キム・ノヴァク 媚薬 Bell, Book and Candle (1958)

Kim Novak in Bell, Book and Candle
Kim Novak and Pyewacket
Kim Novak as Gillian in Bell, Book and Candle
媚薬(1958年)

Candle英国出身の劇作家であるJohn William Van Druten(ジョン・ヴァン・ドルーテン)が舞台監督を勤めた軽妙なブロードウエイ喜劇「Bell, Book and Candle」のために書いた3幕のコメディの脚本がこの映画「媚薬」の原作です。 Rex Harrison(レックス・ハリソン)とLilli Palmer(リリー・パルマー)夫妻が主役を演じて1950年~1951年に上演されました。 ジョン・ヴァン・ドルーテンの初版は1933年にロンドンでしたが、1944年にアメリカに渡って、1950年に「媚薬」を書いています。 ジョン・ヴァン・ドルーテンの作品には他には、The Voice of the Turtle (1943年著)、 1943年に映画化された旧友(Old Acquaintance)(1940年著)、1948年に映画化されたママの想い出(I Remember Mama )(1944年著)などがあります。
このジョン・ヴァン・ドルーテンのコメディを当時Kim Novak(キム・ノヴァク)と内密の関係に有ったRichard Quine(リチャード・クワイン)監督が映画化したものです。 キムノヴァクと「めまい」で共演したJames Stewart(ジェームズ・スチュワート)はリチャード・クワイン監督の作品に出演するのは気が進まなかったそうですが、そこはクワイン監督の恋人のキム・ノヴァクが説得しました。
最盛期のリチャード・クワイン監督の写真と作品画像はPrime Richard Quine – CineStills.com
Candle
「媚薬」はハリウッド映画として最もお洒落なロマンティックコメディのひとつだといわれています。 1950年代のクリスマス・シーズンのニューヨークを舞台に、豪華でロマンティックな恋のてくだが繰り広げられ、プラチナ・ブロンドが美しい神秘的なキム・ノヴァクとニューヨークの風景に魅せられる大人のファンタジーです。 キム・ノヴァクが演じる魔女が恋をするお相手はなんとジェームズ・スチュワートが演じる人間だったから大変なことになります。 特筆すべきはJames Wong Howe(ジェームズ・ウォン・ハウ)の撮影技術によるニューヨークの街の素晴らしい雰囲気のある描写です。

