ビッグ・イージー The Big Easy (1986)

Big Easy (1986) [VHS] [Import]
The Big Easy
Dennis Quaid and Ellen Barkin in The Big Easy

The Big Easy (1986)
「ビッグ・イージー」はヌーヴェルヴァーグ映画「A bout de souffle(勝手にしやがれ)」のアメリカ版リメイクである「Breathless(ブレスレス)」の次にJim McBride(ジム・マクブライド)が監督したエロティック・サスペンスで、デニス・クウェイドが最高にかっこいい映画です。 ニューオリンズの官能的な夜とサスペンスが観客を虜にして大ヒットとなったエロティック・ミステリー映画です。 ハリケーン・カトリーナに破壊される前の米国南部のニュー・オーリンズを舞台に麻薬取引の縄張り抗争をめぐって犯罪と捜査が展開しますが連続殺人事件よりも主人公の激情の夜が印象に残る映画です。 日本では未公開でしたが過去にテレビで放映されたことがあるそうです。 その時の邦題は「ブロンド・ターゲット/美人検事VS戦慄の殺人コップ」だったとか。 最もセクシーな俳優とも呼ばれたことのあるDennis Quaid(デニス・クエイド)のお相手はこれまたセクシーなEllen Barkin(エレン・バーキン)ですが、「ビッグ・イージー」でデビューしたエレン・バーキンもセックス・シンボルと呼ばれるようになりました。 セクシーなデニス・クエイドとセクシーなエレン・バーキンの鬩ぎ合いが楽しめる映画です。 というかテーマが警察の不正を暴くとか麻薬戦争に関わる殺人犯の捜査といったよくある警察ストーリーなのでふたりのロマンスがなければさして面白い話でもなく脱ぎっぷりの良いエレン・バーキンが登場しなければロマンスも盛り上がりません。 Oh, stop it, …that…

柔軟なおつむと凄腕の捜査能力の持ち主でプレイボーイの誉れも高きニューオーリンズ警察のDet. Remy McSwain(レミー警部)をデニス・クウェイドが演じる一方、お相手となるセクシーな女地方検事のAnne Osborne(アン)をエレン・バーキンが演じています。 ニューオリンズの麻薬組織の黒人側のボスであるDaddy Mention(ダディー ・メンション)役は、Just Out of ReachやCry to Meがヒットし2010年10月に亡くなった偉大なるソウル&ブルース歌手のSolomon Burke(ソロモン・バーク)が演じた他、レミーの甥っ子のJustin(ジャスティン)役で実生活では腹違いの弟であるBuddy Quaid(バディ・クエイド)がちらりとデビューしています。 他には裁判所の判事役でJim Garrison(ジミー・ギャリソン)が出演していますが、1963年のJohn F. Kennedy(ケネディ大統領)暗殺事件当時はニューオリンズの地方検事だったジム・ギャリソンは暗殺が権力の陰謀だったとして独自の調査を行った大人物でした。
「ビッグ・イージー」では麻薬が関係する殺人事件を捜査中のレミー警部にとんだ邪魔が入るところから始まります。 邪魔者とは「犯人は警官である。」と主張する美貌の特捜部のアンの出現でした。 お軽い腕ききの警部にお堅い石部金吉のような女検事、この2人は昼間は事件の捜査で警察側と検事として反発し合いながらも、夜には男と女として互いに惹かれていきます。 1983年に「The Right Stuff(ライトスタッフ)」で宇宙飛行士のGordon Cooper(ゴードン・クーパー)を演じたデニス・クウェイドですが、「ビッグ・イージー」ではとんでもない女たらしかと思いきや意外に真面目なレミーを演じています。
スリルとサスペンス、いやエロティックな描写で人気を博した「ビッグ・イージー」は1996年にテレビシリーズとしてPeter Ellis(ピーター・エリス)の監督で22話が放映されたそうですが、テレビ版では女検事を演じた女優がエレン・バーキンほどのエロさを出していないのでイマイチと評されたそうです。 とはいえ、ニューオリンズを襲ったハリケーン・カトリーナで行方不明が案じられたFats Domino(ファッツ・ドミノ)が観られたそうです。
ファッツ・ドミノの行方不明については2005年のHot’n Coolの記事「ハリケーン・カトリーナでファッツ・ドミノが行方不明 Fats Domino ‘rescued but missing’

「ビッグ・イージー」のあらすじ
Cajun Country(ルイジアナ州)の気楽なやり方に上手く馴染んでいたやり手警部のレミーは殺人事件を捜査中にお堅い地方検事補のアンに出会ったところからパチッ、パチッと火花が散ります。 以下のあらすじは驚くべき結末にふれているのでこれからビデオをご覧になる方は読まない方が楽しめます。
Zydeco Gris Gris
映画「ビッグ・イージー」のオープニングはMichael Doucet(マイケル・デューセ)が作曲した賑やかな”Zydeco Gris Gris”で始まります。 ちなみに”Gris Gris”とはヴードゥー教の一つでニューオーリンズ独特のHoodoo(宗教)らしいですが元々はアフリカの魔除けのことだとか。 そして”Zydeco”(ザディコ又はザイダコゥ)とはルイジアナの南西部湿地帯で白人のケイジャン(ケジャン又はケージャン)を元にしたフランス系黒人のクレオールが演奏するダンス音楽(フォーク・ミュージック)なんだそうです。 ケイジャン音楽で演奏されるボタン式のアコーディオンやWashboard(ウォッシュボード)と呼ばれる木製の洗濯板が金属製の楽器に変化したRub board(擦り板)がパーカッションとして使用されるそうです。
BeauSoleil – “Zydeco Gris Gris” – YouTube

