エマニエル夫人 Emmanuelle (1974)

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Sylvia Kristel in Emmanuelle Emmanuelle 2: The Joys of a Woman (1975)
Sylvia Kristel as Emmanuelle

Emmanuelle (1974)
女性も楽しめるソフトコア・ポルノの古典となった1974年の「エマニエル夫人」はファッション写真家のJust Jaeckin(ジュスト・ジャカン)による芸術的なパステルカラー調の映像が印象的なフランス映画です。 恋の冒険好きな外交官夫人のエマニエルが哲学的自己開発の手段として官能の世界を探求するゴージャスな雰囲気のラヴロマンスです。 場所を替え、相手を替え、手を変え品を変え、そして空想までも含めての房事に耽ります。 当然性描写も盛り沢山で、ヌード有り、レズ有り、壁相手のダブルス・テニスみたいなスカッシュ(squash)後の欲情(発情?)有りですが、なんとソープランドの集団アワ踊りまでご披露します。 そうそう、エマニエル夫人がアヘン屈でアヘン中毒者たちにレイプされたり、勝利者のトロフィーとして進呈されたタイのキックボクシングのエピソードなど変態的なシーンも忘れるわけにはいきません。(これでエマニエル夫人は開眼?)
※ちなみに1975年のシルヴィア・クリステルが主演した”エマニエル夫人”を”エマニエル婦人”と表記されることがありますが、この映画ではエマニエルは外交官の奥様なので”夫人”が正解で、”婦人”というと単にレディを意味します。それと、映画は”エマニエル”で、原作者をさす場合には”エマニュエル”です。 1984年に生まれ変わったエマニエルをミア・ニグレンが主演して、1975年の「続エマニエル夫人」を監督したフランシス・ジャコベッティが制作しフランシス・ルロワが監督した「Emmanuelle 4(エマニュエル)」(1984年)は”エマニュエル”だそうで、音楽は「地下室のメロディー」のMichel Magne(ミシェル・マーニュ)で”Oh My Belle Emmanuelle”の歌は1961年に”The Stripper(悲しきストリッパー)”が大ヒットしたデヴィッド・ローズ楽団のDavid Roseです。

「エマニエル夫人」のあらすじ
下記のあらすじにはかなりの細部が書かれていますのでこれからビデオをご覧になる方は読まない方が楽しめます。
全てのシーンが美しい絵画のような映画の冒頭はパリのアパルトマン、物憂げなエマニエルのテーマが流れ着物風の薄物ガウンを来た女性(エマニエル夫人)が赤いソックスをはくシーンで始まる。 このソックスは寒いからじゃないと分かるのは電話をかける時にはむき出しの脚をテーブルに乗せているから。 お洒落なのか、ミスマッチ。
東南アジアのバンコックに赴任した外交官の夫ジャン(Daniel Sarky、D・サーキイ)に会いに機上の人となるエマニエル。 エマニエルと口ひげを生やした夫が車で通るタイの街の風物がエキゾチックだが、二人が乗る黄色いオープンカーがミスマッチ。 車が止まると花や果物を手にした子供達が群がる。 車で到着したのは美しいタイ風の高級バンガロー。 エマニエルと夫はさっそく久しぶりのお手合わせ。 このシーンは蚊帳の中だから紗がかかっている。 これを見学していた従業員たちもその気になる。 こっちは戸外の生。

こうしてバンコックでのエマニエルの生活が始まることに。 エマニエルはさっそく当地のフランス人社交界の女性たちが集う豪華プールの回りで日光浴。 この時は胸だけが見えるがプールで泳ぐシーンでは全裸。(私が約10年前にゲットした水中遊泳のビデオクリップ(sylvia_kristel_emmanuelle_eau.mpg)のファイル名でいくつかのサイトが見つかるがダウンロードは自己責任で)
このプールで知り合ったロリポップを舐めている若いMarie-Ange(マリアンジェ)がエマニエルの住まいにやって来る。(マリアンジェ役はクリスティーヌ・ボワッソンでと同年の「危険な戯れ」でも共演) ベランダにある籐製の吊り椅子(ブランコ)に座ったエマニエルとマリアンジェの二人は性について語る。 ロリポップと自慰がミスマッチ。 エマニエルもやってみる。
場面は一転、パリに戻る機中でブランケットに埋まるものの脚は丸出しで向い座席の男に目で合図。 あり得ない夢の機内セックス。 これを目撃した他の男が微睡むエマニエルを抱えて大胆にも機内トイレセックス。
このシーンの後は先ほどのベランダの吊り椅子、マリアンジュと共に微睡むエマニエル。 マリアンジュの行為に刺激を受けた夢想だったか。

夫と愛を語らいながらのディナー。 哲学的恋愛論の後は夫婦のお仕事。

場面変わって暇を持て余しているアリアンヌ夫人と屋内球技のスカッシュに興じるエマニエル。 その後ロッカールームでアリアンヌ夫人は親切にエマニエルの服の中にタオルを入れて汗を拭ってくれる。 だけじゃなく、おっぱいも揉んでくれるしスカートの下にも手を入れる。(レズビアンなのか)

