デューク・エリントン Duke Ellington

Ken Burns JAZZ Collection
Duke Ellington
Duke Ellington: King of the Keys

Blue, Too – The Shepherd by Duke Ellington (1899-1974)
デューク・エリントンの幻の「Blue Too The Shepherd
ジャズピアノ奏者で作曲家のDuke Ellington(デューク・エリントン)は1930年代からジャズの巨匠の座に君臨していました。 エリントン楽団のリーダーであり、数々のヒット曲を生み出した作曲家として知られています。
そのデューク・エリントンが演奏する曲のなかに”Blue, Too – The Shepherd”という曲があります。 これがなかなか見つからなくて私には謎の曲となっています。 タイトルの表記もまちまちで「Blue, Too (The Shepherd)」、「Blue, Too – (with The Shepherd)」とか「Blue Too aka Shepherd」などがあり、Duke Ellington Vol. 1-5やDuke Ellington – Private Collection [Box]などほんの少しのアルバムに収録されていますます。 エリントンの「The Private Collection, Vol. 3: Studio Sessions, New York, 1962」というアルバムではタイトルが”Blue, Too”となっていることもあり。(Blue, Too – The Shepherd)

日本では1964年6月20日のフェスティバル・ホール(大阪公演)でデューク・エリントンがBlue, Too – The Shepherdを演奏したそうですが、これもほとんど情報がありません。 という次第で「幻のBlue, Too – The Shepherd」なのです。
デューク・エリントンの1974年のアルバム「The Pianist」(ASIN: B000000YX7)に収録されている”The Shepherd (Take 1)やShepherd(Take 2)はちょっと違うようです。
Duke Ellington Trio – The Shepherd – At The Côte Azur with Joan Miró (1966) – YouTube
(John Lamb (bass) & Sam Woodyard (drums))

Duke Ellington – Blue, Too (The Shepherd) – The Private Collection, Vol. 3: Studio Sessions, New York, 1962

オリジナルは1962年録音のデューク・エリントンのCDに”Blue, Too – The Shepherd”が収録されています。(全曲試聴可)
The Private CollectionThe Private Collection, Vol. 3: Studio Sessions 1962 Duke Ellington / Atlantic


Black and Tan Fantasy
それまでとは違った洗練されたジャズを演奏したデューク・エリントン楽団は1917年から音楽活動を始めたピアニストのデューク・エリントンがリーダーで作曲家で編曲者でした。 ワシントン出身のエリントンの最初のバンドのThe Washingtonians時代にはSidney Bechet(シドニー・ベシェ)が一時参加していて一緒に録音したことがあるそうです。 その後エリントン楽団にはトランペット奏者のBubber Miley(ブッバー・マイリー)が参加してミュートで吹いた異色のジャングル・サウンドが楽団の成功をもたらしました。 作曲も手掛けたほどのブッバー・マイリーですが、そうとうなアルコール中毒のために解雇されてしまいました。 トランペットのWOWWOW(ワウワウ)奏法の始りです。 1927年にEast St.Louis Toodle-Ooの再録音でBlack and Tan Fantasy(黒と茶の幻想)とCreole Love Callが初リリースされエリントンの定番の曲の一つとなりました。 イギリスでリリースされた「SP/78- Duke Ellington HMV Black and Tan Fantasie/ Jubillie」というDuke Ellington and His Cotton Club Orch.名義の78回転のレコードはオリジナルの1927年の録音かどうかは不明ですが中古で見つかることがあります。 1929年にはDudley Murphy(ダッドリー・マーフィー)が監督した「Black and Tan」というミュージック映画にDuke Ellington Orchestra(デューク・エリントン楽団)としてBarney Bigard(バーニー・ビガード)などと共に出演しました。 Black And Tan FantasyはピアニストのEarl Hines(アール・ハインズ)がいくつかのアルバムに収録していますが、”Though you, though you say we’re through I’ll always love you…”と歌われた歌詞があるそうですが誰が歌ったかは不明。 映画「Black and Tan」はLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)が出演した1932年の「Rhapsody in Black and Blue」と共に「Hollywood Rhythm Vol. 01 – The Best of Jazz & Blues」というDVD(ASIN: B000056N7S)に納められているそうです。

