ゲット スマート Get Smart (2008)

Get Smart [Original Motion Picture Soundtrack]

Steve Carell as Maxwell Smart & Anne Hathaway as Agent 99
Missed it by that much!

ゲット スマート 2008年
Peter Segal(ピーター・シーガル)監督が今は亡き、可笑しな、おかしな元祖”スマート”のDon Adams(ドン・アダムス)に捧げるアクション・コメディ映画です。 日本では2005年の「The 40-Year-Old Virgin(40歳の童貞男)」で広く知られるようになったSteve Carell(スティーヴ・カレル)がAgent 86のMaxwell Smart(マクスウェル・スマート)役で主演する他、「The Devil Wears Prada(プラダを着た悪魔)」のAnne Hathaway(アン・ハサウェイ)が伊達に可愛いだけじゃなくスマートの有能な参謀役の必殺スパイのAgent 99(エージェント”99″)を演じます。 そしてその数字が示すようにアンラッキーなAgent 13(エージェント”13″)を「The Life Aquatic With Steve Zissou(ライフ・アクアティック)」に出演したコメディアンのBill Murray(ビル・マーレイ)、マクスウェル・スマートがタグチームを組みたがっていた勇敢な1.94m巨漢エージェント”23″には2005年の「Be Cool(ビー・クール)」にも出演したサモアの血が流れる元プロレスラーの”ザ・ロック”ことDwayne Johnson(ドウェイン・ジョンソンもしくはドゥエイン・ジョンソン)が演じる。(ロック様はマジ卍の「ジュマンジ」でのファーストキスがキモい)その他、マクスウェル・スマートのチーフには1967年の「Wait Until Dark(暗くなるまで待って)」で不気味で冷酷な麻薬犯罪人を演じた演技派のAlan Arkin(アラン・アーキン)、バイオリンもたしなむ犯罪組織のKAOS(カオス)のボスで世界に脅威をもたらすデッドパンなSiegfried(ジーグフリード)役として2005年の「Elektra(エレクトラ)」にも出演したベテラン英国俳優のTerence Stamp(テレンス・スタンプ)も出演します。(なんたってジーグフリード側にはエージェント”23″よりドデカイ2.2mのインド人のプロレスラーDalip Singh(ダリップ・シン)が演じる手下がいる) そしてなんとなんと!大統領を演じているのが1990年の「Misery(ミザリー)」で狂気の女性ファンにひでえ目にあった人気作家を演じたJames Caan(ジェームズ・カーン)です。 60年代にオリジナルをご覧になっていない方は、よりもっと真面目くさって、もっとドジを連発する「ゲット スマート」でのスティーヴ・カレルが演じるマクスウェル・スマートをお楽しみに!
Missed it by that much! 「あとチョットだったのに!」 これはスマート氏のきめ言葉であって、この映画のことを言ってるのではありません。 He-He
ラスト近くまでは緊迫感に欠ける「ゲット・スマート」ですが、2008年の秋には日本中が笑い転げること、間違い ない!?