ハイソな人々が集うガーデンパーティでエマニエルがアリアンヌと話しているとマリアンジュが来てアラン・キュニーが演じる初老のマリオを紹介する。 そのパーティーにはマリカ・グリーンが演じる考古学者のビーも来ていた。 エマニエルは知的なビーに興味を示して近づき、銀製のブレスレットを自分の腕から外してビーに付ける。 ビーを探して水上生活者の小屋並みを歩く真っ白い薄物の服を着たエマニエルがミスマッチ。 発掘作業場へ行くと原付小舟に乗り込むサファリスーツのビーに同行するエマニエル。 ビーは水上物売りの麺屋台からバミーを注文して器用に箸を使う。 ボートから降りるとジープに乗り込んだビーは銀の腕輪をエマニエルに返して別れを告げたが、エマニエルは強引にジープに乗り込む。 この後のシーンは美しい夕日を浴びてトロットで進む騎乗の二人。(BGMはピエール・バシュレのエマニエルのテーマ) 途中の川で二人は全裸の遊泳を楽しむがエマニエルが期待したお楽しみは時間がないとビーに拒絶される。 エマニエルの白いドレスはこの先不向きとばかりに歩きやすいようにとビーはナイフでジーンズをワイルドに切り裂く。 二人は建設現場に到着しエマニエルは楽しそうに作業に参加し、宿舎ではようやくビーがエマニエルの愛を受け入れた。
☆ちなみにMarika Green(マリカ・グリーン)はRobert Bresson(ロベール・ブレッソン)が監督した1960年の「Pickpocket(スリ)」で刑務所入りした主人公の恋人役で出演しています。

一方バンコックでは互いに干渉し合わない夫婦だったが妻エマニエルの不在が気になっている夫がいた。 ある晩に夫が入った如何わしいクラブでは舞台で全裸の踊り子が有り得ないショーを展開。 その後、夫はアリアンヌ夫人を夜間訪問した。 白いイヴニングドレスの裾をたくし上げてエマニエルの夫を挑発するマリアンヌ夫人。 その夫が家に戻るとベランダに裸でうずくまって泣いているエマニエルがいた。

再びマリアンヌ夫人とスカッシュに出かけたエマニエルだが今回はロッカールームでのマリアンヌ夫人の誘惑を拒絶した。 面白いことに、着替えのシーンでテニス用の短いスカートをマリアンヌ夫人は普通に足から履いたがエマニエルは頭からかぶった。
この後のシーンでエリマキトカゲのようなプリーツ襟が着いたお出かけ用の花柄ドレスに髪には赤い花を挿したエマニエルが一番奇麗。 当時劇場で観た私が思うに1974年のオリジナル

エマニエルが先に受け取ったマリオからの手紙はその気がないからとビーと小舟に乗った時破り捨てたのだが結局逢うことに。 伝統的なタイ舞踊を演じている高級クラブでマリオとデート。 ここからマリオの哲学的性講座のフルコースが始まる。 二人が馬車で阿片窟へ向かう夜道でマリオは御者を呼び寄せるとエマニエルに脚を開かせた。(だけ) 阿片窟では躊躇するエマニエルを中に押し込むと阿片を吸わせ、意識朦朧としている二人の若者に襲わせた。 それを楽しむかのように見ているマリオ。(達観しているのか、役立たずなのか) この過激な指南の後、エマニエルは怒るでもなくマリオと小舟に乗って川を行く。 次の行き先は賭場。 若者たちが俄然騒ぎ出す。 なぜならマリオが選んだ若者によるタイの国技のムエタイが開始されるがその勝者には褒美としてエマニエルを呈するというもの。 頭にモンコン(ヘッドバンド)を付けて戦うムエタイでは試合開始前の儀式的なワイクルー・ラムムアイが音楽とあいまってエキゾチック。 相手をノックアウトした若者が四つん這いになったエマニエルの後ろから攻める。 絶頂感から気絶するエマニエル。
☆ちなみにムエタイを取り入れたキックボクシングは日本で60年代にブームとなりテレビでもよく放映されていたが次第に下火となり、後の90年代にはK-1が登場して今日に至っている。

「文明人の性は複数セックスであるべし、さすれば真の喜悦を得られよう」というマリオの手解きで開眼したかエマニエル。 エマニエルのシグネチャーとなった大きな籐椅子に腰掛けると化粧直しを始める。 いや、直しじゃなくてヘビーメイク。 これまでのエマニエルとは違った顔に、ダチョウの羽のストールを首に巻き付けたところで静止映像。(生まれ変わったようなエマニエルは下記のエマニエル夫人のサウンドトラック画像に使用されている)
エンディングロールのBGMはピエール・バシュレのエマニエルのテーマ。
映画「Emmanuelle(エマニエル夫人)」の写真が見られるEmmanuelle Photos – FILM.TV.IT

「Emmanuelle 2(The Joys of a Woman)」の写真もEmmanuelle l’antivergine Photos – FILM.TV.IT
Emmanuelle 1 – Opening & closing theme by Pierre Bachelet – YouTube

Emmanuelle Arsan
1974年の「Emmanuelle(エマニエル夫人)」バンコック編と1975年の「Emmanuelle 2(続エマニエル夫人)」香港編の原作はタイのバンコック生まれのフランス女流作家だというエマニュエル・アルサンが1967年に発表した小説「Emmanuelle: The Joys of a Woman」です。 エマニュエル・アルサン自身がフランスの外交官と結婚し、1968年のロバート・ワイズ監督の「The Sand Pebbles(砲艦サンパブロ)」に出演もした経歴の持ち主です。 東南アジアのタイ出身の作者ですが外交官夫人だったせいかタイ人をもしくは下層階級を蔑視しているみたいです。 エマニュエル・アルサンの小説のキャラクターの”エマニエル”が登場したのは、1969年のCesare Canevari(チェザーレ・カネヴァリ)が監督したエマニュエル・アルサンが書いたメロドラマ「Io, Emmanuelle(:A Man for Emmanuelle/アマン・フォー・エマニュエル)」で熟れ熟れのイタリア女優のErika Blanc(エリカ・ブラン)が主演したヒロインが最初だそうです。 1969年に「Così dolce… così perversa(甘く危険な女)」でCarroll Baker(キャロル・ベイカー)と共演したエリカ・ブランはセクシーというより強い女性といった感じです。 その後は宇宙のエマニエルやら、リオやアフリカのエマニエル、果ては地獄のエマニエルまでと次々製作されて女性版カサノヴァのような「エマニエル」が人気映画となった次第です。

