アン・コール Got My Mojo Working by Ann Cole

I’ve Got My Mojo Working!
Ann Cole
Ann Cole – Got My Mojo Working – YouTube

元祖ゴット・マイ・モジョ・ワーキング!
50年代の女性ジャンプ・ブルース歌手のアン・コールは正真正銘の偉大なるソウル・シンガーですが、日本では殆ど知られていません。 父や従姉妹共にゴルペル・シンガーという環境のもとに、アン・コールはゴスペルで鍛えた歌唱力と迫力のあるR&Bシンガーとして活躍しました。 1953年~1954年は従姉妹とのグループでレコードを出しましたが、1954年にはソロとなり、50年代にはBaton (ベイトン)最初のレコーディングの”Are You Satisfied”、二番目の”In The Chapel”、そして”Each Day”などをリリースしてゴスペル調のブルース&バラード・シンガーとして有名になりました。

戦前からの映画俳優でブロードウエイの芝居に出演したそうですが、その前身はオペラ歌手だったというPreston Foster(プレストン・フォスター)が作詞及び作曲した”Got My Mojo Working(ガット・マイ・モジョ・ワーキング)”をデモテープで覚えたアン・コールは1956年になってジャンプブルース・スタイルでステージで歌ったのだそうです。 翌年にその曲をHoward Biggs(ハワード・ビッグズ楽団)の伴奏でレコーディングした初のソウル・シンガーで、Cash Box Magazineにて、その年の「最も有望なR & B女性シンガー」に選ばれました。

その後も1962年までに7インチEPシングル計16枚、およそ32曲と多くのレコードを出しましたが、ビルボード入りしたのは1962年の”Don’t Stop the Wedding”だけでした。 とはいえどもR & B部門で21位、ポップス部門では99位でした。 この曲かもしくは”Have Fun”がR & B曲としては最後です。 嗄れ声で艶ぼくろがチャーミングな黒人美人歌手は残念なことに当時は先に行き過ぎていました。 1954年から1959年の録音でギターがWild Jimmy Spruill(ワイルド・ジミー・スプルーイル)、コーラスはSuburbansですがテナーサックス奏者は不明。 ロックンロールが急上昇中の1957年9月のヒットチャートでトップ40入りしたWhen I See YouではFats Domino(ファッツ・ドミノ)と掛け合いで歌っています。 ☆SuburbansのメンバーはAnn Coleをメインに、リードテナーがCortez Franklin、テナーがAndy WilliamsとLucky(ニックネームのみ)、バリトンがChris KilerそしてバスがSylvester Bradfordという構成です。

当時のアン・コールのステージを見ていたのが有名なブルースマンのMuddy Waters(マディ・ウォーターズ)でした。 アン・コールは一ヶ月間マディ・ウォーターズ・バンドの米南部公演に同行していたのでした。 その時にマネージャーから「リリースしていない曲はステージで歌わないように。」という忠告があったにもかかわらず、”Got My Mojo Working(ガット・マイ・モジョ・ワーキング)”を歌ってしまったのです。 その曲ががえらく気に入ったマディ・ウォーターズは、1957年にマディ・ウォーターズ流ブルース(ブルーズ)にアレンジしてCHESS(チェス)で録音してしまいました。 よって時期同じくして同じ曲が同じ週にリリースされたわけです。 当時チャートではアン・コールが3位でマディ・ウォーターズが7位だったにも関わらずマディ・ウォーターズの定番曲としてずっと歌い続けられたため、”Got My Mo-jo Working(ガット・マイ・モジョ・ワーキング)”といえばマディ・ウォーターズの代表曲と云われるようになったのです。 オリジナルであるアン・コールの歌詞とマディ・ウォーターズの歌詞がちょっと違うのだそうですが、それはマディ・ウォーターズが覚えきれなかったからだなんて、ホント? うそ!
♪ Muddy Waters – Got My Mojo Working