「ビッグ・イージー」のオープニングではザディコ音楽をBGMにカメラが空からのルイジアナ俯瞰図、河をぬって失踪するボートや、海外からの輸送船と埠頭と倉庫の遠景などを過ぎ、最後にニューオリンズにあるVincent “The Cannon”‘ Di Moti(キャノン)の会社、イタリア風建物裏の殺人現場に到着、噴水プールに顔を突っ込み死亡している男。 日付は10月24日。 すでにニューオリンズ警察の連中が揃っている中、オープンカーから降り立ったのはピシっと決めたスーツ姿の伊達男のレミー警部です。(結婚経験あり) 殉職した父親を筆頭に叔父や従兄弟も警察官だったというニューオリンズ警察勤務15年のレミーはこの事件の担当でした。 貫禄のあるNed Beatty(ネッド・ビーティ)が演じるベテランのJack Kellom(ジャック警視)はプラチナ・ブロンドの髪が素晴らしいレミーの母親に気があるせいかレミーを父親のように可愛がってくれています。 レミーの部署にはさきに述べたレミーの上司のジャック警視、肥満のアンドレ警部、カツラのエド刑事、女性のマックケーブです。 レミーはジャックの質問に被害者は亡きレミーの父も検挙することが出来なかったという白人のThe Cannon(キャノン)が経営するメキシコ系密輸組織を運営するMafia(マフィア)のために働いていたアンジェロだと教えた。 よそ者のアンはをマフィア呼ばわりしたがレミーによれば最近のニューオリンズではWise Guysと呼ぶのだそうだ。 ジャック警視、肥満のアンドレ警部、カツラのエド刑事に加えてLisa Jane Persky(リサ・ジェーン・パースキー)が演じる赤毛のMcCabe(マックケーブ)も現場にいた。 女性といえども殺人課の優秀な警部であるマックケーブもレミーの部署の仲間だ。
署の殺人捜査課ではジャック警視が署の桟橋で油を売っていたとしてJohn Goodman(ジョン・グッドマン)が演じる肥満体型のAndre DeSoto(アンドレ警部)とEbbe Roe Smith(エブ・ロー・スミス)が演じるカツラのEd Dodge(エド)刑事の二人(警察学校の同期生)をドヤしている。 一方ガラス張りのレミーの執務室でこの事件の担当となったという女性検事のアンが待っていた。 アンの本当の目的は警察内の汚職調査であり、それをカモフラージュするために今回の殺人事件の共同に調査をするといって乗りこんできたもの。 この女検事は白の開襟シャツにテーラーカラーのスーツ。 見るからに精錬潔癖といった風貌。 アンが入手したい情報は飯を食いながら話すとレミー。 ジャック警視から愛想良くしろと仰せつかったレミー警部は「これは俺におまかせ!」とばかりに渋るアンを地元のザディコ・クラブに連れて行き、並ぶ客に「警察だ!」と職権乱用でブーイングされながらもさっさと店内に入る。 アンにダンスを無理強いしたりとモーションをかける。 このクラブで演奏していたブルース・バンドではベストを着たようなラブ・ボード(愛じゃなくてこする板)がもの珍しい。 酒場の店主が出てきてレミーにCajun Coush-coush(クッシュ・クッシュ)とDobash cake(ドバッシュ・ケーキ)に言及します。 ニューオーリンズのケイジャン料理といえばGumbo(ガンボ)やJambalaya(ジャンバラヤ)が有名ですが、このクシュクシュとは朝食料理の代表であるトウモロコシの粉と油とミルクで作ったおかゆのような料理で、ドバッシュ・ケーキとはチョコ・プディングを入れたチョコレート・シフォンケーキのようです。

翌日、「昨夜のことはなかったことにしましょう。」とアンから電話が入った。 この時アンが会話しながらLegal Padにいたずら書き(doodlin)をしていた時や法廷での原告席でも使用していたのですが、これはイエロー・パッドとも呼ばれる罫線入りの黄色い法律用箋です。 元は不要な材料を利用した安いメモ用紙だったようですが、黄色の紙は創作意欲を掻き立てるとして法律家はもとよりF. Scott Fitzgerald(F・スコット・フィッツジェラルド)などの文化人にも愛用されてきたそうです。
さて、日を改めてて再挑戦せんと、pepperone(パプリカ)やanchovies(アンチョビ)入りのピザを見せて「君が知りたい報告書はこの下にあるから先ずピザをたいらげて。」とにアンの部屋に押し込ったレミーは、「ここはルイジアナ、ニューオリンズ、気楽にやろうよ。」とばかりに強引にアンに迫る。 最初は恥ずかしがっていたアンもいい加減その気になって燃えてきた。

お定まりの野暮な電話で中断されたレミーは署に戻ることに。 それをトロけるような眼差しで早く戻ってねと未練がましく見送るアン。
レミーが呼ばれたのはフレンチクォーターに近いStoryville(ストーリーヴィル)の団地で起きた3人惨殺事件はヘロイン(麻薬)をめぐるギャングの抗争なのか。 白人グループのThe Cannon対黒人グループのDaddy Mention。 被害者の一人はダディー ・メンションの手下らしいが、一人が持っていた免許証から冒頭の噴水でのアンジェロ殺人事件の犯人と断定。 肥満のアンドレ警部も既に現場にいたが喧騒をよそになんとソファで居眠りしている。 散弾銃を打ちまくったらしい血だらけの生々しいこの現場になんと、アンが突然現れた。 ジャック警視の話では検察官側が今回の発砲事件に警官が絡んでいると聞いて関心を持ったのだとか。 もし犯行者が警官なら殺人犯が今現在ここに居るはず。 カツラのエド刑事が戸棚からラベルを剥がした後のある麻薬(メキシコ製ヘロイン)入りビニール袋を見つけ出してきた。 慣れないアンは被害者の顔がぶっ飛んだり脳みそが飛び散ったり肉片が落っこちているような残虐な殺人が行われた現場にヘドを催すありさまだったので近くのレミーのアパートに直行。 その夜は待ってましたの昨日の続き。