ゲット スマートのあらすじ
時間は全て”0700時”で表示される。 40男の優秀な分析菅のマクスウェル・スマート(スティーヴ・カレル)がいくつもの通路を抜けて電話ボックスでシュートして地下16階に降りたコントロール(極秘諜報機関)本部で敵の会話を盗聴した報告をするシーンではエージェント23(ドゥエイン・ジョンソン)も登場。 一方チェチェン共和國では敵であるカオスのボスが核物質(イエロー・ケーキなど)倉庫を爆破したシーンの後はエージェントたちの射撃訓練シーン。 スマートはチーフ(アラン・アーキン)に呼ばれて試験の合格と昇格見送りを告げられる。 傷心のマックス(マクスウェル・スマート)が最愛の恋人(ワンちゃん)に別れを告げている時、ランニングのタイムを計って疾走していたピンクな美女に激突され打診するも振られる。 ところがエージェント38に計画を知られた敵が襲撃され壊滅した本部(内部犯行説あり?)に戻ると先ほどの美女が現れてマックス憧れのエージェント99(整形したての)だと名乗る。 マックスは池のアヒルがスィッチになっている秘密司令部コントロールの偽装入り口から入り、プラスチック・ドーム状の音声バリア(Sound Barrier)を試した会議では先ほど敵と間違えてチーフを襲ったことを告白するも未完成で聞こえなかった。 本部を襲った敵を知るにはロシアにいるボスニア人のクリスティックを探し出せと命じるチーフはマックスをエージェント86と呼ぶ。 ってことは、昇進! エージェント86(マックス)はパートナーとなったエージェント99と一緒にロシアへ飛ぶ飛行機内でモアイ像のような風貌の大男で敵のジーグフリードの手下であるダリップを発見。 ついうっかりマッチの軸で靴底のチューインガムを剥がそうとしたマックスは危険人物として拘束されるが脱出ポイントに差し掛かるとトイレに入り靴底からミニ・ボーガンを取り出して拘束バンドを切ろうと試みるも失敗続きで偶然に開いた足元のシュート口から空中へ。 もしや!と思ったエージェント99がマックスの装具も持ってダイビングしてマックスをゲット。 ところがあの大男ダリップもナイフを手に追ってきてパラシュートを切り裂く。 またもやピンチ!のマックスを残してエージェント99はダリップのパラシュートを切り裂いたのでパラシュートなしの3人が三つ巴で降下する羽目に。 ダリップの股間を蹴り上げるも効果なしなのでエージェント99は急遽キス攻撃に切り替え見事ダリップを落下させる。 一方エージェントから事務職になったエージェント23は不満が高じて同僚の頭にホチキスを打ち込んだところをチーフに見られ返り咲く。

さて、それぞれの知恵やスパイグッズで張り合うマックスとエージェント99はロシアで敵のカオスが常連客というレストランで情報蒐集しているとトイレでチェチェンの核泥棒に出っくわす。 クリスティック捜索のため後を追うシークレット・エージェントの二人は正装してパーテー会場に忍び込みエージェント99はクリスティックの相手をする間マックスは70キロ減量したご婦人とバイヨンの”Anna (El Negro Zumbon) “を踊り賞賛を浴びるのだった。 この後チーフの指示で下水道を通ってクリスティックの館に潜入することに、爆破フロスで床に開いた穴から赤外線レーザーが交差する部屋にトプカピ並みにくぐり抜けるセクシーなエージェント99に倣ってマックスも書斎に入り生体認証システムのコンピューターにハッキング。 情報を得た所に現れたクリスティック一味を二人で見事にやっつけた。 悠々脱走の二人はバイクから赤いフェラーリに乗り換えて核物質などの送り先になっているなんちゃらベーカリーを探しにモスクワへ。 ベーカリーではクリスティックの紹介だと言って隠れ扉から入るとジーグフリードが待っていて偽名を名乗ったマックスを施設内の一番大事な所に案内すると騙したのでマックスは24人のデルタフォースが建物を包囲していると嘯く。(ジョークで有名なBB銃のチャック・ノリスまで引き合いに出した) バレたことを装着した無線機でエージェント99に知らせるとイエローケーキ(ウラン含有粉末)を工場で見つけたマックスはウランや武器や放射能や核弾頭などの核物質を地下に埋めようと爆弾を仕掛ける。 爆発するビルから電線ワイヤーでターザンよろしく向こうのビルに飛ぶつもりが壁にぶち当たってアウチッ!のマックスが言った。「あと ちょっとだったのにー!」ともかく無事に逃げ果せたマックスとエージェント99、後始末はエージェント23がやるとチーフ、ところが武器などなくただのパン工場だと調査結果が。

場面変わってモスクワ川では停泊した船に黄色いバッグが次々と積み込まれている。 大統領が来るからとアメリカのロスアンジェルスを標的にするジーグフリードは集めた核兵器を反アメリカ勢力に提供しカオスの要求(2000億ドル)に応じないと独裁者たちに起爆コードを公開するつもり。 ワシントンDCではクリスティックの口も塞いだとマックスが二重スパイ容疑で手錠をかけられた。 チーフ曰く我々は笑い者になっているとコントロール拘置房にぶち込まれたマックスだが大好きなDJライアンのラジオ番組「トップ40」のメッセージでダリップがロス行きをおすすめするもんだから看守を呼びつけて扉の暗証番号を盗み展示されていた赤いフィラーリで逃走(すぐにエンコで青い車を盗む)。 さて有事なのに不在の大統領の児童に本を読むシーンはなんだか同時多発テロの時にそっくりだが、ロスに向かうはチーフやエージェント23一行、マックスも合流、当然ながら無実が明白に。 ジーグフリードの好きな”歓喜の歌”の最後のドーン!で爆発予定の爆弾を阻止すべく敵と戦うエージェントたちです。