Start of the Emmanuelle Phenomenon
バンコクに赴任していた外交官の夫に逢いに行ったエマニエル夫人が、トロピカルな異国で開放的な恋の遍歴を重ねていきます。 その指南役としてイタリアのプレイボーイでエマニエルに恋の哲学を伝授するMario役は1960年の「La dolce vita(甘い生活)」で拳銃自殺を遂げた作家を演じたAlain Cuny(アラン・キュニー)です。 エキゾチックな音楽をバックに愛の哲学を語るくだりはまるでビバップ時代のCharlie Parker(チャーリー・パーカー)の演奏で詩を読んだJack Kerouac(ジャック・ケルアック)のようです。 アラン・キュニーは1956年の映画「Notre Dame de Paris(ノートルダムのせむし男)」でジーナ・ロロブリジーダが演じるシプシー女に惚れてしまい、醜い背むしの鐘付き男(カジモド)に誘拐を命じた聖職者の役を演じています。
美しく清楚な若妻から恋の達人へと変貌を遂げていく「エマニエル夫人」は本国のフランスはもちろんのこと、日本でも大ヒットを記録しました。 日本では1960年代から「日活ロマンポルノ」の類は上映されていたようですが、女性がポルノを観に映画館に行くことはまずありませんでした。 ところが、エマニエル夫人を演じたシルヴィア・クリステルが可愛くて映像が美しいことから”エマニエル夫人現象”が起こり女性の観客が押し寄せたそうです。 とはいうものの米国では公開当時の1974年には「X-レイト」とされ、同年後期になって殆どのポルノ的シーンをカットした「R-レイト」版が公開されたそうなので、恐らく私が当時映画館で観たフィルムも大分カットされていたのでしょう。 その後1977年には”成人向けバージョン”が公開されたということでした。 シルヴィア・クリステルは「エマニエル夫人」の後に外交官夫人から娼婦に転じてWalerian Borowczyk(ヴァレリアン・ボロヴツィク)が監督した1976年の「La Marge(夜明けのマルジュ)」に出演しています。 ロココとゴシックを混ぜたような不気味で邪淫なエロスを革命的な映像で表現するポーランド出身のヴァレリアン・ボロヴツィクは初期にはシュールなアニメーションを手掛けているからかシリアスと思われる場面でこりゃ何だ!?となることもある。

Just Jaeckin
ジュスト・ジャカン監督はエマニエル夫人を監督した翌年の1975年にPauline Réage(ポーリーヌ・レアージュ実はDominique Auryドミニック・オーリ)が書いたレイプ、監禁、SM、ボンデージ、焼印という過激なサドマゾな原作をCorinne Cléry(コリンヌ・クレリー)を主役にして映画化したHistoire d’O(O嬢の物語)もソフトに仕上げていますが、ジャカン監督の好みなのかコリンヌ・クレリーの表情や仕草がシルヴィア・クリステルにそっくりです。(ラストのO嬢の梟の仮面と烙印の逆襲が印象的) コリンヌ・クレリーの代表作と言われる1977年の過激な「Autostop rosso sangue (ヒッチハイク)」(ASIN: B00N7B526Q)には夫役でフランコ・ネロ、全裸のクレリーに撃たれて死亡する犯人役で1972年の「The Last House on the Left(鮮血の美学)」のデヴィッド・ヘスが怪演。 同様に映画の公開当時は大胆なヘア描写が話題になりましたが、1979年のボンド映画「Moonraker(007/ムーンレイカー)」ではボンドを手助けをする秘密兵器研究所の秘書役でさほどお色気シーンはありません。 ちなみに「O嬢の物語」の美しい音楽は「エマニエル夫人」同様にPierre Bachelet(ピエール・バシュレ)が担当していますが、イタリアのテナーサックス奏者であるGil Ventura(ジル・ヴェンチュラ又はギル・ヴァンチュラ)のセクシーなトランペット演奏も忘れがたい。
Gil Ventura – Histoire d’O – YouTube
そしてジュスト・ジャカン監督は1976年(1977年)にはMaurice Ronet(モーリス・ロネ)も出演した高級娼婦とゆすりの実話を映画化した「Madame Claude(マダム・クロード)」を監督しましたが、こちらの音楽はデカダンスとエロティシズムがお得意のSerge Gainsbourg(セルジュ・ゲンズブール)で妻のバーキンが歌う”Yesterday Yes a Day(哀しみの影)”など15曲収録した国内盤オリジナル・サウンドトラック「マダム・クロード」(ASIN: B000NDFL1C)」がありますが現在は入手困難となりました。(ちなみに実在のマダム・クロードことFernande Grudetは2015年に亡くなりました) 2021年に邦題が「夜の伝説 マダム・クロード」としてさらに過激(R15+)にリメイクされています。
オリジナルの”哀しみの影”をはじめ”欲望と快楽を満たすテクニック”や”倒錯の歓び”など意味シンなタイトルの1977年の「マダム・クロード」のオリジナル・サントラです。
♪ 試聴はSerge Gainsbourg – Madame Claude [Original Motion Picture Soundtrack] – Mora.jp
映画「マダム・クロード」でのエピソードの中でマダム・クロードのもとで高級娼婦願望を抱く女歯科医の夢想の列車内のレイプ(バック)シーンは後に1987年の「L’Attrazione(レディ・ドール2)」の冒頭でそっくりに取り入れられています。
Serge Gainsbourg – Discophoteque (Madame Claude) – YouTube
Madame Claude -Le rêve délirant de la dentiste (obscénité) – YouTube

Pierre Bachelet – Histoire d’O – YouTube
1955年にマルク・アレグレが監督したD.H. Lawrence(D・H・ロレンス)原作の”L’Amant de lady Chatterley”をジュスト・ジャカンは1982年にシルヴィア・クリステル主演で「Lady Chatterley’s Lover(チャタレイ夫人の恋人)」としてリメイクしています。