その後、レミーは情報提供者でフレンチクォーターのバーの経営者である小太りの男に会いにいったが50ドル札8枚入りの封筒を懐に押し込まれるという罠にかかった。 札ビラは店内にまいたが証拠の封筒は噛みつぶしてレミーの口の中。 条例違反見逃しの賄賂を受け取った汚職警官として内務調査官に連行され拘留されるハメに。 これで約束したアンとの豪華ディナーはおジャン。 最高にドレスアップして延々と待たされたアンの胸中やいかに。 そして検察側ではこれは罠だがレミーにはひと汗かかせようとその任務をアンに託した。 よってレミーを裁く連邦地方刑事裁判所の法廷には検事のアンの姿が。(さぞかし怒ってるだろう)
場面代わって、レミーは偽の口髭と帽子とサングラスでボラットみたいに変装してToulouse(トゥールーズ)街の工具店に行き、カウンターでアルニコ磁石を買い求めるとルイジアナ銀行に向かう。 通りに誰もいないのを確認すると重い磁石を両手で回転投げして銀行のウィンドウを割ると警報機がすぐに鳴り響いた。 レミーがわざとでっかい磁石を投げ込んだ理由は後に判明。 その足でアパートに帰ると警察官一家に生まれながらも警官にならずに消防士になったレミーの弟のボビーがいた。 キッチンでMuffuletta(マッファラタ)を作っていたボビーは突然変てこな口ひげ男が現れたので驚いて思わずキッチンナイフを振りかざした。 そのシーンでボビーが警察官だった父親の賄賂について子供の時から知っていたのだとレミーに話した。
☆ちなみにボビーが作っていたニューオリンズ名物のマッファラタとは漫画の「Dagwood(ダグウッド)」が大好きだった特大サンドイッチに類似した食べ物で、ルイジアナ州ニューオリンズのイタリア移民が始めたそうです。 20cm以上もある丸くて大きな胡麻入りシシリアン・ブレッドを横半分に切って中にハムやチーズ、ピクルスやオリーブなどの具を詰めたサンドイッチで、Po’ Boy Sandwiches(Poor Boy Sandwiches)と並んで有名だそうです。
場面代わって、レミーの家族が傍聴席に検察官のアンが検事席に座る予審からアンの申し出の裁判延期には至らず翌日まで休廷した。
次の殺人現場は祭り(マルデグラ)の倉庫だった。 そこに又もやアンがやって来る。 キャノンの用心棒である散弾銃使いのCarmine Tandino(カルミネ)がマルディグラの山車や飾りものの倉庫ごと吹っ飛ばされた。 パックリと胸に穴が開き心臓がみごと切り取られたカルミネ本人もカルミネの障害を持つ兄もろとも爆発で黒焦げ。 ブードゥーの呪いか。 いやブードゥーの司祭(術師)でもある黒人麻薬王のダディー ・メンションの仕業か。 ブラックマジック、グリグリ!

レミー一家が見守るなか、法廷ではレミー側の弁護士であるLamar(ラマル)のおかげか、偶然に警察の証拠物件保管倉庫の棚でレミーが写っているビデオテープの隣にレミーが投げた磁石が置かれてレミーが8枚の50ドル札入りの封筒を受け取った映像が記録されているテープが使い物にならなかったからか、レミー側の勝訴。 当初アンが提示した5万ドルの保釈金は500ドルに変更され最終審判ではゼロ、懲役実刑も執行猶予もなし。
レミーに殺人事件の連絡が入った時のシーンでベッドで寝ていたレミーが抱いていたのがアリゲーターの縫いぐるみ。 ピーッ! この後の署内でのシーンで署員との話し合いの最中にレミーが手で弄んでいたのもアリゲーターのオモチャ。 バスルームにもアリゲーターのアクセサリーが見られた。 そう、ここはルイジアナのニューオリンズ、スワンプやバイユーといえばワニが名物。 ナマズやザリガニに負けずワニの料理も人気だとか。

場面代わって法廷で負けた悔しさや怒りを静めるためにジョギングするアン、このシーンのBGMはThe Dixie Cups(ディキシー・カップス)が歌う”Iko, Iko(アイコアイコ、又はイコイコ)”
Iko, Iko – The Dixie Cups – YouTube
走っているだけのアンがなぜかパトカーに乗せられて連行された。 横断歩道を無視したからという理由でアンをパトカーに乗せた警官はレミーの叔父だった。 つれて行かれたその先はというとレミーの実家の庭。 ベランダでレミーがギター片手に”You Used to Call Me”を歌い、ラファイエット叔父がSqueezebox(アコーディオン)でソロをとるレミー家のケジャン・パーテイではニューオリンズ警察と消防署を称えるスピーチはジャック警視。 デブのアンドレ警部もカツラのエド刑事も参加している。
“Used to call me in the morning, used to call me late at night, now you don’t call me anymore, used to call me Daddy, oh Daddy, oh Daddy, now you don’t call me anymore…” と歌われた”You Used to Call Me”はサントラには収録されていないようです。
レミーのママがバケツいっぱいのCrawfish(ザリガニ)を運んでくる。 ケジャンの人々はザリガニの脳みそも啜るのだそうだ。 ベランダから降りてきたレミーはこんなジョギングスタイルだから嫌だと躊躇うアンを家族や友人の応援で無理やりダンスに誘う。 その時気になったのがアンがタクシーを呼んでレミーの家から帰るために渡った工業用運河の橋の水門の辺りに二人の溺死体があったこと。

