T・ボーン・ウォーカー T-Bone Walker

The Master of Guitar: T-Bone Walker (1910-1975)
テキサス出身のJump Blues(ジャンプ・ブルース)のギタリストのT-Bone Walker(ティー・ボーン・ウォーカー)はテキサス・エレクトリック・ブルースの創始者であり、T・ボーン・ウォーカーのギターのテクニックはB.B. King(BBキング)、Kenny Burrell(ケニー・バレル)、T・ボーン・ウォーカーの全てをコピーしていそうなChuck Berry(チャック・ベリー)そしてJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)に至るまで多くのミュージシャンに影響を与えました。 Gibson ES-5(ギブソンギター)を右肩にしょったT・ボーン・ウォーカーは、エレキ・ギター奏者としてだけでなく、ちょっとしゃがれた声で甘いバラードも歌うJump Blues(ジャンプ・ブルース)歌手として活躍しました。 とはいえ、T・ボーン・ウォーカーの音楽があまりに洗練されているのとジャズ志向のためブルース界ではさほど取り上げられていない傾向にあります。

まだ十代の頃、T・ボーン・ウォーカーはバンジョー片手に歌ったり踊ったりと劇場や旅周りの公演をしていたそうで、なんとMa Rainey(マ・レイニー)とも一緒だったことがあるそうです。
T・ボーン・ウォーカーは1929年に若干16歳で初めての録音をしたそうでその時の名は”Oak Cliff T-Bone”だったそうです。 1934年にカルフォルニアに移ったT・ボーンは、ブギウギ・ピアニストで1942年にElla Mae Morse(エラ・メイ・モース)の歌で”Cow Cow Boogie“が大ヒットした”Freddie Slack”(フレディ・スラック)の楽団から、Lionel Hampton(ライオネル・ハンプトン)やLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)などとも演奏したことがあるアルトサックス奏者の”Les Hite(Leon Elkinst レス・ハイト)”の楽団に参加し40年代と50年代に好評を博しました。 1940年に”Les Hite”(レス・ハイト)楽団で”T-Bone Blues”を吹き込んだ後は1942年からはT-Bone Walkerとして独自の録音を開始しました。 1940年代には共演したことのあるBBキングが絶賛したというエレキ・ギターのソロ演奏が素晴らしい”Call It Stormy Monday(コール・イット・ストーミー・マンデイ)、T-Bone Shuffle(T・ボーン・シャッフル)、Mean Old World(ミーン・オールド・ワールド)などのブルース・スタンダードとなる曲及び多くの名盤を残しました。 ちなみに1947年のコンサートでT・ボーン・ウォーカーが具合悪くなった時に参加していたClarence “Gatemouth” Brown(クラレンス・”ゲイトマウス”・ブラウン)が即席で”Gatemouth Boogie”を自作自演して観客を沸かせたそうです。 T・ボーンに影響を受けたブラウンは1954年に”Okie Dokie Stomp”、Johnny Board(ジョニー・ボード)と共同で書いたアップテンポな”Gate Walks To Board”を1981年にグラミー賞を受賞したアルバム「Alright Again!」に収録しています。

“Call it stormy monday but tuesday as bad…”と歌われる”Stormy Monday Blues”はT・ボーン・ウォーカー(Aaron Thibeaux “T-Bone” Walker)が作ったブルース曲を1947年にテキサス出身のTeddy Buckner(テディ・バックナー)のジャズ・トランペットをフィーチャーしてSP盤(78 RPM)に吹き込んでデビューしたそうです。 テディ・バックナーはElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)主演の1958年の映画「King Creole(闇に響く声)」のサウンドトラックも吹き込んでいます。 後にAlbert King(アルバート・キング)も録音した”ストーミー・マンデイ”はデルタブルースのElmore James(エルモア・ジェームス)がそりゃ迫力あるのですがT・ボーンみたいにセクシーじゃないからね。 ジャズ嗜好のT・ボーン・ウォーカーは録音にも多くのジャズメンを取り立てています。 1970年に12曲を収録した「Stormy monday blues-The blues collection」もあり。
T-Bone Walker – Call It Stormy Monday – YouTube

