーチャーした2006年リリースのPRESTIGEレーベルの3枚ディスク[Box Set]
♪ 試聴はStitt’s Bits: Bebop Recordings – Songswave.com
なんてことはないスタンダード曲のカバーかと思わずにソニー・スティットのインプロビゼーションを聴いて下さい。 ベースがCurly Russell(カーリー・ラッセル)、ピアノがDuke Jordan(デューク・ジョーダン)やBud Powell(バド・バウエル)など、トロンボーンがJ.J. Johnson(JJ ジョンソン)など、ドラムがMax Roach(マックス・ローチ)やArt Blakey(アート・ブレイキー)など、バリトンとテナーがGene Ammons(ジーン・アモンズ)など豪華な顔ぶれです。
只今”Splinter”を聴いたばかりですが、このCDセットではまずソニースティットがトロンボーン奏者のJJ ジョンソンのサイドマンとして、そしてビリー・エクスタインのお気に入りのジーン・アモンズの楽団での第二テナーとしてのセッションですが、ピアノのバド・バウエルとの1949年のセッションが息がぴったりで熱い演奏です。有名な曲は別としてなんとこのセットCDの3枚目では流行のマンボをBlue MamboとCool Mamboとの2曲も演奏しています。
ところで、Disc 2の17番Sweet Jennie LouやDisc 3の4番’Round About One A.M.やDumb Woman Bluesのヴォーカルは誰でしょう? Sonny Stitt?, Teddy Williams? or Gene Ammons?
ジーン・アモンズはアルバム「Prestige First Sessions, Vol. 2」でもロマンティックな”If The Moon Turns Green”などを歌っています。
♪ 試聴はPrestige First Sessions – Songswave.com
⑪ Night Letterアルバムタイトル曲の”Night Letter”の他、Shadows”や”Love Nest”などを収録したレア中のレアな1963年のPrestige時代のアルバムを一緒にしたCDで、 ソニー・スティットはテナーサックスとアルトサックスを駆使してオルガンのJack McDuff(ジャック・マクダフ)と共演しています。
Legends of Acid Jazz
バップとファンキーなオルガンの饗宴! 電子楽器を使用してソニー・スティットの”Them Funky Changes”や”My Man String”などのグルーヴィな演奏を収録した1996年のアシッドジャズ・シリーズでオリジナル録音が1971年の2枚のLPアルバム「Turn It On」と「Black Vibrations」です。 オルガンではLeon Spencer(レオン・スペンサー)の他にJimmy Smith(ジミー・スミス)を聴いてオルガニストになったというDon Patterson(ドン・パターソン)がゲスト出演しています。