さて、レミーのママにぞっこんのジャック警視はとうとう年が明けたら退職することに決めました。 そうすれば警察官嫌いのママは結婚を承諾してくれるのです。 レミーも感慨一入。
このあと署内で二日酔いの署員たちが酔いを醒ますべく自家製スペシャル・ドリンクを作って飲んでいましたが、そのレシピは胸焼け解消用の発砲錠剤、トマトジュース、ウスターソース、そして生卵です。 おえっ!
場面代わって、署内ではレミーと3人の仲間たちが昨晩発見された急性鉛中毒らしき二人の潜水夫の水死体について報告している。 どうやらベラクルスを拠点とする古い密輸人のようでメキシコ流なのが監視用の盗聴器が仕掛けられている。 この男たちは殺される3日前にベラクルスへ行ったというキャノンの手下のアンジェロ殺害に関係しているらしい。
一体全体、一連の殺人事件の首謀者らしき麻薬王のダディー ・メンションは麻薬をどこに隠しているんだろう。 これまで誰もダディー ・メンションを訊ねていないのが不思議。 検事のアンとレミーの弁護士のラマルが揃ってBasin Street(ベイジン・ストリート)にあるダディー ・メンションの”Maison des Dieux(神の家)”を訪ねる。 このシーンではニューオリンズのブルースマンだったProfessor Longhairで有名な”Goin’ to Mardi Gras”の演奏が聞こえるらしい。(Henry ‘Professor Longhair’ Byrdは映画の中で”TIPITINA”を歌っているそうだがどちらの曲も覚えていない) その建物は古い木造家屋で1階がGris-Grisショップになっている。 店内はモジョ、医薬品、ヴードゥー(Hoodoo)儀式用具、羽、小像、蝋燭、そしてお守りの一種のJohn the Conqueror roots(ドクター・ジョンのハイ・ジョン/ジョン・ザ・コンカラーの根のことでJohn the Conquerorとはアメリカ大陸に奴隷として売られてしまったアフリカの王子だとか)など雑多な品々が所狭しと並んでいる。
赤いスーツを来た小太りの穏やかそうな中年の黒人がソロモン・バークが演じる麻薬組織のボスのダディー ・メンション。 縮れた白髪まじりの毛が電気椅子にでもかかったように逆立っている。 店にはMulatto(白人と黒人の混血)の女がいて挨拶をしたがダディー ・メンションには21人の子供と14人の孫がいるそうだ。
アンとラマルがダディー ・メンション配下のイタリア人のアンジェロとカルミネ以下数人を殺害した犯人を捜していると伝えるとダディー ・メンションは「警察は麻薬戦争だと推測しているが諸君はどう思うかね。」と聞いてきたところにレミーもやって来た。 ダディー ・メンションが席を外した直後、散弾銃をぶっ放す音が続けざまに聞こえた。 4発。 短銃片手のレミーとアンは裏庭に駆け下りた。 小さなブードゥー教の祭祀所の入り口でダディー ・メンションは死んでいた。  3メートルもあり高い塀の向こうで車のタイヤが軋む音が聞こえた。 塀を飛び越えて銃を撃ったレミーも茶色のフォードで轢き殺されそうになるが塀に手をかけて辛うじて逃れた。 アンはというとハイヒールを脱ぎ捨てて近くの大木によじ登って鳥の巣箱をもぎ取ると車目掛けて投げつけてレミーを応援。 しかしレミーはいい加減に本当のことを言え!とアンに攻め寄る。 アンが言うにはアンジェロを殺害したのは覆面パトカーに乗った二人の私服警官だという証言を得ている。 なぜそれを警察に言わなかったのだ?と攻めるレミーにアンが答えた。 「警察が容疑の対象だから。」  「ううむ、麻薬戦争なんてなかったのか。」とレミーは自分が警察ファミリーであることを呪った。 この後レミーとアンは二人揃って裁判所に行き、特別な捜査令状の異例な措置の許可を得た。
どんな捜査方法かというとレミー一家の4人の叔父たち警官に助っ人を頼み、署の出入りする人物を克明にチェック。 レミーが警官隊に要求したのは違反切符手帳、無線記録、走行記録などを提出すること。 Guerra刑事とDuvivier刑事は不満を顕わにしたがジャック警視のお言葉で全員強力。 デブのアンドレア警部とカツラのエド刑事が署を出ようとした時レミーの叔父が全員の身体検査をするよう指令が出ていると伝える。 アンドレア警部は足に短銃とナイフを付けていた。 ゲバルト棒、じゃなかった警棒、飛び出しナイフ、小型デリンジャー。。。 マックケイブや他の刑事たちもレミーの部屋の前でチェックの順番を待っていた。 レミーをひき殺そうとした車も裏通りの廃車置き場で見つかった。 トランクにレミーが発射した銃痕がある車を押収し指紋照合に回す。
ひと仕事終えた二人はレミーのアパートに直行。 ここで二人が仕事をしながら食べたのがニューオリンズ名物のPo’ Boy(ポーボーイ・サンドイッチ)。 ピストルや車やパトロール、逮捕に関する記録日誌、それぞれ違った部署の記録なのに改ざんされているのだ。 いくら書類を調べてみたところで既に証拠隠滅を図られているので何も出てこないことが判明。 こんなことはジャック警視かレミーにしかできないはず。
夜中に帰ろうとするアンをレミーは「何にもしないから。」と押し留めた。 二人がそれぞれベッドに入った後、鍵が開けられ誰かが入ってきた。 動くな!とレミーが銃を突きつけると、それは心臓麻痺を起こしそうに驚いた弟のボビーだった。 アンがベッドで兄貴がソファなら俺はどこに寝ればいいのだと言うボビーにレミーはソファからクッションを一つ取るとカーペットに投げた。 3人が目覚めた朝には雨が降っていたがレミーはいいことを期待してか、ボビーにレミーのコートを貸して金も渡し「タクシーでできるだけ遠くに行って朝食をとり映画でも観てこい。」と無理やり雨の降りしきる外に追い出した。 これがあのような悲劇を生むとはさすがのレミー様もその時には考えも付かなかった。 ボビーを追い出したレミーは床にアンが脱ぎ捨てたレミーの制服のシャツを見つけてニンマリ。 だがそうは問屋が卸さなかった。 なんてこった、すでにアンはお仕事モードに切り替わっていたのだ。 カメラは建物の上から土砂降りの中をアパートから出てきたボビーを捕らえる。 望遠レンズの焦点はボビーの背中。 ライフルの銃弾が命中し転げまわったボビーは溝に落ちた。 レミーのコートを着たボビーはレミーと間違えられて何者かに撃たたことは明白だった。 ボビーが運ばれた病院の裏庭にはスパニッシュ・モスが垂れ下がったうっそうとした古い樫の大木が乱立していたがこれはニューオリンズ特有の風景だ。 ここで取り交わされたレミーとジャック警視との致命的な会話。 「二度と俺のママに近づくな!」 もし、ここで「ボビーは大丈夫よ!」と叫んだママの出現がなかったなら相撃ちになっていたかもしれない。