トランペット奏者といえば1939年から1940年にTeddy Wilson(テディ・ウィルソン)と組んだことのある叙情的なサウンドのHarold “Shorty” Baker(ハロルド・ベイカー)が1942年から1962年にかけて断続的にエリントン楽団に在籍していましたが1950年代にはJohnny Hodges(ジョニー・ホッジス)のグループにも所属しました。 この当時に在籍していた専属歌手というと1940年代から1950年代までの8年間在籍していた盲目のR&B男性ボーカリストのAl Hibbler(アル・ヒブラー)で、1955年にバリトンで歌い上げる”Unchained Melody”がヒットしたそうですがその後市民権運動家になりました。
Black and Tan Fantasyは1929年にDudley Murphy(ダドリー・マーフィ)監督で映画「Black and Tan」となりデューク・エリントンと彼の楽団が出演しました。 勿論サウンドトラックにはエリントンの自作自演の”Black and Tan Fantasy”が使用されました。
Duke Ellington & his orchestra – Black & Tan Fantasy 1929 – YouTube

1995年のハードボイルド映画「青いドレスの女」の音楽はElmer Bernstein(エルマー・バーンスタイン)ですが、出だしがちょっとコミカルなエリントンの”Hy-Ah-Su(Hy’a Sue)”がThelonious Monk(セロニアス・モンク)の”Round Midnight”などと共にサウンドトラックに収録されていています。

Listen”キャラバン”や”ココ”などデューク・エリントンの初期の曲が沢山聴けるA JazzAnthology(検索窓にDuke Ellingtonと入力、聴きたい曲名をクリック)
曲はBlack And Tan Fantasy、The Mooche、Mood Indigo、It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)、St Louis Blues、Sophisticated Lady、Stormy Weather、Solitude、In A Sentimental Mood、Caravan、Prelude To A Kiss、Ko Ko、Cotton Tail、Flamingo、Take The A Train、 I Got It Bad And That Ain’t Good、C Jam Blues、Perdidoなどなど)
※ちなみにTake the A Train(A列車で行こう)という曲はデューク・エリントン楽団のテーマ曲として有名ですが、エリントンバンドで作曲と編曲を担当していたエリントンの影武者のような存在で天才の誉れも高きピアニストのBilly Strayhorn(ビリー・ストレイホーン)の作品だそうです。 “A列車で行こう”の前はSepia Panoramaという曲だったとか。 そもそもA列車とはニューヨーク地下鉄の快速線で車両前部に「A」という標識が設置されていたそうです。(ブルックリン東地区からハーレム経由でマンハッタン北部行き)
1942年のRecording Ban(録音禁止令)の時にジョニー・ホッジスが作曲し演奏した有名な”Day Dream”をはじめ、”Passion Flower”や”Chelsea Bridge”などたくさんの美しい曲を作曲をしたそうです。 私もサントラのLPレコードを買った「Paris Blues(パリの旅愁)」のテーマをビリー・ストレイホーンが1960年に作曲しています。 1961年にPaul Newman(ポール・ニューマン)やSidney Poitier(シドニー・ポワチエ)がミュージシャンとして出演し、デューク・エリントンが音楽を手掛けてLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)が演奏した映画「パリの旅愁」のサウンドトラックにTake the A TrainやMood Indigoなどと共に収録されています。 その中の”Mood Indigo(ムード・インディゴ)”はデューク・エリントンが1931年に”Dreamy blues”として当時の団員でクラリネット奏者のBarney Bigard(バーニー・ビガード)とで共同作曲したと言われる曲です。 ”Minnie The Moocher”の作詞者として知られるIrving Mills(アーヴィング・ミルズ)が後に詞を付けた美しい曲で、1930年代初期にCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)の演奏でも有名になりました。
Take the A Train – Billy Strayhorn on piano (1965)- YouTube
It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)などエリントンの20年代や30年代の初期の曲がたくさん聴けたThe Red Hot Archiveは消滅しましたがSOLO DISCOGRAPHYの欄でBlack Beauty、Jig Walk、Swampy Riverなどが聴けました。

Duke’s Place – C-Jam Blues
1942年にデューク・エリントンが”C”の音をテーマにして作曲した”C Jam Blues”はエリントンのピアノ・ソロが楽しめる曲ですが、1965年のアルバム「Ella at Duke’s Place」で”Baby, take me down to Duke’s place…..Come on down to Duke’s place”という歌詞でDuke’s PlaceとしてElla Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)が歌っています。
“Baby! take me down to Duke’s Place …”と歌われるC Jam Bluesの歌詞はElla Fitzgerald – C-Jam Blues Lyrics – Genius.com

