地下街の住人 The Subterraneans (1960)

Janice Rule as Roxanne dances to Mulligan’s Bariton Sax
Gerry Mulligan and Janice Rule in The Subterraneans
Jack Kerouac – The Subterraneans (On The Road) – Amazon.co.jp (MP3 Download)

The Subterraneans 1960年
「地下街の住人」は代表的なビート詩人の一人である作家のJack Kerouac(ジャック・ケルアック/ケラワック/ケロアック )が1958年に発表した小説「The Subterraneans(地下街の人々)」をRanald MacDougall(ロナルド・マクドゥガル)監督が映画化しました。 1959年のサンフランシスコ(ニューヨークではない)を舞台にビート族とジャズをテーマに描いて映画界に新風を吹き込んだハリウッド的ビートニク作品で、Catacombs(地下墓地)にたむろする無限にパーティ好きで瞑想好きで快楽主義のビート族と出遭った悩める作家、というか人生の意義を模索して欲求不満の塊のような若者のLeo Percepied(レオ)の愛のドラマです。
地下街の住人のちょっとあらすじ
サンフランシスコの夜景にアンドレ・プレビンのけだるい音楽(Why Are We Afraid?)でオープニング・クレジットが流れます。 冒頭のシーンは作家のレオの朝食時にママが来て「やれ、疲れているようだとか彼女を作りなさい」とか煩く言うのでレオは怒って出かけてしまいます。 白いオープンカー(1946 Plymouth Special De Luxe)で夜の街を流していたレオにビート族のアダム(ジム・ハッットン)やユーリ(ロディ・マクドウォール)たちが群がりアンダーグラウンドの酒場に誘います。 このシーンで早速ジャニス・ルールが演じるロクサーヌが髪の毛を掴み上げて呻って見せます。(ッガー!) アングラ酒場(Daddy’s Catacombs)に入った途端、レオが巻き込まれたマードゥとジュリアン(スコット・マーロウ)の諍いに自ら参加して仲間になります。 この地下墓場と呼ばれるビート族の溜まり場では光を求め闇のアングラ世界に住む住民の仲間たちが次々と自己紹介、スポットライトを当てられた最初は思想家を名乗るジュリアンで、次が素顔を隠すため化粧そし目に魔除けのシャドウを塗るロクサーヌ、そしてユーリと続きます。 精神分析医にかかっているマードゥはフランスから来たけど誰も気にかけてくれないと訴えるとレオが「僕がいるよ」と名乗りをあげるのです。 ちなみにビート族のユーリを演じたRoddy McDowall(ロディ・マクドウォール)は1941年の「(わが谷は緑なりき)」で末っ子のヒューを演じて12歳でデビューして以降亡くなるまで数多くの映画に出演してきました。 「地下街」の前にはドリス・デイが主演した「Midnight Lace(誰かが狙っている)」でメイドの悪息子を演じています。

ジャズ・コンボの演奏”Guido’s Blackhawk”の次は赤いドレスのカーメン・マクレイが歌う”コーヒータイム”でレオもテーブルを叩いてご機嫌。 ボンゴに乗せてロクサーヌのモダンダンスが始まると目を奪われるレオにマードゥが「私だけを見て」と遮った後、店を出てマードゥの部屋に行った二人が踊るロマンチックなシーンが続きます。

レオとメキシコに行くとはしゃぐマードゥにロクサーヌは言います。「作家は書き上げたら恋は終わり。」信じたくないマードゥはレオが書けないので散歩してくると言うのも許さない。もう愛していないのね。