ジャック警視が一連の殺人を告白したところで全ての謎が解けたわけではない。 大量の麻薬はどこ? 共犯者はいるのか? アンとレミーは考え付かなかったので思い余ってエド刑事に電話してみると、「ジャック警視が! 信じられん。 それで仲間が誰かも話したのか?」 レミーはエドに言った、「いや、それについては一言もしゃべってはいないがジャック警視を逮捕だ!」

闇夜に「警察の管轄区域につき許可なき者の出入りを禁ず。」と書かれたゲイトのバリケードを破って署の桟橋に侵入する人影あり。 現れたのがレミーから情報を得たエド刑事とデブの警官コンビ。 二人は最初のアンジロ殺害事件の夜に麻薬を隠したボートを押収した張本人だった。 そのボートはこの埠頭につないである。 一方、ジャック警視が麻薬のビニール袋を両手いっぱいに抱えてクルーザー「La Mordida」のキャビンから顔を出したとたん、「逮捕する!」とエド刑事の声。 それと同時にショットガンが炸裂してジャック警視がキャビンの階段からもんどりうって落ちた拍子に袋が破けて当たりにヘロインの白い粉が飛び散った。 仲間割れというよりも裏切り者としてジャック警視は撃たれた。 それを見つけたのはようやく埠頭に到着したアンとレミー。 「俺たちの完全犯罪をふいにしたのはお前だ!」とばかりに散弾銃を構えたエドとアンドレアの悪徳警部たちとレミーとの戦闘開始。 海中に逃れたアンとレミー、取り上げられた拳銃の代わりにボートにあった照明弾ピストルを手にしたレミーは高温の炎をアンドレア警部目掛けて打ち込んだから2000℃のマグネシウム弾が腹で炸裂。(これが散弾銃を改造したVery pistol(ベリー信号銃)かどうかは不明) グロテスクにも死亡したアンドレア警部の腹の中は灼熱の照明弾が赤く輝いている。 残るは薬包もたっぷりの散弾銃を構えたエドのみ。 遂にレミーの照明弾銃がエドの脇腹から肺に打ち込まれた。 このエドとレミーの銃撃戦はクルーザーの内部を燃え上がらせる結果となり、30キロもの麻薬を隠してあったボート”La Mordida”は炎上し大爆発、船の残骸が60メートルも吹っ飛ぶ中、レミーとアンの二人はアクション映画で良く見るダイビング・シーンで九死に一生を得た。
悪魔に魂を売り渡してまでも望んだジャック警視の退職後の黄金の夢も今は虚しく、愛するレミーのママとの結婚は吹き飛んだが、まだ息のあったジャック警視の1発が背後から危うく撃たれそうになったアンを助けたので天国に行けるかも。

法を守るべき警官なのに赤信号無視に始まり、まるであざ笑うかのように法を捻じ曲げ、賄賂を受け取り、法廷で偽証し、さらに証拠の改ざんまでするような人間には我慢できない!と言い切ったアンはついに戦友レミーの魅力に陥落す。
ラストシーンは(新婚初夜じゃない)、スリットから伸びた右足のガーターベルトがセクシーな純白ウエディングドレス姿のアンをお姫様抱っこしたレミーが喜びのダンス。 このラストシーンでのBGMは冒頭とおなじく”Zydeco Gris Gris”
※もしもご覧になったビデオのエンディングシーンがレミーとアンの川流れならば、1998年に亡くなったルイジアナ出身のザディコのキングと云われたRockin Sidney(ロッキン・シドニー)がスクィーズボックスを演奏しながら歌う”Alligator Waltz”かも。 もしそうであってもサントラには収録されていません。

デニス・クウェイドが提案したという映画のタイトルの「The Big Easy」というのはニュー・オーリンズの別名だそうです。 ニックネームの由来は曖昧ですが、ミュージシャンたちはブルースとジャズの天国であった開放的なニューオリンズで仕事に在り付き、腕を磨き名を上げることが容易かったのでしょう。 ちなみにニューヨークはThe Big Apple(ビッグ・アップル)ですが1920年代からニューヨーク競馬のアップル賞や、ビッグを夢見るジャズ・ミュージシャンたちがニューヨークをそう呼び始めたとか諸説あり。

ちなみに、サービスとして狙った効果なんだろうが、初体験シーンで見せたアンの白い生パンがエロい。(古くはMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)が最初かも。 花柄ならもっと真正面で「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のジェシカ・ラング)
☆ちなみに私にはエレン・バーキンの男バージョンは努力賞なれどちっとも面白くなかった1991年の男女入れ替わりコメディ「Switch(スウィッチ/素敵な彼女?)」で座っての大股開きや足を組む時に白パンを見せています。 役柄が女性達に恨まれて殺されたプレイボーイを悪魔が女にしちゃったので別にエロくもありませんがプレイボーイの親友との間に出来ちゃった女児出産シーンでもいきみついでに玉掴みをやってます。(エレンの素顔はすごく魅力的だからアカデミー賞でも取って欲しいところなのになんだかねぇ。老婆心ながら、これじゃキワもので終わっちゃうんじゃ?)