Irving Mills
音楽出版社の売り込み(プロモータ)だったアーヴィング・ミルズが自分の出版社のために発掘した作曲家にはSammy Fain(サミー・フェイン)やHoagy Carmichael(ホーギー・カーマイケル)などがいたそうです。 音楽の売り込みに自分でも実演してみせたアーヴィング・ミルズは初期のデューク・エリントンの録音では歌っている曲もあるそうですが、1959年の「Some Like It Hot(お熱いのがお好き)」でMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)が演じたシュガーが所属していたようなガールバンドを初めて企画したのもミルズなんだそうです。  1920年代にDuke Ellington and his Kentucky Club Orchestra(デューク・エリントンとケンタッキー クラブ・オーケストラ)と契約し、時にはゴーストライターも利用したものの詩的なセンスバツグンのアーヴィング・ミルズはデューク・エリントンとのコラボに”Mood Indigo”、”Solitude”、”It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)”、”Sophisticated Lady”、”Black and Tan Fantasy”などがあるそうです。 シカゴの黒人カフェにいたジャズ歌手のBlanche Callowayからその弟のキャブ・キャロウェイと契約することとなります。 それでアーヴィング・ミルズがCotton Club(コットンクラブ)からハリウッドに送ったデューク・エリントンの代わりとしてキャブ・キャロウェイをコットンクラブに紹介することになったそうです。 そこでアーヴィング・ミルズとキャブ・キャロウェイと作曲家のClarence Gaskill(クラレンス・ガスキル)とで作ったのが名曲”Minnie The Moocher(ミニー・ザ・ムーチャ)”です。 ところでアーヴィング・ミルズの歌詞でトランペッターのRay Nance(レイ・ナンス)が初めに歌った”It Don’t Mean A Thing”という曲は1981年のブロードウエイミュージカル「Sophisticated Ladies」でエリントンの名曲を揃えたサントラ(ASIN: B000002WFS)に収録されています。(試聴なし)

Caravan
プエルトリコ出身のトロンボーン奏者であるJuan Tizol(ファン・ティゾール)が作曲した”Caravan(キャラヴァン)”はデューク・エリントン楽団が初めて演奏した曲ですが、Thelonious Monk、Dizzy Gillespie、Wynton Marsalis、McCoy Tyner、Oscar PetersonArt Blakey、Benny Goodman、Roy EldridgeColeman Hawkins、George Shearing、Herbie MannやArthur Lymanといったジャズメンに人気なだけではなくラテン界のTito Puente(ティト・プエンテ)までも演奏しています。 その他にもLes Paul、Dick DaleやThe Venturesなどといったギター・インスト演奏の他、ヴォーカルではNat King Cole、Billy EckstineBobby DarinAndy Bey、Ella Fitzgerald、Dinah Washingtonなどがカバーしています。
スイングジャズ(スウィングジャズ)が衰退し出した1950年代初期のデューク・エリントン楽団でジョニー・ホッジスの他主要演奏者3名が抜けた後にファン・ティゾールが戻り、それまでHarry James(ハリー・ジェームス)楽団で一緒だったアルトサックスのWillie Smith(ウイリー・スミス)を引っ張ったそうです。
Duke Ellington Caravan with Juan Tizol on trombone 1952 – YouTube
☆ デューク・エリントンの演奏以外で私の好きな”Caravan”の演奏といえばIllinois Jacquet(イリノイ・ジャケー)です。

Cherokee
デューク・エリントンが演奏している曲に”Cherokee(チェロキー)”がありますが、これはエリントンではなく、イギリスのビッグバンド・リーダーとしてアメリカでも有名だったRay Noble(レイ・ノーブル)が1938年に作曲及び作詞したジャズのスタンダード曲で別名を”Indian Love Song”というそうです。 レイ・ノーブルといえば私的には”Harlem Nocturne“の初レコーディングですが、これ又私が好きな1934年のヒット曲の”The Very Thought Of You”の作曲者としても知られています。
“Cherokee”はCount Basie(カウント・ベイシー)楽団やClifford Brown(クリフォード・ブラウン)やCharlie Parker(チャーリー・パーカー)が演奏した他にSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)のボーカル・バージョンもあります。 デューク・エリントンの演奏の”Cherokee”は試聴ができるアルバム「The Reprise Studio Recordings」(ASIN: B0000A9DYT)や「Recollections Of The Big Band Era」(ASIN: B01AKFW5WK)などに収録されています。