生真面目な出版業者のシェパード氏をジェームズ・スチュワート(ジミー・スチュワート)が演じます。 人間界のクリスマスに憧れる、キャピキャピの現代魔女のGillian(ジリアン又はギリアン)を演じるキム・ノバクは普段からも殆ど表情に変化が無くスローモーで声が低いから魔女にはピッタリ! おまけにこんなコミカルなジェームズ・スチュワートも珍しいです。 インテリ女優のJanice Rule(ジャニス・ルール)が編集者「シェパード氏」の婚約者Merle(マール)を演じます。 マールがシェパード氏と一緒に行ったナイトクラブZodiac(ゾディアック=12宮星占)でジリアンと鉢合わせして分かったことには、なんと二人は大学時代の憎きライバル同士だったのです。
1955年にPicnic(ピクニック)でキム・ノヴァクが演じたMadge(マッジ)はジャニス・ルールの1953年のブロードウェイのコメディ”Picnick”でのMadge Owensがモデルだそうです。 ジャニス・ルールは次作の「地下街の住人」(1960年)にビート族のダンサー役で出演しますがキム・ノヴァクに似たメイクで登場します。 ちなみにマッジの妹役にはアクターズスタジオの芸術監督だったリー・ストラスバーグの娘であるスーザン・ストラスバーグで翌年に「Stage Struck(女優志願)」で」ブレイクしました。 1970年代にハリウッド映画に対抗して生まれたアメリカのニューシネマでは、「Blue Velvet(ブルー・ベルベット)」のDennis Hopper(デニス・ホッパー)、「The Aviator(アビエイター)」の監督Martin Scorsese(マーティン・スコセッシ)、Francis Ford Coppola(フランシス・フォード・コッポラ)、「Mask(マスク)」のPeter Bogdanovich(ピーター・ボグダノヴィッチ)などと共に評判が高いFrank Perry(フランク・ペリー)が監督した1968年の「The Swimmer(泳ぐひと)」でも主人公である泳いで家に帰る人の元カノを好演していますが、1977年のRobert Altman(ロバート・アルトマン)監督の「3 Women(三人の女)」に出演した頃から精神分析医に転向しましたが脳出血で2003年に亡くなりました。
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場所はニューヨークのGreenwich(グリニッチ)、当時はビート族の発祥地とされビートニクが地下のクラブなどを溜まり場にしていました。 そして同じくニューヨークに住む魔界の連中もしかり、それがナイトクラブ「ゾディアック」!
ジリアンの美術骨董店(アフリカン・ブードゥー魔術用品)のある建物の2階に入居してきた新参者のシェパード氏は、至極穏やかな生活を送っていました。 そう、キム・ノヴァクが演じる階下の魔術品店の女主人のジリアンに出逢うまでは。 その事件は電話の故障が取り持つ「縁」、それも別の階に住むジルの叔母さまQueenieのしわざで。 その魅力的なジルは、なんと!グリニッチのビートニクな魔女だったのです。 ジルは人間界に住むために叔母さまや弟にも魔法を禁じています。 シェパード氏は怪しげなシャム猫を飼っている”裸足“のジルにビックリ仰天!、戸惑ってなにかとジルを避けようとしますが、シェパード氏とかってのライバルのマールが結婚だなんて聞いてしまってはジルは我慢できません。 闘争心ムラムラ! 女の魅力全開! 最初は悪戯心からだったチョッカイなのに、ジルはシェパード氏に本当に惚れしてしまいます。  絶対魔法を使わないって決心していたジルですが、廻りの人々に魔法をかけてなんとかこの堅物の出版屋の気持ちを自分の方に向けようとします。 魔女は人間の前に姿を現すとこは黒猫に化けると云われていますがジルのペットのシャム猫で、その魔力も借りているのでしょうか。 ジルは惚れさせる魔法が得意なのですが、実はその魔法は一方的であって、ジルのほうが惚れてはいけないのです。 魔女は惚れるとその魔力を失ってしまうのです。 それに魔女は涙は出ないんですって! 魔女にとって泣くことは死ぬことなのです。
Kim Novak and Pyewacketシェパード氏が婚約したことを聞いたジルは必死の思いでシェパード氏の結婚式の前夜に禁断の魔法をかけてしまいます。 これでやっとシェパード氏はジルのもの! ジルは念願の人間界のクリスマス休暇の2週間をジルの魔法にかかって婚約を解消してしまったシェパード氏と幸せに過ごすことになります。
そんなこんなの間に、ジルの弟”ニッキ”がひと儲けをたくらみ「魔女の暴露本」の出版をシェパード氏に持ちかけたErnie Kovacs(アーニー・コヴァックス)が演じるアカプルコのアルコール依存症の魔女研究家と関わってしまいます。 その本が出版されればジルが魔女だってことがばれてしまう! 魔法でトリコにしたことに気が咎めていたジルはシェパード氏に事実を告白してしまうのです。 驚いたシェパード氏は急いで霊媒を呼び寄せて魔法を解いてもらいます。 あ—-あ!
ところが、あ! 傷心のジルの目に真珠のような涙が・・・ってことは? それには魔女の叔母さまがやっとのことで間に合いました! でも、残念ながらジルのあの魔女的なキャピキャピ魅力は既に失っていました。 エキゾチックなブードゥー骨董品は忽然として消え去り、後には海辺のお土産屋にあるような野暮ったい貝殻細工が残されて。 そしてジルはといえば、オーソドックスな服装に身を包み・・・あれぇ!ハイヒールを履いていますよ! はっぴいえんど この終わり方は殿方好みですが、女性には納得できません。 平凡なシェパード氏には平凡な奥様がお似合いでしょうが。 とんでる女より家庭的な女性像を求めるのは昔からの理想でしたが今では通用しませんよ。 ねえ?
☆写真が見られる「Bell, Book and Candle」の参考はBell, Book and Candle – MovieDiva.com(英語)
「媚薬」の写真集はイタリアのUna strega in paradiso – FILM.TV.IT
James Stewart with Kim Novak and Janice Rule in “Bell, Book and Candle”- Sonypicturesmuseum.com
videoトレーラーはBell, Book and Candle Trailer – Videodetective
Bell, Book and Candle Trailer – Turner Classic Movies(画像右のtrailerをクリック)
Candle当時はビートニクが流行っていましたから、グリニッチといいアフリカ民芸品を扱う美術骨董屋といい、おまけに魔女までビート風なんです。