Dennis Quaid
「ビッグ・イージー」でザデコを歌ったデニス・クウェイドはこの後1989年に同じく日本未公開の映画「グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー」でロックンロールを熱唱します。 デニス・クウェイドの出演作品では1998年の「The Parent Trap( ファミリー・ゲーム)」は日本で劇場公開されましたが、2004年の「イン・グッド・カンパニー」や2006年の「アメリカン・ドリームズ」などかなりの数が日本未公開作品ですし、2008年の「バンテージ・ポイント以降は主演作品がないようです。

Ned Beatty
ジャック警視を演じたネッド・ビーティは1970年代初期から「ビッグ・イージー」や1995年にSean Connery(ショーン・コネリー)やEd Harris(エド・ハリス)が出演した「Just Cause(理由)」などたくさんの映画で脇役を演じていますが2010年のアニメ「Toy Story 3(トイ・ストーリー3)」ではロッツォ・ハグベアの声で出演しています。

John Goodman
レミーの同僚のアンドレ警部をジョン・グッドマンが演じています。 ぐっと太めな体系でユニークなジョン・グッドマンは2001年の「One Night at McCool’s(ジュエルに気をつけろ!)」では刑事役ですが、2004年の「Beyond the sea(ビヨンド the シー ~夢見るように歌えば~)」ではBobby Darin(ボビー・ダーリン)のマネージャー役でした。

video「ビッグ・イージー」のトレーラーはThe Big Easy Trailer – VideoDetective
The Big Easy Opening & Closing Themes
Zydeco Gris Gris by Beausoleil (Zydeco) & Buck’s Nouvelle Jole Blon by Buckwheat Zydeco (Cajun)

Mardi Gras Beads
ところでニューオーリンズの名物で”マルディグラ(太った火曜日)のおっぱい祭り”をご存知ですか?
フランスやスペイン領だった異国風な町並みのニューオリンズはジャズやケイジャン料理などの黒人文化で有名ですが、特筆すべきはマルディ・グラという謝肉祭(カーニバル)でしょう。 キリスト教のクリスマスから数えて十二夜にあたる公現祭(1月6日) から始まり、四旬節の前日であるマルディグラに終わるのだそうです。 なんたって「悪いことはみんなやっちゃう!」と大騒ぎするこのお祭りでは、女性たちが「ビーズ輪を頂戴!」とおっぱいを見せちゃうのです。 大抵はシャツなどの裾をまくってホンのチラリ(一瞬)ですがデカイのあり、可愛いのありと見放題ですぞ。 最近はニセぱいもあり!投げられたビーズで負傷する例もあり!(私はこの映像を一体どこで観たのか、アメリカのTV番組のThe FOX News Channelだったかも) この現象の起源は不明ですが、ガラス製のビーズやオモチャを山車(フロート)から投げることは19世紀後期からあったそうです。 プラスティック製のビーズが投げられるようになり、ある時シャツをめくって見せてビーズを投げてもらっら女の子を他の女の子も真似したんだとか。
Jack Nicholson(ジャック・ニコルソン)が弁護士で出演してDennis Hopper(デニス・ホッパー)が監督及び出演した1969年の「Easy Rider(イージー・ライダー)」では麻薬を隠したハーレーに乗りカリフォルニアからマルディグラのニューオリンズに向かってぶっ飛ばすコンビを描いていました。 そんな男たちが憧れたマルディグラの張子の山車(だし)はすごい、ディズニーランドのパレードなんて皆さん静かに見てるだけ。
Girls Flashing At Mardi Gras’ Beads on Burbon Street
Mardi Gras – YouTube
Mardi Gras 1941 – YouTube

The Big Easy DVD
ページトップの画像は輸入版VHSで、他に日本で入手できるのは日本語字幕版VHSで1988年リリースの「ビッグ・イージー」(ASIN: B00005N0YO)ですが、2009年12月にウエストブリッジが3,192円で販売する日本語字幕版DVD「ビッグ・イージー」(ASIN: B004JNAHUM)がリリースされました。 どういうわけか、輸入版のDVD「The Big Easy [DVD] [Import] (1986)」(ASIN: B00005MFOJ)が”アダルト商品につき18歳未満の方は購入できません。”と表示されます。 まさか、エレンバーキンのヘア解禁なんてことはないでしょうが。

The Big Easy Soundtrack
Brad Fiedel(ブラッド・フィーデル)音楽の「ビッグイージー」サウンドトラックにはThe Dixie Cups(ディクシー・カップス)のIko Ikoをはじめ、米国南部のルイジアナ地方特有の音楽であるZydeco(ザディコ)やCajun(ケイジャン又はケジャン)などが収録されています。 12曲収録したサントラのオリジナルは1986年にリリースされたそうですがこちらのCDは1991年盤です。
The Big Easy SoundtrackThe Big Easy: Original Motion Picture Soundtrack
サントラの試聴はThe Big Easy: Original Motion Picture Soundtrack – AllMusic.com
☆ザディコのBuckwheat Zydecoや、The Swan SilvertonesのSaviour, Pass Me Not、映画のパーティー・シーンに出演したケイジャン(ルイジアナ・フォーク)のフィドラーであるDewey Balfa(デューイ・バルファ)の”Pine Grove Blues2などですが、”Dennis Quaid and The Sharks“という自分のバンドを持つほど音楽好きな主演のデニス・クウェイドが自作自演で歌う”Closer To You”は試聴の9番です。
Dennis Quaid – “You Used to Call Me” – YouTube
Let’s Party Gras!