Steve Carell and Anne Hathaway in Get Smart (2008)
ABBA(アバ)を聞きながら諜報機関の分析官であるマックスがコントロールの会議に出席するためにスミソニアン博物館内に入る。 ここは冷戦時代の諜報機関「コントロール」の遺物も陳列されている。(後でこれらは時代物につき使用不可能と判明) 博物館の地下にあるいくつもの秘密の扉を通って最後は電話ボックスでシュート!(後で池の中の水鳥がスイッチになっている本部への入り口も登場) まだ存在していたコントロールのヘッドクォーター(本部)に到着。 なんであんなヤツがエージェンシーなんだ?とメンバーや受付嬢にまで見下されていてエージェントになれないマックス。 そこにさっそうと胸をはだけて登場したのがダンゼンかっこいいエージェント”23″。 万来の拍手で迎えられる。 ヒューヒュー!

外で犬としょぼくれた会話をした挙句に美女にアタックされたマックスが本部に戻ると、何か変! 本部は敵に襲われ全エージェントの身元が敵に知られてしまった。 そこでお茶をひいていたマックスがチーフから出動を命じられた。 エージェントのエージェント昇格試験も過激、消火栓も武器にしてやっつけたと思えば、ありっ、チーフ! とにかくエージェントに取り立てられて”86″として先ほどの凶暴美女のエージェント”99″を相棒としてシーグフリードの陰謀を阻止せんとロシア行きの機上の人となるマックス、元デブと整形美人。 その飛行機にはターバンの大男、この男は後ほどの空中大接戦に参加、金的蹴りには滅法強いが美女のチューには弱かったンスク。 ガムとガン(銃)の聞き違いから取り押さえらたマックスはその縛られた両手をほどこうと、出ましたンスク!新スパイ機器! さあ、始まったマックスの珍道中、いやスパイ大作戦やいかにンスク!
※Yellow Cake Uranium 耳の遠い私は”イランのイエローケーキ”と聞き違えてしまったが、どうやらYellow CakeとはU3O8らしい。(nuclear yellow-cake uranium)。 核に使用するには、まずウランの天然鉱石を粗精錬して酸化ウランを抽出するらしいがその工程で作られる産物のことだそうだ。(ん、やはり分らんスク)

Get Smart (2008) Trailer
この「ゲットスマート」ではダンスや赤外線突破などちょっとセクシーなアン・ハサウェイが演じるエージェント”99″のチラリ!も観られた2種類の予告編はもう消滅しました。
トレーラーはGet Smart Trailer – Videodetective.com

Get Smart (2008) Soundtrack
ページトップの画像は日本で発売されている2008年の「ゲット スマート」のサウンドトラックです。
映画音楽は2007年の「National Treasure: Book of Secrets(ナショナル・トレジャー)」に続いてTrevor Rabin(トレヴァー・ラビン)のモダンな作曲で、1960年代のTVスパイ映画、オリジナル「ゲット・スマート」さながらの曲ですが、敵のジーグフリードはクラシックを嗜むからか1989年のDead Poets Society(いまを生きる – 死せる詩人の会)でも使用されたLudwig van Beethoven(ベートーベン)の”Symphony No. 9 – Ode to Joy(第九)”がこの映画では爆弾が反応する音楽として使用されています。 コンサートを止めて!
♪映画を思い出したい方、もしくはトレヴァー・ラビンのファンの方にはお勧めの「ゲット スマート」のサウンドトラックです。
♪ 試聴はGet Smart Soundtrack – レコチョク
国内盤のサントラは「オリジナル・サウンドトラック『ゲット・スマート』 [Soundtrack]」(ASIN: B001D7RN2W)です。 オリジナル”ゲットスマート”のテーマの作曲者であるIrving Szathmary(アービン・ザスマリー)へのオマージュである”ゲットスマートのテーマ”はもちろん、”夢見るスマート”にはじまりストーリーを追った”マックス脱出!?”や”マックス、99を呼ぶ”や”マックスの願いかなわず”などに加えて、スピンオフの「Get Smart’s Bruce and Lloyd Out of Control (ブルース&ロイドの ボクらもゲットスマート)」で音楽を担当したPaul Linford(ポール・リンフォード)の”Rooftop Fight(屋上での死闘”)や”Agent 23(エージェント23誕生)”など全20曲が収録されています。