映画の中で皆がたむろするナイトクラブの「ゾディアック」というのはニューヨーク中の魔界の連中の地下の巣窟です。 1954年の日本未公開の映画「Phffft!」で共演したJack Lemmon(ジャック・レモン)が演じるジルのチャメな弟のNicky(ニッキー)もこのクラブの専属バンドでボンゴを演奏しています。 原始的な楽器のボンゴっていうのは当時はヒップだったのです。 1959年の「唇によだれ」でもセルジュ・ゲンズブールがボンゴの響きの入ったテーマ曲を歌っています。  同じ頃のTVシリーズ「ドビーの青春」のメイナードもボンゴを叩きましたね。
それから、気が付きましたか? 1959年のEdouard Molinaro(エドゥアール・モリナロ)監督の「Des Femmes Disparaissent(殺られる)」で殺し屋を演じたPhilippe Clay(フィリップ・クレー)がクラブ”Zodiac”でビートニク・パフォーマンスを演じてました。 クラブでのジャズ・セッションや、喫茶店で詩の朗読に代表される50年代に始まったアメリカ 文学のカウンターカルチャーとなっていました。 が、日本人には殆ど理解不可能です。 いや、私にはと言うべきでしょうか。 ビートニクの雰囲気だけは憧れましたが本質は分からないままです。
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Prrrrr…Pyewacket (soundalike)
(音量注意!)
☆英語の原題「Bell, Book and Candle」は「ベルと本とローソク」という意味で、魔女が魔法を使うときの始めと終わりの儀式にベルと本とローソクを小道具として使うところからきています。 予告編でも冒頭のシーンで見られましたね。 映画のなかではコヴァックスが演じた怪しげな魔術評論家がブツブツつぶやいている呪文の言葉です。
1960年のキム・ノバクの映画「逢うときはいつも他人」にも出演したコヴァックスですが、テレビ界ではアーニー・コバックスというと50年代のアメリカの顔的存在のコメディアンで、クリエイティブで因習打破主義的ユーモアリストとして有名ですね。
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ジルのペットであるシャム猫の名はPyewacket(パイワケット又はピューワケット)といいます。 イングランドでは猫は魔女に仕える妖怪(使い魔)の一つとして知られています。 1966年にイギリス・エセックスの魔女狩り将軍(異端審問官)Matthew Hopkins(マシュー・ホプキンス)がそう言ったんだそうです。 そして、この映画の後、「パイワケット」は猫につける名として人気になりました。
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キム・ノバクが下界に下りてきた魔女を演じるこの映画「媚薬」は、その後60年代のTVシリーズ「奥様は魔女」の元となったといわれますが、1942年のRene Clair(ルネクレール)監督でVeronica Lake(ヴェロニカ・レイク)が魔女を演じた「I Married a Witch(奥様は魔女)」の方が先輩です。 魔女が人間と結婚しますが、こちらは明らかに箒に乗って遊ぶ子供達の図で幕を下ろしています。 TV版「奥様は魔女」の元になった映画について書かれたA Prelude to Bewitched(英語)
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「媚薬」で主演したジミー・スチュワートとキム・ノバクの二人はヒッチコックの「めまい」で共演したすぐ後に再び共演することになります。 これもジルの魔法?
Kim Novak: The Great Goddesses of The Screen
ラヴェンダー・ブルーが好きな色だという孤独でミステリアスな女優”キム・ノバク”は”本物”の金髪で本名がMarilyn Pauline Novakではありましたが、作りあげられたハリウッドのセックス・シンボルとして第二のMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)になることは固辞し続けました。 とはいえコロンビア映画でポストRita Hayworth(リタ・ヘイワース)として売り込みに成功した最後の華やかなりしハリウッド・スターには違いありませんでした。 1954年にリチャード・クワインが監督としてメジャーデビューしたスリラー映画の「Pushover(殺人者はバッヂをつけていた)」でFred MacMurray(フレッド・マクマレイ)が演じた警官を犯罪に巻き込む悪女を演じ一夜にして話題となったキム・ノヴァクでした。 孤独を好むといわれたキム・ノヴァクですが監督のリチャード・クワインをはじめ、Frank Sinatra(フランク・シナトラ)、Cary Grant(ケイリー・グラント)、Sammy Davis Jr.(サミー・デヴィス・ジュニア), そして1949年に短期間ながらリタ・へイワースの3番目の夫になったこともある恋愛王子のPrince Aly Khan(アリ・カーン)まで浮名を流しました。 しかし誰もキムを満足させられなかったのか結婚には至りませんでした。
1955年にWilliam Holden(ウィリアム・ホールデン)と共演の「Picnic(ピクニック)や、往年の美男子Tyrone Power(タイロン・パワー)と共演した1056年のThe Eddy Duchin Story(愛情物語)、フランク・シナトラと共演してお熱いところを見せた「黄金の腕」と1957年の「Pal Joey(夜の豹 ASIN: B003U13KAI)」そして、その後1958年の「Vertigo(めまい)と総計25本以上の映画に出演したキム・ノバクは1956年から3年間ボックスオフィス・ナンバーワン・スターとなっています。 この映画を撮った時も全盛期でしたが1962年にギャラをめぐってストライキを起こしコロンビア映画を去るはめになりました。 ファンにとっては大変残念ですが、「自分自身に戻る」と言って富も名声も捨て、ハリウッドを去ったのでした。 現在は獣医のご主人とオレゴンの牧場暮らしをしているそうです。 2003年に金熊賞のThe Eastman (Kodak) Archives Awardを受けにベルリン国際映画祭に出席したキム・ノバクのプラチナブロンドは健在でまだまだ美しいです。(本来は灰色がかったブロンドなんだとか) この賞は過去にグレタ・ガルボGreen Mansions(緑の館)などのAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)、そして共演者のジェームズ・スチュワートも受賞しています。

