メケ・メケ Me Que Me Que

Mes Maiuns, La Ballade des Baladins
Mes Mains by  Gilbert Becaud
Gilbert Bécaud – Méqué méqué

Me-Que Me-Que
メケ・メケはフランス語でダブル・メケつまり”Me-que, me-que, mais qu’est-ce que c’est?” 「メケメケ、だけどそれが何? どうってことないさ」という意味らしいです。(maisはbutでqueはthat又はwhat)
“Me Que Me Que”は1961年の”Et Maintenant(What Now My Love / そして今は)”が大ヒットしたシャンソンの作曲者であるGilbert Bécaud(ジルベール・ベコー)が1953年(1954)に作曲したうちの一曲で、”メケ・メケ”はCharles Aznavour(シャルル・アズナブール)が作詞しました。
Gilbert Bécaud – Méqué méqué – DailyMotion.com

“Me-que, me-que, mais qu’est-ce que c’est?” という歌いだしのこの曲の舞台はカリブ海に浮かぶマルティニーク島といわれています。 マルティニークはフランス領だったので島の人々はフランス語を話すのですが、その原住民の訛りをアズナブールが歌詞に取り入れたのだとかいう説があるそうですが”定か”ではありません。 なんだか”メチャククチャ”と言ってるみたです。
“Mais, qu’est-ce que c’est?”→”Mé qué mé qué?”

Écouter “Me que me que”
作曲者のジルベール・ベコーや作詞のシャルル・アズナブールの他にもたくさんのシャンソン歌手たちが”メケメケ”を歌っています。

丸山明宏のメケ・メケ
日本では昭和32年(1957年)、デビュー当時は22歳で丸山明宏という芸名だった現在の美輪明宏(Miwa Akihiro)が歌った”メケ・メケ”が大ヒットしました。 その頃に”Sister Boy(シスターボーイ)”という言葉が流行ったのです。 彗星のごとく現れ、黒髪のショートカットで黒のトックリや白いブラウスの襟を立てたりスカーフを首に巻いて身振りも華やかに歌う彫りの深い日本人離れした顔立ちの歌手に何やら秘密めいた悪徳の華的な美しさを感じ、テレビの前の私は見惚れたものです。(細くて本当に綺麗) その頃はラテン同様に今よりもシャンソンが華やかな人気を保っていて、男性シャンソン歌手だと高英男氏という宝塚スターのように美形で品行方正でお洒落な歌手がいました。(1968年の「吸血鬼ゴケミドロ」での吸血博士や1969年の恐怖映画「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」での看守役にはビックリ) 女性シャンソン歌手といえば宝塚歌劇団の男役出身だった越路吹雪もメケメケを歌っています。(「越路吹雪CDライブラリー・シリーズ2 越路吹雪シャンソンのすべて」からMP3はASIN: B0047G7Q4G)
※流行語となった”シスターボーイ”とは英語の辞書では”A feminine, homo-type of a male(女っぽい)”となっていて男の同性愛者を指すようですが、語源は1956年のVincente Minnelli(ヴィンセント・ミネリ)監督の「Tea and Sympathy(お茶と同情)」に登場したJohn Kerr(ジョン・カー)が演じた17歳の少年です。 スポーツが苦手で”マッチョマンとは程遠く、詩や音楽や裁縫を好み女性にも関心のない”男”を指します。 ちなみに私が観たジョン・カー映画は1961年のホラー「The Pit and the Pendulum(恐怖の振子)」と”Bali Ha’i(バリ・ハイ)”が大ヒットした1958年のミュージカル映画「South Pacific(南太平洋)」でした。
ところで1993年の西部劇映画でKurt Russell(カート・ラッセル)がWyatt Earp(ワイアット・アープ保安官)を演じた「Tombstone(トゥームストーン)」という映画のセリフにもJason Priestly(ジェイソン・プリーストリー)が演じたあだ名が”Sister Boy”という副保安官に向かって吐くセリフにも出てくるそうです。
フランス語の歌詞では「愛しい人」とか「ねえ」という意味の”Cheri”を丸山明宏(美輪明宏)氏の訳詞では「ねえ、あんた」となっている、「可愛い”チチ”」や「可愛い”トト”」が私には何だかわかりませんでしたがヨーロッパの女性の名前にChichi(チチ)や男性の名に”Totò(トト)”があるそうです。(アメリガのスラングでは粋の意味らしいですが、タブンそれとは違うでしょう)
Miwa Akihiro – Me Que Me Que (early version) – YouTube
この後の昭和39年に発表した自作自演の「ヨイトマケの唄」が放送禁止となったのは解せませんでした。 学校の行き帰りに目にした工事現場の人力基礎工事は当時は日常のものだったのです。
美輪明宏のメケメケは美輪明宏全曲集などに収録されていますが、このCDには1951年(最初は昭和28年)に高英男氏やダークダックスが歌ったYoshinao Nakata(中田喜直)作曲でNaoya Uchimura(内村直也)作詞の私の大好きな”Yuki no furu machi wo(雪の降るまちを)”の美輪バージョンが収録されています。 高英男の”雪の降る町を(In a Snowy Town)”はAki Kaurismäki(アキ・カウリスマキ)監督の1992年のフィンランド(Finland)映画「La Vie de bohème(ラヴィ・ド・ボエーム)」でYuki no furu machi o又はTown of Falling Snow(雪の降る町を)としてエンディングに使用されているそうです。 アキ・カウリスマキ監督の2006年の”孤独”をテーマにした”Laitakaupungin valot(街のあかり)”は日本で2007年公開でしたが、晴れ舞台が苦手の監督は2011年の新作「Le Havre」が好評を博した映画祭でも積極的に映画の話をすることはなかったそうです。 音楽が素晴らしいカウリスマキ監督の映画音楽集「Juke Box of Aki Kaurismaki 」がリリースされているそうです。(”the falling snow”とは落雪という意味)
参考に高英男の全曲集は高英男全曲集
※90歳までステージに立ったこともあったと云われる高英男氏ですが惜しくも2009年に亡くなりました。