シルヴィア・クリステルの「チャタレイ夫人の恋人」の写真はL’amante di Lady Chatterley – FILM.TV.IT
フェチ本の元祖といわれるJohn Willie(ジョン・ウィリー)が描いたフレンチ・ボンデージ・コミックの「Adventures of Sweet Gwendoline(グウェンドリンの冒険)」をもとにして評判はイマイチという「Gwendoline」又は「The Perils of Gwendoline in the Land of the Yik-Yak(ゴールド・パピヨン)」というポルノ(コメディ)映画をジュスト・ジャカンは1984年に監督していますが、これまた音楽がピエール・バシュレです。 金羊毛ならぬ黄金の蝶を追い求めるという笑えるエロティック・アクション映画で、「L’eau A La Bouche(唇によだれ)」のBernadette Lafont(ベルナデット・ラフォン)が邪悪な女王さまを演じ、ハンサムなBrent Huff(ブレント・ハフ)が悪者に捕われたヒロインを助ける船乗り役でメジャーデビューしています。 マッチョなブレント・ハフの出演作品は惜しくも全て日本未公開でしたが後に脚本や監督も手掛けるようになりました。
The Perils of Gwendoline in the Land of the Yik-Yak – YouTube

Sylvia Kristel (1952 – 2012)
4ヶ国語を話せるというシルヴィア・クリステルはオランダ出身のドイツ女優ということらしいですが、ブロンド・グラマーのJayne Mansfield(ジェーン・マンスフィールド)、ボンドガールのJill St. John(ジル・セント・ジョン)、「氷の微笑」で脚を組み替えたSharon Stone(シャロン・ストーン)、歌手のJessica Simpson(ジェシカ・シンプソン)並みにIQが160余もあるのだとか。 17歳からモデルをしていたという小顔で手脚の長いシルヴィア・クリステルは大学中退後、20歳でミス・テレビ・ヨーロッパ・コンテストで優勝して映画界に入りました。 1974年、アムステルダムにCM撮影にやってきたカメラマンのジュスト・ジャカンに見出され21歳で「エマニエル夫人」に出演することになったそうで、世界中で大ヒットしたこの映画で一躍有名になり当時はそれは驚異的な人気者でした。 22歳で演じた「エマニエル夫人」では可愛いかったシルヴィア・クリステルも30歳近くになって熟女を演じ16歳の少年の初体験をお手伝いした1981年の「Private Lessons(プライベイトレッスン)」は「エマニエル夫人」から7年経過したとはいえ驚愕の変貌ぶりを見せました。 なにゆえBrigitte Bardot(ブリジット・バルドー)などヨーロッパの女優陣のなかにはデビューして10年もしないうちに体型がこうも変わってしまうのかと不思議に思います。(バルドーもシルヴィア・クリステルも胸が垂れるほど太めに) 「プライベイトレッスン」を観た時にシルヴィア・クリステルはもう終わったかと思いました。(美しかったピンクの乳首が授乳3人目みたいに) この後も「チャタレイ夫人の恋人」や「魔性の女スパイ 」や「エマニエル」シリーズなどの他にソフト・ポルノ映画をに出演していましたが、とうとうエマニエルのイメージのまま銀幕から消えてしまいました。 2010年の映画祭でのインタビューではシルヴィア・クリステルは元気に見えましたが、2012年の10月に咽頭ガンの闘病生活の後に脳卒中により60歳で亡くなりました。 とはいえ1970年代のセクシーなイコンは永遠です。

Emmanuelle (1974) DVD
エマニエル夫人 [DVD]
こちらは2012年に発売になった「エマニエル夫人」の廉価版日本語字幕DVDです。

下記の画像は2001年に発売された「エマニエル夫人」(無修正版)の単品DVDですが、現在は入手困難になっているのでリンクは2009年に発売されたDVDになっています。(DVDのタイトルにある数字の1800は定価を示しています)
2010年9月発売の廉価版ブルーレイ&DVDセットはなぜが現在はアダルト商品に分類されてしまい「年齢確認」が求められます。
ヘアに関して規制が厳しくなった? 私見ではあのヘアってウィッグじゃないか?映画館で観たのがカットされまくりバージョンだったのか?確認してみたいが…)
エマニエル夫人 無修正版 【ブルーレイ&DVDセット 2500円】 [Blu-ray] 要・年齢確認
Emmanuelle
Shauna O’Brien(ショーナ・オブライエン)が出演した「Emmanuelle 2000: Being Emmanuelle(エマニエル夫人/密かなる妄想の日)」や「 Emmanuelle 2000: Emmanuelle’s Intimate Ercounters(エマニエル夫人/異常なる愛の快楽)」など一連の2000年エマニエルシリーズほどアダルトコンテンツではありません。
2007年リリースの最新版DVD(原語)「エマニエル夫人」や、シルヴィア・クリステル主演のエマニエル夫人、続エマニエル夫人(Emmanuelle 2)、1977年のさようならエマニエル夫人(Good-bye, Emmanuelle、Emmanuelle 3)をセットにした「エマニエル3部作セット」(ASIN: B00005HUNE)などもあります。