映画のなかでは多様なジャンルの曲も使用されていて、冒頭のABBAの”Take a Chance on Me”やエンディングのChristina Aguilera(クリスティナ・アギレラ)の”Ain’t No Other Man”をはじめ、Madonna(マドンナ)がJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)をフィチャーした”4 Minutes”、ロシアの舞踏会でマックスたちが踊った1951年の映画「Anna(アンナ)」の主題歌で有名な”El Negro Zumbon”をビッグバンドのLes Brown & the Band of Renown(レス・ブラウン・アンド・ザ・バンド・オブ・レナウン)で演奏や、元ABBAのLudvig Andersson aka Benny Andersson(ベニー・アンダーソン)が作った”Hey Come Over”をストックホルム発オルタナ6人グループのElla Rougeの歌で”Hey Come Over”などなど。

Ella Rouge – Hey Come Over – YouTube
ABBA – Take a Chance on Me – YouTube
Christina Aguilera – Ain’t No Other Man – YouTube
Madonna ft. Justin Timberlake – 4 Minutes – YouTube

Get Smart (2008) DVD & Blu-ray
画像は2010年3月発売の「ゲット スマート 特別版」の2枚組DVDですが、品切れにつきリンクは2010年4月発売の1枚DVDです。
ゲット スマート 特別版 [DVD]

Get Smart (Blu-ray)
上記のリンクは2008年リリースのブルーレイです。

Steve Carell
☆スティーヴ・カレルは「ゲット スマート」の前後に「Over the Hedge(森のリトル・ギャング)」などアニメ映画で声を担当していますが、2012年の「Seeking a Friend for the End of the World(エンド・オブ・ザ・ワールド)」ではKeira Knightley(キーラ・ナイトレイ)と共演します。 そして2014年の「Foxcatcher(フォックスキャッチャー)」は2015年に日本でも公開されます。 当時36歳で二人の子供がいたディヴ・シュルツは1996年に常軌を逸したジョン・デュ・ポンに射殺されたという実際に起こった殺人事件をもとにした映画です。(殺人罪で投獄されたデュ・ポンは2010年に獄死) 「40歳の童貞男 」からほぼ10年後、52歳のスティーヴ・カレルがレスラーのソウル・オリンピック(1988年)に向けて訓練するフォックスキャッチャー・センター(Foxcatcher Farm)を立ち上げる大富豪のジョン・デュ・ポンをシリアスに演じます。(偽鼻などの2時間かけたメイクですごい変身ぶり) 元男性ストリッパーで「Magic Mike(マジック・マイク)」で人気だったChanning Tatum(チャニング・テイタム)が金メダル保持者レスラーのマーク・シュルツを演じる他、レスラーの年子の兄のディヴ・シュルツを「恋人はゴースト」のMark Ruffalo(マーク・ラファロ)、デヴィッドの未亡人ナンシーに「アルフィー」のSienna Miller(シエナ・ミラー)ですが、ジョン・デュ・ポンの母親に「裸足のイサドラ」の77歳になるVanessa Redgrave(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)です。 レスラー兄弟を演じるチャニング・テイタムとマーク・ラファロは元レスラーによる血と汗と涙の特訓をしたそうですが、チャニング・テイタムとスティーヴ・カレルは2014年のカンヌで監督賞を受賞したベネット・ミラー監督の撮影現場があまりに緊張感に満ちているのでふざけることもできなかったとか。 乞うご期待!