☆ちなみにかの有名なロックの王者エルビス・プレスリーが一番好きな”女優”はキム・ノヴァクだったそうです。
Candle

Bell, Book and Candle DVD (ASIN: B000JVRTKE)
DVD/ Bell, Book and Candle
J. Stewart as Mr. Shepherd, Pyewacket and K. Novak as Gillian
上記の画像のDVDは現在入手困難となりましたが、2010年発売の廉価版のDVDは媚薬 [DVD]

媚薬のヴィンテージ価格の1994年海外版VHSも現在入手困難となりました。
Bell Book and CandleBell Book & Candle (ASIN: 6302797667)
下記は「ピクニック」、「媚薬」、「逢う時はいつも他人」の名画3作を収録した人気のDVDボックスセットです。
kimDvd.jpgキム・ノヴァク DVD トリプルパック

ジルが魔法をかける時に口ずさむあの曲が頭から離れなくなった? う〜ん、貴方もジルの魔法にかかったかも♪

この映画は1955年、キムノバク主演の映画「ピクニック」がらみで、ジェームズ・ウォン・ハウの撮影Daniel Taradash(ダニエル・タラダッシュ)の脚色、出演者、そして音楽が同じメンバーです。
Bell Book and Candle Original Soundtrack
「媚薬」のサウンドトラックの音楽はベテランのGeorge Duning(ジョージ・ダニング)の作曲ですが、ダニングはピクニックのテーマ曲の”Moonglow”や同じくキム・ノヴァクの映画でThe “Eddy Duchin Story(愛情物語)”でアカデミーにノミネートされました。 「愛情物語」で30年代から40年代にかけて人気があったピアニストのEddy Duchin(エディ・デューチン)を演じたTyrone Power(タイロン・パワー)の吹き替えをしたピアニストの”Carmen Cavallaro(カーメン・キャヴァレロ)”のピアノ演奏で有名になった「The Eddy Duchin Story(愛情物語)」では映画のラストシーンのフレデリック・ショパンのノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2をアレンジした”To Love Again“はPeterとEddy Duchin(デューチン夫妻)です。 ジョージ・ダニングはこの他にもTVシリーズの「Star Trek」のサントラなども手掛けました。 ジョージ・ダニングは「It Happened to Jane(ハッピー・ロブスター)」、「The World of Suzie Wong(スージー・ウォン)の世界」、「Strangers When We Meet(逢う時はいつも他人)」、「The Notorious Landlady(悪名高き女)」などのリチャード・クワイン監督のラヴコメ作品の音楽を担当しています。
ピアノ曲ではEddy Duchin(エディ・デューチン)のショパンのNocturne In E Flat(ノクターン変ホ長調)がアルバム「Ignacy Jan Paderewski 」に収録されています。
Candle
トランペット奏者のPete Candoli(ペイテ・カンドリ)とConte Candoli(コンテ・カンドリ)の率いるThe Brothers Candoli(カンドリ・ブラザース)楽団はサウンドトラックに収録されていますが、映画のなかではナイトクラブ「ゾディアック」でのシーンにも出演しています。 ナイトクラブのシーンではジャック・レモンが演じるニッキーがボンゴを演奏していましたが、ニッキが姉のジルのためにカンドリ兄弟に”Stormy Weather”をリクエストしてシェパード氏のフィアンセにいやがらせをします。 ちなみにキム・ノヴァクとジャック・レモンは「媚薬」と同じくリチャード・クワインが監督した1962年の「悪名高き女」でも共演しています。 こちらの映画では夫殺しを噂される女とその部屋を間借りする大使館員の男の恋愛コメディで、脚本に参加したブレイク・エドワーズ(ピンクの豹)のテイストがラストシーンで炸裂します。
Candle「媚薬」のサウンドトラックは2005年にCD化されました
Bell Book and CandleBell, Book and Candle
♪ 試聴はBell, Book and Candle Soundtrack – Amazon.com(Main Title、Pyewacket/Queenie/Gil、ファンキーなボンゴの”Send Me Nicky”、Stormy Weather Polka、The Spell/Shep Hooked、Shep Shook、Where’s Pyewacket?/Naughty Cat/Gil’s Tears、Only Human and End Titleなど全15曲)