もっともこの曲はマッディに限らずデルタ・ブルースのBBキング(後にアーバン)や同時期のシカゴ・ブルースのMagic Sam(マジック・サム)、反骨のソウル歌手Nina Simone(ニーナ・シモン)、ロックンローラーのChuck Berry(チャック・ベリー)やCarl Perkins(カール・パーキンス)、1970年にはElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)やConway Twitty(コンウェイ・トゥイッティ)、そしてジャズ・オルガンのJimmy Smith(ジミー・スミス)も1965年に録音した人気の曲目となっています。 誰が歌っても良い曲ですね。 うっ!Michael Moore(マイケル・ムーア)監督のドキュメンタリー「Bowling for Columbine(ボウリング・フォー・コロンバイン)」の突撃インタビューに出演したMarilyn Manson(マリリン・マンソン)も歌っています。 マンソンにとってある意味で良かったか悪かったかは不明ですが、この映像で悪の象徴のようなヘビメタ・アーティストがかなり知的であることを証明しました。
※ Buddy Guy(バディ・ガイ)やマディ・ウォーターズなどシカゴブルースの歌手の情報が見られるChicago Blues
Jimmy Smith – Got My Mojo Workin’ – YouTube
Elvis Presley / P. Foster – Got my Mojo Working / Keep Your Hands Off of It (LIVE)

☆一説にはアン・コールのEasy Easy Babyがマディ・ウォーターズのガット・マイ・モジョ・ワーキングの元歌とされていることがあるそうですが、Easy Easy BabyはMagic SamのEasy Babyになっているのだとか。(良く分かりません)

Got My Mojo Working written by Preston Foster and sang by Ann Cole
I got my black cat bone, all pure and dry
I got a four-leaf clover, all hangin’ high
Got my hoodoo ashes all around your bead
Got my black snake roots underneath your head
I got my mojo workin’, but it just won’t work on you
I want to love you so, till I don’t know what to do
I got a gypsy woman givin’ me advice
I got some red hot tips I got to keep on ice
I got a rabbit foot, I know it’s workin’ right
I got a strand of hair I’m keepin’ day and night
意味としては「アタシは茹で上げた黒猫の骨や四葉のクロバーを持ってるの
お呪いをかけてもアンタにはちっとも効かない
ブードゥ魔術の灰をアンタの数珠に、升麻の根を枕の下に入れたり
お呪いをしてもアンタには効きそうにもない
どうしていいのか分かんなくなるほど愛したいの
助言してくれるジプシー女を知ってる
(ホットな秘訣を、氷で冷やしとかなきゃ)←Help!ここは不明
幸運のウサギの足も、よく効くって知ってる
ひと房の髪の毛だって持ってる」・・・とかなんとかいうようです。(足だの灰だのは全部魔術で逃げた恋人とのよりを戻すためのお呪いアイテムです)

ListenAnn Cole with the SuburbansのGot My Mojo Workin’のクリップが聴けるAnn Cole with the Suburbans – Got My Mojo Workin’ – Daremusic.com(左のアン・コールの画像をクリック)
又はAnn Cole – Baton Records–1960s music: DoowopでAnn Cole with the SuburbansのGot My Mojo Workin’とEasy Easy Baby、Ann Cole & The Dave McRae Orchestraの”Are You Satisfied”のクリップが聴けます。

アン・コールのシングル盤やコンピレーションのリストはAnn Cole’s Singles and Albums – Koti.mbnet

Ann Cole’s Got My Mojo Working
Jump, Jive and SwingJump, Jive & Swing
B.B. KingのGot My Mojo Working
試聴はB B King Got My Mojo Working – Amazon.com(5番)

ヴィンテージ!アン・コールのGot My Mojo WorkingとEasy Easy Baby入りコンピレーション・アルバム
Got My Mojo Working