サウンドトラックに収録されているIko Iko(アイコ・アイコ)は、ルイジアナの土着インディアンの歌をニューオーリンズ出身の3人娘「ディクシー・カップス」がポップ調に歌ってヒットしました。 「ディクシー・カップス」は64年に”Chapel Of Love(愛のチャペル)”が全米1位の大ヒットを記録しています。 2005年5月から放映されていたホンダのステップ・ワゴンの「HOP! STEP INTERIOR」篇や「HOP! STEP FLOOR」篇でこの”アイコ・アイコ”が使用されていますが、トム・クルーズ出演の映画「M:I-2(ミッション:インポッシブル2)」でZap Mam(ザップママ)のバージョンが聞かれるそうです。
☆ルイジアナ音楽についてはAudio-Visual Trivia内の「スケルトン・キー」や「アルバート・バーバンク」を参照。

Ellen Barkin
脱がなくてもセクシー、艶技がすごい! だから脱いだらもっとすごい!ちょっと目にはぜんぜんセクシーには見えないエレン・バーキンは映画では強烈な役柄を演じますが、スクリーンを離れたエレン・バーキンが見せるくったくのない笑顔は天下一品!
「ビッグ・イージー」の冒頭シーンではこの後のセクシーさと対比させるべく、全くセクシーとは縁遠い普通の女性、というよりも普通の隣のおばさん。 設定では20代の後期とされているのにもっとおばさんっぽい。 口のゆがみ具合が「Dr. Quinn, Medicine Woman(ドクター・クイン)」のJane Seymour(ジェーン・シーモア)ばりだが美貌では競うことは出来ない。(シーモアは67歳にしてプレイボーイ誌のグラビアに登場) 実際、エレン・バーキンは看板女優なのに殆ど手を加えていない顔が新鮮。 シワが見え見え、口角がルーズに下がり、およそ気取ったおちょぼ口とは縁遠い。 目もアイメークなどしていないように下がり気味。 この辺までは肝心な胸も強調していない。 しかしデニス・クウェイドの足も長いがエレンの脚は抜群に長い。 そして脱ぎっぷりがすこぶる良い。(似たナチュラルタイプの女優にストリッパーを演じても「Striptease(素顔のままで)」のDemi Moore(デミ・ムーア)みたいにサイボーグにならなかった「The Big Town(ビッグタウン)」のDiane Lane(ダイアン・レイン)がいますが、ダチョウのピンクの羽はパックン!じゃなくてもうちっと小刻みに震わせて欲しい) デニス・クウェイドもお尻を2度ほど見せてサービスしているが、エレン・バーキンは白い生パンの股の部分が丸見えだったのはかなり衝撃度が高い。 私が観た映画で過去にこれよりもっとすごかったのはJack Nicholson(ジャック・ニコルソン)とJessica Lange(ジェシカ・ラング)が出演した1981年の「The Postman Always Rings Twice(郵便配達は二度ベルを鳴らす)」でした。(花柄だが露骨過ぎ) おまけに「ビッグ・イージー」では大サービスでにエレン・バーキンは冷蔵庫を覗き込むレミーの後ろから玉掴みという離れ業まで見せた。 ところがこれが大間違いで、飛び上がったのはなんとTom O’Brien(トム・オブライエン)が演じるレミーにそっくりな弟のボビーだったから気まずいのなんのって。 堅物女検事がセクシーな警部に落とされ、ウキウキした気分を表そうとした受け狙いのシーンかもしれないがこれもちと品がない。

ロシア系のユダヤ人家庭に生まれたエレン・バーキンは演技を学んだ後にMickey Rourke(ミッキー・ローク)とKevin Bacon(ケヴィン・ベーコン)が出演した1982年の青春ドラマ「Diner(ダイナー)」でメジャーデビューを果たしました。 1984年には無国籍映画風カルト映画となった「The Adventures of Buckaroo Banzai Across the 8th Dimension(バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー)」で主人公の博士の妻の双子のかたわれでセクシーなPenny Priddy役を演じた後の「ビッグ・イージー」出演でした。 これ以降、ミッキー・ロークと再び共演した「Johnny Handsome(ジョニーハンサム)」の後、30歳からずっとセクシー路線を突っ走ります。

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Siesta with Ellen Barkin and Gabriel Byrne「ビッグ・イージー」のバーキンはエロティックと述べましたが、これはほんの序の口、この後に、Jodie Foster(ジョディ・フォスター)やIsabella Rossellini(イザベラ・ロッセリーニ)が出演した1987年のちょっとサスペンス映画「Siesta(シエスタ)」で脱いだらすごいことを証明しました。 ゥワ~ォ! ヒロインは果たして飛行機から火山口に曲芸ダイヴしたのか、友達が自分のことを病院に入れると言っているのを聞いて窓から飛び降りたのか、ドレスに付いていた腹の血のりは愛しい人の妻を殺害したのか、妻に殺害されたのか、この夢か現か幻かの「シエスタ」では赤いドレスのバーキンが一番奇麗に撮れているのではないかと思います。 この映画で1990年代初頭に9歳年下のJohnny Depp(ジョニー・デップ)と交際の噂があったバーキンと全裸ベッドシーンを演じた元彼役のGabriel Byrne(ガブリエル・バーン)が余りにもセクシー(Sexiest Men Alive)なのでエレン・バーキンは結婚してしまいましたが二人目の子供が生まれた後に別れています。 その後にユダヤ人の投資家の4番目の妻となりましたがこれも離婚。 離婚後もエレンと交流があるというアイルランド出身のガブリエル・バーンは「シエスタ」の後1992年のアニメと実写の合成映画「Cool World(クール・ワールド)」で「The Marrying Man(あなたに恋のリフレイン)」のKim Basinger(キム・ベイシンガー)と共演、1995年にBryan Singer(ブライアン・シンガー)監督の「The Usual Suspects(ユージュアル・サスペクツ)」でKevin Spacey(ケヴィン・スペイシー)やBenicio Del Toro(ベニチオ・デル・トロ)と共演して汚職警官転じて偽装死を企んだ銃器強奪事件の容疑者の一人を演じましたが、1998年の「The Man in the Iron Mask(仮面の男)」で三銃士のダルタニャンを演じた後、1999年の「End of Days(エンド・オブ・デイズ)」ではなんと教皇さまの首をグギッと回したサタンを演じたのでした。 2004年の「P.S.(ルイーズに訪れた恋は…)」では「Kinsey(愛についてのキンゼイ・レポート)」のLaura Linney(ローラ・リニー)や「In Good Company(イン・グッド・カンパニー)」のTopher Grace(トファー・グレイス)と共演しています。 2008年から放映されているHBOのTVシリーズドラマ「In Treatment」でサイコテラピストの渋いPaul Weston(ポール医師)を演じて大人気です。
噂では「シエスタ」のヒロイン役でオファーを受けたのですが、ヌードやセックスシーンが余りに多いのでさすがのMadonna(マドンナ)も断ったというのも頷けるほど真っ赤なドレスのエレン・バーキンの下半身にボカシが入ります。(何も見えない、が、どっちを染めてんだろう)
☆Marcus Miller(マーカス・ミラー)と共にジャズ・トランペッターのMiles Davis(マイルス・デイヴィス)が音楽を担当している「シエスタ」のサントラは「Siesta Soundtrack(1987 Film)」です。
フランス映画の「Ascenseur pour L’echafaud(死刑台のエレベーター)」での炸裂するようなペットを吹いたマイルスとは違ってマカロニ・ウエスタンかフラメンコ調な演奏なので私には余りにマイルド(シエスタだからがまどろんでいるような曲)。
Miles Davis & Marcus Miller – Siesta Theme – YouTube