Audio-Visual Trivia 内の2005年のスティーブ・カレルのコメディ映画は「40歳の童貞男 The 40-Year-Old Virgin
アカデミーのレッドカーペットの衣裳合戦ではスパンコールが素敵なアルマーニの白いドレスでピカイチのベストドレッサーだったアン・ハサウェイが出演したファッション映画は「The Devil Wears Prada(プラダを着た悪魔)」

Anne Hathaway
2001年のThe Princess Diaries(プリティ・プリンセス)で清純なイメージを印象づけたアン・ハサウェイは「ゲット スマート」ではちょっとセクシーで意外と思いきや、2005年のアニメ「Hoodwinked(リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?)」で声を担当した後、日本未公開でしたが2005年の「Havoc(裸の天使)」ではお嬢さま役から脱皮を図ってかなり大胆なヌードシーンやベッドシーンを演じていました。 その後、ふたたび「プラダを着た悪魔」で真面目なキャリアガールを演じたのでした。 「ゲット スマート」の後は2009年のコメディ映画「Bride Wars(ブライド・ウォーズ)」でKate Hudson(ケイト・ハドソン)と共演、2011年には摩訶不思議な恋愛関係を描いた「One Day(ワン・デイ 23年のラブストーリー)」で「The Other Boleyn Girl(ブーリン家の姉妹)」でジョージ・ブーリンを演じたイギリス俳優のJim Sturgess(ジム・スタージェス)と共演します。 変わったところでは2010年と2013年のユニバーサル・ピクチャーズ3Dファンタジー・アニメ「Despicable Me(怪盗グルー)」シリーズでグルーの声を担当します。(スティーブ・カレルが訛りのあるしゃべりだからか日本語吹き替えが関西弁の笑福亭鶴瓶なのがちょっと違和感あり)

Original “Get Smart” by Don Adams

Get Smart: Season 1 (4pc) (Std Rmst Rstr)

Missed it by that much!
人気TVシリーズだったオリジナルの「Get Smart(それ行けスマート)」は1965年から1970年に放映された悪や腐敗から世界を守る任務を遂行せんとひたすら闘ったスパイトリオの茶番劇、いやいや、世界一ドジな諜報員のマクスウェル・スマートのぶ、ぶ、武勇伝でした。 当時人気のスパイ映画だったJames Bond(ジェームス・ボンド)やクルーゾー警部が活躍する「Pink Panther(ピンクの豹)」をもじって脚本家のBuck Henry(バック・ヘンリー)とパロディ映画のMel Brooks(メル・ブルックス)が作ったコメディシリーズです。(第二次世界大戦後からのアメリカとソ連冷戦時代にスパイ映画が大流行)
似ているTVシリーズものとしてはイギリスで1961年から8年間放映された「The Avengers(おしゃれ(秘)探偵)」があり、山高帽をかぶった英国諜報部員のPatrick Macnee(パトリック・マクニー)と女性パートナーのDiana Rigg(ダイアナ・リグ)の探偵コンビが活躍しました。 パトリック・マクニーは1998年にUma Thurman(ユマ・サーマン)がエマ・ピール博士役で出演したテレビ・シリーズの映画化「The Avengers(アベンジャーズ)」にも影の声で出演しています。

諜報機関ではお呼びでなかったスマートは身元がばれていないということでやっと出番となりました。 スマートが一緒に諜報活動をしたいと思っていた頼りになるエージェント”23″ではなく、コンビの相手は女スパイのエージェント99だったのです。 がっかりするスマートですがエージェント99はもっと不安。 真面目な顔付きなんて見たことがないほど、突飛な表情やジェスチャーが特徴でちょっと鼻にかかった声のドン・アダムが主演しましたが、ハンサムでスマートなJames Bond(007ジェームス・ボンド)とは程遠く、まるでパロディのようなドタバタ喜劇でした。