オリジナルよりお先に有名になったマディ・ウォーターズのアルバム「Got My Mojo Working」
muddy.jpgGot My Mojo Working(Muddy Waters)
“Got My Mojo Working”の歌詞はGot My Mojo Working Lyrics – postman.pe.kr(タイトルをクリックしてもマディ・ウォーターズのGot My Mojo Workingはもう聴けません)

Blues Masters, Vol. 5: Jump Blues Classics
ANN COLE / Got My Mojo Workingが収録されているブルースシリーズのCDは「Various Artists – Blues Masters, Vols. 1-5」の”Vol. 5″です。
このCDはアン・コール以外にJimmy Witherspoon( ジミー・ウィザースプーン)、T-Bone Walker、Percy Mayfield、Earl Hooker、’Big Mama’ Thorntonなどなどと素晴らしいコンピレーションです。
「The Living the Blues Collection(1957-1959 Blues Classics )」でも試聴できます。

☆UK輸入版のANN COLE / Got My Mojo Working(Krazy Kat LP KK 782 © 1984)について詳しく書かれているサイトは’50s R & B 33rpm(オリジナルのタイトルやアンサーソングについて)

1962~1966年にドイツで行われたブルース・フェスティバルのモノクロ映像でリージョン・フ!リーのビデオです。
American Folk Blues FestivalAmerican Folk Blues Festival 1962-1966 Vol.1
オーティス・ラッシュがI Can’t Quit You Babyを演奏、マディ・ウォーターズの”Got My Mojo Working”ではサニー・ボーイ・ウィリアムソンがハープを演奏、ボーナストラックには珍しいアール・フッカーの1969年のライヴ映像「Walking the Floor Over You/Off the Hook」が収録されている他ブルースマンやBig Mama Thorntonなどの女性ブルース歌手も多数出演しています。
Vol.2とVol.3もあります。

50年代の懐かしい曲を集めたThe Roulette Storyという3枚組みCDにAnn ColeのDon’t Stop The Weddingも収録されています。

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1973年の「MOJO」訴訟について後ほどと思っていたのですが、もうネット上にその裁判記録情報がなくなってしまいました。(保存したURLが無効に。。)
“Got My Mojo Working”の作曲家であるプレストン・フォスターはニューヨークの音楽家で1957年頃はRed Fosterともいったとか。
裁判記録は、”Got My Mojo Working”が自作であると主張したマディ・ウォーターズ(本名McKinley Morganfield)とレコード会社は訴えられて云々。
果たしてMOJOに著作権はあるか?といったような内容も含まれていたようでした。 確か「MOJOという言葉そのものには著作権は無い。」ということも書かれていたと記憶しています。 結局、裁判では訴えは退けられ”Got My Mojo Working”の作者は”Preston Foster”であると認定されたそうです。

☆英語なので後で読んでみようと思う参考記事はThe Baton Laber – daremusic.com

アン・コール Got My Mojo Working by Ann Cole」への4件のフィードバック

  1. あぁ、知らなんだ・・。
    マディさんの曲だとばかり思ってました。
    聞いてみたいけど、この人のアルバムってなかなか無いんですね~。
    あぁ、知らなんだ・・。

  2. koukinobaaba より:

    あ~らら!ken-sannがご存知無いなんて。 という私もYahoo!のLaunchCastで自分のZenigebaステーションで流れたので初めて聴きました。 時間があったらそのマイステーションに関するエントリーをみて下さいね:
    http://zenigeba.exblog.jp/4060702/

  3. ken-sann より:

    んもう!
    ネコの声にビックリでした・・・(笑)
    LaunchCastって面白そうですね。
    でも使い方が良く分んないや・・。
    そのうち挑戦してみます!・・・って言ってて、
    忘れちゃうんだよなぁ・・・きっと。

  4. kouninobaaba より:

    ken-sann さん、驚かせてごめんなさい! 音を入れると家族に不評なんですが時々遊んでしまいます。 
    ランチキャストは私には一番馴染みがあります。 聴くだけでもいいですよ♪ 
    このコメントは出先のマックだから文字化けするかも。

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