地下街の住人がたむろする中、ロクサーヌが踊っている所にレオとマードゥが入ってくるがレオはノリノリでロクサーヌの踊りに参加する。 我に返ったロクサーヌは突然出て行くがレオが追って行く。 あんたは大嫌い!と逃げるロクサーヌに君の顔は夜明けのように美しいと優しく囁くレオ。 ロクサーヌの部屋からヘベレケでマードゥの元に帰ったレオはもう用無しだと喚き、レオが買ってやったマードゥの大事な赤い風船を割ったので遂に切れたマードゥは狂ったように衣服をぬぎすてると街に駆け出して行き警官に追われるがホスキンス牧師(ジェリー・マリガン)の元に駆け込みことなきを得ます。 酔いが覚めて割れた風船のかけらを見たレオは悪い予感を感じるのです。 マードゥにも当たり散らしママに電話して結婚したいが彼女が見つからないと泣きを入れます。 一方、精神分析医と会ったマードゥは妊娠を告げます。 ジェリー・マリガンの演奏が見られるのは次のシーン、ビート族から足を洗って初めてスカートをはいたロクサーヌがレオに別れを告げに来ます。 一方マードゥも家に戻って来てあの騒動以来部屋に居着いているユーリが笑わせてレオが飲んだくれている酒場に連れて行きます。 酩酊のレオを散々罵ったマードゥは皆を連れて家に帰りどんちゃん騒ぎを始めようとすると、レオが追いかけて来た。 レオにメキシコでも月でも行ってしまえ!と叫ぶマードゥだったが人々を返してレオとやり直すことに。 将来はママとパパ。

ホスキンス牧師の差し出す無料スパゲッティやレオがマードゥに買い与えた赤い風船までエピソードがてんこ盛りの「地下街の住人」はビートとはこんなものなのかと勘違いしそうにビートが足りない映画ですがともかく世の人々にビートを知らしめたことには変わりありません。 なにしろあまりにも自由奔放なボヘミアンなので凡人には訳が分らなくてクール(かっこ良さそう)に見えたのでこのあと暫くは映画やテレビではこぞって似非ビートが登場しました。(なぜかボンゴも)
The Subterraneans映画の主人公であるGeorge Peppard(ジョージ・ペパード)が演じた作家はケルアック自身のことですがレオとは実の父親の名前だそうです。 ジャック・ケルアックが書いた原作では小説の冒頭に『最初にぼくらが寝たのは、チャーリー・パーカーを聴いたシスコの暑い夜だった。ぼくは美しい黒人のマードゥに夢中だ。』とあるように、レオが出会った若い娘のMardou Fox(マードゥ)は原作では実在の人物をモデルにしていてチェロキー・インディアンと黒人の混血の設定だったそうですが、映画ではハリウッド流にお洒落れにフランス人という設定に変更されたそうです。 映画と原作とは往々にして異なることが多いのです。 この他の出演者にはレオの母親に1949年の「All The King’s Men(オール・ザ・キングスメン)」にウイリー・スタークの妻ルーシー夫人役で出演したAnne Seymour(アン・セイモア)や、1960年の「Where The Boys Are(ボーイハント)」にノッポ役で出演したJim Hutton(ジム・ハットン)が顎髭のAdam Moorad(アダム)役ですがでしたがこの映画ではロディ・マクドウォールと最初は見分けがつきませんでした。 ちなみにケラワックのビート仲間のアレン・ギンズバーグが映画ではアダムでした。 「地下街の住人」は日本で1960年(昭和35年)に丸の内松竹で公開されたそうですが私はその数年後に場末の二流館で観ました。

Janice Rule and George Peppard
ロクサーヌとレオが踊るビート族のパーティ
Janice Rule and George Peppard in Subterraneans

上記の写真は地下街の住人が屯する地下墓場なるビート族のたまり場ですが、1957年のミュージカル映画「Funny Face(パリの恋人)」で、ニューヨークのオードリー・ヘプバーンが演じるヒロインが憧れる哲学の教授に会いたくて通ったパリの地下カフェにそっくりです。(そこでヘプバーンはボヘミアン・ダンスを踊ります)
ビートニク映画の「地下街の住人」は活劇にぴったりで作家のナイーヴィさはあまり感じられないジョージ・ペパードと「巴里のアメリカ人」ほどはキュートでないLeslie Caron(レスリー・キャロン)、そしてJanice Rule(ジャニス・ルール)がアイラインばっちりの女ビート族の画家でダンサーのRoxanne(ロクサーヌ)役で出演していますがストーリーはたいしてドラマチックではありませんでした。 全く共感はできませんが、母親が相手をとっかえひっかえしたせいか「他の女たちが金を浪費するように、私は男を浪費するの。」とよくフロイト的な言葉を吐いていた背伸びした可愛いハスッパ娘のマードゥが自分の子供を身篭ったことを知って作家のレオはビートな放浪生活から足を洗い、一時は嫌悪していたまともな生活に戻っていくようでした。 人生のなんたるかを彷徨い求めた若者が女を探しビートニクの界隈を彷徨った後、ビートの深淵(いや、アルコール中毒のかも)から這い上がったということで、つまりちょっとビートニクを体験してみただけにみえます。