「それ行けスマート」に登場した主な三人というと、とてもスマートとはいえないMaxwell Smart(スマート)ことAgent 86をDon Adams(ドン・アダムス)、スマートとは後にノミの夫婦となる恋人だが本名はぜったいに明かされないAgent 99はBarbara Feldon(バーバラ・フェルドン)、”Sorry ‘bout that, chief”を連発するスマートのヘマにも寛容なチーフにはEdward Platt(エドワード・プラット)です。 彼らはKAOS(悪の犯罪組織、冷戦当時は共産圏)を敵とみなすControl(コントロール)と呼ばれるトップシークレットの合衆国政府諜報機関のスパイなのです。 そうそうチーフの忠実なペットでラブラドールとプードルの混血犬(Labradoodle)のFang(ファング)を忘れちゃいけません。 ファング(犬)だって”K-13″というれっき(歴)としたコードネームがあるんです。 潜伏するときの名はMorris(モリス)というそうで、スマートの窮地をいくどとなく救ってくれたのです。 ですがあまり名犬ともいえなかったファングが引退した時にチーフが証拠隠滅のために暗殺したとか。(うっそ!)
諜報員たちはコントロールが敵とするKAOSのジーグフリードやMr. Big(ミスター・ビッグ)と呼ばれる小男や、爪楊枝での爪拷問で脅すClaw(鉤爪)という中国人などと戦います。 おっちょこちょいでツキに見放されたようなスマートですが、臭いShoe-Phone(靴型電話)やWatch-Phone(腕時計電話)などの新スパイ用機器を駆使してして漫画のような敵どもと対決して何とかやっつけるのです。 近年、携帯電話会社が競ってスマート・フォンを発表しています。 まさしくスマート・フォン! 禁断のアプリはついてないけど、貴方もiPhoneじゃなくて、”シュー・フォン”、おひとつ如何?

ところで、いまだに未解決の謎の死を遂げた実在のBob Crane(ボブ・クレイン)というコメディアンがいました。 1965年から放映されたTVシリーズドラマ「Hogan’s Heroes(0012捕虜収容所)」の主演で人気の俳優でコメディアンでしたがラジオのDJでもありドラムを担当した4人編成のバンドも結成したミュージシャンだったのです。 そのボブ・クレインがテレビのコメディドラマのテーマ曲集を演奏したアルバム「Bob Crane His Drums & Orchestra Play The Funny Side Of TV – Themes from Television’s Great Comedy Shows」をEPICレコードからリリースしたのですが、テレビ番組のテーマ曲を手掛けたレコード・プロデューサーのStu Phillips(スチュー・フィリップス)のアレンジした「Hogan’s Heroes」のテーマはもちろんのこと「ゲット スマート」も収録されています。 曲の合間や最後にスマート氏の決めセリフの”Sorry ‘bout that, chief”と”Would you believe it?”が入りますが恐らくボブ・クレインです。 ちなみにタランティーノ監督の「キルビル2」でボブ・クレインに言及しています。

Get Smart: Missed it by that much – YouTube
Maxwell Smart with Shoe-Phone & Watch-Phone – YouTube
Get Smart – TV First Season Theme – 1965 – YouTube
Catchphrases Then and Now – Missed it by that much! – NYTimes.com(registration required)

Don Adams (1923-2005)
オリジナルのマクスウェル・スマートを演じたドン・アダムスはハンガリア系ユダヤ人の父とアイルランドとオランダ系の母を持つカリフォルニア出身のアメリカの喜劇俳優です。 芸能界へのきっかけはアイルランドからアメリカに来たCarmel Quinn(カーメル・クィン)のように1954年にArthur Godfrey(アーサー・ゴッドフリー)のTalent Scouts(タレント・スカウト・ショウ)で優勝したことからだそうです。 1965年から1970年に放映されてテレビの人気シットコムの一つとなったGet Smart(それ行けスマート)で一躍人気者となりエミー賞も受賞しています。 おとぼけ顔で早口に可笑しなセリフを連発するドン・アダムスは誰でもが簡単に真似できる”Missed it by that much!”なども流行らせました。(意味は? ”こんくらいのとこでミスった。”、”もうちょっとのとこだった。”、”かなり惜しかった。”、かなり失敗? どんだけー! こんだけ)
ドン・アダムスは3度の結婚で7人の子供に恵まれましたが、第二次世界大戦のガダルカナルでの負傷から黒水熱(熱帯熱マラリア)にかかり九死に一生を得た経験もあったそうです。 晩年は骨リンパ腫との闘病から肺感染症を併発して82歳で亡くなりました。