Goodbye Emmanuelle (Emmanuelle 3)
1977年には、シルヴィア・クリステル出演の「エマニエル」の最終編のハズだったFrançois Leterrier(フランソワ・ルテリエ)監督の「Good-bye, Emmanuelle(さよならエマニエル夫人)」があります。 1968年のAdieu L’Ami(さらば友よ)に出演した上海生まれの国際的美人女優のOlga Georges-Picot(オルガ・ジョルジュ=ピコ)等も出演しましたが、この「さよならエマニエル夫人」でエマニエルとレズを演じたフロレンス役のオルガ・ジョルジュ・ピコはうつ病にかかり1997年にセーヌ河を見下ろすアパートから飛び降り自殺したそうです。
「Au Revoir Emmanuelle(さよならエマニエル夫人)」の音楽はSerge Gainsbourg(セルジュ・ゲンズブール)でしたが、エマニエルとフロレンスがセイシェルの田舎を散策する乗馬シーンではピエール・バシュレのオリジナルのエマニエル・テーマ曲が流れました。 CDはSerge Gainsbourg 「Classe X」(ASIN: B00000B9FD)
Serge Gainsbourg – Good-bye, Emmanuelle – YouTube
シルヴィア・クリステルは「さよならエマニエル夫人」に出演した他、有名な映画としてはRoger Vadim(ロジェ・ヴァディム)監督が自作の「Les Liaisons Dangereuses(危険な関係)」と同じ題材で1976年に監督したオリジナルよりもっとエロティックな「Une Femme Fidèle(華麗な関係)」に出演しシルヴィアはシャルルが恋をする美しいマチルド役でした。
Une Femme Fidèle (1976) – YouTube
「Emmanuelle 3(さよならエマニエル夫人)」のDVDは見つかりますがサントラはなかなか見つかりません。 セルジュ・ゲンズブールのGood Bye Emmanuelle(Good-bye, Emmanuelle)は11枚組CDボックスアルバムの「De Gainsbourg à Gainsbarre」(ASIN: B0000286CY)や「Classe X」(ASIN: B00000B9FD)などに収録されています。 シルヴィア・クリステルはこの後の1979年にLalo Schifrin(ラロ・シフリン)が音楽を担当したアメリカの空中活劇映画の「The Concorde … Airport ’79(エアポート’80)」でアラン・ドロンが演じる敏腕機長の元恋人のスチュアーデスとしてちょっと出演していますが、「Dyn-O-Mite!」で有名なコメディアンのJimmie Walker(ジミー・ウォーカー)がマリファナを吸ってサックスを演奏する乗客として登場します。
♪ ”Je T’Aime…Moi Non Plus”ほどセクシーではない”Good Bye Emmanuelle”の試聴はDe Gainsbourg à gainsbarre – Classé X – Allformusic.fr

Alice ou la derniere fugue
シルヴィア・クリステルが出演した特筆すべき有名監督のその他の作品としては監督脚本共にClaude Chabrol(クロード・シャブロル)が手がけた1977年のファンタジーともホラーともいえないシュールレアリスムな「Alice ou la dernière fugue(又はAlice or the Last Escapade)」がありますが映画のデータベースでもなかなか見つからない幻のシャブロル映画です。(原題は「アリスもしくは最後の遁走」という意味で、ネタバレ好きの私ですがさすがに驚く結末は割愛せざるを得ません) Lewis Carroll(ルイス・キャロル)の「Alice in Wonderland(不思議の国のアリス)」にヒントを得た映画といえば同世代のLouis Malle(ルイ・マル)が1975 年に「Black Moon(ブラック・ムーン)」を監督しましたが、シャブロルもやってみようとしたのだろうか、ルイマルの暗くて残虐的な映像に比べて、Jean Rabier(ジャン・ラビエ)撮影の森の映像がメルヘンチックで美しい。 このどこかで観たような(Oh, Déjà vu…)仏映画「アリス」でシルヴィア・クリステルは主役の世にも不思議な悪夢の世界に迷い込んだAlice Carol(アリス・キャロル)を演じています。(シルヴィア・クリステルが着用する絹製のドレスが実に上品で美しい) 若妻のアリスは刺激のない夫に突然別れを告げて豪雨のなか車を車を走らせているとフロントグラスが割れてしまい助けを求めて開かれた門を見つけて執事と老人の住む屋敷を訪ねることとなる。 歓待されて一夜を過ごすことになり通された部屋の時計の振り子が止まっていることに気づくが執事はここでは時間は気にしないと言う。 朝にフロントグラスは直っていたのでもと来た一本道を戻ったところが入ってきた門が見つからず迷ってしまう。 アリスは仕方なく元の屋敷に戻って風呂に入るがこのシーンでのみ、エマニエル夫人で名を馳せたシルヴィア・クリステルのフルヌードをサービスしてます。(ただ立ってるだけ) あくる日、車の鍵を手に持ったアリスは時計の振り子を動くのを待って屋敷を出ようとした目に見えぬ力に引きずり戻される。 必死に抵抗してようやくあの門を突破、とある館(レストラン?)に着いてOmelette aux Fines Herbes(フィーヌゼルブのオムレツ)を注文したが食べ損なったほどの狂乱パーティに驚いていると老人の屋敷でも会った鳥籠の少年が窓を叩いた。 又もや土砂降りの中を運転していると再びフロントガラスが割れて気がつくとまた老人の屋敷だった。 老人は何のためにここにいるのかを知るべきだと夕食に招く。 夕食はアリスがあのレストランで食べ損なったフィーヌゼルブ((微塵切りパセリ、チャイブ、タラゴン、タイムなどの香草)のオムレツ。 老人の話では「ここから出て行かれないのは貴女が推測したように定めだから。 あの小さな木の扉が貴女の冒険のアルファでありオメガなのだ から受け入れなくてはならない。」 アリスは「地獄に堕ちるということ?」と訪ねると「もちろん、貴女には選択の余地はないのだから恐れることもない。」(哲学的、実存的、シュルレアリスム) 「明日の朝、朝日で目覚める時、あの小さな扉は開かれこの悪夢が終わるのだ。 さあ、全てを知ったのだからもうお寝み。 お別れだ。」 時計の振り子が時を刻んでいる翌朝、朝日で目を覚ましたアリスはあの扉の中へと消えていった。(辺獄か) そして、この後、衝撃のラストシーンでエンディング・クレジット。 私が観た限りではフロンタル・ヌードがワンシーンあるだけでエロもセックスも無関係、ラブシーンなどは一切ないので成人指定映画でもありません。 DVDはフランス語版で英語字幕の「Alice Or The Last Escapade」(ASIN: B07JK2C8YX)
私が好きなクロード・シャブロル監督は1959年の「À Double Tour(二重の鍵)」 の監督及び脚本や1959年の「勝手にしやがれの監修などとJean Paul Belmondo(ジャン・ポール・ベルモンド)関連の映画に関わり、1960年の「Saint-Tropez Blues(赤と青のブルース)」の脚本も担当しました。 当時はまだシャブロル夫人だったStephane Audran(ステファーヌ・オードラン)がヒロインの母親として出演したシャブロル監督の映画といえば実際1933年に実際に起きた18歳の少女による殺人事件を映画化した1978年の「Violette Nozière(ヴィオレット・ノジエール)」があります。 Isabelle Huppert(イザベル・ユペール)が父親からの虐待や売春による自身の梅毒を若い愛人に露見しないようにと両親を毒殺を企てて死刑を宣告された娘を演じてカンヌ映画祭で女優賞を獲得しています。 ちなみに毒を盛るといえばフランソワ・モーリアックの小説をGeorges Franju(ジョルジュ・フランジュ)監督が映画化した1962年の「Thérèse Desqueyroux(テレーズ・デスケルウ)」があります。 クロード・シャブロルといえば最近では「Le Hussard Sur le Toit(プロヴァンスの恋)」のOlivier Martinez(オリビエ・マルティネス)が出演した2002年のアメリカ映画「Unfaithful(運命の女)」の原案者として知られています。