Candle
Middle of the Night (1959)
キム・ノヴァクが「媚薬」の次に出演したのは名女優との悲恋映画で知られたFredric March(フレデリック・マーチ)と共演した「真夜中」で、キムが演じるのはお洒落でミステリアスな女性ではなく都会に生活する質素な女性です。 監督はDelbert Mann(デルバート・マン)、音楽は1946年の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のGeorge Bassman(ジョージ・バスマン)でした。
ニューヨークでアパレル(縫製)会社の社員をしているベッティ(キム・ノヴァク)は離婚したてで精神状態が不安定な24歳の女性です。 妻が48歳で亡くなった後娘を嫁がせた、今は未婚の姉と暮らす56歳のジェリー・キングスレー(フレドリック・マーチ)は友人ロックマンと会社を共同経営しています。 ジェリーはバンドマンと離婚したばかりで惨めなベッティと仕事の受け渡しから身の上相談へと発展し、戸惑いながらもデートを申し込んだジェリーでした。 呼び方もキングスレーさんからジェリーに変わり二人は愛し合うようになったが、父親と娘のような二人の年齢差にゆえにジェリーの姉や25歳の娘とベッティの母と親友もスキャンダラスだと二人の交際に反対した。 愛を渇望する二人は結婚しようと考えていたが、そうこうするうちに初老のジェリーはベッティの若さに嫉妬して仲違いするようになった。 そんな時、一年ほど前に別れたベッティの夫が寄りを戻したいと家に寄った夜、もう愛してはいないと思っていたベッティだが寂しさから言寄る元夫に身を任せてしまった。 翌朝、予期せぬ雪のセントラル・パークで逢う約束をしたジェリーに昨夜の出来事を告白したベッティをふり切って「もう会いたくない!」と去っていった。 雪が雨にかわる頃、失意のジェリーが家に帰るとベッテイと結婚しろと助言してくれた共同経営者が自殺を企てたとの知らせがあった。 このことから生きるには愛は必要だ、情熱だ、そして若い女性だと再認識したジェリーはやはり自分にとってベッティが必要だと悟り、ベッティの家に急いだ。 涙ながらに「愛している」とベッティに告げるジェリー。 ハッピーエンド。 日本で入手可能なDVDはありませんが映画ポスターが見つかりました。確かに日本語で「真夜中」と書かれて背景はニューヨークですが不思議なことにキム・ノヴァクは「媚薬」のものです。

Candle
私が観た60年代リチャード・クワイン監督の映画
1960年の「スージー・ウォンの世界」
1963年の「パリで一緒に」
1964年の「女房の殺し方教えます」
1964年の「求婚専科」

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黄金の腕(キム・ノヴァクとシナトラが共演)
お熱いのがお好き(ジャック・レモンが出演)

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