エリントンの写真満載のDuke Ellington Photos

1940年のJimmy Blanton & Duke Ellingtonが演奏した”In a Mellow Tone”という曲があります。 デューク・エリントンとMilt Gabler(ミルト・ゲイブラー)が作ったという美しい”In a Mellow Tone”はカウント・ベイシーをはじめErroll Garner、Oscar Peterson、Coleman Hawkinsといったジャズメンの演奏の他にElla Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)のボーカルが有名です。

Duke Ellington: The Best Of Duke Ellington / New Mood Indigo
“In a Mellow Tone”が収録されているCDには「B.O. Duke Ellington / New Mood Indigo」(ASIN: B00005J9U)があります。 CDタイトルにある”B.O.”とはこのアルバムが1966年のNew Mood Indigoと1989年のBest Of Duke Ellingtonの2枚のLPを会わせた2001年のCDだからです。 演奏者はピアノがデューク・エリントン、アルトサックスがジョニー・ホッジス、トランペットがClark Terry(クラーク・テリー)や後にベニー・グッドマン楽団に入ったCootie Williams(クーティー・ウィリアムズ)や、”Take The A Train”のミュートソロが有名でボーカルも担当するRay Nance(レイ・ナンス)など、クラリネットがJimmy Hamilton(ジミー・ハミルトン)、テナーサックスがエリントンのお気に入りのPaul Gonsalves(ポール・ゴンザルヴェス)、ドラムがSam Woodyard(サム・ウッドヤード)などなど。 曲目はアルバム・タイトル曲となっているNew Mood Indigoをはじめ、Jump for Joy、In A Mellow ToneやMack The Knifeまで全18曲が収録されています。 リストの終わりの方の15番目からは In The Alley、Sassy、Uph(Chick Coreas’1 968 Windows, Roy Haines on drums)、Portrait For Peaの以上4曲はデュークエリントンの息子のMercer Ellington(マーサー・エリントン)がプロデュースしたピアニストのChick Corea(チック・コリア)とのセッションからだとか。(コリアは癌等病後2021年に79歳で死去)
試聴はB.O. Duke Ellington / New Mood Indig – AllMusic.com

Jimmy Blanton soloing on the bass!
エリントンと若くして亡くなったベース奏者のJimmy Blanton(ジミー・ブラントン)のセッションが素晴らしいです。 Body And Soulのベースソロなんて!
October 1, 1940. Chicago RCA-Victor Duke Ellington & Jimmy Blantonが聴けるDuke Ellington & Jimmy Blanton – Body And Soul

Ken Burns JAZZ Collection: Duke Ellington
ページトップの画像は2000年にリリースされた「Ken Burns JAZZ Collection」の1枚です。 素晴らしい”East St. Louis Toodle-oo”や”Come Sunday”の他に、Black and Tan Fantasy、The Mooche、 Mood Indigo、It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)、Sophisticated Lady、Solitude、Caravan、Take The “A” Train、Satin Dollなど1927年から1960年の録音の20曲が収録されています。 演奏メンバーはピアノのデューク・エリントン親分の他、歌姫のIvie Andersonアルト&ソプラノサックスがJohnny Hodges、テナーサックスがBarney BigardとBen WebsterとPaul Gonsalves、バリトンサックスがHarry Carney、トランペットがCootie WilliamsとClark TerryとRay NanceとBubber Miley、アルト&クラリネットがRussell Procope、トロンボーンがLawrence Brown、バルブ・トロンボーンがJuan Tizol、ギターがFred GuyとWellman BraudとJimmy Blanton、ドラムがSam Woodyardなどなどです。
全曲試聴はKen Burns Jazz Collection – Amazon.com

Duke Ellington and John Coltrane
デューク・エリントンは後年、数々のアーティストとのコラボレーションに取り組みました。 その中でも素晴らしいのがテナーサックス奏者のジョン・コルトレーンとの1962年のセッションです。

40代になって渋みを増したデューク・エリントンがキャブ・キャロウェイの”Minnie the moocher”からカウント・ベイシーの”One O’Clock Jump”やBenny Goodmanの”Good – Bye”を始めスウィング時代の数々の名曲から36曲を演奏している1976年のアルバムの再リリースです。 60年代初頭のアルバム2枚をCD化したもので、一つとしてエリントンのオリジナルはないのにあたかも自分の曲のように弾きこなしています。
Recollections of the Big Band Era