さて、シルヴィア・クリステルはこの後劇場未公開でしたがCurtis Harrington(カーティス・ハリントン)が監督した1985年のアメリカ映画「Mata Hari(魔性の女スパイ)」に女スパイのマタハリ役で出演した後、1987年には「Dr. Kildare(ドクター・キルデア)」のRichard Chamberlain(リチャード・チェンバレン)が主演したTVドラマの「Casanova(カサノバ)」にマッダレーナ役でFaye Dunaway(フェイ・ダナウェイ)やOrnella Muti(オルネラ・ムーティ)などと共演しました。

「エマニエル」はその後、続々と第七作までシリーズが作られたヒット作品ですが、スウェーデン女優のMia Nygren(ミア・ニグレン)が整形後の若返ったエマニエルを演じた1984年の「Emmanuelle 4(エマニュエル)」でシルビアクリステルの出演は終っていると思ったら、クリステルが40歳の1991年にFrancis Leroi(フランシス・ルロワ)監督で初老のGeorge Lazenby(ジョージ・レーゼンビー)が機上の聞き役として出演した日本未公開のかなりハードなテレビドラマシリーズの1991年の「Emmanuelle(エマニュエル・ザ・ハード又はエマニュエル~媚薬の香り)」や1993年の「Le Secret d’Emmanuelle(エマニュエル 愛欲のチベット)」や「Emmanuelle VII, Digital Paradise(エマニエル パリの熱い夜)」などでカムバック出演していました。 そう言えば1988年には「Emmanuelle 6(エマニエル カリブの熱い夜)」なんていうのもあったとか。 ちなみにオーストラリア出身のジョージ・レーゼンビーは007映画制作者等にスカウトされて1969年の「On Her Majesty’s Secret Service(女王陛下の007)」でジェームス・ボンドを演じましたが華が無さすぎてこれっきり。(作品自体は傑作)
Mia Nygren – Emmanuelle 4 ( Emmanuelle IV ) Trailer – YouTube
TVドラマの「Magique Emmanuelle(Emmanuelle’s Magic)」にシルビアクリステルと共に出演したMarcela Walerstein(マルセラ・ワレンシュテイン)が若がえったエマニエル夫人を演じ、ピエール・バシュレの音楽を使用しています。
「女王陛下の007」にルックスでジェームス・ボンドとして大抜擢されたジョージ・レーゼンビーが主演したからか(?)大人気の「エマニュエル・ザ・ハード DVD-BOX」があり、「エマニュエル ザ・ハード(5本」)VHSビデオ版はAmazon.co.jpのアダルト部門にあります。「警告 このストアは、アダルト商品および18歳未満の方には不適切な表現内容が含まれる商品を取り扱っています。 18歳未満の方のアクセスは固くお断りします。 あなたは18歳以上ですか?」と表示される場合は「はい」か「いいえ」をクリックして下さい。 とはいえ、Anthony Quinn(アンソニー・クイン)が主演してFederico Fellini(フェデリコ・フェリーニ)が監督した名作「道」の輸入版VHSビデオやDennis Quaid(デニス・クウェイド)が主演した「The Big Easy(ビッグ・イージー)」の [DVD] [Import] (1987)(ASIN: B00005MFOJ)なども「アダルト商品につき18歳未満の方は購入できません。」と表示されこの分野に入れられてしまっているのでいったいどこで振り分けているのか疑問です。 なんたってあの「カリギュラ」の コンプリートBOX〈ヘア解禁版〉がアダルトでないなんて!どゆわけ?