シー・オブ・ラブ:スペシャル・エディション DVD (ASIN: B000G7PRY6)
Sea of Love with Ellen Barkin and Al Pacinoハンパじゃない! エレン・バーキンが超セクシーな1989年の「Sea of Love(シー・オブ・ラブ)」(シー・オブ・ラブ)」ではセクシーなAl Pacino(アル・パチーノ)と共演しました。(Phil PhillipsとTom WaitsのSea of Loveはさておき、音楽を担当したTrevor JonesのFear and passionとJ.J. JohnsonのLamentがクール) 全裸の激しいラブシーンではハードボイルドなアル・パチーノが「殺してくれ!」と呻いたセリフで話題を呼んだエレン・バーキンです。 その後の1991年に女になってしまったプレイボーイを演じたBlake Edwards(ブレイク・エドワーズ)監督の「Switch(スウィッチ/素敵な彼女?)」ではハイヒールに苛つき、レズビアンのLorraine Bracco(ロレイン・ブラッコ)を誘惑する(される)などのコミカルな演技でゴールデン・グローブにノミネートされました。 墓石に刻まれた素敵な男であり特別な女、終盤は考えさせられるこの映画で「Fun with Dick and Jane(復讐は最高!)」のTéa Leoni(ティア・レオーニ)がモデルのコニー役でデビューしました。
Ellen Barkin and Al Pacino in “Sea of Love” – YouTube

2001年には「Someone Like You… (恋する遺伝子)」に顔を出したエレン・バーキンの最近の話題作は「The Original Kings of Comedy(キング・オブ・コメディ)」や「Mo’ Better Blues(モ’・ベター・ブルース)」などのSpike Lee(スパイク・リー)が監督し、Woody Harrelson(ウディ・ハレルソン)がバイオテク企業の社長を演じ、レズビアンの種馬となる男の悲劇を描いた2004年の「She Hate Me(セレブの種)」で、「Dobermann(ドーベルマン)」のMonica Bellucci(モニカ・ベルッチ)も出演します。 種馬男が解雇されたバイオテク会社のボスでレズたちと同様に、しかし別な目的で彼に付き纏います。 同年2004年にはTodd Solondz(トッド・ソロンズ)が監督した一連の不思議な映画「Palindromes(おわらない物語 アビバの場合)」で映画の最初と最後に登場したヒロインであるアビバの母親を演じました。(映画のタイトルの”Palindrome”とは回文といって、ヒロインの名前の”Aviva”のように後ろから読んでも同じ言葉のことです) この「おわらない物語 アビバの場合」でエレン・バーキンはトッド・ソロンズ監督を絶賛したそうなので母親という役作りのためだったのかは不明ですが、この映画でのエレンの顔は完璧に変わっている。 アビバの妊娠を知って激怒した時とパーティのシーンだけが見慣れたエレンでした。
熟女となって益々セクシーと評判のエレン・バーキンは、2007年にはなんと、2004年の「Ocean’s Twelve(オーシャンズ12)」の続編「Ocean’s Thirteen(オーシャンズ13)」で13番目となる新メンバーに決定し、Matt Damon(マット・デイモン)演じる付け鼻で変装したLinus Calwell(ライナス)に媚薬で誘惑されそうになる女を演じる予定ですが、George Clooney(ジョージ・クルーニー)もトリコ(虜)まれるかも。 いや、噂は映画の前宣伝でしょうね。 50歳を過ぎても最もセクシーな女といわれるエレン・バーキンですが、私が思うに2000年を越した頃からエレン・バーキンの風貌が変わっていき、「オーシャンズ13」では誰?と目を疑います。(髪型がショートになったせいだけでない) 「オーシャンズ13」以降、エレン・バーキンの映画は日本で劇場公開されていませんが、2009年に「Happy Tears」で共演するDemi Moore(デミ・ムーア)とは2011年にも「The Reasonable Bunch」で共演するそうです。

1989年には「ビッグ・イージー」にマックケーブ警部役で出演したリサ・ジェーン・パースキーも出演し、Dennis Quaid(デニス・クウェイド)が主演して歌うロック歌手の伝記映画「Great Balls of Fire(グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー)」は「ビッグイージー」コンビのジム・マクブライド監督です。 2006年、デニス・クウェイドは Spade Cooley伝記のShame on Youも製作中だそうです。

Audio-Visual Trivia内のデニス・クウェイドの出演映画
1989年のグレート・ボールズ・オブ・ファイヤー
2004年のイン・グッド・カンパニー
2006年のアメリカン・ドリームズ
Shame on You

Audio-Visual Trivia内の参考記事
ミッキー・ロークが出演したシン・シティ
ケヴィン・ベーコンはThe Woodsman
ジョディ・フォスターはハートに火をつけて
イザベラ・ロッセリーニはブルー・ベルベット
アル・パチーノはベニスの商人
マット・デイモンはリプリー
ブラッド・フィーデルが音楽を担当した1993年のブルース・ウィリスとサラ・ジェシカ・パーカー主演のスリー・リバーズ

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