Gee Baby, Ain’t I Good to You? by T-Bone Walker

私の好きな「Gee Baby Ain’t I Good to You? (又はBaby Ain’t I Good to You)」は1929年に”Honeysuckle Rose”なども作った黒人(マダガスカル出身)の作詞家のAndy Razaf(アンディー・ラザフ)とジャズ・ミュージシャンのDon Redman(ドン・レッドマン)の共作でNat King Cole(ナット・キング・コール)トリオによりヒットした曲だそうです。 T・ボーン・ウォーカーのバージョンが収録されているのが今の所オリジナルが1968年の下記のアルバムの「I Want a Little Girl」と「Feelin’ the Blues」だけです。 T・ボーン・ウォーカーのアルバムらしくないからでしょうか、今現在はiTunesで検索してもありませんでした。 T・ボーン・ウォーカーにバックは不要です。 せいぜいピアノ。 ところで、日本でも鶴田浩二がやっていたようにT・ボーン・ウォーカーは歌う時に左耳に手を当てていることがありますが、こうすると他人が聞く音と同じに聞こえるので正しい音程が保てるのだとか。

T-Bone Walker with the sax – Gee Baby Ain’t I Good to You – YouTube
“I Want a Little Girl”の試聴はFeelin’ the Blues (France 1968-1969) – Amazon.co.jp

Gee Baby Ain’t I Good to You
「You know it’s love that makes me treat you
The way I do
Gee baby, ain’t I good to you?
こんなに、こんなに尽くしても駄目なの?ベイビー」とT・ボーン・ウォーカーが歌います。 Gee Baby Ain’t I Good to Youの歌詞はGee Baby Ain’t I Good to You Lyrics – Golyr.de( くぅ~、泣けます!)
私の好きな曲”Gee Baby Ain’t I Good to You”はT・ボーン・ウォーカーの他にもJimmy Witherspoon(ジミー・ウィザースプーン)やJoe Williams(ジョー・ウィリアムス)が歌い、Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)、Peggy Lee(ペギー・リー)、 Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)やHelen Humes(ヘレン・ヒュームス)といったジャズ歌手、そしてDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)、Count Basie(カウント・ベイシー)、Oscar Peterson Trio(オスカー・ピーターソン)、Kenny Burrell(ケニー・バレル)、Ben Webster(ベン・ウェブスター)などのジャズメンの演奏が有名です。

T-Bone Walker with Dizzy Gillespie, Teddy Wilson, Clark Terry, Coleman Hawkins, Zoot Sims (1966) – “Woman, You Must Be Crazy & Goin’ To Chicago Blues” – YouTube

T-Bone Walker- “Don’t throw your love on me so strong” from American Folk Blues Festival 1962 in Germany- YouTube
T-Bone Walker with Memphis Slim and Helen Humes – “The Blues aint’ nothin’ but a woman” (from American Folk Blues Festival 1962) – YouTube

The Complete Imperial Recordings
☆ページトップのアクロバティックな演奏をするT・ボーン・ウォーカーの画像は合計52曲を収録した2枚組のアルバム「The Complete Imperial Recordings (1950-1954)」です。 T・ボーン・ウォーカーの初期の録音から1950年代中期までのParty Gir、Get These Blues Off Me、Wanderin’ Heartなどが聴けます。
試聴はThe Complete Imperial Recordings – Amazon.com