美輪明宏 全曲集
美輪明宏の”メケメケ”の他、代表曲が収録されている美輪明宏のアルバム「全曲集」
Akihiro Miwa aka Maruyama全曲集
類似したアルバムは「美輪明宏 全曲集 2012

Me Que Me Que Paroles
「黄昏時 港町の 酒場の片隅で 安い酒に くだ巻いてる くろんぼの色男」と歌われるMaruyama Akihiro(丸山明宏)訳詞の歌詞と、「Le navire est a quai Y a des tas de paquets…」とMoreno Dario(ダリオ・モレノ)が歌ったフランス語のMe Que, Me Queの歌詞はMe Que, Me Que Lyrics – Hot’n Cool
歌の中で”Cheri”と言っていますがフランス語では恋人同士でも親子でも「愛しい人」は”mon amour”あるいは、女性形は”ma chérie”で男性なら”mon chéri”だそうです。
“Cheri”と同じ意味で”Ma petite”や”Mon petit”、又「いかないで!」は”Ne Me Quitte Pas”というJacques Brel(ジャック・ブレル)の名曲がありますし、音楽をBernhard Eichhorn(ベルンハルト・ウィルヘルム)が担当した1957年の「Monpti(モンプチ わたしの可愛い人)」というHorst Buchholz(ホルスト・ブッフホルツ)とRomy Schneider(ロミー・シュナイダー)が共演したロマンティックなドイツ映画がありました。(モンプチのテーマ曲は監督のHelmut Käutner(ルムート・コイトナー)が歌詞を付けた”Shadow Blues”)