Janice Rule in SubterraneansJanice Rule as Roxanne in The Subterraneans
魅惑的なジャニス・ルールが演じたロクサーヌは”魔除け”と称して自分の苦悩を隠すために目の回りに異常なほど濃くマスカラを塗っていましたがこの太いアイラインというのがロクサーヌ程ではありませんが60年代当時のファッションでもありました。 日本でもモデルさんだけでなくお嬢様がたも「たぬき目」になりましたが、今なら差し詰め「パンダ目」というのでしょう。 陶酔したようにモダンダンスを踊るロクサーヌを見た主人公のレオが吸い込まれるようにロクサーヌと踊りましたが、私も「地下街の住人」で初めて見たジャニス・ルールの存在感が大きくて可愛いレスリー・キャロンが霞んでしまいました。 そう、レオもフランス人の恋人がいるのにロクサーヌと一夜を過ごしてしまったのです。 ロクサーヌはレオに出会ってから男漁りは止めてビートニクの世界を去っていったのですからきっと真っ黒なアイラインも止めてしまったでしょう。 ダンスが素敵なジャニス・ルールはアイラインを取るとどこにでもいるようなごく普通の女性ですが、バレーで鍛えているからスタイル抜群。 悩みが多いからなのか、マザコンのようなもしくは原作者のケルアックのようにエディプスコンプレックスとして性格付けてあるのか、レオは女と長続きせずに家に戻ってきてはよく母親と言い争いをするのです。 口癖のように「ちゃんとした女性を見つけなさい。」と叱咤激励しつつもレオの癇癪に耐え続けてきたお堅い母親が「セックスのことは知りませんよ。 自分でなんとかしなさい。」というようなことを言ったので、アメリカでは親子でそんな立ち入った会話をするのかと当時十代だった私はビート族よりもさらなるカルチャーショックを受けました。
Jack Kerouac and Memère
“Memère(メメール)”とはフランス語で”婆ちゃん”とか”デブ小母ちゃん”という意味ですが、ケルアックがお洒落にフランス語で母親をそう呼んだのです。 実際に作者のケルアックがあまりに母親に頼っているので情緒の発達が遅れているのかと1959年に「Howl And Other Poems」を発表した友人のAllen Ginsberg(アレン・ギンズバーグ)などはあきれ返ったそうですし、ケルアックが何度も結婚を繰り返したのにはババ付きでほぼ虐状態だったからとも云われています。 よって女性との結婚よりは干渉過多の母親との生活を取ったということになります。 映画のためにMGM(映画会社)は原作者のケルアックに1千万円を支払ったのでケルアックは永遠にママと住む家を購入したそうです。
George Peppard
「地下街の住人」で初めてジョージ・ペパードを見た時はテレビのドラマで観たTroy Donahue(トロイ・ドナヒュー)の大人版のようですごく大きく感じましたが実際の身長は183cmだそうです。(ドナヒューは191cm) ジョージ・ペパードは「地下街の住人」の後、1961年にAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)と共演した「Breakfast at Tiffany’s(ティファニーで朝食を)」で広く一般に知られるようになりました。 これでジョージ・ペパードはロマンティック路線をまっしぐらかと思ったのですがやはり活劇が多かったようです。

Jazz in The Subterraneans
「地下街の住人」でジャニス・ルールのアイラインとダンス以外に素晴らしいのは当時人気のジャズメンが出演していることです。 なかでも特にバリトン・サックス奏者のGerry Mulligan(ジェリー・マリガン)が私のお気に入りで、映画ではミュージシャンとしてだけでなくレオに裏切られたと思い込んだ傷心のマードゥに優しく接した牧師(伝道師)の役でも出演しています。 私が初めてジェリー・マリガンのレコードを買ったのは1958年の映画「I Want to Live(私は死にたくない)」のサウンドトラックでした。 女囚を扱ったセンセーショナル映画「私は死にたくない」の冒頭にマリガンがバリトンサックスで”I Want to Live”のを演奏する映像がありますが実に衝撃的でした。
「地下街の住人」でマリガン以外のジャズ・ミュージシャンとしては、本人の役でドラマーのShelly Manne(シェリー・マン)、ベース奏者のRed Mitchell(レッド・ミッチェル)、アルトサックス奏者のArt Pepper(アート・ペッパー)、ピアニストで作曲家のAndré Previn(アンドレ・プレヴィン)、トランペッターのArt Farmer(アート・ファーマー)、女性ジャズヴォーカリストのCarmen McRae(カーメン・マクレエ)などそうそうたる顔ぶれです。
Janice Rule and George Peppard with Gerry Mulligan playing Jeru – YouTube