歴代エマニエルには「エマニエル夫人」のシルビア・クリステル、1975年のシルビア・クリステルの「Emmanuelle l’antivierge(続エマニエル夫人)」と1975年のその続編「Emmanuelle Nera(愛のエマニエル)」に出演して”イタリアのEmmanuelle(エマニエル)”を名乗ったジャワ島(スラバヤ)生まれのエキゾティックなLaura Gemser(ラウラ・ジェムサー)がいます。 舞台をアジアからアフリカに設定した「愛のエマニエル」は別名を「Black Emanuelle」とか「Black Emanuelle in Africa」というそうです。(Black Emanuelle – Vol 2もあり) 同じくジェムサーが主演した1977年の「Emanuelle and the Last Cannibals(猟奇変態地獄)」での原住民による胴体真っ二つ切りなどとても「エマニエル夫人」ではないエログロナンセンス的な内容で、「ジキルとハイド」の名優ジャック・パランスが蛇を我が子のように偏愛する富豪プレイボーイを演じた1976年の「Black Cobra Woman(ラスト・エマニュエル/異国の情事)」は2015年にヘア無修正版(ASIN: B0111AA2AK)がリリースされています。(蛇好きなパランスには大蛇を裸体に巻きつけて踊るジェムサーは垂涎、ヘアの露出度より蛇たちへの生鼠の餌やりがショック)
上記の他にもクリスタ・アレンが主演した1994年の「Emmanuelle In Space(エマニエルX レッスン 1)」シリーズ(TV版Emmanuelle)やエマニエルには無関係ですが2001年の「Totally Blond(ハッピーブロンド)」などに主演しています。 Suzanne Danielle(スーザン・ダニエル)主演の1978年の「Carry On Emmannuelle」(ASIN: B000051WC1)は「エマニエル夫人」のパロディだそうです。

「Emmanuelle Nera(愛のエマニエル)」の単品DVDは今のところどこにも見つかりませんが、好評の「愛のエマニエル」のサウンドトラック「Black Emanuelle’s Groove 」はNico Fidenco(ニコ・フィデンコ)の音楽です。(1976年版DVDはBlack Emanuelle’s Box: ASIN: B000MQ55X4はアメリカで発売)
「Black Emanuelle’s Groove – O.S.T. (ASIN: B00002794T)
試聴はBlack Emanuelle’s Groove Soundtrack – AllMusic.com

1974年のオリジナルではショートヘアだったシルヴィア・クリステルがFarrah Fawcett-Majors(ファラ・フォーセット=メジャー)風のヘアスタイルで夫を訪ねて香港に航海した「Emmanuelle: The Joys of a Woman(続エマニエル夫人)」の音楽は「Un homme et une femme(男と女)」のFrancis Lai(フランシス・レイ)が担当し、シルヴィア・クリステルがセクシーにテーマ曲の”L’amour d’aimer”を歌っています。 日本では1970年の「ある愛の詩」のテーマが知られているニース出身の音楽家のフランシス・レイは「男と女」を手始めにクロード・ルルーシュ監督と組んで「続エマニエル夫人」など多くの映画音楽を作曲していましたが惜しくも2018年に亡くなりました。 「続・エマニエル夫人 サントラ」(Emmanuelle 2)として全9曲を収録さたサントラCDの日本国内盤が販売されています。
♪ 試聴は類似したアルバム Emmanuelle II: L’anti Vierge (Soundtrack) – Juno.co.uk
Emmanuelle 2 – Opening & closing theme by Francis Lai with Sylvia Kristel – YouTube
”L’amour d’aimer c’est de s’aimer d’amour…”と歌われる”L’Amour D’Aimer”の歌詞はL’Amour D’Aimer Lyrics – Frmusique.ru
イタリアで発売されたサウンドトラックで世界中でヴィンテージものとなり日本でも発売された「Emmanuelle II L’Anti Vierge(続エマニエル夫人)」のセクシーなLP画像はEmmanuelle II (1975 Japanese Seven Seas label ) soundtrack LP – Eil.Community

Pierre Bachelet
「エマニエル夫人」の映画音楽を担当した作曲家であり歌手でもあるピエール・バシュレはCalais(カレ)北部で育ち映画学校に行くためにパリに移り、映画監督を目指してドキュメンタリーやCMを手掛けているうちに映画音楽に関わるようになったそうです。 映画「エマニエル」の音楽を担当しテーマ曲を作曲して結局自分自身で歌うことになりましたが、ピエール・バシュレの甘い歌声のロマンチックな曲はミリオンセラー(400万枚余)となったそうです。
”Mélodie d’amour chantait le cœur d’Emmanuelle…”と歌われるフランス語の「エマニエル夫人のテーマ」の歌詞はEmmanuelle – Paroles.net
美しい恋の唄”Elle est d’ailleurs”などのヒットがあり、国民的歌手となったピエール・バシュレが北フランスの炭坑労働者の心を謳った”Les corons(坑夫たち)”は1988年の「20世紀のシャンソン・フランセーズの最も美しい100曲」中の第4位に選ばれたそうです。 2003年にリリースしたJacques Brel(ジャック・ブレル)へのオマージュ・アルバム「Tu ne nous quittes pas(君が行ってしまうなんてことはない)」が遺作となり、闘病の末、2005年2月に亡くなりました。
Pierre Bachelet – Emmanuelle – YouTube
Jacques Brel (1929ー1978)
ジャック・ブレルは偉大なるベルギー出身のシャンソン歌手でブレル自身がカメオ出演した1975年のミュージカル映画「Jacques Brel Is Alive and Well and Living in Paris」(ASIN: B0000TPADS)というDVDがあります。

Emmanuelle Soundtrack
エマニエル夫人 サントラCD
1974年のサウンドトラックはCD化された国内盤で日本語の曲名が記されている「エマニエル夫人」1990年(ASIN: B00004VOL2)や2007年(ASIN: B000LZ53K6)などが販売され、カバー画像は共にエマニエル椅子に座ったトップレスのエマニエルで、ピエール・バシュレのテーマ曲他、全19曲が収録されていますが現在は入手困難です。
☆ これらの他にも同じジャケット画像の限定盤「エマニエル夫人 」(ASIN: B00JBJWHK2)が2014年に販売されています。
♪ 試聴はEmmanuelle – Muziekweb.nl
Emmanuelle [SOUNDTRACK]Emmanuelle (SOUNDTRACK) (ASIN: B00008EWIU)