デューク・エリントン・マニアでない方でも納得できる2枚組みアルバム! ナイトラウンジの雰囲気を味わえるムードたっぷりの選曲です。
Playboy Jazz Series: Jazz Love Songs After Dark - Duke EllingtonJazz: Love Songs After Dark


偉大なるジャズトランペッターで歌手のLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)とエリントンが共演したアルバムは「The Great Summit: The Master Takes」です。 エリントンのピアノにサッチモの歌とトランペット、そしてBarney Bigard(バーニー・ビガード)のクラリネット演奏などで、Do Nothin’ Till You Hear from Me(私が云うまで何もしないで)、Don’t Get Around Much Anymore、Just Squeeze Meなどスタンダードの曲を集めてあります。

Duke Ellington – Anatomy of a Murder (1959)
デューク・エリントンが音楽を担当した映画が何本か有ります。 1934年のコメディ「Belle of the Nineties(罪ぢゃないわよ)」など数本にエリントン自身が出演していますが、映画音楽(サウンドトラック)を最初に担当したのが1959年のサスペンス映画「Anatomy of a Murder(或る殺人)」です。 「釣りは男が淋しさなしに孤独でいることができる地上に残された僅かな場所の一つだ」と言った釣り好きな作家のRobert Traver(ロバート・トレイヴァー)が書いた小説をOtto Preminger(オットー・プレミンジャー)監督が映画化しJames Stewart(ジェームズ・スチュワート)が釣りとジャズが趣味のポール・ビーグラー弁護士役で主演したレイプ及び殺人事件を取り上げた法廷劇です。 1964年に「Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb(博士の異常な愛情)」でタージドソン将軍を演じたあの魅力的なGeorge C. Scott(ジョージ・C・スコット)が検事役を演じアカデミー助演男優賞にノミネートされましたがその後の受賞やノミネートもずっと辞退を通しました。 当時は映画界でも引っ張りだこだったSaul Bass(ソウル・バス)が手掛けたタイトルデザインと共にオープニングで流れるデューク・エリントン作曲のテーマ曲が実にお洒落で1960年頃に私がシングル・レコードのサントラを購入したくらいです。 葉巻をくわえたジェームズ・スチュワートは映画の冒頭や終盤でも一人でピアノを弾いてみせますが中盤(40分頃)のクラブのシーンではデューク・エリントンとちょっと連弾します。 ちなみにBen Gazzara(ベン・ギャザラ又はベン・ガザーラ)が妻をレイプした知人の男を射殺して捕らわれたフレデリック・マニオン陸軍中尉役でメジャーデビューしていますが、ベン・ギャザラといえば二度目の妻が1960年「The Subterraneans(地下街の住人)」のJanice Rule(ジャニス・ルール)で最後の結婚相手はモデルでしたが晩年のAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)との恋も噂されたほどのモテ男でした。
Anatomy of a Murder – Opening Titles Designed by Saul Bass – notcoming.com(画像を矢継ぎ早にクリックすると動いているように見えます)
videoPie Eye(パイアイ)役のデューク・エリントンもチラリと見られる「或る殺人」のトレーラーは冒頭がちょっとおふざけのAnatomy of a Murder Trailer – VideoDetective
エリントン楽団とJohnny HodgesやClark Terryなどが出演した1959年のオリジナル・サウンドトラックに類似したカバー画像のCDは「Anatomy of a Murder – O.S.T.」(ASIN: B0012GMZMM)で26曲を収録しています。

Anatomy of a Murder OSTAnatomy of a Murder
5枚組アルバム「Original album classics – 5 CD vinyl replica」や「CD4 : Anatomy Of A Murder」や「Original Album Classics by Duke Ellington」などのタイトルで販売されています。 曲目リストが見られる「Original Album Classics

「Anatomy of a Murder(或る殺人)」のオリジナル・サウンドトラックLP盤のリリースは1959年ですが、私の手持ちは1959年販売のEPレコード Columbia LL 185です。 A面はAnatomy of a Murder(Main Title And Anatomy Of A Murder/殺人のバラード)とB面はFlirtibird(浮気ごころ)です。(参考はhttp://adobensya.jp/cinejazz/Anatomy-of-Murder/Anatomy%7F%7F.html – CINE JAZZ MANIA)

♪ Duke Ellington – Blues In Orbit (Black, Brown and Beige)