I Want a Little Girl
T・ボーン・ウォーカーはこのディスクを聴いて初めて知ったのでギターを弾くブルースマンだとは思わずジャズヴォーカリストかと思ってしまいました。
でも私は大好き、本気でお勧め!泣けるブルース!ですが、テナーマンのHal “Cornbread” Singer(ハル・シンガー)のブローに負けそう、ドデカイテナーサウンド!
Tボーン・ウォーカー後期の1968年11月13日の録音だそうです。 T・ボーン・ウォーカーのギターよりもバラード風のヴォーカルがメインのアルバムなのでブルースファンには人気が無いのかもしれませんがリラックスして聴けるブルースです。
I Want a Little Girl by T-Bone WalkerI Want a Little Girl T-Bone Walker / Delmark
試聴はI Want a Little Girl – AllMusic.com(6番Baby Ain’t I Good to Youと7番Ain’t This Cold, Baby)
上記のアルバム「I Want a Little Girl」ですが私の手持ちのCDの説明書きによるとT・ボーン・ウォーカーは”Ain’t this Cold Baby”ではピアノを弾いているそうです。 他のパーソネルはテナーサックスは”Corn Bread”が大ヒットしたR & B・ジェンドのHal “Cornbread” Singer(ハル・シンガー)、ピアノがマルセイユ出身のGeorges Arvanitas(ジョルジュ・アルヴァニタス)、ベースがJackie Samson(ジャッキー・サムソン)、ドラムがシカゴブルースのS.P. Learyだそうです。

”Say, I want a little girl to fall in love with me, oh yeah….If she can cook”の後のジャン! というギターのひと掻きがたまりません。 セクスィー! ピアニストのLes Hooper(レス・フーパー)が作曲した”I Want A Little Girl”はCount Basie(カウント・ベイシー楽団)の演奏以外に、Joe Williams 、Louis Armstrong、B.B. King、Ray CharlesやNat King Coleなどが歌っていますが、私は何と言ってもT・ボーン・ウォーカーが一番!
1943年にはCharlie Parker(チャーリー・パーカー)も参加したというジャズ・ピアニストのJay McShann(ジェイ・マクシャン)のジャンプブルース・バンドに在籍し、50年代にはRoy Eldridge(ロイ・エルドリッジ)やColeman Hawkins(コールマン・ホーキンス)とも共演したとうハル・シンガーの豪快なテナーが試聴出来るアルバムは「Royal Blue」(ASIN: B000006KT3)(ヴォーカルあり、試聴はhttps://www.allmusic.com/album/royal-blue-mw0000311034)

Feelin' the BluesFeelin’ the Blues (1969)
試聴はFeelin’ the Blues – AllMusic.com

West Side Baby in Devil In A Blue Dress
A Proper Introduction to T-Bone Walker: Everytime
Proper Introduction1995年のDevil In A Blue Dress(青いドレスの女)のサウンドトラックで使用された”West Side Baby”は1947年にBlack & Whiteで録音されましたがCall It Stormy Monday (But Tuesday Is Just as Bad)、T-Bone Shuffle、Party Girlなどと共に全74曲を収録してジャケットカバーがイラストの3枚組CD「Complete Capitol/Black & White Recordings」や26曲入りの「A Proper Introduction to T-Bone Walker: Everytime」や「40 Prime Cuts」に収録されています。
「Everytime」の試聴はhttps://www.allmusic.com/album/a-proper-introduction-to-t-bone-walker-everytime-mw0000547349
国内では「Complete Capitol Black & White Recordings」(ASIN: B000002TQK)がありますがヴィンテージ価格です。
試聴はT-Bone Walker – Complete Capitol Black & White Recordings – CD Universe
T-Bone Walker – West Side Baby – YouTube

国内盤では2000年にリリースされ試聴ができる「モダン・ブルース・ギターの父」というベスト盤がありキャピトル・レーベルの名盤14曲を収録しています。 リンク先で全曲試聴可。

中古がヴィンテージ価格のエレキ・ブルース・ギターの父「T-Bone Walker」の輸入版VHSビデオ
T/Bone Walker Guitar StyleT Bone Walker Guitar Style

1962~1966年にドイツで行われたブルース・フェスティバルのモノクロ映像が見られます。 T・ボーン・ウォーカーはこの時期1960年代にはドイツなど主に欧州で活動していたカリブ(マルティニーク)出身のジャズ・ピアニストのMichel Sardaby(ミッシェル・サダビー、もしくはミシェル・サルダビー)と録音しているそうです。
American Folk Blues FestivalAmerican Folk Blues Festival 1962-1966 Vol.1
T・ボーン・ウォーカーがCall Me When You Need Meを演奏する他、オーティス・ラッシュがI Can’t Quit You Baby、マディ・ウォーターズのGot My Mojo Workingではサニー・ボーイ・ウィリアムソンがブルースハープを演奏、ボーナストラックには珍しいアール・フッカーの1969年のライヴ映像「Walking the Floor Over You/Off the Hook」が収録されている他、ブルースマンやBig Mama Thorntonなどの女性ブルース歌手もが多数出演しています。
* シリーズでVol.2とVol.3もあります。