1991年に二見書房から発売のフランス語の原書を日本語に翻訳した女流作家エマニエル・アルサンの小説(訳者不明)
Emmanuelle by Emmanuelle Arsanエマニエル夫人 (1977年) 邦訳 (ASIN: B000J7APHM)
他に文庫本(ISBN-10: 4576061313)や単行本(ISBN-10: 4576910892)などがあります。
ヒロインのエマニエルがロンドンからバンコックへ向かう飛行機の中から始まる小説の中身が
ちょっと立ち読み出来ます。 この書籍の画像は仏語の原書をLowell Bairが翻訳した英語版のEmmanuelle (English Edition)


Emmanuelle 4
「エマニエル夫人」といえば薄物をまとい脚を組んで東南アジア産の藤の椅子に座ったポスターが有名ですが、元報道カメラマンで「続エマニエル夫人」を監督し、1994年の「エマニュエル」を製作したFrancis Giacobetti(フランシス・ジャコベッティ)が撮影した「Emmanuelle 4」のイスが魅力的です。
美容整形で若返ったエマニュエル夫人がさらなる愛の遍歴を重ねる1984年の「Emmanuelle4(エマニュエル / LOVE! シネマ2500)」シリーズはMia Nygren(ミア・ニグレン)がエマニエルを演じ、現在オリジナルの「エマニエル夫人」より人気度が高いそうです。 監督は1991年のシルヴィア・クリステルが主演したTV版「Emmanuelle(エマニュエル・ザ・ハード)」と1993年の劇場未公開「Emmanuelle IV(エマニエル パリの熱い夜)」のFrancis Leroi(フランシス・ルロワ)です。
熟れ過ぎたエマニエルが整形美容で蘇る! 2005年発売のミア・ニグレンとシルヴィア・クリステルの「Emmanuelle 4」DVD (解禁と表示してありますが無修正かは不明)
Emmanuelle 4エマニュエル(ヘア解禁版) (ASIN: B0009J8K8G)
エマニエル夫人が流行った当時はエキゾチックな籐の椅子が人気で、70年代ソウル界のセックスシンボルといわれたファルセット歌手のAl Green(アル・グリーン)もアルバム「I’m Still in Love With You」(ASIN: B07D1B3R7B)でレコード・ジャケットにこんな椅子を使用しています。
♪ カバー画像が見られる試聴はAl Green – I’m Still in Love With You – Musicjapanet.com

エマニエルの栄光が去ると才女のシルヴィア・クリステルは結婚生活の不幸や闘病生活で苦しみましたが、表紙画像がエマニエル椅子で本の題名も「Nue(裸)」(ISBN-10: 2749107768)という自伝(英語ペーパーバック)を2007年に出版するそうです。

エマニエル夫人 Emmanuelle (1974)」への8件のフィードバック

  1. こんにちは~。
    TBありがとうございました。
    『エマニエル夫人』に関する詳細な情報が満載ですね。
    僕もこの映画のテーマソングが大好きです。
    フランス人の友達の前で歌うといつも笑われますが…。
    ただ一つ残念なのは、この映画の内容についてのkoukinobaabaさんの個人的な感想が書かれていないこと。
    際どい話であり、コメントも難しいかと思いますが、他の方がどのようにこの映画をご覧になっているのかが気になるのです。
    というわけで、もしも気が向いたら、という条件付で期待していますね~。

  2. koukinobaaba より:

    エセスタンダリアンさん、ご指摘を有難うございます。
    仰せの通り、私の記事には殆ど私見は書かれていません。トリヴィアとして、私が気に入ったり、気になったりする事柄を集めた情報が主で、感想というよりは、「お勧め」だったり「ご忠告」だったりしています。
    ですが、ご所望とあらば、ちょっと述べてみましょう。
    1974年の「エマニエル夫人」は先ず映像と音楽の美しさは文句なしです。が、内容はありませんから感動も出来ません。ポルノ好きには物足りず、ラブシーン嫌いにはお気の毒という他はありません。でも映画史上、エマニエルシリーズのうち、1974年の「エマニエル夫人」だけは観ておいても損はないでしょう。 ネ?

  3. はい、これ公開当時東京みゆき座で見ました。高校生だったのに、よく行けたな~女友達と一緒でしたが、館内は女性で満員。
    今見れば、たぶんさほど刺激的ではないのですが、女性が堂々鑑賞できるポルノの第一作目ってことでは価値ある作品かも。
    シルビアさんは結局美人なのか、さほどでもないのか判明しませんでした。つまり化粧栄えのするタイプなんですよね。
    スタイルは素晴らしくキレイでした~~

  4. koukinobaaba より:

    anupamさんもご覧になったのですね!
    私も女友達と観に行きました。 当時はかえって男性の方が入り辛かったかも。
    あはは
    確かにシルヴィア・クリステルはモデル出身だけあって素晴らしいスタイルですが、顔がよく思い出せないのです。(顔の方は見てなかったのか・・・)

  5. はじめまして、晴雨堂です。映画ブログを書いています。恐れながらTBいたします。
    大変参考になる記事でした。いろいろご存知ですね。
    劇場公開時、私はまだ小学校4年生でしたので、主演のシルビア・クリステルは妖艶な大人の女性というイメージで捉えていましたが、大人になってから観ると、可愛い女の子に見えたのが、ちょっとした驚きでした。

  6. 「エマニエル夫人」

    「ソフト・ポルノ」の開祖様
     
     
    【公開年】1974年  【制作国】仏  【時間】91分  【監督】ジュスト・ジャカン   
    【出��…

  7. koukinobaaba より:

    「晴雨堂ミカエル」さん、数少ないトラックバックを受信している記事にようこそ。ブログの機能を果たしませんが、スパムがわずらわしいので現在は殆どの記事で受け付けておりません。シルヴィアが可愛いかったのは最初のエマニエルで、続編では急に成長したように思えました。

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