Carmen McRae & The Andre Previn Trio
レオやマードゥなどビート族がたむろするクラブでカーメン・マックレエが歌った”Coffee Time“は「地下街の住人」の映画音楽の制作(プロデュース)を担当したArthur Freed(アーサー・フリード)が作詞Harry Warren(ハリー・ウォーレン)が作曲したそうですが大変素晴らしい曲で「The Subterraneans」のサウンドトラックに収録されています。
♪ Carmen McRae – “Coffee Time” (1959)
André Previn – The Subterraneans (1960) – YouTube

『最初にぼくらが寝たのは、チャーリー・パーカーを聴いたシスコの暑い夜だった。ぼくは美しい黒人のマードゥに夢中だ。』という書き出しで、ジャック・ケルアックがタイプライターを打ってたった3日で書き上げたというビートニク小説の「地下街に住む人」を映画化したのがこの1960年の「地下街の住人」で、物質文明を嫌って新しい自由な文化を作り出そうとしたビート世代の日常を描いています。 これほど素晴らしいミュージシャンが出演していてもミュージカル映画ではありません。 この映画では音楽としてのジャズは単にビートニクと対のもの、あるいは一部分としての演出です。 なぜなら、”地下街の住人”の原作者でビート詩人のジャック・ケルアックはビバップのCharlie Parker(チャーリー・パーカー)に傾倒しジャズの演奏法に習って即興的手法(アドリブ)で小説を書いたんだそうです。 ケルアックの詩の朗読もしかり。 タイプライターのキーでリズミカルに奏でた小説という形の演奏です。 だから一般人にはビート文学は分りづらいのでしょう。(ジャズは好きでも私にはお手上げ状態) よってビート族とジャズは切っても切れない仲なんです。
Charlie Parker with Jack Kerouac Dialog – YouTube

ジャニス・ルールも出演した1958年の魔女映画「Bell, Book and Candle(媚薬)」でもニューヨークのグリニッジビレッジの地下街の住人達が登場します。 魔女の弟が地下クラブのゾディアックでボンゴを演奏しているのです。 ボンゴといえば初めてお茶の間にビート族が登場したのは1959年代から始まった青春ドラマの「The Many Loves of Dobie Gillis(ドビーの青春)」がありドビーの親友がビート族でボンゴを叩きました。

Beatniks or Bohemians
San Francisco’s New Bohemians(San Francisco’s North Beachers)とはビートが流行ったその当時、1950年代後期から1960年代初期にかけてサンフランシスコのノース・ビーチ地区にビート族のグループが住みついて、あえて地下室や薄暗いアパートを根城にしたところから「地下の住人」たちと言われたそうです。 今でいうならロフト生活でしょうか。 ジプシーのことを指すBohemian(ボヘミアン)とBeat(ビート)が同義語なのかどうかは知りませんが、ボヘミアン・アーティストといえば自由な発想を持った芸術家や作家たちや定職を持たずに哲学的で自由奔放な生活をしている人々も含まれるのでしょう。 「地下街の住人」ではボヘミアンという言葉を冒頭で説明しています。 ニューヨークのグリニッジビレッジやサン・フランシスコ、ロンドンはソーホー、パリならサガン、じゃなくて左岸にそんな文化人がたむろっていたそうです。 生活が豊かになった戦後アメリカのフィフティーズではJames Dean(ジェームス・ディーン)の「Rebel Without A Cause(理由なき反抗)」じゃないですが、やたらと反抗するのが格好良かったのでしょうか。 ”Beat”はビート詩人に代表されるように社会の体制に否定的かつ悲観的な思考や文学などの文化を指して、”Beatnik”とはそのブームに乗じてマスコミが商業用に作り上げた既成概念又はファッションで、風変わりだとか面白いとかかっこいいとか果ては暴力的だとかいうイメージだそうです。 昔は教養の必要な文学は大衆文化とはなり得ませんでしたが、私のような感覚で生きている人種に向けてポップカルチャーは作られたものです。 ビート時代には朝鮮戦争がありましたがベトナム戦争時のヒッピーのように反戦といったメッセージはなかったようです。