Mes Maiuns, La Ballade des Baladins by Gilbert Becaud
ページトップの画像はジルベール・ベコーのメケメケを収録したアルバムです。
試聴はMes Mains / La Ballade des Baladins ~ Gilbert Bécaud – AllMusic.com
Gilbert Bécaud – Mé qué – Mé qué – YouTube

Charles Aznavour – Me Que Me Que
Me Que Me Que
Charles Aznavour - Me Que Me Que
シャルル・アズナヴールのメケメケの試聴は類似したアルバムのme que me que – Les Chansons d’Or – AllMusic.com
☆シャルル・アズナヴールについてはAudio-Visual Trivia内のシャルル・アズナブール Charles Aznavour

Me Que… Me Que by Darío Moreno
Me Que Me Que
Me Que Me Que by Dario Moreno1950年代と1960年代にフランスで歌手と映画俳優として活躍したマルチリンガルなダリオ・モレノはエキゾチックな中東の歌からシャンソンやラテン、果てはアメリカン・ポップスまで幅広く歌いましたが特にコミカルな曲が人気です。
Darío Moreno – Me Que Me Que – MetaCafe
☆ダリオ・モレノについて詳しくはAudio-Visual Trivia 内のDario Moreno

Me que me que – Joe Dassin
シャンソン歌手のJoe Dassin(ジョー・ダッサン)はNever On Sunday(日曜はダメよ)を監督したJules Dassin(ジュールス・ダッシン)の前妻の息子です。 1970年代にはシャンソン界で活躍しましたが惜しくも若くして亡くなりました。 日本では有名な”Les Champs-Elysees(おお、シャンゼリゼ)”の作曲家として知られています。 そしてそのジョー・ダッサンもメケメケを歌っています。
ジョー・ダッサンのメケメケはアルバムの「Les Champ-Elysees: Joe Dassin」(ASIN: B000025LYD)などに収録されています。
Joe Dassin – Me que me que – YouTube

Snakeman Show sings Me Que Me Que
Katsuya Kobayashi(小林克也)を含む3人グループのSnakeman Show(スネークマンショー)が81年にリリースしたファーストLPアルバムがCD化されましたが、その2003年再リリース盤の「スネークマンショー(急いで口で吸え!)」にDoctor Kesseler(Drケスラー)のMe Que Me Que(メケメケ)が収録されています。(リンク先での13番で加藤和彦が歌うメケメケが試聴できます。現在私のブラウザでは文字化け) 伊武雅刀とプロデューサーの桑原茂一とDJの小林克也が組んだこの伝説のラジオ・ショウ(パロディ番組)の音楽にはテクノポップスのYMOも参加しています。 なんとスネークマンショーが約30年ぶりに2011年4月9日(土曜深夜0時半)から「R60 スネークマンショー」として復活だとか。(2013年7月?)
ちなみにスネークマンショーには海賊版がありLPやCD化されています。 ”バルコニーに座って”が収録されている「スネークマンショー(ロックンロール・メドレー)」があります。

ドクター・ケセラーとはかって北山修等とフォークグループのザ・フォーク・クルセダーズを結成して1967年に「帰って来たヨッパライ」の大ヒットを記録し、1970年代にはSadistic Mika Bandを結成した加藤和彦の別名です。(神経症を患っていた加藤和彦は62歳の2009年10月に惜しくも自ら命を絶ちました)
上記の他にもメケメケを歌っているアーティストはJuliette Greco(ジュリエット・グレコ)やMichel Polnareff(ミシェル・ポルナレフ)などです。

メケ・メケ Me Que Me Que」への2件のフィードバック

  1. 本当にシャンソン、聞かなくなりましたね。シャルル・アズナブール、大好きで「イザベル」なんて、レコードが擦り切れるほど聞きました。バルバラも昔は聞いたものです。三輪明宏のコンサートはすぐにチケットが完売になるそうですね。

  2. koukinobaaba より:

    NOVAさん、この記事が本年最後となりますが、今後ともどうぞ宜しくお付き合い下さい。
    では「良いお年をお迎え下さい!」

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