“Get Smart” Tiger
「それ行けスマート」のオリジナルのエピソードで最初の頃にドン・アダムスが乗っている赤いオープンカーはフォード社のV型8気筒エンジンのスタンダードとなった1965 Sunbeam Tiger Mark I(1965年型サンビーム・タイガーのマーク・ワン)だそうです。 V6高級車(直列6気筒)のShelby(シェルビー)ではありませんゾ。 フォードの他にもVolkswagen(フォルクスワーゲン社)のKarman Ghia(カルマンギア)や1970年代の代表的スポーツカーのOpel GT(オペルGT)なども登場したそうです。(えー、車のことは全く分かりません)
Get Smart TV closing theme – YouTube

Don Adams’ “Get Smart” DVD
上記の画像は2008年に発売になった1965年のドン・アダムスのオリジナル「Get Smart: Season 1(それ行けスマート)」のシーズン 1″の4枚ディスクセット英語リマスター版DVDだそうです。(輸入盤ですがリージョン1です)
下記は60年代のドン・アダムス主演の「それ行けスマート」が1989年にリバイバル放映されたTVドラマのDVDで2003年の英語版ですが現在は入手困難です。(超ヴィンテージ価格)
Get Smart Again! 1989
Get Smart, Again! (ASIN: B0000C88KD)
Get Smart Again – YouTube
海外版DVD(英語)では「Get Smart (1995): Complete Series (Full Dub Sub)(それ行けスマート/世界一の無責任スパイ)」が1995年にオリジナルTVと同じメンバーで2008年にリリースされているそうです。(ASIN: B00166648)

Nude Bomb (ASIN: 6302068967)
0086笑いの番号 1980年
左の画像は「Nude Bomb」の輸入版VHSですが現在は国内版の「それ行けスマート/0086笑いの番号」(ASIN: B00005GURX)ともに入手困難となりました。(超ヴィンテージ価格)

「ゲット スマート」シリーズでは後にスマート夫人を演じたBarbara Feldon(バーバラ・フェルドン)が出演しなかったドン・アダムス主演の映画には1980年の「The Nude Bomb(0086笑いの番号)」という映画があったそうです。(VHSビデオのみ販売) このふざけた映画のポスターを手掛けたのは有名なデザイナーのBill Gold(ビル・ゴールド)で青いウエットスーツの胸ジッパーを開けておっぱいの辺りに銃を手にしたスマート氏が顔を出している洒落た画像です。
爆発するとオールヌードになる裸爆弾で世界を破滅させようとする悪の組織KAOSのSauvageとそうはさせじとするコントロールのスマートが闘う「0086笑いの番号」には1982年に「Sharky’s Machine(シャーキーズ・マシーン)」に出演したイタリア俳優のVittorio Gassman(ヴィットリオ・ガスマン)が悪者役で登場しています。 スマート諜報員がEdd China(エドチャイナ)みたいに走るオフィス・テーブル車に乗って活躍するこの作品は興行成績も振るわず1981年のラジー賞にノミネートされたほどで、刺激的なヌード爆弾というタイトルをテレビ放映用に「The Return of Maxwell Smart」に変更したといわれています。 セクシー路線だからか、なんと「Emmanuelle(エマニエル夫人)」のSylvia Kristel(シルヴィア・クリステル)が”Agent 34″として出演しています。 他にも可愛い子ちゃんスパイが出演しているので「Nude Bomb」ではあまりパッっとしなかったシルヴィア・クリステルでしたが赤いスーツで片腕義手男やAustin Powers(オースチン・パワーズ)みたいな悪者と格闘します。
Sylvia Kristel in The Nude Bomb
スマート夫人の代わりにエマニエル夫人だなんて! スマートさんよ、あんたも好きねぇ。 Missed it by that much!
この後スパイづいたシルヴィア・クリステルは1985年にMata Hari(魔性の女スパイ)に出演しその時のコードネームは”H 21″です。 残念! 赤いボデコンスーツで敵と戦うシルヴィア・クリステルの出演シーンはYouTubeから削除されたようです。
The Nude Bomb Trailer (1980) – YouTube