Beat Generation
豊かになった社会に反抗するかのようにケルアックのような詩人が1948年に始めた反物質主義的な文学運動をビートと呼んだそうですが、ビートニク時代は大変短くて1950年代から1960年代初期まででした。 この時期には日本でもビート流行で、ビートやビートニック、ケラワックやギンズバーク、実存主義や不条理、サルトルやボーボワールなどと訳の分らない言葉を口にするだけでイケてる気分がしたものです。 現在では映画監督までこなすコメディ界出身の北野武の芸名もかっては「ビート たけし」でした。
1959年にジャック・ケルアックが脚本を書きナレーターをつとめたロバート・フランク監督等による短編「Pull My Daisy」ではアレン・ギンズバーグ自身がAlan Ginsbergとして主演してるビートジェネレーションの創始期の雰囲気(ジャズ演奏と詩の朗読会)が伝わる16mmフィルムです。 冒頭の和服の奥さんは誰でしょうか。 パリのSatori(悟り)なども書いていますから禅などの東洋志向なのでしょう。
ジャック・ケルアックが1957年にやっと出版された小説「On the Road(路上)」をステシーヴ・アレン・ショーで朗読するケルアック
PULL MY DAISY (1959)(Kerouac interview and reading 1957’s “On The Road” to Steve Allen’s piano) – YouTube

第一次大戦後に活躍したHemingway(ヘミング・ウエイ)などのLost Generation(ロスト・ジェネレーション/失われた世代)に続く第二次大戦後のビート・ジェネレーション(打ち負かされた世代)は、単なる享楽主義ではなく、物質文明を嫌悪し、規制の概念や社会の因習に囚わ れない自由な人間性の解放を目指した世代で、特に文学(詩人、作家)、そして画家や音楽家達のビートニクを指すそうです。
ここから時代変わってベトナム戦争の頃、平和を意味するピースサイン(peace sign)も流行った反戦気風のカリフォルニア・ヒッピーへと発展したわけです。 このVサインをする時はくれぐれも手の甲を相手に見せてはいけません。 クタバレ!
☆Audio-Visual Trivia内ではヒッピーに関連したママス&パパス

The Subterraneans Soundtrack
「地下街の住人」の音楽は映画音楽からクラシックまでこなす作曲家でピアニストのアンドレ・プレビンで、この映画の製作(プロデューサー)が最後となったArthur Freed(アーサー・フリード)と共にジャズとクラシックの融合を試みました。 当時のホットなジャズメンが演奏するサウンドトラックは3000枚限定版のため日本では入手不可でした。
アーサー・フリードは1951年に「巴里のアメリカ人」とPaul Robeson(ポール・ロブスン)の”Ol’ Man River(オールマン・リヴァー)”が有名な「Show Boat(ショウ・ボート)」、1952年に「Singin’ in the Rain((雨に唄えば)」などたくさんの素敵なハリウッド映画を制作しています。 「ショウ・ボート」で使用された1917年に英国の風刺作家のPelham Grenville Wodehouse(ペルハム・グレンヴィル・ウッドハウス)がJerome Kern(ジェローム・カーン)に書いた曲”Bill”以外はOscar Hammerstein II.(オスカー・ハマーシュタイン2世)とのコラボです。
The Subterraneans Soundtrackこの3000枚限定だったという完全盤LP「The Subterraneans」サントラアルバムは国内での入手は不可能でしたが、”Coffee Time”他、アンドレ・プレビン作曲のMain Theme(テーマ曲)やGuido’s Blackhawkなどを収録したMP3アルバムです。
♪ 試聴はAndré Previn|The Subterraneans (Original Soundtrack Recording)
☆サントラではありませんがトランペットのTerence Blanchard(テレンス・ブランチャード)やテナーサックスのJoe Henderson(ジョー・ヘンダーソン)などが演奏する国内盤の「ジャズ・イン・フィルム」(ASIN: B00000I5Y3)に”The Subterraneans”が収録されています。(他にAlex Northの欲望という名の電車、Duke Ellingtonの或る殺人、Elmer Bernsteinの黄金の腕などを収録)