ジャンプブルース
スイング時代のビッグバンド・ジャズやブルース、ゴスペル、ブギウギなどがジャンプブルースを形作ったといえるそうです。 Cab Calloway(キャブ・キャロウェイ)は愉快な曲を歌いキャロウェイ楽団はリズムを強調する演奏をしました。 そのスウィングジャズバンドのキャブ・キャロウェイの影響を受けたブルース歌手のSlim Gaillard(スリム・ゲイラード)の”Dunkin’ Bagels”や、R & BのLouis Jordan(ルイ・ジョーダン)の”Hungry Man”のようなシューリアルな(陽気な食い物をテーマにしたような)曲などを歌い、バンドは後ろで掛け声を入れたりしました。 後にLouis Jordan(ルイ・ジョーダン)がこのエネルギッシュなジャンプブルース形式をマスターし、Louis Primaがトランペットとヴォーカルの天才Louis Armstrong(ルイ・アームストロング)と結び付けたのです。 ウエストコーストでのジャンプブルースは落ち着いたNat King Coleトリオにかなり影響され、初期の勢いは曲や歌詞の洗練化に変わったのだそうです。 ルイ・ジョーダンらに影響をうけたシンガー兼ピアニストのチャールズ・ブラウンがウエストコーストでは最たる代表者です。 そしてジャンプブルースはアメリカのダンス音楽を変えてしまうR & Bとロックンロールに至るのです。
スリム・ゲイラード&スラム・スチュワートのMatzoh BallsやCab Calloway and his Orchestra(キャブ・キャロウェイ)のEverybody Eats When They Come To My Houseなどの美味しい歌が聴けるwfmuラジオのプレイリストはPlaylist for A Rough Mix with Steinski – September 20, 2007(Listen to this show: Pop‑up player! をクリックしてクリップ・ポジション(再生バー)を40:10に移動)

T・ボーン・ウォーカー T-Bone Walker」への4件のフィードバック

  1. ご無沙汰しています。
    管理人さんも言及していますが、You Tubeにある T-Boneの Don’t throw your love,,,, のビデオはあまりに素晴しいですね。テレビスタジオの生録音ですが、あの歌とギター、そしてギターを弾くときの表情、、、、  誰かが「初めてYouTubeを見て泣けた」とコメントしていますが、私も同感です。(友達に頼んでこの映像をCDに取り込んでもらいました。永久保存用。)
    なおDuke Elliingtonの長年の友人だった批評家Stanly Dance の奥さん(!)が書いた、T-Boneの伝記 Stormy Monday: The T-Bone Walker Story という本もありますね。JATPツアーにT-Boneを引っ張ってきた故Norman Grantz もさすがだと思います。

  2. 「ヒロヤス」さんいつも素晴らしい情報を有難うございます。後で伝記について調べてみます。
    私も同感です、T-Boneの”Don’t throw your…”! この曲は泣けもしますが、あの表情はすごくセクシーでメロメロになります。

  3. Gee Baby Ain’t I Good To You は私も大好きです。作曲者はあのDon Redman (as , band leader) 。作詞は Ain’t misbehabin’ などで有名なAndy Razaf。T-Bone 以外では、Joe Williams がThad-Mel Big Bandをバックにして歌った名演があります。

  4. ヒロヤスさんのおっしゃるGee Baby….、1966年のJoe Williamsのバージョンを聴いてみました。Roland Hannaのピアノも良いですが、やはり伴奏はギターでしょう。ということは。。。
    うむ、私はまだ「Presenting Joe Williams & Thad Jones/Mel Lewis Orchestra」に到達できません。
    ジョー・ウィリアムスを記事に追加させていただきます!

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