Gerry Mulligan – Subterraneans/I Want To Live
ジェリー・マリガンが俳優としても出演した「地下街の住人」とテーマ曲の演奏映像だけだった「私は死にたくない」を抱き合わせたレアなサウンドトラックが2006年に再リリースされています。
Jazz Soundtracks
Subterraneans and I Want To Live by Gerry MulliganThe Subterraneans(地下街の住人)からWhy Are We Afraid?、Two by Two、Bread and Wine、Rose and the End、Look Ma, No Clothes、Things Are Looking Downなどに加えてカーメン・マックレエのCoffee Timeを収録、同じくジェリー・マリガンのバリトンサックスでテーマ曲の映像が観られる「I Want to Live!(私は死にたくない)」からBlack Nightgown、Theme from “I Want to Live! “、Barbara’s Themeなどを収録しているアルバムです。
♪ 試聴はJazz Soundtracks – Fnac.com


映画「地下街の住人」の元となったケルアックの小説
The Subterraneans Book地下街の人びと (新潮文庫)


The Subterraneans Video
現在ではAmazon.comにも無い「地下街の住人」のビデオはVHS、DVDともに入手不可です。

Bob Dylan – Subterranean Homesick Blues (1965 Bringing It All Back Home) Dylan’s album, inspired by Kerouac’s Beat Novel “The Subterraneans” (1958)
1965年に”Like a Rolling Stone(ライク・ア・ローリング・ストーン)”を作曲したボブ・ディランがビート小説に触発されて作ったそうです。

Beatnik: The Source
ビートニクを知るにはこれ!
Chuck Workman(チャック・ワークマン)監督の「The Source
ビートゼネレーション・ブームの発端となった三人の詩人達のドキュメンタリーのDVDは「The Source(ビートニク)」(ASIN: B00005UBTG)で、英語版の「The Source」(ASIN: B00004STH1)もあります。
挿入ビデオシーンではWilliam S. Burroughs、Jack Kerouac、Allen Ginsberg本人の映像他、Steve Allen、Lenny Bruce、Bob Hope、Bob Dylan、Dizzy Gillespie(ガレスピー)、Billie Holidayなどの姿も見られます。

☆Johnny Depp(ジョニー・デップ)が詩人「ケルアック」を、デニス・ホッパーがウィリアム・バロウズを演じ、ジャズメンとビート詩人達が出演する1999年の記録映画「The Source(ビートニク)」についてはウイスキーと映画の世界
アレン・ギンズバーグやジャック・ケルアックと並ぶ50年代アメリカの作家であるWilliam S. Burroughs(ウィリアム・S・バロウズ)をDennis Hopper(デニス・ホッパー)が演じました。
Johnny Depp Kerouac – YouTube

地下街の住人 The Subterraneans (1960)」への6件のフィードバック

  1. chandelier より:

    こんばんは♪  ビートニクでケルアックをジョニーデップを演じていたなんて、知りませんでした。koukinobaaba さんのblogほんと、為になりますね〜。ビート詩人のケラワックの地下街の住人もその時代に生きていたのならば、観てみたかった。 blog読んでいるだけで音楽もよさそーーに思えてきます。

  2. koukinobaaba より:

    chandelierさん、いつもコメント有難うございます! ”その時代”ですか・・・なんか化石の時代みたい、 ははは。 私の時代も終わりそうなので、実際に体感したものをブログに残しておきたいと思っています。 40年代から60年代の事がおもです。 また読んでね。

  3. chandelier より:

    そうだ、よーーーく、考えたら、その時代に映画なんか観てる場合じゃないですね。そんなお金をもってなさそーーー。ひぇ〜。

  4. koukinobaaba より:

    chandelierさん! ちょっとまってよぉ。 その頃はそろそろ高度成長期に入りかけで発展目覚しきものありの時代ですよ。 お金有ります! ははは

  5. tornos より:

    DylanのSubterranean Homesick BluesのプロモビデオでDylanの後ろに映っているのがGinsbergなんだ。カッコいい!?
    Dylan続き及び時代遅れな発言すみません。

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